JPH06316644A - 易接着性ポリエステルフィルム - Google Patents

易接着性ポリエステルフィルム

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JPH06316644A
JPH06316644A JP5219169A JP21916993A JPH06316644A JP H06316644 A JPH06316644 A JP H06316644A JP 5219169 A JP5219169 A JP 5219169A JP 21916993 A JP21916993 A JP 21916993A JP H06316644 A JPH06316644 A JP H06316644A
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純 平田
Yuzo Shimizu
有三 清水
Naotake Kashiwakura
尚武 柏倉
Takashi Mimura
尚 三村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリエステルフィルム基体の少なくとも片面
に、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分が、1重量%
以上、20重量%未満含有されてなる水溶性共重合ポリ
エステルと酸化ワックス及び/又は天然性ワックスとを
主体とした混合物の塗膜が形成されてなることを特徴と
する易接着性ポリエステルフィルム。 【効果】 帯電防止性、易滑平滑性、水溶性、接着性、
耐ブロッキング性、耐溶剤性等に優れ、磁気記録材料、
各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業材料
等に好適な易接着性ポリエステルフィルムを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は易接着性ポリエステルフ
ィルムに関するものである。詳しくは帯電防止性、易滑
性、接着性、耐ブロッキング性などに優れ、磁気記録材
料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業
材料などに使用される基材フィルムとして好適な易接着
ポリエステルフィルムに関するものである。特に磁気記
録材料に使用される基材フィルムとして好適な易接着ポ
リエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン
ナフタレ−トあるいはポリ−1,4−シクロヘキサンジ
メチレンテレフタレ−ト及びこれらを主体とするポリエ
ステルは優れた物理的、化学的特性を有しており、繊
維、フィルムあるいはシ−トさらにはその成型品として
広く使用されている。
【0003】特に、ポリエステルフィルムは耐熱性、耐
薬品性、機械的特性において優れた性質を有するため
に、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁
材料、一般工業材料等多くの用途に用いられている。
【0004】これらの用途においてはポリエステルフィ
ルム単体で使用されることは無く、フィルム表面に種々
の被覆物、例えば磁性体塗料、ケミカルマット塗料、ジ
アゾ感光塗料、ゼラチン組成物、ヒ−トシ−ル付与組成
物、インキなどを塗布あるいは印刷して使用される。
【0005】特に、磁気テ−プやフロッピ−ディスク等
に用いられるフィルムには、磁気記録の高信頼性、高密
度化のために平坦性、平滑性が求められているととも
に、磁性体塗料とベ−スフィルムとの接着力の向上が強
く求められている。しかし、フィルムに磁性体塗料への
接着力を付与すると、逆にフィルム間でブロッキングを
生じ、各種の作業性が低下したり、磁気記録性能が悪化
したりする。一方、ベ−スフィルムあるいは磁気テ−プ
等の製造工程では一般に高速で多くの各種ロ−ルを有す
る工程を通過したりする際に、ロ−ルとフィルム間ある
いはフィルム同志の摩擦によって帯電現象を生じるた
め、作業性の低下、磁気記録性能が悪化したりする。こ
のため、フィルムの接着性付与には、フィルムの帯電防
止性、易滑性、ブロッキング防止性などの性能も同時に
満足させる必要がある。それと共にフィルム表面に塗布
あるいは印刷される種々の被覆物に含有されている各種
溶剤に対しても抵抗力のある易接着性物質が望まれてい
る。
【0006】しかしながら、一般にポリエステル自体が
不活性で接着性に乏しいため、フィルム表面に種々の被
覆物、例えば磁性体塗料、ケミカルマット塗料、ジアゾ
感光塗料、ゼラチン組成物、ヒ−トシ−ル付与組成物、
インキなどを塗布あるいは印刷する際には、該被覆物と
の接着性を良好とするためにフィルム表面にコロナ放電
あるいはプラズマ等の物理的な処理やアルカリあるいは
アミン類の化学薬品を使用した化学的な処理をする方
法、さらには易接着性物質をコ−ティングする方法など
が知られている。しかし、物理的あるいは化学的な表面
処理方法は工程が煩雑となり、コストアップとなるばか
りでなく、十分な接着性が得られない。
【0007】一方、易接着性物質をコ−ティングする方
法はポリエステルフィルムの製造工程内で実施でき、コ
スト面で有利であり、かつ、種々の被覆物に対応できる
接着性物質を選択することが可能である。さらに、ポリ
エステルフィルムの取り扱い性、フィルム製造時の作業
性の点から、種々の水分散あるいは水溶性共重合ポリエ
ステルおよび該共重合ポリエステルをポリエステルフィ
ルムに積層あるいは塗布することが提案されて来た。例
えば、特公昭47−40873号公報、特開昭50−1
21336号公報および特開昭50−134086号公
報にはエステル形成性スルホン酸金属塩化合物およびポ
リエチレングリコ−ルを共重合したポリエステルおよび
それらのポリエステルを積層したフィルム、特開昭63
