JPH0632609B2 - タンナ−ゼの製造方法 - Google Patents

タンナ−ゼの製造方法

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JPH0632609B2
JPH0632609B2 JP14150987A JP14150987A JPH0632609B2 JP H0632609 B2 JPH0632609 B2 JP H0632609B2 JP 14150987 A JP14150987 A JP 14150987A JP 14150987 A JP14150987 A JP 14150987A JP H0632609 B2 JPH0632609 B2 JP H0632609B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はタンナーゼの製造方法に関する。
タンナーゼは、例えば紅茶のクリームダウンの防止剤、
あるいはビール製造の際に清澄化に使用される等極めて
有用な酵素である。
〔従来の技術〕 従来、タンナーゼの製造方法としては、例えば粉砕され
たタラの木の莢からメタノールを用いて抽出し、該抽出
物を噴霧乾燥したものを含む培地に、アスペルギルス・
ニガー(Aspergillus niger)の変異株を培養してタンナ
ーゼを製造する方法が知られている。〔ジェイ・ファー
メント.テクノル.(J.Ferment.Technol.),Vol.50,No.
6,p.361〜370(1972)〕。
本発明者等も、先にアスペルギルス属に属し、タンナー
ゼ生産能を有する微生物を、タンニン含有植物体の極性
溶媒抽出物を含み、かつ培地中の金属イオン類を除去も
しくは減少させるか、又は該金属イオン類を錯体とした
培地に培養し、培養物からタンナーゼを採取することに
より収率よくかつ短時間にタンナーゼを得る方法を特許
出願した(特願昭61-116223号)。
〔発明が解決しようとする問題点〕 上記した本発明者等の方法は、従来の方法に比べて著し
く収率を改善するものであるが、培地中に金属イオン類
が存在すると、これがタンナーゼ生産を著しく阻害し、
そのためタンナーゼ生産菌の培養に際してあらかじめ培
地中の金属イオン類を除去もしくは減少させるか、又は
該金属イオン類を錯体とする等の工程が必要であった。
本発明は、この問題を解決したもので、従来の方法に比
べて工程が簡略化され、かつ著しく収率よくタンナーゼ
を製造する方法を提供することを目的とするものであ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、金属イオン類の存在により、タンナーゼ
生産が阻害されない変異株を誘導すれば上記問題点を解
決できるものとの着想のもとに種々検討した結果、アス
ペルギルス属に属し、タンナーゼ生産能を有する菌株
に、変異処理を加えて得られた変異株が、培地中に金属
イオン類が存在しても何ら阻害されることなく培養物中
に著しく収率よくタンナーゼを生産することを知り本発
明を完成した。
即ち、本発明は、アスペルギルス属に属し、タンナーゼ
生産能を有し、かつ金属イオン類の存在によっても前記
タンナーゼ生産能が阻害されない微生物を、タンニンを
含有する培地に培養し、培養物からタンナーゼを採取す
ることを特徴とするタンナーゼの製造方法である。
以下、本発明を具体的に説明する。
先ず、本発明に用いられる菌としては、アスペルギルス
属に属し、タンナーゼ生産能を有し、かつ金属イオン類
の存在によってもタンナーゼ生産能が阻害されない微生
物であれば、如何なる菌でもよいが、その具体例として
は、例えばアスペルギルス・オリゼー19-30が挙げられ
る。このアスペルギルス・オリゼー19-30は、アスペル
ギルス・オリゼーIF0 4206を親株として、この胞子に紫
外線照射、X線照射、あるいはナイトロジェン・マスタ
ード処理等を施して変異を行なわせ得られたもので、そ
の菌学的性質を親株と比較して示すと第1表の如くであ
る。
以上の結果から、本菌株は形態的性質において、集落の
色及び形状が、白色ないし白黄色で中央が隆起している
こと、胞子頭の形がほうき状であること、また生理的性
質において、本菌株は金属イオン含有培地でのタンナー
ゼ生産能が高いことから親株とは異なる新菌株であるこ
とが理解される。
なお、アスペルギルス・オリゼー19-30は、工業技術院
微生物工業技術研究所に微工研菌寄第9392号(FE
RM P−9392)として寄託されている。
次に、本発明方法においてタンナーゼ生産に使用される
培地としては、タンニンを含有し、更に必要により窒素
源、炭素源、無機物、ビタミン等より選択されたものを
適量含有する培地であれば、合成もしくは天然培地等如
何なるものでも使用可能である。
そしてタンニン含有物としては、タンニンを含むもので
あれば、如何なるものでもよいが、好適には植物起源の
もの、例えばタラの木の莢、ウルシ科植物であるヌルデ
の樹皮および葉等が挙げられる。これらタンニン含有物
を、例えば通常の破砕手段により処理して得られた破砕
物から、例えば水、メタノール、エタノール、酢酸エチ
ル等の極性溶媒を用いて、例えば温度60℃で1時間程度
加熱処理し、常法により固液分離してタンニン含有抽出
物を得ることができる。
