JPH06316481A - 結晶引上方法 - Google Patents

結晶引上方法

Info

Publication number
JPH06316481A
JPH06316481A JP10544893A JP10544893A JPH06316481A JP H06316481 A JPH06316481 A JP H06316481A JP 10544893 A JP10544893 A JP 10544893A JP 10544893 A JP10544893 A JP 10544893A JP H06316481 A JPH06316481 A JP H06316481A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
melt
oxygen
free surface
crystal
oxygen concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10544893A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Nishizaki
克己 西崎
Kazuhiko Echizenya
一彦 越前谷
Yasuyuki Seki
康之 関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP10544893A priority Critical patent/JPH06316481A/ja
Publication of JPH06316481A publication Critical patent/JPH06316481A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】cz法によるシリコン単結晶引上げにおいて、
アンチモンを高濃度にドープしても、メルトの自由表面
からの酸素の蒸発を抑制し、目標通りの酸素濃度の結晶
を引上ることを可能とする結晶引上方法を提供する。 【構成】ルツボ1中のメルト2の自由表面の所定の面積
を石英製板状部材4を用いて被覆する際、被覆する面積
を酸素濃度の低下抑制効果の高い範囲に数値限定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CZ法によるシリコン
結晶成長において、ドーパントの作用で酸素の蒸発が促
進され、結晶の酸素濃度が低下することを防止し、目標
の酸素濃度を得るための結晶引上方法に関する。
【0002】
【従来技術】CZ法によるシリコン結晶成長において、
アンチモンを多量にドープした場合、メルトからの酸素
の蒸発が促進され、メルト中の酸素濃度が低くなってし
まうため、育成されたシリコン結晶中の酸素濃度も低く
なるという問題があった。そこで、酸素濃度の低下を抑
制し、所定の酸素濃度を得るために、雰囲気ガスの圧力
とルツボ回転数とを制御する方法が提案されている(特
開平3−164495号公報)。しかし、この方法で
は、酸素の蒸発を抑制する効果はなく、ルツボからの酸
素溶出の促進効果も、酸素濃度の低下を抑制できるほど
のものではない。
【0003】また、メルトからの酸素の蒸発を抑制する
ために、石英製あるいはボロンナイトライド製の部材を
メルト表面部に設置する方法や装置も提案されている
(特開昭57−179099号公報、特公昭60−28
798号公報、特開昭61−146788号公報、特開
昭63−129091号公報、特開平1−212292
号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】CZ法によるシリコン
結晶引上げにおいて、酸素は石英ルツボから溶出する。
石英ルツボから溶出した酸素のうち、その一部が結晶へ
取り込まれ、残りの大部分はメルトの自由表面から蒸発
する。図6にこの酸素の移動を模式的に示した。アンチ
モンを多量にドープした場合は、しない場合に較べ、育
成されたシリコン結晶中の酸素濃度が低くなるという問
題がある。そして、この原因は、アンチモンが多量にド
ープされることにより、メルト表面からの酸素の蒸発が
促進され、メルト中の酸素濃度が低くなるためであるこ
とが分っている(Z.Liu and T.Carlb
erg,J.Electrochem.Soc.,Vo
l.138,No.5,May 1991,p148
8)。
