JPH0631176Y2 - エンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、例えば、２つの吸気ポートに対して燃料を
噴射する２つの噴孔を備えたようなエンジンの燃料噴射
装置に関する。

（従来技術） 従来、上述例の２噴孔インジェクタを備えたエンジンの
燃料噴射装置としては、例えば、実開昭５９−５６９号
公報に記載の装置がある。

すなわち、第１および第２の各吸気ポートを上流側で合
流させ、この合流部に燃料噴射弁を配設し、該燃料噴射
弁は上述の各吸気ポートにそれぞれ対向した第１および
第２の各噴孔を有し、これら各噴孔から対向するそれぞ
れの吸気ポートに燃料を噴射することで、吸気の充填効
率を向上させると同時に、混合気の霧化の促進を行なう
装置である。

しかし、上述の従来装置においては、次のような問題点
があった。

つまり、上述の燃料噴射弁は、その取付け方向が既に決
定され、この方法に基づいて取付けるための固定構造が
決められているので、２つの噴孔を備えたスリーブの方
向がおのずと定まり、したがって、予め決められた方向
に向けて上述のスリーブが圧入嵌着されている関係上、
製作誤差や取付け誤差が生じた際には、２つの噴孔の方
向性が所定の方向からずれ、この結果、燃料噴射を所定
の方向に向けて行なうことができない問題点を有してい
た。

（考案の目的） この考案は、燃料噴射弁の製作誤差や取付け誤差にかか
わらず、２つの噴孔の方向性を定めるための位置決めを
容易に行なうことができ、しかも、スリーブ部材のみで
燃料噴射弁を回転しやすく、かつ同噴射弁を固定するた
めの押圧処理により、燃料噴射弁とスリーブ部材との間
を確実にシールすることができ、このため、少ない部品
点数でありながら、燃料噴射弁の回転抵抗を軽減し、か
つ燃料噴射弁を押圧処理するだけで、同弁とスリーブ部
材とをシールして、組付性の大幅な向上を図ることがで
きるエンジンの燃料噴射装置の提供を目的とする。

（考案の構成） この考案は、第１および第２吸気ポートが上流側で合流
され、その合流部に燃料噴射弁が配設され、該燃料噴射
弁は、第１および第２吸気ポートに対し燃料を噴射する
第１および第２噴孔を備えたエンジンの燃料噴射装置で
あって、上記燃料噴射弁のノズル本体を、回動自在に収
納する上記２つの噴孔を有する円筒状のスリーブ部材を
設け、該スリーブ部材をエンジン側に形成されたスリー
ブ部材位置決め部に位置決め固定する一方、上記ノズル
本体に環状凹所を形成し、上記スリーブ部材の円筒内周
部には上記環状凹所と対応可能な環状突起を形成し、上
記環状凹所と上記環状突起との燃料噴射弁の弁軸方向に
おける位置を、上記ノズル本体先端とスリーブ部材の先
端部との距離が所定量離間している状態で、環状凹所と
環状突起が対応し、かつノズル本体先端がスリーブ部材
の先端部と当接する状態で、環状突起がノズル本体の環
状凹所より大径の外周面と対応するように設定したエン
ジンの燃料噴射装置であることを特徴とする。

（考案の効果） この考案によれば、上述のスリーブ部材はエンジン側の
スリーブ部材位置決め部に正規の方向性で固定され、上
述のスリーブ部材内部に燃料噴射弁のノズル本体が可回
動に収納されるので、たとえ該燃料噴射弁に若干の製作
誤差や取付け誤差が生じたとしても、スリーブ部材の２
つの噴孔は所定の方向に設定されているため、上述の各
誤差にかかわらず、２つの噴孔の方向性を定めるための
位置決めを容易に行なうことができる効果がある。

しかもノズル本体の先端とスリーブ部材の先端部との距
離が所定量離間している状態下（組付け中）では、環状
凹所と環状突起とが対応し、燃料噴射弁の回動抵抗が小
さく設定されるので、この燃料噴射弁が回転しやすくな
り、同弁に対して燃料噴射信号を送るワイヤハーネス等
との位置関係を適正に保つことができる。

さらに上述の燃料噴射弁を固定するための押圧処理によ
り、ノズル本体先端をスリーブ部材の先端部と当接させ
た状態下（組付完了時）では、環状突起がノズル本体の
環状凹所より大径の外周面と対応して、両者が圧接され
るので、ノズル本体とスリーブ部材との間を確実にシー
ルすることができる効果がある。

