JPH06312618A - 車両用空調装置の目標吹出温度演算方式 - Google Patents

車両用空調装置の目標吹出温度演算方式

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JPH06312618A
JPH06312618A JP12531793A JP12531793A JPH06312618A JP H06312618 A JPH06312618 A JP H06312618A JP 12531793 A JP12531793 A JP 12531793A JP 12531793 A JP12531793 A JP 12531793A JP H06312618 A JPH06312618 A JP H06312618A
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護 政氏
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明彦 高野
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恭一 藤森
Yoko Sasaki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両用空調装置において、乗員身体の局所的
な不快感を解消し、全身にわたって快適感を与え得る目
標吹出温度演算方式を提供する。 【構成】 まず、乗員身体のうち吹出風の影響を直接受
けない部位の体感温度を示す室内等価温度T
eq-room と、吹出風の影響を直接受ける身体部位の体感
温度を示す吹出風等価温度Teq-airとが演算される。次
に、PI演算部101、103、105、107によっ
て、目標等価温度Teq-refと室内等価温度Teq-room
の偏差に基づいて基礎的な目標吹出温度Tair-ref が演
算される。また、許容範囲決定部111により、車体外
壁温度Tb-out に基づいて吹出風等価温度Teq -airの許
容範囲が決定される。そして、判定部109により、吹
出風等価温度Teq-airがその許容範囲から逸脱しないよ
う、基礎的な目標吹出温度Tair-ref がに必要な修正が
行われて最終的な目標吹出温度T*air-ref とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用空気調和装置に
おける各種部分の制御の基礎量として用いられる目標吹
出風温度の演算方式に関する。
【0002】
【従来の技術】ある温熱環境において人間が体感する温
度は、気温、輻射熱、気流速、着衣量などの環境要素の
関数として表現することができる。車両用空調装置で
は、車内外に設けた各種のセンサによって、乗員をとり
まく上記のような環境要素を検出し、それら要素の関数
として乗員が体感するであろう温度、つまり、等価温度
を算出し、これに基づいて吹き出し風の目標温度、つま
り目標吹出温度を演算している。
【0003】この種の従来の演算方式として、例えば、
特開昭59ー140117号が知られている。この従来
の方式は、等価温度として乗員の身体の各部の体感温度
の平均値を演算し、この平均値に基づいて目標吹出温度
を決定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来の方式の一つ
の問題は、乗員の体感温度が身体の部位により大きく異
なるため、それらの平均値を制御の基礎にすることには
無理がある点である。すなわち、一般に車両内の温度分
布は、住宅などに比較してかなり大きい。しかも、乗員
身体と風吹き出し口とが接近しているため、吹出風の影
響を直接受ける身体部位と受けない部位との間の体感温
度の差が大変に大きい。こうした事情から、従来のよう
に体感温度の平均値に基づいて吹出風を制御した場合、
特に制御の過渡時には、局所的な不快感を感じることが
少なくない。
【0005】従って、本発明の目的は、車両用空調装置
において、乗員身体の局所的な不快感を解消し、全身に
わたって快適感を与え得る目標吹出温度演算方式を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目標吹出温度演
算方式は、乗員身体のうち吹出風の影響を直接受けない
部位の体感温度を示す第1の等価温度を演算する手段
と、吹出風の影響を直接受ける身体部位の体感温度を示
す第2の等価温度を演算する手段と、第1の等価温度に