−66239号公報にはエステル形成スルホン酸金属塩
化合物およびポリテトラメチレングリコ−ルを共重合し
たポリエステル、特開昭50−83497号公報、特開
昭53−2536号公報、特開昭54−3848号公報
にはエステル形成スルホン酸金属塩化合物および脂肪族
ジカルボン酸成分、さらにはジエチレングリコ−ルを共
重合したポリエステル、特開昭59−215318号公
報にはエステル形成性スルホン酸金属塩化合物および脂
肪族ジカルボン酸成分を共重合したポリエステルを下塗
りしたフィルムなどがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来技術においては次のような問題点がある。すなわ
ち特公昭47−40873号公報のようにエステル形成
性スルホン酸金属塩化合物および低分子量のポリエチレ
ングリコ−ルを多量に含有した場合には、水溶性、接着
性は発現するものの耐ブロッキング性に劣り、帯電防止
性が得られない。特開昭50−121336号公報、特
開昭50−134086号公報および特開昭63−66
239号公報のようにエステル形成性スルホン酸金属塩
化合物およびポリアルキレングリコ−ル成分を多量に共
重合した場合には水溶性、耐ブロッキング性、帯電防止
性に劣り好ましくない。さらに特開昭50−83497
号公報、特開昭53−2536号公報、特開昭54−3
848号公報および特開昭59−215318号公報の
ようにエステル形成性スルホン酸金属塩化合物および脂
肪族ジカルボン酸成分、さらにはジエチレングリコ−ル
を共重合した場合には接着性は発現するものの、耐ブロ
ッキング性に劣り、帯電防止性が得られないなどの欠点
がある。
【0009】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、帯電
防止性、易滑性、接着性、水溶性、耐ブロッキング性な
どに優れ、磁気記録材料等に使用される基材フィルムと
して好適な易接着ポリエステルフィルムを提供するもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリオ
キシアルキレングリコ−ル成分が1重量%以上、20重
量%未満含有されてなる水溶性共重合ポリエステルと酸
化ワックス及び/又は天然ワックスとを主体とした混合
物の塗膜が形成されてなる易接着性ポリエステルフィル
ムをその骨子とするものである。
【0011】本発明における水溶性共重合ポリエステル
は、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分が1重量%以
上、20重量%未満含有されてなる水溶性共重合ポリエ
ステルであれば特に限定されるものではないが、酸成分
として芳香族ジカルボン酸を60モル%以上、さらには
70モル%以上とすることが好ましく、特には80モル
%以上とすることが帯電防止性、耐ブロッキング防止
性、耐溶剤性に優れる点から好ましい。芳香族ジカルボ
ン酸が60モル%未満であると帯電防止性、耐ブロツキ
ング防止性および耐溶剤性に劣る。芳香族ジカルボン酸
としては特に限定されることはないが、例えばテレフタ
ル酸、イソフタル酸、ジフェニルエ−テルジカルボン酸
等を挙げることができ、これらのなかで好ましい芳香族
ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸である。
【0012】本発明における水溶性共重合ポリエステル
は、水溶性付与の点からエステル形成性スルホン酸アル
カリ金属塩化合物を全酸成分に対して、5〜40モル
%、好ましくは7〜30モル%、さらに好ましくは10
〜20モル%、特に好ましくは11〜15モル%添加す
ることが好ましい。エステル形成性スルホン酸アルカリ
金属塩化合物が5モル%未満であると、十分な水溶性お
よび接着性が得られないことがある。一方、40モル%
を超えると接着性は飽和に達し、逆に帯電防止性、耐ブ
ロッキング防止性、耐溶剤性が低下する。エステル形成
性スルホン酸アルカリ金属塩化合物としては特に限定さ
れることはないが、例えばスルホテレフタル酸、5−ス
ルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スル
ホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカ
ルボン酸等のアルカリ金属塩を挙げることができ、なか
でも5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸のリ
チウム、ナトリウム、カリウム塩がより好ましく用いら
れる。
【0013】本発明における水溶性共重合ポリエステル
のグリコ−ル成分(上記ポリオキシアルキレングリコー
ル以外のグリコール成分)は、好ましくは、炭素数2〜
8の脂肪族グリコ−ルおよび/または炭素数6〜16の
脂環族グリコ−ル80〜99モル%、さらに好ましくは
82〜95モル%、さらに好ましくは84〜93モル%
とジエチレングリコ−ル1〜20モル%、さらに好まし
くは5〜18モル%、さらに好ましくは7〜16モル%
である。炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび/また
は炭素数6〜16の脂環族グリコ−ルが80モル%未満
あるいはジエチレングリコ−ルが20モル%を超えた場
合は耐ブロッキング性、耐溶剤性が劣る。一方、炭素数
2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび/または炭素数6〜1
6の脂環族グリコ−ルが99モル%を超えるか、あるい
はジエチレングリコ−ルが1モル%未満の場合は耐ブロ
ッキング性は良好であるものの、水溶性および接着性に
劣る。
【0014】本発明における炭素数2〜8の脂肪族グリ
コ−ルおよび/または炭素数6〜16の脂環族グリコ−