この結果、少ない部品点数でありながら、燃料噴射弁の
回転抵抗を軽減し、かつ同燃料噴射弁を押圧処理するだ
けで、同弁とスリーブ部材との間を確実にシールして、
組付性の大幅な向上を図ることができる効果がある。

（実施例） この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。

図面はエンジンの燃料噴射装置を示し、第１図、第２図
において、シリンダヘッド１に形成した第１吸気ポート
２と第２吸気ポート３とはその上流側で合流され、合流
部４が形成されている。

上述のシリンダヘッド１に吸気マニホルド５を連結し、
この吸気マニホルド５の吸気通路６を上述の合流部４に
連通させている。

また上述のシリンダヘッド１には、バルブガイド７を介
して吸気弁８を配設し、この吸気弁８で第１吸気ポート
２を適宜開閉制御すべく構成している。なお、第２吸気
ポート３も同様の吸気弁（図示せず）により開閉制御さ
れる。

ところで、前述の吸気マニホルド５の弁取付部９には、
シールリング１０、スリーブ部材１１を介して燃料噴射
弁１２を配設している。

上述の弁取付部９には、第３図に示す如く円形の取付孔
１３を形成し、この取付孔１３の相対向する２箇所には
位置決め用の凹溝１４，１４を形成している。

また前述のシールリング１０は、上述の取付孔１３と対
応するリング主体１５の外周部２箇所に、上述の凹溝１
４，１４と対応する凸部１６，１６を一体形成すると共
に、これら各凸部１６，１６の内側には凹状の位置決め
溝１７，１７を形成している。

さらに前述のスリーブ部材１１は、第３図および第４図
に示す如く、上述のシールリング１０におけるリンダ主
体１５と対応する筒部１８の外周部２箇所に、上述の位
置決め溝１７，１７と対応する突起１９，１９を一体形
成すると共に、先端部２０の中央には、前述の第１吸気
ポート２および第２吸気ポート３に対して燃料を噴射す
る第１および第２の各噴孔２１，２２を穿設し、これら
の各噴孔２１，２２をその内部の共通孔２３を介してス
リーブ部材１１の内部に連通させている。

また、このスリーブ部材１１における筒部１８の内周２
箇所には径方向内方に向けて突出する環状突起２４，２
４を一体形成している。

そして、このように形成した上述のスリーブ部材１１内
に、前述の燃料噴射弁１２のノズル本体２５を回動自在
に収納し、この燃料噴射弁１２を、シールング１０およ
びスリーブ部材１１を介してエンジン側の弁取付部９に
固定するように構成している。

ここで、上述の燃料噴射弁１２におけるノズル本体２５
の外周部には、前述の環状突起２４，２４に対応する環
状凹所２６を形成し、第４図に示す燃料噴射弁１２のス
リーブ部材１１に対する収納時に、この燃料噴射弁１２
が回転しやすい構造と成している。

すなわち、上述の環状凹所２６と上述の環状突起２４と
の燃料噴射弁１２の弁軸方向における位置は次のように
設定している。つまり、上記ノズル本体２５先端とスリ
ーブ部材１１の先端部２０との距離が所定量離間してい
る状態で、環状凹所２６と環状突起２４が対応し、かつ
ノズル本体２５先端がスリーブ部材１１の先端部２０と
当接する状態で、環状突起２４がノズル本体２５の環状
凹所２６より大径の外周面と対応するように設定してい
る。

このように構成したエンジンの燃料噴射装置の組付けに
ついて以下に説明する。

まず、吸気マニホルド５の弁取付部９における取付孔１
３に、第３図に示すシールリング１０を取付ける。この
時、該シールリング１０の凸部１６，１６を凹溝１４，
１４に対応させる。

次に、第４図に示す如く燃料噴射弁１２のノズル本体２
５における環状凹所２６に、スリーブ部材１１の環状突
起２４，２４が対応する如く、このスリーブ部材１１を
ノズル本体２５に被着する。

次に、上述のノズル本体２５に被着させたスリーブ部材
１１をエンジン側のシールリング１０に取付ける。この
時、該スリーブ部材１１の突起１９，１９を位置決め溝
１７，１７に対応させる。