【0005】従って、アンチモンを多量にドープした場
合に、結晶中の酸素濃度低減を抑制するためには、メル
ト表面からの酸素の蒸発を抑制し、メルト中の酸素濃度
を濃くすればよい。そのために、従来から石英製あるい
はボロンナイトライド製の部材をメルト表面部に設置す
る方法や装置が提案されている。しかし、これらの従来
技術には以下のような問題があった。
【0006】上述の様に、アンチモンを多量にドープし
た場合に、結晶中の酸素濃度が低くなる原因は、メルト
表面からの酸素の蒸発が促進されるためである。そし
て、メルト表面からの酸素蒸発量は、メルトの自由表面
積により変化する。つまり、メルトの自由表面積が広け
れば酸素の蒸発量も多く、自由表面積が狭ければ蒸発量
も少ない。従って、メルト表面からの酸素の蒸発を抑制
し、結晶中の酸素濃度を所定の値に制御するには、メル
ト表面部に設置する部材の面積を適切な値にしなければ
ならない。しかし、従来提案されている方法、装置にお
いては、メルト表面部に設置する部材の面積を決定する
技術手段は一切記述されていない。
【0007】中央に孔を有する板状の部材を用いる場合
に、孔の内径及び板の外径が規定されたものはあるが、
これらの規定は、引上中の結晶との干渉あるいは、石英
ルツボとの干渉を防止する目的でなされている。そして
肝心の、結晶中の酸素濃度低減を抑制するのに必要な寸
法についての記載は皆無である。従って、従来技術で
は、結晶中の酸素濃度を所定の値に制御するために、メ
ルト表面部に設置する部材の面積をいくらにすればよい
かは決定できないという問題があった。更に、引上条件
によっては、従来技術の範囲では、酸素濃度低下抑制効
果が強すぎて酸素濃度が高くなり過ぎる問題もあった。
【0008】また、従来技術では、中央に孔を有する板
状の部材を用い、中央の穴を通して結晶成長を行なう。
そのため、ルツボ壁から結晶成長界面への熱対流が板状
の部材で妨げられ、熱移動が起こりにくくなる。その結
果、ルツボ壁付近と、結晶成長界面付近との温度差が通
常より大きくなったときに一気に熱対流が起こるように
なる。そのため、結晶成長が不安定になる問題もあっ
た。
【0009】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、その目的とするところは、メルト
表面からの酸素の蒸発を抑制し、目標とする酸素濃度を
有する結晶を高歩留でしかも安定して引き上げるため
に、被覆すべきメルトの自由表面積を決定する方法を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、被覆すべきメルトの自由表面積を算出
するモデル式を作成し、目標酸素濃度、目標比抵抗値、
結晶径、原料の重量を入力として用いる。これらの値
と、モデル式を用いて、覆わねばならないメルトの自由
表面積を計算し、計算結果に基づき面積を決定した石英
板をメルト自由表面部に設置し、引上を行なうものであ
る。
【0011】本発明は、メルトの自由表面を部分的に被
覆してドーピングによる酸素の蒸発を抑制し結晶中の酸
素濃度を制御するCZ法によるシリコン結晶引上方法に
適用されるものであり次の方法を採った。すなわち、被
覆する面積を下記式で定まる面積Sminおよび面積S
maxの範囲内とすることを特徴とする結晶引上方法で
ある。
【0012】
【数2】
【0013】ここに、As(t):ルツボ−メルトの接
触面積、Ac(t):結晶−メルトの接触面積、Aa
(t):、メルトの自由表面積、δx:ルツボ壁部の酸
素濃度境膜層厚、δxr:被覆する部材の壁部の酸素濃
度境膜厚、δy:自由表面の酸素濃度境膜層厚、D:酸
素の拡散定数、Vg(t):引上速度、ρa:通常の引
上げで目標の酸素濃度が得られる比抵抗値或はドーパン
ト濃度、ρb:目標の比抵抗値或はドーパント濃度であ
る。
【0014】また、メルト自由表面の酸素濃度境膜層厚
を下記式で定まるδyとすれば好適である。 δy=exp{0.44704×1n(ρ)−1.0109} (ρ<0.1Ωcm) δy=0.13 (ρ≧0.1Ωcm) ρは結晶の比抵抗である。
【0015】石英製板状部材でメルトの自由表面を部分
的に被覆すると、さらに好適である。
【0016】
【作用】CZ法によるシリコン結晶引上げにおける、酸
