JP2004091999A - 人工皮革用不織布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主に単繊維径10μm以下の繊維から構成されたウェブ層の繊維と補強材とが三次元的に絡合され、一体化された絡合不織布において、補強材が、ポリウレタン繊維を含む糸から構成される織編物であることを特徴とする人工皮革用不織布。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風合い、触感およびストレッチバック性、座屈性に優れた人工皮革を得るのに好適な人工皮革用不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、表面を立毛させたスエード調ないしはヌバック調の人工皮革や表面に被覆層を設けた銀面調の人工皮革は、使用する繊維の極細繊維化、含浸樹脂の凝固、仕上げ加工などの技術改良が進み、柔軟性、実用耐久性、外観品位などにおいて品質の向上が見られ、手入れのしやすさ、均一性の点から、コート、スカート、ジャケット等の衣料、家具、靴、自動車内装材用など幅広い分野に使用されている。これら人工皮革は、極細繊維からなる不織布と弾性重合体が主に用いられ、その製造方法についても種々の方法が提案されているが、従来の方法で得られる人工皮革は、天然皮革との類似を目的としているため、ストレッチバック性に乏しいものであった。そのため、衣料用として用いた場合には、着用時に身体とのフィット性が悪いため、着用快適性が劣るといった問題点があり、また、家具用、自動車内装材用として用いた場合には、座屈性が不十分なため、折り曲げ加工時に大きな皺が発生し、成型加工が難しいといった問題点がある。
【0003】
従来の公開された技術として、二次製品加工性や着用時の形態安定性に優れた皮革様シート状物を得るために、結晶化度が小さい収縮性ポリエステル繊維を用いて絡合不織布を作り、収縮処理後に繊維の結晶化度を高めることによって収縮した繊維を剛性化し、柔軟でありながら形態安定性の良い皮革様シート状物を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、天然皮革に類似した風合いのシート状物を得ることができるが、天然皮革にはないストレッチバック性を有した人工皮革を得ることはできない。また、使用できる繊維がポリエステル繊維に限定されており、その他の合成繊維を使用する場合には、特に記載がない。
【0004】
また、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる織編物を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、柔軟でドレープ性に優れた人工皮革が得られるが、ストレッチバック性および折り曲げ時の座屈性もまだ不十分であった。また、弾性ポリマーからなる極細繊維束と非弾性ポリマーからなる極細繊維束がサイドバイサイド構造をなす複合海島繊維の不織布から海成分を除去して、更に弾性極細繊維間の融着および非弾性極細繊維と弾性極細繊維間での膠着による不織布が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この技術では、非弾性ポリマーもしくは弾性ポリマーからなる極細繊維が融着もしくは膠着して作用するため、柔軟な風合いが得られず、しかも、弾性ポリマーが極細繊維であるため、応力が小さくなり、ストレッチバック性も不十分であった。
【0005】
【特許文献1】
特公平5−45714号公報(第1〜2頁)
【特許文献2】
特開平11−269751号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平5−339863号報(第2〜3頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決して、天然皮革に類似した良好な外観品位や風合い、触感を持ち、かつ、ストレッチバック性および座屈性に優れた人工皮革を得るのに好適な人工皮革用不織布を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の繊維からなるウェブ層とポリウレタン繊維を含む織編物を適用することにより、従来の人工皮革では得られないストレッチバック性が発現されることを見いだし、本発明の不織布を発明するに至った。
【0008】
すなわち、本願の第一の発明は、主に単繊維径10μm以下の繊維から構成されたウェブ層の繊維と補強材とが三次元的に絡合され、一体化された絡合不織布において、補強材が、ポリウレタン繊維を含む糸から構成される織編物であることを特徴とする人工皮革用不織布を提供するものである。
【0009】
本願の第二の発明は、第一の発明において、湿式抄造法により形成されたウェブ層を補強材と積層し、高圧柱状水流により三次元的にウェブ層の繊維と補強材とを交絡一体化させたことを特徴とする人工皮革用不織布を提供するものである。
