JPH0633888U - 天井走行搬送車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 天井走行搬送車で支持するパッケージの間隔
を、その搬送時には小さくして下方のパッケージを支持
するハンガーの重心を高くすることにより搬送速度を上
昇させることができるようにした天井走行搬送車を提供
する。 【構成】 天井走行搬送車１の本体３に昇降自在に設け
たハンガー１０に垂直方向に複数のペッグ２０，２１，
２２を並設してなる天井走行搬送車において、各ペッグ
を支持するハンガーフレーム１３，１４，１５を別体と
して相互に垂直方向に摺動可能に支持し、下方のハンガ
ーフレームをペッグと共に上方に順次移動する駆動装置
３０を設けたものであり、それにより天井走行搬送車で
支持するパッケージの間隔を、その搬送時には小さくし
て下方のパッケージを上方に移動し、パッケージを支持
するハンガーの重心を高くすることにより、搬送速度を
上昇させることができるようにしたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、多数のパッケージ等の物品を支持するハンガーを昇降自在に設け、 天井部分をレールに沿って走行し搬送するための天井走行搬送車に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば紡績工場等において、パッケージを所定位置に搬送する際、工場内のス ペースの有効利用、及び搬送ラインの簡素化のために、天井部分にレールを配置 し、このレールに吊り下げパッケージを支持して搬送する天井走行搬送車が用い られている。

【０００３】 天井走行搬送車には昇降自在にハンガーを設け、そのハンガーに複数のペッグ を略水平方向に等間隔に設け、このペッグにパッケージを挿着して搬送し、所定 位置に設けたクリールスタンドに多数設けたペッグに移載することが行われてい る。

【０００４】 この際、クリールスタンドに設けたペッグの間隔は、それに支持するパッケー ジからの糸の解舒の際に、隣接するパッケージからの糸と接触しないような間隔 となっており、通常４７０ｍｍに設定されている。それに対応し天井走行搬送車 のペッグの間隔も４７０ｍｍに設定し、天井走行搬送車のパッケージをクリール スタンドに設けたペッグに一斉に移載することができるようにしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の装置においては、天井走行搬送車のハンガーのペッグにパッケージ を支持して搬送する際には、パッケージの間隔が大きいためハンガーの高さが高 い状態で搬送されることとなる。そのため、天井走行搬送車の発進時や停止時、 あるいはカーブにおいてハンガーの重心が低い位置にあるため大きな揺れを生じ 、パッケージがペッグから抜け落ちる等の危険があった。そのため天井搬送車の 上昇には限界がある欠点があった。

【０００６】 したがって、本考案は、天井走行搬送車で支持するパッケージの間隔を、その 搬送時には小さくして下方のパッケージを支持するハンガーの重心を高くするこ とにより搬送速度を上昇させることができるようにした天井走行搬送車を提供す ることを目的とする。

【０００７】 本考案は、上記課題を解決するため、天井走行搬送車の本体に昇降自在に設け たハンガーに垂直方向に複数のペッグを並設してなる天井走行搬送車において、 各ペッグを支持するハンガーフレームを別体として相互に垂直方向に摺動可能に 支持し、下方のハンガーフレームをペッグと共に上方に順次移動する駆動装置を 設けたものであり、それにより天井走行搬送車で支持するパッケージの間隔を、 その搬送時には小さくして下方のパッケージを上方に移動し、パッケージを支持 するハンガーの重心を高くすることにより、搬送速度を上昇させることができる ようにしたものである。

【０００８】

【作用】

本考案は、上記のように構成したので、天井走行搬送車でパッケージを搬送す る際には、ハンガーのペッグにパッケージを挿着した後、駆動装置を作動して各 々ペッグを設けたハンガーフレームを上昇させ、ペッグの間隔を小さくし、ハン ガー全体の重心を上昇させる。天井走行搬送車の走行時には、ハンガー全体の重 心が上昇しているので、搬送車の加減速あるいはカーブ時のハンガーの揺れは減 少する。クリールスタンドの上方にパッケージを搬送後、ハンガーを降下し、ハ ンガーフレームを相互に伸長した後、クリールスタンドのペッグにパッケージを 移載する。その後、ハンガーを上昇させ、再び天井走行搬送車を走行させる。

【０００９】

【実施例】

本考案の実施例を図面に沿って説明する。図１は、本考案による天井走行搬送 車１において、パッケージ２を搬送している状態を示し、天井走行搬送車１の本 体３の上部に設けたアーム４は、天井５に設けたレール６に支持され、車輪７の 走行によりパッケージ２を支持しつつ搬送する。

【００１０】 本体３の下部には、４本のスチールワイヤ８で吊り下げられたハンガー１０を 有し、本体３内部に設けた巻取り装置によりスチールワイヤ８の巻取り及び送り 出しを行ない、ハンガー１０の昇降を行なう。