素の保存式は(1)式のように表わされる。 dQ/dt=As(t)・D{Cs(t)−Cm(t)}/δx −Aa(t)・D{Cm(t)−Ca(t)}/δy −Ac(t)・Keff・Cm(t)・Vg(t) …(1) Q:メルト中の酸素量 As(t):ルツボ
−メルトの接触面積 Ac(t):結晶−メルトの接触面積 Aa(t):
メルトの自由表面積 Cs(t):ルツボ壁部の酸素濃度 Cm(t):
メルト中の酸素濃度 δx:ルツボ壁部の濃度境膜層厚 δy:自由表
面の濃度境膜層厚 D:酸素の拡散定数 Keff:実行偏析係数 V
g(t):引上速度 本発明者らは、(1)式を非定常のまま解き、引上実験
を行ない、解析した結果、CZ法により引き上げた結晶
の酸素濃度を予測するモデルの作成に成功した(特願平
3−346259号公報)。
【0017】本発明者らは、この酸素濃度予測モデル
を、アンチモンを多量にドープした場合の引上に適応
し、解析を行なった。従来技術の問題点でも説明したよ
うに、アンチモンを多量にドープした場合、メルト自由
表面からの酸素の蒸発が促進され、その結果として、結
晶中の酸素濃度が低くなる。従って、(1)式において
δy(メルト自由表面の濃度境膜層厚)を通常の場合よ
り薄くすれば、メルト自由表面からの酸素の蒸発が促進
される効果を考慮することができる。そこで、実際の引
上げで、アンチモンのドープ量により結晶中の酸素濃度
がどのように変化するかを調べておき、この結果に合う
ように、酸素濃度予測モデルを用いてδy(メルト自由
表面の濃度境膜層厚)を求めた。以下にその手順を説明
する。
【0018】図2は、実際に結晶を引上げて得られた、
アンチモンのドープ量と、結晶中の酸素濃度との関係で
ある。アンチモンのドープ量は、結晶の比抵抗で代用し
ている。図2より、比抵抗が0.1Ωcm以下になる
と、結晶中の酸素濃度が低くなることが分かる。つま
り、アンチモンのドープ量が増え、比抵抗が低くなるほ
ど酸素濃度も低くなっている事が示されている。
【0019】図3は、図2に示した結果を基に、酸素濃
度予測モデルを用いてδy(メルト自由表面の濃度境膜
層厚)を求めた結果である。ただし、比抵抗が0.1Ω
cm以上の領域では、比抵抗による酸素濃度の変化はな
かったので、図3には0.1Ωcm以下の領域のみを示
した。図3の結果を直線で近似した結果、δy(メルト
自由表面の濃度境膜層厚)は(2)式のように、比抵抗
の関数で表現できることが分かった。図3に示した直線
は、(2)式を用いて計算した結果である。
【0020】 δy(ρb)=δy(ρ)、δy(ρa)=δy(0.1) δy=exp{0.44704×1n(ρ)−1.0109} ρ<0.1Ωcm δy=0.13 ρ≧0.1Ωcm …(2) 次に、アンチモンを多量にドープすることにより促進さ
れる酸素の蒸発の効果を打ち消すために、メルトの自由
表面積をどれぐらい減らせばよいか、解析した結果を説
明する。
【0021】メルトの自由表面積を減らすには、メルト
の自由表面を何らかの部材で被覆してやればよい。この
時、減少させるべきメルトの自由表面積は、アンチモン
のドープにより促進された酸素蒸発量に対応することに
なる。一方、本発明に於いては、その目的が酸素濃度の
低下を抑制することであるから、メルトの自由表面を被
覆する部材は、石英を用いることが望ましい。その理由
は、メルトの自由表面を被覆した石英部材からもメルト
中に酸素が溶出し、酸素濃度低下の抑制がより効果的に
行なえるからである。従って、石英部材を用いて、メル
トの自由表面を被覆する場合、メルトの自由表面を被覆
する面積は、石英部材からの溶出分だけ少なくてもよい
ことになる。
【0022】以上より、メルトの自由表面を被覆する面
積は、被覆する部材からの酸素溶出がある場合に最小
で、被覆する部材からの酸素溶出がない場合に最大にな
ることが分かる。よって、この範囲でメルトの自由表面
を被覆する面積を決定すれば、酸素濃度の低下抑制効果
が得られることになる。以下に、被覆する部材からの酸
素溶出がない場合について具体的な、面積の決定方法を
説明する。
【0023】(1)式において、定常状態を仮定すると
dQ/dt=0、また雰囲気ガス中の酸素濃度は0と考
えてよく、実行偏析係数はほぼ1であることが分かって
いるので、Ca(t)=0、Keff=1とすると、 As(t)・D{Cs(t)−Cm(t)}/δx −Aa(t)・D・Cm(t)/δy −Ac(t)・Cm(t)・Vg(t)=0 …(3) よって、 Aa(t)・D・Cm(t)/δy =As(t)・D{Cs(t)−Cm(t)}/δx −Ac(t)・Cm(t)・Vg(t) Aa(t) =As(t){Cs(t)−Cm(t)}δy/{δx・Cm(t)} −Ac(t)・Vg(t)・δy/D となる。