【0010】
また、本願の第三の発明は、第一または第二の発明において、ウェブ層が、繊維長2〜20mmの合成繊維、再生繊維もしくは天然繊維からなり、かつ坪量5g/m2以上であることを特徴とする人工皮革用不織布を提供するものである。
【0011】
また、本願の第四の発明は、第一または第二、第三の発明における補強材が、ポリウレタン繊維を3〜50%含有することを特徴とする人工皮革用不織布を提供するものである。
【0012】
さらに、本願の第五の発明は、第一または第二、第三、第四の発明における補強材が、ポリウレタン繊維を伸ばした状態で、ポリウレタン繊維以外の合成繊維のフィラメントにより被覆したカバード糸から構成される織編物であることを特徴とする人工皮革用不織布を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の人工皮革用不織布について詳細に説明する。
【0014】
本発明のウェブ層に用いる繊維の種類としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ナイロン繊維、ウレタン等のエラストマー繊維等の有機合成繊維、また、再生繊維、半合成繊維、天然繊維等の繊維が挙げられる。ポリエステル系繊維とは、ポリエテレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらポリマーの変性ポリマー等のホモポリマー及びコポリマーからなる繊維を言う。ポリオレフィン系繊維とは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、これらの変性ポリマー等のホモポリマー及びコポリマーからなる繊維を言う。ポリアクリロニトリル系繊維とは、アクリル繊維、モダクリル繊維等を言う。ポリビニルアルコール系繊維とは、ポリビニルアルコールからなる繊維を言う。ナイロン繊維とは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリマーからなる繊維を言う。ウレタン等のエラストマー繊維とは、ポリウレタン系、ポリエステル系の弾性繊維を言う。半合成繊維とは、アセテート繊維等の繊維を言う。再生繊維とは、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、リオセル等の再生セルロース繊維やコラーゲン、アルギン酸、キチン質等を溶液にしたものを紡糸したものをいう。天然繊維とは、麻、コットン等のセルロース系繊維、羊毛、絹等の蛋白質系繊維をいう。
【0015】
また、本発明のウェブ層に用いる繊維は、合成繊維、半合成繊維の場合、上記の2種類以上のポリマーからなる複合繊維の形態をとるものであってもよい。繊維の断面形状は、円形、楕円形のみならず偏平、三角、Y型、T型、U型、星型、ドッグボーン型等、いわゆる異型断面形状をとるものであってもよい。本発明の湿式ウェブ層を構成する繊維は上記の繊維単独あるいはそれらの混合物からなる。当然、以上の繊維以外に、本発明で限定された以外の繊維を不織布内に少量含有させることは可能であるが、本発明の不織布の性能を阻害する範囲であってはならない。
【0016】
本発明のウェブ層は均一で緻密な層を形成する必要がある。そのためには、特定の繊維径の小さな極細繊維を用いることが必要不可欠である。繊維の単繊維径は10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1〜8μmである。繊維径が10μmを超えると、風合いや触感が低下し好ましくない。また、本発明のウェブ層には、10μm以上の繊維径の繊維を少量ならば配合することは可能であるが、繊維径10μm以下の繊維がウェブ層の質量に対して、20〜100質量%含まれることが好ましい。20質量%より小さいと、不織布の表面性が悪くなるばかりか、不織布の風合いや触感が低下するので好ましくはない。
【0017】
本発明のウェブ層に用いる極細繊維の繊維長は2〜20mmが好ましく、さらに好ましくは3〜10mmである。繊維長が2mm未満でも、補強材組織内へ繊維が入り込りこみ補強材との複合一体化の目的は達成できるが、ウェブ層内での繊維同士の絡合が弱くなるため耐久性が劣る。20mmを超えると補強材内との絡合に大きなエネルギーが必要となり、不織布の風合いが低下するため好ましくない。また、ウェブ層の坪量は好ましくは5g/m2以上、より好ましくは10g/m2以上である。坪量が5g/m2未満では絡合処理の際に補強材面が露出してしまうため好ましくない。
【0018】
絡合処理を行う前のウェブ層の製造方法は、従来公知の方法が用いられる。すなわち、直接紡糸法により得られた極細繊維を用いて、湿式抄造法で所定の目付のウェブ層を作製する方法、分割型複合繊維を用いてカード法、エアレイ法、湿式抄造法等を用いて所定の目付のウェブ層を作製する方法、あるいは、相溶性を有していない2種以上の熱可塑性ポリマーを複合紡糸また混合紡糸することにより得られた海島型二成分系複合繊維を用いて、極細化する前の海島型二成分系複合繊維のままの状態で原綿とし、カード、ニードルパンチ等を行ってウェブ層を得る方法が挙げられる。これらウェブ層の製造方法の中で、本発明においては、環境への負荷や生産性、均一な地合の製品が得られるといった点から、直接紡糸により得られた極細繊維を用いて、湿式抄造法によりウェブ層を得る方法がより好ましい。
