JPH06336737A - 作業台船 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作業台船自体に資材置き場として利用可能な
補助作業台を有する作業台船を提供すること。 【構成】 作業台船本体１３の外周の少なくとも１辺以
上に、補助作業台２２を折り畳み可能に取り付けて構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、港湾施設の防波堤を構
成するコンクリートケーソン等を築造するための作業台
船に関する。

【０００２】

【従来の技術】港湾施設の防波堤を構成するコンクリー
トケーソンを築造する場合、図１２に示すように、現存
する岸壁Ｄ等に接近した泊地を盛土してマウンド７を形
成し、ついで浮沈自在の作業台船１をマウンド７上に沈
設させる。

【０００３】前記作業台船１は、図１２および図１３に
示すように、平面的にはほぼ矩形に形成されており、そ
の外周に設けられたフロート２と、このフロート２の内
側に設けられた作業甲板３と、この作業甲板３と底板４
間に形成されかつ図示していないが通水孔を有する桁６
により仕切られた空間部を有する船底部５とを有して構
成されている。

【０００４】前記作業台船１をマウンド７上に沈設する
には、フロート２または／および船底部５内に適宜荷重
水（海水）を注入し、沈降させる。

【０００５】そして、作業台船１の作業甲板３上でコン
クリートケーソン８を築造するもので、その築造に使用
する内型枠１１や、鉄筋１２および足場資材等は、岸壁
Ｄ等に近接する地上Ｇに配置されていて、必要に応じて
クレーン（図示せず）等により作業台船１内に運搬す
る。また、コンクリートケーソン８の側壁９を構築する
場合は、作業甲板３上で鉄筋１２を組み、外型枠１０と
内型枠１１を組み、生コンクリートを打設し、ついで脱
型し、これらの作業を繰り返して行く。なお、図１２の
Ｗは海水を示す。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の作業
台船１はそれ自体に資材置き場がないため、内型枠１１
や、鉄筋１２および足場資材等を岸壁Ｄ等に近接する地
上Ｇに配置し、この場所から作業台船１内に運搬するよ
うにしている。

【０００７】したがって、岸壁付近の地域をコンクリー
トケーソン８の築造期間中、資材置き場として使用する
必要があり、長期間占拠することになるので、港湾施設
用地としての機能を阻害してしまうという問題があっ
た。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、作業台船自体に資材置き
場として利用可能な補助作業台を有する作業台船を提供
しようとするものである。

【０００９】また、本発明の目的は補助フロートとして
の機能と資材置き場としての機能とを有する作業台兼フ
ロート付き作業台船を提供しようとするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は作業台船本体１３の外周の少なくとも１辺
以上に、補助作業台２２を折り畳み可能に取り付けたも
のである。

【００１１】また、上記目的を達成するため、作業台船
本体１３の外周の少なくとも１辺以上に、作業台兼補助
フロート２９を折り畳み可能に取り付けたものである。

【００１２】

【作用】本発明では、作業台船本体１３の外周の少なく
とも１辺以上に補助作業台２２を取り付けている。この
補助作業台２２は、使用状態にセットすることによりそ
の上面を、コンクリートケーソン８を築造するための内
型枠１１や、鉄筋１２および足場資材等の資材置き場と
して使用することができる。したがって、岸壁Ｄの港湾
施設用地を他の用途に広く開放して利用することができ
る。

【００１３】しかも、本発明では前記補助作業台２２を
折り畳み可能に取り付けている。したがって、補助作業
台２２を使用しない場合は、クレーン等を使って折り畳
んでおく。その結果、強風や波浪等により補助作業台２
２に風圧力や波圧力が作用して補助作業台２２が破損し
たり、作業台船が安定を失う等の不具合を予防すること
ができる。

【００１４】また、本発明では作業台船本体１３の外周
の少なくとも１辺以上に、作業台兼補助フロート２９を
取り付けている。これにより、前記作業台兼補助フロー
ト２９を内型枠１１や、鉄筋１２および足場資材等の資
材置き場として使用できる外、作業台船を沈降させると
きに、作業台船に装備されている主フロートと共に作業
台船のバランスを保つ補助フロートとして機能する。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１６】（第１実施例）図１〜図３は本発明の第１
実施例を示すもので、図１は使用状態の縦断面図、図２
は同じく半部の平面図、図３は補助作業台を折り畳んだ
状態の一部分の縦断面図である。

