JP2003119676A - 伸縮性に優れた人工皮革の製造方法 - Google Patents

伸縮性に優れた人工皮革の製造方法

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JP2003119676A
JP2003119676A JP2001313742A JP2001313742A JP2003119676A JP 2003119676 A JP2003119676 A JP 2003119676A JP 2001313742 A JP2001313742 A JP 2001313742A JP 2001313742 A JP2001313742 A JP 2001313742A JP 2003119676 A JP2003119676 A JP 2003119676A
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Hiromichi Iijima
弘通 飯島
Masami Ikeyama
正巳 池山
Jun Hanaoka
純 花岡
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、伸縮性と製品表面の立毛耐久性を兼
ね備えた立毛調の人工皮革の製造方法を提供せんとする
ものである。 【解決手段】沸騰水中における収縮率が5%以下となる
繊維から形成されたウェブ(A)と該収縮率が15%以
上となる繊維から形成されたウェブ(B)とをウェブ
(A)がウェブ(B)をはさみ込むように積層し、ニー
ドルパンチ絡合処理を施した後に、収縮処理し、高分子
弾性体を付与し、湿式または乾式凝固せしめた後、厚み
方向に半裁し、ウェブ(A)が形成する表面を起毛処理
し、次いで液流染色機で100〜140℃の熱水処理を
行い、しかる後にウェブ(B)が主体で形成された絡合
層を除去することを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革
の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伸縮性に優れた立
毛を有する人工皮革の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、伸縮性に優れた人工皮革を得る製
造方法としては、特開昭48−18579号公報に記載
のごとく、非弾性繊維とポリウレタンを主体とする弾性
繊維を混繊または積層した不織布構造体とする方法、ま
た特公昭40−2792号公報、特開昭61−4174
2号公報、特公平1−41742号公報、特開平5−3
39863号公報においては、極細非弾性繊維とポリウ
レタンを主体とする極細弾性繊維が単独または同一の島
成分とした複合繊維を用いて不織布構造体とし、複合繊
維中の海成分を除去して極細非弾性繊維と極細弾性繊維
からなる構造体とした後、弾性繊維の一部を溶解または
膠着する方法が開示されている。
【0003】何れの技術にせよ極細弾性繊維が着色し難
い、極細弾性繊維が極細非弾性繊維と接着して風合いが
硬くなる、あるいはシート内部における接着コントロー
ルの難しさからくる起毛工程での切断斑による立毛長の
不均一が発生し、また安定した製品物性が得難く、最終
製品の伸縮性は得られるものの、製品の外観品位をも両
立することきは極めて困難であった。
【0004】また、特開昭62−110990号公報、
特開平7−145569号公報には、収縮率と結晶化度
の異なるポリエステル繊維を混繊または積層して不織布
として、弾性ポリマーの溶液を付与する方法が記載され
ているが、柔軟性や平滑性を得るには効果があるが、収
縮率の高い繊維によって絡合体が固定され十分な伸縮性
を得ることは困難である。また特願平11−10684
3号公報には、極細繊維からなる不織布にポリウレタン
を付与したシートを用い、液流染色機で熱水処理し、染
色温度+30℃の乾熱処理し、その後、染色する方法が
開示されているが、それなりの伸縮性は得られるもの
の、高温度による乾熱セットでポリウレタンの劣化やポ
リエステル繊維の発色性低下を誘発するもであった。
【0005】以上の如く、最終製品として伸縮性に優
れ、かつ耐摩耗性、製品の品位、風合い、発色性をも満
足する製造方法および人工皮革は未だ提供されていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、伸縮性に優れた人工皮革の製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、ついに本発明に到達
してものである。本発明の骨子は次の通りである。
【0008】沸騰水中における収縮率が5%以下となる
繊維から形成されたウェブ(A)と該収縮率が15%以
上となる繊維から形成されたウェブ(B)とをウェブ
(A)がウェブ(B)をはさみ込むように積層し、ニー
ドルパンチ絡合処理を施した後に、収縮処理し、高分子