【0024】ここで、Aa(t)は、目標とする酸素濃
度を達成するために必要な、メルトの自由表面積を現し
ている。従って、酸素の蒸発が通常の場合(アンチモン
ドープで、比抵抗が0.1Ωcm以上の場合)に必要な
メルトの自由表面積Aa(t)と、酸素の蒸発が促進さ
れた場合(アンチモンドープで、比抵抗が0.1Ωcm
以下の場合)に必要とされるメルトの自由表面積との差
が、被覆すべき面積となる。
【0025】よって、メルトの自由表面を被覆する面積
をSmaxとすると、Smaxは(4)式のように現さ
れる。
【0026】
【数3】
【0027】また(3)式より、 As(t)・D・Cs(t)/δx =As(t)・D・Cm(t)/δx+Aa(t)・D・Cm(t)/δy +Ac(t)・Cm(t)・Vg(t) よって、 Cs(t) =Cm(t)+δx・Aa(t)・Cm(t)/(δy・As(t)+δx ・Ac(t)・Cm(t)・Vg(t)/(D・As(t)) …(5) よって、 {Cs(t)}−Cm(t)/Cm(t) =1+δx・Aa(t)/(δy・As(t)) +δx・Ac(t)・Vg(t)/(D・As(t))−1 =δx・Aa(t)/(δy・As(t)) +δx・Ac(t)・Vg(t)/(D・As(t)) …(6) (6)式を(4)式に代入して、 Smax ={(As(t)/δx)・(δx・Aa(t)/(δy(0.1) ・As(t)) +δx・Ac(t)・Vg(t)/(D・As(t)) −Ac(t)・Vg(t)/D}・δy(0.1)−δy(ρ)} =(As(t)/δy(0.1)+Ac(t)・Vg(t)/D) −Ac(t)・Vg(t)/D)・{δy(0.1) −δy(ρ)} ={δy(0.1)−δy(ρ)}・Aa(t)/δy(0.1) …(7) 従って、被覆する部材からの酸素溶出がない場合は、
(7)式によりメルトの自由表面を被覆する面積を決定
することができる。
【0028】次に、被覆する部材から酸素溶出がある場
合について具体的な、面積の決定方法を説明する。メル
トの自由表面を被覆する面積をSminとすると、メル
トの自由表面積Aa(t)は、Sminだけ少なくな
る。また、被覆する部材から酸素溶出が起こるのである
から、ルツボ−メルトの接触面積As(t)は、Smi
nだけ多くなる。さらに、被覆する部材の壁部に生じる
酸素濃度境膜層厚をδxrとすると、(3)式は次の様
に現すことができる。
【0029】
【数4】
【0030】(8)式右辺の第1項をa1とし、上記の
関係を用いて変形すると、
【0031】
【数5】
【0032】(8)式右辺の第2項をa2とし、上記の
関係を用いて変形すると、
【0033】
【数6】
【0034】(8)式右辺の第3項をa3とし、上記の
関係を用いて変形すると、
【0035】
【数7】
【0036】a1、a2、a3を(8)式に代入する
と、次式が得られる。
【0037】
【数8】
【0038】従って、被覆する部材からの酸素溶出があ
る場合は、(9)、(10)式によりメルトの自由表面
を覆う面積を決定できる。引上げを行なう際には、
(9)、(10)式により決定される面積Sminを下
限とし、(7)式により決定される面積Smaxを上限
とする範囲内で、メルトの自由表面を被覆する。
【0039】メルトの自由表面を被覆する部材の形状
は、上記SminからSmaxの範囲内のメルトの自由
表面を覆えるものであれば、どのような形状でも構わな
い。従来技術においては、中央に孔を有する板状の部材
が用いられているが、問題点として指摘したように、熱
対流が妨げられることにより、結晶成長が不安定にな
る。従って、例えば、図1に示したように、楕円状の板
を間隔を開けて設置することが望ましい。このようにす
ることにより、ルツボ壁から結晶成長界面への熱対流が
隙間を通して生じるので、結晶成長が不安定になること
を防げる。
【0040】本発明の要点は、本発明によって定まる所
定の面積だけメルトの自由表面を被覆することである。
従って、メルトの自由表面を覆う部材の形状は、特定の
形状に限定するものではない。もちろん、従来技術の中
央に孔を有する板状の形状も排除するものではない。メ
ルトの自由表面を被覆する部材の材質は、酸素濃度の低