【００１７】これらの図に示す第１実施例では、作業台
船１３はフロート１４と、作業甲板１５と、底板１６
と、前記作業甲板１５および底板１６間に取り付けられ
た桁１７により区画された船底部１８とにより構成され
ている。

【００１８】前記フロート１４は、図２から分かるよう
に、作業甲板１５と、底板１６と、桁１７とで構成され
た船体の外周を囲む矩形に形成されている。

【００１９】前記作業甲板１５には、注排水孔１９が設
けられており、また前記桁１７には通水孔２０が設けら
れている。前記船底部１８には、作業台船の沈設時に前
記注排水孔１９および通水孔２０を通じて海水等の荷重
水２１を例えば水中ポンプ等で注入し、浮上時には前記
注排水孔１９および通水孔２０を通じて、船底部１８内
の荷重水２２を排出するようになっている。

【００２０】前記フロート１４の外周には、この実施例
では図２から分かるように、矩形をなす４辺にそれぞれ
補助作業台２２が取り付けられている。各補助作業台２
２は、フロート１４の外側の上辺に蝶番２３を介して折
り畳み可能に取り付けられている。また、各補助作業台
２２の底面には、図１に示すように、直角三角形の支保
材２４が固定されている。この支保材２４の一角には、
図３に示すように、ボルト通し孔２５が設けられてい
る。一方、前記フロート１４の外側にはブラケット２６
が固定されている。そして、前記支保材２４はフロート
１４に、前記ブラケット２６からボルト通し孔２５に取
り付けボルト２７を挿通しナットで結合した結合構造を
介して、取り外し可能に取り付けられている。

【００２１】前記フロート１４の上面には、使用状態に
セットされた補助作業台２２とほぼ同一面になる厚さの
敷材２８が敷設されている。

【００２２】この第１実施例の作業台船では、コンクリ
ートケーソン８の築造時には注排水孔１９および通水孔
２０を通じて船底部１８内に荷重水（海水）２１を注入
し、作業台船本体１３をマウンド７上に沈設させる。

【００２３】また、補助作業台２２を図３に示す折り畳
んでいる状態から、クレーン（図示せず）等を使ってフ
ロート１４の外側部に向かって蝶番２３を中心に回動さ
せ、使用状態にセットする。続いて、補助作業台２２に
固定された支保材２４のボルト通し穴２孔に、フロート
１４に固定されたブラケット２６から取り付けボルト２
７を挿通してナットで締め付け、図１に示すように、フ
ロート１４に補助作業台２２を固定する。さらに、フロ
ート１４上に例えば足場板等の敷材２８を敷き、フロー
ト１４の上面を傷付けないようにするとともに、補助作
業台２２の上面とフロート１４の上方の面とが同一面に
なるようにすると好適である。

【００２４】ついで、クレーン等を利用し、図１および
図２に示すように、補助作業台２２の上面と敷材２８の
上面にわたる平面に内型枠１１や、鉄筋１２および足場
資材等を載せ、資材置き場として使用する。これによ
り、岸壁Ｄの港湾施設用地を他の用途に広く開放して利
用することができる。

【００２５】そして、補助作業台２２の上面と敷材２８
の上面にわたる平面に載置された内型枠１１や、鉄筋１
２を用いて、例えばコンクリートケーソン８の側壁部９
を構築するときは、前記内型枠１１や鉄筋１２を補助作
業台２２の上面および敷材２８の上面から作業甲板１５
上に運び入れ、図１に示すように鉄筋１２を組み、外型
枠１０内に内型枠１１を組み入れ、生コンクリートを打
設し、ついで外型枠１０および内型枠１１を脱型し、前
述の作業を繰り返して行い、コンクリートケーソン８を
築造する。

【００２６】コンクリートケーソン８を自力で浮上でき
る高さまで築造後、作業台船をマウンド７よりも水深の
大なる位置に移し、作業台船内に海水Ｗを入れ、作業台
船を沈下水没させ、コンクリートケーソン８を浮上さ
せ、作業台船から取り出し、コンクリートケーソン８を
その係留場所や沈設場所へ曳航する。

