JPH0633843A - 休筒機構付きエンジンの車載構造 - Google Patents

休筒機構付きエンジンの車載構造

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JPH0633843A
JPH0633843A JP4189713A JP18971392A JPH0633843A JP H0633843 A JPH0633843 A JP H0633843A JP 4189713 A JP4189713 A JP 4189713A JP 18971392 A JP18971392 A JP 18971392A JP H0633843 A JPH0633843 A JP H0633843A
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真一 村田
Michiyasu Yoshida
道保 吉田
Hideki Miyamoto
秀樹 宮本
Noriyuki Miyamura
紀行 宮村
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/16Engines characterised by number of cylinders, e.g. single-cylinder engines
    • F02B75/18Multi-cylinder engines
    • F02B75/22Multi-cylinder engines with cylinders in V, fan, or star arrangement

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、車両に横置きされるV型エンジン
の搭載構造に関し、特に、休筒機構付きエンジンの車載
構造に関し、V型エンジンの休筒機構をそなえた気筒の
シリンダブロック部分の整備性を損なうことなく、十分
な吸気管長さを確保できるようにすることを目的とす
る。 【構成】 車両に横置きされるV型エンジン8とV型エ
ンジン8に付設された吸気系37とをそなえ、エンジン
8の一方のバンク8Aの気筒のみに休筒機構が設けられ
て、吸気系37の吸気通路長さを所要量確保すべく吸気
系37の一部を休筒機構をそなえない他方のバンク8B
の上部にオーバハングするように配設して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に横置きされるV
型エンジンの車両への搭載構造に関し、特に、休筒機構
付きエンジンの車載構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等に用いられるOHC(オ
ーバーヘッドカムシャフト)式多気筒エンジンにおい
て、高出力と低燃費とを実現できるようにした、休筒機
構付きエンジンが提案されている。これは、エンジンの
吸排気弁を開閉する動弁系を操作して、エンジンの運転
状態により、一部の気筒の吸排気弁の動作を休止させる
ことができるようにしたものである。
【0003】一方、V型エンジンでは、十分な吸気管長
さを確保するすることが困難であり、このために吸気圧
を加圧するためのサージタンクがV型エンジンのバンク
間に設置できない場合がある。このため、通常のV型エ
ンジンでは、十分な吸気管の長さを確保すべく各シリン
ダブロックの上部にサージタンクを設けている。そし
て、このサージタンクから各気筒の吸気ポートへ吸気管
が配設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
休筒機構付きのV型エンジンでは、休筒機構をそなえた
気筒のシリンダブロックのほうが、休筒機構をそなえて
いない気筒のシリンダブロックよりも構造が複雑にな
り、整備する頻度も高くなることが考えられる。しか
し、上述のようにサージタンクがV型エンジンのシリン
ダブロックの上部に設けられていると、上述した休筒機
構をそなえた気筒のシリンダブロック部分の整備性が損
なわれてしまうという課題がある。
【0005】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、V型エンジンの休筒機構をそなえた気筒のシ
リンダブロック部分の整備性を損なうことなく、十分な
吸気管長さを確保できるようにした、休筒機構付きエン
ジンの車載構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の休筒
機構付きエンジンの車載構造は、車両に横置きされるV
型エンジンと、該V型エンジンに付設された吸気系とを
そなえ、該V型エンジンの一方のバンクの気筒のみに休
筒機構が設けられて、該吸気系の吸気通路長さを所要量
確保すべく該吸気系の一部が該V型エンジンのバンクの
うちの休筒機構をそなえない他方のバンクの上部にオー
バハングするように配設されていることを特徴としてい
る(請求項1)。
【0007】また、好ましくは、車両に横置きされるV
型エンジンと、該V型エンジンに付設された吸気系とを
そなえ、該V型エンジンの一方のバンクの気筒に休筒機
構付きの可変バルブタイミング式動弁系が設けられると
ともに、該V型エンジンの他方のバンクの気筒に休筒機
構なしの可変バルブタイミング式動弁系が設けられて、
該吸気系の吸気通路長さを所要量確保すべく該吸気系の
一部が該V型エンジンのバンクのうちの休筒機構をそな
えない他方のバンクの上部にオーバハングするように配
設されていることを特徴としている(請求項2)。
【0008】
【作用】上述の本発明の休筒機構付きエンジンの車載構
造では、V型エンジンのバンクのうち一方のバンクの気
筒のみに休筒機構が設けられ、休筒機構をそなえないバ
ンクの上部に吸気系の一部がオーバハングするように配
設されているので、吸気系の吸気通路長さが所要量確保
されながら、休筒機構をそなえたバンクの各気筒上に整
備用のための空間が確保される(請求項1,2)。
【0009】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の休筒機構付きエンジンの車載構造について説明する
と、図1はその構成を示す模式図であってエンジンの設
置状態を車両横方向からみた模式図、図2はその動弁機
構を示す模式図であって(A)は図1におけるM矢視
図,(B)は図1におけるN矢視図、図3はその構成を
示す模式的な断面図であって図2におけるP−P断面
図、図4はその動弁機構における模式的な油圧回路図、
図5はその動弁機構における作動油圧の特性を示す図、
図6はその動弁機構における模式的な油圧回路図であっ
て(A)は図2(A)に示す動弁機構における模式的な
油圧回路図,(B)は図2(B)に示す動弁機構におけ
る模式的な油圧回路図である。
【0010】また、図7〜図14は休筒機構をそなえて
いない可変バルブタイミング機構付き動弁系構造を示す
もので、図7はその要部構成を示す図であってカム部分
をロッカアームから離隔させて示す斜視図、図8はその
要部構成を示す断面図(図7のA−A矢視断面図)、図
9はそのエンジンへの装着状態を示す断面図(図8のB
−B矢視断面図)、図10はそのロッカアームの上面図