【0019】
次に本発明で用いる補強材について説明する。補強材の形態は、編物、織物どちらでも差し支えない。本発明に用いる織編物は、ポリウレタン繊維を用いることが必要である。ポリウレタン繊維は、ゴム弾性すなわち低負荷で大きく伸び、負荷を除去すると元の寸法に瞬時に回復する能力に優れており、このポリウレタン繊維を用いることにより、従来の人工皮革には見られないストレッチバック性に優れた人工皮革を得ることができる。ポリウレタン繊維は、適切な紡糸条件を選定することで、本発明の人工皮革用不織布に必要な物性を備えることができ、その製造方法には、特に制限が無く、公知の方法、すなわち、溶融紡糸法あるいは溶液(湿式、乾式)紡糸法が用いられる。
【0020】
本発明に用いるポリウレタン繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメントのどちらでも使用することができる。また、単繊維の断面形状は丸型、三角型、扁平、星形、まゆ型等制限はなく、中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。また、本発明に用いるポリウレタン繊維は、裸糸のまま用いても良いが、より好ましいのは、ポリウレタン繊維を伸ばした状態で他繊維により被覆した糸、すなわち、ポリウレタン繊維を芯にしてナイロンやポリエステルのフィラメントで巻きつけたシングルカバード糸、ダブルカバード糸や、ポリウレタン糸を芯に入れたコア・スパン糸、あるいは、他の糸と揃えて、撚りをかけたプライヤーンなどである。
【0021】
ポリウレタン繊維は、強度面では、通常の繊維に比べると弱いために、ポリウレタン繊維単独で織編物にするのではなく、他の繊維と混合して使用することが好ましい。本発明の不織布に用いる織編物は、ポリウレタン繊維の含有量が織編物に使用される全繊維量に対して、3〜50%であることが好ましい。ポリウレタン繊維が3%より少ない場合、得られる人工皮革用不織布および人工皮革のストレッチバック性が劣るため好ましくなく、一方、50%よりも多い場合、織編物自体が伸びすぎるため、不織布あるいは人工皮革製品の加工性に劣り、好ましくない。
【0022】
また、ポリウレタン繊維と供用することができる他の繊維には、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらの共重合体類を用いることができ、特に限定されるものではない。柔軟性、風合い、強度などの点からポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体を用いるのが好ましい。また、これら繊維の糸種としては、フィラメントヤーン、紡績糸、フィラメントと短繊維の混紡糸などを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0023】
ポリウレタン繊維からなる糸、その他の繊維からなる糸およびポリウレタン繊維を他の繊維で被覆した糸の糸加工についても特に制限はなく、仮撚加工糸、捲縮加工糸、無撚り、甘撚りから強撚りまで、目的に怖じて、適時選択することができる。また、これらの撚糸はポリビニルアルコール系、アクリル系の糊剤が付与されたものであってもよい。
【0024】
ポリウレタン繊維、ポリウレタンを他の繊維で被覆した繊維、あるいは、ポリウレタン繊維と供用することができる他の繊維の繊度は、1.1デシテックス〜550デシテックスの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは44デシテックス〜330デシテックスである。糸の繊度が1.1デシテックスよりも小さい場合、糸の強度および織編物の強度が不足するため、補強材として作用することができず、好ましくない。一方、550デシテックスを越える場合、高圧柱状水流による三次元交絡後の不織布表面に織編物のパターンが反映されてしまい、高級な外観品位の人工皮革を得ることができないため、好ましくない。
【0025】
本発明に用いる織編物は、公知の方法を用いて製造することができる。織物の場合は、ポリウレタン繊維を含む糸を経糸および緯糸の両方に使用してもよく、あるいは経糸のみに、または緯糸のみにポリウレタン繊維を使用してもよい。また、織物の組織は、平織、綾織、朱子織およびそれらの織り方を基本とした織物組織であれば、特に制限はなく、目的に応じて任意の組織を用いることができる。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、織り密度にも制限が無く、経緯同数、異数いずれでも良い。また、編物の場合は、経編、トリコット編みで代表される緯編、丸編、レース編およびそれらの編み方を基本とした各種編物であれば、特に制限はなく、目的に応じて任意の組織を用いることができる。
