JPH06342512A - 垂直磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

垂直磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH06342512A
JPH06342512A JP27859591A JP27859591A JPH06342512A JP H06342512 A JPH06342512 A JP H06342512A JP 27859591 A JP27859591 A JP 27859591A JP 27859591 A JP27859591 A JP 27859591A JP H06342512 A JPH06342512 A JP H06342512A
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Japan
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JP27859591A
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Toshio Ando
敏男 安藤
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 下地層の磁化容易軸の配列を改良すると共に
垂直磁化層の配向度も改良して低ノイズ化を図り、ま
た、下地層のヘッド走行方向に対する透磁率を高めて記
録再生効率を向上させる。 【構成】 円形基板8上に軟磁性下地層10と垂直磁化
層12を順次積層して垂直磁気記録媒体を製造するに際
して、上記円形基板8の半径方向に磁界を印加しながら
Co系軟磁性下地層8を形成し、この上面に下地層成膜
終了後の所定の時間内にCo系垂直磁化層12の形成を
開始して、これに含まれるCo原子と上記下地層10に
含まれるCo原子とを結合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に良好な記録特性を
有するディスク状の垂直磁気記録媒体及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、垂直磁気ヘッドを用いて記録再
生を行うときの垂直磁気記録媒体としては、軟磁性下地
層を有する2層膜垂直磁気記録媒体があり、そしてこの
2層膜垂直磁気記録媒体の製造方法としては、例えば特
開昭62−129940号公報に示すごとく円形基板の
中央部に第1の磁石を設け、上記円形基板の外周に第2
の磁石をその極性が上記第1の磁石に対して逆になるよ
うに配置して、基板半径方向へ磁界を印加した状態で上
記円形基板に円周方向に磁化困難軸を持つ軟磁性層を形
成し、更にこの軟磁性層上面に垂直磁化層を形成するよ
うにした方法が知られている。また、垂直磁気記録方式
の従来の磁気記録媒体としては、特公平3−13646
号公報に示すように、Fe、Co、Niの内の1つの元
素と、Cr、Mo、V、W、Nbの内の1つの元素と、
Ti、Zr、Hfの内の1つの元素とからなるアモルフ
ァス高透磁率の下地層上面にCr含有のCo合金よりな
る垂直磁化層を形成して、垂直磁化層の配向性の向上及
び記録密度の向上を図った記録媒体が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開昭
62−129940号公報に開示されているような2層
膜垂直磁気記録媒体の製造方法にあっては、円形基板の
中央部に第1の磁石を設け、上記円形基板の外周に第2
の磁石をそれぞれ極性が逆になるように配置して、上記
円形基板に円周方向に磁化困難性を持つ軟磁性下地層を
形成するという製造方法が著しく複雑なものである。ま
た、成膜方法がスパッタの場合、基板の近くに磁石があ
ってもスパッタレートの向上に寄与するわけではなし、
スループットの低下を招く。更に、上記軟磁性下地層上
に形成する垂直磁化層の特性については何ら考慮されて
いないため、垂直配向性のよい垂直磁化層を得ることが
できず、したがって良好な記録特性を得ることができな
いなどの問題点があった。また、上記特公平3−136