(図7のC矢視図)、図11はそのロッカアームの側面
図(図7のD矢視図)、図12はそのロッカアームの断
面図(図10のE−E矢視断面図)、図13はそのロッ
カアームの分解斜視図、図14はその動作を示す断面図
(図8に対応する断面図)である。
【0011】また、図15〜図22は休筒機構をそなえ
た可変バルブタイミング機構付き動弁系構造を示すもの
で、図15はその要部構成を示す図であってカム部分を
ロッカアームから離隔させて示す斜視図、図16はその
要部構成を示す断面図(図15のG−G矢視断面図)、
図17はそのエンジンへの装着状態を示す断面図(図1
6のH−H矢視断面図)、図18はそのエンジンへの装
着状態を示す他の断面図(図16のI−I矢視断面
図)、図19はそのロッカアームの上面図(図15のJ
矢視図)、図20はそのロッカアームの側面図(図15
のK矢視図)、図21はそのロッカアームの断面図、
(図19のL−L矢視断面図)、図22はその動作を示
す断面図(図16に対応する断面図)である。
【0012】また、図23はそのカムの特性を示すカム
プロフィル曲線図、図24はその慣性特性及びロストモ
ーションスプリング力特性を示す図である。まず図1,
図2に示すように、車両に横置きされたV型エンジン8
の各気筒には、吸気弁又は排気弁を駆動するための動弁
機構が設けられており、V型エンジンの各バンク(気筒
列)8A,8B毎にそれぞれ異なるタイプの動弁機構が
配設されている。
【0013】つまり、このV型エンジン8の車両の前方
側のバンク(図2(A)に示すとともに、図1中左側に
示すバンク)8Aの各気筒には、動弁機構9として、後
述する休筒機構付き可変バルブタイミング機構がそれぞ
れ設けられており、また、車両の後方側のバンク(図2
(B)に示すとともに、図1中右側に示すバンク)8B
の各気筒には、動弁機構10として、やはり後述する休
筒機構なしの可変バルブタイミング機構がそれぞれ設け
られている。
【0014】また、このエンジン8の吸気系37につい
て説明すると、図1に示すように、エンジン8の吸気
は、各気筒とも両バンク間の谷間側から行なわれるよう
になっており、吸気はサージタンク37Aから吸気管3
7Bを通じて各気筒内へ取り入れられるようになってい
る。そして、図1に示すように、サージタンク37A
は、車両後方側のバンク8Bの上方に設けられており、
各バンク8A,8Bの吸気ポート37Cに接続された吸
気管37Bは、エンジン8の上方で車両後方側へ屈曲し
てサージタンク37Aに接続されている。
【0015】したがって、サージタンク37A及び吸気
管37Bを含む吸気系37がエンジン8の上部にオーバ
ハングして配設されており、休筒機構なしの可変バルブ
タイミング機構が設けられた車両後方側のバンク8Bの
シリンダヘッド1の上部にサージタンク37Aが配設さ
れている。また、図1,図3に示すように、このV型エ
ンジン8の動弁機構9,10は、ロッカカバー9A,1
0Aを各シリンダヘッド1から取り外すことにより、点
検,整備ができるようになっている。
【0016】ここで、休筒機構をそなえない可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造10について説明する
と、この動弁系10には、図7に示すように、吸気弁又
は排気弁(以後、単に弁という)が2つ対になってそな
えられており、これらの弁2,3を開閉駆動すべく、動
弁系10が構成される。この動弁系10は、エンジン8
のクランクシャフトの回転に対応して回動するカム1
2,13と、これらのカム12,13によって駆動され
るロッカアーム14,15とをそなえている。
【0017】カム12,13は、いずれもエンジン8の
クランクシャフトの回転に連動して回転するカムシャフ
ト11に設けられており、このうちカム12は、低速時
バルブタイミング用のカムプロフィルをそなえた低速用
カムであり、カム13は、高速時バルブタイミング用の
カムプロフィルをそなえた高速用カムである。なお、低
速用カム12及び高速用カム13のカムプロフィルは、
図23に示すようになっており、高速用カム13のカム
プロフィルが、低速用カム12のカムプロフィルを包含
するように設定されている。
【0018】ロッカアーム14,15は、いずれもロー
ラ付きロッカアームであり、ロッカアーム14は、弁
2,3に当接してこの弁2,3の開閉駆動に直接係わる
メインロッカアームであり、ロッカアーム15は、弁
2,3には当接せずにこの弁2,3の開閉駆動に間接的
に係わるサブロッカアームである。メインロッカアーム
14は、図8に示すように、ロッカシャフト16を一体
に設けられている。また、このロッカシャフト16は、
図3に示すように、シリンダヘッド1の上部に設けられ
たカムホルダ23とこのカムホルダ23を覆うように設
けられたカムキャップ25との間に、カムシャフト11
の軸心と平行に配設されている。そして、このロッカシ
ャフト16は、エンジン8のシリンダヘッド1等に設け
られた軸受部1Aに枢支されており、メインロッカアー
ム14は、ロッカシャフト16を中心に旋回できるよう
になっている。
【0019】このメインロッカアーム14には、その揺
動端部14Aに、スクリュー装着部14B,14Cが設
けられており、この装着部14B,14Cに、弁2,3
のステム端部に当接するアジャストスクリュー21,2
2が螺合装着される。メインロッカアーム14の中間部
には、図7,図8,図10,図12に示すように、低速
用カム12に当接しうる低速用ローラ18がそなえられ
ている。この低速ローラ18は、メインロッカアーム1
4の中間部に軸支された軸18Aにローラベアリング1
8Bを介して滑らかに回動しうるように枢支されてい
る。
【0020】一方、サブロッカアーム15は、図8に示
すように、その筒状基部15Bにおいて、ロッカシャフ
ト16(つまり、メインロッカアーム14)に対して回
転できるように軸支されており、その揺動端部15A
に、高速用カム13に当接しうる高速用ローラ19をそ
なえている。この高速ローラ19も、図7〜図11及び
図13に示すように、サブロッカアーム15の揺動端部
15Aに軸支された軸19Aにローラベアリング19B
を介して滑らかに回動しうるように枢支されている。
【0021】このサブロッカアーム15とロッカシャフ
ト16との間には、サブロッカアーム15がロッカシャ
フト16に対して回転自在であってメインロッカアーム
14と連係動作しないモード(非連係モード)と、サブ
ロッカアーム15がロッカシャフト16と一体回転して
メインロッカアーム14と連係動作するモード(連係モ
ード)とを切り換えうるモード切換手段として、油圧ピ
ストン機構17が設けられている。
【0022】このモード切換手段としての油圧ピストン
機構17は、図8,図9に示すように、ロッカシャフト
16に形成されたピストン室内に、ロッカシャフト16
の直径方向に可動に配設されたピストン17Aをそなえ
ている。このピストン17Aの一端(図8,図9中の下
方側端部であり、以下、この端部を基端部という)側の
軸心部には凹面17Fが形成されており、この凹面17
Fとサブロッカアーム15の筒状基部15Bの内周面と
の間に、油圧室17Gが形成されている。
【0023】さらに、ピストン17Aの基端部の外周に
