JP2000336527A - 多成分系繊維およびそれを用いた皮革様シート - Google Patents
多成分系繊維およびそれを用いた皮革様シートInfo
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Abstract
性、表面外観に優れた天然皮革ライクなスエード調又は
銀面層付の皮革様シートおよびそれに用いられる繊維を
提供する。 【解決手段】 結晶性ポリエステルからなる極細繊維と
結晶性のブロック共重合体からなる超極細繊維からなる
繊維束から構成された絡合不織布からなり、該極細繊維
および該超極細繊維の繊度,配置,組成比等が特定の関
係を満たし、かつ表面に極細繊維立毛を有するか、ある
いは銀面層を有している皮革様シート。
Description
ドレープ性及び表面外観に優れた皮革様シートおよびそ
の製造方法、それに用いられる多成分系繊維に関するも
のである。
して、高分子弾性体を付与した不織布基体の表面に極細
繊維立毛を存在させたものが知られている。しかし、こ
の皮革様シートは、天然皮革と比較すると充実感に劣
り、反発感が強くドレープ性が低い。さらに表面の立毛
の均一さについても劣り、その結果、表面外観において
も見劣りする。しかも、このような方法の場合、不織布
基体に付与する高分子弾性体としてポリウレタンが一般
に用いられ、ポリウレタンはジメチルホルムアミドで代
表される極性の有機溶剤に溶解し、この溶液を不織布に
多量に含浸し、湿式凝固してポリウレタンを不織布に付
与する方法が用いられている。このような方法に溶媒と
して用いられているジメチルホルムアミドは人体に有害
であり、環境汚染の問題を有している。このような問題
点を解消する技術として、高分子弾性体を用いることな
く繊維のみで形成されたより天然皮革の構造に近い皮革
様シートが提案されている。例えば特開昭61−201
086号公報には、非弾性ポリマーからなる極細繊維
(A)および弾性ポリマーからなる極細繊維(B)を発
生させる海島型複合繊維からなる不織布から海成分を
除去する工程、弾性ポリマーを溶融あるいは溶解させ
る工程を含む皮革様シートの製造方法が記載されてい
る。しかしながら、この方法で製造される皮革様シート
は、柔軟性と充実感のバランスに優れた風合いにするの
が難しい。さらにこの方法の場合には、弾性ポリマーを
溶解し繊維間の接着を行う工程と海成分を除去する工程
とが別々にあるため効率の点においても良くない。また
特開平10−37057号公報には、芯部がポリエステ
ルエラストマー、鞘部が該ポリエステルエラストマーよ
りも高い融点を有するポリエステルまたはポリアミドを
島成分とし、オレフィン系ポリマーを海成分として配し
たブレンド組成物からなる芯鞘型の複合繊維を用い、芯
部のポリエステルエラストマーをバインダー成分として
利用する皮革様シート基布の製造方法が提案されてい
る。しかしながら、このような方法で製造された人工皮
革は、充実感に劣る布帛ライクなものであるか、硬いペ
ーパ−ライクなものしか得られない。定かではないが、
芯部に熱融着性成分を配しているため、ポリオレフィン
系ポリマーを除いた後に発生する繊維束内のポリエステ
ルエラストマーとポリエステルまたはポリアミドは十分
に熱融着するが、繊維束間の熱融着が不十分となり、そ
の結果充実感に劣る布帛ライクなものとなり、融着条件
などの変更により繊維束間の熱融着を増大させようとす
ると繊維束内の熱融着が激しくなり、柔軟性に劣るペー
パーライクなものしか得られないことが原因であると推
測される。
技術のように多量のポリウレタン極性有機溶媒溶液を用
いる必要のない、繊維のみ又は繊維および少量の樹脂で
形成され、構造および充実感、柔軟性、表面外観などの
風合いが天然皮革に近い皮様シートを提供することであ
る。さらにクロムなどの重金属を含有しない分散染料で
染色できる環境対応型の皮革様シートを提供することで
ある。
発明者らは鋭意研究を重ねた結果、主体となる極細繊維
を超極細繊維により固定するという基本的技術思想を用
いたならば上記目的が達成できる場合があることを見出
し、そして、その際の、極細繊維および超極細繊維を形
成する樹脂の特性、極細繊維および超極細繊維を発生す
る多成分系繊維中のこれら極細繊維および超極細繊維の
島本数、主体繊維となる極細繊維およびバインダー繊維
となる超極細繊維の太さおよび本数比、主体繊維となる
極細繊維とバインダー繊維となる超極細繊維の比率など
が重要であり、これらを特定のもの、特定の値とするこ
とにより上記目的が達成されることが見出した。
とバインダーとなる超極細繊維を接着する方法として、
極細繊維と超極細繊維を発生する特定の複合繊維(多成
分系繊維)からなる不織布から、有機溶剤で抽出成分を
除去する際に、同時に超極細繊維を有機溶剤で膨潤させ
て部分的に接着させる方法であり、これにより柔軟性を
保持しながらかつ極細繊維を接着でき、充実感と柔軟性
が両立できる。
られる特定の繊維に関するものであり、つまり、繊維断
面が海島構造を有し、該島成分が結晶性ポリエステル
(A)、該海成分が抽出可能な樹脂(B)からなる分散
媒成分中に結晶性のブロック共重合体(C)からなる分
散成分が存在している混合体から構成され、かつ下記条
件(1)〜(4) (1)ブロック共重合体(C)が、芳香族ポリエステル
からなるハードブロックと、脂肪族ポリエーテル、脂肪
族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリ
エーテルエステル、脂肪族ポリエステルカーボネートの
少なくとも1つからなるソフトブロックからなり、かつ
融点が180℃以上であり、さらに結晶融解熱が15〜
42J/gの範囲にあること、(2)該繊維中における
結晶性ポリエステル(A)/ブロック共重合体(C)の
重量比が95/5〜50/50であること、(3)繊維
断面における結晶性ポリエステル(A)からなる島の本
数が5以上であり、かつ個々の島の太さが0.01〜
0.2デニールであること、(4)繊維断面におけるブ
ロック共重合体(C)の島の本数が25以上であり、か
つ結晶性ポリエステル(A)からなる島の本数の5倍以
上であること、を満たしている多成分系繊維である。
革様シートを製造する方法に関するものであり、つま
り、このような多成分系繊維から不織布を形成し、得ら
れた不織布から該多成分系繊維中の樹脂(B)を抽出除
去し、そして該不織布表面を毛羽立てるか、または該不
