JPH06330473A - シート状物およびその製造方法 - Google Patents

シート状物およびその製造方法

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JPH06330473A
JPH06330473A JP12020193A JP12020193A JPH06330473A JP H06330473 A JPH06330473 A JP H06330473A JP 12020193 A JP12020193 A JP 12020193A JP 12020193 A JP12020193 A JP 12020193A JP H06330473 A JPH06330473 A JP H06330473A
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勉 大野
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正勝 国枝
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、毛羽落ちのないシート状物、特に長
ナップを有する優美な表面外観と柔軟で良好なタッチを
を有する高級皮革様シート状物を提供せんとするもので
あり、また、かかるシート状物を安価で簡単な方法によ
り安定して製造せんとするものである。 【構成】本発明のシート状物は、3次元交絡したシート
の表層部に0.5d以下の極細繊維Aによる立毛部を有
し、該シートを構成する繊維Aの空隙部分には、高分子
弾性体Bが充填されており、かつ該シート表層部付近に
は高分子弾性体Cが偏在して繊維Aを接着していること
を特徴とするものであり、また、かかるシート状物の製
造方法は、0.5d以下の極細繊維Aを3次元的に交絡
したシートの空隙部分に高分子弾性体Bを含浸し、湿式
凝固した後、該シートの表面を研削起毛した後、次いで
高分子弾性体Cを付与し、乾式凝固させることを特徴と
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、毛羽落ちのない高級皮
革様シート状物を提供し得る、表層部に極細繊維の立毛
を有する極細繊維不織布と高分子弾性体からなるシート
状物とその製造方法に関するものである。
【0002】本発明にかかるシート状物は、表層部の立
毛を構成する繊維の脱落が少なく、柔軟で良好なタッチ
を有する。特に長ナップ高級皮革様物の製造に利用さ
れ、その外観と風合の特性を生かして、衣料用素材とし
て好適なものである。
【0003】
【従来の技術】従来より不織布と高分子弾性体からなる
スエード調など表面に立毛を有する人工皮革およびその
製造方法については種々提案がされている。
【0004】それら一般的な製品およびその製造法で
は、表面の立毛の脱落、いわゆる毛羽落ちを防止しよう
とする場合、多量の高分子弾性体樹脂の付与を要しその
ために製品の風合が硬くなったり表面立毛の長さや密度
の調整の自由度が制限されるのが一般的であり、毛羽落
ち防止と表面立毛外観および風合いコントロールを同時
に満たす商品設計が困難であり、特に長ナップ品と称す
る比較的長い立毛が要求される商品の場合においてはこ
れらの特性を満足することはさらに困難である。これら
個々の特性の改善手段として、不織布を構成する極細繊
維の繊度を可能な限り大きくしたり、付与する高分子弾
性体を凝固調節技術により柔軟化を施し樹脂の付与率を
極力高くしたり、長い立毛を得るために立毛加工処理に
際しシリコーン樹脂を付与するなどの方法が提案されそ
れなりの効果が得られている。しかしながら、長い立毛
が要求される場合においては未だ上記特性の全てを満足
するレベルの長ナップ品は得られていないのが実状であ
る。
【0005】すなわち、従来の長ナップ品のうちでも比
較的完成度の高い商品と考えられる特公昭57−477
72号広報に記載されたものにおいても、長ナップを形
成する極細繊維の立毛を結束するシリコーン樹脂が、商
品の経時とともにフィブリル化し剥離することに起因す
る白化現象が生じたり、立毛が結束されているゆえに表
面外観の表現範囲が限定されざるを得なかったり、製造
工程が複雑になるといった制約が依然として残されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