46号公報に示す磁気記録媒体にあっては、上記のよう
なアモルファス高透磁率の下地層を有する2層構造記録
媒体を従来方法により製造しても、垂直磁化層の配向度
が常に高くなるわけではなく、配向度のバラツキが比較
的大きく、特性上不安定であるという問題がある。
【0004】更に、この記録媒体にあっては軟磁性下地
層の磁化容易軸の方向が何ら考慮されておらず、ノイズ
の増大を招くという不都合があった。以上のような理由
により、現在では下地層としてCoZr系のアモルファ
ス膜はほとんど検討されておらず、パーマロイ(NiF
e系合金)が下地層用として一般的に用いられている。
しかしながら、このパーマロイを使用した場合には、前
述したごとき問題点が依然として残っている。例えばこ
のパーマロイを用いた場合には垂直層の結晶配向性が十
分良好でないという問題があり、この欠点を補うために
TiやGe等の中間層を設けることも行われているが、
その効果は十分ではないばかりか、製造工程の複雑化を
招き、スループットが低下するという問題があった。
【0005】更に、下地層としてパーマロイを用いた場
合には、軟磁気特性の良いパーマロイを得るために成膜
条件が限定されるという不都合がある。例えばパーマロ
イ成膜時に基板温度が高いと縞状磁区が形成されて軟磁
気特性が著しく劣化するので基板温度は低くなされ、一
方、垂直層成膜時には保磁力Hcを確保するために成膜
温度は高く設定されている。このため、下地層と垂直層
の成膜条件が異なるのでそれだけ製造工程が煩雑にな
り、スループットが低下するという問題があった。本発
明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決
すべく創案されたものである。本発明の目的は、製造方
法を複雑化することなくハイレートで下地層を成膜し、
かつ、下地層の磁化容易軸の配列を改良すると共に垂直
磁化層の配向度も改良して低ノイズ化を図り、下地層の
ヘッド走行方向に対する透磁率を高めて記録再生効率を
向上させることができる垂直磁気記録媒体及びその製造
方法を提供することにある。
【0006】本発明は、軟磁性下地層としてCoZr系
アモルファスを用いてこれを円形基板に半径方向磁界中
で成膜することによりハイレートかつ簡便に半径方向に
磁化容易軸のそろった下地層が得られ、かつ下地層のC
o原子とその上に形成する垂直磁化層のCo原子とを直
接結合させるようにCoCr系合金を成膜することによ
って、極めて安定して垂直配向度の高い垂直磁化層が得
られることを見い出すことによりなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、第1の発明は、成膜装置のプラズマ集束用コイル
もしくは磁石により円形基板の半径方向に磁界を印加し
ながらCo系軟磁性下地層を成膜する工程と、このCo
系軟磁性下地層を成膜した後の所定の時間内に、真空中
でCo系垂直磁化層の成膜を開始して前記下地層のCo
原子と前記垂直磁化層のCo原子とを直接結合させる工
程とにより構成したものである。また、上記問題点を解
決するために、第2の発明は、円形基板の半径方向に磁
界を印加しながら形成されたCo系軟磁性下地層と、前
記下地層上に、前記下地層の形成後の所定の時間内に成
膜処理を開始することにより形成されて、含有するCo
原子が前記下地層のCo原子と直接結合したCo系垂直
磁化層とを有するように構成したものである。
【0008】
【作用】第1及び第2の発明は、以上のように構成され
たので、成膜方法を複雑化せずに軟磁性下地層をハイレ
ートで成膜し、かつその半径方向に磁化容易軸をそろえ
ることが可能となり、また、下地層のCo原子とこの上
に形成されたCo原子とを直接結合させたので、垂直配
向度の高い垂直磁化層を安定に得ることが可能である。
従って、記録感度の向上及び低ノイズ化が可能である。
また、下地層において、円周方向に対する透磁率を高め
ることが可能なので、記録再生効率を向上させることが
可能となる。
【0009】
【実施例】以下に、本発明に係る垂直磁気記録媒体及び
その製造方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。図1は本発明の一実施例の垂直磁気記録媒体の製造
