JPH0632816A - 未反応フルオロオレフィンの回収方法 - Google Patents

未反応フルオロオレフィンの回収方法

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JPH0632816A
JPH0632816A JP18810192A JP18810192A JPH0632816A JP H0632816 A JPH0632816 A JP H0632816A JP 18810192 A JP18810192 A JP 18810192A JP 18810192 A JP18810192 A JP 18810192A JP H0632816 A JPH0632816 A JP H0632816A
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JP
Japan
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gas
fluoroolefin
unreacted
dispersion
fluoroolefins
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Application number
JP18810192A
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English (en)
Inventor
Hiroo Tanaka
博夫 田中
Yoshinobu Deguchi
義信 出口
Shinichi Kuwamura
慎一 桑村
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 フルオロオレフィン類;カルボン酸のビニル
エステル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類また
はアリルエーテル類;あるいは(メタ)アクリル酸もし
くはクロトン酸などに代表される、上記フルオロオレフ
ィン類と共重合可能なるその他の共単量体類のような、
フルオロオレフィン類を必須とする、これらの未反応フ
ルオロオレフィン類を、その重合反応終了後において、
それぞれ、第一段階としては、該反応の容器内の圧力に
よって、ガス捕集タンクへ移送し、第二段階としては、
溶存している未反応フルオロオレフィン類をガス捕集タ
ンクへ移送し、凝縮液化する。 【効果】 粒子形態を破壊せずに、未反応フルオロオレ
フィン類を回収することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、未反応フルオロオレフ
ィンの、新規にして有用なる回収方法に関する。さらに
詳細には、本発明は、フルオロオレフィン類を主成分と
する単量体混合物を、加圧下に、水性媒体中で重合して
フルオロオレフィン樹脂の水性分散体を製造せしめるに
際し、重合反応終了後に、未反応フルオロオレフィンを
回収する工程において、その第一段階として、まず、重
合容器内の未反応フルオロオレフィン類を、容器内の圧
力によってガス捕集タンクに移送せしめ、第二段階とし
て、該水性分散体を、室温以上の温度で、さらに、溶存
している未反応フルオロオレフィン類を分離して、ガス
捕集タンクに移送せしめ、次いで、それぞれのガス捕集
タンク内の回収ガスから、未反応フルオロオレフィン類
を凝縮液化することによって、分離回収せしめることか
ら成る、該分散体の粒子安定性を変化させることのな
い、未反応フルオロオレフィンの回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フルオロオレフィン樹脂の水性分散体
(以下、フッ素樹脂水性分散体とも言う。)の製造方法
としては、水溶性開始剤や油溶性開始剤などを用い、熱
重合ないしはレドックス重合による、乳化重合法または
懸濁重合法が、一般的な方法である。
【0003】また、上記したような、いずれの方法にお
いても、フルオロオレフィンを、完全に、ポリマーに転
化せしめることは、このフルオロオレフィンが、共単量
体、すなわち、フルオロオレフィンと共重合させること
の出来る単量体に対して、相対的に、低重合性であると
いう処から、反応時間の延長を招来し、経済的に不利で
ある。
【0004】フルオロオレフィンの共重合比率によって
も差があるが、一般的には、フルオロオレフィンの60
〜95%がポリマーに転化した段階で以て、重合反応を
終了せしめることが合理的である。容器内の未反応フル
オロオレフィン含有残存ガス(以下、未反応フルオロオ
レフィンとも言う。)は、放出後において、焼却も可能
でこそあるものの、経済性の面からも、回収せしめるこ
とが望ましい。