【００１１】 ハンガー１０は、ハンガープレート１１とその下面に設けたハンガーフレーム １２からなり、ハンガーフレーム１２は、上方から順に第１ハンガーフレーム１ ３、第２ハンガーフレーム１４、第３ハンガーフレーム１５を各々別体に、かつ 互いに垂直方向に摺動自在に設けている。

【００１２】 図２には、各ハンガーフレームが最も伸びた状態を示し、第１ハンガーフレー ム１３の下端に設けたガイド１６には第２ハンガーフレーム１４が嵌合し、第２ ハンガーフレーム１４の上端部に設けたフランジ１７がガイド１６の上端に載置 され、それにより第２ハンガーフレーム１４は第１ハンガーフレーム１３に支持 されている。

【００１３】 同様に第２ハンガーフレーム１４には第３ハンガーフレーム１５が嵌合し、第 ３ハンガーフレーム１５の上端に設けたフランジ１８がフランジ１７の上面に載 置され、それにより第３ハンガーフレーム１５は第１ハンガーフレーム１３に支 持されている。各ハンガーフレームにはペッグ２０，２１，２２を備え、各ペッ グにはパッケージ２３，２４，２５が各々挿着される。

【００１４】 第３ハンガーフレーム１５の上端にはスチールベルト２６の端部が固定され、 このスチールベルト２６は上方に延びて第１ハンガーフレーム１３の支持部２７ に回転自在に設けたガイドローラ２８にガイドされて側方に延び、第１ハンガー フレーム１３の側部において、ハンガープレート１１下面に設けた巻取駆動装置 ３０の巻取りドラム３１に他端が固定され、モータ３２の駆動時にはドラム３１ を回転してスチールベルト２６の巻取りを可能とし、またモータ３２への通電停 止時にはハンガー１０の自重により各ハンガーフレームが降下する際、ドラム３ １からスチールベルト２６が解放される。

【００１５】 第１ハンガーフレーム１３の支持部２７の背面には、逆Ｌ型のフランジ２９を 固定しており、パッケージをクリールスタンドのペッグに挿着する位置において その所定位置に設けたＬ型のストッパ３９にハンガー１０の下降により当接する と、ハンガーの降下の位置決めが行われ、この状態でドラム３１がフリーになる と各ハンガーは自重で降下し、図２に示す状態となる。

【００１６】 第３ハンガーフレーム１５の側部にはストッパ３３が設けられ、このストッパ ３３の上面と第２ハンガーフレーム１４の下端３４との距離を後述する長さｌ₁ に設定する。また第３ハンガーフレーム１５の上端のフランジ１８の上面と、第 １ハンガーフレーム１３の支持部の下端面３５との距離を上記長さｌ₁ の２倍に 相当するｌ₂ に設定する。

【００１７】 上記装置において、ハンガー１０のペッグにパッケージを挿着する際には、上 述のように、各ハンガーフレームは図２に示される如く延びており、各ペッグの 間隔Ｌ₁ は４７０ｍｍの設定値に保持されている。この状態で各ペッグ２０，２ １，２２には各々パッケージ２３，２４，２５が挿着される。

【００１８】 これらのパッケージの搬送に際しては、モータ３２を駆動してドラム３１にス チールベルト２６を巻取ると、第３ハンガーフレーム１５は上昇し、ストッパ３ ３が第２ハンガーフレーム１４の下端３４に当接し、第３ハンガーフレーム１５ の上昇と共に第２ハンガーフレーム１４も上昇する。更に第３ハンガーフレーム １５が上昇して上端のフランジ１８が第１ハンガーフレーム１３の支持部２７の 下端面に当接した時、モータ３２の回転を止め、ドラム３１をその位置に保持す る。次いでハンガー１０を上昇させ、本体３の下面に位置させ、天井走行搬送車 １を走行させる。この時、各ペッグの距離は図１に示すようにＬ₁ （４７０ｍｍ ）より短いＬ₂ （３５０ｍｍ）となっており、このような設定によって前記ｌ₁ はＬ₁ −Ｌ₂ の１２０ｍｍに設定し、またｌ₂ はｌ₁ の２倍の２４０ｍｍに設定 すると良い。

【００１９】 天井走行搬送車１の走行によりクリールスタンドの上部に達すると、走行は停 止し、ハンガー１０を降下させ、クリールスタンドにおけるパッケージを挿着す るペッグの最上部の位置のペッグ前面に、第１ハンガーフレーム１３のペッグ２ ０の中心が位置する時に、第１ハンガープレート１３背面のフランジ２９が所定 位置に固定されたストッパ３９に当接し、ハンガーの降下は停止され、本体３側 におけるハンガーの降下作動も停止させる。