ルとしては、例えばエチレングリコ−ル、1,2−プロ
パンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、ネオペンチ
ルグリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタ
ンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキ
サンジオ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、
1,3−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノ−ル等のグリコ−ルを挙げることがで
きる。好ましい炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび
/または炭素数6〜16の脂環族グリコ−ルとしては、
エチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,4
−ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−
ルである。これらのグリコ−ルは1種のみ用いても良
く、また2種以上併用しても良い。なお、本発明におけ
るジエチレングリコ−ルは、通常エチレングリコ−ルを
グリコ−ル成分とするポリエステルの製造の際に副生す
るジエチレングリコ−ルを包含するものである。
【0015】本発明における水溶性共重合ポリエステル
には上述の酸成分およびグリコ−ル成分以外に、本発明
の効果を損なわない範囲で脂肪族ジカルボン酸、オキシ
酸あるいは単官能化合物、三官能以上の多官能化合物等
の他の成分を含んでいても良い。これら他の成分の含有
量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定
されるものではないが、通常30モル%程度以下であ
る。
【0016】本発明における水溶性共重合ポリエステル
の製造は、従来公知の任意の方法を採用することがで
き、特に限定されるものではない。例えば酸成分として
テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およ
びグリコ−ル成分としてエチレングリコ−ル、ジエチレ
ングリコ−ルからなる共重合ポリエステルについて説明
すると、テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸およびエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル
とを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸のアル
キルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のア
ルキルエステルおよびエチレングリコ−ル、ジエチレン
グリコ−ルとをエステル交換反応させる第1段階と、こ
の第1段階の反応生成物を重縮合反応させる第2段階と
によって製造する方法等を挙げることができる。この際
反応触媒として、従来公知のアルカリ金属、アルカリ土
類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲル
マニウム、チタン化合物等が用いられ、さらに着色防止
剤としてリン化合物等を用いても良い。
【0017】本発明における水溶性共重合ポリエステル
には、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分が、1重量
%以上、20重量%未満、好ましくは4〜19重量%、
特に好ましくは7〜18重量%含有されている必要があ
る。ポリオキシアルキレングリコ−ル成分の含有量が1
重量%未満であると帯電防止性、耐溶剤性に劣る。一
方、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分の含有量が2
0重量%以上となると帯電防止性、水溶性、耐ブロッキ
ング性に劣る。ポリオキシアルキレングリコ−ル成分の
種類は特に限定されることはないが、優れた水溶性、接
着性、帯電防止性を兼備させる点からポリオキシアルキ
レングリコ−ル成分の数平均分子量400〜10000
が好ましく、さらには数平均分子量500〜6000が
好ましく、特には数平均分子量600〜4000が好ま
しい。このようなポリオキシアルキレングリコ−ル成分
としては、例えばポリエチレングリコ−ル、ポリプロピ
レングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等を挙
げることができる。なかでも水溶性、帯電防止性の点か
らポリエチレングリコ−ルが好ましい。
【0018】本発明におけるポリオキシアルキレングリ
コ−ル成分を共重合ポリエステルに含有させる方法は特
に限定されるものではなく、例えばポリオキシアルキレ
ングリコ−ル成分を共重合ポリエステルの製造工程の任
意の段階で添加する方法、あるいは共重合ポリエステル
とポリオキシアルキレングリコ−ル成分とを押出機等を
用いて溶融混練りする方法等を挙げることができる。こ
の際、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分は粉体、溶
融あるいは溶液状態等任意の方法で添加することができ
る。
【0019】また、本発明における水溶性共重合ポリエ
ステルの固有粘度は特に限定されるものではないが、接
着性の点で0.3dl/g以上が好ましく、さらには
0.4dl/g以上が好ましい。
【0020】また、該水溶性共重合ポリエステルには必
要に応じて、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、