方法を説明するためのDCマグネトロンスパッタ装置の
ターゲット電極付近の概略断面図、図2は本発明方法に
より製造された垂直磁気記録媒体の断面図である。この
本実施例においては、図1に示すように例えばCoZr
Nbのごときターゲット2の下方中央部には第1の希土
類永久磁石4を、ターゲット2の下方外周部には第2の
希土類永久磁石6を配置する。これら第1と第2の希土
類永久磁石4、6の極性は、図中に示したようにそれぞ
れ逆にしてある。前記ターゲット2の上方には、例えば
鏡面研磨したガラスからなる円形基板8を配置してあ
る。この円形基板8上には、前記第1と第2の希土類永
久磁石によって常に半径方向に数10、例えば約50エ
ルステッドの磁界が加わっている。この磁界の強さは、
軟磁性下地層10の磁化容易軸が半径方向に向く程度で
よく、例えば10エルステッド(800T)以上もあれ
ば十分である。また、上記磁石はマグネトロンの磁石と
しても作用し、ターゲット近傍のプラズマを集束させて
ハイレートで成膜することにも寄与している。
【0010】上記のようなDCマグネトロンスパッタ装
置を用いてガラスからなる円形基板8上に、この半径方
向に磁界を印加しながらCoZr系アモルファスを用い
てCo系アモルファス軟磁性下地層10(例えばCoZ
7 Nb5 at%)を成膜し、そして、このCo系アモ
ルファス軟磁性下地層10を成膜した後の所定の時間
内、例えば約10分以内に真空中でCoCr系合金を用
いてCo系垂直磁化層12(例えばCoCr15Ta4
t%)の成膜を開始し、これを形成する。この場合、ス
パッタ前の到着真空度を2×10-6Torr以下、スパ
ッタ中のArのガス圧を1.5×10-3Torrとし、
これら下地層10と垂直磁化層12とを同一真空チャン
バ内で真空を維持しながら成膜を行った。この際の下地
層10の膜厚は約0.5μmであり、垂直磁化層12の
膜厚は約0.2μmである。
【0011】更に、このようにして成膜された下地層1
0と垂直磁化層12との2層膜を1×10-4Torr
(1.3×10-2Pa)以下の真空中で、しかも150
℃〜500℃の範囲内において、例えば約300エルス
テッド(2.4KT)の回転磁界中で約3時間熱処理を
行なった。この場合、回転磁界を熱処理中、連続的或い
は断続的に印加する。また、加熱温度の最高値は、軟磁
性下地層の結晶化温度以下とする。ここで、前記Co系
垂直磁化層12の垂直配向性を高めるためには、下地層
10の材質を、この垂直磁化層12と同じCo系金属に
することと、下地層10の成膜後から垂直磁化層12の
成膜開始時までの時間間隔を短くすることにより実現可
能となった。
【0012】すなわち、下地層10の材質を、この垂直
磁化層12と同じCo系金属とすることにより下地層1
0のCo原子と、垂直磁化層12のCo原子との強い直
接結合が得られ、また下地層10の成膜完了後から垂直
磁化層12の成膜開始時までの時間間隔を短くすること
により、下地層上面が汚染されたり変質することなく、
垂直配向性の良い垂直磁化層12を得ることができる。
通常の成膜装置の場合、この時間間隔としては、下地層
形成完了後約10分以内が望ましいのであるが、成膜装
置の性能及び成膜条件により前後する。いずれにしても
この時間間隔を長くすると下地層上面が汚染されてしま
い、この結果、下地層のCo原子と垂直磁化層のCo原
子との強い直接結合が得られず、垂直配向性が乱れてし
まう。また、前記円形基板4の円周方向に対して軟磁性
下地層12の透磁率μを飛躍的に上げるためには、まず
半径方向の磁界中で軟磁性下地層12の成膜を行ない
(この状態では半径方向の異方性が強く、透磁率μはそ
れ程高くない)、その上で円周方向に連続的に或いは断
続的に磁界を加えながら熱処理を行なうことにより異方
性を弱めることができ、透磁率μを上げることができる
のである。
【0013】以下に、軟磁性下地層10としてCoZr
Nbを用いたときと、下地層としてパーマロイを用いた
ときの各種特性の比較を行なう。軟磁性下地層用にCo
Zr7 Nb5 at%を用い、比較用の下地層用にCuM
oパーマロイ(NiFe14Mo4 Cu5 at%)用い