【0005】かかる未反応フルオロオレフィンの回収
は、重合反応を終了した重合容器から、フッ素樹脂水性
分散体を、重合容器内の圧力で以て、ガス捕集タンクに
ブロー・ダウンし、そこから発生する残存ガスを回収せ
しめるという方法によるのが、一般的である。
【0006】しかし、その際に、急激なる圧力変化のた
めに、粒子中に溶存している未反応フロオロオレフィン
や、不活性気体などが、過飽和の状態になって、急激な
気化を起こす。そして、そうした粒子は、発泡して中空
粒子になったり、破裂して単なるポリマー切片になった
り、極端なる場合には、凝集したりして、モールディン
グ用パウダーとしての用途こそあるものの、特に、塗料
としては、全く、機能し得ないものとなってしまう。
【0007】また、特開昭56−59810号公報に
は、四フッ化エチレンのような、常温で気体のモノマー
の回収において、モノマー・ガスをパージすることで、
容易に、回収できるということが記述されては居るが、
分散体中に溶存しているものまでを回収するということ
は出来なかったり、粒子安定性を悪化させる処となった
りするために、こうした回収方法は、決して、好ましい
ものであるとは言い得ない。
【0008】ここで言う粒子安定性とは、該分散体の放
置安定性を指称するものであり、該粒子安定性の要求さ
れる期間中に、たとえば、塗料用としては、概ね、製造
後6カ月間に、粒子の沈降が発生しないという意味であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、該水性分
散体の粒子形態を破壊せずに、残存ガスを放出し、未反
応フルオロオレフィンを回収せしめる方法は、現在の
処、存在しないというのが、実状である。
【0010】そのために、本発明の目的ならびに本発明
が解決しようとする課題は、何ら、該フルオロオレフィ
ン樹脂水性分散体の粒子形態を破壊せずに、未反応フル
オロオレフィンを、効率よく、回収せしめるという方法
を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
従来技術の長所および短所に鑑み、上述した発明が解決
しようとする課題に照準を当てて、鋭意、検討を重ねた
結果、該分散体の重合反応終了時に、重合容器内の未反
応フルオロオレフィン類を、それぞれ、2段階に分割し
て行うことによって、従来の方法では困難であった、分
散体の粒子安定性を損なわずに回収できることを見い出
すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0012】すなわち、本発明は、フルオロオレフィン
樹脂水性分散体を製造するに際して、重合反応終了後
に、第一段階としては、まず、重合容器内のこの未反応
フルオロオレフィン類を、容器内の圧力によって、ガス
捕集タンクに移送せしめ、第二段階としては、該分散体
を、室温以上の温度で、さらに、溶存している未反応フ
ルオロオレフィン類を分離して、ガス捕集タンクに移送
せしめ、次いで、それぞれのガス捕集タンク内の回収ガ
スから、目的とするフルオロオレフィン類を凝縮液化す
ることによって、分離回収せしめるという方法を提供し
ようとするものである。
【0013】[構成]ここでいう、上記したフルオロオ
レフィンとして特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフル
オロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1,1,
3,3,3−ペンタフルオロプロピレン、2,2,3,
3−テトラフルオロプロピレン、1,1,2−トリフル
オロプロピレンまたは3,3,3−トリフルオロプロピ
レンの如き、純粋な意味でのフルオロオレフィンをはじ
め、さらには、クロロトリフルオロエチレン、ブロモト
リフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロ
エチレンまたは1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロ
エチレンの如き、フッ素原子以外のハロゲン原子を有す
るものまでを包含した形の、いわゆる広義のフルオロオ
レフィン類が挙げられる。これらのフルオロオレフィン
類は、常温で気体状のものであることは言うまでもな
い。
【0014】そのほかの共単量体としては、これら上掲
のフルオロオレフィン類との共重合性ならびに単量体自
身の安定性などを考慮して、適宜、選択されるが、それ
らのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、
イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステ
アリン酸ビニル、p−tert−安息香酸ビニル、サリ
