JPH06329629A - 脂環構造を含む不飽和イミド系化合物の製造方法 - Google Patents

脂環構造を含む不飽和イミド系化合物の製造方法

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JPH06329629A
JPH06329629A JP5121136A JP12113693A JPH06329629A JP H06329629 A JPH06329629 A JP H06329629A JP 5121136 A JP5121136 A JP 5121136A JP 12113693 A JP12113693 A JP 12113693A JP H06329629 A JPH06329629 A JP H06329629A
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JP5121136A
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Yasuhiro Hirano
泰弘 平野
Kazuo Takebe
和男 武部
Mitsuhiro Shibata
充弘 柴田
Shuichi Kanekawa
修一 金川
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】汎用溶媒に対する溶解度の高い不飽和イミド系
化合物を製造する際、純度の高い製品を汎用性がありか
つ簡便な工程で効率良く製造できる方法を提供すること
にある。 【構成】一般式(1) 【化1】 (式中、Qは脂環構造を含む炭素数5〜20の炭化水素
基を表す。R1 、R2、R3 、R4 、Ri 、Rj はそれ
ぞれハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基または炭
素数1〜6の含ハロゲン炭化水素基を表し、a、b、
c、d、e、fはそれぞれ0以上4以下の整数でa+b
≦4、c+d≦4、e+f≦4を満たす。)で表される
ジアミノ化合物と、不飽和ジカルボン酸無水物とを反応
させて得られたアミド酸化合物を非プロトン性極性溶媒
中、酸性触媒の存在下で加熱し、脱水閉環反応を行なう
ことを特徴とする不飽和イミド系化合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気、電子分野での積
層板、封止材料、絶縁材料、また繊維強化複合材料、摺
動材料、成形材料等のポリマーの中間体や原料となる不
飽和イミド系化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、さきに後述の一般式
(4)で表される新規な不飽和イミド系化合物を見出し
た(特願平4−303616号明細書参照)。この化合
物は、汎用の有機溶媒への溶解度が高く、積層板等を作
成する際のワニスの調製が容易であるという特徴を有し
ている。この化合物を、従来の不飽和イミド系化合物の
製造法によって製造すると不都合な場合があった。たと
えば、従来、 4, 4'- ジフェニルメタンビスマレイミド
が知られている(米国特許第2444536 号、同特許第2467
835 号等)。この化合物は耐熱性に優れることから用途
開発が進められている。また、4, 4'-ジフェニルメタン
ビスマレイミドの欠点である硬化成形物の脆さ、吸湿性
の高さを改良した、主鎖骨格をジフェニルメタン以外の
骨格に置き換えた様々な不飽和イミド系化合物も数多く
提案されている(例えば、特開昭63-162706 、特開昭60
-156669 等)。
【0003】これら従来の不飽和イミド系化合物を製造
する一般的な方法として、芳香族アミンと無水マレイン
酸等の酸無水物とを溶媒中で反応させた後、脱水剤を作
用させる化学閉環法が公知である(Org.Synth., 41,93
(1961) 等)。従来の不飽和イミド系化合物は汎用溶媒
に対する溶解度が低いため、上記操作で不飽和イミド系
化合物が反応中に結晶として析出してくる。したがっ
て、反応後、これを濾取し洗浄すれば高純度の製品が得
られるので好都合であった。
【0004】しかしながら、上記の、汎用の有機溶媒へ
の溶解度の高い不飽和イミド系化合物を化学閉環法で製
造しようとすると、均一溶液系で反応が進行し、反応後
に結晶が析出しないので、製品の分離に手間がかかり、
高純度の製品を得るのがむつかしい等の問題があった。
【0005】すなわち、製品の分離工程において、加温
したり、時間をかけることが必要であり、そのために化
学閉環法で一般的に脱水剤として使用される無水酢酸と
それに由来する酢酸により原料アミンのアセチル化や不
飽和イミド基への酢酸の付加といった副反応が進行する
ため製品の純度が下がる傾向があった。また、これらの
不都合を避けるため、反応混合物を大量の水中に投入
し、製品を水中に結晶として析出させる方法もあるが、
この方法は大量の排水が出るという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の様な状況に鑑み、汎用溶媒に対する溶解度の高い不飽
和イミド系化合物を製造する際、汎用性があり、簡便な
工程で効率良く、かつ純度の高い製品を製造できる方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は次の
とおりである。 [1] 一般式(1)
【化9】 (式中、Qは脂環構造を含む炭素数5 〜20の炭化水素基
を表す。R1 、R2 、R3 、R4 、Ri 、Rj はそれぞ
れハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基または炭素
数1〜6の含ハロゲン炭化水素基を表し、a 、b 、c 、
d 、e 、f はそれぞれ0以上4以下の整数でa +b ≦4
、c +d ≦4 、e +f ≦4 を満たす。)で表されるジ
アミノ化合物と、一般式(2)
【0008】
【化10】 (式中、Dは2〜24個の炭素原子を持ち、エチレン性