は、鍔状部17Hが形成され、ピストン室の内壁には段
部17Iが設けられており、これらの鍔状部17Hと段
部17Iとの間に、スプリング17Bが圧縮状態で介装
されている。したがって、このピストン17Aは、スプ
リング17Bにより基端部側へ付勢されている。また、
サブロッカアーム15の筒状基部15Bの所要の位置に
は、このピストン17Aの他端(図8,図9中の上方側
端部であり、以下、この端部を先端部という)が進入し
うる穴17Cが形成されている。
【0024】そして、上記の油圧室17Gへは、ロッカ
シャフト16の軸心部分に形成された油路16Aから作
動油が導かれるようになっており、油圧室17Gへ作動
油が供給されると、図14に示すように、スプリング1
7Bの付勢力に抗してピストン17Aが先端部側へ駆動
されて、ピストン17Aの先端部が穴17Cに嵌入する
ようになっている。一方、油圧室17Gへの作動油供給
が絶たれると、図8に示すように、スプリング17Bの
付勢力によりピストン17Aが基端部側へ駆動されて、
ピストン17Aの先端部が穴17Cから離脱するように
なっている。
【0025】つまり、油圧室17Gへ作動油が供給され
ると、ピストン17Aの先端部の穴17Cへの嵌入によ
り、サブロッカアーム15がロッカシャフト16と一体
回転してメインロッカアーム14と連係動作するモード
(連係モード)となり、油圧室17Gへの作動油供給が
絶たれると、ピストン17Aの先端部の穴17Cからの
離脱により、サブロッカアーム15がロッカシャフト1
6に対して回転自在であってメインロッカアーム14と
連係動作しないモード(非連係モード)となるように設
定されている。
【0026】なお、凹面17F内の奥部には、チェック
ボール17Jがそなえられており、油圧室17G内の油
圧が保持されるようになっている。また、ロッカシャフ
ト16及びサブロッカアーム15の筒状基部15Bに
は、油圧室17Gへの作動油の一部を外部に漏出させて
作動油圧を所定範囲内に調整しうる油孔17Dが設けら
れている。
【0027】また、上述の油圧室17Gへの作動油の供
給は、作動油供給系を通じて行なわれるようになってい
る。この作動油供給系は、エンジン8等によって駆動さ
れる油圧ポンプとしてのエンジンポンプ(図示省略)
と、このエンジンポンプで加圧された作動油を所要の油
圧に調整する調圧手段(図示省略)と、図6(B)に示
す切換弁(コントロールバルブ)31とをそなえてい
る。この切換弁31は、調圧手段で調圧された作動油を
上記の油路16Aを通じて油圧室17Gへ供給する供給
状態と供給しない供給停止状態とを切り換えうる切換弁
である。そして、この例では、切換弁31をソレノイド
バルブで構成して、後述するコントローラ34によっ
て、この切換弁31を電子制御できるように構成してい
る。これにより、エンジン回転数等に応じて切換弁31
を制御しながら、上述のサブロッカアーム15の連係モ
ードと非連係モードとを適切に切り換えることができ
る。
【0028】ところで、図9に示すように、弁3のバル
ブステム6上端にはスプリングリテーナ5が設けられ、
シリンダヘッド1側にはスプリングリテーナ7が設けら
れており、これらのスプリングリテーナ5,7の間に、
バルブスプリング4が介装されている。これにより、弁
3は閉鎖方向つまりバルブステム6の上端側へ付勢され
ている。したがって、メインロッカアーム14も、この
バルブスプリング4を通じてカム12側へ付勢されてお
り、バルブスプリング4の付勢力がメインロッカアーム
14の揺動時の復帰力として作用するようになってい
る。
【0029】これに対して、サブロッカアーム15は、
連係モード時にはメインロッカアーム14と一体化して
バルブスプリング4の付勢力を受けるが、非連係モード
時には、これを受けないので、カム13側へ付勢する手
段を設けて、サブロッカアーム15を、カム13に追従
できるようにする必要がある。そこで、サブロッカアー
ム15には、ロストモーション機構20が設けられてい
る。
【0030】このロストモーション機構20は、図9に
示すように、シリンダヘッド1等に設けられたロストモ
ーションホルダ1Bと、このロストモーションホルダ1
Bに固定されたアウタケース20Aと、このアウタケー
ス20A内に進退自在で且つアウタケース20Aから離
脱しないように設けられたインナケース20Bと、これ
らのアウタケース20Aとインナケース20Bとの間に
介装されたスプリング20Cと、インナケース20Bの
端部に形成された当接部20Dとからなっている。そし
て、この当接部20Dに、サブロッカアーム15に設け
られたレバー部15Cが当接しており、ロストモーショ
ン機構20のスプリング20Cの付勢力によって、サブ
ロッカアーム15がカム13側に押し付けられて、カム
13に応じて所定の動きを行なうようになっている。
【0031】なお、ロストモーションスプリング20C
のバネ力は、サブロッカアーム15にはたらく慣性力に
対抗できるように設定されている。つまり、サブロッカ
アーム15にはたらく慣性力が図24に曲線a2で示す
ようであれば、ロストモーションスプリング20Cのバ
ネ力はこれに対応して、例えば図24に曲線b2で示す
ように比較的小さいものに設定できる。
【0032】そして、この動弁系10では、低速用ロー
ラ18が高速用ローラ19よりも軽量な材料で形成され
ている。つまり、高速用ローラ19が一般的な鉄系の金
属材料等で形成されるのに対して、低速用ローラ18
は、セラミック等の軽量で且つ所要の耐磨耗性を有する
材料で形成されている。ところで、メインロッカアーム
14の弁2,3とのバルブクリアランス(つまり、非連
係モード時に、メインロッカアーム14が低速カム12
を通じて駆動される際のメインロッカアーム14の弁
2,3とのバルブクリアランス)は、アジャストスクリ
ュー21,22によって調整できる。しかし、連係モー
ド時に、メインロッカアーム14がサブロッカアーム1
5と一体に運動する際のバルブクリアランスは、非連係
モード時のものとは異なるので、何らかの手段で連係モ
ード時(即ち、高速時)のバルブクリアランスを調整で
きるようにしたい。なお、ここで考えているバルブクリ
アランスの調整とは、主として組み付け時の初期調整の
ことである。
【0033】そこで、この動弁系構造では、高速用ロー
ラ19として外径の異なるものを複数種容易しておき、
連係モード時にメインロッカアーム14のバルブクリア
ランスが適切になるように、適切な外径のものを選択し
て、図9に示すように、サブロッカアーム15に高速用
ローラ19を組み付けるようにしている。次に、休筒機
構をそなえた可変バルブタイミング機構付き動弁系構造
9について説明すると、この動弁系9の例にも、図15
に示すように、吸気弁又は排気弁が2つ対になってそな
えられており、これらの弁2,3を開閉駆動すべく、動
弁系9が構成される。
【0034】この動弁系9は、前述の動弁系10に、休
筒機能を加えたものであり、エンジン8のクランクシャ
フトの回転に対応して回動するカム12,13と、これ
らのカム12,13によって駆動されるロッカアーム2
6,15とをそなえているが、これらのロッカアーム2
6,15は共に弁2,3には当接しないでこの弁2,3