弾性体を付与し、湿式または乾式凝固せしめた後、厚み
方向に半裁し、ウェブ(A)が形成する表面を起毛処理
し、次いで液流染色機で100〜140℃の熱水処理を
行い、しかる後にウェブ(B)が主体で形成された絡合
層を除去することを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革
の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、さらに詳
細に説明する。
【0010】本発明に用いられるウェブ(A)を形成す
る繊維形態は、単繊維または複合繊維の何れであっても
良い。単繊維及び複合繊維中の残存する極細繊維成分を
形成するポリマーとしては、例えばナイロン6、ナイロ
ン66、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミ
ド類、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたは
その共重合体類、ポリプロプレンテレフタレートまたは
その共重合体類などが挙げられる。中でも伸縮性、柔軟
性および立毛性状の観点から、特にポリプロピレンテレ
フタレート及びその共重合体類が好ましく用いられ、そ
の断面形状しては、特にバイメタル型、一成分が露出し
た偏心型などが伸縮性を発現する上で好ましく用いられ
る。これらのポリマーに耐光剤、顔料、艶消し剤、制電
剤、難燃剤などの添加剤を含有せしめたものであっても
よい。
【0011】ポリプロプレンテレフタレートとしては、
テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3プロパンジオ
ールを主たるグリコール成分として得られるポリエステ
ルである。だだし、20モル%、より好ましくは10%
以下の割合で、他のエステル結合の形成可能な共重合成
分を含むものであっても良い。
【0012】なお、この場合、共重合可能な化合物とし
ては、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸など
のジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例え
ばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジ
メタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールなどを挙げることができるが、これらに限ら
れるものではない。
【0013】また、ポリプロプレンテレフタレートの極
限粘度は、0.5以上1.2以下であることが好まし
い。0.5未満では紡糸時の繊度ムラや糸切れが発生し
易く、1.2を越えると溶融粘度が高すぎて紡糸性が低
下する。より好ましいPPTの極限粘度としては、0.
8以上1.0以下である。
【0014】ウェブ(A)が複合繊維の場合のポリマー
組み合わせとしては、残存する極細繊維を形成するポリ
マーと溶剤溶解性を異にするポリマーが好ましく、例え
ば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ア
ルカリ可溶型の共重合ポリエステル類、ポリ乳酸などが
挙げられ、残存する極細繊維形成ポリマーとの製糸性を
考慮して、かつ、ウェブ(B)の繊維との組み合わせを
考慮して選択すれば良い。
【0015】本発明で言う沸騰水中での収縮率とは、繊
維に一定荷重(繊維トータルdtex/20g)を掛
け、2分間後の長さ(L1)を測定した後、荷重を外し
てフリーの状態で沸騰水中に2分間浸漬し、風乾した
後、一定荷重(繊維トータルdtex/20g)を掛
け、2分間後の長さ(L2)を測定し、次に示した式に
基づいて算出した値である。
【0016】 収縮率(%)=[(L1−L2)/L1]×100 本発明のポイントの一つは、ウェブ(A)を形成する繊
維の有する収縮率を5%以下、好ましくは3%以下と極
めて低くすることが重要である。積層構造のフェルトに
したときの沸騰水中でのウェブ(A)の絡合層におい
て、収縮率が5%を越えるとウェブ(A)を形成する繊
維の長さ方向の挫屈形成性が低下し、結果として最終製
品の伸縮性が低下するので好ましくない。
【0017】一方、本発明に用いられるウェブ(B)を
形成する繊維としては、単繊維または複合繊維の何れで
あっても良い。単繊維及び複合繊維中の残存する極細繊
維成分を形成するポリマーとしては、例えばナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなど
のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、共重合
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ートまたはその共重合体類、ポリプロプレンテレフタレ
