JPH10167176A - 杭や柱状構造物の補修用スパッド台船とその使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の大きさの橋脚等の柱や柱状構造物の補
修を容易かつ確実に行う補修用スパッド台船を得る。 【解決手段】 平面が矩形状の浮体の一辺に、杭や柱状
構造物を囲う切り欠き８を設け、切り欠き８を設けた辺
と対向する辺の端部にスパッド４を配置し、切り欠き８
を設けた辺とスパッド４を配置した辺のそれぞれの中央
を結ぶ線よりも、スパッド４を配置していない側にクレ
ーン５を配置し、スパッドとクレーン５の配置を同一側
にした２隻を１組とした杭や柱状構造物の補修用スパッ
ド台船２，３からなる

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、杭や橋脚などの補
修工事等に使用する補修用スパッド台船とその使用方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、本邦にて発生した大地震による経
験から、河川や海上に立設されている橋脚等の強度を更
に増強することが要請されており、この種既設の橋脚の
外周に鋼板を被覆し、その鋼板の内面と橋脚の外面との
間にコンクリートを充填して橋脚の強度を増強して耐震
強度を高める工事が盛んに施工されている。

【０００３】しかしながら、上記のごとく河川や海中に
立設されている橋脚は、狭い水路に設けられていたり、
またその橋脚の周囲に多数の水中構造物が設けられてい
ることが多い。一方、従来この種の橋脚の補強工事を行
なうためには、水中の橋脚の周囲に作業用の足場を設け
ているが、その足場の構築作業に多くの時間と費用がか
ると共に、その足場が周辺の水域を航行する船舶のさま
たげになることが多く、また、橋脚はそれぞれその断面
寸法が異なるため、足場はその橋脚ごとにその断面寸法
に応じたものを構築する必要があり、更に橋脚の補強工
事にはその足場構築用の資材の陸上及び水上での運送コ
ストもかさむという問題があった。

【０００４】特に、河川や海中に立設された橋脚は、単
なる円形または四角形断面ではなく、長楕円形や、長方
形など種々な形状となっており、さらに橋脚の断面も大
小があるので足場の構築は、その都度橋脚の大小等に応
じた足場の構築をせねばならず多くの手間と費用とを要
することになる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、杭や柱状構
造物の補修を行う２隻１組のスパッド台船を用いて容
易、かつ確実に種々の杭や柱状構造物の補修を行うよう
にするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、平面が矩形状
の浮体の一辺に、杭や柱状構造物を囲う切り欠きを設
け、切り欠きを設けた辺と対向する辺の端部にスパッド
を配置し、切り欠きを設けた辺とスパッドを配置した辺
のそれぞれの中央を結ぶ線よりも、スパッドを配置して
いない側にクレーンを配置し、スパッドとクレーンの配
置を同一側にした２隻を１組とした杭や柱状構造物の補
修用スパッド台船、並びにそれぞれの浮体の切り欠き近
傍に伸縮自在な脚部と、脚部の上端に互いに連結可能な
ステージを有する上記の補修用スパッド台船からなり、
さらには補修する構造物の断面が、浮体の切り欠き面よ
りも大きいときは、それぞれの浮体の切り欠き部を構造
物に対して９０度回転し、それぞれの浮体に配置したス
パッドが構造物を中心に対角線上に位置するように位置
し、それぞれの浮体の間にスペーサーフロートを介して
連結し、補修する構造物の断面が、浮体の切り欠き面よ
り小さいときは、それぞれの浮体の切り欠きを対向して
それぞれの浮体を連結する杭や柱状構造物の補修用スパ
ッド台船の使用方法からなる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の一実
施形態を説明するが、図１はその橋脚補修用スパッド台
船の平面図で、図２は図１の側面図であり、このスパッ
ド台船は、水中に立設された橋脚１の外周を鋼板等で被
覆し、その鋼板内にコンクリートを充填して耐震補強し
たり、橋脚１の外周面を清掃したり、塗装をするなどの
補修を行うものであるが、このスパッド台船は図１に示
すごとく前後方向に２つのスパッド台船２と３に分けら
れ、かつ各スパッド台船２と３を前後方向に図示されて
いない着脱可能な連結部材により接合連結しており、そ
の接合部分にはそれぞれ半円弧状の切り欠き８が設けら
れ、これら接合された２つの切り欠き８が橋脚１を内包
するような形状に形成されている。