チル酸ビニル、モノクロル酢酸ビニルもしくはシクロヘ
キサンカルボン酸ビニルの如き、各種のカルボン酸のビ
ニルエステル類をはじめ、
【0015】酢酸アリルもしくはプロピオン酸アリルの
如き、各種のアリルエステル類;メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテルもしくはシクロヘキシルビニ
ルエーテルの如き、各種の(シクロ)アルキルビニルエ
ーテル類、ヘキサデカフルオロノニルビニルエーテル、
パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチ
ルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテ
ルパーフルオロの如き、各種の(パー)フルオロアルキ
ルビニルエーテル類または4−ヒドロキシブチルビニル
エーテルの如き、各種のヒドロキシアルキルビニルエー
テル類;
【0016】あるいはアリルエーテルもしくはアリルグ
リシジルエーテルの如き、各種のアリルエーテル類など
であるし、そして、酸基含有共単量体として特に代表的
なもののみを例示すれば、(メタ)アクリル酸もしくは
クロトン酸またはイタコン酸などであるが、決して、こ
れらのもののみに限定されるものでは無い。
【0017】これら上掲の如き各種の共単量体類は、最
終的に得られる共重合体の用途に合わせて、塗料用とし
ては、ガラス転移点や最低造膜温度などを、また、成型
材料としては、溶融温度などを調節するために、適宜、
選択され、これらの1種類または2種類以上の混合物と
して用いられる。
【0018】当該水性分散体は、以上に掲げられたフル
オロオレフィン類および共単量体類を、乳化剤または分
散剤の存在下に、水性媒体中で、重合せしめることによ
って得られる。まず、重合容器に、初期仕込分の液状原
料を入れる。
【0019】重合容器内は、充分、減圧で脱気させて置
くか、あるいは不活性気体や、モノマー・ガスなどで以
てパージして置く必要がある。
【0020】次いで、常温で、ガス状原料であるフルオ
ロオレフィン類、ならびにその他のモノマー類を仕込
み、攪拌を開始して、重合容器内を、所定の反応温度に
なるよう加熱する。
【0021】反応中の圧力は、フルオロオレフィン類や
他のガス状モノマー類自身の圧力か、あるいは窒素など
の不活性気体を圧入して、圧力を調整してもよく、概
ね、5〜50気圧なる範囲内である。
【0022】重合反応終了時の重合容器内の圧力は、概
ね、0〜50気圧なる範囲内である。重合率が上昇して
来ると、圧力の低下が無くなってくるので、サンプリン
グを行って、所望の重合率に達していれば、その時点
で、反応を終了させる。
【0023】ここで言う乳化剤とは、上述した各種単量
体を水性媒体中に安定に分散させ、かつ、最終の利用態
様において、ポリマーの性能を、充分に、発揮させるた
めに利用されるものであり、アニオン性乳化剤および/
またはノニオン性乳化剤、必要に応じて、反応性乳化剤
またはフッ素系乳化剤などが使用できる。また、懸濁重
合に用いる分散剤としては、ポリビニルアルコール、ヒ
ドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子が特に代
表的なものである。
【0024】重合開始剤としては、乳化重合や懸濁重合
などにおいて、一般に使用されているようなものであれ
ば、特に限定されるものでは無いが、そのうちでも特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、過酸化水素
の如き、各種の水溶性無機過酸化物;過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウムもしくは過硫酸ナトリウムの如き、
各種の過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイドもしく
はベンゾイルパーオキサイドの如き、各種の有機過酸化
物類;またはアゾビスブチロニトリルもしくはアゾビス
シアノ吉草酸の如き、各種のアゾ系開始剤類などであ
り、これらは単独使用でも、2種以上の併用でも良いこ
とは、勿論である。
【0025】なお、これらの重合開始剤と、金属イオン
および還元剤との併用による、いわゆるレドックス重合
法として良く知られている方法によっても良いことは、
勿論である。
【0026】当該分散体の、重合反応終了後において
は、未反応フルオロオレフィンをはじめ、その他のガス
状モノマー類または不活性気体などで以て加圧状態とな
っている。とりわけ、窒素などの不活性気体で以て重合
中の圧力を高圧にした場合などにおいては、10気圧以
上という残存圧力の状態になっている。
【0027】そこで、第一段階の脱ガス方法として、重