染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤あるい
はポリシロキ酸などの消泡剤を配合してもよく、さらに
は滑り性などを付与する目的でクレ−、マイカ、酸化チ
タン、炭酸カルシウム、カオリン、湿式および乾式法シ
リカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、アルミナなどの無機粒子、さらにはアクリル酸
類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子等を配合し
ても良い。
【0021】本発明のポリエステルフィルムに積層する
水溶性共重合ポリエステルは、水に溶解し、水溶液とし
て使用する。この水溶液とは物理的、化学的な意味で厳
密性を有するものではなく、水に大部分が溶解し、一部
が微分散しているようなものも含むものである。
【0022】本発明における酸化ワックスとは、特に限
定されるものではないが、ワックスのエチレン鎖部分を
空気酸化等の方法で酸化してカルボキシル基や水酸基等
を付加したものが好ましく用いられる。分子量、融点な
ども特に限定されないが、分子量1000以上を有する
ものが好ましい。
【0023】また、天然性ワックスとしてはキャンデリ
ラワックス、カルナウバワックス、木ロウ、オリキュー
リーワックス、さとうきびロウなどが挙げられるが、本
発明においては特にカルナウバワックスが好ましい。
【0024】本発明における酸化ワックス及び天然性ワ
ックスは、水溶性共重合ポリエステルに対して各々単独
で用いてもよく、あるいはこれらを混合して用いてもよ
い。さらに、該酸化ワックス及び/又は天然性ワックス
にさらにロジン変性ワックスが混合されていてもよい。
ロジン変性ワックスとは、特に限定されるものではない
が、本発明においては特に下記化合物からなる組成物が
好ましい。すなわち{ロジンまたは不均化ロジン、また
は水添ロジン・α,β置換エチレン(α置換基:カルボ
キシル、β置換基:水素またはメチルまたはカルボキシ
ル)付加物}・アルキルまたはアルケニル(各炭素数1
〜8)ポリ(繰り返し単位:1〜6)アルコ−ルのエス
テル付加物を用いるのが特に好ましい。酸化ワックス及
び/又は天然性ワックス(A)とロジン変性ワックス
(B)の混合比率は特に限定されるものではないが、
(A)/(B)は10/90〜90/10、好ましくは
20/80〜80/20、更に好ましくは30/70〜
70/30とするのが好ましい。混合比率(A)/
(B)を90/10以下とするのは水に乳化あるいは懸
濁させる場合の均一分散性が良好で均一な塗布膜を得る
のに好適であることによる。また、10/90以上とす
るのは塗布後の易滑性が良好であることによる。
【0025】本発明の酸化ワックスあるいは天然ワック
スの易滑性付与効果、ブロッキング防止効果については
十分解明されていないが、パラフィンワックス等に比べ
本発明で用いるワックスはその表面自由エネルギーの分
散力成分が大きく、かつ極性力成分が小さいことによる
もので、水溶性共重合ポリエステルとの混合系において
も同様の効果を示していると推定している。
【0026】また、本発明の効果を損なわない範囲で上
記酸化ワックス及び天然性ワックスの混合物中あるいは
各々単独に更にオイル状物質を加えても良い。ここでオ
イル状物質とは常温で液体あるいはペ−スト状のオイル
であり、植物油、油脂、鉱物油、合成潤滑油などがあ
る。その中でも鉱物油、合成潤滑油が好適であり、中で
も合成潤滑油が特に好ましい。合成潤滑油としては例え
ばオレフィン重合油、ジエステル油、ポリアルキレング
リコ−ル油、シリコ−ン油などを挙げることができる。
【0027】上記オイル状物質は、前記ワックス各々単
独あるいは混合物100重量部に対して50重量部以
下、好ましくは20重量部以下添加するのが望ましい。
【0028】上記組成物中には本発明の効果を阻害しな
い範囲内で各種添加剤を併用することができる。例えば
帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機、無機の粒
子、顔料などが挙げられる。
【0029】本発明における塗膜(皮膜)とは、上記の
水溶性共重合ポリエステルと上記の酸化ワックスあるい
は天然性ワックス単独あるいはそれらの混合物とを主体
(主成分)としたもので形成されるものである。なお、
水溶性共重合ポリエステルとワックスとを主体としたと
は、該混合物が塗膜の80重量%以上、好ましくは90
重量%以上含まれていることが望ましい。
【0030】本発明においては、塗膜に対し、水溶性共
重合ポリエステル70〜99.9重量%、さらに好まし
くは85〜99重量%、ワックスが30〜0.1重量
%、さらに好ましくは15〜1重量%混合されているこ
とが好ましい。水溶性共重合ポリエステルが70重量%
以下では接着性が劣るようになるので好ましくない。逆
に99.9重量%以上では易滑性、耐ブロッキング性に
劣るようになるので好ましくない。上記の範囲内である
場合、接着性、易滑性、耐ブロッキング性の両立と言う
点で好ましい。なお、塗膜には他の成分として、公知の
シランカップリング剤等の架橋剤を添加しても良い。
【0031】なお、塗膜の厚みは特に限定されないが、
0.001〜1μm、特に0.01〜0.2μmが好ま
しい。
【0032】本発明におけるポリエステルフィルムと
は、周知の方法で形成したポリエステルフィルム、すな
わち、ポリエステルを溶融してシ−トに押出し、これを
少なくとも一方向に延伸して形成したフィルムで、その
フィルムの機械特性としては通常のバランスタイプ、一
軸方向に強力化されたタイプ、二軸方向に強力化された
タイプのいずれかであることが望ましい。また、ポリエ
ステルフィルムの表面は平滑であることが望ましく、具
体的にはフィルムの表面粗さは、触針式表面粗さ計のカ
ットオフ値0.08mmで、Ra値が0.003〜0.