知られる極細繊維不織布と高分子弾性体からなる表面に
立毛を有する人工皮革において実現され得ない、毛羽落
ちの改善、表面外観の表現自由度の大きさ、柔軟な風合
いという相反する特性の実現という問題を解決し、長ナ
ップを特徴とする優美な表面外観と柔軟で良好なタッチ
を併せ持つ皮革様シート状物を提供せんとするものであ
り、また、かかるシート状物を安価で簡単な方法により
安定して製造せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために次のような構成を採用する。すなわ
ち、本発明のシート状物は、3次元交絡したシートの表
層部に0.5d以下の極細繊維Aによる立毛部を有し、
該シートを構成する繊維Aの空隙部分には、高分子弾性
体Bが充填されており、かつ該シート表層部付近には高
分子弾性体Cが偏在して繊維Aを接着していることを特
徴とするものであり、また、かかるシート状物の製造方
法は、0.5d以下の極細繊維Aを3次元的に交絡した
シートの空隙部分に高分子弾性体Bを含浸し、湿式凝固
した後、該シートの表面を研削起毛した後、次いで高分
子弾性体Cを付与し、乾式凝固させることを特徴とする
ものである。
【0008】
【作用】本発明は、皮革様シート状物において、長いナ
ップを有する高級なものほど毛羽落ちが激しいという問
題について鋭意検討したものである。その結果、従来の
皮革用のシート状物に、さらに第三の高分子弾性体を、
特定な部分に選択的に付与することによって、かかる問
題を一挙に解決させ得ることを究明した。すなわち、該
シート状物の基布の表層部付近に第三の接着能を有する
高分子弾性体を偏在させることによって、該シートの風
合いや外観を変更することなく該ナップを固定させるこ
とができることを究明したものである。
【0009】本発明は、主として極細繊維Aの不織布と
高分子弾性体Bからなる、天然皮革に酷似した構造を有
する人工皮革様シートであり、0.5d以下の均一な繊
度を有する極細繊維Aが繊維束を形成したもので、該繊
維束どうしが3次元的に交絡されており、その空隙部分
に高分子弾性体Bが該繊維束を構成する繊維Aを直接結
束することなく充填されたシート状物である。しかもそ
の片面及び/又は両表面に該極細繊維Aによる立毛を有
するものである。
【0010】本発明は、かかるシート状物の少なくとも
立毛を有する側の、該シート状物基布の表層部付近に、
上述の第三の高分子弾性体C(以下、単に高分子弾性体
Cという)を偏在させて、該繊維束を構成する繊維Aを
直接結束(接着)したものである。
【0011】本発明のシート状物の内層部分を主として
構成する極細繊維Aは繊維束を形成しており、しかも各
単糸は互いに結束されることなくある程度の移動の自由
度があること、および繊維束どうしは多数の絡合点で3
次元的に交絡しているため、シートをして柔らかさ、し
なやかさ、耐屈曲性などの強度を発現せしめている。さ
らに、極細繊維束が3次元的に交絡したその空隙部分に
高分子弾性体Bを充填することにより、本発明のシート
状物に、上述した物理的特性に加えてさらに、形態保持
性と適度な反発弾性による皮革様の風合を発現せしめて
いる。しかも、該高分子弾性体はシート状物の内層のほ
とんど大部分の極細繊維束を直接的に結束していないの
で、シートの柔らかさが損なわれることはないという特
徴を達成している。
【0012】ここでいう極細繊維束が高分子弾性体Bに
より直接的に結束されていない状態とは、繊維束を形成
する各単繊維Aと高分子弾性体Bとの間に、摩擦力を生
じる接触が実質的に無視し得る状態を意味する。すなわ
ち、具体的には、極細繊維束を、後述する高分子相互配
列体繊維から得る場合、各極細繊維束の内部および周辺
部の、該繊維束が由来する高分子相互配列体繊維の海成
分が占めていた大部分の空間に、高分子弾性体Bが侵入
していない状態が保たれているような状態に代表される
ものである。
【0013】本発明のシート状物の特徴は、高分子弾性
体Cを該シート状物の少なくとも一方の表面付近に偏在
させることにある。ここで高分子弾性体Cとは、該基布
表層部において繊維束を構成する極細繊維を直接結束し
て存在している点で、高分子弾性体Bとは機能が相違す