た。また、垂直磁化層用に種々の組成のCoCrTa合
金を用いた。そして、下地層10を0.5〜1.5μ
m、垂直磁化層12を0.01〜0.5μm順次成膜し
て種々の特性を調べた。まず、下地層の軟磁気特性につ
いて示す。下記の表1は、CoZrNb及びパーマロイ
の軟磁特性を示す。
【0014】
【表1】
【0015】この表1によればCoZrNbは、パーマ
ロイと比較して飽和磁束密度Bは大きく、磁界の強さH
cは小さいので、パーマロイよりも良好な軟磁気特性を
有していることが判明する。図3(A)(B)は両下地
層の磁化容易軸を示す。図3(B)に示すCoZrNb
では磁化容易軸は均一に半径方向にそろっているのに対
して、図3(A)に示すパーマロイでは方向が定まって
おらず、むしろ円周方向に向く傾向を示した。この容易
軸を半径方向にそろえることが特に重要であり、これに
よってヘッドが走行する円周方向の透磁率μを十分な値
に一定に保つことができる。μの値はCoZrNbの場
合800〜1000の範囲に納まっており、十分かつ一
定だったのに対して、パーマロイの場合にはほとんどゼ
ロから数1000まで場所によって大きくことなってい
た。また、容易軸が半径方向にそろっていないと円周方
向に磁壁が多数存在し、ヘッドで再生した際に媒体ノイ
ズを引き起こすことになる。
【0016】図4(A)(B)は、ディスク1周分のD
Cノイズエンベロープを示したものである。図4(B)
に示すCoZrNbでは容易軸が半径方向にそろってい
るためにノイズはほとんど見られないのに対して、図4
(A)に示すパーマロイでは容易軸は不均一であるため
に全周に渡ってノイズが発生しており、良好ではない。
【0017】次に、成膜完了後の熱処理の効果について
説明する。図5はCoZrNbを0.5μm成膜後、1
×10-4Torr(1.3×10-2Pa)以下の真空中
で3時間、300エルステッド(2.4KT)の回転磁
界中で熱処理したときのμの変化を示すグラフである。
図6は下地層の熱処理温度と異方性磁界Hkとの関係を
示すグラフである。
【0018】図5及び図6において示すように、as
depo.では、マグネトロンスパッタ装置によるCo
ZrNbスパッタ中の半径方向の磁界のため、半径方向
に磁化容易軸(EA)を有し、異方性磁界(Hk)は1
5エルステッドと大きくなる。このため、透磁率μはそ
れ程高くなく、103 以下である。これに対して、回転
磁界中で約150℃〜約400℃の温度に熱処理を行う
と、円周方向の磁界が有効となり、磁化容易軸(EA)
を半径方向に保ちつつ異方性磁界(Hk)が減少し、透
磁率μは3〜6×103 程度に飛躍的に向上する。約4
00℃以上の温度で熱処理を行うと、異方性の逆転(円
周方向がEAとなる)または結晶化が起こり、透磁率μ
は低下することになる。すなわち、記録効率を向上させ
るためにμは高い程よく、熱処理前においても800〜
1000の十分良好な値であるが、150℃〜400℃
の熱処理でμは2000以上に飛躍的に向上する。尚、
この例では約400℃以上で膜の結晶化によりμが急激
に減少しているが、この結晶化温度はCoZr系合金の
組成によって変化し、高いものでは500℃以上となる
ので、そのような組成の場合には材料の結晶化温度、す
なわち500℃程度の温度で熱処理しても構わない。
【0019】次いで、垂直磁化層の結晶配向性について
述べる。図7は下地層成膜後から垂直磁化層成膜開始ま
での時間間隔tと垂直磁化層のC軸分散角Δθ50(垂直
配向性)との関係を示すグラフである。下地層がパーマ
ロイの場合は、tとは関係なくΔθ50は約0.24ra
d(7°)と大きく、結晶配向が乱れている。尚、前記
表1に示したパーマロイの軟磁気特性を得るためには、
基板温度は室温程度に低くなければいけない。一方、垂
直磁化層においては保磁力Hcを高くするためには基板
温度を高くする必要があるため、パーマロイ成膜後に基
板を加熱しなければならず、必然的にtは長くなり、ス
ループットが低くなるばかりでなく、製造工程も複雑と
なる。これに対して、下地層がCoZrNbの場合に
は、tの短いところでΔθ50は0.1rad(3°)以