ートまたはその共重合体類などが挙げられる。極力、単
繊維および複合繊維の収縮率を高める組み合わせが好ま
しい。
【0018】複合繊維の場合のポリマー組み合わせとし
ては、残存する極細繊維を形成するポリマーと溶剤溶解
性を異にするポリマーが好ましく、例えば、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アルカリ可溶型の
共重合ポリエステル類、ポリ乳酸などが挙げられ、残存
する極細繊維形成ポリマーとの製糸性を考慮して、か
つ、ウェブ(A)の繊維との組み合わせを考慮して選択
すれば良い。
【0019】本発明の次なるポイントは、ウェブ(B)
を形成する繊維の収縮率が15%以上、好ましくは20
%以上となるように、ウェブ(A)を形成する繊維の有
する収縮率より極めて高くすることが重要である。収縮
率が15%未満となると後述する(A)−(B)−
(A)と積層し、ニードルパンチ絡合処理したフェルト
の面積収縮が低下し、ウェブ(A)を形成する繊維の長
さ方向の挫屈形成性が低下し、結果として最終製品の伸
縮性が低下するので好ましくない。
【0020】ウェブ(A)、ウェブ(B)を形成する単
繊維または複合繊維中の残存成分である繊維の繊度とし
ては、最終製品の表面タッチ、柔軟性、スェード効果な
どを得ようとする1dtex以下、好ましくは0.5d
tex以下、より好ましくは0.1dtex以下がよ
い。
【0021】上記の繊維をカード・クロスラッパー或い
はランダムウェッバーなどを用いて別々にウェブを形成
し、ウェブ(A)−(B)−(A)の順に重ね合わせて
ニードルパンチ絡合処理を施す。ウェブ(A)と(B)
との割合としては、20/80〜70/30重量%、好
ましくは30/70〜60/40重量%が良い。これら
の範囲を逸脱すると収縮処理で発現するウェブ(A)を
形成する繊維の長さ方向の挫屈形成性が低下し、また、
ウェブ(A)を形成する繊維量が少ないと最終製品での
平滑性が低下するので好ましくない。
【0022】このときのフェルト目付としては、狙いと
する最終製品によって異なるが、繊維(A)の単繊維ま
たは複合繊維中の残存成分である極細繊維の挫屈形成性
を高める観点から、ニードルパンチ密度300本/cm
2 〜3000本/cm2 の範疇で、目付としては400
g/m2 〜1000g/m2 が好ましい。ニードルパン
チ密度があまりにも高くなりすぎると、ウェブ(A)を
主体とする絡合層中において、ウェブ(B)との絡合が
強固になり、最終製品としての伸縮性が低下する傾向に
ある。
【0023】フェルトの収縮方法は熱水、スチーム、熱
風の何れであってもよい。
【0024】また、この収縮処理したフェルトは、最終
製品の表面立毛の緻密性をあげるための緻密化処理、例
えばヒートプレス、ウェットプレスまたはこれらの組み
合わせプレス、製品の柔軟性を付与するために形態固定
剤、例えばポリビニールアルコール、澱粉などの付与を
行っても本発明の効果が損なわれるものではない。
【0025】これらの加工を行ったフェルトは、形成繊
維が単繊維同士の場合はそのまま高分子弾性体を含浸す
ればよいが、ウェブ(A)−(B)が複合繊維−複合繊
維、単繊維−複合繊維または、この逆の積層組み合わせ
の場合は、複合繊維の極細化処理としては、例えば海島
型だあり除去成分がポリスチレン、ポリエチレンなどの
ときは、熱トリクレン、熱トルエンにより溶解除去し、
また、アルカリ可溶型ポリマーの場合は、適切な濃度、
温度制御されたアルカリ水溶液中で溶解除去し、この
後、高分子弾性体を含浸し、乾式または湿式方式にて高
分子弾性体を凝固する。
【0026】また、高分子弾性体を付与するタイミング
は、フェルトが複合繊維の状態にあるときに含浸し、乾
式または湿式方式にて高分子弾性体を凝固し、その後、
極細化処理を施しても良い。風合いの柔軟性、伸縮性を
付与する上で好ましい場合もある。
【0027】高分子弾性体としては、ポリウレタン弾性
体、アクリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジ
エン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンなどの合成
ゴムなどが挙げられ、人工皮革の柔軟性、風合などの観
点から、ポリウレタン弾性体が好ましく用いられる。
【0028】ポリウレタン弾性体としては、平均分子量
500から3000のポリエステルジオール、ポリエー
テルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ば
れた少なくとも一種類のポリマージオールを含んだもの
が良く、中でも製品の強力、耐摩耗など長期耐久性の観
点からポリカーボネートジオールを30重量%以上90
重量%以下含むポリマージオールからなるポリウレタン
が特に好ましい。30重量%未満では耐久性が不十分、
90重量%を越えると製品風合いが硬くなり好ましくな
い場合がある。
【0029】更に必要に応じて、着色剤、酸化防止剤、