基づいて基礎的な目標吹出温度を演算する手段と、第2
の等価温度が所定の許容範囲に入るよう、前記基礎的な
目標吹出温度に必要な修正を行って最終的な目標吹出温
度とする手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
【作用】上記構成によれば、吹出風の影響を直接受ける
身体部位の体感温度が所定の許容範囲を逸脱しないよう
に目標吹出温度が修正される。そのため、特に制御の過
渡時において従来あったような、吹出風の影響を直接受
ける身体部位の局所的な不快感が抑制される。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例
を説明する。
【0009】図1は、本発明の吹出風制御方式が適用さ
れる車両用空調装置の一実施例の全体構造を示すブロッ
ク図である。
【0010】同図において、エアダクト1には、その上
流から下流へ向って、内気及び外気の吸入口3,5とブ
ロアファン7と、エバポレータ9と、ヒータ11と、D
EF、VENT及びFOOTの吹出口13,15,17
とが順に設けられる。内気及び外気の吸入口3,5は、
アクチュータ19により駆動されるインテークドア21
によっていずれか一方が開かれて、内気及び外気を選択
的に吸入する。エバポレータ9はコンプレッサ23及び
コンデンサ25と共に冷房サイクルを構成し、ブロアフ
ァン7から送られて来る風を冷却する。ヒータ11はラ
ジエータ29とエンジン31を循環する冷却水の一部を
供給されて、エバポレータ9からの冷風の一部を加熱す
る。ヒータ11の風入口にはアクチュエータ33により
駆動されるミクスドア35があり、その開度によって吹
出風の温度が調節される。3つの吹出口13,15,1
7にはそれぞれアクチュエータ37により駆動される吹
出モードドア39,41,43があり、それらドアの開
閉によって吹出モードが選択される。
【0011】上述した各種ドアのアクチュエータ19,
33,37及びブロアファン7を駆動するブロアモータ
45は、コントローラ51の制御下におかれる。このコ
ントローラ51は、室温設定器53、室温センサ65、
日射量センサ55、外気温センサ57、VENT吹出温
センサ59、FOOT吹出温センサ61及びミクスドア
開度センサ63からの信号を入力して、後述するような
演算を行ない、その結果に応じてドアアクチュエータ1
9,33,37及びブロアモータ45の駆動を制御す
る。この制御の動作には、目標吹出温度Tair-ref の演
算が含まれており、この演算に本発明が具現化されてい
る。
【0012】図2は、このコントローラ51の機能構成
を示すブロック図である。
【0013】同図に示すように、コントローラ51は、
等価温度演算部67、目標吹出温度演算部69、実吹出
温度演算部71、ブロアモータ駆動部73、ミクスドア
駆動部75、モードドア駆動部77、及びインテークド
ア駆動部79を含む。
【0014】等価温度演算部67は、室温センサ65か
らの室温Tinc 、外気温センサ57からの外気温Tamb
及び日射量センサ55からの日射量Qsnを入力して等価
温度を演算する。ここで等価温度とは、気温、気流速、
輻射温度、着衣量などを考慮した、乗員の体感するであ
ろう温度を表すものである。
【0015】この実施例では、等価温度として2種類の
温度、つまり、乗員の体の中で直接吹出風の影響を受け
ない部位の等価温度と、直接吹出風の影響を受ける部位
の等価温度とを求める。以下、前者を室内等価温度T
eq-room と呼び、後者を吹出風等価温度Teq-airと呼ぶ
こととする。
【0016】演算された室内等価温度Teq-room は室温
設定器53からの目標室温Teq-refと比較され、その偏
差ΔTeqが目標吹出温度演算部69に入力される。
【0017】目標吹出温度演算部69は、上記等価温度
偏差ΔTeqと、室温センサ65からの室温Tinc と、外
気温センサ57からの外気温Tamb と、日射量センサ5
5からの日射量Qsnと、等価温度演算部67からの室内
等価温度Teq-room と吹出風等価温度Teq-airとを入力
して、後述するような演算を行ない、目標モータ電圧V
a-ref と、目標吹出温度Tair-ref とを出力する。
【0018】演算された目標モータ電圧Va-ref はブロ
アモータ駆動部73へ入力され、その値に応じてブロア
モータ45の回転数つまり吹出風量が制御される。
【0019】また、目標吹出温度Tair-ref はミクスド