不飽和二重結合を有する二価の有機基である。)で表さ
れる不飽和ジカルボン酸無水物とを反応させて得られた
一般式(3)
【0009】
【化11】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 、Ri 、Rj 、D
はそれぞれ一般式(1)および(2)の場合に同じ。)
で表されるアミド酸化合物を非プロトン性極性溶媒中、
酸性触媒の存在下に加熱し、脱水閉環反応を行うことを
特徴とする一般式(4)
【0010】
【化12】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 、Ri 、Rj 、D
はそれぞれ一般式1および2の場合に同じ。)で表され
る不飽和イミド系化合物の製造方法。
【0011】[2] 一般式(5)
【化13】 (式中、Xはハロゲン原子またはニトロ基を表し、
i 、Rj は一般式(1)の場合に同じ。)で表される
ニトロベンゼン誘導体と一般式(6)
【0012】
【化14】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ一般式
(1)および(2)の場合に同じ。)で表されるビスフ
ェノール類とを反応させて、一般式(7)
【0013】
【化15】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 、Ri 、Rj はそ
れぞれ一般式(1)および(2)の場合に同じ。)で表
されるジニトロ化合物類を得、これを還元して一般式
(1)で表されるジアミノ化合物を得、これを一般式
(2)で表される不飽和ジカルボン酸無水物との反応に
供することを特徴とする上記〔1〕記載の不飽和イミド
系化合物の製造方法。
【0014】[3]一般式(5)で表されるニトロベン
ゼン誘導体と一般式(6)で表されるビスフェノール類
とを非プロトン性極性溶媒中で反応させて一般式(7)
で表されるジニトロ化合物類を含む混合物を得、そのジ
ニトロ化合物類をその混合物から単離することなく還元
して一般式(1)で表されるジアミノ化合物を含む混合
物を得、次いでそのジアミノ化合物をその混合物から単
離することなく一般式(2)で表される不飽和ジカルボ
ン酸無水物との反応に供することを特徴とする上記
〔2〕記載の不飽和イミド系化合物の製造方法。
【0015】上記の発明について説明する。一般式
(1)において、Qの脂環式構造を含む炭素数4 〜20の
二価の有機基の代表例としては、式(a )、(b )、
(c )、(d )、(e )または(f )
【0016】
【化16】 等で表される基が挙げられる。
【0017】一般式(1)においてR1 〜R4 、Ri
j の具体例としては水素原子;フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素等のハロゲン原子;メチル、エチル、ブチル、ア
ミル、ヘキシルの直鎖または分岐状のアルキル基;シク
ロヘキシル基;フェニル基等の炭素数1 〜6 の炭化水素
基;これらの炭化水素基の水素原子の一つ以上をハロゲ
ン原子で置換した基が挙げられる。
【0018】一般式(1)で表されるジアミノ化合物類
の代表例を示すと次の通りである。すなわち、ビス〔4
−(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタン、ビス
〔2−(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタン、
1−〔2 −(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕−8 −
〔4 −(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタン、
ビス〔4 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタ
ン、ビス〔2 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕メ
ンタン、 1−〔2 −(3 −アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−8 −〔4 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕
メンタン、ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3 −
メチルフェニル)メンタン、ビス〔4 −(4 −アミノフ
ェノキシ)−3, 5−ジメチルフェニル〕メンタン、ビス
〔4 −(4−アミノフェノキシ)−3 −ブチル−6 −メ
チルフェニル〕メンタン、ビス〔4−(4 −アミノ−5
−メチルフェノキシ)−3 −メチルフェニル〕メンタ
ン、ビス〔4 −(4 −アミノ−5 −メチルフェノキシ)
−3, 5−ジメチルフェニル〕メンタン、ビス〔4 −(4
−アミノ−5 −メチルフェノキシ)−3 −ブチル−6 −
メチルフェニル〕メンタン、ビス〔2 −(4 −アミノフ
ェノキシ)−3 −メチルフェニル〕メンタン、 1−〔2
−(4 −アミノフェノキシ)−3 −メチルフェニル〕−
8 −〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3 −メチルフェ
ニル〕メンタン、
【0019】ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ジシクロペンタン、ビス〔2−(4 −アミノフェ
ノキシ)フェニル〕ジシクロペンタン、〔2 −(4 −ア
ミノフェノキシ)フェニル〕−〔4 −(4 −アミノフェ
ノキシ)フェニル〕ジシクロペンタン、ビス〔4 −(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕ジシクロペンタン、ビ
ス〔2 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕ジシクロ
ペンタン、〔2 −(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
−〔4 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕ジシクロ
ペンタン、ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3 −
メチルフェニル)ジシクロペンタン、ビス〔4 −(4 −
アミノフェノキシ)−3, 5−ジメチルフェニル〕ジシク
ロペンタン、ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3
−ブチル−6 −メチルフェニル〕ジシクロペンタン、ビ
ス〔4 −(4 −アミノ−5 −メチルフェノキシ)−3 −
メチルフェニル〕ジシクロペンタン、ビス〔4 −(4 −
アミノ−5 −メチルフェノキシ)−3, 5−ジメチルフェ
ニル〕ジシクロペンタン、ビス〔4 −(4 −アミノ−5
−メチルフェノキシ)−3 −ブチル−6 −メチルフェニ
ル〕ジシクロペンタン、ビス〔2 −(4 −アミノフェノ
キシ)−3 −メチルフェニル〕ジシクロペンタン、〔2
−(4 −アミノフェノキシ)−3 −メチルフェニル〕−
〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3 −メチルフェニ
ル〕ジシクロペンタン等が例示される。
【0020】上記ジアミノ化合物類は、前記一般式
(5)で表されるニトロベンゼン誘導体と前記一般式
(6)で表されるビスフェノール類との反応生成物であ
るところの、前記一般式(7)で表されるジニトロ化合
物類を還元して得られる。
【0021】一般式(6)で表されるビスフェノール類
は、二価の反応部位を持つ脂環構造を持つ炭化水素類と
フェノール類とを反応させることにより得られる(例え
ば、Chemich Berichte, 57,854(1924)等)。ジペンテン
等のテルペン系化合物類やジシクロペンタジエン等の脂
環構造を持つ炭化水素類と、フェノール、クレゾール、
キシレノール等のフェノール類とを三フッ化ホウ素や三
フッ化ホウ素エーテル錯体等の触媒の存在下で行う合成
法はFriedel-Crafts反応の一種であり、公知の手法であ
る(例えば、英国特許第1043159 号明細書(1963)、オラ
ンダ特許第6513720 号明細書(1967)、特開平4-139142公
報等)。また、フェノール類とオレフィンのFriedel-Cr
afts反応は酸性イオン交換樹脂を触媒にして進むことが
知られている(例えば、Reagents for Organic Synthes
is,513(1967))。本発明で用いられるビスフェノール類
はこれらの公知の手法で製造できる。
【0022】ビスフェノール類の原料フェノール類とし
ては、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメ
チルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノー
ル、ブチルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフ
ェノール、メチルプロピルフェノール、メチルブチルフ
ェノール、メチルヘキシルフェノール、クロロフェノー
ル、クロロクレゾール、クロロキシレノール、ブロモフ
ェノール、ブロモクレゾール、ブロモキシレノール等が
挙げられるが、フェノール、クレゾール、キシレノー
ル、メチルブチルフェノールが好ましい。
【0023】一般式(6)中のQの部分に対応する脂環
式構造を含む炭化水素類としては、シクロペンタジエ
ン、シクロヘキサジエン等の環状ジエン類、ジペンテ
ン、リモネン、テルピノーレン、テルピネン、メンタジ
エン等のテルペン類、テトラヒドロインデン、ジシクロ
ペンタジエン、ノルボルナジエン、トリシクロペンタジ
エン等の多環構造ジエン類等が挙げられるが、これらの
中でもリモネン、ジペンテン、ジシクロペンタジエンが
好ましい。
【0024】通常、Friedel-Crafts反応は有機溶媒中、
-10 〜180 ℃で行われる。使用する触媒としては塩酸、
硫酸、フッ化水素酸、燐酸、パラトルエンスルホン酸等
のブレンステッド酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩
化鉄(III)、塩化スズ(IV)、四塩化チタン、三
フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス
酸、アンバーライト、アンバーリスト等(ロームアンド
ハース社製)のイオン交換樹脂が用いられる。副生成物
の生成や収率を考慮すると塩化亜鉛、塩化鉄(II
I)、塩化スズ(IV)、四塩化チタン、三フッ化ホウ
素、三フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸が好まし
い。反応溶媒としてはトルエン、キシレン等が挙げられ
る。溶媒を用いずに反応を行うことも可能である。フェ
ノール類は脂環構造を含む炭化水素類に対し、2モル倍
以上、過剰に用いることが好ましい。反応後、系内に残
存する未反応体を水蒸気蒸留、減圧下の窒素導入、薄膜
蒸留等の手法で除去してビスフェノール体を得る。ビス
フェノール中にフェノール類と脂環構造を含む炭化水素
類からなるオリゴマー体が混入しても差し支えない。最
終製品の溶融粘度を下げる等の必要がある場合にはビス
フェノール成分の純度が高い方が良く、トルエン等の溶
媒から再結晶されたビスフェノール体が用いられる。
【0025】一般式(7)で表されるジニトロ化合物類
の製造法としては、塩基性化合物の存在下、フェノール
類とニトロベンゼン誘導体とを反応させる手法が公知で
あり、その文献を具体的に例示するなら Org.Synth.,44
5,(Vol II)、米国特許第4538006 号明細書、J.Org.