の開閉駆動に間接的に係わるサブロッカアームである。
そして、これらのサブロッカアーム26,15の他に、
弁2,3のステム端部に当接し弁2,3の開閉駆動に直
接係わるメインロッカアーム24が設けられている。
【0035】カム12,13は、前述の動弁系と同様
に、いずれもエンジン8のクランクシャフトの回転に連
動して回転するカムシャフト11に設けられており、こ
のうちカム12は、低速時バルブタイミング用のカムプ
ロフィルをそなえた低速用カムであり、カム13は、高
速時バルブタイミング用のカムプロフィルをそなえた高
速用カムである。
【0036】メインロッカアーム24は、図16,図2
1に示すように、ロッカシャフト16を一体に設けられ
ている。また、このロッカシャフト16は、図3に示す
ように、シリンダヘッド1の上部に設けられたカムホル
ダ23とこのカムホルダ23を覆うように設けられたカ
ムキャップ25との間に、カムシャフト11の軸心と平
行に配設されている。そして、このロッカシャフト16
は、エンジン8のシリンダヘッド1等に設けられた軸受
部1Aに枢支されており、メインロッカアーム24は、
ロッカシャフト16を中心に旋回できるようになってい
る。
【0037】このメインロッカアーム24には、その揺
動端部24Aに、スクリュー装着部24B,24Cが設
けられており、この装着部24B,24Cに、弁2,3
のステム端部に当接するアジャストスクリュー21,2
2が螺合装着される。サブロッカアーム26,15は、
いずれもローラ付きロッカアームであり、サブロッカア
ーム26は、図16に示すように、その筒状基部26B
において、ロッカシャフト16(つまり、メインロッカ
アーム24)に対して回転できるように軸支されてお
り、その揺動端部26Aに、図15,図16,図18,
図19に示すように、低速用カム12に当接しうる低速
用ローラ18がそなえられている。この低速ローラ18
は、揺動端部26Aに軸支された軸18Aにローラベア
リング18Bを介して滑らかに回動しうるように枢支さ
れている。
【0038】一方、サブロッカアーム15は、前述のも
のとほぼ同様に構成されており、図16に示すように、
その筒状基部15Bにおいて、ロッカシャフト16(つ
まり、メインロッカアーム24)に対して回転できるよ
うに軸支されており、その揺動端部15Aに、高速用カ
ム13に当接しうる高速用ローラ19をそなえている。
この高速ローラ19も、図15〜図17及び図19,図
20に示すように、サブロッカアーム15の揺動端部1
5Aに軸支された軸19Aにローラベアリング19Bを
介して滑らかに回動しうるように枢支されている。
【0039】これらのサブロッカアーム26,15とロ
ッカシャフト16との間には、サブロッカアーム26,
15がロッカシャフト16に対して回転自在であってメ
インロッカアーム24と連係動作しないモード(非連係
モード)と、サブロッカアーム26,15がロッカシャ
フト16と一体回転してメインロッカアーム24と連係
動作するモード(連係モード)とを切り換えうるモード
切換手段として、油圧ピストン機構27,17が設けら
れている。
【0040】このうちサブロッカアーム15についてそ
なえられる油圧ピストン機構17は、前述のものとほぼ
同様に構成される。つまり、図16,図17に示すよう
に、ロッカシャフト16に形成されたピストン室内に、
ロッカシャフト16の直径方向に可動に配設されたピス
トン17Aをそなえている。このピストン17Aの一端
(図16,図17中の下方側端部であり、以下、この端
部を基端部という)側の軸心部には凹面17Fが形成さ
れており、この凹面17Fとサブロッカアーム15の筒
状基部15Bの内周面との間に、油圧室17Gが形成さ
れている。
【0041】さらに、ピストン17Aの基端部の外周に
は、鍔状部17Hが形成され、ピストン室の内壁には段
部17Iが設けられており、これらの鍔状部17Hと段
部17Iとの間に、スプリング17Bが圧縮状態で介装
されている。したがって、このピストン17Aは、スプ
リング17Bにより基端部側へ付勢されている。また、
サブロッカアーム15の筒状基部15Bの所要の位置に
は、このピストン17Aの他端(図16,図17中の上
方側端部であり、以下、この端部を先端部という)が進
入しうる穴17Cが形成されている。
【0042】そして、上記の油圧室17Gへは、ロッカ
シャフト16の軸心部分に形成された油路16Aから作
動油が導かれるようになっており、油圧室17Gへ作動
油が供給されると、図22に示すように、スプリング1
7Bの付勢力に抗してピストン17Aが先端部側へ駆動
され、ピストン17Aの先端部が穴17Cに嵌入し一
方、油圧室17Gへの作動油供給が絶たれると、図16
に示すように、スプリング17Bの付勢力によってピス
トン17Aが基端部側へ駆動され、ピストン17Aの先
端部が穴17Cから脱するようになっている。
【0043】つまり、油圧室17Gへ作動油が供給され
ると、ピストン17Aの先端部の穴17Cへの嵌入によ
り、サブロッカアーム15がロッカシャフト16と一体
回転してメインロッカアーム14と連係動作するモード
(連係モード)となり、油圧室17Gへの作動油供給が
絶たれると、ピストン17Aの先端部の穴17Cからの
離脱により、サブロッカアーム15がロッカシャフト1
6に対して回転自在であってメインロッカアーム24と
連係動作しないモード(非連係モード)となるように設
定されている。
【0044】なお、凹面17F内の奥部には、チェック
ボール17Jがそなえられており、油圧室17G内の油
圧が保持されるようになっている。また、ロッカシャフ
ト16及びサブロッカアーム15の筒状基部15Bに
は、油圧室17Gへの作動油の一部を外部に漏出させて
作動油圧を所定範囲内に調整しうる油孔17Dが設けら
れている。
【0045】また、サブロッカアーム26についてそな
えられる油圧ピストン機構27は、図16,図18に示
すように、ロッカシャフト16に形成されたピストン室
内に、ロッカシャフト16の直径方向に可動に配設され
たピストン27Aをそなえている。このピストン27A
の一端(図16,図18中の下方側端部であり、以下、
この端部を基端部という)側の軸心部には、凹部27F
が形成されており、この凹面27Fとサブロッカアーム
26の筒状基部26Bの内周面との間に、スプリング2
7Bが圧縮状態で介装されている。したがって、このピ
ストン27Aは、スプリング27Bにより他端(図1
6,図18中の上方側端部であり、以下、この端部を先
端部という)側へ付勢されている。
【0046】そして、サブロッカアーム26の筒状基部
26Bの内周面のうち、ピストン27Aの先端部側に
は、穴26Dが形成されており、この穴26Dの内壁と
ピストン27Aの先端部との間に、油圧室27Gが形成
されている。この穴26D内にはピストン27Aの先端
部が進入できるようになっており、また、サブロッカア
ーム15の筒状基部15Bの所要の位置には、このピス
トン27Aの他端(図16,図17中の上方側端部であ
り、以下、この端部を先端部という)が進入しうる穴2
7Cが形成されている。
【0047】そして、上記の油圧室27Gへは、ロッカ
シャフト16の軸心部分に形成された油路16Aから作