織布表面に樹脂層を形成することからなる皮革様シート
の製造方法である。
造される皮革様シートに関するものであり、つまり、結
晶性ポリエステル(A)からなる極細繊維および結晶性
のブロック共重合体(C)からなる超極細繊維から構成
された繊維束からなる皮革様シートであって、該繊維束
が以下の条件(1)〜(4) (1)ブロック共重合体(C)が、芳香族ポリエステル
からなるハードブロックと、脂肪族ポリエーテル、脂肪
族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリ
エーテルエステル、脂肪族ポリエステルカーボネートの
少なくとも1つからなるソフトブロックからなり、かつ
融点が180℃以上であり、さらに結晶融解熱が15〜
42J/gの範囲にあること、(2)繊維束断面におけ
る結晶性ポリエステル(A)/ブロック共重合体(C)
の重量比が95/5〜50/50であること、(3)繊
維束断面における結晶性ポリエステル(A)からなる極
細繊維の本数が5以上であり、かつ個々の極細繊維の太
さが0.01〜0.2デニールであること、(4)繊維
束断面におけるブロック共重合体(C)からなる超極細
繊維(バンダー繊維と称することがある)の本数が25
以上であり、かつ結晶性ポリエステル(A)からなる極
細繊維(主体繊維と称することがある)の本数の5倍以
上であること、を満足していることを特徴とする皮革様
シートである。
する。まず図1に本発明の多成分系繊維の横断面の1例
を示す。同図において、1が島成分でかつ主体繊維とな
る結晶ポリエステル(A)で、2が分散成分でかつバイ
ンダー繊維となるブロック共重合体(C)で、3が分散
媒成分でかつ抽出可能な樹脂(B)である。本発明の皮
革様シートは、このような多成分系繊維からなる不織布
から、該繊維を構成している海成分の分散媒成分を溶剤
で抽出するが、この抽出工程で、溶剤で超極細繊維(以
下バインダー繊維と称す)を構成する結晶性のブロック
共重合体(C)を膨潤させ、不織布を押圧することによ
り極細繊維(A)(以下主体繊維と称す)とバインダー
繊維、またはバインダー繊維同士を部分的に接着させ繊
維束間を固定する。しかし、繊維束間、繊維束内で、必
要以上に接着が起こるとペーパーライクなシートなる。
天然皮革ライクな充実感、柔軟性、表面外観を達成する
ためには、繊維束間、繊維束内で適度に接着することが
重要である。この点において、バインダー繊維を構成す
る樹脂が重要である。それと共に、主体繊維を構成する
樹脂も重要である。
は、バインダー繊維との適度な接着性、分散染料で染色
可能であること等より結晶性ポリエステルが用いられ
る。その具体例としては、テレフタル酸単位、2,6−
ナフタレンジカルボン酸単位などのジカルボン酸単位と
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレン
グリコールなどのグリコール単位を組み合わせたポリエ
ステル系重合体が挙げられる。
位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位とともに少量
の他のジカルボン酸単位やオキシカルボン酸単位を有し
ていてもよい。他のジカルボン酸単位、オキシカルボン
酸単位としてはイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナト
リウム、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン
ジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−
オキシ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸や芳香族オキシ
カルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂環式
ジカルボン酸などからなる単位を挙げることができる。
のグリコール単位と共に少量の他のグリコール単位を有
していても良い。他のグリコール単位としてはシクロヘ
キサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのジオー
ル;ポリオキシアルキレングリコール単位などを挙げる
ことができる。
造を実質的に損なわない範囲内でトリメリット酸などの
ポリカルボン酸;グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールなどのポリオールが用いられ
ていてもよい。
ち、皮革様シートの染色堅牢性、耐久性などをより良好
にする点から、ガラス転移温度が50℃以上、特に60
℃以上である結晶性ポリエステルが好ましい。なおガラ
ス転移温度は、示差熱量計(DSC)により測定され
る。さらに、本発明に用いられる多成分系繊維は、上記
結晶性ポリエステル(A)と結晶性のブロック共重合体
(C)を複合紡糸するが、結晶性のブロック共重合体
(C)の紡糸時の耐熱安定性の観点から、紡糸温度は2
90℃以下であることが好ましい。そのような好ましい
結晶性ポリエステルとして、ポリエステルの構成単位で
あるグリコール単位の80モル%以上がエチレングリコ
ール単位およびジカルボン酸単位の80モル%以上がテ
レフタル酸単位で構成され、さらに好ましくはグリコー
ル単位がエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位
がテレフタル酸単位とイソフタル酸単位またはフタル酸
単位との混合物であり、かつテレフタル酸単位とイソフ
タル酸単位またはフタル酸単位とのモル比が95/5〜
85/15の範囲である結晶性ポリエステルが挙げられ
る。すなわちポリエチレンテレフタレートまたはポリエ
チレンテレフタレート系の共重合体であり、特にイソフ
タル酸および/またはフタル酸が共重合されたポリエチ
レンテレフタレート系共重合体が好ましく、後者のイソ
フタル酸および/またはフタル酸が共重合されたポリエ
チレンテレフタレート系共重合体を用いると、さらに主
体繊維とバインダー繊維との接着の制御が容易となり、
充実感、柔軟性、表面外観等の風合いに優れた皮革様シ
ートが得られる。
は、フェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒(1/
1重量比)中で30℃で測定した時に、0.50〜1.