030μmの範囲内にあることが望ましい。
【0033】なお、Ra値とは、触針式表面粗さ計から
得られる断面曲線から適当なカットオフ値を用いてうね
りを除いた粗さ曲線において、中心線(中心線より上の
部分と下の部分の面積が等しくなるようにして求められ
る)からの粗さ曲線の高さ(低さ)の絶対値の算術平均
である(DIN 4768による)。
【0034】上記フィルムを形成するポリエステルは、
線状ポリエステルを主体とするものであればどのような
ものでも良い。たとえば、ポリエチレンテレフタレ−
ト、ポリテトラメチレンテレフタレ−ト、ポリ−1,4
−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレ−ト、ポリエ
チレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレ−ト、ポリ
エチレン−p−オキシベンゾエ−トなどがその代表例で
ある。
【0035】また、上記のポリエステルはホモポリエス
テルであってもコポリエステルであっても良い。コポリ
エステルの場合、共重合する成分としては、例えば、ジ
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペン
チルグリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、p−キシリ
レングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル
などのジオ−ル成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸
成分、トメリット酸、ピロメリツト酸などの多官能カル
ボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げら
れる。なお、共重合の場合、共重合する成分は20モル
%以下が望ましい。
【0036】本発明のフィルムの製法について説明す
る。ただし、これに限定されるものではない。実質的に
無配向、結晶性のポリエチレンテレフタレ−ト原料を、
270℃〜290℃に溶融してシ−ト状に押出し、20
〜30℃のキャスティングドラムで冷却固化して、未延
伸シ−トとし、続いて二軸延伸、熱処理してフィルムを
製造する。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは二軸同時
延伸のいずれでもよく、延伸倍率は特に限定されるので
はないが、通常は縦、横それぞれ2.0〜5.0倍が適
当である。あるいは、縦、横延伸後、縦、横いずれかの
方向に再延伸してもよい。また、ポリエステルの厚みは
特に限定されるものではないが、2〜200μmが好ま
しく用いられる。
【0037】本発明の易接着ポリエステルフィルムの易
接着層塗膜の積層方法はポリエステルフィルムの製造工
程中に塗布し、基材と共に延伸する方法が最も好まし
い。例えば、溶融押出しされた結晶配向前のポリエステ
ルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、連続
的に塗布する面にコロナ放電処理を施し、その処理面に
塗布液を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱
されたゾ−ンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜
5倍程度延伸される。さらに連続的に150〜250℃
の加熱ゾ−ンに導かれ結晶配向を完了させる方法によっ
て得られる。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆
性の点で水系が好ましい。基材フィルム上への塗布の方
法は公知の塗布方法、例えばリバ−スコ−ト法、グラビ
アコ−ト法、ロッドコ−ト法、ダイコ−ト法、ワイア−
バ−法などを用いることができる。上記塗布層(易接着
層)中には本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添
加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、
紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または
無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合し
ても良い。
【0038】なお、塗料組成としては、水溶性共重合ポ
リエステルは、水中に水溶性共重合ポリエステルを0.
5〜10重量%程度含むものが好ましい。水溶性共重合
ポリエステル塗料は、例えば80〜90℃程度の温湯に
水溶性共重合ポリエステルを加え、攪拌することにより
調製することができる。ワックス塗料は、水中にワック
ス成分を1〜30重量%程度含むものが好ましい。非イ
オン性界面活性剤、リン酸エステル、オレイン酸アンモ
ニウム、2−アミノ−2−メチルプロパノール等を例え
ば1重量%程度加えることにより、ワックスの水への分
散が容易になるので好ましい。上記水溶性共重合ポリエ
ステル塗料とワックス塗料とは混合後、ポリエステルフ
ィルムに塗布することが好ましい。
【0039】次に本発明の易接着性ポリエステルフィル
ムの製造方法について説明するが、当然これに限定され
るものではない。PETを常法に従って乾燥後、溶融押
出し、押出しされたシ−ト状溶融体を冷却固化せしめて
未延伸PETフィルムを作る。このフィルムを80〜1
20℃に加熱して長手方向に2.0〜5.0倍延伸して
一軸配向フィルムとする。このフィルムの片面にコロナ
放電処理を施し、この処理面に所定の濃度に水で希釈し
た本発明の範囲の水性塗剤を塗布する。次いで、この塗
布されたフィルムを90〜140℃に加熱しつつ幅方向
に2.5〜5.0倍延伸し、引き続いて160〜240
℃の熱処理ゾ−ン中に導き、1〜10秒間熱処理を行
う。この熱処理中に必要に応じて幅方向に3〜12%の
弛緩処理を施しても良い。
【0040】また、本発明ではポリエステルフィルム基
体中にスルホン酸及び/又はその塩を有する化合物並び
に酸化ワックス及び/又は天然性ワックスを含有せしめ