動油が導かれるようになっており、油圧室27Gへ作動
油が供給されると、図22に示すように、スプリング2
7Bの付勢力に抗してピストン27Aが基端部側へ駆動
され、ピストン27Aの先端部が穴27Cから離脱し
て、一方、油圧室27Gへの作動油供給が絶たれると、
図16に示すように、スプリング27Bの付勢力によっ
てピストン27Aが先端部側へ駆動され、ピストン27
Aの先端部が穴27Cに嵌入するようになっている。
【0048】つまり、油圧室27Fへ作動油が供給され
ると、ピストン27Aの先端部の穴27Cへの嵌入によ
り、サブロッカアーム26がロッカシャフト16に対し
て回転自在であってメインロッカアーム24と連係動作
しないモード(非連係モード)となり、油圧室27Fへ
の作動油供給が絶たれると、ピストン27Aの先端部の
穴27Cからの離脱により、サブロッカアーム26がロ
ッカシャフト16と一体回転してメインロッカアーム2
4と連係動作するモード(連係モード)となるように設
定されている。
【0049】なお、凹面27F内の奥部にも、チェック
ボール27Jがそなえられており、油圧室27G内の油
圧が保持されるようになっている。また、ロッカシャフ
ト16及びサブロッカアーム26の筒状基部26Bに
は、油圧室27Gへの作動油の一部を外部に漏出させて
作動油圧を所定範囲内に調整しうる油孔27Dが設けら
れている。
【0050】そして、上述の油圧室17G,27Gのう
ち油圧室17Gへの作動油の供給は、休筒機構をそなえ
ない気筒の油圧室17Gとほぼ同様に、作動油供給系を
通じて行なわれるようになっている。なお、この作動油
供給系は、エンジンポンプと、このポンプで加圧された
作動油を所要の油圧に調整する調圧手段と、切換弁(コ
ントロールバルブ)31とをそなえている。この切換弁
31は、調圧手段で調圧された作動油を上記の油路16
Aを通じて油圧室17Gへ供給する供給状態と供給しな
い供給停止状態とを切り換えうる切換弁である。そし
て、この例では、切換弁31をソレノイドバルブで構成
して、後述するコントローラ34によって、この切換弁
31を電子制御できるように構成している。これによ
り、エンジン回転数等に応じて切換弁31を制御しなが
ら、上述のサブロッカアーム15の連係モードと非連係
モードとを適切に切り換えることができる。
【0051】そして、図4,図6(A)に示すように、
油路16Aへは、作動油は切換弁31のみを介して流入
するような油圧経路となっており、一方、油路16Bへ
は、アシスト油圧ポンプ32,調圧手段33,切換弁3
1を経て作動油が供給される。ところが、油圧ピストン
機構27のピストン27Aを駆動するのは、エンジン8
が比較的低速運転時であって、上述のような油圧ポンプ
では出力が低下して所要の油圧が確保できなくなる場合
が考えられる。そこで、この油圧ピストン機構27の油
圧室27Gへの作動油供給系には、エンジン8が低速運
転時であっても、作動油の油圧を確保できるように、図
4,図6(A)に示すような油圧アシスト回路30がそ
なえられている。
【0052】この作動油供給系30は、図示しないエン
ジンポンプ及び調圧手段と切換弁31との間に設けら
れ、オイルポンプカム32Aによって駆動されるアシス
ト油圧ポンプ32と、このアシスト油圧ポンプ32で加
圧された作動油を貯留するアキュムレータ33とをそな
えている。そして、このアキュムレータ33で調圧され
た作動油を上記の油路16Bを通じて油圧室27Gへ供
給しうるようになっている。そして、切換弁31は前述
と同様に作動油を供給状態と供給停止状態とに切り換え
るもので、ソレノイドバルブで構成されており、コント
ローラ34によって電子制御されるようになっている。
【0053】油圧ポンプ32は、油路30Aの途中に形
成されたシリンダ32Fと、このシリンダ32F内で往
復動するピストン32Gとをそなえている。シリンダ3
2F内のうち、油路30Aと連通する部分は、油室32
Dになっており、この油室32Dは、油路30Aに対し
てワンウェイバルブ35A,35Bによって仕切られて
いる。
【0054】これらのワンウェイバルブ35A,35B
は、図示しないエンジンポンプからコントロールバルブ
31の方向へのみ作動油の移動を許容するものである。
即ち、ピストン32Gの往復動に応じて、油室32Dが
拡張すると、ワンウェイバルブ35Aが開通する一方で
ワンウェイバルブ35Bは閉じて、エンジンポンプから
の作動油が油室32D内に進入し蓄えられる。次に、油
室32Dが収縮すると、ワンウェイバルブ35Aが閉じ
る一方でワンウェイバルブ35Bが開通して、油室32
D内の作動油がアキュムレータ33へ送られるようにな
っている。
【0055】ピストン32Gは、一方で、リターンスプ
リング32Eによって油室32Dを収縮する側へ付勢さ
れながら、他方で、駆動用ピストン32Bおよびスプリ
ング32Cによって油室32Dを拡張する側へ規制され
ている。これにより、オイルポンプカム32Aが回転す
ると、駆動用ピストン32Bが往復動して、駆動用ピス
トン32Bおよびスプリング32Cを介して、ピストン
32Gが往復駆動されるようになっている。
【0056】なお、アキュムレータ33には、アキュム
レータ33の内圧を一定限度内に抑える調圧手段として
のリリーフバルブ36が設けられている。したがって、
エンジン8の低速運転時にも作動油の油圧を確保でき、
これにより、エンジン回転数等に応じて切換弁31,3
1を制御しながら、上述のサブロッカアーム15,26
の連係モードと非連係モードとを適切に切り換えること
ができるようになっている。
【0057】なお、図5は、このアシスト油圧ポンプ3
2による油圧上昇をカム32Aの山の数に応じて示すも
のであり、横軸はオイルパン油温、縦軸は休筒機構の作
動に必要な油圧を示している。そして、図示するよう
に、油温の上昇による油の粘度低下からポンプ出力が低
下するので、広い油温域で使用できるように、この例で
はオイルポンプカム32Aとしてカムが2山のタイプを
用いている。
【0058】また、図17に示すように、弁3のバルブ
ステム6の上端には、スプリングリテーナ5が設けら
れ、シリンダヘッド1側には、スプリングリテーナ7が
設けられており、これらのスプリングリテーナ5,7の
間に、バルブスプリング4が介装されている。これによ
り、弁3は閉鎖方向つまり、バルブステム6の上端側へ
付勢されている。したがって、メインロッカアーム14
も、このバルブスプリング4を通じてカム12側へ付勢
されており、バルブスプリング4の付勢力がメインロッ
カアーム14の揺動時の復帰力として作用するようにな
っている。
【0059】また、サブロッカアーム26,15を、カ
ム12,13に追従させるために、前述のものと同様な
ロストモーション機構20が設けられている。特に、こ
こでは、低速用のサブロッカアーム26にも高速用のサ
ブロッカアーム15にも同一のロストモーション機構2
0が設置されている。この点については、後で詳述す
る。
【0060】そして、この動弁系9においても、低速用
ローラ18が高速用ローラ19よりも軽量な材料で形成
されている。つまり、高速用ローラ19が一般的な鉄系
の金属材料等で形成されるのに対して、低速用ローラ1