制電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗
菌剤、防臭剤などの添加剤を高分子弾性体中に配合させ
てもよい。
【0030】高分子弾性体の付量としては、対繊維あた
り15〜70重量%、好ましくは25〜50重量%がよ
い。15重量%未満の場合は伸縮性、柔軟性は良くて
も、伸長回復率および製品の耐久性が低下し、70重量
%を越えると逆の効果が発生し易い。この高分子弾性体
が付与された(A)−(B)−(A)の絡合体を厚み方
向に半裁(厚さ方向で、約1/2厚さになる如くスライ
ス裁断すること)し、少なくともウェブ(A)が主体に
絡合している表面をサンドペーパーなどで起毛処理す
る。
【0031】次いで、この立毛シートを液流染色機で1
00〜140℃の熱水処理を行う。液流染色機中でしご
き、揉み効果によりシートがほぐれ、シートを形成して
いる高収縮率を有する繊維(B)の残存収縮率により、
シートを更に収縮させ、かつ、その構造を高温湿熱中で
形態をセットすることが可能である。染色仕上げ上がり
の対生機当たりの面積保持率としては、90%以下、好
ましくは85%以下とするのが伸縮性を高めるのに良
い。処理温度が100℃未満であるとシートの収縮性が
上がらず、かつ、挫屈形態の湿熱セットが不十分とな
り、140℃を越えると高分子弾性体の劣化が発生しや
すくなる。この工程は染色を兼ねて行ってもよい。
【0032】次に、この二層構造シートのウェブ(B)
が主体として形成されている絡合層を除去する。除去方
法としては、サンドペーパーによる研削、スライス装置
などが好ましく用いられる。
【0033】かくして得られたシートは、主として挫屈
した繊維(A)が形成する絡合層だけとなり、伸縮性の
高い人工皮革を得ることが可能となるものである。
【0034】
【実施例】以下に本発明を実施例にて詳細に説明する。
【0035】実施例における伸長率および伸長回復率
は、以下に示す方法で測定したものである。 <極限粘度>オルソクロロフェノール10mlに対し、
試料0.1gを溶解し、温度25℃において、オストワ
ルド粘度計を用いて測定したものである。 <伸長率>5cm×約30cmのサンプルを長さ方向、
幅方向にそれぞれ3枚ずつ採取し、定速伸長型引張試験
機を用い、つかみ間隔を20cmとし、引張速度20c
m/minで1.8kgまで引き伸ばし、その時のつか
み間隔を測り、次の式により伸長率(%)を求め、3枚の
平均値を表す。
【0036】伸長率(%)=(L1−L)/L×100 L :つかみ間隔 L1:1.8kgまで引き伸ばしたときのつかみ間隔 <伸長回復率>5cm×約30cmのサンプルを長さ方
向、幅方向にそれぞれ3枚ずつ採取し、定速伸長型引張
試験機を用い、つかみ間隔を20cmとし、次に上記の
方法で別に求めた伸長率の80%まで伸ばして、1分間
放置した後、同じ速度で元の位置まで戻し3分間放置す
る。この動作を5回繰り返した後に、サンプルの重さと
同等の荷重まで引き伸ばしたときの伸びを5回繰り返し
伸長後の残留伸びとし、次の式により伸長回復率(%)を
求め、3枚の平均値を表す。
【0037】 伸長回復率(%)=(L2−L3)/L2×100 L2:伸長率の80%の伸びに相当するチャート上の長
さ L3:5回繰り返し伸長後の残留伸びに相当するチャー
ト上の長さ <耐摩耗性>直径4.5cmのサンプルを採取し、島津
製作所製のシーファー織物摩耗試験機を用い、その立毛
面をブラシ長さ1.1mm、直径0.4mmのナイロン
糸を100本揃えて束とし、該束を直径110cmの円
内に6重の同心円状に97個配置し、計9700本植え
た円形ブラシに重さ3628.8gの荷重を加え、ブラ
シ回転速度65rpmで、サンプル回転速度62rpm
で45回転させた後の重量減少を測定した。評価基準は
下記のようにした。
【0038】○:摩耗減量が15mg以下である。
【0039】△:摩耗減量が15〜25mgの範囲内で
ある。
【0040】×:摩耗減量が25mg以上である。<柔
軟性>ランダムに選出した5人の官能評価で、評価基準
は下記のようにした。
【0041】○:柔らかい。△:やや硬い。×:硬い。 <表面タッチ>ランダムに選出した5人の官能評価で、
評価基準は下記のようにした。
【0042】○:平滑性がありザラツキ感がない。
【0043】△:平滑性はあるがややザラツキがある。
【0044】×:平滑性が劣り、ザラツキ感がきつい。 実施例1 ウェブ(A)を形成する繊維として、海島型の高分子相
互配列体複合の島成分が極限粘度が0.71ポリエチレ
ンテレフタレート、海成分がポリスチレで、島/海成分
比率=70/30重量%、カット長51mm、複合繊度
3.5dtex、島数36本の捲縮が付与されたステー
プルを準備した。このステープルを沸騰水中で収縮させ
た後、追油し、50℃で乾燥した。このステープルの収
縮率は、2%と極めて低いものであった。
【0045】一方、ウェブ(B)を形成する繊維とし