下を抑制する目的からは、石英が望ましい。しかし、石
英の部材は、シリコンの融点温度においては軟化するう
えに溶損もある。そのため、寿命が短く複数回の引上げ
に使用できないという問題がある。従って、溶損が少な
いボロンナイトライド、或は、石英に窒化硅素をコーテ
ィングしたもの等を用いてもよい。
【0041】本発明においては、メルトの自由表面を被
覆する部材から酸素の溶出がない場合も考慮して、メル
トの自由表面を被覆する面積を算出している。従って、
酸素の溶出が起こらない部材を用いる場合、本発明で定
まる面積範囲の内でできるだけ広い面積を選定すればよ
い。メルトの自由表面を被覆する部材の材質についても
特に限定はない。
【0042】
【実施例】6インチ径、アンチモンドープのインゴット
の引上げに対して、本発明を適応した例を説明する。比
抵抗の目標値は0.03Ωcm以下、結晶の直径157
mm、使用するルツボの直径400mm、引上げ開始時
の原料重量を40kgとして(7)、(9)、(10)
式によりメルトの自由表面を被覆する面積を求めた。
【0043】(7)、(9)、(10)式の計算におい
て、δyは比抵抗の関数として、(2)式を用いて計算
した。酸素の拡散定数Dは、5×10-2mm2 /sec
を用いた。メルトの自由表面積Aa(t)およびルツボ
−メルトの接触面積As(t)は、ルツボを円筒状と仮
定して(実際は、ルツボの底に曲率がある)計算した。
引上げ速度Vg(t)は、60mm/Hr.一定とし
た。メルトを被覆する部材の壁部に生じる酸素濃度境膜
層厚δxrは以下のように決定した。
【0044】回転している物体の壁部に生じる濃度境膜
層厚は、回転数の−1/2乗に比例することが一般に知
られている。CZ法における結晶引上げでは、ルツボを
回転させるが、ルツボと共にメルトもほぼ同じ速度で回
転するため、ルツボとメルトとの相対的な回転数は、ル
ツボの回転数よりずっと遅い。一方、メルトを覆う部材
を固定して使用した場合、メルトはルツボ回転数とほぼ
等しい速度で回転しているため、メルトを覆う部材とメ
ルトとの相対的な速度は、ルツボの回転数とほぼ等しい
と考えられる。そこで、ルツボの回転数を9rpmと
し、ルツボとメルトとの相対的な回転数が1rpm程度
考えると、ルツボ壁部の酸素濃度境膜層厚δxと、メル
トを被覆する部材の壁部に生じる酸素濃度境膜層厚δx
rとの関係は次のようになる。
【0045】δxr=9-1/2・δx=δx/3 以上の条件のもとに、面積を計算した結果、(7)式よ
り、 Smax=417cm2 (10)式より、 Smin=244cm2 を得た。
【0046】従って、244cm2 〜417cm2 の範
囲で、メルトの自由表面を被覆すればよいことが分かっ
た。本実施例においては、石英製の部材でメルトの自由
表面を被覆したので、被覆する面積は上記範囲内で少な
くてよいと考え、1枚の面積が61cm2 の楕円状の板
を4枚メルトの自由表面上に設置した。
【0047】楕円状の板部材4は、図1に示したよう
に、ルツボ1の外側から保持アーム5を介して固定して
おき、原料のシリコン溶解後、メルト2の自由表面に接
するようにルツボ1の位置を調節した。以上のように、
メルトの自由表面を被覆することによって、アンチモン
を多量にドープした場合でも酸素の蒸発促進効果が抑制
され、通常の引上げと同様の酸素濃度制御が可能とな
る。そこで、本実施例においては、結晶の酸素濃度目標
値を30ppma(old ASTM)として引上げを
実施した。
【0048】比較のため、同一の引上げ条件で、メルト
の自由表面を被覆しない通常の引上げと、メルトの自由
表面を中央に孔を有する板状の部材で被覆する引上げも
実施した。中央に孔を有する板状の部材を用いる方法は
いくつか従来技術があるが、板状部材の寸法が明示され
ているものは少ない。本実施例では、特開昭61−14
6788号公報に示されている寸法を参考にした。特開
昭61−146788号公報には、『中央の孔は、育成
しようとする結晶径の1.5〜2.0倍の直径を有して
いる。』と記載されている。また、特開昭61−146
788号公報の図1、図2から、中央に孔を有する板状
の部材の外周が、石英ルツボに接していることが分か
る。従って、本実施例のように、直径157mmの結晶
を、直径400mmのルツボを用いて引き上げる場合に
は、板状部材の外径は400mm、孔の直径は235.