そして培地へのタンニン含有抽出物の添加量は、例えば
タンニン濃度として、0.5%(W/V)以上、好ましくは2〜
5%(W/V)である。
培地の窒素源としては、例えばカゼイン、硝酸カリウ
ム、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム、リン酸1アンモニウム、リン酸2アンモニウム、
尿素、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、
メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
培地の炭素源としては、例えばアラビノース、グルコー
ス、マンノース、ラムノース、ソルボース、シュークロ
ース、キシロース、メリビオース、グリセロース、ラク
トース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、澱
粉、セロビオース、トレハロース等が挙げられ、無機物
としては、例えば硫酸マグネシウム、リン酸1カリウム
等が用いられる。
本発明において、アスペルギルス・オリゼー19-30の培
養は、固体培養法でもよいが、通常液体培養法を採用す
るのが有利であり、具体的には振盪培養、攪拌培養、通
気培養等により好気的に培養を行なう。
培養温度は、例えば通常20〜40℃、好ましくは25〜35℃
で、初発pHは例えば5.5〜5.7、培養時のpHは例えば5.
5〜2.5、好ましくはpH5.0〜3.5である。
このような培養条件下に、培養時間は培養形態によって
も異なるが、2日間以上、好ましくは3〜5日間程度培
養することにより、培養物中にタンナーゼが生産蓄積さ
れる。
培養終了後、該培養物よりタンナーゼを採取するには、
通常の酵素採取手段を用いて得ることができる。例え
ば、培養物を濾過、遠心分離などして固形分を除去した
ものに、硫酸アンモニウム、アルコール、アセトン等を
添加して分画し、沈澱物を採取し、これを水に対して透
析し、粗酵素液を得るか、あるいはこれを真空乾燥して
粗酵素粉末を得る。
上記粗酵素もしくは粗酵素粉末より更に精製酵素標品を
得るには、例えばセファデックスG−200等を用いるゲ
ル濾過法、イオン交換体、ハイドロキシアパタイト等を
用いる吸着溶出法、ショ糖密度勾配遠心法等の沈降法、
アフィニティクロマトグラフィー法、分子ふるい膜もし
くは中空糸膜等を用いる分画法等を適宜選択し、組み合
わせて実施することにより精製されたタンナーゼ標品を
得ることができる。
上記精製手段により得られた精製タンナーゼの理化学的
性質は、アグル.バイオル.ケム.(Agr.Biol.Chem)、Vo
l.32,No.7,p.803〜809(1968)記載のタンナーゼの理化学
的性質と全く同様である。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
実施例 タラパウダー(ペルー国、エルソール社製)4kgを温水
24に添加し、温度60℃で1時間攪拌しつつタンニンを
抽出し、これを木綿布を用いて常法により圧搾して濾液
を得、更に、これを常法により9000r.p.m.で15分間遠心
分離処理して7.2%(W/V)のタンニンを含有するタンニン
溶液20を得た。
次いで、このようにして調製されたタンニン溶液を用
い、グルコース1%(W/V)、リン酸1アンモニウム1.4%
(W/V)、リン酸1カリウム0.2%(W/V)、硫酸マグネシウ
ム7水和物0.1%(W/V)及びタンニン3%(W/V)(pH5.70)
からなる組成の培地を調製したのち50mlを500ml容坂口
フラスコに分注した。そして温度120℃で圧力1kg/cm2
(ゲージ圧力)の飽和水蒸気を5分間作用させ、殺菌処
理された培地を得た(本発明区分、キレート剤無添加培
地)。
一方、上記タンニン溶液を用いて上記組成の培地を調製
し、これにキレート剤としてo−フェナントロリンを30
mg/となる如く添加し、上記したと同様に殺菌処理
し、殺菌された培地を得た(本発明区分、キレート剤添
加培地)。
このようにして得た培地に、麹汁寒天斜面培地を用いて
前培養して得たアスペルギルス・オリゼー19-30(FE
RM P−9392)を1白金耳ずつ接種し、温度30℃
で96時間振盪培養(140r.p.m./分)し、培養液を得た。
なお、対照区分として、アスペルギルス・オリゼーIF0
4206を用いる以外は上記と全く同様にして培養液を得
た。
上記培養液を夫々常法により12000r.p.m.で15分間遠心
分離処理して上澄液を得、該液中のタンナーゼ活性を、
エス.イイブチ.ワイ.ミノダ及びケイ.ヤマダ(S.Iib
uchi,Y.Minoda and K.Yamada):Agric.Boil.Chem.Vol.3
1,No.5,p.513〜518(1967)記載の方法と同様にして測定
して得た結果を夫々下記第2表に示した。
上記のような培養操作を繰り返して得られた培養液9
を、夫々常法により吸引濾過し菌体を濾別して濾液を
得、これにセライト(和光純薬工業社製)500gを添加
し、充分混和させたのち、再び常法により吸引濾過して
清澄化したものに、夫々硫酸アンモニウムを0.8飽和と
なる如く添加して沈澱物を生成させ、常法により9000r.