て、海島型の高分子相互配列体複合の島成分に実施例1
と同じポリエチレンテレフタレート、海成分が2エチル
ヘキシルアクリレートを共重合したポリスチレを用いた
島/海成分比率=50/50重量%、カット長51m
m、複合繊度3.0dtex島数36本の捲縮が付与さ
れたステープルを準備した。このステープルの収縮率は
30%と極めて高いものであった。
【0046】上記のステープル(A)、(B)を別々に
カード・クロスラッパに通し、(A)と(B)の割合が
57/43重量%となるように、目付175g/m2
ウェブ(A)と目付260g/m2 の(B)を作成し、
(A)−(B)−(A)となるように積層し、針密度2
500本/cm2 のニードルパンチを施しフェルト加工
した。
【0047】次いで、このフェルトを沸騰水中で収縮処
理し、熱風乾燥した。この収縮フェルトにポリビニール
アルコールを付与し、乾燥した後、トリクロロエチレン
で海成分を溶解除去し、乾燥した。しかる後、この極細
化処理されたシートにDMFで希釈したポリエステル・
ポリエーテル系ポリウレタン溶液を対極細繊維当たり3
5部になるように付与し、湿式凝固させた後、湯洗して
乾燥した。
【0048】このシートを厚み方向に約1/2に半裁し
た後、ウェブ(A)を積層した面をサンドペーパーのC
/#180で起毛処理し目付290g/m2 の生機を得
た。
【0049】このシートをサーキュラー染色機を用い、
125℃で分散染料でブラウン系に染色し、仕上げ剤を
付与した後、タンブラー揉み機に通し、乾燥と同時に柔
軟加工処理を行った。処理後のシートの面積保持率は、
生機に対し85%であった。
【0050】次いで、この染色されたシートのウェブ
(B)が積層された面をサンドペーパーのC/#240
で研削処理し、目付170g/m2 の立毛調の人工皮革
を得た。
【0051】かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長
回復率、耐摩耗性、柔軟性および表面タッチを測定、評
価したところ、下記の表1に示す通りであった。 実施例2 ウェブ(A)を形成する繊維として、島成分がバイメタ
ル構造を形成する海島型の高分子相互配列体口金を使用
し、島成分に1,3プロパンジオールを用いた極限粘度
が0.89のポリプロピレンテレフタレートと極限粘度
が0.68のポリエチレンテレフタレートを成分比率が
ポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタ
レート=50/50重量%とし、海成分は実施例1と同
じポリスチレで、島/海成分比率=70/30重量%、
カット長51mm、複合繊度3.5dtex、島数36
本の捲縮が付与されたステープルを準備した。
【0052】このステープルを沸騰水中で収縮させた
後、追油し、50℃で乾燥した。このステープルの収縮
率は、1%と極めて低いものであった。
【0053】一方、ウェブ(B)を形成する繊維とし
て、実施例1で用いたステープルを準備した。
【0054】上記のステープル(A)、(B)を別々に
カード・クロスラッパに通し、実施例1と同条件で積
層、ニードルパンチを施しフェルト加工した。
【0055】次いで、このフェルトを実施例1と同様に
収縮、ポリビニールアルコール付与、海成分除去を行い
乾燥した。
【0056】しかる後、この極細化処理されたシートに
ポリマージオールとして、分子量2000のポリヘキサ
メチレンカーボネートジオールと、分子量2000のポ
リテトラメチレングリコールの70:30重量%の混合
物、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニールメ
タンジイソシアネート、鎖伸長剤としてメチレンビスア
ニリンを用いて重合されたポリウレタンをDMFで希釈
し、対極細繊維当たり30部となるように付与し、湿式
凝固させた後、湯洗して乾燥した。このシートを厚み方
向に約1/2に半裁した後、実施例1と同様に起毛処理
し、目付280g/m2 の生機を得た。
【0057】このシートをサーキュラー染色機を用い、
実施例1と同じ条件で染色、仕上げ、柔軟処理を行っ
た。処理後のシートの面積保持率は、生機に対し82%
であった。
【0058】次いで、この染色されたシートを実施例1
と同様に研削処理し、目付170g/m2 の立毛調の人
工皮革を得た。
【0059】かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長
回復率、耐摩耗性、柔軟性および表面タッチを測定、評
価を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。 比較例1 ウェブ(A)を形成する繊維として、実施例1の島成分
と海成分を用い、島/海成分比率=60/40重量%と
した以外は、実施例1と同じくしたステープルを準備し
た。このステープルの収縮率は、22%であった。