【００２７】前記補助作業台２２を使用しない場合は、
支保材２４に設けられたボルト通し孔２５と、フロート
１４の外側部に固定されたブラケット２６にわたって挿
通された取り付けボルト２７を取り外す。また、敷材２
８を取り外し、クレーン等を使って補助作業台２２をフ
ロート１４の上面に向かって蝶番２３を中心に回動さ
せ、図３に示すように、補助作業台２２を折り畳んでお
く。これにより、強風や波浪等により補助作業台２２に
風圧力や波圧力が作用して補助作業台２２が破損した
り、作業台船が安定を失う等の不具合を予防することが
できる。

【００２８】（第２実施例）次に、図４〜図８は本発明
の第２実施例を示すもので、図４は作業台兼補助フロー
トを使用状態にセットした形態の縦断面図、図５は同じ
く半部の平面図、図６は作業台兼補助フロートを折り畳
んだ状態の一部縦断面図、図７は使用状態の縦断面図、
図８は図７の平面図である。

【００２９】これらの図に示す第２実施例では、作業台
船本体１３の主フロートであるフロート１４の外周の４
辺に、作業台兼補助フロート２９が取り付けられてい
る。この作業台兼補助フロート２９の内部は、図５に示
すように、長さ方向に間隔をおいて取り付けられた隔壁
３０により区画されている。前記隔壁３０には、作業台
兼補助フロート２９内の通気孔３１が設けられている。
また、作業台兼補助フロート２９は蝶番３２を介してフ
ロート１４の外側部に、使用位置と折り畳んだ位置とに
回動可能に取り付けられている。

【００３０】前記フロート１４の上面には、外側部に突
出させて止め具３３が設けられており、この止め具３３
には止め孔３５が設けられている。一方、作業台兼補助
フロート２９の資材載置面２９′には、前記止め具３３
の下面に重なる止め具３４が突設されており、この止め
具３４にも止め孔３６が設けられている。前記作業台兼
補助フロート２９は、使用状態にセットしたうえで止め
具３３，３４に設けられた止め孔３５，３６に止めピン
３７を差し込んだ結合構造により、資材載置面２９′を
上面に向けた状態に固定し得るようになっている。

【００３１】この第２実施例では、作業台兼補助フロー
ト２９を図６に示す折り畳んでいる状態から、クレーン
（図示せず）等を使って資材載置面２９′が上向きにな
るように蝶番３２を中心に回動させる。ついで、フロー
ト１４の上面に設けられた止め具３３の止め孔３５と、
作業台兼補助フロート２９の資材載置面２９′に設けら
れた止め具３４の止め孔３６とを位置合わせし、両止め
孔３５，３６に共通に止めピン３７を差し込み、両止め
具３３，３４の結合を介して、フロート１４の外側部に
作業台兼補助フロート２９を固定する。そして、前記作
業台兼補助フロート２９の資材載置面２９′を内型枠１
１や、鉄筋１２および足場等の資材置き場として使用す
る。

【００３２】この第２実施例においても、作業台船内で
コンクリートケーソン８を築造する場合は前記第１実施
例と同様、注排水孔１９および通水孔２０を通じて船底
部１８内に荷重水２１を注入し、図４および図７に示す
ように、作業台船をマウンド７上に沈設させる。このと
き、作業台兼補助フロート２９には海水が入らず、浮力
を持ったまま主フロートであるフロート１４と共に徐々
に沈没して行くので、作業台船のバランスを保ち、安定
した姿勢で沈下して行く。

【００３３】そして、前記作業台兼補助フロート２９を
使用しない場合は、止め具３３，３４の止め孔３５，３
６に差し込まれている止めピン３７を引き抜き、止め具
３３，３４の結合を解除することにより、作業台兼補助
フロート２９は自重で蝶番３２を中心に回動し、図６に
示すように、折り畳んだ状態に垂下する。