p.m.で15分間遠心分離処理して沈澱物を得た。
該沈澱物を500mlの蒸留水に溶解したものを常法により1
2000r..p.m.で15分間遠心分離処理して不溶物を除去し
て得た上清液を、5℃で24時間常法により透析して透析
物を得た。この透析物を、再び0.01Mクエン酸緩衝液(p
H5.0)中で透析して得た試料を、同緩衝液で平衡化済み
のDEAEセファデックスA−50(ファルマシア・ファ
インケミカル社製)の充填されたカラム(4×10cm)に
通じ、更に200mlの同緩衝液で上記カラムを洗浄したの
ち、上記樹脂に吸着されたタンナーゼを0.01Mクエン酸
緩衝液(pH5.0)中の塩化ナトリウム0〜1M迄の直線的
濃度勾配溶出法で溶出してタンナーゼ活性を有するフラ
クションを集め、これを0.01Mクエン酸緩衝液(pH3.5)
中で透析して透析物を得た。
更にこの透析物を、同クエン酸緩衝液で平衡化済みのS
PセファデックスC−50(ファルマシア・ファインケミ
カル社製)の充填されたカラム(2.6×20cm)に通じ、同
クエン酸緩衝液100mlを用いて洗浄し、樹脂に吸着され
たタンナーゼを、0.01Mクエン酸緩衝液(pH3.5)中の塩
化ナトリウム0〜0.25Mの直線的濃度勾配溶出法で溶出
し、タンナーゼ活性区分を採取する操作を2度繰り返し
てタンナーゼ活性区分を得た。
次いで、得られたタンナーゼ活性区分を限外濾過膜(ア
ミコン・ファー・イースト・リミテッド社製、分画分子
量50,000)及びコロジオンバック(ザートリュース社
製)を順次用いて2ml迄濃縮したものを、0.1Mクエン
酸緩衝液(pH5.0)で平衡化済みのセファデックスG−200
(ファルマシア・ファインケミカル社製)の充填された
カラム(2.6×100cm)を用いてゲル濾過し、タンナーゼ活
性区分を採取し、更に同一条件下でゲル濾過して得た精
製タンナーゼの重量及び比活性を夫々下記第2表に示し
た。
第2表に示す如く、対照区分がキレート剤添加、無添加
培地によってタンナーゼの収量に差が生じるのに比べ、
本発明区分は、キレート剤添加、無添加に関係なく著し
くタンナーゼの収量が増加することがわかる。
〔発明の効果〕
上述した如く本発明によれば、工程を簡略化し、著しく
収率よくかつ短時間のうちにタンナーゼを得ることがで
きるので、本発明は産業上極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 佐武郎 千葉県野田市大殿井324−6

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスペルギルス属に属し、タンナーゼ生産
    能を有し、かつ金属イオン類の存在によっても前記タン
    ナーゼ生産能が阻害されない微生物をタンニンを含有す
    る培地に培養し、培養物からタンナーゼを採取すること
    を特徴とするタンナーゼの製造方法。
  2. 【請求項2】金属イオンが銅又は鉄である特許請求の範
    囲第1項記載の製造方法。
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