このようにして上述の位置決め溝１７に突起１９を対応
させることで、スリーブ部材１１はエンジン側のスリー
ブ部材位置決め部としての位置決め溝１７で正規の方向
に向けて位置決め固定され、このスリーブ部材１１内部
に燃料噴射弁１２のノズル本体２５が可回動に収納され
るので、たとえ該燃料噴射弁１２に若干の製作誤差や取
付け誤差が生じたとしても、スリーブ部材１１の２つの
噴孔２１，２２は所定の方向に設定されているため、上
述の各誤差にかかわらず、２つの噴孔２１，２２の方向
性を定めるための位置決めを容易に行なうことができる
効果がある。

そして、第４図の状態から第５図に示す如く、燃料噴射
弁１２を、スリーブ部材１１の先端側に押圧処理する
と、ノズル本体２５とスリーブ部材１１との間の隙間は
前述の環状突起２４，２４により確実にシールされる。

以上要するに、燃料噴射弁１２を、上述のスリーブ部材
１１を介してスリーブ部材位置決め用の位置決め溝１７
に固定することで、前述の２つの噴孔２１，２２の方向
性を定めるための位置決めを容易に行なうことができる
効果がある。

しかもノズル本体２５の先端とスリーブ部材１１の先端
部２０との距離が所定量離間している状態下（組付け
中）では、環状凹所２６と環状突起２４とが対応し、燃
料噴射弁１２の回動抵抗が小さく設定されるので、この
燃料噴射弁１２が回転しやすくなり、同弁１２に対して
燃料噴射信号を送るワイヤハーネス等との位置関係を適
正に保つことができる。

さらに上述の燃料噴射弁１２を固定するための押圧処理
により、ノズル本体２５先端をスリーブ部材１１の先端
部２０と当接させた状態下（組付完了時）では、環状突
起２４がノズル本体２５の環状凹所２６より大径の外周
面と対応して、両者が圧接されるので、ノズル本体２５
とスリーブ部材１１との間を確実にシールすることがで
きる効果がある。

この結果、少ない部品点数でありながら、燃料噴射弁１
２の回転抵抗を軽減し、かつ同燃料噴射弁１２を押圧処
理するだけで、同弁１２とスリーブ部材１１との間を確
実にシールして、組付性の大幅な向上を図ることができ
る効果がある。

この考案の構成と、上述の実施例との対応において、 この考案のスリーブ部材位置決め部は、実施例の位置決
め溝１７に対応するも、 この考案は、上述の実施例の構成のみに限定されるもの
ではない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、 第１図はエンジンの燃料噴射装置を示す断面図、 第２図は燃料噴射装置の概略平面図、 第３図は要部の分解斜視図、 第４図は燃料噴射弁の取付け工程を示す断面図、 第５図は組付け完了時における燃料噴射弁取付構造を示
す断面図である。 ２……第１吸気ポート、３……第２吸気ポート １１……スリーブ部材、１２……燃料噴射弁 １７……位置決め溝、２０……先端部 ２１……第１噴孔、２２……第２噴孔 ２４……環状突起、２５……ノズル本体 ２６……環状凹所

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 大石 操 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (56)参考文献 実開 昭60−137168（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】第１および第２吸気ポート（２，３）が上
   流側で合流され、その合流部（４）に燃料噴射弁（１
   ２）が配設され、 該燃料噴射弁（１２）は、第１および第２吸気ポート
   （２，３）に対し燃料を噴射する第１および第２噴孔
   （２１，２２）を備えたエンジンの燃料噴射装置であっ
   て、 上記燃料噴射弁（１２）のノズル本体（２５）を、回動
   自在に収納する上記２つの噴孔（２１，２２）を有する
   円筒状のスリーブ部材（１１）を設け、 該スリーブ部材（１１）をエンジン側に形成されたスリ
   ーブ部材位置決め部（１７）に位置決め固定する一方、 上記ノズル本体（２５）に環状凹所（２６）を形成し、 上記スリーブ部材（１１）の円筒内周部には上記環状凹
   所（２６）と対応可能な環状突起（２４）を形成し、 上記環状凹所（２６）と上記環状突起（２４）との燃料
   噴射弁（１２）の弁軸方向における位置を、上記ノズル
   本体（２５）先端とスリーブ部材（１１）の先端部（２
   ０）との距離が所定量離間している状態で、環状凹所
   （２６）と環状突起（２４）が対応し、かつノズル本体
   （２５）先端がスリーブ部材（１１）の先端部（２０）
   と当接する状態で、環状突起（２４）がノズル本体（２
   ５）の環状凹所（２６）より大径の外周面と対応するよ
   うに設定した エンジンの燃料噴射装置。