【0026】
また、本発明に用いる織編物のフラジール通気度には、特に制限はないが、50cc/cm3・sec以上あることが望ましい。フラジール通気度が50cc/cm3・sec未満の場合、高圧柱状水流によるウェブ層との積層加工時に、ウェブ層の表面に破壊が生じ、不織布の表面性を低下させるため、好ましくない。なお、ここで言うフラジール通気度とはJIS L 1096記載の方法により測定されたものである。
【0027】
絡合不織布を製造する方法としては、従来公知の方法、すなわち、ニードルパンチ法や高圧柱状水流による水流絡合法が用いられるが、ウェブ層と補強材とを強固に絡合させるといった観点から、高圧柱状水流による水流絡合による方法がより好ましい。
【0028】
本発明は、主に単繊維径10μm以下の繊維から構成されたウェブ層の繊維とポリウレタン繊維を含む糸から構成される編織物とが三次元的に絡合一体化されたことを特徴とする人工皮革用不織布に関するものである。本発明の不織布を用いることで、風合い、触感に優れるだけではなく、従来の人工皮革では達成できなかったストレッチバック性を有する人工皮革が得られる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各物性は以下の方法で測定した。
1)<伸長率・伸長回復率>
人工皮革に製品化したものを、それぞれ上記の方法にて測定した。
伸長率:JIS L1096 B法に準じて測定した。つかみ間隔は30cmで、印間の長さは20cm間隔、荷重は14.71Nの条件で、測定を行い、伸長率を求めた。
伸長回復率:JIS L1096 B−1法
つかみ間隔は30cmで、印間の長さは20cm間隔、荷重は14.71N、荷重を加えた時間は60分、除重後の放置時間は30秒の条件で、測定を行い、伸長回復率を求めた。単位は、いずれも%。
2)<風合い>
人工皮革に製品化後、風合いを10人のパネラーにより官能評価を行った。ソフトで良好と感じたものを○、普通と感じたものを△、硬く感じたものを×とした。
3)<触感>
人工皮革に製品化後、10人のパネラーにより官能評価を行った。表面を指でさすった時、ヌメリ感があると感じたものを○、少しヌメリ感があると感じたものを△、ヌメリ感がないと感じたものを×とした。
4)<座屈性>
人工皮革に製品化後、表面を内側にして折り曲げ、発生した皺の形状を観察し、皺が小さく、分散しているものを○、皺が大きく、集中しているものを×、中間のものを△とした。
【0030】
実施例1
東レ・デュポン社製ポリウレタン繊維のマルチフィラメント(ライクラ、44T/1、44デシテックス)を3倍に延伸した状態で、ポリエチレンテレフタール系繊維のマルチフィラメント(55デシテックス)を巻きつけたシングルカバード糸(ポリウレタン繊維の所要量は糸全体に対し21%)を用いて、経糸58本/インチで緯糸48本/インチの織密度で、50g/m2の平織り組織の生機を得た。この生機を90℃で精錬、リラックスし、170℃でテンターを用いて乾燥、熱セット加工し、経糸60本/インチで緯糸50本/インチの織物(補強材A)を作製した。次に、3.2μm×3mmの帝人社製ポリエステル繊維(TM04PN SD 0.1デシテックス×3mm)100質量%をパルパーを用い、水中にて均一に離解、分散し、濃度1%の懸濁液を調成し、ついで該懸濁液を用いて、乾燥坪量で55g/m2となるように抄造を行い、湿式ウェブ(W1)層を得た。湿式ウェブ層と織物との層構成がW1/A/W1となるように重ね合わせ、76メッシュの平織りのプラスチックワイヤー上に積載し、以下に示す3列のノズル列にて、圧力(8.8×106Pa)、交絡速度10m/minで交絡を行った。さらにウェブを反転し、同様の条件で水流噴射して、交絡を行った。ノズル径とノズル間隔、ノズルの配列を以下に示す。第1列目はノズル径120μm、ノズル間隔1.2mmが千鳥状に2列配列、第2列目はノズル径100μm、ノズル間隔0.6mmがストレートに1列、第3列目はノズル径100μm、ノズル間隔0.6mmがストレートに1列である。続いて、パッダーにて水を絞った後、エアドライアーを用い、110℃で乾燥して不織布を得た。この不織布に水系ポリウレタン液を、不織布シートの全質量に対して5質量%になるように、マングルを用いて絞りながら含浸処理を行い、乾燥、キュアリングを行った。次に、茶色の分散染料を用いて、染色温度130℃、処理時間30分間の条件で、液流染色機で染色処理を行った。乾燥後に、500番手のサンドペーパーで表面をバッフィングして起毛処理を施して、表面に立毛を有する実施例1の人工皮革を得た。
【0031】
実施例2
