JPH0632724B2 - ミシンの送り装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ミシンの送り装置に関し、ことに水平全回
転釜を備えたミシンに使用されるのに適した送り装置に
関する。

従来技術 従来のミシンの送り装置は、送り歯に前後動並びに上下
動の四運動を行わせるのに、送り歯を取着した送り台に
前後動機構と、上下動機構を連結して両機構をそれぞれ
下軸に連結し、個別に作動させるようにしている。

送り歯に前後動並びに上下動を与えるために、従来の送
り装置が上述するように、個別に作動する前後動機構並
びに上下動機構を設けていたのを、一つの主軸の回転に
より水平送り用連杆を介して送り歯を前後動並びに上下
動させ、これにより送り装置の構造を簡素化したものも
提案されている（実開昭53-10645号）。

発明が解決しようとする課題 本発明の目的は、上述する後者の送り装置を更に改良
し、構造をより簡素化して送り効果を高め、そのうえ送
り歯の横振れを防止することができるような送り装置を
提供しようとするものである。

課題の解決手段 本発明の送り装置はそのため、釜と同期して回転する回
転体と、送り歯を取着し、かつ一部が縦溝内に前後並び
に上下方向に摺動可能に嵌合支持される送り台と、上記
回転体に設けられて送り台に、或いは送り台に突設され
るピンに係合し、回転体の回転により送り台を前後動さ
せる偏心手段と、同じく回転体に設けられ、回転体の回
転に伴って送り台を昇降させる端面カムと、送り台を端
面カムに押付けるバネとより構成したものである。

本装置で用いられる偏心手段としては、例えば送り歯と
直交して送り台に穿設される長孔に嵌挿する偏心ピン、
送り台に突設されるピンが遊嵌する偏心した円形溝、送
り台に突設されるピンが外周面に弾接する偏心した円形
の端面カムなどが例として挙げられる。

作用 回転に設けた偏心手段と端面カムがその回転により送り
台を前後動させるとともに上下動させるが、前後並びに
上下動は送り台が嵌合する縦溝内で側方への動きを規制
されて行われる。

実施例 第１〜４図は第一の実施例を示すもので、ベッド内に取
着されるブラケット１に回動可能に軸支される回転体２
はその上側面に馬蹄形の端面カム３と偏心ピン４を突設
し、またその周側面にはベルト５によって回転駆動され
る水平全回転釜６と一体をなす歯車７と噛合する歯車８
を形成し、釜６と連動し釜６の二回転で一回転するよう
にされている。

回転体２を回転させるには上記釜６と同様、ベルト駆動
するか或いは下軸と歯車伝動装置を介して連結してもよ
いが、上述するように水平全回転釜６と連動される力が
構造が簡単となり望ましい。

ブラケット１にはまた回転体２の両側に折り曲げ部９、
10が対峙して形成され、一方の折り曲げ部９に形成され
る縦溝11内にはコ字形に屈折された送り台12が摺動可能
に嵌挿し、送り台12は上側部に送り歯13を固着する一
方、下側部に送り歯13と直交する長孔14を穿設して上記
偏心ピン４を嵌挿し、かつ端面カム３より高い段を形成
して端面カム上を側方（回転体の径方向）に延長させ、
延長した端部を上記他方の折り曲げ部10に穿設したスリ
ット15に傾動かつ摺動可能に嵌挿している。16は送り台
12を回転体２上に浮上らないよう押付ける板バネであ
る。

本装置は以上のように構成され、回転体２が回転すると
偏心ピン４の回転により送り台１２が縦溝11とスリット
15に案内されて前後方向に往復動しまた端面カム３によ
り持上げられ、或いは降下してスリット15を支点として
上下方向に傾動し、これにより送り歯13が前後動並びに
上下動の四運動を行うようになっている。

第５図に示す第二の実施例は回転体に偏心ピンを設ける
代りに送り台にピン21を突設して回転体22上に形成の偏
心した円形溝23に遊嵌させ、回転体の回転中心を中心と
する円形溝23の回転によりピン21を介して送り台を前後
動させるようになっているものである。

第６図に示す第三の実施例は回転体31の上面に形成され
る端面カム32をリング状にして偏心させ周側面に送り台
下側部より突設の33を弾接させて送り台を前後動させる
ようにしたものである。

発明の効果 本発明の送り装置は以上のように、回転体に送り台を前
後動させるための偏心手段と、送り台を昇降させるため
端面カムを設け、その回転により送り台を縦溝内で前後
並びに上下動させるようになっているもので、別個に作
動する前後動機構と、上下動機構を設けている従来の送
り装置と比べ、構造が簡単であるのはもちろんのこと、
送り台の前後動が回転体によりリンク機構を介して行わ
れるものと比べても、回転体と偏心手段の間に伝動機構
がない分、構造がより簡素となり、送り精度が向上す
る。しかも送り台が嵌合する縦溝は、送り台を前後かつ
上下動可能に案内する機能のほかに送り台の横方向の動
きを規制して横振れを防ぐ機能を有しており、送り歯の
動きが安定する。

【図面の簡単な説明】

第１図は送り装置の平面図、第２図は同装置の正面図、
第３図は斜視図、第４図は側面図、第５図は別の実施例
における回転体の平面図、第６図は更に別の実施例にお
ける回転体の平面図である。 １……ブラケット、２……回転体、３……端面カム ４……偏心ピン、６……水平全回転釜、11……縦溝 12……送り台、14……長孔、15……スリット 16……板バネ、22……回転体、23……円形溝、31……回
転体、 32……端面カム

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】釜６と同期して回転する回転体2、22、31
   と、送り歯13を取着し、かつ一部が縦溝11内に前後並び
   に上下方向に摺動可能に嵌合支持される送り台12と、上
   記回転体に設けられ、送り台12に突設されるピン21、33
   に係合して上記回転体の回転により送り台を前後動させ
   る偏心手段と、同じく回転体に設けられ、回転体の回転
   に伴って送り台を昇降させる端面カム３、32と、送り台
   を端面カムに押付けるバネ16とよりなるミシンの送り装
   置。
2. 【請求項２】偏心手段は送り歯と直交して送り台に穿設
   の長孔14に嵌挿する偏心ピン４である特許請求の範囲第
   １項記載のミシンの送り装置。
3. 【請求項３】偏心手段は送り台に突設のピン21が遊嵌す
   る偏心した円形溝23である特許請求の範囲第１項記載の
   ミシンの送り装置。
4. 【請求項４】偏心手段は送り台12より突設のピン33を外
   周面に弾接させる偏心した円形の端面カム32である特許
   請求の範囲第１項記載のミシンの送り装置。