Chem.,50(20),3717(1985) 、J.Org.Chem.,50(17),3091
(1985) 、特開昭61-194055 公報、特開昭62-70347公
報、Macromolecules, 25,64(1992) 等が挙げられる。
【0026】一般式(7)で表されるジニトロ化合物類
の合成に用いる原料は、それぞれ一般式(5)および
(6)で表されるニトロベンゼン誘導体とビスフェノー
ル類である。ビスフェノール類とニトロベンゼン誘導体
には種々の異性体があるが、それぞれ特定の一種を用い
る他に二種以上の異性体を併用しても差し支えない。ニ
トロベンゼン誘導体としては、p-フルオロニトロベンゼ
ン、p-クロロニトロベンゼン、p-ブロモクロロニトロベ
ンゼン、p-ヨードニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼ
ン、o-クロロニトロベンゼン等が例示されるが、p-クロ
ロニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼンが好ましい。ニ
トロベンゼン誘導体は通常ビスフェノール類の水酸基1
モルに対し0.8 倍モル以上1.4 倍モル以下を使用し、好
ましくは0.9倍モル以上1.1 倍モル以下の量が使用され
る。使用量が1.4 倍モルを超えると未反応のニトロベン
ゼン誘導体が製品中に残存しやすくなるため好ましくな
い。また使用量が低すぎると未反応の水酸基の割合が大
きくなり、製品の吸湿性が大きくなるので好ましくな
い。
【0027】ビスフェノール類とニトロベンゼン誘導体
との反応(カップリング反応)に用いる塩基性化合物と
しては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの様な水酸化
アルカリ金属塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムの様な
アルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カ
リウム等の炭酸水素アルカリ金属塩、ナトリウムメチラ
ート、カリウム-t- ブトキシド等のアルコキシド類、水
素化リチウム、水素化ナトリウム等の水素化物等が用い
られる。これらは単独で用いても良いが、二種以上を併
用しても問題はない。ジニトロベンゼン類では炭酸ナト
リウム、炭酸カリウムの様なアルカリ金属炭酸塩や炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカ
リ金属塩等の弱塩基化合物を用いることが爆発回避等安
全性の面から好ましい。
【0028】カップリング反応には公知の触媒を用いる
ことが可能である。例えばOrg.Synth.,445, (Vol I
I)に掲載されている方法で調製された活性銅粉あるい
は銅塩を用いることができる。四級アンモニウム塩や四
級リン塩、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール
等の環状ポリエーテルや鎖状ポリエーテル、またその末
端アルキルエーテル等、含窒素環状ポリエーテルや含窒
素鎖状ポリエーテル、またその末端アルキルエーテル等
の層間移動触媒を用いることができる。これらは単独で
用いても良いが、二種以上を併用しても問題はない。使
用する溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルアセトアミド、1 −メチル−2 −
ピロリドン、スルホラン、1,3 −ジメチル−2 −イミダ
ゾリジノン等の非プロトン性溶媒が用いられる。これら
の溶媒の使用量は特に限定はないが通常、原料に対し1
から10重量倍の溶媒を用いる。反応中に水が生成する場
合には系外に水を出すために、水と共沸するトルエン、
キシレン、クロロベンゼン等の炭化水素、ハロゲン化炭
化水素等を加えて共沸脱水を行なう手法を併用しても良
い。
【0029】原料の仕込み方は全ての原料を予め反応釜
に仕込む方法、塩基成分のみを最後に少しづつ添加する
方法、予めフェノラート塩を調製しておいてからニトロ
ベンゼン誘導体を徐々に添加する方法等が代表的であ
る。カップリング反応は 50 〜200 ℃までの間で一定温
度もしくは段階的に昇温して反応が終結するまでカップ
リング反応を継続する方法が一般的である。反応後、生
成した塩を濾過により除去する。以上の操作で一般式
(7)で表されるジニトロ化合物類を含む混合物(溶
液)が得られる。ここでそのジニトロ化合物類を単離し
てもよいが、単離しないで次の工程に供する方が、単離
に要するコストの節約ができるので好ましい。
【0030】一般式(7)で示されるジニトロ化合物類
から一般式(1)で示されるジアミノ化合物類への還元
反応は、触媒の存在下に水素を用いて行う。反応前に必
要に応じて溶媒を濃縮しても良い。この時、ジニトロ化
合物類が非プロトン性溶媒に溶けているか、あるいは完
全に溶解しなくても懸濁させた状態で反応を進めても良
い。通常は原料に対し1 〜30重量倍の溶媒が用いられ
る。使用される触媒はパラジウム、ニッケル、白金、コ
バルト、ロジウム、ルテニウム、銅等の金属または担持
触媒、ラネー触媒を、ジニトロ化合物類に対し金属とし
て0.0005〜20重量%、好ましくは0.01〜5 重量%用い
る。触媒は予め溶媒に懸濁させておくか、反応の進行に
合わせて徐々に反応系に加えても良い。また、触媒を非
プロトン性溶媒に水素雰囲気下に懸濁させておき、これ