合容器のガス放出バルブから、こうした残存ガスを放出
し、ガス捕集タンクに移送することが行われる。その際
に、容器内の圧力が低下し、当該分散体中の溶存ガスが
過飽和になり、突沸ないしは発泡しないように、攪拌し
つつ、加熱下に、徐々に、残存ガスを放出せしめること
が好ましい。加熱条件としては、室温以上100℃以下
であることが望ましく、さらには、60℃以下であるこ
とが望ましい。
【0028】残存ガスの放出速度は、容器の容量あるい
は当該分散体の組成などによって差があるが、当該分散
体の発泡によって、ガス放出バルブを閉塞しないような
速度で以て行われなければならない。なぜならば、バル
ブから放出した途端に、当該分散体粒子は破壊され、ラ
イン中で凝集するためである。
【0029】かかるガス放出の速度としては、概ね、重
合容器内の、加圧状態の残存ガスの1リットル(l)当
たり、標準状態の体積に換算して、100ml/min
以上2,000ml/min以下であることが望まし
く、さらには、300ml/min以上1,000ml
/min以下であることが望ましい。
【0030】100ml/min未満である場合には、
どうしても、容器内を常圧に戻すまでに、長時間を要す
るという処から、生産効率の面から言っても、好ましく
はない。
【0031】たとえば、当該分散体の重合終了時の圧力
が20気圧で、かつ、ガス放出速度が50ml/min
である場合には、圧力を大気圧まで戻すのに、6時間以
上も必要となってしまう。
【0032】一方、2,000ml/minを超える速
度で以てガスを放出するということになると、当該分散
体粒子中の溶存ガスの急激なる気化のために、粒子は発
泡したり破壊されたりして、結局の処、粒子安定性の悪
い分散体となってしまう。
【0033】また、当該分散体が乳化剤を含有している
ような場合には、充分、低速で以てガスを放出しても、
発泡が抑制されずに、ガス放出バルブから、泡沫が突出
して来ることがあるが、その際には、必要最小量の消泡
剤を添加することが望ましく、その使用量としては、当
該分散体に対して、概ね、1%以下であることが望まし
い。1%を超えて余りに多量を加えると、当該分散体の
乳化状態を不安定化する処となり易く、好ましいことで
はない。
【0034】かかる消泡剤の種類としては、水可溶型な
いしは水分散型のものであれば、特に限定されないけれ
ども、たとえば、シリコン系、金属石鹸系、エステル系
またはポリグリコール系などが、特に代表的なものとし
て挙げられる。
【0035】上述した第一段階を終えた時点での当該分
散体粒子中には、依然として、分散体固形分に対して、
0.5重量%以上の未反応フルオロオレフィンが溶存し
ている。この状態では、未反応フルオロオレフィンの回
収が不十分であるというだけではなく、当該分散体の乾
燥工程において、あるいは当該分散体を、塗料として、
基材に塗布したような場合において、環境中に、フルオ
ロオレフィンを散逸することになる。
【0036】これらの問題を克服するために、第二段階
なる脱ガス工程として、第一段階を経た当該分散体を、
室温以上で、かつ、100℃以下の温度で、攪拌下に、
ガス放出バルブは解放したままの状態で、好ましくは、
減圧状態で、さらに、当該分散体中に溶存している、未
反応のフルオロオレフィン類を分離回収する。不活性気
体類を分散体中に導入することは、かかる分離を促進せ
しめるという上で望ましく、当該分散体が発泡しない程
度の流速で以て、この不活性気体類を吹き込むようにす
ればよい。
【0037】ここで言う不活性気体類としては、窒素な
いしは空気あるいは水蒸気などのような、分散体に作用
しないようなものであれば、特に限定されないが、コス
トあるいは設備などの面からすれば、窒素または水蒸気
の使用が望ましく、さらには、ガスの処理量を増大させ
ないということからすれば、水蒸気の使用が特に望まし
い。
【0038】第二段階の脱ガス工程は、そのまま、重合
容器中で行っても、あるいは後処理缶へ移送して行って
もよい。さらには、充填塔や多孔板塔などを利用して、
当該分散体と不活性気体類とを向流接触せしめても良い
ことは、勿論である。
【0039】次に、第一段階および第二段階なる両段階
を通して放出せしめたガスから、未反応フルオロオレフ
ィンを分離し液化回収するという工程について述べるこ
ととする。
【0040】重合容器ならびに後処理缶ともに、当該分
散体が発泡し、泡沫が突出した場合でも、ラインの閉塞
を防ぐべく、ガス放出バルブの手前に、ストレーナーを
配置するのがよい。また、フルオロオレフィン類は、通
常、沸点が0℃以下である処から、冷却液化するために
は、0℃未満に冷却しなけらばならない。
【0041】ところが、こうしたストレーナーを通過し
たガスは、未だに、水蒸気を多量に含んでいるために、