るが、別に同一の樹脂であっても、またこれとは相違す
る樹脂であってもよいが、好ましくは乾式凝固によって
接着機能を発揮するものであればさしつかえない。
【0014】本発明は、かかる高分子弾性体Cを偏在化
させることによって、表面を覆っている極細繊維の立毛
の脱落を防止することに見事に成功したものである。
【0015】シートの風合を損ねずに上記効果を達成す
るためには、高分子弾性体Cの量は少ない方が好ましい
が、少なすぎると毛羽落ち防止効果が消失する。したが
って、かかる高分子弾性体Cは、高分子弾性体Bの重量
に対し、好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜1
0%、最も好適には3〜5%の範囲に制限することによ
り、毛羽落ち効果を発現させることができる。
【0016】さらに、得られるシート状物の物性および
風合を最適なものとするためには、高分子弾性体BとC
の和が、極細繊維Aの重量に対して、好ましくは15〜
60%、より好ましくは25〜40%、最適には30〜
35%の範囲にすることである。すなわち、本発明の最
適実施態様としては、次の2式を満足させることが、特
に好ましいシート状物を提供することができるのであ
る。もちろん、該式の数値は、上述の説明にしたがっ
て、さらに最適範囲に制限することができる。
【0017】0.01≦C/B≦0.15 0.15≦(B+C)/A≦0.60 また、本発明のシート状物の内層部は極細繊維束の絡合
構造に加え、例えば、特開昭62−78281号公報に
記載されているような織物や編物が一体構造化されたも
のであっても差支えなく、その場合も上述の式を満足す
るシート状物にするのが好ましい。
【0018】次に、本発明シート状物の製造方法につい
て説明する。
【0019】繊維束を形成する極細繊維を製造する方法
は特に限定はされないが、少なくとも1種以上のポリマ
ーからなる複数の島成分を有する高分子相互配列体繊維
から海成分を溶出除去する方法が好適に用いられる。こ
の場合、島成分および海成分の選定は種々可能である
が、島成分としては通常の合成繊維に用いられるポリエ
ステル、ポリアミドなどの一般的なポリマーが好ましく
使用され、複数のポリマーによる芯鞘構造をもたせるこ
とも可能であり、用途や目的に応じて最適なポリマーを
使用すればよい。海成分としてはシートの加工性、海成
分除去時のシートへの物理的化学的損傷を最小限に抑え
る目的から、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロ
ホルム、トリクロロエチレンなどの有機溶剤に可溶なポ
リマーを使用するのが好ましい。
【0020】シート化の方法は、特に限定されず、既知
の手段が利用することができるが、まず、初めに不織布
が形成される。不織布を形成する方法も、特に限定され
るものではないが、最終製品の厚さを、厚物から薄物ま
でにわたって容易に変更することができる短繊維による
フェルト化方法が好ましく使用される。
【0021】すなわち、高分子相互配列体繊維を、捲縮
付与の後一定の繊維長にカットしてステープルとし、該
ステープルをカードにかけてウェブ化し、得られたウェ
ブをクロスラッパーやランダムウェッバーなどで所望の
重量に積層した後、ニードルパンチを施すことによりフ
ェルト化する方法が好ましい。
【0022】その際、高分子相互配列体繊維のみでフェ
ルトを形成してもよいが、前記した特開昭62−782
81号公報に記載されているように織物や編物と一体構
造を形成するようなフェルトとしてもよい。
【0023】このようにして得られたフェルトに高分子
弾性体Bを付与し、該フェルトを構成する高分子相互配
列体繊維の海成分を溶出除去した後に、さらに、高分子
弾性体Cを追加付与し、表面を起毛することにより本発
明のシート状物を得ることができる。その際、より高密
度で高強力な製品を得るために、フェルトをあらかじ
め、熱処理など物理的あるいは化学的手段により収縮さ
せたり、製品の柔軟性や風合いをコントロールするため
にポリビニルアルコールに代表されるような水溶性高分
子を必要量付与し、後の高分子弾性体Bの付与工程以降
で除去するといった技術を適宜に組み合わせても差し支
えない。
【0024】また、高分子相互配列体繊維の海成分除去
工程は、高分子弾性体Bの付与工程に先だって通過させ