にジニトロ化合物類の懸濁液もしくは溶液を滴下して反
応を行っても良い。触媒の担持用担体としては、活性
炭、金属酸化物、炭酸塩、硫酸塩等、具体的にはセライ
ト、フロリジル、アルミナ、シリカゲル、シリカアルミ
ナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等が用いられる。
ジニトロ化合物類中にそのの製造原料であるニトロベン
ゼン誘導体(ハロゲン原子を含有している)が残存して
いるために、それが還元されてハロゲン化水素が発生
し、触媒が失活するおそれがある場合には、それを防ぐ
ために炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基を加え、
アルカリ条件下で反応を行なうのが好ましい。また、必
要に応じてトリエチルアミン等のアミン類やキノリン、
イソキノリン等の含窒素芳香族類化合物を反応制御のた
め反応溶媒に対し1 ppm 〜1 重量%加えることも可能で
ある。反応条件については通常反応温度は0 〜200 ℃、
圧力は常圧〜25気圧の範囲であり、好ましくは温度0 〜
150 ℃、圧力は常圧〜10気圧の範囲である。反応時間は
通常4 〜24時間程度である。
【0031】反応後、触媒を濾別する。使用した触媒は
そのまま、もしくは再生処理を施した後、再使用するこ
とが可能である。反応により生成する水は、そのまま留
去するか、水と共沸する溶媒を加えて共沸脱水により除
去される。以上の操作で、一般式(1)で表されるジア
ミノ化合物を含む混合物(溶液)が得られる。ここでそ
のジアミノ化合物を単離してもよいが、単離しないで次
の工程に供する方が、単離に要するコストが節約できる
ので好ましい。
【0032】一般式(4)で示される不飽和イミド系化
合物を合成する方法は、第一段階でジアミノ化合物と不
飽和ジカルボン酸無水物とのアミド酸を調製し、続いて
第二段階で触媒の存在下加熱により脱水閉環反応を行い
対応する不飽和イミド系化合物を得るものである。
【0033】一般式(2)で表される不飽和ジカルボン
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸、無水シトラコン酸、無水ジクロロマレイン酸、
無水ピロシンコン酸、無水テトラヒドロフタル酸等、あ
るいはこれら不飽和ジカルボン酸無水物とジエン類との
Diels-Alder反応物、例えば、シクロペンタジエン、フ
ラン、テルピネンと無水マレイン酸との環化付加反応物
等の少なくとも一種が使用される。
【0034】第一段階のアミド酸の調製方法は一般式
(2)で表される不飽和ジカルボン酸無水物の有機性溶
液とジアミノ化合物の溶液を接触させる方法を取る。こ
の時、不飽和ジカルボン酸無水物はジアミノ化合物のア
ミノ基1当量に対し1〜1.5倍当量を用いることが好
ましい。1倍当量より少ないとアミド酸とならないアミ
ノ基が残存し、1.5倍より多く使用しても特に多く用
いたことによる利点は無く、逆に製品中に未反応不飽和
ジカルボン酸類が混入するので好ましくない。通常の添
加方法は不飽和ジカルボン酸無水物の有機性溶液にジア
ミノ化合物の溶液を連続、あるいは分割して仕込む。添
加に要する時間は副反応が顕著にならない範囲であれば
特に制限は無いが、通常 0.5〜6 時間程度である。反応
温度は-20〜120 ℃の範囲で行われ、好ましくは室温〜6
0℃の範囲である。温度が低すぎると反応の進行が遅
く、高すぎるとポリマー等の副生成物により目的物の純
度が下がる。
【0035】不飽和ジカルボン酸無水物を溶かす溶媒と
しては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、1 −メチル−2 −ピロリド
ン、スルホラン、1,3 −ジメチル−2 −イミダゾリジノ
ン等の非プロトン性極性溶媒類、ヘキサン、ヘプタン、
デカン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環炭化水素
類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、1, 2−ジ
クロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
等の一種もしくは二種以上の混合溶媒を用いる。
【0036】使用される溶媒の量は総量で不飽和ジカル
ボン酸無水物とジアミノ化合物との合計重量に対し、1
〜10重量倍であり、反応一回当たりの得量を考慮する
と1〜5重量倍が好ましい。反応はジアミノ化合物添加
終了後、0.5〜4時間程度で終了し、一般式(3)で
表されるアミド酸が得られる。
【0037】続いて第二段階である閉環反応を行い不飽
和イミド系化合物を製造する。使用する非プロトン性極
性溶媒としては、アミド酸化に用いたものと基本的に同
じでよい。ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、1 −メチル−2 −ピロリド
ン、スルホラン、1,3 −ジメチル−2 −イミダゾリジノ
ン等の含酸素、含窒素溶媒およびこれらの混合物が用い
られる。イミド化反応時に脱水閉環が起こるため水が生
成する。系外にこの水を出すために、水と共沸するヘキ
サン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族ま
たは脂環炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類、1, 2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素類等の一種もしくは二種以上の混合