【００２０】 次いで、モータ３２によるドラム３１の保持を止めると、ハンガーの自動によ り各ハンガーフレームは降下して、ドラム３１はスチールベルト２６を送り出す 方向に回転する。スチールベルト２６の端部の降下によって、第３ハンガーフレ ームはそのストッパ３３で第２ハンガーフレーム１４を支持しつつ一体的に降下 する。第２ハンガーフレーム１４の上端のフランジ１７が、第１ハンガーフレー ム１３のガイド１６の上端に当接すると、第２ハンガーフレーム１４の降下は停 止し、第３ハンガーフレーム１５のみ降下する。第３ハンガーフレーム１５の上 端部のフランジ１８が第２ハンガーフレーム１４のフランジ１７に当接すると、 第３ハンガーフレーム１５の降下も停止し、この時の各ペッグ２０，２１，２２ の間隔Ｌ₁ は、クリールスタンドのペッグの間隔と同じ４７０ｍｍとなり、各ペ ッグは相互に相対する位置となる。

【００２１】 次いで、パッケージ移載装置を作動してハンガー１０のペッグからクリールス タンドのペッグにパッケージを移載する。その後ハンガー１０を上昇させ、天井 走行搬送車を走行させ、循環路により元のパッケージ挿着ステーションに戻す。 なお、この時も前記の作動により、各ハンガーフレームを上方に移動させても良 い。

【００２２】 本考案の他の実施例を図３に示す。この装置においては、第２ハンガーフレー ム１４のフランジ１７を第１ハンガーフレーム１３の受け部４０に懸架し、第２ ハンガーフレーム１４の中間位置にストッパ４１、第２ハンガーフレーム１４の 下部にリテーナ４２を固定し、第３ハンガーフレーム１５に固定したリテーナ４ ３上にスプリング４４を伸びた状態で載置する。この時のペッグ間の距離はＬ₅ で最もピッチが大である。

【００２３】 ストッパ４１の上端と第１ハンガーフレーム１３の下端間の間隔Ｌ₃ 及びスプ リング４４の上端と第２ハンガーフレーム１４の下端間の間隔Ｌ₄ は必要に応じ て任意に設定されるように選択する。

【００２４】 上記装置において、図示状態でパッケージ２をクリールスタンドのペッグに移 載した後、モータ３２を駆動してドラム３１にスチールベルト２６を巻き上げ第 ３ハンガーフレーム１５をＬ₄ だけ上昇させると、スプリング４４の上端が第２ ハンガーフレーム１４の下端に当接する。更に、第３ハンガーフレーム１５はス プリング４４を介し、第２ハンガーフレーム１４とともに上昇し、ペッグ間の距 離が等しくなる位置でモータが停止する。この時のペッグ間の距離はＬ₆ でピッ チは中間位置である。

【００２５】 第２ハンガーフレーム１４が更に上昇し、ストッパ４１の上端が第１ハンガー フレーム１３のガイド１６の下端に当接し、この位置でモータ３２の駆動を停止 する。この時のペッグ間の距離はＬ₇ でピッチは最短になる。

【００２６】 このように、各ペッグの間隔Ｌ₅ ，Ｌ₆ ，Ｌ₇ を設定することにより、前述の ように各パッケージの間隔を３段階に設定することができ、外部からの規制部材 なしで異なるピッチの２ヵ所の作業位置に対応し、更に走行時に安定した走行が できる。

【００２７】

【考案の効果】 本考案は、上記のように構成し作用するので、パッケージの搬送時には下方の パッケージが上方に移動しており、ハンガー全体の重心が上方にあるので、天井 走行搬送車の発進、停止等の加減速時、あるいはカーブ等で遠心力が作用する時 にもハンガーの揺れが少なくなり、走行が安定し、パッケージの落下の揺れが少 なくなり、走行が安定し、パッケージの落下の恐れもなくなる。そのため天井走 行搬送車の走行速度を上昇させることが可能となりパッケージの搬送効率が向上 する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す側面図である。

【図２】同斜視図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す一部断面側面図であ
る。

【符号の説明】

１ 天井走行搬送車 ３ 本体 ４ アーム ５ 天井 ６ レール ７ 車輪 ８ スチールワイヤ １０ ハンガー １１ ハンガープレート １２ ハンガーフレーム １３ 第１ハンガーフレーム １４ 第２ハンガーフレーム １５ 第３ハンガーフレーム １６ ガイド １７ フランジ １８ フランジ ２０ ペッグ ２３ パッケージ ２６ スチールベルト ２７ 支持部 ２８ ガイドローラ ２９ フランジ ３０ 巻取駆動装置 ３１ ドラム ３２ モータ ３３ ストッパ ４０ 受け部 ４１ スプリング ４２ リテーナ ４３ リテーナ ４４ スプリング

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【手続補正書】

【提出日】平成４年１１月２４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】考案の名称

【補正方法】変更

【補正内容】

【考案の名称】 天井走行搬送車

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】天井走行搬送車の本体に昇降自在に設けた
   ハンガーに垂直方向に複数のペッグを並設してなる天井
   走行搬送車において、各ペッグを支持するハンガーフレ
   ームを別体として相互に垂直方向に摺動可能に支持し、
   下方のハンガーフレームをペッグと共に上方に順次移動
   する駆動装置を設けたことを特徴とする天井走行搬送
   車。