JPH06322442A - メカニカルデスケーリング性に優れた高炭素鋼線材の製法 - Google Patents

メカニカルデスケーリング性に優れた高炭素鋼線材の製法

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JPH06322442A
JPH06322442A JP10959193A JP10959193A JPH06322442A JP H06322442 A JPH06322442 A JP H06322442A JP 10959193 A JP10959193 A JP 10959193A JP 10959193 A JP10959193 A JP 10959193A JP H06322442 A JPH06322442 A JP H06322442A
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JP
Japan
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weight
carbon steel
wire rod
high carbon
mechanical descaling
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JP10959193A
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English (en)
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Toshiyuki Nakamura
峻之 中村
Tatsuya Asai
達也 浅井
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 C:0.4〜1.0重量%、Si:0.01
〜0.30重量%、Mn:0.3〜1.0重量%、S:
0.005〜0.02重量%、P:0.01重量%以下
で、且つP+S≧0.015重量%の要件を満たし、残
部がFeおよび不可避不純物よりなる高炭素鋼を線状熱
間圧延してなり、線材周方向の表面脱炭割合が20%以
下および/または周方向の肌荒れ割合が10%以下であ
る。 【効果】 高炭素鋼線材のメカニカルデスケーリング性
を著しく高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メカニカルデスケーリ
ング性に優れた高炭素鋼線材の製法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、硬鋼線、PC鋼線あるいはスチー
ルコード等の製造においては、省エネルギーや工数削減
のため、熱間圧延線材を熱処理することなくそのまま直
引きによって最終製品あるいは中間線を得る方法が多用
されている。
【0003】ところで、熱間圧延線材には二次スケール
が付着しているので、伸線工程に先立ってこの二次スケ
ールを除去しなければならず、その方法として一般的に
採用されているのは酸洗法である。この酸洗法は、二次
スケール除去後の表面が伸線加工に適した梨地状になる
という長所を有している反面、酸洗液の取扱いが繁雑で
且つ環境汚染の恐れがあり、廃液処理に費用が嵩み、更
には伸線機ラインとの連続化が困難であるなど問題点も
多い。
【0004】これらの問題を解消するため、最近では二
次スケールを機械的に剥離除去するメカニカル・デスケ
ーリング法が多用されている。この方法を採用したとき
のスケール剥離性は、素材の化学成分、表面粗度、二次
スケールの構造、組成、スケール厚さなどに影響される
ことが確認されており、例えば特開昭61−15470
2号公報には、表面粗度を制御することによって鋼線材
のメカニカルデスケーリング性を高める方法が記載され
ている。この方法は、線材を熱間圧延するに際し、粗圧
延及び仕上圧延の直前に高圧水を作用させて表面粗度を
1.5μm以下とし、それによりメカニカルデスケーリ
ング性を高めるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】熱間圧延線材表面の二
次スケールは、圧延、調整冷却、輸送工程では強く密着
していることが望まれるが、需要者で行なわれるメカニ
カルデスケーリング工程では容易に剥離除去できること
が望まれる、という相互に矛盾する性質が求められる。
ところが前掲の特開昭61−154702号公報等の方
法では、メカニカルデスケーリング時の剥離性は良好で
あるが、圧延・輸送時等における密着性不足が問題とな
っている。
【0006】密着性不足が問題となる具体的例として
は、C含量が0.4〜1.0である高炭素鋼線材を圧延
した後の調整冷却中あるいは冷却完了後に、圧延線材表
面の二次スケールが熱応力によって部分的に剥離を起こ
すことである。そしてスケールが部分的に剥離した部分
では、その後の冷却過程で密着性の高い薄肉のスケール
が生成し、メカニカルデスケーリング性を著しく劣化さ
せる。またスケールが部分的に剥離した部位では応力の
部分的解放が起こり、これもメカニカルデスケーリング
性を劣化させるばかりでなく、伸線加工性の劣化やダイ
ス寿命の大幅な低下を引き起こす。従って、熱間圧延材
の調整冷却中あるいは冷却完了後における二次スケール
の部分的剥離を抑えることは、工業的に非常に重要なこ
とである。本発明は上記の様な問題点に着目してなされ
たものであって、その目的は、二次スケールの部分的剥
離を起こし難く、且つスケール/地鉄界面が滑らかで優
れたメカニカルデスケーリング性を発揮し得る様な高炭
素鋼線材の製法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の構成は、C:0.4〜1.0重量%、
Si:0.01〜0.30重量%、Mn:0.3〜1.
0重量%、S:0.005〜0.02重量%、P:0.