【００３４】この第２実施例の他の構成，作用について
は、前記第１実施例と同様である。

【００３５】（第３実施例）ついで、図９は本発明の第
３実施例を示す一部縦断面図である。

【００３６】この図に示す第３実施例では作業台兼補助
フロート２９が補助フロート３８と、これの側部に一体
に付設された短冊型の作業場３９とにより構成されてい
る。

【００３７】したがって、この第３実施例では補助フロ
ート３８の上面と作業場３９とにわたる広い面積を資材
置き場として使用することができる。

【００３８】この第３実施例の他の構成，作用について
は、前記第２実施例と同様である。

【００３９】（第４実施例）続いて、図１０は本発明の
第４実施例を示す縦断面図、図１１は同平面図である。

【００４０】これらの図に示す第４実施例では、作業甲
板１５と底板１６と桁１７とで構成された船体の両側部
にフロート１４が連設されている。

【００４１】前記各フロート１４には、外側部の上辺側
に補助作業台２２が蝶番２３を介して回動自在に取り付
けられていて、折り畳み可能に設けられている。

【００４２】前記各フロート１４の上面には、支柱４０
およびウインチ４２が設置されている。前記支柱４０の
上部には、滑車４１が回転可能に支持されている。前記
ウインチ４２には、補助作業台２２に結ばれかつ滑車４
１に掛け渡さられたワイヤロープ４３が巻かれている。

【００４３】しかして、この第４実施例では補助作業台
２２を資材置き場として使用する場合は、図１０に示す
ように、ワイヤロープ４３およびウインチ４２を介して
補助作業台２２を水平状態に支持する。また、補助作業
台２２を使用しない場合は、ウインチ４２によりワイヤ
ロープ４３を繰り出し、補助作業台２２を蝶番２３を中
心として下向きに回動させ、折り畳んでおく。以上の説
明からも分かるように、この第４実施例によれば補助作
業台２２を容易に操作することができる。

【００４４】この第４実施例の他の構成，作用について
は、前記第１実施例と同様である。

【００４５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
記載の発明では、作業台船本体１３の外周の少なくとも
１辺以上に、補助作業台２２を折り畳み可能に取り付け
ているので、補助作業台２２の上面を、コンクリートケ
ーソン８を築造するための内型枠１１や、鉄筋１２およ
び足場資材等の資材置き場として使用することができ、
したがって岸壁Ｄの港湾施設用地を他の用途に広く開放
して利用し得る効果がある。

【００４６】また、本発明の請求項２記載の発明では、
作業台船本体１３の外周の少なくとも１辺以上に、作業
台兼補助フロート２９を折り畳み可能に取り付けている
ので、前記作業台兼補助フロート２９を内型枠１１や、
鉄筋１２および足場資材等の資材置き場として使用でき
る外、作業台船を沈降させるときに、作業台船に装備さ
れている主フロートと共に作業台船のバランスを保ち、
安定的に操作し得る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の使用状態の縦断面図であ
る。

【図２】図１の半部の平面図である。

【図３】本発明の第１実施例において補助作業台を折り
畳んだ状態の一部分の縦断面図である。

【図４】本発明の第２実施例において作業台兼補助フロ
ートを使用状態にセットした形態の縦断面図である。

【図５】図４の半部の平面図である。

【図６】本発明の第２実施例において作業台兼補助フロ
ートを折り畳んだ状態の一部縦断面図である。

【図７】本発明の第２実施例の使用状態の縦断面図であ
る。

【図８】図７の平面図である。

【図９】本発明の第３実施例の一部縦断面図である。

【図１０】本発明の第４実施例の縦断面図である。

【図１１】図１０の平面図である。

【図１２】従来技術を示す縦断面図である。

【図１３】図１２の平面図である。

【符号の説明】

８ コンクリートケーソン １０ 外型枠 １１ 内型枠 １２ 鉄筋 １３ 作業台船本体 １４ フロート １５ 作業甲板 １６ 底板 １８ 船底部 ２２ 補助作業台 ２３ 蝶番 ２４ 支保材 ２７ 取り付けボルト ２９ 作業台兼補助フロート ３２ 蝶番 ３３，３４ 止め具 ３７ 止めピン ３８ 補助フロート ３９ 作業場 ４０ 補助作業台用の支柱 ４１ 同じく滑車 ４２ 同じくウインチ ４３ 同じくワイヤロープ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業台船本体１３の外周の少なくとも１
   辺以上に、補助作業台２２を折り畳み可能に取り付けた
   ことを特徴とする作業台船。
2. 【請求項２】 作業台船本体１３の外周の少なくとも１
   辺以上に、作業台兼補助フロート２９を折り畳み可能に
   取り付けたことを特徴とする作業台船。