00dl/gの範囲であることが好ましい。さらに好ま
しくは、0.55〜0.80dl/gの範囲である。結
晶性ポリエステルの固有粘度が0.50dl/g未満の
場合は、皮革様シートの機的物性が劣り好ましくない。
また、1.00dl/gを越えると、本発明の多成分系
繊維の紡糸性が低下するため好ましくない。
感、柔軟性、表面外観を達成するためには、繊維束間、
繊維束内で適度に接着することが重要である。この目的
を達成するためには、本発明のバインダー繊維を構成す
る結晶性のブロック共重合体の選択が重要である。多成
分系繊維で構成される不織布から、多成分系繊維の海成
分中の分散媒成分(B)を抽出除去する際に、抽出に用
いる溶剤で、結晶性のブロック共重合体の大部分は溶解
することなく膨潤し、さらに繊維束間、繊維束内で一端
接着した接着点は容易に剥離しないことが重要である。
このような条件を満たす結晶性のブロック共重合体とし
ては、ポリエステル系のブロック共重合体で、かつ融点
が180℃以上、結晶融解熱が15〜42J/gの範囲
にあるブロック共重合体が挙げられる。
ては、芳香族ポリエステルからなるハードブロックと、
脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリ
カーボネート、脂肪族ポリエーテルエステル、脂肪族ポ
リエステルカーボネートの少なくとも1つからなるソフ
トブロックとで構成されるブロック共重合体である必要
がある。
に説明する。ハードブロックを構成する芳香族ポリエス
テルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタテート、
ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレー
ト、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。皮革
様シートの充実感、柔軟性、表面外観により優れた皮革
様シートが得られる点から、さらに好ましくはポリエチ
レンテレフタレートである。ハードブロックがポリエチ
レンテレフタレートで、かつ主体繊維がポリエチレンテ
レフタレート又はポリエチレンテレフタレートを主体と
する共重合体である場合には、特に皮革様シートの充実
感、柔軟性、表面外観が優れたものとなる。
カルボン酸単位、ジオール単位、オキシカルボン酸単
位、3官能以上のポリカルボン酸単位、ポリオール単位
が共重合されていてもよく、そのような例としては、主
体繊維を構成する結晶性ポリエステルで記述したものと
同様なものが挙げられる。ハードブロックを構成する結
晶性ポリエステルのブロック鎖長としては、平均分子量
1000〜8000が好ましく、特に1200〜500
0が好ましい。
フトブロックとして用いられる脂肪族ポリエーテル、脂
肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポ
リエーテルエステル、脂肪族ポリエステルカーボネート
についてさらに詳細に説明する。
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキ
レングリコールを挙げることができる。
肪族ジカルボン酸単位とジオール単位から主としてなる
ポリエステルや脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位からな
るポリエステルなどを挙げることができる。脂肪族ポリ
エステルを構成する脂肪族ジカルボン酸単位としては、
例えば、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3
−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メ
チルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,
7−ジメチルデカン二酸などから誘導される単位を挙げ
ることができ、これらのうち1種または2種以上を含ま
せることができる。また、上記の脂肪族ジカルボン酸単
位の他に、必要に応じて、シクロヘキサンジカルボン酸
などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、
イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などから誘導さ
れる単位を含んでいてもよい。さらに、上記したジカル
ボン酸単位と共に、少量(好ましくは全ジカルボン酸単
位の1モル%以下)であれば、トリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸などの3官
能以上の多価カルボン酸から誘導される単位を含んでい
てもよい。脂肪族ポリエステルを構成するジオール単位
としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11
−モノデカンジオール、1,12−ドデカンジオールな
どの直鎖状の脂肪族ジオール;1,2−プロパンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペン
チルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパン
ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパン
ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2
−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐を有す
る脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シク
ロヘキサンジオールなどの脂環式ジオールから誘導され
る単位を挙げることができ、これらのうち1種または2
種以上を含ませることができる。上記のジオール単位以
外に、必要に応じて、1,4−ビス(β−ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、p−キシレングリコールなどの芳香
族ジオールなどから誘導される単位を含ませることがで
きる。さらに、上記したジオール単位と共に、少量(好
ましくは全ジオール単位の1モル%以下)であれば、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセ
リン、1,2−ヘキサントリオール、ペンタエリスリト
ールなどの3官能以上の多価アルコールから誘導される
単位を含んでいてもよい。
族ヒドロキシカルボン酸単位としては、例えば、ε−ヒ
ドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシエナント酸、7−
ヒドロキシカプリル酸などから誘導される単位を挙げる
ことができ、これらのうち1種または2種以上を含ませ
ることができる。
ば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレン
カーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネ
ート化合物との反応により得られる。脂肪族ポリカーボ
ネートに用いられるポリオールとしては、脂肪族ポリエ
ステルの構成成分として先に例示したポリオールを用い
ることができる。また、ジアルキルカーボネートとして
はジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど
を、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネ
ートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニ
ルカーボネートなどを挙げることができる。
えば、脂肪族ポリエーテルポリオールと脂肪族ポリカル
ボン酸との反応により得ることができる。この脂肪族ポ
リエーテルポリオールとしては脂肪族ポリエーテルで先
に例示したポリオールを用いることができ、脂肪族ポリ
カルボン酸としては脂肪族ポリエステルの構成成分とし
て先に例示した脂肪族ジカルボン酸を挙げることができ
る。
は、例えば、脂肪族ポリオール、脂肪族ポリカルボン
酸、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネー
ト、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物
との反応により得られる。脂肪族ポリオール、脂肪族ポ
リカルボン酸としては、脂肪族ポリエステルの構成成分
として先に例示した脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオー
ルを挙げることができる。
て、平均分子量500〜5000、特に800〜300
0の範囲のものが好適に用いられる。本発明の結晶性の
ブロック共重合体は、融点が180℃以上、結晶融解熱
が15〜42J/gの範囲にあることが重要である。好
ましくは、融点が190℃以上、結晶融解熱が18〜4
0J/gの範囲である。この条件が満たされる時、繊維
束内、繊維束間で適度な接着を有し、得られる皮革様シ
ートの柔軟性、充実感が両立した風合いとなる。融点が
180℃未満の場合には、繊維束内、繊維束間の接着が
激しくなり得られる皮革様シートがペーパーライクとな
る。また結晶融解熱が15J/g未満の場合には、同様
に接着が激しくなり得られる皮革様シートがペーパーラ
イクとなり、一方42J/gを越える場合には、接着が
不十分となり、皮革様シートが布帛ライクとなる。融
点、結晶融解熱の測定方法は、下記の実施例の項に記し
た通りである。ブロック共重合体(C)において、ハー
ドブロックとソフトブロックの重量比は50:50〜9
0:10の範囲、特に60:40〜85:15の範囲が
好ましい。
皮革様シートが得られることから、結晶性のブロック共
重合体の固有粘度はフェノール/テトラクロロエタンの
混合溶媒(1/1重量比)中で、30℃で測定した時
に、1.20〜2.5dl/gの範囲であることが好ま
しく、より好ましくは1.40〜2.3dl/gの範囲
である。
形態が重要である。たとえばバインダー繊維は、個々の
主体繊維の周囲に位置するように存在すること、すなわ
ちバインダー繊維が繊維断面の一個所に偏在するのでは
なく、個々の主体繊維の周囲を覆うように繊維断面中に
均一に分散して存在している場合が、繊維束内、繊維束
間の接着を適度に調整する上で好ましい。バインダー繊
維は、バインダー繊維同士で一部膠着する必要がある。
バインダー繊維およびバインダー繊維同士が膠着した繊
維が、主体繊維に部分的に膠着するように存在している
ことが、皮革様シートの充実感および表面外観を良好に
保つ上で好ましい。
面を構成している結晶性ポリエステル(A)の島の本数
と結晶性のブロック共重合体(C)の島の本数が重要で
ある。結晶性ポリエステル(A)からなる島の本数は5
本以上必要であり、好ましくは8本以上、さらに好まし
くは12本以上である。島数が5本より少ない場合は、
抽出成分を溶剤で除去する際に、繊維束内、繊維束間の
バインダー繊維同士の接着が多くなり、得られる皮革様
シートがペーパーライクとなり好ましくない。また、ブ
ロック共重合体(C)からなる島の本数は25本以上、
好ましくは100本以上、さらに好ましくは300本以
上であり、25本より少ない場合は、抽出成分を溶剤で
除去する際に、繊維束内、繊維束間のバインダー繊維と
主体繊維の間の接着が不十分となり、得られる皮革様シ
ートが布帛ライクとなる。なお本発明において、ブロッ
ク共重合体(C)からなる島は抽出処理の際に島同士が
膠着し、一見すると超極細繊維の本数が減少したように
観測される場合があるが、本発明において超極細繊維同
士が膠着した場合の超極細繊維の本数は膠着前の本数を
意味する。さらにブロック共重合体(C)からなる島の
本数は、結晶性ポリエステル(A)からなる島の本数の
5倍以上である必要がある。好ましくは10倍以上、さ
らに好ましくは20倍以上である。5倍より少ない場合
には、繊維束内、繊維束間のバインダー繊維と主繊維の
間の接着が不十分となり、得られる皮革様シートが布帛
ライクとなる。
度は平均0.01〜0.2デニールの範囲である必要が
ある。主体繊維の繊度が平均0.01デニール未満であ
る場合は、得られる皮革様シートを分散染料などで染色
したときの発色性に劣り好ましくない。一方、主体繊維
の繊度が0.2デニールを越える場合は、皮革様シート
の表面外観、柔軟性などが劣る。
バインダー繊維を構成する結晶性のブロック共重合体の
重量比は50:50〜95:5、好ましくは60/40
〜85/15の範囲である。結晶性のブロック共重合体
の割合が50重量%を越えると、皮革様シートの機械的
物性、発色性などが劣り好ましくなく、一方、結晶性の
ブロック共重合体の割合が5重量%未満である場合は、
皮革様シートの充実感、表面外観が劣り好ましくない。
さらに、結晶性ポリエステル(A)とブロック共重合体
(C)の合計重量が多成分系繊維中に占める比率は、4
0〜80重量%が紡糸安定性や経済性等の点で好まし
い。
分樹脂(B)としては、結晶性ポリエステル(A)およ
び結晶性のブロック共重合体(C)と溶剤に対する溶解
性を異にし、結晶性ポリエステル(A)および結晶性の
ブロック共重合体(C)との親和性の低いポリマーであ
って、かつ紡糸条件下で結晶性ポリエステル(A)およ
びブロック共重合体(C)の溶融粘度より低溶融粘度で
あるか、あるいは表面張力が低いポリマーであるのが好
ましい。その具体例として、例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン
オクテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ
スチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレ
ンエチレン共重合体などのポリマーから選ばれた少なく
とも1種類のポリマーが挙げられる。