ることもでき、さらに、これにポリオキシアルキレング
リコールを含有させることもできる。これらの場合、塗
布層と基体フィルムの易滑性、耐ブロッキング性、接着
性が向上するなどの長所がある。
【0041】ポリエステルフィルム基体に含有せしめる
スルホン酸又はその塩を有する化合物としては、スルホ
テレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイ
ソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフ
タレン−2、6−ジカルボン酸またはこれらのアルカリ
金属塩などを挙げることができ、なかでも5−スルホイ
ソフタル酸、スルホテレフタル酸のリチウム、ナトリウ
ム、カリウム塩が好ましく用いられる。
【0042】また、ポリエステルフィルム基体に含有せ
しめる酸化ワックス及び/又は天然性ワックス、ポリオ
キシアルキレングリコールは、塗膜に用いられるのと同
様のものを用いることができる(ただし、必ずしも塗膜
に用いられるものと同一のものである必要はない)。
【0043】スルホン酸及び/又はその塩を有する化合
物、酸化ワックス及び/又は天然性ワックス並びにポリ
オキシアルキレングリコールを含有させる場合には、そ
の含有量が5ppm以上20重量%未満であるのが易滑
性、耐ブロッキング性、接着性向上の点で好ましい。も
ちろん、基体フィルム上に設けるコーティング組成物
(本発明の易接着性ポリエステルフィルムの再生ペレッ
ト等を含む)が一部含有されていてもよいことは言うま
でもない。
【0044】かくして得られた易接着性ポリエステルフ
ィルムの巻取性、スリット性は良好であり、塗布層側に
用途に応じた塗剤を塗布することにより、各種用途、例
えば磁気記録材料、セロファン用インク、オフセット用
インク、紫外線硬化インクなどの各種インク印刷用、電
子写真トナ−易接着用、ケミカルマット塗料易接着用、
ジアゾ塗料易接着用、蒸着用などの無機質被覆用などの
基材フィルムとして好適に使用されるものである。
【0045】特性値の測定方法および評価方法 本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は
次のとおりである。
【0046】 (1)共重合ポリエステルの極限粘度:[η] o−クロロフェノ−ル溶媒を用い、25℃で測定した。
【0047】(2)共重合ポリエステルの水溶性 共重合ポリエステル2gを水100g中に入れ、80
℃、2時間撹拌溶解して冷却後、2μmフィルタ−で瀘
過する。溶解状態および瀘上物量によって共重合ポリエ
ステルの水溶性を判定した。 ○:水溶液は透明あるいは僅かに白濁しているが、瀘上
物はほとんど認められなかった。 △:水溶液はやや白濁しており、瀘上物が認められた。 ×:溶解しにくい、あるいは水溶液は強く白濁してお
り、多量の瀘上物が認められた。
【0048】(3)密着性 共重合ポリエステルおよびワックスの水溶液をポリエス
テルフィルム基板上に塗布し、易接着層を設けた易接着
層面に磁性体塗料(ダイフェラコ−トCAD−430
1:大日精化工業(株)製)100重量部と硬化剤であ
るスミジュ−ルN75(住友バイエル(株)製)1重量
部からなる塗料を乾燥後で5μmになるようにバ−コ−
タ−で塗布し、100℃、5分間乾燥して被覆層を設け
た。該被覆面にセロハン粘着テ−プ(ニチバン(株)
製)を貼り、線圧50kg/cmのニップロ−ルを通過
させた後、180度方向に急速に剥離する。その時のセ
ロハン粘着テ−プに付着した被覆面の面積を求めて接着
性を判定した。 ◎ :セロハン粘着テ−プに付着した被覆面の面積が5
%未満であり、接着性に優れている。 ○ :セロハン粘着テ−プに付着した被覆面の面積が5
%〜10%未満であり、接着性にやや優れている。 △ :セロハン粘着テ−プに付着した被覆面の面積が1
0〜30%未満であり、接着性にやや劣る。 × :セロハン粘着テ−プに付着した被覆面の面積が3
0%以上であり、接着性に劣る。
【0049】(4)帯電防止性 金属ドラム回転体の表面に易接着層を積層していないポ
リエステルフィルムを巻き付け、回転させながら易接着
層を積層したフィルムの易接着層の端部に荷重255g
を掛け、金属ドラム回転体に沿わせて5秒間擦る。直後
に静電気測定機によりフィルムに荷電した電位を測定
し、帯電防止性を判定した。 ○ :帯電量 −6kV以上+6kV以下 △ :帯電量 −7kV以上+7kV以下 × :帯電量 −7kV未満あるいは+7kVを超える
もの 静電気測定機:シシド静電気(株)製 スタチロンTH
型 測定距離 ヘツド開口部より50mm 金属ドラム回転体:寸法 65mm幅×150mmφ
回転数860rpm 測定サンプル:30mm幅×300mm長さ
【0050】(5)耐溶剤性 易接着層を設けたフィルムの易接着層面に有機溶媒とし
てメチルエチルケトン、トルエン、アセトンをそれぞれ
滴下し、易接着層の白濁状態で判定した。 ○ :ほとんど白濁しない △ :わずかに白濁する × :白濁する
【0051】(6)耐ブロッキング性 易接着層を設けたフィルムの易接着層面と二軸配向PE
Tフィルムを重ね合わせたもの(重ね面積:3cm×4
cm)に500g/12cm2 の加重をかけて60℃8
0%RH中で72時間放置した後、重ね合わせ部のせん
断応力をテンシロン引張り試験機を用い引張り速度20
cm/分で測定し、下記基準で判定した。 ◎ : 0kg/cm2 (全くブロッキングしない) ○ : 0kg/cm2 以上1kg/cm2 未満 △ : 1kg/cm2 以上3kg/cm2 未満 × : 3kg/cm2 以上
【0052】 (7)易滑性(静摩擦係数μs 、動摩擦係数μd ) フィルム同士の摩擦係数は、ASTM−D−1894−
63に準じ、静摩擦係数μs 、動摩擦係数 μd を新東
科学(株)製表面性測定機HEIDON−14DRを用
いて、サンプル移動速度200mm/分、荷重200
g、接触面積63.5mm×63.5mmの条件で測定
し、アナライジングレコ−ダ−TYPE:HEIDON
3655E−99で記録し評価した。一般に厚みが10
μm程度の薄いフィルムの長尺品(2万m前後)を巻く
場合の易滑性の要求値としては、好ましくはμs で0.