01重量%以下で、且つP+S≧0.015重量%の要
件を満たし、残部がFeおよび不可避不純物よりなる高
炭素鋼を線状に熱間圧延してなり、線材周方向の表面脱
炭割合が20%以下および/または周方向の肌荒れ割合
が10%以下であるところに要旨を有するものである。
【0008】
【作用】本発明者等は、高炭素鋼よりなる熱間圧延材表
面に存在するスケール及び地鉄の観察・分析を含めて様
々の角度から、二次スケールの部分的剥離について検討
を行なった結果、C量が0.4〜1.0重量%である高
炭素鋼線材における二次スケールの部分的剥離および製
品線材としての地鉄表面の荒れは、加熱炉内でのビレッ
ト表面の脱炭を抑制することによって防止し得ることを
知った。
【0009】即ち加熱炉内でビレット表面の脱炭が起こ
ると、該脱炭部分が熱間圧延後の製品線材の表面に不均
一脱炭として残り、これが二次スケール厚さを不均一に
し、ひいてはスケール/地鉄界面の荒れを大きくして内
部応力の不均一を招き、メカニカルデスケーリング性に
多大な悪影響を及ぼす。ところが、加熱炉内におけるビ
レット表面の脱炭を抑制すれば、熱間圧延材の表面に形
成される二次スケール厚さが均一になると共に、スケー
ル/地鉄界面の荒れも少なくなって内部応力の不均一化
も解消され、これらが相まってデスケーリング性が著し
く改善される。本発明はこうした知見を基にしてなされ
たものである。以下、本発明の上記構成要件を定めた理
由を詳細に説明する。まず、高炭素鋼の成分組成を定め
た理由は次の通りである。
【0010】C:0.4〜1.0重量% Cは鋼線材としての強度と靭性を支配する基本的な元素
であり、高炭素化するほど強度は高くなるが、延性は逆
に低下してくる。また高炭素化するほど加熱時の脱炭は
進み易くなり、ビレット状態での脱炭が製品線材にまで
影響を及ぼして線材表面の脱炭不均一を生じ易くなるの
で、こうした問題を回避するためC量の上限は1.0重
量%と定めた。しかし、C量が不足すると、高炭素鋼線
としての要求強度を満足できなくなるので、強度確保の
観点からC量の下限は0.4重量%と定めた。しかもC
量が0.4重量%未満の中炭素鋼になると、加熱による
脱炭自体が進み難くなり、前記不均一脱炭の問題は非常
に軽微になるため、本発明を適用するまでもない。本発
明の特徴がより効果的に発揮される鋼材のC量は0.7
〜1.0重量%である。
【0011】Si:0.01〜0.30重量% Siはフェライトに固溶して強度を高める作用があるほ
か、製鋼時の脱酸性元素としても欠くことのできない元
素であり、これらの効果を有効に発揮させるにはSiを
0.01重量%以上含有させなければならない。しかし
Si量が多くなり過ぎると、スケール生成量が減少する
と共にスケール/地鉄界面にFeOとFe2 SiO4
混合層が生成してスケールの密着性が高くなり、デスケ
ーリング性が劣化傾向を示すようになるほか、Siは鋼
中のCの活量を上げて脱炭を促進するというマイナス効
果も現れてくるので、Si量の上限は0.30重量%と
定めた。Siのより好ましい含有量は0.1〜0.2重
量%の範囲である。
【0012】Mn:0.3〜1.0重量% Mnは脱酸剤として有効に作用するほか、不純物として
混入するSを固定しその有害な作用を抑制して靭性を高
め、更には鋼の焼入性を向上させる元素であり、これら
の作用を有効に発揮させるには0.3重量%以上含有さ
せなければならない。しかしMn量が多くなり過ぎると
偏析が起こり易くなり、冷却工程で該偏析部にミクロ・
マルテンサイトが生成して伸線加工性にも悪影響が現れ
てくるので、Mn量の上限は1.0重量%とした。
【0013】S:0.005〜0.02重量% Sは、線材のメカニカルデスケーリング性を高める元素
として知られているが、その効果を示す下限値は明確に
されていなかった。そこでS量の異なる多くの鋼材につ
いて詳細に検討を行なった結果、メカニカルデスケーリ
ング性向上効果を有効に発揮させるには、0.005重
量%以上含有させなければならないことを突きとめた。
しかしながら、Sは靭性に悪影響を及ぼす有害な元素で
あり、0.02重量%を超えると、適量のMnを含有さ
せたとしてその弊害が無視できなくなるので、Sの上限
は0.02重量%と定めた。
【0014】P:0.01重量%以下 Pは、メカニカルデスケーリング性および材料強度を高
める作用を有しているが、結晶粒界への偏析傾向が強く
靭性を下げる原因になるので、上限は0.01重量%と
した。
【0015】P+S≧0.015重量% 上記の様にPとSはいずれもメカニカルデスケーリング
性を高める作用を有しており、これらの作用を有効に発
揮させるには、PとSの合計で0.015重量%以上含
有させなければならない。
【0016】本発明鋼における残部成分はFeおよび不
可避不純物であり、不可避不純物としてはN,O等が挙
げられるが、これらは強度や靭性の観点から少ない方が
好ましい。次に製品線材の周方向における地鉄界面の肌