そのまま、0℃未満で冷却液化することになると、冷媒
の循環コイルや、冷却液化槽に接続しているラインに、
水分が凍結して冷却効率の低下を惹起したり、ラインの
閉塞を引き起こす処となる。したがって、このストレー
ナーの直後に、水蒸気分離槽を設置することを推奨する
ものである。
【0042】水蒸気分離槽は、乾燥剤の充填されたカラ
ムや、濃アルカリ水溶液槽などで、水蒸気のみを分離す
る槽である。あるいは、0〜−5℃程度の、水蒸気のみ
を凝縮させる程度の温度の凝縮槽であってもよい。かか
る乾燥剤としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭ま
たは塩化カルシウムなどのような、公知慣用のものが使
用できる。
【0043】上記カラムの容量は、回収するガスの水分
量によって異なるが、充分なる容量のカラム1本であっ
ても、小容量のカラムを、複数個、並列ないしは直列に
設置せしめたものであってもよい。
【0044】上記した濃アルカリ水溶液槽としては、該
濃アルカリ水溶液槽へ、導入管を通して、ガスを導入せ
しめてもよいし、充填塔や多孔板塔内などにおいて、濃
アルカリ水溶液と、第一段階ならびに第二段階なる両段
階で放出したガスとを、向流接触せしめるようにしても
よい。
【0045】水分の除去された放出ガスは、ガス捕集タ
ンクに移送して貯蔵しておき、次の工程で以て、液化回
収工程に移される。この段階での放出ガスの成分は、フ
ルオロオレフィン類、他のモノマー・ガス類ならびに窒
素の如き不活性気体類である処から、圧縮および/また
は冷却せしめることによって、フルオロオレフィンのみ
を液化することが出来る。フルオロオレフィンの種類に
もよるが、圧縮操作をせずに、冷却操作のみで以て液化
可能なものは、圧縮設備の使用を省略してもよい。
【0046】たとえば、クロロトリフルオロエチレン
は、沸点が約−30℃なるものである処から、冷媒とし
て、ドライアイス−メタノールを使用すれば、圧縮設備
の使用は省略できるし、また、常温で、6気圧以上に加
圧すれば、液化するものである処から、圧縮設備を併用
することによって、トータルとしての液化工程のコスト
の削減が可能となる。
【0047】上述して来たような諸工程によって液化回
収された粗未反応フルオロオレフィンは、さらに、蒸留
塔で以て精製されて、再使用される処となる。フルオロ
オレフィンを分離したのちの排気ガスは、それが、不活
性ガス成分のみであれば、その後の工程は、特に必要で
は無く、処分できることとなるし、他のモノマーガス類
が残存している場合には、さらに、その場で、分離回収
に回すか、あるいは焼却後に、処分すればよい。
【0048】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明するが、以下において、
「部」とあるのは、特に断りの無い限り、すべて重量基
準であるものとする。
【0049】なお、以下において、「気圧」とあるの
は、特に断りの無い限り、すべてゲージ圧であるものと
する。
【0050】参考例 1 2lステンレス製のオートクレーブに、イオン交換水の
720部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム16
部、8部のポリオキシエチレンノニルフェノールエーテ
ル(HLB17)、3部の炭酸水素アンモニウムを仕込
んで溶解させ、窒素で以て脱気した。320部の酢酸ビ
ニルと、液化捕集した、480部のフッ化ビニリデンと
を、耐圧滴下槽に入れ、オートクレーブを80℃に昇温
し、攪拌しながら、5.6部の過硫酸アンモニウムを、
80部のイオン交換水に溶解せしめたものと、耐圧滴下
槽に入れた単量体とを、3時間に亘って滴下し、さら
に、3時間、同温度に保持して反応を完結させ、分散体
(1)を調製した。反応終了時の圧力は、25℃で、3
0気圧であった。
【0051】参考例 2 単量体類の種類ならびにその使用量を、それぞれ、56
0部の「ベオバ 9」(オランダ国シェル社製の、分岐
状飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステル)、240部
のフッ化ビニリデンとするように変更した以外は、参考
例1と同様にして、分散体(2)を調製した。反応終了
時の圧力は、25℃において、20気圧であった。
【0052】参考例 3 2lステンレス製オートクレーブに、イオン交換水の7
20部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの16
部、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(H
LB=17)の8部および炭酸水素アンモニウムの3部
を仕込んで溶解させ、オートクレーブ内を窒素で以て脱