65以下であり、以下の基準により易滑性を判定した。 ○ : μs =0.65以下 △ : μs =0.65を超えて0.80以下 × : μs =0.80を超える
【0053】(8)塗布層の厚み 日立製作所製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積
層フィルムの超薄膜面切片を観察し、厚みを求めた。
【0054】(9)表面粗さ JIS−B−0601に従い、株式会社小坂研究所製の
触針型表面粗さ計BE−3Eを用い、カツトオフ0.0
25mm、測定長4mmで平均表面粗さRaを測定し
た。
【0055】
【発明の効果】本発明はポリエステルの少なくとも片面
に、特定量のポリオキシアルキレングリコ−ル成分を含
有してなる水溶性共重合ポリエステルと酸化ワックス及
び/又は天然性ワックスとを主体とした混合物の塗膜が
形成されてなる易接着性ポリエステルフィルムであっ
て、帯電防止性、易滑平滑性、水溶性、耐ブロッキング
性、耐溶剤性に優れ、磁気記録材料、各種写真材料、包
装材料、電気絶縁材料、一般工業材料等に好ましく用い
られる。
【0056】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を説明するが必
ずしもこれに限定されるものではない。
【0057】実施例1 テレフタル酸ジメチル71.2重量部、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル14.8重量部、エチレン
グリコ−ル50.0重量部、ジエチレングリコ−ル4.
0重量部、数平均分子量600のポリエチレングリコ−
ル13.0重量部および酢酸カルシウム0.1重量部、
酢酸リチウム0.3重量部、三酸化アンチモン0.03
重量部を加え、常法に従いエステル交換反応せしめたの
ち、リン酸トリメチル0.05重量部を添加した。次い
で徐々に昇温、減圧にし、最終的に280℃、1mmH
g以下で重縮合反応を行ない、水溶性共重合ポリエステ
ルを得た。得られた水溶性共重合ポリエステルの組成を
NMR(13C−NMRスペクトル)により測定した結
果、酸成分はテレフタル酸88モル%、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸12モル%、グリコ−ル成分はエチ
レングリコ−ル89モル%、ジエチレングリコ−ル11
モル%であり、また、ポリエチレングリコ−ル含有量は
12重量%で、固有粘度は0.60dl/gであった。
【0058】得られた水溶性共重合ポリエステル2gを
水100g中に入れ、80℃、2時間撹拌溶解して冷却
後、2μmフィルタ−で瀘過し、濃度2重量%の水溶性
共重合ポリエステル水溶液を得た。水溶性共重合ポリエ
ステルの水溶液はほぼ透明性であり、フィルタ−瀘上物
も認められなかった。
【0059】一方、水溶性共重合ポリエステルに混合す
るワックスとしては、固形分濃度2重量%の酸化ワック
スを水溶性共重合ポリエステル水溶液に対して10重量
%添加後、良く混合撹拌し本発明の塗剤とした。 [塗料組成] 1)水溶性共重合ポリエステル 90重量部 2)ワックス 酸化ワックス 10重量部
【0060】上記酸化ワックスを水分散体とするため非
イオン性界面活性剤、燐酸エステル、オレイン酸アンモ
ニウム、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ルを各1重
量部添加し、水中で強撹拌し、さらに超音波分散機で全
固形分比率が2重量%の水分散体を作製した。
【0061】一方、平均粒径0.2μmの二酸化ケイ素
を0.2重量%含有した極限粘度0.60のポリエチレ
ンテレフタレ−トを十分に乾燥した後、押出機に供給し
て280℃で溶融し、10μmカットの金属焼結フィル
タ−で瀘過した後、T字型口金よりシ−ト状に押出し、
これを表面温度30℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固
化せしめた。この間のシ−トと冷却ドラム表面との密着
性を向上させるため、シ−ト側にワイヤ−電極を配置し
て6,000Vの直流電圧を印加した。かくして得られ
た未延伸PETフィルムを95℃に加熱して長手方向に
3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィル
ムの片面に空気雰囲気中でコロナ放電処理を施し、その
処理面にグラビアコ−ト方式で上記組成の塗料を二軸延
伸後の塗布層厚みが0.04μmになるように塗布し
た。塗布された一軸延伸フィルムをテンタ−内に導き1
10℃の予熱工程で水分を乾燥させた後、120℃に加
熱しつつクリップで把持しながら幅方向に3.5倍延伸
し、続いて225℃で5秒間熱処理を施し、塗布層厚み
0.04μm、フィルム厚み10μmの易接着性ポリエ
ステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2
に示す。このフィルムは帯電特性、易滑性、磁性塗料密
着性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、表面平滑性に優れ
たものであつた。
【0062】実施例2 実施例1と同様にして、酸成分はテレフタル酸87.5
モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸12.5モ
ル%、グリコ−ル成分はエチレングリコ−ル91モル
%、ジエチレングリコ−ル9モル%であり、また、ポリ
エチレングリコ−ル含有量は15重量%で、固有粘度は
0.61dl/gであった。実施例1と同様にして、2
重量%の水溶性共重合ポリエステル水溶液を調製した。
一方、添加ワックスの種類、配合比を下記の様に変更し
た他は実施例1と全く同様にして塗布層厚み0.04μ
m、フィルム厚み10μmの易接着性ポリエステルフィ
ルムを得た。 [塗料組成] 1)水溶性共重合ポリエステル 94重量部 2)ワックス (a)酸化ワックス 65重量部 (b)ロジン変性ワックス 35重量部 6重量部 {水添ロジン・αβ置換エチレン(α置換基:カルボキ
シル基、β置換基:メチル)付加物}・アルキル(炭素
数6)ポリ(繰り返し単位:5)アルコ−ルのエステル
化合物
【0063】上記(a)+(b)を水分散体とするため
非イオン界面活性剤、燐酸エステル、オレイン酸アンモ