下となり、極めて結晶配向の優れた垂直磁化層が得られ
た。また、CoZr系アモルファスでは良好な軟磁気特
性の得られる成膜条件が広いために、垂直磁化層の成膜
条件と同じく基板温度を200℃程度に高くしてもよ
く、製造工程も簡単となり、tを短くすることでスルー
プットも向上する。ただし、tが長くなり過ぎるとΔθ
50は大きくなり、結晶配向が乱れる傾向を示した。例え
ばtを10分以内とすることにより、Δθ50は0.24
rad以下の垂直配向性の極めて良好な垂直磁化層を得
ることができる。
【0020】図8(A)は時間間隔tが短くΔθ50が小
さい媒体におけるAES(オージェ電子分光分析)によ
る深さ方向におけるCoのプロファイルを示すグラフで
あり、図8(B)は時間間隔tが長くΔθ50が大きい媒
体におけるAESによる深さ方向のCoのプロファイル
を示すグラフである。垂直磁化層のCoCrTaと、下
地層のCoZrNbの界面付近に着目すると、図8
(A)ではアトミックパーセントの変化が小さく、垂直
磁化層のCo原子が下地層のCo原子上に連続的に成長
していることが判明する。すなわち、下地層がアモルフ
ァスであるが故に垂直磁化層のCo hcpが成長しや
すいサイトが多数存在し、そこを核にして結晶成長する
ことが判明する。これに対して、図8(B)では、プロ
ファイルに急峻なアトミックパーセントの変化がみら
れ、構造が不連続になっていることを示している。つま
り、時間間隔tが長いことによる下地層表面の変質或い
は成膜装置内の残留ガスの付着等の理由で下地層と垂直
磁化層のCo原子同士の結合がなされないために、垂直
磁化層の結晶配向が乱れてしまっている。
【0021】従来は、下地層と垂直磁化層のCo原子同
士は直接結合させた連続構造とする考慮がなされていな
かったために、得られる結晶配向度Δθ50が不安定でバ
ラツキが大きかった。このように結晶配向度が悪くなる
と、記録感度の低下及び結晶の乱れからくるノイズの発
生を引き起こすことになる。しかしながら、本発明によ
れば、常に結晶配向度の良い垂直磁化層が安定して得ら
れる。尚、この効果は特定の組成の垂直磁化層に限定さ
れるものではなく、図9に示すようにMsの異なる広範
囲の組成の垂直磁化層について発揮する。また、下地層
の組成もCrZrNb以外でもCoにZrを含んだアモ
ルファス構造の磁性膜となる組成であればよい。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
のような優れた作用効果を発揮することができる。軟磁
性下地層の磁化容易軸を半径方向にそろえることがで
き、しかも高い垂直配向性の垂直磁化膜を得ることがで
きるので、記録感度の向上及びノイズの低減化を図るこ
とができる。また、軟磁性下地層のヘッド走行方向であ
る円周方向に対する透磁率を高めることができるので、
記録再生効率を大幅に向上させることができる。更に、
Ti、Ge等の中間層を設けることなく上記した良好な
特性を得ることができるので、製造工程の簡略化及び記
録再生効率の向上を図ることができる。また、下地層と
垂直磁化層の成膜条件が全く同じでよく、この点よりも
製造工程の簡略化を図ることができる。また更に、既存
の円形ターゲットを有するマグネトロンスパッタ装置を
利用できるので、設備の変更なく容易にかつ高いスルー
プットで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するためのDCマグネトロン
スパッタ装置の内部を示す内部構成図である。
【図2】本発明に係る垂直磁気記録媒体を示す断面図で
ある。
【図3】軟磁性下地層の磁化容易軸の分布を示す図であ
る。
【図4】円形基板1周分のDCノイズエンベロープを示
すグラフである。
【図5】CoZrNb下地層の透磁率μの熱処理温度依
存性を示すグラフである。
【図6】CoZrNb下地層の熱処理温度と異方性磁界
との関係を示すグラフである。
【図7】下地成膜後から垂直磁化層成膜開始までの時間
間隔とC軸分散角との関係を示すグラフである。
【図8】CoCrTa/CoZrNb界面のAESのC
D の深さ方向のプロファイルを示すグラフである。
【図9】本発明による種々の組成の垂直磁化層の結晶配