(C)として、その使用目的に応じて適切な結晶性ポリ
エステル、結晶性のブロック共重合体が選択されるが、
結晶性ポリエステル、結晶性のブロック共重合体によっ
ては、皮革様シートの表面外観、機械的物性を補うため
に、樹脂液を使用してもよい。使用する樹脂液として
は、不織布に含浸した後加熱することにより表面にマイ
グレーションし、かつ主体繊維に少なくとも一部が接着
するようなものが用いられ、例えば、公知のウレタン系
樹脂水性分散液、アクリル系樹脂水性分散液、ウレタン
溶液などが使用できる。樹脂の付与量としては、主体繊
維およびバインダー繊維の合計重量100部に対して、
樹脂の付与量が25重量部以下、好ましは15重量部以
下、さらに好ましくは10重量部以下である。付与量が
25重量部を越える場合、得られる皮革様シートの柔軟
性が損なわれ、さらに環境上からも好ましくない。
組み合わせ行うことにより得ることができる。すなわ
ち、下記工程(イ)〜(ニ)を順次行うことにより得ら
れる。 (イ)島成分が結晶性ポリエステル(A)、海成分が、
抽出可能な樹脂(B)からなる分散媒成分中に結晶性の
ブロック共重合体(C)からなる分散成分が存在してい
る混合体である海島構造を有し、前記条件(1)〜
(4)を満たす多成分系繊維を製造する工程、(ロ)該
繊維からなる絡合不織布を製造する工程、(ハ)該繊維
中の海成分(B)を溶剤などで抽出除去することにより
主体繊維とバインダー繊維を発生させると同時にバイン
ダー繊維を溶剤により膨潤させ不織布を固定する工程、
(二)少なくとも一面に該繊維束の立毛を形成するか、
あるいは少なくとも一面に樹脂層を形成する工程、な
お、上記工程(ロ)と(ハ)の間に、必要により以下の
工程(ホ)〜(ト)を付加してもよいし、さらに上記工
程(二)のあとに下記工程(チ)を付加してもよい。 (ホ)該不織布を収縮する工程、(へ)水溶性糊剤など
により不織布を仮固定する工程、(ト)少量の樹脂液を
含浸、乾燥することにより不織布表面に樹脂液をマイグ
レーションさせ、その状態で固着させる工程、(チ)得
られたシートを染色する工程
明する。まず本発明に用いられる多成分系繊維は、バイ
ンダー繊維を構成する結晶性ブロック共重合体(C)と
海成分中の分散媒ポリマー(B)を所定の混合比で混合
して、同一溶融系で溶融し、これと別の系で溶融した主
体繊維を構成する結晶性ポリエステル(A)とを、紡糸
頭部で接合−分割を複数回繰り返して両者の混合系を形
成して紡糸する方法、あるいは両者を紡糸口金部で繊維
形状を規定して合流させ紡糸する方法等により得られ
る。つまり、バインダー繊維を構成する結晶性のブロッ
ク共重合体(C)と海成分中の分散媒ポリマー(B)を
所定の混合比で混合して同一溶融系で溶融した混合ポリ
マーを海成分とし、主体繊維を構成する結晶性ポリエス
テル(A)が島成分として海成分中にほぼ均一に分散す
るように複合紡糸することによって海成分ポリマー
(B)中に主体繊維とバインダー繊維とがほぼ均一に、
かつ主体繊維の周囲にバインダー繊維が分散した多成分
系系繊維を得ることができる。
じて捲縮、熱固定、カットなどの処理工程を経て繊度2
〜15デニールの繊維とする。
を通してランダムウェブまたはクロスラップウェブを形
成する。なお必要により他の繊維を混合してもよい。得
られた繊維ウェブを所望の重さおよび厚さに積層する。
次いで、公知の方法でニードルパンチ処理を行い、ニー
ドルパンチ不織布とする。パンチ数は通常200〜25
00パンチ/cm2の範囲である。
範囲の温度に加熱し、より好ましくは50〜95℃の範
囲の熱水槽で繊維絡合不織布を加熱し、繊維絡合不織布
を収縮させるのが好ましい。収縮させることにより、皮
革様シートの充実が著しく向上する。収縮率は、主体繊
維を構成する結晶性ポリエステル(A)、バインダー繊
維を構成する結晶性ブロック共重合体(C)の種類、紡
糸条件、延伸条件などにより決まるが、皮革様シートの
充実感、柔軟性を良好にするためのは、面積収縮率が1
0〜60%の範囲にあることが好ましく、さらに好まし
くは20〜50%の範囲である。
織布を仮固定する工程や少量の樹脂液を含浸する方法が
用いられる。樹脂液を含浸する方法を用いる場合には、
樹脂液を乾燥する際に不織布表面に水分散性樹脂をマイ
グレーションさせる方法を用いるのが好ましく、そのた
めには乾燥温度を50〜160℃の範囲にすることが好
ましく、より好ましくは80〜140℃の範囲である。
160℃を越える温度の場合、皮革様シートの機械的物
性、外観に悪影響を及ぼし好ましくない。50℃未満の
場合、不織布表面に樹脂液がマイグレーションしにくい
ばかりか、乾燥に長時間を要し好ましくない。
溶解除去することにより主体繊維とバインダー繊維を発
生させると同時にバインダー繊維を溶剤により膨潤させ
不織布を固定する工程を経るが、溶解除去およびロール
などにより押圧を組み合わせることで、不織布を固定す
ることができる。例えば、海成分中の分散媒ポリマーと
してポリエチレンを用い、90℃に加熱したトルエンで
該ポリエチレンを溶解し、ロールでポリエチレンを絞り
出すと同時に不織布固定を行うことにより、柔軟性、充
実感に優れたシートを得ることができる。抽出処理する
際のバインダー繊維の膨潤度としては、膨潤前の繊維が
膨潤により、重量が15%以上増加するのが本発明の目
的を達成する上で好ましく、より好ましくは30〜10
0%増加する場合である。膨潤度があまりに高すぎる
と、繊維同士の必要以上の接着を生じ、さらに繊維その
ものが多量に溶解していくこととなる。もちろん本発明
において、主体繊維は抽出する際に実質的に膨潤しない
のが好ましく、膨潤度としては20%未満であるのが好
ましい。分散媒ポリマーとしてポリプロピレンを用いた
場合には溶剤の代表例としてジクロルベンゼンが、また
エチレンプロピレン共重合体やエチレンオクテン共重合
体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチ
レンアクリロニトリル共重合体、スチレンエチレン共重
合体などの場合には加熱トルエンが用いられる。そして
抽出処理温度を調整することによりバインダー繊維の膨
潤度を上記好適範囲にすることができる。また押圧の程
度は、不織布に含浸した液体をローラー間により搾液に
除去する際に一般に用いられる程度、例えば好適には1
〜20kg/cmの範囲、より好ましくは2〜10kg
/cmの範囲が採用されるが、通常、常識を逸脱するよ
うな高い圧縮が付与されない限り、押圧の程度による影
響は殆ど無視できる。
使用する樹脂からなるシートは、少なくとも一面を起毛
処理して極細繊維を主体とした繊維繊維立毛面を形成さ
せてスエード調の皮革様シートとするか、あるいは少な
くとも一面に樹脂層を積層して、銀面付の皮革様シート
とする。繊維立毛面を形成させる方法は、繊維質基体を
所望の厚さに厚み合わせを行った後あるいは厚み合わせ
を行う前に、サンドペーパーなどを用いてバフィング処
理する方法が用いられる。そして厚み合わせを行ってい
ないものにあっては所望の厚さに厚み合わせを行う。同
様に、樹脂層を積層する皮革様シートの場合において