荒れ割合および表面脱炭割合の限定理由について説明す
る。
【0017】本発明において表面脱炭とは、線材断面を
腐食して観察したとき、地鉄の表層部にフェライト層が
連続して層状に生成しその間に炭化物が存在しなくなっ
た状態を言い、その部分を表面脱炭部と呼ぶ。
【0018】この様にして求めた製品線材断面の周方向
の表面脱炭割合(脱炭周長割合という)とメカニカルデ
スケーリング性の関係を調べた結果を図1に示す。縦軸
は、線材に4%の機械的歪を与えたときの線材表面に残
るスケール量を全スケール量に対する割合として表わし
た値であり、メカニカルデスケーリング性を示す指標と
して用いられる。この値が0.05%以下であるもの
は、メカニカルデスケーリング性が良いと判断すればよ
い。また、横軸は線材表面の肌荒れ状況を定量化した値
であり、線材断面における肌荒れ部分の長さの全周長さ
に対する割合(肌荒れ周長割合という)として表わして
いる。この図から明らかな様に表面の脱炭周長割合が2
0%以下になると、線材表面に残るスケール量(残留ス
ケール量)を0.05%以下の低レベルに低減し得るこ
とが分かる。
【0019】尚、本発明者らが断面拡大写真を調べたと
ころによると、表面脱炭層がみられる部位の地鉄/スケ
ール界面は荒れているのに対し、脱炭層がみられない部
分は、スケール地鉄界面が非常に平滑であることを確認
している。即ち脱炭周長割合と肌荒れ周長割合との間に
は高い相関性があり、それらの関係を図2に示した。こ
の図からも明らかな様に、脱炭周長さ割合と肌荒れ周長
割合とは比例関係にあり、その勾配は約0.5である。
この事実から、肌荒れ周長割合を10%以下にした場合
でも、残留スケール量を0.05%以下でできることが
分かる。
【0020】尚、上記の様に脱炭周長割合および/また
は肌荒れ周長割合の制限された高炭素鋼線材は、所定成
分範囲内のビレットを低温・短時間加熱又はビレット表
面に脱炭防止剤を塗布する等によって容易に得ることが
できる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の構成および作
用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下
記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記
の趣旨に適合し得る範囲で変更して実施することも可能
であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれ
る。
【0022】表1に示す成分組成の高炭素鋼ビレット
(115mm角)を、下記温度に調節した加熱炉に装入し
て夫々 分間熱処理を加えた後、下記の条件で熱間圧延
を行なって5.5mm径の線材を得た。 (熱処理条件) A,C,F,G,H鋼:950℃×75分、910℃巻
取り B,D,E鋼:1050℃×90分、950℃巻取り (熱間圧延工程) 加熱炉−粗圧延−仕上圧延−水冷−コイリング−風冷
【0023】得られた各圧延線材の脱炭周長割合とメカ
ニカルデスケーリング後の残留スケール量を調べた結果
を表1に示す。この表からも明らかである様に、本発明
を適用することによりメカニカルデスケール後の線材表
面に残存スケールが大幅に減少しており、デスケーリン
グ性が著しく高められることが分かる。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、化
学成分の特定された高炭素鋼よりなる熱間圧延線材にお
ける周方向の表面脱炭割合および/または周方向の肌荒
れ割合を特定することにより、優れたデスケーリング性
を確実に得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭周長割合とメカニカルデスケーリング後の
残存スケール量の関係を示すグラフである。
【図2】肌荒れ周長割合と脱炭周長割合の相関性を示す
グラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.4〜1.0重量%、Si:0.
    01〜0.30重量%、Mn:0.3〜1.0重量%、
    S:0.005〜0.02重量%、P:0.01重量%
    以下で、且つP+S≧0.015重量%の要件を満た
    し、残部がFeおよび不可避不純物よりなる高炭素鋼を
    線状に熱間圧延してなり、線材周方向の表面脱炭割合が
    20%以下および/または周方向の肌荒れ割合が10%
    以下であることを特徴とするメカニカルデスケーリング
    性に優れた高炭素鋼線材の製法。
JP10959193A 1993-05-11 1993-05-11 メカニカルデスケーリング性に優れた高炭素鋼線材の製法 Pending JPH06322442A (ja)

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Effective date: 20010911