溶媒を用いて共沸脱水を行なう手法を併用するのが一般
的な方法である。
【0038】これらの溶媒の使用量は、原料に対し1か
ら20重量倍、好ましくは2から10重量倍の溶媒を用
いる。アミド酸の閉環に用いる酸性触媒としては硫酸、
塩酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類、p −トルエンス
ルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、ト
リクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボ
ン酸類、カチオン型イオン交換樹脂類、リンタングステ
ン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸類、シリカア
ルミナ等の固体酸が例示でき、なかでも硫酸、p −トル
エンスルホン酸、スルホン酸型イオン交換樹脂が好まし
い。ヘテロポリ酸を用いる場合にはあらかじめ触媒を1
50〜200℃で処理して活性を高めて置くことが好ま
しい。これらの酸は活性炭、シリカゲル、シリカアルミ
ナ、無機塩類に担持して使用しても良く、ジアミノ化合
物との塩の形で使用しても良い。これらの酸性触媒の使
用量は種類により左右されるが、原料のジアミノ化合物
と不飽和ジカルボン酸無水物の合計重量に対し、均一系
(濾過により触媒を分離できない系)ならば0.1から
10重量%であり、不均一系(濾過により触媒を分離で
きる系)ならば5から100重量%が使用される。使用
量が上記範囲より小さいと所望の触媒効果が得られず、
上記範囲より多く使用しても一定以上の成果が得られ
ず、逆に触媒の分離除去操作が煩雑となる。不均一系の
触媒はそのまま、もしくは触媒の特性に応じて公知の再
生処理を施した後に再使用することができる。
【0039】反応温度は目的とする不飽和イミド系化合
物の性質によっても異なるが、還流下に通常80から1
60℃、好ましくは100から150℃である。反応時
間は0.5から20時間、特に2から15時間である。
反応は常圧、減圧、加圧のいずれでも良く、溶媒の種
類、必要とされる温度等により適宜決定される。
【0040】反応は閉環により生じた水をDean−Stark
共沸脱水管等の装置を用いて系外へ分離除去しながら行
う。反応後、減圧下に共沸用溶媒、続いて非プロトン性
極性溶媒を留去する。反応は溶媒を留去しながら進めて
も良い。この時溶媒は70%以上留去することが良く、
80%以上留去することが好ましい。溶媒の留去率が大
きい程、生成物中の残存非プロトン性極性溶媒を後述の
製品の結晶化に使った溶媒中から蒸留分離する場合にそ
の操作の負担が軽減されて経済的である。また、70%
より留去率が小さいと後述の結晶化を行なう時に製品が
その溶媒中に溶け易くなり製品の回収率が減少するので
好ましくない。
【0041】こうして得られた濃縮物をそのまま、また
は有機溶媒に分散もしくは溶解させた液と、貧溶媒とを
接触させることにより、反応混合物中に含まれる不飽和
イミド系化合物を結晶化させることができる。使用する
有機溶媒に対するその濃縮物中に含まれる不飽和イミド
系化合物の溶解度が大きい場合には、結晶化をさせるこ
とが困難になり、溶解度が小さい場合には解かすために
多量の有機溶媒が必要となることから、脂環構造を持つ
不飽和イミド系化合物に対し適度な溶解性を持つ溶媒を
選ぶ必要がある。これにはエーテル系、グリコール系溶
媒が好ましく、特にメチルセロソルブ、プロピレングリ
コールモノメチルエーテルが好ましい。貧溶媒として
は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコ
ール系溶媒や水が好適である。
【0042】上記操作で得られた結晶を濾過し、2 −プ
ロパノール、メタノール等で洗浄してから減圧下に加温
して乾燥させる。取扱い中、発火等の危険性がある場合
にはアルコール分を水で置換してから乾燥させても良
い。
【0043】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。 実施例1の1 ニトロ化合物;ビス(4 −ニトロフェノキシフェニル)
メンタンの合成 温度計、撹拌装置、および滴下ロートを装着した5リッ
トル四ツ口フラスコにYP−90(商品名、ヤスハラケ
ミカル製、ジペンテンとフェノールの反応化合物、水酸
基当量 162 g/eq) 746.3 gと、p-クロロニトロベンゼ
ン 724.8 g、ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと
略。) 2457 g を仕込み、窒素気流下 50 ℃で溶解させ
た。無水炭酸カリウム 642.2 gを加え、140 ℃に昇温
し、140 〜145 ℃で 15 時間反応を続けた。内温を100
℃まで下げてから濾過により生成した塩を除いた。この
塩をジメチルアセトアミド 200 gで洗浄して濾液に合わ
せ、ビス(4 −ニトロフェノキシフェニル)メンタンの
DMAc溶液を得た。この溶液の一部を減圧下に濃縮
し、水洗してからメタノールで還流下に1 時間洗浄を行
ってから淡黄色の結晶を濾取した。この結晶を減圧下に
乾燥させた。高速液体クロマトグラフィー(以下、LC
と略。)による純度は97.80 %、赤外吸収スペクトルか