5〜314mmとなる。よって、メルトの自由表面を被
覆する面積は482〜821cm2 の範囲となる。この
範囲は、本発明により求まった範囲244〜417cm
2 より広く、酸素の蒸発を抑制する効果が強すぎること
が予想されたので、面積は上記範囲で一番狭い482c
2 となるようにした。つまり、孔の直径は314mm
とした。
【0049】図4に、上記3方法(本発明方法、メルト
の自由表面を被覆しない通常の方法およびメルトの自由
表面を従来技術で被覆する方法)の引上げ得られた結晶
の酸素濃度の比較を示した。図4より、メルトの自由表
面を覆うことで、結晶の酸素濃度を高くできることが分
かる。しかし、メルトの自由表面を覆った引上げでも、
従来技術では酸素濃度が高くなり過ぎ、目標どおりの酸
素濃度が得られないことが分かる。
【0050】また、楕円状の部材を用いた場合の方が、
中央に孔に有する板状の部材を用いた場合より、酸素濃
度が安定していることが分かる。図5は、メルトの自由
表面を覆った引上げについて、結晶の直径変動を比較し
た図である。図5(a)は本発明、図5(b)は従来例
を示す。図5でも、楕円状の部材を用いた場合の方が、
中央に孔を有する板状の部材を用いた場合より、直径が
安定していることが分かる。
【0051】この原因は、楕円状の部材を用いた場合
は、楕円状の部材の隙間を通して、ルツボ壁部と結晶成
長部との間で対流が起こるのに対し、中央に孔を有する
板状の部材を用いた場合は、対流が妨げられるために、
ルツボ壁部と結晶成長部との間に大きな温度差がついた
場合にのみ対流が起こるようになるためと考えられる。
以上のように、結晶の比抵抗が0.1Ωcm以下の、ア
ンチモンを多量にドープした結晶であっても、本発明に
より、酸素濃度が25ppma以上の結晶を引き上げる
ことが可能となった。このような酸素濃度の高い結晶
は、熱処理の課程で酸素析出物を形成することが可能
で、酸素濃度が低い結晶に比べて、不純物による汚染の
影響を受けにくい優れた特長を有している。
【0052】本実施例では、アンチモンをドープした場
合を例に説明を行ったが、本発明は、アンチモンに限ら
ず、ドープする事で酸素の蒸発が促進される場合には全
て適応可能である。具体的には、(2)式に示した関係
を実験により求めれば、本発明が適応できる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、ド
ーパントを多量にドープする事で、酸素の蒸発が促進さ
れる場合に、酸素の蒸発を抑制するために覆わねばなら
ないメルトの自由表面積が計算できるようになった。そ
の結果、例えばアンチモンドープの結晶で、比抵抗が
0.1Ωcm以下で、かつ酸素濃度が25ppma以上
の結晶の育成が可能となった。
【0054】また、メルトの自由表面を覆う面積を計算
できるようになったことから、メルトの自由表面を覆う
部材の形状は、安定した結晶成長が可能な様に自由に選
定できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を好適に実施できる装置の楕円状部材の
配置図である。
【図2】アンチモンドープの場合の比抵抗と酸素濃度と
の関係グラフである。
【図3】比抵抗とメルトの自由表面の酸素濃度境膜層厚
との関係グラフである。
【図4】本発明の作用効果を示し、従来技術との結晶中
の酸素濃度を比較したグラフである。
【図5】本発明の作用効果を示し、製造された結晶の直
径測定結果を示すグラフであり、図5(a)は本発明、
図5(b)は従来例を示す。
【図6】酸素の移動を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ルツボ 2 メルト 3 結晶 4 部材 5 保持アーム

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトの自由表面を部分的に被覆してド
    ーピングによる酸素の蒸発を抑制し結晶中の酸素濃度を
    制御するCZ法によるシリコン結晶引上方法において、 該被覆する面積を下記式で定まる面積Sminおよび面
    積Smaxの範囲内とすることを特徴とする結晶引上方
    法。 【数1】 ここに、As(t):ルツボ−メルトの接触面積、Ac
    (t):結晶−メルトの接触面積、Aa(t):、メル
    トの自由表面積、δx:ルツボ壁部の酸素濃度境膜層
    厚、δxr:被覆する部材の壁部の酸素濃度境膜厚、δ
    y:自由表面の酸素濃度境膜層厚、D:酸素の拡散定
    数、Vg(t):引上速度、ρa:通常の引上げで目標
    の酸素濃度が得られる比抵抗値或はドーパント濃度、ρ
    b:目標の比抵抗値或はドーパント濃度である。
  2. 【請求項2】 該メルト自由表面の酸素濃度境膜層厚を
    下記式で定まるδyとする請求項1記載の結晶引上方
    法。 δy=exp{0.44704×1n(ρ)−1.0109} (ρ<0.1Ωcm) δy=0.13 (ρ≧0.1Ωcm) ここに、ρは結晶の比抵抗である。
  3. 【請求項3】 石英製板状部材で該メルトの自由表面を
    部分的に被覆する請求項1または2記載の結晶引上方
    法。
