JPH06311425A - 画像補正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】写真，デジタル画像プリント画の画質を向上す
る。 【構成】撮影されたカメラのレンズの収差特性に応じ
て、図示のように画像周辺部にいくほど、光量，エッジ
強調，色相，彩度等の補正を強調する補正強調係数のデ
ータを撮影カメラのレンズ毎に記憶しておき、現像フィ
ルムを読み取って得られたデジタル画像を補正するとき
に、前記補正強調係数によって周辺部の補正を強調す
る。これにより、周辺部の画質の劣化が抑制され廉価な
レンズを装着したカメラで撮影しても高級カメラで撮影
した画像と同様の高画質画像を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、現像フィルムをプリン
トする装置などにおいて、撮影に使用されたレンズの収
差に対して画質の劣化を補正する技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、カメラ (撮影レンズ付フィルムを
含む) で撮影された現像フィルムの画像をスキャナで読
み取り、得られたデジタル画像を画像処理した後プリン
トする装置において、現像フィルムのブレ画像をデジタ
ル処理して補正することは白黒画像では一般的に行われ
ており、カラー画像に対してもカラーフィルムの特性に
応じた濃度や露光量の補正を行うことが提案されている
(特開昭63−119384号公報，特開昭63−119385号公報等
参照) 。

【０００３】その他、画像に輪郭強調補正を行うものも
提案されている (特公平５−1668号公報等参照) 。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ものではブレ画像の補正や輪郭を強調するものではある
が、撮影されたレンズの収差を考慮したものではなかっ
たため、画像の全面にわたって良好な画質に補正できる
ものではなかった。即ち、廉価なカメラや撮影レンズ付
フィルムにおいて装着されているレンズは収差性能で劣
っており、撮影された画像の周辺部でボケや光量低下が
大きくなるため、高級カメラでの撮影による画像と比較
して特に周辺部の画質の劣化は否めなかった。また、高
級カメラにおいてもレンズの収差により、程度の差はあ
れ画像周辺部が画質の劣化を生じ、改善の余地が残され
ている。

【０００５】尚、現像フィルムから通常の焼付処理によ
って得られたプリント画像においても、当然のことなが
ら前記問題点があった。本発明は、このような従来の問
題点に鑑みなされたもので、収差性能に劣るレンズで撮
影された画像でも良好な画質が得られるようにした画像
補正装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このため本発明にかかる
画像補正装置は、レンズを通して撮影された画像に対し
て、前記レンズの収差に応じて画像の補正を行うことを
特徴とする。また、撮影カメラのレンズの収差特性に応
じた補正処理用のデータを記憶する補正用データ記憶手
段を含んで構成され、該補正用データ記憶手段から撮影
カメラのレンズに対応して読み出された補正用データに
基づいて画像の補正を行うようにしてもよい。

【０００７】また、撮影画像データに基づいて撮影カメ
ラのレンズ収差特性を検出する収差特性検出手段を含ん
で構成され、該収差特性検出手段から検出された撮影カ
メラのレンズ収差特性に基づいて画像の補正を行うよう
にしてもよい。また、カメラで撮影された画像を焼付に
より又はデジタル画像変換後に画像処理によりプリント
する装置に備えられるようにしてもよい。

【０００８】

【作用】かかる画像補正装置によれば、撮影されたレン
ズの収差に応じて画像の補正が行われるため、収差によ
って画像の周辺部で増大するピントのズレ量、光量の低
下、カラー画像における色相，彩度の不鮮明度に対する
補正が強調され、画像全面にわたって良好な画質を有し
た画像が得られる。

【０００９】また、前記補正用データ記憶手段を含んで
構成されるものでは、撮影カメラに応じて予め設定され
た補正用のデータに基づいてレンズ収差に対応した画像
補正が行われるため、高速に画像補正を行うことができ
る。また、前記収差特性検出手段を含んで構成されるも
のでは、読取画像データに基づいて撮影カメラのレンズ
の収差特性を検出して該収差特性に対応した画像補正が
行われるため、特に撮影を行ったカメラの種類を知らな
くとも、また、カメラの種類に応じたレンズ収差対応の
補正処理データを記憶しておかなくとも、自動的にレン
ズの収差特性を検出して画像補正を行うことができる。

【００１０】かかる画像補正装置を現像フィルムの画像
を焼付やデジタル画像変換後の画像処理によりプリント
する装置に適用すると、高画質なプリント画像が得られ
る。

【００１１】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。尚、現像フィルムからスキャナで画像を読み取っ
てデジタル画像に変換後画像処理によりプリントする装
置に適用したものについて説明する。図１はシステム全
体の外観図である。画像編集装置１のテーブル上には現
像フィルムを装填したカセットの挿入口２と操作用タッ
チパネル３とが設けられている。また、入力画像表示用
の第１ＣＲＴ４と出力画像表示用の第２ＣＲＴ５とが並
べて設けられている。この画像編集装置１には、反射原
稿を読み取るためのスキャナ６を備えるプリンタ７を接
続可能である。