【０００８】次に、これら各スパッド台船２，３にはそ
れぞれスパッド４とクレーン５とが具備されている。上
記のスパッド４は図２の２点鎖線で示す水平の収納状態
と、実線で示すごとく水底地盤に垂直に打設する固定状
態とに揺動可能にするためのシリンダ６が設けられ、ま
たスパッド４の巻上げ、巻下げ用のウインチ７が設けら
れ、スパッド４の打設後はウインチ７のワイヤーをゆる
めておくものとする。

【０００９】次に、クレーン５は橋脚１を補強する場合
の鋼板や資材を持ち上げるための油圧式のものであり、
これら油圧源である油圧ユニット１１が一方のスパッド
台船２上に発電機９及び主配電盤１０と共に設けられて
いる。さらに、上記２つの切り欠き８の周囲の外周面上
には、各スパッド台船２，３にそれぞれ２本、合計４本
の脚部１４がウインチ１３により上下に伸縮可能になっ
ている図２に示す昇降式作業足場が設けられており、そ
の上部のステージ１２上には取外し可能な手すり１６が
設けられている。

【００１０】なお、図２はその右半分に昇降式作業足場
を最上端まで引上げた状態を示し、また、左半分にそれ
を引下げた状態を示し、昇降式作業足場に養生シートカ
バー１７を取付けている。さらに、各スパッド台船２，
３の一側端には補助フロート１８を台船本体に図示され
ていない連結部材で着龍可能に接合しており、各スパッ
ド台船２，３を現場に曳船するための浮力を与えたり、
橋脚１の補強用の資材などをクレーン５で吊上時の台船
本体にバランス良く浮力を与えるようにしている。

【００１１】また、各スパッド台船２，３はさらに前後
方向に縦割２分割とし、分割した幅Ｗを例えば２，５０
０mmにすることにより、これらスパッド台船２，３をそ
れぞれ分割の上トラックなどに積載して陸送も可能にし
ている。なお、上記２つのスパッド台船２，３の各切り
欠き８に内包されて補修作業などが行われる橋脚１とし
ては、これら切り欠き８の内径Ｄを例えばこの実施形態
のごとく３，５００mmとすれば多少の余裕を持たせて、
例えば外径３，０７８mmまでの円断面の円柱状の橋脚
１、またはその範囲内の四角断面を有する橋脚１の補修
作業に使用できる。

【００１２】要するに、かゝる杭や柱構造物の補修用ス
パッド台船２，３は、これを要約すると、平面が矩形状
の浮体の一辺に、杭や柱状構造物を囲う切り欠き８を設
け、切り欠き８を設けた辺と対向する辺の端部にスパッ
ド４を配置し、切り欠き８を設けた辺とスパッド４を配
置した辺のそれぞれの中央を結ぶ線よりも、スパッド４
を配置していない側にクレーン５を配置し、スパッド４
とクレーン５の配置を同一側にした２隻を１組とした杭
や柱状構造物の補修用スパッド台船からなり、さらにそ
の台船は夫々の切り欠き８の近傍に伸縮自在な脚部１４
と、脚部１４の上端に互いに連結可能なステージ１２を
有するものである。

【００１３】次にその補修用スパッド台船の使用方法と
してはさらに次の方法がある。上記の補修する構造物、
例えば橋脚１の断面が浮体、例えばスパッド台船２，３
の切り欠き８よりも大きいときは、それぞれの浮体の切
り欠き部を構造物に対して９０度回転し、それぞれの浮
体に配置したスパッド４，４が構造物を中心に反対側に
位置するように位置し、それぞれの浮体の間にスペーサ
ーフロート１５を介して連結して橋脚を補修する。そし
て上述のごとく補修する構造物の断面が、浮体の切り欠
き８より小さいときは、それぞれの浮体の切り欠き８，
８を対向してそれぞれの浮体を連結して橋脚の補修を行
う。

【００１４】つまり、図３に示すごとくスパッド４とク
レーン５をそれぞれ共に具備した２台のスパッド台船２
と３を、補修する橋脚１の基礎部分にはさむごとく互い
にその前後方向を平行に位置させ、さらにこれら２台の
スパッド台船２，３を平行状態で連結するごとく、かつ
橋脚１の両側方にそれぞれスペーサフロート１５を設け
ており、各スパッド台船２，３と各スペーサフロート１
５とは図示されていない着脱可能な連結部材により接合
連結している。