も、厚みあわせを行う。なお表面に積層する樹脂層とし
ては、ポリウレタン層で代表される弾性重合体層が好適
に用いられる。なお、表面を加熱し、平滑面に押圧する
ことにより不織布表層部を溶融して樹脂層とすることも
できる。次いで、得られたスエード調皮革様シート又は
銀面調皮革様シートを必要により染色するが、染色は、
分散染料などを主体とした染料で、通常の染色法で行
う。また皮革様シートは、必要により、揉み柔軟化処
理、ブラッシングなどの仕上げ処理を行って天然皮革ラ
イクな皮革様シートを得ることができる。
風合いが極めて良好でかつ発色性、機械的物性に優れた
もので、スエードタイプまたは銀付きタイプとして、衣
料用はもとより、服飾品、インテリア用、靴、カーシー
ト、袋物、各種手袋などに好適である。
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定される
ものではない。なお、実施例中の部および%は断りのな
い限り、重量に関するものである。
ク共重合体の融点および結晶融解熱は、メトラー社製の
示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素気流下で下記
の表に示す行程1〜行程3を順次行って、その際の融解
ピーク温度を融点とし、融解に要した熱量を結晶融解熱
として求めた。
維束の横断面を光学顕微鏡により観察し、結晶性ポリエ
ステル(A)及び結晶性のブロック共重合体(C)の島
本数を数えた。次に、多成分系繊維中における結晶性ポ
リエステル(A)と結晶性のブロック共重合体(C)の
それぞれの重量割合を求め、多成分系繊維の太さ(デニ
ール)にそれぞれの重量割合をかけ、得られた値をそれ
ぞれの島本数で割り求めた。
ードタイプの皮革様シートについて、任意に選出した2
0人のパネラーにより風合いを評価した。風合いは、柔
軟性、充実感、および総合的な風合いの3項目につい
て、4段階で評価した。 (柔軟性) 4;柔軟である 3;やや柔軟性に欠ける 2;硬く感じる 1;硬い (充実感) 4;良好 3;やや充実感に欠ける 2;多少充実感あり 1;充実感なし (総合的な風合い) 4;天皮ライクである 3;やや不良 2;天皮ライクとは言えない 1;不良
4のC法に準拠した方法で測定した。 [抽出処理時のブロック共重合体の膨潤度]ブロック共
重合体のペレットを100℃で10時間、真空乾燥した
後、プレス成形機を用い、260℃の温度で100μm
の厚さのフィルムに成形し、成形後、室温25℃の部屋
で自然放冷し、その後80℃の真空乾燥機内で24時間
放置し、試験用のサンプルを得た。サンプルを1辺10
cmの正方形にカットし、重量(Wo)を測定し、抽出
溶剤に、抽出温度で1時間浸漬したのち、表面に付着し
た溶剤を拭き取り、重量(W)を測定し、下記の計算式
に従い膨潤度を計算した。実施例、比較例で用いたブロ
ック共重合の膨張潤率は、溶剤としてトルエンを使用
し、90℃の温度で測定した。 膨潤度(wt%)=100×(W−Wo)/Wo
表に示した。
とPE40部とを同一溶融系で溶融したものと、島成分
としてPET80部[主体繊維]を別の系で溶融したも
のとを紡糸口金部で繊維形状を規定して紡糸する方法に
より主体繊維の島本数が25本となるように紡糸し、繊
度12デニールの多成分系繊維を得た。この時、繊維の
断面を観察するとTPEE(1)の島数は約720であ
った。得られた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与
し、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロス
ラッパウェバーでウェブとした。次にニードルパンチを
行い繊維絡合不織布とした。90℃の熱水が入った浴槽
に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を収縮させた。
収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織布の長
さ)×100]はタテ方向に24%,ヨコ方向に25%
であった。収縮した不織布を乾燥した後、不織布に対し
て水性エマルジョン(大日本インキ化学工業株式会社製
ボンディック1310)の固形分が5部付与されるよう
に、水性ウレタンエマルジョンを不織布に含浸し、13
0℃の熱風で乾燥した。乾燥後の不織布を観察したとこ
ろ、不織布表面に近いほどウレタン樹脂の付着量が多か
った。次いで、多成分系繊維中のPEを90℃トルエン
で処理して除去し、その際に4kg/cmの押圧でロー
ラー間を通過させることにより絞液した。そしてPET
およびTPEE(1)とからなる厚さ約1mmの繊維質基
体を得た。なお、主体繊維のPET繊維の繊度(計算
値)は、0.11デニールであった。繊維質基体の一面
をサンドペーパでバフィングして厚さ0.80mmに厚み
合わせを行った後、他の面をエメリーバフ機で処理して
極細立毛面を形成し、更にサーキュラー液流染色機で分
散染料を用いて茶色に染色した後、仕上げをして比重が
0.52の皮革様シートを得た。充実感、柔軟性に優
れ、かつ立毛は均一であり、表面外観に優れていた。
とPE40部とを同一溶融系で溶融したものと、島成分
としてIPA共重合PET80部[主体繊維]を別の系
で溶融したものとを紡糸口金部で繊維形状を規定して紡
糸する方法により主体繊維の島本数が25本となるよう
に紡糸し、繊度12デニールの多成分系繊維を得た。こ
の時、繊維の断面を観察するとTPEE(2)の島数は
約820であった。得られた繊維を3倍に延伸し、機械
捲縮を付与し、繊維長51mmに切断し、カードで解繊し
た後クロスラッパウェバーでウェブとした。次に、ニー
ドルパンチを行い繊維絡合不織布とした。90℃の熱水
が入った浴槽に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を
収縮させた。収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前
の不織布の長さ)×100]はタテ方向に25%,ヨコ
方向に26%であった。収縮した不織布を乾燥した後、
多成分系繊維中のPEを90℃トルエンで処理して除去
し、その際に、実施例1と同一の押圧条件のローラーに
より絞液した。そしてPETおよびTPEE(2)とか
らなる厚さ約1mmの繊維質基体を得た。なお、主体繊維
の繊度(計算値)は、0.11デニールであった。繊維
質基体の一面をサンドペーパでバフィングして厚さ0.
80mmに厚み合わせを行った後、他の面をエメリーバフ
機で処理して極細立毛面を形成し、更にサーキュラー液
流染色機で分散染料を用いて茶色に染色した後、仕上げ
をして比重0.48の皮革様シートを得た。充実感、柔
軟性において実施例1のものより優れ、かつ立毛は均一
であり、表面外観に優れていた。
とPE40部とを同一溶融系で溶融したものと、島成分
としてIPA共重合PET80部[主体繊維]を別の系
で溶融したものとを紡糸口金部で繊維形状を規定して紡
糸する方法により主体繊維の島本数が25本となるよう
に紡糸し、繊度12デニールの多成分系繊維を得た。こ