アアクチェエータ駆動部75、モードドアアクチュエー
タ駆動部77及びインテークドアアクチュエータ駆動部
79へ入力され、それぞれのドアアクチュエータ33,
37,19の制御に利用される。
【0020】実吹出温度演算部71は、VENT吹出温
センサ59からのVENT吹出温Tventと、FOOT吹
出温センサ61からのFOOT吹出温Tfootとを入力し
て、吹出モードに応じた実吹出温度Tair-act を演算す
る。この実吹出温度Tair-ac t はミクスドアアクチェエ
ータ駆動部75へ入力される。
【0021】ミクスドアアクチェエータ駆動部75は、
目標吹出温度演算部69からの目標吹出温度Tair-ref
と、実吹出温度演算部71からの実吹出温度Tair-act
と、を入力して目標ミクスドア開度を演算し、この目標
ミクスドア開度とミクスドア開度センサ63からの実ミ
クスドア開度PBRact との偏差に応じてミクスドアア
クチェエータ33を駆動する。
【0022】図3は、このコントローラ51の全体動作
の流れを示す。
【0023】コントローラ51は、まず、各種センサや
設定器からの信号を入力しこれをAD変換する(S
1)。次に、このAD変換によって得たデータに対し、
スケーリングや各種前処理を施して、後続する処理に適
したデータに変換する(S2)。
【0024】次に、これらのデータに基づいて各種温度
の演算を行なう(S3)。ここで演算される温度には、
車体内壁温度Tb 、車体外壁温度Tb-out 、乗員に対す
る平均輻射温Trad 、前述した2種類の等価温度つまり
室内等価温度Teq-room と吹出風等価温度Teq-ref、並
びに実吹出温度Tair-act がある。
【0025】続いて、以上のステップより得たデータを
用いて後述するような演算を行ない、目標モータ電圧V
a-ref と目標吹出温度Tair-ref とを求める(S4)。
【0026】そして、この目標モータ電圧Va-ref に基
づいてブロアファンの回転数を制御し(S6)、また目
標吹出温度Tair-ref に基づいてミクスドア、モードド
ア及びインテークドアの制御を行なう(S5,S7,S
8)。
【0027】以上、説明した全体的な構成及び動作にお
いて、本発明と直接関係する部分は、2つの等価温度T
eq-room とTeq-refを演算し、これに基づき目標吹出温
度Tair-ref を演算する部分である。以下、この部分を
中心に更に詳細な説明を行なう。
【0028】図4は、図3のフロー中の各種温度演算ス
テップS3における、目標吹出温度の決定に必要な温度
の演算を示したものである。
【0029】まず、車体内壁温度Tb 及び車体外壁温度
b-out を次の微分方程式に従って演算する。
【0030】
【数1】 尚、この車体内外壁温度Tb ,Tb-1 は風量制御のため
のモータ電圧演算にも利用される。
【0031】次に、今求めた車体内壁温度Tb と日射量
snとに基づいて、下式に従い、乗員に対する平均輻射
温Trad を求める(S32)。
【0032】
【数2】 ここに、K1,K2=所定の定数 続いて、下式に従い、室内等価温度Teq-room 及び吹出
風等価温度Teq-airを求める(S33)。
【0033】
【数3】 尚、着衣熱抵抗Ic は、図5のようなマップに従って、
外気温Tamb に応じて決定される。
【0034】このようにして、2種類の等価温度T
eq-room とTeq-airとが求められると、次に、目標吹出
温度の演算に移る。
【0035】図6は、この演算のための機能構成を示す
ものであり、図7は、この演算の処理流れを示すもので
ある。
【0036】図6における演算要素101,103,1
05,107つまり、図7における処理ステップS41
では、まず、乗員の設定した目標体感温度Teq-ref
ら、先程演算した室内等価温度Teq-room が差し引かれ
て等価温度偏差ΔTeqが演算され、次に、この等価温度
偏差ΔTeqから次式に従うPI演算によって基礎的な目
標吹出温度Tair-ref が求められる。
【0037】
【数4】 ここに、kp,Ti =定数 次に、図6の許容範囲決定部111、つまり図7の処理
ステップS42において、吹出風等価温度Teq-airの上
下限値Teq-air-UL 及びTeq-air-LL が、車体外壁温度
b-out に基づいて、例えば図7に示すようなマップに
従って決定される。このマップの上下限値Teq-air-UL
及びTeq-air-LL は、その範囲内に吹出風等価温度T