【００１５】上記の各スパッド台船２，３を共に具備さ
れているスパッド４は、図５に示す水平の収納状態と、
垂直に水中地盤に打設する固定状態とに回動可能にする
ためのシリンダ６が設けられ、またスパッド４の巻上
げ、巻下げ用のウインチ７が設けられ、スパッド４の打
設後はウインチ７のワイヤーをゆるめておくものとす
る。また、各スパッド台船２，３上に共に具備されるク
レーン５は、橋脚１を補強する場合の鋼板や資材を持上
げるための油圧式のものであり、これら油圧源である油
圧ユニット１１が一方のスパッド台船２上に発電機９及
び主配電盤１０と共に設けられている。

【００１６】さらに、各スパッド台船２，３の一端部に
それぞれ設けた切り欠き８には図３に示すごとくフロー
ト９が連結されると共に、各スパッド台船２，３の各外
側部にも補助フロート１８が連結されている。これらの
各フロート１９及び補助フロート１８は、各スパッド台
船２，３にそれぞれ図示されていない連結部材で着脱可
能に接合連結されており、各スパッド台船２，３を現場
に曳船するための浮力を与えたり、橋脚１を補強するた
めの鉄板や資材等をクレーン５で吊上時の台船本体に、
バランス良く浮力を与えるようにしている。

【００１７】また、各スパッド台船２，３はさらに前後
方向に縦割２分割可能として、図１に示すように分割し
た幅Ｗを例えば２，５００mmにすることにより、これら
スパッド台船２，３をそれぞれ分割の上、トラックなど
に積載して陸送も可能にしている。次に図３において２
台のスパッド台船２と３とを平行に位置させ、２つのス
ペーサフロート１５で連結して構成された空間について
説明すると、図３においてスパッド台船２と３との間
隔、即ちスペーサフロート１５の長さＨを例えば４，７
００mmとした場合、そこで補修作業などが可能となる橋
脚１としては、例えば外径Ｄが４，３１９mmまでの被補
修物に対しの作業が可能であり、その被補修物が図３の
矢印Ｘの外径の場合には両側のスペーサフロート１５の
位置を一点鎖線Ｘの位置まで内側に寄せ、さらに被補修
物が矢印Ｙの外周形状を有する場合にはスペーサフロー
ト１５の位置を破線Ｙの位置まで内側に寄せて作業を行
うことにより、その作業性を良くすることができる。

【００１８】

【発明の効果】 補修する構造物の断面が切り欠き面より大きいとき
も小さいときも、２本のスパッドを橋脚などの構造物を
中心に対称の位置に配置するので、台船が２本のスパッ
ドで確実に固定でき、同時に、構造物を挟んで構造物側
に、それぞれクレーンが位置するので、揚重作業が円滑
に行なえる。 １組の台船でさまざまな断面の杭や柱状構造物を補
修することができる。 スパッドを傾動可能にすることにより、河川で使用
しているときに悪天候により事前に避難する際に、桁下
の低い河川を曳航して避難することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の橋脚補修用スパット台船の一実施形態
における平面図である。

【図２】図１の側面図である。

【図３】本発明の橋脚補修用スパッド台船の他の実施形
態における平面図である。

【図４】図３の側面図である。

【図５】図３の正面図である。

【符号の説明】

１ 橋脚 ２ スパッド台船 ３ スパット台船 ４ スパット ５ クレーン ８ 切り欠き １２ ステージ １４ 脚部 １５ スペーサフロート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平面が矩形状の浮体の一辺に、杭や柱状
   構造物を囲う切り欠きを設け、切り欠きを設けた辺と対
   向する辺の端部にスパッドを配置し、切り欠きを設けた
   辺とスパッドを配置した辺のそれぞれの中央を結ぶ線よ
   りも、スパッドを配置していない側にクレーンを配置
   し、スパッドとクレーンの配置を同一側にした２隻を１
   組とした杭や柱状構造物の補修用スパッド台船。
2. 【請求項２】 それぞれの浮体の切り欠き近傍に伸縮自
   在な脚部と、脚部の上端に互いに連結可能なステージを
   有する請求項１記載の杭や柱状構造物の補修用スパッド
   台船。
3. 【請求項３】 補修する構造物の断面が、浮体の切り欠
   き面よりも大きいときは、それぞれの浮体の切り欠き部
   を構造物に対して９０度回転し、それぞれの浮体に配置
   したスパッドが構造物を中心に反対側に位置するように
   位置し、それぞれの浮体の間にスペーサーフロートを介
   して連結し、補修する構造物の断面が、浮体の切り欠き
   面より小さいときは、それぞれの浮体の切り欠きを対向
   してそれぞれの浮体を連結する杭や柱状構造物の補修用
   スパッド台船の使用方法。