の時、繊維の断面を観察するとTPEE(3)の島数は
約730であった。得られた繊維を3倍に延伸し、機械
捲縮を付与し、繊維長51mmに切断し、カードで解繊し
た後クロスラッパウェバーでウェブとした。次に、ニー
ドルパンチを行い繊維絡合不織布とした。90℃の熱水
が入った浴槽に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を
収縮させた。収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前
の不織布の長さ)×100]はタテ方向に24%,ヨコ
方向に25%であった。収縮した不織布を乾燥した後、
不織布100部に対して水性エマルジョン(大日本イン
キ化学工業株式会社製ボンディック1310)の固形分
が3部付与されるように、水性ウレタンエマルジョンを
不織布に含浸し、130℃の熱風で乾燥した。乾燥後の
不織を観察したところ、不織布表面に近いほどウレタン
樹脂の付着量が多かった。次いで、多成分系繊維中のP
Eを90℃熱トルエンで処理して除去し、その際に実施
例1と同一条件で絞液し、そしてPETおよびTPEE
(3)とからなる厚さ約1mmの繊維質基体を得た。な
お、主体繊維の繊度(計算値)は、0.11デニールで
あった。繊維質基体の一面をサンドペーパでバフィング
して厚さ0.80mmに厚み合わせを行った後、他の面を
エメリーバフ機で処理して極細立毛面を形成し、更にサ
ーキュラー液流染色機で分散染料を用いて茶色に染色し
た後、仕上げをして比重0.54の皮革様シートを得
た。充実感、柔軟性に優れ、かつ立毛は均一であり、表
面外観に優れていた。表面外観は実施例1,2と比較し
てもさらに優れていた。以上の実施例1〜3で得られた
皮革様シートを構成する極細繊維束を顕微鏡により観察
したところ、構成する主体繊維とバインダー繊維とが部
分的に接着しており、さらに、繊維束同士もバインダー
繊維により所々接着固定されていることが確認できた。
PE40部とを同一溶融系で溶融したものと、島成分と
してPET80部[主体繊維]を別の系で溶融したもの
とを紡糸口金部で繊維形状を規定して紡糸する方法によ
り主体繊維の島本数が25本となるように紡糸し、繊度
12デニールの多成分系繊維を得た。この時、繊維の断
面を観察するとナイロン6の島数は約180であった。
得られた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与し、繊維
長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパウ
ェバーでウェブとした。次に、ニードルパンチを行い繊
維絡合不織布とした。90℃の熱水が入った浴槽に、こ
の繊維絡合不織布を浸し、不織布を収縮させた。収縮率
[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織布の長さ)×
100]はタテ方向に17%,ヨコ方向に17%であっ
た。収縮した不織布を乾燥した後、多成分系繊維中のP
Eを90℃トルエンで処理して除去し、実施例1と同様
に4kg/cmの圧力で絞液して、PETおよびナイロ
ン6とからなる厚さ約1mmの繊維質基体を得た。なお、
ナイロン6の膨潤度は2%であり、また主体繊維の繊度
(計算値)は、0.11デニールであった。繊維質基体
の一面をサンドペーパでバフィングして厚さ0.80mm
に厚み合わせを行った後、他の面をエメリーバフ機で処
理して極細立毛面を形成し、更にサーキュラー液流染色
機で分散染料を用いて茶色に染色した後、仕上げをして
比重が0.32の皮革様シートを得た。しかし、エメリ
ーバフ機でバフィング処理する際、繊維が十分に固定さ
れていないため繊維の抜けが激しかった。したがって、
表面外観は著しく劣っていた。柔軟性は優れていたが、
充実感にかけるものであった。
維]とPE40部とを同一溶融系で溶融したものと、島
成分としてPET80部[主体繊維]を別の系で溶融し
たものとを紡糸口金部で繊維形状を規定して紡糸する方
法により主体繊維の島本数が25本となるように紡糸
し、繊度12デニールの多成分系繊維を得た。この時、
繊維の断面を観察するとTPEE(4)の島数は約87
0であった。得られた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を
付与し、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後ク
ロスラッパウェバーでウェブとした。次に、ニードルパ
ンチを行い繊維絡合不織布とした。90℃の熱水が入っ
た浴槽に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を収縮さ
せた。収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織
布の長さ)×100]はタテ方向に29%,ヨコ方向に
29%であった。収縮した不織布を乾燥した後、多成分
系繊維中のポリエチレンをトルエンで処理して除去し、
その際に実施例1と同一条件で絞液した。その結果、P
ETおよびTPEE(4)とからなる厚さ約1mmの繊維
質基体を得た。なお、主体繊維の繊度(計算値)は、
0.11デニールであった。繊維質基体の一面をサンド
ペーパでバフィングして厚さ0.80mmに厚み合わせを
行った後、他の面をエメリーバフ機で処理して極細立毛
面を形成し、更にサーキュラー液流染色機で分散染料を
用いて茶色に染色した後、仕上げをして比重が0.49
の皮革様シートを得た。繊維間で接着が必要以上に多い
ため、得られた皮革様シートは、ペーパライクで硬いも
のあり、下記表3に示すように引裂強力も劣っていた。
を同一溶融系で溶融したものと、島成分としてTPEE
(2)30部[バインダー繊維]を別の系で溶融したも
のとを紡糸口金部で繊維形状を規定して紡糸する方法に
より主体繊維の島本数が25本となるように紡糸し、繊
度12デニールの多成分系繊維を得た。この時、繊維の
断面を観察すると主体繊維の平均本数は約3000本で
あった。得られた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与
し、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロス
ラッパウェバーでウェブとした。次に、ニードルパンチ
を行い繊維絡合不織布とした。90℃の熱水が入った浴
槽に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を収縮させ
た。収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織布
の長さ)×100]はタテ方向に24%,ヨコ方向に2
5%であった。収縮した不織布を乾燥した後、多成分系
繊維中のPEを90℃トルエンで処理して除去し、その
際に実施例1と同一の押圧条件を用いて絞液し、その結
果PETおよびTPEE(1)とからなる厚さ約1mmの
繊維質基体を得た。主体繊維の繊度(計算値)は、0.