JP10544893A 1993-05-06 1993-05-06 結晶引上方法 Withdrawn JPH06316481A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10544893A JPH06316481A (ja) 1993-05-06 1993-05-06 結晶引上方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10544893A JPH06316481A (ja) 1993-05-06 1993-05-06 結晶引上方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06316481A true JPH06316481A (ja) 1994-11-15

Family

ID=14407877

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10544893A Withdrawn JPH06316481A (ja) 1993-05-06 1993-05-06 結晶引上方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06316481A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07330484A (ja) * 1994-06-03 1995-12-19 Nippon Steel Corp シリコン単結晶の引上げ装置および製造方法
EP1734157A1 (en) * 2005-06-15 2006-12-20 Siltronic AG Production process of silicon single crystal
JP2015160800A (ja) * 2014-02-28 2015-09-07 信越半導体株式会社 半導体単結晶の製造方法及びシリコン単結晶

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07330484A (ja) * 1994-06-03 1995-12-19 Nippon Steel Corp シリコン単結晶の引上げ装置および製造方法
EP1734157A1 (en) * 2005-06-15 2006-12-20 Siltronic AG Production process of silicon single crystal
JP2015160800A (ja) * 2014-02-28 2015-09-07 信越半導体株式会社 半導体単結晶の製造方法及びシリコン単結晶

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5118386B2 (ja) 単結晶の製造方法
KR100986903B1 (ko) 결정 성장 공정에서의 액체 실리콘의 전자기 펌핑
US5129986A (en) Method for controlling specific resistance of single crystal and an apparatus therefor
US20100206219A1 (en) Method and apparatus for controlling diameter of a silicon crystal ingot in a growth process
WO2001063027A1 (fr) Procede de preparation d'un monocristal de silicium et monocristal de silicium obtenu
US6203611B1 (en) Method of controlling growth of a semiconductor crystal to automatically transition from taper growth to target diameter growth
JPH0431386A (ja) 半導体単結晶引上方法
US6086671A (en) Method for growing a silicon single crystal
JPH1029894A (ja) 単結晶シリコンの比抵抗調整方法および単結晶シリコン製造装置
JPH06316481A (ja) 結晶引上方法
JP4184725B2 (ja) 単結晶半導体の製造方法、単結晶半導体の製造装置
JPH04317493A (ja) シリコン単結晶の製造装置
JP4758338B2 (ja) 単結晶半導体の製造方法
JPH03164495A (ja) アンチモンドープ単結晶シリコンの育成方法
EP0319858B1 (en) Method of controlling floating zone
JP2978607B2 (ja) シリコン単結晶の製造方法
US5700320A (en) Growth of silicon single crystal having uniform impurity distribution along lengthwise or radial direction
JP4063904B2 (ja) 半導体単結晶の引き上げ方法
JPH08751B2 (ja) るつぼを含まないゾーン引張り法による酸素含有量の高いケイ素インゴットの製造方法
JP2787042B2 (ja) 単結晶引き上げ方法
JP2783049B2 (ja) 単結晶シリコン棒の製造方法及び製造装置
JP4310980B2 (ja) シリコン単結晶の引上げ方法
JPS6054994A (ja) 化合物半導体結晶の製造方法
JPH06172080A (ja) 単結晶の引上方法
JPH1150217A (ja) 連続溶融金属めっき浴のドロス生成防止方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000801