気した。240部の酢酸ビニルと、液化捕集した、48
0部のクロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEと
略記する。)とを、耐圧滴下槽に入れ、さらに、エチレ
ンを、オートクレーブ内に、30気圧になるよう圧入し
た。
【0053】次いで、オートクレーブを80℃に昇温
し、攪拌しながら、5.6部の過硫酸アンモニウムを、
80部のイオン交換水に溶解せしめたものと、耐圧滴下
槽に入れた単量体とを、3時間に亘って滴下し、さら
に、3時間、同温度に保持して反応を完結させることに
よって、分散体(3)を調製した。反応終了時の圧力
は、25℃で、25気圧であった。
【0054】参考例 4 単量体類の種類ならびにその使用量を、それぞれ、48
0部の「ベオバ 9」および240部のCTFEとする
ように変更した以外は、参考例3と同様にして、分散体
(4)を調製した。反応終了時の圧力は、25℃におい
て、25気圧であった。
【0055】比較例 1〜4 重合反応終了後において、重合容器内の残存ガスを、本
発明の方法で以て放出せしめることなく、容器内の圧力
で以て、参考例1〜4で得られた、それぞれの分散体
と、未反応フルオロオレフィンの全量とを、そのままの
状態で、後処理缶に移送し、この後処理缶から、残存ガ
スを、全量、回収するようにした。
【0056】実施例 1 参考例1の重合反応を終了したのちに、プロセスIに示
すような工程に従って、フッ化ビニリデンを回収した。
重合容器1上部のガス放出バルブから、残存ガスを、5
00ml/minで以て放出し、ストレーナー3を通過
させて、水蒸気分離槽5A(塩化カルシウム充填カラ
ム)で以て、水分を除去し、ガス捕集タンク6へ移送し
た。
【0057】重合容器1内を、約1時間かけて、常圧に
まで戻し、分散体を、後処理缶2へ移送し、第二段階の
脱ガス工程に移した。後処理缶2の温度は60℃として
実施した。その後は、ガス捕集タンク6内のガスを、液
化工程に移すことによって、そのうちのフッ化ビニリデ
ンを、15気圧で以て圧縮し、−78℃に冷却して液化
せしめた。
【0058】重合容器1から放出した直後の、残存ガス
組成と、排気ガス組成とを第1表に、処理条件を第2表
に、そして、処理後の各分散体の粒子の安定状態を第3
表に示す。
【0059】実施例 2 参考例2の重合反応を終了したのちに、プロセスIII
に示すような工程に従って、フッ化ビニリデンを回収し
た。重合容器1上部のガス放出バルブから、残存ガス
を、300ml/minで以て放出し、水蒸気分離槽5
B(濃水酸化ナトリウム水溶液との接触槽)で以て、水
分を除去して、ガス捕集タンク6へ移送した。
【0060】重合容器1内を、50分間かけて、常圧に
まで戻し、分散体を、後処理缶2へ移送して、第二段階
の脱ガス工程に移した。後処理缶2の温度は25℃とし
て実施した。その後は、ガス捕集タンク6内のガスを、
液化工程に移すことによって、そのうちのフッ化ビニリ
デンを、15気圧で以て圧縮し、−78℃に冷却して液
化せしめた。
【0061】重合容器1から放出した直後の、それぞ
れ、残存ガス組成と、排気ガス組成とを第1表に、処理
条件を第2表に、そして、処理後の各分散体の粒子の安
定状態を第3表に示す。
【0062】実施例 3 参考例3の重合反応を終了したのちに、プロセスIに示
すような工程に従って、クロロトリフルオロエチレンを
回収した。重合容器1上部のガス放出バルブから、残存
ガスを、600ml/minで以て放出し、ストレーナ
ー3を通過させて、水蒸気分離槽5A(塩化カルシウム
充填カラム)で以て、水分を除去して、ガス捕集タンク
6へ移送した。
【0063】重合容器1内を、1.5時間かけて、常圧
にまで戻し、分散体を後処理缶2へ移送して、第二段階
の脱ガス工程に移した。後処理缶2の温度は60℃とし
て行った。その後は、ガス捕集タンク6内のガスを、液
化工程に移すことによって、そのうちのクロロトリフル
オロエチレンを、−78℃に冷却して液化せしめた。
【0064】重合容器1から放出した直後の、それぞ
れ、残存ガス組成と、排気ガス組成とを第1表に、処理
条件を第2表に、そして、処理後の各分散体の粒子の安
定状態を第3表に示す。
【0065】実施例 4 参考例4の重合反応を終了したのちに、プロセスIIに
示すような、重合容器1内部のガス放出孔に、ストレー
ナー3を設置した形のプロセスに従って、クロロトリフ
ルオロエチレンを回収した。重合容器1上部のガス放出
バルブから、残存ガスを、400ml/minで以て放
出し、ストレーナー3を通過させて、水蒸気分離槽5A
(塩化カルシウム充填カラム)で以て、水分を除去し
て、ガス捕集タンク6へ移送した。
【0066】重合容器1内を、1.2時間かけて、常圧