てもよいし、逆でもよく、前述した技術との組み合わせ
や、高分子弾性体Bの種類や付与方法に応じて最適な順
序を組合せるのが好ましい。高分子弾性体Bの種類や付
与方法は、特に限定されるものではないが、先にも述べ
た通り、高分子弾性体Bとしてはポリウレタンが好適で
あり、より好適には溶液含浸による湿式凝固法である
が、エマルジョン含浸や乾式でのコーティング、あるい
はこれらを併用することも可能である。
【0025】次に高分子弾性体Cの付与について説明す
る。
【0026】高分子弾性体Cの種類や付与方法は、特に
限定されるものではないが、シートの一方の表層付近、
好ましくは立毛を有する側の該シート状物基布の表層部
付近に偏在させなければならない。そのために、エマル
ジョン含浸を行い、凝固に際して該エマルジョンを表層
付近にマイグレーションさせる方法が好ましく用いられ
る。本発明では、かかる高分子弾性体Cの凝固におい
て、乾式凝固法を採用することによって、マイグレーシ
ョン現象を達成すると同時に、該高分子弾性体Cに接着
機能を惹起させることに成功したものである。すなわ
ち、かかる方法において、最適には、ポリウレタンの水
系エマルジョンを採用することである。かかる方法によ
り、さらに確実にポリウレタン粒子を表層付近に凝集さ
せることができる。もちろん、その際、該マルジョン液
にマイグレーションを促進させるための界面活性剤を添
加してもよいし、マイグレーションが最適に行われるよ
うに、濃度の調整がなされたものを使用してもよい。ま
た、ここで用いるポリウレタンは高分子弾性体Bと同一
のものであっても異なるものであってもよい。
【0027】上述の乾式凝固条件は、乾燥することがで
きる温度条件であれば別に制約されないが、好ましくは
80〜160℃、さらに好ましくは100〜130℃の
範囲である。
【0028】高分子弾性体Cを付与する工程は、該ポリ
マーが繊維束を構成する極細繊維を直接結束(接着)さ
せる構造を実現しうるかぎりにおいて特に限定されない
が、一般的には、高分子弾性体Bを付与した後のいずれ
かの工程で付与され、好ましくはシート表面の起毛処理
工程の直後に行われる。もちろん人工皮革の常法による
染色仕上げ加工を行った後に付与を行ってもよい。
【0029】本発明のシート状物は、毛羽落ちが実用的
に問題ないレベルでありながら、長ナップを特徴とする
優美な表面外観と、柔軟で良好なタッチを併せ持つスエ
ード調などの皮革様素材として、衣料や雑貨用途に適し
たものであるという特徴を有する。
【0030】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために実施
例を挙げる。もちろん、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。なお、これら実施例、比較例の評価
についての測定方法は次の通りである。
【0031】目付、厚み;JIS−L−1096 風 合;標準サンプルと比較し5等級に区分した。 5級 柔らかすぎて頼り無い 4級 適度に柔軟で優れたタッチ 3級 やや硬いがタッチは良好 2級 硬くタッチもいくぶんペーパーライク 1級 硬くペーパーライクでタッチが不良 毛羽落ち;20℃、65%RHに設定された雰囲気下
で、ガーレ式剛軟度試験機の円弧部分に試料(幅5cm×
長さ22cm)を貼り付け、可動アームに取り付けたチャ
ックに標準布(ポリエステル65/綿35ブロードの
白)を幅5cmの両面テープに貼り付けたものを離型紙に
つけたままセットし、標準布の末端に60g の荷重をつ
け1試料について表裏5往復させて標準布に付着した毛
羽の量を目測し標準サンプルと照合し毛羽落ち等級を判
定した。10級(毛羽落ちなし)〜1級(毛羽落ち顕
著)の10段階評価とした。
【0032】実施例1 島成分に5−ナトリウムスルホイソフタル酸が共重合さ
れたポリエチレンテレフタレート、海成分にポリスチレ
ンを用い、島本数13本/ホールの海島型複合口金を通
して、島/海重量比率57/43、で溶融紡糸して10
00 m/分の引取速度で、延伸後の島繊度が0.17デ
ニールになるように設計された高分子配列体繊維の未延
伸糸を得た。
【0033】該未延伸糸を延伸倍率2.9倍で延伸し、
捲縮を付与してカットし、繊維長51mm、複合繊度3.