【００１２】図２は、前記システムにおける機能を示す
ブロック図である。尚、画像編集装置１は補正前のデジ
タル画像を第１ＣＲＴ４に表示し、プリンタ15に出力さ
れる補正後の画像を第２ＣＲＴ５に表示しつつ画像の編
集を行えるものであるが、該編集機能についての図示及
び説明は省略する。前記画像編集装置１の挿入口２から
現像フィルムを装填したカセットが挿入されると、該カ
セットは所定の位置にセットされ、その位置で結像光学
ユニットＣＣＤ等からなるデジタルスキャナ部11におい
てフィルム上の画像が読み取られデジタル画像信号が得
られる。

【００１３】補正用データ記憶部12には、各種のカメラ
に使用されているレンズの収差特性に対する補正用デー
タを含む各種補正用データが記憶されており、プリント
時には、現像フィルムに対応する撮影カメラに応じて、
前記データが読み出される。そして、前記デジタル画像
信号は、画像データ補正部13において、前記補正用デー
タ記憶部12から読み出された補正用データに基づいてレ
ンズ収差に応じた画像の補正を含む補正が行われ、該補
正後の画像データがプリント画像データとして、プリン
ト画像データ出力部14を介して前記プリンタ７に出力さ
れ、該プリンタ７によってプリントアウトされる。

【００１４】前記画像データ補正部13及びその周辺部の
構成を図３，図４に基づいて説明する。第１の実施例に
おいては、画像処理全体をコントロールするＣＰＵ部21
のＲＯＭ21Ａ (又はＲＡＭ) にカメラの機種モデル毎に
使用されているレンズの収差特性に応じて補正強調係数
のデータが記憶されている。即ち、ＲＯＭ21Ａが補正用
データ記憶手段を構成する。具体的には、図５ (Ａ) ，
(Ｂ) に示すように、同心円や方形で画成される画像領
域における各種画像補正の強調係数を中央部から周辺部
にいくに従って増大させたパターンのデータをレンズの
収差特性別に記憶しておく。この場合、収差性能が劣る
ものほど、周辺部での強調係数が増大して設定されるこ
とになる。

【００１５】デジタルスキャナ部11により得られた画像
データをフレームメモリ23に一旦蓄える。そして、前記
フレームメモリ23に蓄えた画像データに対して、前記ヒ
ストグラム演算器22で作成された補正用のデータに基づ
き前記ＲＯＭ21Ａから読み出した撮影カメラのレンズ収
差特性に応じた補正強調係数のデータを用いてデータ変
換・マトリクス演算部24で補正量の演算，データの操作
を行いつつ、空間フィルタ・色変換部25で各種補正を行
う。具体的には、光量補正 (プリント画像の濃度補正)
，エッジ強調 (鮮鋭度補正) ，カラー画像においては
色変換 (色相，彩度補正) 等の画像補正が行われる。

【００１６】その場合、前記各種補正について、夫々前
記補正強調係数によって画像の周辺部にいくほど補正が
強調される。周辺部にいくほどレンズの収差によって光
量の低下、ピントのズレが増大し、色相，彩度が不鮮明
となるからである。また、レンズの収差が大きいものほ
ど、周辺部における補正が強調される。尚、同じレンズ
の収差特性でも補正の種類によって強調のレベルを変え
るようにしてもよく、その場合、例えば補正の種別に更
に異なる補正係数を乗じて処理すればよい。

【００１７】このようにして全ての補正が行われた画像
のデータは、プリント時に１ページ分がページメモリ26
に蓄えられ、プリンタ７に送られてプリントアウトされ
る。このようにすれば、レンズの収差特性に応じて画像
の周辺部ほど補正が強調されるので、周辺部の画質の劣
化が抑制され、収差の大きい廉価なレンズを使用したカ
メラ，レンズ付フィルムで撮影された画像に対しても、
高級カメラで撮影された画像に劣らない良好な画質の画
像が得られる。

【００１８】次に、第２の実施例として現像フィルムを
焼付によって写真としてプリントする装置に適用した実
施例について説明する。本実施例においては、光量補正
を行うものについて説明する。写真焼付装置の基本的な
構成は、図６に示すように光源31の後方に現像フィルム
Ｆをセットし、光学系32を介してプリント紙33上に結像
させて焼付処理するものである。

【００１９】ここで、本実施例では、光学系とプリント
紙33との間に、本発明にかかるＮＤフィルタ35を介装し
て焼付を行う。前記ＮＤフィルタ35は、撮影カメラの機
種毎にレンズの収差特性に応じて設定されたものを複数
枚用意しておく。該ＮＤフィルタ35は、図示のように中
央部が暗く周辺に向かって、同心円状に明るくなるよう
に形成されており、かつ、レンズ収差の大きいものほ
ど、中央部と周辺部との明度差が大きく形成されてい
る。