にまで戻し、分散体を、後処理缶2へ移送して、第二段
階の脱ガス工程を行った。後処理缶2の温度を25℃に
設定して行ったものである。その後は、ガス捕集タンク
6内のガスを、液化工程に移すことによって、そのうち
のクロロトリフルオロエチレンを、−78℃に冷却して
液化せしめた。
【0067】重合容器1から放出した直後の、それぞ
れ、残存ガス組成と、排気ガス組成とを第1表に、処理
条件を第2表に、そして、処理後の各分散体の粒子の安
定状態を第3表に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】[分散体の粒子安定性の判定方法]実施例
および比較例の、それぞれの方法に従って、未反応フル
オロオレフィンを回収したのちの分散体を、室温に1ヵ
月のあいだ放置して、分散体粒子の沈降度を、目視によ
り判定した。
【0072】○………沈降なし △………やや沈降あり ×………沈降が顕著である
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【発明の効果】以上のように、本発明の、未反応フルオ
ロオレフィンの回収方法は、分散体粒子の安定性を損な
わずに、すなわち、粒子形態を破壊せずに、気体状で以
て残存しているガス類ならびにフルオロオレフィン樹脂
水性分散体中の溶存ガス類の双方を、悉く、分離せしめ
ることが出来、未反応フルオロオレフィンの回収効率
を、大幅に、向上化できるという処から、本発明の方法
は、極めて実用性の高い後処理工程を与えるものである
と言えよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の一実施態様を示すためのフロー
・シートであって、「プロセスI」と称しているもので
ある。
【図2】 本発明方法の一実施態様を示すためのフロー
・シートであって、「プロセスII」と称しているもの
である。
【図3】 本発明方法の一実施態様を示すためのフロー
・シートであって、「プロセスIII」と称しているも
のである。
【符号の説明】
1 重合容器 2 後処理缶 3 ストレーナー 4 後処理缶減圧用ポンプ 5A 水蒸気分離槽(CaCl2カラム) 5B 水蒸気分離槽(濃NaOH槽) 6 ガス捕集タンク 7 冷却槽加圧用圧縮ポンプ 8 冷却液化槽 9 貯槽

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロオレフィン類を主成分とする単
    量体混合物を、加圧下、水性媒体中で重合反応せしめる
    ことにより、フルオロオレフィン樹脂の水性分散体を製
    造するに際して、上記重合反応の終了後に、第一段階と
    して、重合容器内の未反応フルオロオレフィン類を、該
    容器内の圧力によってガス捕集タンクに移送せしめ、第
    二段階として、該分散体を、室温以上の温度で、さら
    に、溶存している未反応フルオロオレフィン類を分離し
    て、ガス捕集タンクに移送し、次いで、ガス捕集タンク
    内の回収ガスから、フルオロオレフィン類を凝縮液化す
    ることによって、分離回収することを特徴とする、未反
    応フルオロオレフィン類の回収方法。
  2. 【請求項2】 フルオロオレフィン類を主成分とする単
    量体混合物を、加圧下、水性媒体中で重合反応せしめる
    ことにより、フルオロオレフィン樹脂の水性分散体を製
    造するに際して、上記重合反応の終了後に、第一段階と
    して、重合容器内の未反応フルオロオレフィン類を、該
    容器内の圧力によってガス捕集タンクに移送せしめ、第
    二段階として、該分散体を、室温以上の温度で、不活性
    ガスを導入させることによって、さらに、溶存している
    未反応フルオロオレフィン類を分離して、ガス捕集タン
    クに移送し、次いで、ガス捕集タンク内の回収ガスか
    ら、フルオロオレフィン類を凝縮液化することによっ
    て、分離回収することを特徴とする、未反応フルオロオ
    レフィン類の回収方法。
  3. 【請求項3】 不活性ガスが窒素および/または水蒸気
    であることを特徴とする請求項1記載の未反応フルオロ
    オレフィンの回収方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008069301A1 (ja) * 2006-12-08 2008-06-12 Daikin Industries, Ltd. フルオロモノマーの回収方法
JP2008144028A (ja) * 2006-12-08 2008-06-26 Daikin Ind Ltd フルオロモノマーの回収方法

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