8は、セラミック等の軽量で且つ所要の耐磨耗性を有す
る材料で形成されている。このような休筒機構をそなえ
た可変バルブタイミング機構付き動弁系9がV型エンジ
ン8の左側バンク8Aの各気筒にそなえられている。
【0061】ところで、低速用のサブロッカアーム26
にも高速用のサブロッカアーム15にも同一のロストモ
ーション機構20を設置するのは、以下の理由による。
前述のように、サブロッカアーム26,15のうち、低
速用のサブロッカアーム26のロストモーション機構2
0は、バルブの駆動モードが高速用駆動モードに切り換
わってからの高速回転域でロストモーション作用を要求
されるが、この低速用のサブロッカアーム26にはたら
く慣性力は、速度に応じて大きくなり、また低速用カム
12の弁開角の狭いカムプロフィルに起因しても大きく
なる。このため、一般的には、ロストモーション機構2
0のロストモーションスプリング20Cのバネ力もこれ
をカバーできるように大きく設定する必要がある。
【0062】つまり、一般的には、低速用サブロッカア
ーム26の慣性力(図24の曲線a1参照)は、高速用
サブロッカアーム15の慣性力(図24の曲線a2参
照)に比べて大きくなり、それぞれに最低限要求される
ロストモーションスプリング力も低速用のもの(図24
の曲線b1参照)は、高速用のもの(図24の曲線b2
参照)よりも大きいものが要求される。
【0063】しかしながら、このサブロッカアーム26
に設けられた低速用ローラ18は、高速用のサブロッカ
アーム15に設けられた高速用ローラ19よりも軽量な
材料で構成されているので、この分だけサブロッカアー
ム26の重量が低減されて、サブロッカアーム26の慣
性力が低減する。つまり、このサブロッカアーム26で
は、低速用ローラ18の軽量分だけ慣性力が低減して、
図24における曲線a3のような慣性力特性になる。
【0064】したがって、低速用のサブロッカアーム2
6に最低限要求されるロストモーションスプリング力
は、図24中に直線b3で示すようになり、従来のもの
(図24の直線b1参照)よりも小さくなって、高速用
のもの(図24の直線b2参照)に近いものになる。こ
のため、この直線b3で示すような特性のロストモーシ
ョンスプリングを高速用のサブロッカアーム15に設定
しても、高速側に加わるロストモーションスプリング力
の過剰分は極めて僅かなものとなる。したがって、低速
用のサブロッカアーム26にも高速用のサブロッカアー
ム15にも同一のロストモーション機構20を設置して
も、大きなロスを招くことはない。
【0065】むしろ、このように両サブロッカアーム1
5,26に同一のロストモーション機構20,20をそ
れぞれ設置することにより、部品の共用化によるコスト
低減や、ロストモーション機構20の誤った組み付け
(誤組み)の回避等の大きな利点を期待できる。本発明
の一実施例としての休筒機構付きエンジンの車載構造
は、上述のように構成されているので、この休筒機構付
きエンジンは、例えば次のように作用する。
【0066】まず、エンジン8の低速運転時には、左側
のバンク8Aでは、動弁系9の休筒機構が作動して、エ
ンジン8が休筒し、一方の右側のバンク8Bでは、動弁
系10が低速用に動作する。つまり、低速運転時に左側
のバンク8Aでは、図16に示す油圧ピストン機構1
7,27のうち、油圧ピストン機構17では油圧室17
Gへの作動油が供給がされず、ピストン17Aが先端部
の穴17Cから離脱している状態となる。これにより、
サブロッカアーム15はロッカシャフト16に対して回
転自在であってメインロッカアーム24と連係動作しな
いモードとなる。また、油圧ピストン機構27では、油
圧室27Fへ作動油が供給され、ピストン27Aが先端
部の穴27Cから離脱する。これにより、サブロッカア
ーム26はロッカシャフト16に対して回転自在であっ
てメインロッカアーム24と連係動作しないモードとな
る。したがって、メインロッカアーム24は駆動されな
くなって、左側のバンク8Aは、バルブ2,3が開閉駆
動されない休筒状態となる。
【0067】また、右側のバンク8Bでは、図8に示す
油圧ピストン機構17に油圧が供給されないので、スプ
リング17Bの付勢力によってピストン17Aが基端部
側へ駆動される。これにより、ピストン17Aの先端部
の穴17Cからの離脱して、サブロッカアーム15はロ
ッカシャフト16に対して回転自在であって、メインロ
ッカアーム14と連係動作しないモードになる。したが
って、右側のバンク8Bは、低速用カム12のカムプロ
フィルによりメインロッカアーム14が動作し、低速用
のバルブタイミングでバルブ2,3が開閉駆動される。
【0068】このように低速運転時には、左側のバンク
8Aでは各気筒が休筒し、右側のバンク8Bでは低速用
のバルブタイミングで運転されるので、燃費が大幅に向
上する。次に、エンジン8の中速運転時について説明す
ると、この時は、左右両方のバンク8A,8Bの動弁系
9,10が低速用のバルブタイミングで動作する。つま
り、中速運転時には、左側のバンク8Aの油圧ピストン
機構17,27のうち、油圧ピストン機構17では低速
運転時同様、油圧室17Gへの作動油が供給がされず、
サブロッカアーム15はロッカシャフト16に対して回
転自在であってメインロッカアーム24と連係動作しな
いモードとなる。一方、油圧ピストン機構27では油圧
室27Fへも作動油が供給されずに、ピストン27Aが
リターンスプリング27Bの付勢力で先端部の穴27C
に嵌入する。これにより、サブロッカアーム26がロッ
カシャフト16と一体となり、メインロッカアーム24
と連係動作するモードとなる。したがって、左側のバン
ク8Aは、低速用カム12のカムプロフィルによりサブ
ロッカアーム26及びメインロッカアーム24とが連係
動作し、低速用のバルブタイミングでバルブ2,3が開
閉駆動される。
【0069】また、右側のバンク8Bでは、低速運転時
同様油圧ピストン機構17に油圧が供給されないので、
低速用カム12のカムプロフィルによりメインロッカア
ーム14が動作し、低速用のバルブタイミングでバルブ
2,3が開閉駆動される。このように中速運転時には、
左右両方のバンク8A,8Bで動弁系9,10が低速用
のバルブタイミングで動作するので、所要の出力と低燃
費とを両立させることができる。
【0070】次に、エンジン8の高速運転時について説
明すると、この時は左右両方のバンク8A,8Bの動弁
系9,10は高速用のバルブタイミングで動作する。つ
まり、左側のバンク8Aの油圧ピストン機構17,27
のうち、油圧ピストン機構17に油圧室17Gへ作動油
が供給され、ピストン17Aが先端部の穴17Cへ嵌入
する。これにより、サブロッカアーム15がロッカシャ
フト16と連結して、メインロッカアーム24と連係動
作するモードとなり、低速用のサブロッカアーム26が
ロッカシャフト16に対して回転自在であってメインロ
ッカアーム24と連係動作しないモード(非連係モー
ド)となる。
【0071】したがって、左側のバンク8Aは、高速用
カム13のカムプロフィルによりサブロッカアーム15
及びメインロッカアーム24とが連係動作し、バルブ
2,3は高速用のバルブタイミングで開閉駆動される。
また、右側のバンク8Bの油圧ピストン機構17におい