ら 1340 と1512 cm -1にニトロ基による吸収が観察され
た。
【0044】実施例1の2 アミノ化合物;ビス(4 −アミノフェノキシフェニル)
メンタンの合成(その1) 500 ミリリットルオートクレーブに実施例1の1で得ら
れたビス(4 −ニトロフェノキシフェニル)メンタンの
DMAc溶液(濃度を33.3重量%に調整。)350 g と 5
%パラジウム/活性炭触媒 4.6 gを仕込んだ。減圧して
から窒素で復圧して系内の酸素を除去した。次に再度減
圧にしてから水素で復圧する操作を三回繰り返して反応
容器内部を水素で置換した。水素雰囲気下、内温を80±
5 ℃まで昇温させ、同温で4 時間反応を続けた。内圧を
1.5 気圧まで上げ、さらに30分反応させ還元反応を完結
させた。減圧にしてから窒素で復圧し、内部の水素を除
去した。別途濾過装置の濾紙の上にラジオライト(商品
名、水澤化学製、濾過助剤の一種。)をコートしてから
反応溶液を80℃で濾過し、DMAc 20 g で洗浄して、
濾液を1 リットルフラスコに入れ、クロロベンゼンを加
えて減圧下に共沸脱水を行い、Dean-Stark共沸脱水装置
を用いて系内の水を分離除去した。続いてクロロベンゼ
ンを減圧下に回収してビス(4 −アミノフェノキシフェ
ニル)メンタンのDMAc溶液を得た。溶液中のジアミ
ノ体の純度はLCから98.2%であった。溶液の一部を減
圧下に濃縮してからトルエンに再溶解した。この溶液を
20%食塩水で洗浄してから硫酸マグネシウムで乾燥し
た。乾燥後、濾過により乾燥剤を濾別してから濾液を減
圧下に留去して標準品を得た。このものは淡褐色のガラ
ス状であった。次にこのものの物性を示す。 ・ 質量スペクトル M+ =506 ・ アミン当量(滴定法による。)254 g /eq ・ 1H-NMR スペクトル δ:0.6 〜2.1ppm(m 、脂肪
族)、2.7 ppm (m 、メチン)、3.5 ppm (brs 、アミ
ノ基)、6.6 〜7.3ppm(m 、芳香族) ・ 赤外吸収スペクトル:1228 cm -1(エーテル結
合)、3210、3360、3440 cm -1(アミノ結合)
【0045】実施例1の3 アミノ化合物;ビス(4 −アミノフェノキシフェニル)
メンタンの合成(その2) 500 ミリリットルオートクレーブにDMAc 50 g と 5
%パラジウム/アルミナ触媒 4.0 gを仕込んだ。減圧し
てから窒素で復圧して系内の酸素を除去した。次に再度
減圧にしてから水素で復圧する操作を三回繰り返して反
応容器内部を水素で置換した。水素雰囲気下、内温を80
±5 ℃まで昇温させ、実施例1で得られたビス(4 −ニ
トロフェノキシフェニル)メンタンのDMAc溶液(濃
度を33.3重量%に調整。)300 g を一気圧で滴下装置を
用いて2 時間で滴下した。同温で2 時間反応を続けて還
元反応を完結させた。減圧にしてから窒素で復圧し、内
部の水素を除去した。反応溶液を80℃で濾過して触媒を
除き、DMAc 20 g で洗浄してビス(4 −アミノフェ
ノキシフェニル)メンタンのDMAc溶液を得た。溶液
中のジアミノ体の純度はLCから98.9%であった。LC
分析によるこのジアミノ体の保持時間は実施例1の2で
得られたものと完全に一致した。
【0046】実施例1の4 不飽和イミド系化合物;N, N' −ビス(4-アミノフェノ
キシフェニル)メンタンビスマレイミドの合成(その
1) 5リットル四ツ口フラスコに無水マレイン酸 237.3 gと
クロロベンゼン2373gを仕込み、窒素気流下撹拌して溶
解させた。実施例1の2と同様の操作で得られたビス
(4 −アミノフェノキシフェニル)メンタンのDMAc
溶液(濃度を34.3重量%に調整。)1625.1 gを滴下ロー
トを用いてフラスコに25±5 ℃で2 時間かけて滴下し
た。35℃で2 時間反応を続けアミド酸化反応を完結させ
た。続いてp −トルエンスルホン酸一水和物 10.46 gを
加え、常圧下、130 から140 ℃で脱水閉環反応を行っ
た。生成した水を、Dean−Stark 共沸脱水装置を用いて
系外に分離しながら反応を進めた。反応は5時間で終了
した。次に減圧下にトルエン、続いてDMAcを合計93
%回収した。この時得られた粗生成物は樹脂状であっ
た。続いて生成物にプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル 674 gを加えて60℃に加熱し、溶解させた液を冷
却してから2 −プロパノール 1685 g に排出し、得られ
た結晶を濾取した。これを2 −プロパノール、続いてメ
タノールで洗浄して減圧下に乾燥し、淡黄色結晶を収量
669 g(収率91.2%)で得た。GPCから、N, N' −ビ
ス(4-アミノフェノキシフェニル)メンタンビスマレイ
ミドが85%、ビスマレイミドのオリゴマー成分が15%含
まれていた。オリゴマー成分は熱硬化性樹脂として有効
に働くので、通常は分離する必要がない(後述の実施例
の場合も同じ)。製品は、赤外スペクトルで1238cm
-1にエーテル結合の吸収、1712cm-1にイミド結合の
吸収を示した。
【0047】実施例2 不飽和イミド系化合物;N, N' −ビス(4-アミノフェノ
キシフェニル)メンタンビスマレイミドの合成(その
2) 実施例1の4の場合で、p −トルエンスルホン酸一水和
物触媒の替わりにカチオン型イオン交換樹脂である商品
名アンバーリスト15(オルガノ株式会社製)95.0 gを
用い、同様の操作を行った。130 から140 ℃で脱水閉環
反応を5 時間行った。濾過により触媒を分離してから実