eq-ai が入っていれば、吹出風の影響を直接受ける身体
部位に局所的な不快感を与える虞が無いであろうと予測
される温度範囲を示したものである。
【0038】続いて、図6の判定部109、つまり図7
の処理ステップS43において、この上下限値T
eq-air-UL 及びTeq-air-LL に基づいて次式により目標
吹出温度の許容範囲が演算される。
【0039】
【数5】 ここに、UL=許容範囲の上限温度 LL=許容範囲の下限温度 K1=定数 次に、図6の判定部、つまり図7の処理ステップS44
において、処理ステップS41で求めた基礎的な目標吹
出温度Tair-ref と処理ステップS43で求めた許容範
囲の上下限値UL,LLとが比較される。その結果、基
礎的目標吹出温度Tair-ref が許容範囲内に入っていれ
ば、基礎的目標吹出温度Tair-ref がそのまま最終的な
目標吹出温度T*air-ref とされる。また、基礎的目標
吹出温度Tair-ref がその許容範囲を逸脱していれば、
許容範囲の逸脱した側の限度値UL又はLLが最終的な
目標吹出温度T*air-ref とされる。
【0040】以上のように、この実施例では、吹出風の
影響を直接受けない身体部位の体感温度(室内等価温
度)に基づいて基礎的な目標吹出温度Tair-ref を決定
した上で、吹出風の影響を直接受ける身体部位の体感温
度(吹出風等価温度)も考慮に入れて、この吹出風等価
温度が車体外壁温度に応じて定めた許容範囲内に入るか
否かをチェックし、許容範囲内に入らない場合には、入
るように基礎的目標吹出温度Tair-ref を修正して最終
的な目標吹出温度T*air-ref とするようにしている。
そのため、制御の過渡時のように吹出風量が多いときで
も、吹出風の影響を直接受ける身体部位に局所的な不快
感を与えるということがなくなる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
乗員の体感温度として、吹出風の影響を直接受ける身体
部位の体感温度と受けない部位の体感温度との2種類の
等価温度を求め、後者の等価温度に基づいて目標吹出温
度を一応決定した上で、前者の等価温度が適当な許容範
囲から逸脱しないように目標吹出温度を修正しているた
め、乗員の身体各部における局所的不快感をなくすこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の目標吹出温度演算方式が適用される車
両用空調装置の一実施例の全体構造を示すブロック図。
【図2】コントローラの機能構成を示すブロック図。
【図3】コントローラの動作の全体的処理流れを示すフ
ローチャート。
【図4】コントローラの等価温度演算のための処理流れ
を示すフローチャート。
【図5】等価温度演算に使用する着衣量決定のためのマ
ップを示す図。
【図6】コントローラの目標吹出温度演算のための機能
を示すブロック図。
【図7】コントローラの目標吹出温度演算のための処理
流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
51 コントローラ 67 等価温度演算部 69 目標吹出温度演算部 109 判定部 111 許容範囲決定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 陽子 埼玉県東松山市箭弓町3丁目13番26号 株 式会社ゼクセル東松山工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両用空調装置の目標吹出温度演算方式
    において、 乗員身体のうち吹出風の影響を直接受けない部位の体感
    温度を示す第1の等価温度を演算する手段と、 乗員身体のうち吹出風の影響を直接受ける部位の体感温
    度を示す第2の等価温度を演算する手段と、 第1の等価温度に基づいて基礎的な目標吹出温度を演算
    する手段と、 第2の等価温度が所定の許容範囲に入るよう、前記基礎
    的な目標吹出温度に必要な修正を行って最終的な目標吹
    出温度とする手段とを備えることを特徴とする目標吹出
    温度演算方式。
JP12531793A 1993-04-28 1993-04-28 車両用空調装置の目標吹出温度演算方式 Expired - Fee Related JP3208692B2 (ja)

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