ても油圧室17Gへ作動油が供給され、ピストン17A
が先端部の穴17Cへ嵌入する。これにより、サブロッ
カアーム15がロッカシャフト16と連結して、メイン
ロッカアーム14と連係動作するモードとなる。したが
って、右側のバンク8Bについても、高速用カム13の
カムプロフィルによりサブロッカアーム15及びメイン
ロッカアーム14とが連係動作し、バルブ2,3は高速
用のバルブタイミングで開閉駆動される。
【0072】そして、このように高速運転時には、左右
両方のバンク8A,8Bで動弁系9,10が高速用のバ
ルブタイミングで駆動されるので、さらに出力を得るこ
とができる。このように、本実施例におけるV型エンジ
ンでは、エンジン8の運転状態によって各バンク8A,
8Bのバルブタイミングを変更することができるので、
エンジンの運転状態に応じて高出力と低燃費とを両立さ
せることができる。
【0073】また、このようなV型エンジン8では、休
筒機構をそなえたバンク8Aのほうが、休筒機構をそな
えていないバンク8Bよりも構造が複雑になり、整備す
る頻度も高くなることが考えられが、本実施例では、サ
ージタンク37AをV型エンジン8の休筒機構をそなえ
ていないバンク8Bの上部に設けることにより、上述し
た休筒機構をそなえた動弁系9の整備性が保たれる。
【0074】つまり、休筒機構をそなえた動弁系9の上
方には、サージタンク37A等の吸気系部品が配設され
ていないため、ロッカカバー9Aをシリンダヘッド1か
ら取り外すことにより、点検,整備することができ、こ
れにより、休筒機構をそなえた動弁系9の整備性が良好
に保たれる。また、サージタンク37Aは、休筒機構を
そなえていないバンク8Bの上方にオーバハングして設
けられており、各バンク8A,8Bの吸気ポート37C
に接続された吸気管37Bは、エンジン8の上方で車両
後方側へ屈曲してサージタンク37Aに接続されている
ので、吸気管37Bの長さを十分確保することができ
る。
【0075】なお、本実施例では、V型エンジンの各バ
ンクに可変バルブタイミング式動弁系を用いて説明して
いるが、本発明の休筒機構付きエンジンの車載構造は、
このような可変バルブタイミング式動弁系を用いたエン
ジンにのみ適用されるものではなく、一方のバンクが休
筒しうるように設定された休筒機構付きV型エンジンで
あれば、広く適用することができる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の休筒機構
付きエンジンの車載構造によれば、車両に横置きされる
V型エンジンと、該V型エンジンに付設された吸気系と
をそなえ、該V型エンジンの一方のバンクの気筒のみに
休筒機構が設けられて、該吸気系の吸気通路長さを所要
量確保すべく該吸気系の一部が該V型エンジンのバンク
のうちの休筒機構をそなえない他方のバンクの上部にオ
ーバハングするように配設されるという構成により、休
筒機構をそなえた動弁系の整備性が良好に保たれるとい
う利点がある。つまり、吸気系部品が休筒機構をそなえ
た動弁系の上方には配設されないため、例えばロッカカ
バーをシリンダヘッドから取り外す等の作業のみで、動
弁系の点検,整備を行なうことができ、これにより、休
筒機構をそなえた動弁系の整備性を向上させることがで
きる。
【0077】また、各バンクの吸気ポートに接続された
吸気管は、エンジンの上方で休筒機構をそなえないバン
クの上方にオーバハングしているので、十分な吸気管の
長さを確保することができるという利点がある。また、
車両に横置きされるV型エンジンと、該V型エンジンに
付設された吸気系とをそなえ、該V型エンジンの一方の
バンクの気筒に休筒機構付きの可変バルブタイミング式
動弁系が設けられるとともに、該V型エンジンの他方の
バンクの気筒に休筒機構なしの可変バルブタイミング式
動弁系が設けられて、該吸気系の吸気通路長さを所要量
確保すべく該吸気系の一部が該V型エンジンのバンクの
うちの休筒機構をそなえない他方のバンクの上部にオー
バハングするように配設されるという構成により、構造
が複雑になりがちな休筒機構付きの可変バルブタイミン
グ式動弁系の点検,整備を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造の構成を示す模式図であってエンジンの設
置状態を車両横方向からみた模式図である。
【図2】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造の動弁機構を示す模式図であって(A)は
図1におけるM矢視図,(B)は図1におけるN矢視図
である。
【図3】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造の構成を示す模式的な断面図であって、図
2におけるP−P断面図である。
【図4】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造の動弁機構における模式的な油圧回路図で
ある。
【図5】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造の動弁機構における作動油圧の特性を示す
図である。
【図6】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造の動弁機構における模式的な油圧回路図で
あって、(A)は図2(A)に示す動弁機構における模
式的な油圧回路図,(B)は図2(B)に示す動弁機構
における模式的な油圧回路図である。
【図7】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変バ
ルブタイミング機構付き動弁系構造の要部を示す構成図
であって、カム部分をロッカアームから離隔させて示す
斜視図である。
【図8】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変バ
ルブタイミング機構付き動弁系構造の要部を示す断面図
であって、図7におけるA−A矢視断面図である。
【図9】本発明の一実施例としての休筒機構付きエンジ
ンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変バ
ルブタイミング機構付き動弁系構造のエンジンへの装着
状態を示す断面図であって、図8におけるB−B矢視断
面図である。
【図10】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変
バルブタイミング機構付き動弁系構造のロッカアームの
上面図であって、図7におけるC矢視図である。
【図11】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変
バルブタイミング機構付き動弁系構造のロッカアームの
側面図であって、図7におけるD矢視図である。
【図12】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変
バルブタイミング機構付き動弁系構造のロッカアームの
断面図であって、図10におけるE−E矢視断面図であ
る。
【図13】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変