00070デニールであった。繊維質基体の一面をサン
ドペーパでバフィングして厚さ0.80mmに厚み合わせ
を行った後、他の面をエメリーバフ機で処理して極細立
毛面を形成し、更にサーキュラー液流染色機で分散染料
を用いて茶色に染色した後、仕上げをして比重が0.3
2の皮革様シートを得た。皮革様シートは充実感、発色
性に劣り、さらにサンドペーパでバフィングおよびエメ
リーバフ機で処理で繊維の抜けが多く、得られた皮革様
シートの表面外観も劣っていた。
とPE60部とを同一溶融系で溶融したものと、島成分
としてPET40部[主体繊維]を別の系で溶融したも
のとを紡糸口金部で繊維形状を規定して紡糸する方法に
より主体繊維の島本数が25本となるように紡糸し、繊
度12デニールの多成分系繊維を得た。この時、繊維の
断面を観察するとTPEE(1)の島数は約1900で
あった。得られた繊維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与
し、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロス
ラッパウェバーでウェブとした。次に、ニードルパンチ
を行い繊維絡合不織布とした。90℃の熱水が入った浴
槽に、この繊維絡合不織布を浸し、不織布を収縮させ
た。収縮率[(収縮後の不織布の長さ/収縮前の不織布
の長さ)×100]はタテ方向に28%,ヨコ方向に2
8%であった。収縮した不織布を乾燥した後、多成分系
繊維中のPEを90℃トルエンで処理して除去し、その
際に実施例1と同一の4kg/cmの圧力で絞液して、
PETおよびTPEE(1)とからなる厚さ約1mmの繊
維質基体を得た。なお、主体繊維の繊度(計算値)は、
0.052デニールであった。繊維質基体の一面をサン
ドペーパでバフィングして厚さ0.80mmに厚み合わせ
を行った後、他の面をエメリーバフ機で処理して極細立
毛面を形成し、更にサーキュラー液流染色機で分散染料
を用いて茶色に染色した後、仕上げをして0.52の皮
革様シートを得た。繊維間で接着が必要以上に多いた
め、得られた皮革様シートは、ペーパライクで硬いもの
あり、表3に示すように引裂強力も劣っていた。更に皮
革様シートの発色性が低く、表面外観に劣っていた。
系海島型のパック,口金などを用い、島数50の多成分
系繊維を得た。島成分は、25島がPETで35部、残
りの25島がTPEE(2)で35部で合計70部、5
0島、海成分はポリエチレン30部とし、繊度12デニ
ールの多成分系繊維である。PETの25島とTPEE
(4)の25島は、均一な状態に配置した。得られた繊
維を3倍に延伸し、機械捲縮を付与し、繊維長51mmに
切断し、カードで解繊した後クロスラッパウェバーでウ
ェブとした。次に、ニードルパンチを行い繊維絡合不織
布とした。90℃の熱水が入った浴槽に、この繊維絡合
不織布を浸し、不織布を収縮させた。収縮率[(収縮後
の不織布の長さ/収縮前の不織布の長さ)×100]は
タテ方向に25%,ヨコ方向に25%であった。収縮し
た不織布を乾燥した後、多成分系繊維中のポリPEを9
0℃トルエンで処理して除去し、その際に実施例1と同
一の条件で絞液して、PETおよびTPEE(4)とか
らなる厚さ約0.85mmの繊維質基体を得た。PETか
らなる極細繊維の繊度(計算値)は、0.06デニール
であった。繊維質基体の一面をサンドペーパでバフィン
グして厚さ0.80mmに厚み合わせを行った後、他の面
をエメリーバフ機で処理して極細立毛面を形成し、更に
サーキュラー液流染色機で分散染料を用いて茶色に染色
した後、仕上げをして比重が0.47の皮革様シートを
得た。繊維間で接着が必要以上に多いため、得られた皮
革様シートは、ペーパライクで硬いものあり、下記表3
に示すように引裂強力も劣っていた。
感、表面外観に優れた天然皮革ライクな、スエード調の
皮革シートを与える。
である。
(A) 2:分散成分でかつバインダー繊維となるブロック共重
合体(C) 3:分散媒成分でかつ抽出可能な樹脂(B)
Claims (3)
- 【請求項1】繊維断面が海島構造を有し、該島成分が結
晶性ポリエステル(A)、該海成分が抽出可能な樹脂
(B)からなる分散媒成分中に結晶性のブロック共重合
体(C)からなる分散成分が存在している混合体から構
成され、かつ下記条件(1)〜(4) (1)ブロック共重合体(C)が、芳香族ポリエステル
からなるハードブロックと、脂肪族ポリエーテル、脂肪
族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリ
エーテルエステル、脂肪族ポリエステルカーボネートの
少なくとも1つからなるソフトブロックからなり、かつ
融点が180℃以上であり、さらに結晶融解熱が15〜
42J/gの範囲にあること、(2)該繊維中における
結晶性ポリエステル(A)/ブロック共重合体(C)の
重量比が95/5〜50/50であること、(3)繊維
断面における結晶性ポリエステル(A)からなる島の本
数が5以上であり、かつ個々の島の太さが0.01〜
0.2デニールであること、(4)繊維断面におけるブ
ロック共重合体(C)の島の本数が25以上であり、か
つ結晶性ポリエステル(A)からなる島の本数の5倍以
上であること、を満たしている多成分系繊維。 - 【請求項2】請求項1記載の多成分系繊維から不織布を
形成し、得られた不織布から該多成分系繊維中の樹脂
(B)を抽出除去し、そして該不織布表面を毛羽立てる
か、または該不織布表面に樹脂層を形成することからな
る皮革様シートの製造方法。 - 【請求項3】結晶性ポリエステル(A)からなる極細繊
維および結晶性のブロック共重合体(C)からなる超極
細繊維から構成された繊維束からなる皮革様シートであ
って、該繊維束が以下の条件(1)〜(4)を満足して
いることを特徴とする皮革様シート。 (1)ブロック共重合体(C)が、芳香族ポリエステル
からなるハードブロックと、脂肪族ポリエーテル、脂肪
族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリ
エーテルエステル、脂肪族ポリエステルカーボネートの
少なくとも1つからなるソフトブロックからなり、かつ
融点が180℃以上であり、さらに結晶融解熱が15〜
42J/gの範囲にあること、(2)繊維束断面におけ
る結晶性ポリエステル(A)/ブロック共重合体(C)
の重量比が95/5〜50/50であること、(3)繊
維束断面における結晶性ポリエステル(A)からなる極
細繊維の本数が5以上であり、かつ個々の極細繊維の太
さが0.01〜0.2デニールであること、(4)繊維
束断面におけるブロック共重合体(C)からなる超極細
繊維の本数が25以上であり、かつ結晶性ポリエステル
(A)からなる極細繊維の本数の5倍以上であること、
を満足していることを特徴とする皮革様シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15124499A JP4017786B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | 多成分系繊維およびそれを用いた皮革様シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15124499A JP4017786B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | 多成分系繊維およびそれを用いた皮革様シート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000336527A true JP2000336527A (ja) | 2000-12-05 |
JP4017786B2 JP4017786B2 (ja) | 2007-12-05 |
Family
ID=15514423
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15124499A Expired - Fee Related JP4017786B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | 多成分系繊維およびそれを用いた皮革様シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4017786B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100426592B1 (ko) * | 2001-06-15 | 2004-04-08 | 주식회사 코오롱 | 스티리키 효과가 우수한 해도형 복합섬유 |
CN111989429A (zh) * | 2018-04-06 | 2020-11-24 | 格罗兹-贝克特公司 | 用于制造带有被加载静电的纤维的纺织形成物的方法和纺织形成物 |
-
1999
- 1999-05-31 JP JP15124499A patent/JP4017786B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100426592B1 (ko) * | 2001-06-15 | 2004-04-08 | 주식회사 코오롱 | 스티리키 효과가 우수한 해도형 복합섬유 |
CN111989429A (zh) * | 2018-04-06 | 2020-11-24 | 格罗兹-贝克特公司 | 用于制造带有被加载静电的纤维的纺织形成物的方法和纺织形成物 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
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