【0060】一方、ウェブ(B)を形成する繊維として
は、実施例1と同じステープルを用い、このステープル
(A)、(B)を別々にカード・クロスラッパに通し、
実施例1と同条件で積層、ニードルパンチ絡合処理を行
いフェルトを加工した。
【0061】次いで、このフェルトを実施例1と同様の
加工処理を行い、目付290g/m 2 の生機を得た。
【0062】このシートを実施例1と同様に染色、仕上
げ処理を行った。処理後のシートの面積保持率は、生機
に対し98%であった。
【0063】次いで、この染色されたシートのウェブ
(B)が積層された面をサンドペーパーのC/#240
で研削処理し、目付165g/m2 の立毛調の人工皮革
を得た。
【0064】かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長
回復率、耐摩耗、柔軟性および表面タッチを測定、評価
性を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。 比較例2 実施例1で用いたウェブ(A)を形成する繊維とウェブ
(B)を形成する繊維を57/43重量%となるように
混繊し、カード・クロスラッパーでウェブとし、実施例
1と同条件でニードルパンチ絡合処理を行った。
【0065】次いで、このフェルトを実施例1と同様の
加工処理を行い、目付290g/m 2 の生機を得た。
【0066】このシートを実施例1と同様に染色、仕上
げ処理を行った。処理後のシートの面積保持率は、生機
に対し99%であった。
【0067】次いで、この染色されたシートの半裁面を
実施例1と同様に研削処理し、目付175g/m2の立
毛調の人工皮革を得た。
【0068】かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長
回復率、耐摩耗、柔軟性および表面タッチを測定、評価
性を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。 比較例3 実施例1の半裁したシートを用いて、ウェブ(A)を主
体とした絡合層とウェブ(B)を主体とした絡合が残存
するように、両面をサンドペーパーのC/#180で起
毛処理し、目付190g/m2 の生機を得た。
【0069】このシートを実施例1と同様に染色、仕上
げ、柔軟処理を行い、目付195g/m2 の立毛調の人
工皮革を得た。処理後のシートの面積保持率は、生機に
対し89%であった。
【0070】かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長
回復率、耐摩耗性、柔軟性および表面タッチを測定、評
価したところ、下記の表1に示す通りであった。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、伸縮性と立毛表面の耐
久性を併せ持つ立毛調の人工皮革を提供することができ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA02 BA12 DA07 EA04 EA12 EA16 EA24 EA34 FA20 GA02 HA03 HA05 HA11 HA22

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沸騰水中における収縮率が5%以下となる
    繊維から形成されたウェブ(A)と該収縮率が15%以
    上となる繊維から形成されたウェブ(B)とをウェブ
    (A)がウェブ(B)をはさみ込むように積層し、ニー
    ドルパンチ絡合処理を施した後に、収縮処理し、高分子
    弾性体を付与し、湿式または乾式凝固せしめた後、厚み
    方向に半裁し、ウェブ(A)が形成する表面を起毛処理
    し、次いで液流染色機で100〜140℃の熱水処理を
    行い、しかる後にウェブ(B)が主体で形成された絡合
    層を除去することを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革
    の製造方法。
  2. 【請求項2】ウェブ(A)が、ポリプロピレンテレフタ
    レートまたはその共重合体を用いた繊維であることを特
    徴とする請求項1に記載の伸縮性に優れた人工皮革の製
    造方法。
  3. 【請求項3】高分子弾性体が、ポリカーボネートジオー
    ルを30重量%以上90重量%以下含むポリマージオー
    ルを用いたものであることを特徴とする請求項1または
    2に記載の伸縮性に優れた人工皮革の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102416750A (zh) * 2011-08-15 2012-04-18 浙江科一合成革有限公司 喷淋式注水设备以及注水式双镜贴合方法

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