東レ・デュポン社製ポリウレタン繊維のマルチフィラメント(ライクラ、44T/1、44デシテックス)を2倍に延伸した状態で、ポリエチレンテレフタール系繊維のマルチフィラメント(44デシテックス)を巻きつけたシングルカバード糸(ポリウレタン繊維の所要量は糸全体に対し33%)を用いて、経糸58本/インチで緯糸48本/インチの織密度で、50g/m2の平織り組織の生機を得た。この生機を90℃で精錬、リラックスし、130℃でテンターを用いて乾燥、熱セット加工し、経糸60本/インチで緯糸50本/インチの織物(補強材B)を作製した。この補強材(B)と実施例1で作製したのと同じ湿式ウェブ層(W1)との層構成がW1/B/W1となるように重ね合わせて加工した以外は実施例1と同じ方法で加工を行い、実施例2の人工皮革を得た。
【0032】
実施例3
3.2μm×3mmの帝人社製ポリエステル繊維(TM04PN SD 0.1デシテックス3mm)60質量%と5.5μm×5mmの帝人社製ポリエステル繊維(TM04PN0.3デシテックス×5mm)40質量%と混合し、パルパーを用い、水中にて均一に離解、分散し、濃度1%の懸濁液を調成し、ついで該懸濁液を用いて、乾燥坪量で70g/m2となるように抄造を行い、湿式ウェブ(W1)層を得た。この湿式ウェブ層(W2)と実施例1で作製したのと同じ補強材(A)との層構成がW2/A/W2となるように重ね合わせて加工した以外は実施例1と同じ方法で加工を行い、実施例3の人工皮革を得た。
【0033】
比較例1
ポリエチレンテレフタール系繊維のマルチフィラメント糸(経緯糸の繊度は66デシテックス)より作製した50g/m2の平織り物(織密度は経糸60本/インチ、緯糸50本/インチ)を補強材(C)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で加工を行い、比較例1の人工皮革を得た。
【0034】
比較例2
3.2μm×3mmの帝人社製ポリエステル繊維(TM04PN SD 0.1デシテックス×3mm)100質量%をパルパーを用い、水中にて均一に離解、分散し、濃度1%の懸濁液を調成し、ついで該懸濁液を用いて、乾燥坪量で100g/m2となるように抄造を行い、湿式ウェブ(W3)層を得た。補強材と積層しないで、湿式ウェブ層(W3)のみを用いて、実施例1と同じ方法で加工を行い、比較例2の人工皮革を得た。
【0035】
比較例3
繊維径3.2μm、繊維長5mmのポリエステル繊維の代わりに繊維径12μm、繊維長5mmの帝人社製ポリエステル繊維(TT04N SD 1.7デシテックス×5mm)を用いた以外は実施例1と同じ方法で人工皮革を作製した。
【0036】
実施例1〜3および比較例1〜3の評価結果を表1に記載する。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1および実施例2と比較例1および比較例2との比較から明らかなように、本発明の人工皮革用不織布を用いた人工皮革は、いずれも良好な風合いと触感を有するだけではなく、優れた伸長率と伸長回復率および座屈性を有していることがわかる。実施例1および実施例2と比較例3の比較より、主体繊維の単繊維径が本発明の範囲外の場合、風合い、触感、座屈性が低下し、特に、スェード調人工皮革の特徴であるヌメリ感が損なわれることがわかる。
【0039】
【発明の効果】
主に単繊維径10μm以下の繊維から構成されたウェブ層の繊維とポリウレタン繊維を含む糸から構成される織編物とが三次元的に絡合一体化されたことを特徴とする人工皮革用不織布に関するものである。本発明の不織布を用いることによって、風合い、触感に優れた特徴を示すだけではなく、従来の人工皮革では達成できなかったストレッチバック性を有する人工皮革を提供することができる。
Claims (5)
- 主に単繊維径10μm以下の繊維から構成されたウェブ層の繊維と補強材とが三次元的に絡合され、一体化された絡合不織布において、該補強材が、ポリウレタン繊維を含む糸から構成される織編物であることを特徴とする人工皮革用不織布。
- 湿式抄造法により形成されたウェブ層を補強材と積層し、高圧柱状水流により三次元的にウェブ層の繊維と補強材とを交絡一体化させたことを特徴とする請求項1記載の人工皮革用不織布。
- 該ウェブ層が、繊維長2〜20mmの合成繊維、再生繊維もしくは天然繊維からなり、かつ坪量5g/m2以上であることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項に記載の人工皮革用不織布。
- 該補強材が、ポリウレタン繊維を3〜50%含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の人工皮革用不織布。
- 該補強材が、ポリウレタン繊維を伸ばした状態で、ポリウレタン繊維以外の合成繊維のフィラメントにより被覆したカバード糸から構成される織編物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の人工皮革用不織布。
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