JP5051886B2 - 冷延鋼板およびめっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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このような特性を有する鋼板として、焼付硬化性鋼板(BH鋼板)が知られている。BH鋼板は、固溶C、N原子が転位上へ偏析して転位を固着することにより降伏応力が上昇する、いわゆる歪時効硬化現象を利用する鋼板である。BH鋼板を自動車外板パネル用鋼板として用いると、プレス成形時に導入された転位が塗装焼付けの際に固溶C、Nによって固着されるために塗装焼付け後の降伏応力が上昇する。なお、高張力鋼板の焼付硬化性を改善することは、耐デント性や形状凍結性を改善することにもつながる。
HR(℃/min)≦20.0−17.5×Cr(質量%) ・・・・・(1)
ここで、式中のHRは鋼片の300〜1000℃までの平均加熱速度を、Crは鋼中でのCr含有量を質量%にて表したものである。
本実施の形態の冷延鋼板およびめっき鋼板の(a)金属組織、(b)化学組成および(c)製造条件の限定理由を順次説明する。
本実施の形態の冷延鋼板およびめっき鋼板は、フェライト相中にマルテンサイト相を含む低温変態生成相が分散した複合組織を有する。この複合組織を有することにより、鋼板の降伏応力が低下し、良好なプレス成形性および耐面歪み性を得ることができるとともに、耐常温時効性を損なうことなく高い焼付硬化性を得ることができる。
この低温変態生成相は、2種以上の相、例えば、マルテンサイト相とベイナイト相を含んでいてもよい。また、低温変態生成相全体の体積率は1%超であることが好ましい。1%以下の場合には、鋼板の降伏応力が十分に低下せず、良好なプレス成形性および耐面歪み性を得ることが困難となる。低温変態生成相の体積率を3%超とするとさらに好ましい。一方、低温変態生成相の体積率が増加し過ぎると引張強度が上昇し過ぎ、延性および深絞り性が劣化する。このため、低温変態生成相の体積率は15%未満とすることが好ましく、12%未満とするとさらに好ましい。
本実施の形態の冷延鋼板は、延性や耐常温時効性等を向上させるために、以下に示す組成を有する。
C含有量が0.0025%未満であると上記の複合組織を得られなくなり、一方、C含有量が0.10%以上であると鋼板の延性および深絞り性が損なわれる。したがって、本実施の形態では、C含有量は0.0025%以上0.10%未満とする。望ましい範囲は0.011%以上0.040%未満であり、さらに望ましい範囲は、0.016%以上0.029%以下である。
Siは、鋼中に不可避的に含有される元素であり、スケール疵を発生しやすくするとともに冷延鋼板の化成処理性およびめっき鋼板のめっき性を著しく劣化させる。したがって、Si含有量は少ないほど好ましい。しかし、Siは鋼板を強化する作用を有するので、本実施の形態では、鋼を強化するために0.5%まで含有させてもよい。好ましくは0.1%未満であり、さらに好ましくは0.02%未満である。
Mnは、鋼の焼入性を向上させる作用があり、フェライト相中に低温変態生成相を分散させるために本実施の形態では0.5%以上含有させる。一方、過度に含有させると延性および深絞り性が劣化するので、本実施の形態ではMn含有量の上限を3.0%とする。好ましい範囲は、1.0%以上2.0%未満であり、さらに好ましい範囲は1.0%以上1.5%未満である。
Pは、鋼中に不可避的に含有される元素であり、粒界に偏析して二次加工脆性および溶接性を劣化させる。したがって、P含有量は少ないほど好ましい。しかし、Pは安価に、また、深絞り性をさほど劣化させることなく、鋼を強化することができるため、本実施の形態では所望の強度を得るために0.05%以下の範囲で含有させてもよい。好ましい範囲は0.005%以上0.035%未満であり、さらに好ましい範囲は0.010%以上0.020%未満である。
Sは、鋼中に不可避的に含有される不純物であり、粒界に偏析して鋼を脆化させるためにS含有量は少ないほど好ましい。本実施の形態ではS含有量は0.01%以下とする。
Alは、溶鋼を脱酸するために用いられる。しかし、0.15%を超えて含有させると効果が飽和して不経済となる。このため、本実施の形態ではsol.Al含有量は0.15%以下とする。なお、AlはNと結合してAlNを形成し、Nによる時効劣化を防止するため、N含有量の10倍以上含有させることが望ましい。
Nは、鋼中に不可避的に含有される元素であり、N含有量の増加は延性、深絞り性および耐常温時効性を劣化させる。したがって、本実施の形態ではN含有量は0.008%未満とする。好ましい範囲は0.005%未満であり、さらに好ましい範囲は0.004%未満である。