8デニール、捲縮数15山/インチのステープルとし
た。該ステープルをカード、クロスラッパーを通し積層
ウェブとし、さらにニードルパンチマシンで上下両面か
ら各150本/cm2 の針密度でニードルパンチを施し、
目付400 g/ m2 の不織布とした。
【0034】さらにフィラメント数36本、単糸繊度
1.4デニールのカチオン可染ポリエステル糸の強撚織
物(撚数2750回/m 、織密度90×80本/イン
チ)を不織布の両面にして2500本/cm2 の針密度で
ニードルパンチを施し、不織布と織物が不離一体化され
たシートを作製した。
【0035】該シートをポリビニルアルコールの5%の
熱水溶液(95℃)中に浸漬して収縮させ、ポリビニル
アルコールの対不織布重量比が10部になるよう絞液し
て乾燥した後、トリクロロエチレンで海成分を溶出除去
し、次いでポリテトラメチレンオキシグリコール、ポリ
エチレンアジペートグリコール、ジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネートから得たプレポリマーをメ
チレンビスアニリンで鎖伸長し重合したポリウレタンの
ジメチルホルムアミドの11%溶液を含浸し、ポリウレ
タン純分がシートの繊維総重量に対し31部となるよう
絞液して水中に浸漬してポリウレタンを湿式凝固させる
とともにポリビニルアルコールを溶出した。さらに、ポ
リジメチルシロキサンを主成分とするシリコーン水エマ
ルジョンをシートに対する不揮発分重量比が0.5部に
なるよう付与してて乾燥後、シートを厚さ方向にスライ
スしてスライス面ををサンドペーパーでバフ掛け起毛し
て厚みを整えた。このようにして得られたシートにポリ
ウレタンの水エマルジョン(スーパーフレックスE40
00;第一工業製薬株式会社製)の不揮発分がシートに
対し1重量部になるよう含浸し、非スライス面に不揮発
分がマイグレーションするようにシートの片面のみに熱
風を吹き付けながらピンテンター上で乾燥した。さらに
該シートを常法により液流染色機でカチオン染料で染色
して仕上げ、深みと光沢をもった濃紺色に着色された長
ナップスエード調の皮革様シートが得られた。
【0036】このときの高分子弾性体の重量(B+C)
の繊維重量(A)に対する計算上の比率は32.3%,
分子弾性体の重量(B)に対する高分子弾性体(C)の
計算上の重量比率は4.4%であった。得られたシート
は表1に掲げた通り柔軟な風合と高い耐毛羽落ち性を有
するものであった。
【0037】実施例2 ポリウレタンの水エマルジョンのシートに対する重量比
を3部としたほかは前例と同様にスエード調の皮革様シ
ートを得た。このときの高分子弾性体の重量(B+C)
の繊維重量(A)に対する計算上の比率は34.9%、
分子弾性体の重量(B)に対する高分子弾性体(C)の
計算上の重量比率は12.6%であった。得られたシー
トは表1に掲げた通り前例よりはやや硬い風合となった
が耐毛羽落ち性はさらに向上したものであった。
【0038】実施例3 島成分にポリエチレンテレフタレート、島本数36本/
ホール、島/海重量比率55/45、とし、延伸後の島
繊度が0.04デニールになるように設計された高分子
配列体繊維の不織布の目付を600 g/ m2 とし強撚織
物をシートに挿入しなかったこと、製品の表面を非スラ
イス面とし、スライス面非スライス面ともにバフ掛けを
したことおよび染色に分散染料を用いたこと以外は実施
例1と同様にして皮革様シートを得た。実施例1同様、
表1に掲げた通り柔軟な風合と高い耐毛羽落ち性を有す
るものであった。
【0039】実施例4 ポリウレタンの水エマルジョンのシートに対する重量比
を2部としたほかは前例と同様にスエード調の皮革様シ
ートを得た。このときの高分子弾性体の重量(B+C)