向度を示すグラフである。
【符号の説明】
2…ターゲット、4…第1の希土類永久磁石、6…第2
の希土類永久磁石、8…円形基板、10…軟磁性下地
層、12…垂直磁化層。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】更に、この記録媒体にあっては軟磁性下地
層の磁化容易軸の方向が何ら考慮されておらず、ノイズ
の増大を招くという不都合があった。以上のような理由
により、現在では下地層としてCoZr系のアモルファ
ス膜はほとんど検討されておらず、パーマロイ(NiF
e系合金)が下地層用として一般的に用いられている。
しかしながら、このパーマロイを使用した場合には、前
述したごとき問題点が依然として残っている。例えばこ
のパーマロイを用いた場合には垂直層の結晶配向性が十
分良好でないという問題があり、この欠点を補うために
TiやGe、更に非磁性のCoCr等の中間層を設ける
ことも行われているが、その効果は十分ではないばかり
か、製造工程の複雑化を招き、スループットが低下する
という問題があるのみならず、ヘッドと下地軟磁性層と
の間のスペーシングの増大を招き、それによって記録特
性を劣化させるという問題があった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】更に、下地層としてパーマロイを用いた場
合には、軟磁気特性の良いパーマロイを得るために組成
や成膜条件が限定されるという不都合がある。例えばパ
ーマロイ成膜時に基板温度が高いと縞状磁区が形成され
て軟磁気特性が著しく劣化するので基板温度は低くなさ
れ、一方、垂直層成膜時には保磁力Hcを確保するため
に成膜温度は高く設定されている。このため、下地層と
垂直層の成膜条件が異なるのでそれだけ製造工程が煩雑
になり、スループットが低下するという問題があった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に
解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、製
造方法を複雑化することなくハイレートで下地層を成膜
し、かつ、下地層の磁化容易軸の配列を改良すると共に
ヘッドスペーシングを増大させることなしに垂直磁化層
の配向度も改良して記録特性の向上及び低ノイズ化を図
り、下地層のヘッド走行方向に対する透磁率を高めて記
録再生効率を向上させることができる垂直磁気記録媒体
及びその製造方法を提供することにある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形基板の半径方向に磁界を印加しなが
    らCo系軟磁性下地層を成膜する工程と、このCo系軟
    磁性下地層を成膜した後の所定の時間内に、真空中でC
    o系垂直磁化層の成膜を開始して前記下地層のCo原子
    と前記垂直磁化層のCo原子とを直接結合させる工程と
    よりなることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 円形基板の半径方向に磁界を印加しなが
    ら形成されたCo系軟磁性下地層と、前記下地層上に、
    前記下地層の形成後の所定の時間内に成膜処理を開始す
    ることにより形成されて、含有するCo原子が前記下地
    層のCo原子と直接結合したCo系垂直磁化層とを有す
    ることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
JP27859591A 1991-09-30 1991-09-30 垂直磁気記録媒体及びその製造方法 Pending JPH06342512A (ja)

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JP2007257757A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Hoya Corp 磁気記録媒体の製造方法及び成膜装置

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