施例1の4と同様の後処理を行い、淡黄色結晶を収量 6
45 g(収率88.0%)で得た。GPCから、N, N' −ビス
(4-アミノフェノキシフェニル)メンタンビスマレイミ
ドが82%、ビスマレイミドのオリゴマー成分が18%含ま
れていた。
【0048】
【発明の効果】本発明の製造方法においては、次のよう
な利点がある。 (A)汎用溶媒に対する溶解度の大きい不飽和イミド化
合物を簡便な工程で効率良く、かつ純度の高い製品を製
造できる。 (B)本製法では使用した触媒、溶媒、洗浄液を分離再
使用できるため経済的に有利である。 (C)本製法に用いる結晶化工程に用いる溶媒の総量は
比較的少量ですむため、反応に用いた釜容量内に抑える
ことができる。このため通常必要とされる粒状化工程用
の大型の釜を必要とせず、使用済溶媒の回収も短時間で
済む。 (D)ニトロベンゼン誘導体とビスフェノール類とから
ジニトロ化合物類を得る反応にはじまり最終の不飽和イ
ミド系化合物を得る反応に至る一連の反応を、途中で中
間製品を単離、精製することなく行なうことができるの
で、その単離、精製に要する時間、装置、労力等を節約
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 211/88 227/093 // C07B 61/00 300 (72)発明者 金川 修一 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、Qは脂環構造を含む炭素数5〜20の炭化水素
    基を表す。R1 、R2、R3 、R4 、Ri 、Rj はそれ
    ぞれハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基または炭
    素数1〜6の含ハロゲン炭化水素基を表し、a 、b 、c
    、d 、e 、f はそれぞれ0以上4以下の整数でa +b
    ≦4 、c +d ≦4 、e +f ≦4 を満たす。)で表される
    ジアミノ化合物と一般式(2) 【化2】 (式中、Dは2 〜24個の炭素原子を持ち、エチレン性不
    飽和二重結合を有する二価の有機基である。)で表され
    る不飽和ジカルボン酸無水物とを反応させて得られた一
    般式(3) 【化3】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 、Ri 、Rj 、D
    はそれぞれ一般式(1)および(2)の場合に同じ。)
    で表されるアミド酸化合物を非プロトン性極性溶媒中、
    酸性触媒の存在下で加熱し、脱水閉環反応を行うことを
    特徴とする一般式(4) 【化4】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 、Ri 、Rj 、D
    はそれぞれ一般式(1)および(2)の場合に同じ。)
    で表される不飽和イミド系化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】一般式(1)中のQが式(a)、(b)ま
    たは(c) 【化5】 で表される基であり、一般式(1)中のエーテル酸素原
    子に対するイミド基の置換位置がパラ位であって、一般
    式(2)の不飽和ジカルボン酸無水物が無水マレイン酸
    であることを特徴とする請求項1記載の不飽和イミド系
    化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式(5) 【化6】 (式中、Xはハロゲン原子またはニトロ基を表し、
    i 、Rj は一般式(1)の場合に同じ。)で表される
    ニトロベンゼン誘導体と一般式(6) 【化7】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ一般式
    (1)および(2)の場合に同じ。)で表されるビスフ
    ェノール類とを反応させて一般式(7) 【化8】 (式中のQ、R1 、R2 、R3 、R4 、Ri 、Rj はそ
    れぞれ一般式(1)および(2)の場合に同じ。)で表
    されるジニトロ化合物類を得、これを還元して一般式
    (1)で表されるジアミノ化合物を得、これを一般式
    (2)で表される不飽和ジカルボン酸無水物との反応に
    供することを特徴とする請求項1または2記載の不飽和
    イミド系化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(5)で表されるニトロベンゼン誘
    導体と一般式(6)で表されるビスフェノール類とを非
    プロトン性極性溶媒中で反応させて一般式(7)で表さ
    れるジニトロ化合物類を含む混合物を得、そのジニトロ
    化合物類をその混合物から単離することなく還元して一
    般式(1)で表されるジアミノ化合物を含む混合物を
    得、次いでそのジアミノ化合物をその混合物から単離す
    ることなく一般式(2)で表される不飽和ジカルボン酸
    無水物との反応に供することを特徴とする請求項3記載
    の不飽和イミド系化合物の製造方法。
JP5121136A 1992-10-28 1993-05-24 脂環構造を含む不飽和イミド系化合物の製造方法 Pending JPH06329629A (ja)

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