の繊維重量(A)に対する計算上の比率は33.6%,
分子弾性体の重量(B)に対する高分子弾性体(C)の
計算上の重量比率は8.5%であった。得られたシート
は表1に掲げた通り前例よりはやや硬い風合となったが
耐毛羽落ち性は向上したものであった。
【0040】比較例1 ポリウレタンの水エマルジョンをシートに全く付与しな
かった他は実施例1と同様にしてスエード調の皮革様シ
ートを得た。得られたシートは表1に掲げた通り毛羽落
ちの著しい商品化値を損ねるものであった。
【0041】比較例2 溶液ポリウレタンの繊維に対する重量比を35部とし、
ポリウレタンの水エマルジョンをシートに全く付与しな
かった他は実施例1と同様にしてスエード調の皮革様シ
ートを得た。溶液ポリウレタン重量比を増加したにもか
かわらず得られたシートの耐毛羽落ち性の改善はほとん
ど認められず風合も若干硬化したものに仕上がった。
【0042】比較例3 ポリウレタンの水エマルジョンのシートに対する重量比
を5部としたほかは前例と同様にスエード調の皮革様シ
ートを得た。このときの高分子弾性体の重量(B+C)
の繊維重量(A)に対する計算上の比率は37.6%、
高分子弾性体の重量(B)に対する高分子弾性体(C)
の計算上の重量比率は21%であった。得られたシート
は毛羽落ちはしないものの風合が硬く衣料用素材として
は不適当なものであった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果が得られる。
すなわち、従来知られる極細繊維不織布と高分子弾性体
からなる表面に立毛を有する人工皮革において実現され
得ない、毛羽落ちの改善、表面外観の表現自由度の大き
さ、柔軟な風合いという相反する特性の実現という問題
を解決し、長ナップを特徴とする優美な表面外観と柔軟
で良好なタッチを併せ持つ皮革様シート状物を安価で容
易な工程により提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】3次元交絡したシートの表層部に0.5d
    以下の極細繊維Aによる立毛部を有し、該シートを構成
    する繊維Aの空隙部分には、高分子弾性体Bが充填され
    ており、かつ該シート表層部付近には高分子弾性体Cが
    偏在して繊維Aを接着していることを特徴とするシート
    状物。
  2. 【請求項2】高分子弾性体Bが、線状ポリウレタンであ
    る請求項1記載のシート状物。
  3. 【請求項3】高分子弾性体Cが、架橋型ポリウレタンお
    よび線状ポリウレタンから選ばれた少なくとも1種であ
    る請求項1記載のシート状物。
  4. 【請求項4】請求項1において、極細繊維Aを主とする
    繊維の重量(A)、高分子弾性体Bの重量(B)および
    高分子弾性体Cの重量(C)の比率が下記式を満たす範
    囲にあることを特徴とするシート状物。 0.01≦C/B≦0.15 0.15≦(B+C)/A≦0.60
  5. 【請求項5】0.5d以下の極細繊維Aを3次元的に交
    絡したシートの空隙部分に高分子弾性体Bを含浸し、湿
    式凝固した後、該シートの表面を研削起毛した後、次い
    で高分子弾性体Cを付与し、乾式凝固させることを特徴
    とするシート状物の製造方法。
  6. 【請求項6】乾式凝固が、少なくとも該シート状物の立
    毛面側から加熱するものである請求項5記載のシート状
    物の製造方法。
  7. 【請求項7】高分子弾性体Cが、水系エマルジョンであ
    る請求項5記載のシート状物の製造方法。
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