ニウム、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ルを各1重
量部添加し、水中で強撹拌し、さらに超音波分散機で全
固形分比率が2.0重量%の水分散体を作製した。得ら
れた易接着性ポリエステルフィルムの特性を表2に示
す。
【0064】比較例1 水溶性共重合ポリエステルとして、実施例2で使用した
ものと同組成の水溶性共重合ポリエステルを使い、濃度
2重量%の水溶性共重合ポリエステル水溶液を得た。水
溶性共重合ポリエステルの水溶液はほぼ透明性であり、
瀘上物は認められなかった。
【0065】この塗剤を単独で用いて実施例1と同様の
方法で塗布層厚み0.04μm、フィルム厚み10μm
の易接着性ポリエステルフィルムを得た。得られた易接
着性ポリエステルフィルムの特性を表2に示すが易滑性
に劣っていた。
【0066】実施例3〜5、比較例2〜4 実施例1と同様の方法で、表1に示すような組成の濃度
2重量%の水溶性共重合ポリエステルならびに濃度2重
量%のワックスを使い、それぞれ表2に示すような塗布
層厚み0.04μm、フィルム厚み10μmの易接着性
ポリエステルフィルムを得た。
【0067】実施例3〜5は本発明の範囲内のものであ
り、帯電防止性、易滑性、接着性、耐ブロッキング性、
耐溶剤性ともに良好であった。
【0068】一方、比較例2〜4は本発明の範囲外であ
り、水溶性、帯電防止性、易滑性、耐溶剤性、耐ブロツ
キング性等なんらかの特性に劣っていた。
【0069】実施例6 基材フィルムとして、実施例1で用いたポリエチレンテ
レフタレートの代わりに、水溶性共重合ポリエステルと
酸化ワックスをポリエチレンテレフタレートに混合して
用いた以外は、実施例1と全く同様にして塗布層厚み
0.04μm、フィルム厚み10μmの易接着性ポリエ
ステルフィルムを得た。すなわち、酸成分としてテレフ
タル酸88モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
12モル%、ジオール成分としてエチレングリコール8
9モル%、ジエチレングリコール11モル%から成るポ
リエステル88重量%と分子量600のポリエチレング
リコール12重量%から成る水溶性共重合ポリエステル
90重量部と酸化ワックス10重量部との混合物10重
量%をポリエチレンテレフタレートに混合して用いた。
かくして得られたフィルムの特性を表2に示すが、この
ように、ベース層にスルホン酸ナトリウム塩、ポリエチ
レングリコール及び酸化ワックスを有する方が易滑性、
耐ブロッキング、接着性に優れていることがわかる。
【0070】実施例7 基材フィルムとして、実施例1で用いたポリエチレンテ
レフタレートの代わりに、水溶性共重合ポリエステルと
酸化ワックスをポリエチレンテレフタレートに混合して
用いた以外は、実施例1と全く同様にして塗布層厚み
0.04μm、フィルム厚み10μmの易接着性ポリエ
ステルフィルムを得た。すなわち、酸成分としてテレフ
タル酸88モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
12モル%、ジオール成分としてエチレングリコール8
9モル%、ジエチレングリコール11モル%からなる水
溶性共重合ポリエステル90重量部と酸化ワックス10
重量部との混合物10重量%をポリエチレンテレフタレ
ートに混合して用いた。かくして得られたフィルムの特
性を表2に示すが、このようにベース層にスルホン酸ナ
トリウム塩、酸化ワックスを有する方が易滑性、耐ブロ
ッキング性、接着性に優れていることがわかる。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三村 尚 滋賀県大津市園山1丁目1番1号東レ株式 会社滋賀事業場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルム基体の少なくとも
    片面に、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分が、1重
    量%以上、20重量%未満含有されてなる水溶性共重合
    ポリエステルと酸化ワックス及び/又は天然性ワックス
    とを主体とした混合物の塗膜が形成されてなることを特
    徴とする易接着性ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 上記塗膜中にさらにロジン変性ワックス
    が含有されていることを特徴とする請求項1記載の易接
    着性ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 上記塗膜が、上記水溶性共重合ポリエス
    テル70〜99.9重量%、酸化ワックス及び/又は天
    然性ワックス30〜0.1重量%を主体とした混合物で
    形成されてなることを特徴とする請求項1記載の易接着
    性ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 上記ポリオキシアルキレングリコ−ル成
    分がポリエチレングリコ−ルであり、その数平均分子量
    が400〜10000であることを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか1項に記載の易接着性ポリエステル
    フィルム。
  5. 【請求項5】 上記ポリエステルフィルム基体中に、ス
    ルホン酸及び/又はその塩を有する化合物並びに酸化ワ
    ックス及び/又は天然性ワックスがそれぞれ5ppm以
    上20重量%未満含有されていることを特徴とする請求
    項1ないし4のいずれか1項に記載の易接着性ポリエス
    テルフィルム。
  6. 【請求項6】 上記ポリエステルフィルム基体中に、さ
    らにポリオキシアルキレングリコールが含有されている
    ことを特徴とする請求項5記載の易接着性ポリエステル
    フィルム。
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WO1998049008A1 (fr) * 1997-04-30 1998-11-05 Teijin Limited Couche de polyester composite faiblement electrisable
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