バルブタイミング機構付き動弁系構造のロッカアームの
分解斜視図である。
【図14】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえていない可変
バルブタイミング機構付き動弁系構造の動作を示す断面
図であって、図8に対応する断面図である。
【図15】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造の要部構成図であって、
カム部分をロッカアームから離隔させて示す斜視図であ
る。
【図16】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造の要部断面図であって、
図15におけるG−G矢視断面図である。
【図17】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造のエンジンへの装着状態
を示す断面図であって、図16におけるH−H矢視断面
図である。
【図18】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造のエンジンへの装着状態
を示す他の断面図であって、図16におけるI−I矢視
断面図である。
【図19】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造のロッカアームの上面図
であって、図15におけるJ矢視図である。
【図20】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造のロッカアームの側面図
であって、図15におけるK矢視図である。
【図21】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造のロッカアームの断面図
であって図19におけるL−L矢視断面図である。
【図22】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における休筒機構をそなえた可変バルブ
タイミング機構付き動弁系構造の動作を示す断面図であ
って、図16に対応する断面図である。
【図23】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における可変バルブタイミング機構のカ
ムの特性を示すカムプロフィル曲線図である。
【図24】本発明の一実施例としての休筒機構付きエン
ジンの車載構造における可変バルブタイミング機構の慣
性特性及びロストモーションスプリング力を示す図(ロ
ストモーション圧縮高さに応じた慣性特性及びスプリン
グ力特性を示すグラフ)である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド 1A 軸受部 1B ロストモーションホルダ 2,3 弁 4 バルブスプリング 5,7 スプリングリテーナ 6 バルブステム 8 エンジン本体 8A 左側バンク 8B 右側バンク 9 休筒機構をそなえた可変バルブタイミング機構付き
動弁系 10 休筒機構をそなえない可変バルブタイミング機構
付き動弁系 9A,10A ロッカカバー 11 カムシャフト 12 低速用カム 13 高速用カム 14,24 メインロッカアーム 14A,24A メインロッカアーム揺動端部 14B,14C,24B,24C スクリュー装着部 15,26 サブロッカアーム 15A,26A サブロッカアーム揺動端部 15B,26B サブロッカアーム筒状基部 15C レバー部 16 ロッカシャフト 17,27 油圧ピストン機構 17A,27A ピストン 17B,27B スプリング 17C,27C 穴 17D,27D 油孔 17F,27F 凹面 17G,27G 油圧室 17H 鍔状部 17I 段部 17J,27J チェックボール 18 低速用ローラ 18A,19A 軸 18B,19B ローラベアリング 19 高速用ローラ 20 ロストモーション機構 20A アウタケース 20B インナケース 20C スプリング 20D 当接部 21,22 アジャストスクリュー 23 カムホルダ 24 メインロッカアーム 25 カムキャップ 26D 穴 30 油圧アシスト回路 30A 油路 31 切換弁 32 アシスト油圧ポンプ 32A オイルポンプカム 32B 駆動用ピストン 32C スプリング 32D 油室 32E リターンスプリング 32F シリンダ 32G ピストン 33 アキュムレータ 34 コントローラ 35A,35B ワンウェイバルブ 36 リリーフバルブ 37 吸気系 37A サージタンク 37B 吸気管 37C 吸気ポート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02B 75/22 D 7541−3G (72)発明者 宮村 紀行 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に横置きされるV型エンジンと、該
    V型エンジンに付設された吸気系とをそなえ、該V型エ
    ンジンの一方のバンクの気筒のみに休筒機構が設けられ
    て、該吸気系の吸気通路長さを所要量確保すべく該吸気
    系の一部が該V型エンジンのバンクのうちの休筒機構を
    そなえない他方のバンクの上部にオーバハングするよう
    に配設されていることを特徴とする、休筒機構付きエン
    ジンの車載構造。
  2. 【請求項2】 車両に横置きされるV型エンジンと、該
    V型エンジンに付設された吸気系とをそなえ、該V型エ
    ンジンの一方のバンクの気筒に休筒機構付きの可変バル
    ブタイミング式動弁系が設けられるとともに、該V型エ
    ンジンの他方のバンクの気筒に休筒機構なしの可変バル
    ブタイミング式動弁系が設けられて、該吸気系の吸気通
    路長さを所要量確保すべく該吸気系の一部が該V型エン
    ジンのバンクのうちの休筒機構をそなえない他方のバン
    クの上部にオーバハングするように配設されていること
    を特徴とする、休筒機構付きエンジンの車載構造。
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JP2007262987A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Mitsubishi Motors Corp 内燃機関の可変動弁装置
JP2007262981A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Mitsubishi Motors Corp 内燃機関の可変動弁装置
JP2009057923A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Honda Motor Co Ltd 車両用v型エンジン
JP2010229939A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の動弁装置

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