Crは、延性を損なうことなく鋼の焼入性を向上させる作用があり、フェライト相中に低温変態生成相を分散させるために本実施の形態では0.02%以上含有させる。好ましい範囲は0.05%以上であり、特に好ましい範囲は0.15%以上である。
なお、延性をさらに向上させるためには、Mn含有量の1/10以上含有させることが好ましい。
B、Mo、Wは、鋼の焼入性をさらに向上させるために、これらの1種または2種以上を含有させてもよい。ただし、Bは深絞り性を劣化させるので、上限を0.003%とする。望ましい範囲は0.0002%以上0.002%未満である。また、Mo、Wは1.0%を超えて含有させると効果が飽和して不経済となるため、1.0%以下とする。望ましい範囲は0.02%以上0.5%未満である。
Ti、Nbは、Nと結合してTiNやNbNを形成することでNによる時効劣化を防止するので、一方または双方を含有させてもよい。しかし、0.1%を超えて含有させても効果が飽和して不経済となる。このため、含有量はそれぞれ0.1%以下とする。下限は特に規定されない。好ましい範囲は0.003%以上0.025%以下である。
上述した組成を有する鋼は、公知の手段により溶製された後に、連続鋳造法により鋼塊とされるか、または、任意の鋳造法により鋼塊とした後に分塊圧延する方法等により鋼片とされる。この鋼塊または鋼片は再加熱するか、連続鋳造後の高温の鋼塊または分塊圧延後の高温の鋼片に補助加熱を行って、熱間圧延される。本明細書では、このような鋼塊および鋼片を、熱間圧延の素材として「鋼片」と総称する。鋼片は、表面性状をさらに良好に保つために、加熱前に冷間もしくは温間で表面手入れすることが好ましい。
HR(℃/min)≦20.0−17.5×Cr(質量%) ・・・・・(1)
ここで、式中のHRは鋼片の300〜1000℃までの平均加熱速度を、Crは鋼中でのCr含有量を質量%にて表したものである。このように、Cr含有量に応じて加熱条件を制御することでデスケーリングされにくい酸化物の形成が抑制され、冷延鋼板や、その上にめっき処理が施されためっき鋼板においてスケール疵に由来する外観不良が発生しにくくなる。
表1に示される化学組成に調整された鋼片を連続鋳造により製造した。これらの鋼片を表2に示される条件で加熱した後、熱間圧延し、コイル状に巻き取って板厚3.0mmの熱延コイルを得た。
また、冷延鋼板およびめっき鋼板の板幅方向から採取したJIS5号引張試験片を用いて引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強度(TS)、降伏点伸び(YPE)および全伸び(El)を求めた。
また、試番3、6は、金属組織がフェライト単相であったため、YPEおよび時効後YPEが大きく耐時効性が不芳であった。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.0025%以上0.10%未満、Si:0.5%以下、Mn:0.5%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.15%以下、N:0.008%未満、Cr:0.02%以上1.15%未満、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有する鋼片を下記式(1)を満足する加熱速度で1000℃以上に加熱して熱間圧延し、冷間圧延し、Ac 1 変態点以上の均熱温度で再結晶焼鈍することを特徴とする、主相がフェライト相であるとともに第二相がマルテンサイト相を含む低温変態生成相である組織を備えた、冷延鋼板の製造方法。
HR(℃/min)≦20.0−17.5×Cr(質量%) ・・・・・(1)
ここで、式中のHRは鋼片の前記加熱時の300〜1000℃までの平均加熱速度を表し、Crは鋼中でのCr含有量を質量%にて表したものである。 - 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.003%以下、Mo:1.0%以下、およびW:1.0%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1に記載された冷延鋼板の製造方法。
- 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.1%以下およびNb:0.1%以下から選ばれる1種または2種を含有する請求項1または請求項2に記載された冷延鋼板の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載された製造方法により製造される冷延鋼板にめっき処理を行うことを特徴とするめっき鋼板の製造方法。
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