【００２０】そして、焼付時には撮影カメラに応じたＮ
Ｄフィルタ35を選択して、前記の位置にセットして焼付
を行う。すると、前述したように現像フィルムＦの周辺
部の画像は中央部の画像に対して光量低下しているが、
前記ＮＤフィルタ35を通すことにより、該光量差が相殺
されて、周辺部の光量低下を回避できる。また、ＮＤフ
ィルタ35の光軸方向のセット位置を変えることで、異な
るレンズの収差に対応して画像処理することも可能であ
る。即ち、収差が大きい場合には、ＮＤフィルタ35を光
学系から離すことにより、光がＮＤフィルタ35を透過す
る範囲を周辺部まで拡げて明度差を大きくし、逆に収差
が小さい場合にはＮＤフィルタ35を光学系に近づけるこ
とにより、光がＮＤフィルタ35を透過する範囲を狭くし
て周辺部との明度差を小さくすることにより、レンズ収
差の相違に応じた光量低下の補正に対処できる。但し、
中央部の光量を基準とした場合にＮＤフィルタ35のセッ
ト位置で基準光量が変わってくるので、それに見合って
光源の光量を調節するのが好ましい。

【００２１】また、近年ではレンズ付フィルムの消費が
急増しており、該レンズの収差はメーカーによらず略一
定であるため、レンズ付フィルムの焼付専用の装置とし
て効率化を図ることもできる。かかるレンズ付フィルム
の画質の向上により、この種製品の付加価値をより高め
ることができ、市場活性化につながる。次に、第３の実
施例として撮影画像データに基づいてレンズの収差を検
出して画像補正を行うものについて説明する。

【００２２】ハードウエアについては前記第１の実施例
と同一でよいので、同一図面を用いて説明する。第１の
方式としては、図７に示すように前記ヒストグラム演算
器82を用いて例えば１本のフィルムの中で上部に空を背
景とするような画像を選択し、該画像の上部の横方向の
光量分布に基づいて、中央部と両端部との光量差からレ
ンズの収差を求める。即ち、レンズの収差による光量の
低下は周辺部ほど大きく、収差が大きいほど中央部と両
端部との光量差は増大する。そこで、求められた光量差
に基づいて撮影されたレンズの収差特性を検出し、該特
性に応じて前記実施例で示したような補正強調係数の領
域パターンを形成して画像補正を行う。尚、行われる画
像補正は光量補正の他、エッジ強調，色変換等を行えば
よい。

【００２３】第２の方式としては、図８に示すように、
画像を格子状に分割してブロック化し、データ変換・マ
トリクス演算部24によって求めた各々のブロックの空間
周波数成分の差異からピントのズレ量を類推してレンズ
の収差を検出した後、前記同様にして画像補正を行うも
のである。この場合も、中央部ではピントが合っている
ため、高周波成分が多いのに対し、周辺部ではピントの
ズレ量が大きくなって高周波成分が減少する。そこで、
該減少の程度に応じてレンズの収差を検出するのであ
る。

【００２４】尚、画像編集装置１ではフィルム１本分の
画像データを纏めて得ることができるので、第１の方式
では、レンズ収差検出に適した画像の選択が行え、ま
た、第２の方式では、レンズ収差の検出精度を高めるた
め、複数枚若しくは全部の画像のデータに基づいてレン
ズの収差を検出するようにしてもよい。以上の実施例で
は、銀塩カメラでの撮影画像をデジタル処理若しくは焼
付によってプリントするものに適用したものを示した
が、本発明は、このようなプリント装置への適用に限定
されるものではなく、例えば、ビデオカメラ (スチルビ
デオカメラを含む) で撮影された画像に対して、レンズ
収差に応じた画像処理補正を行ってＣＲＴ等で表示され
る画像の画質を向上させるようなこともできるなど応用
範囲は多岐にわたるものである。

【００２５】

【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、レンズの収差に応じた画像補正を行う構成としたた
め、収差の大きな廉価なレンズを使用して撮影を行った
画像に対しても、全面にわたって良好な画質の画像を得
ることができ、延いては、廉価なレンズを使用したカメ
ラ製品の付加価値をより高めることができる。

【００２６】また、レンズの収差特性に応じた補正処理
用のデータを予め記憶しておき、該データに基づいて画
像補正を行うようにしたものでは、精度よく、かつ、効
率的に画像補正処理を行うことができる。一方、撮影画
像データに基づいて撮影に使用したレンズの収差特性を
検出して画像補正を行うようにしたものでは、撮影され
たカメラの機種が分からなくともレンズ収差に応じた画
像補正を行えるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例にかかる画像補正装置を
含むプリントシステムの外観図。

【図２】同上実施例の機能を示すブロック図。

【図３】同上実施例の画像データ補正部周辺の構成を示
すブロック図。

【図４】同上実施例の画像データ補正部周辺の構成を示
すブロック図。

【図５】同上実施例におけるレンズ収差による補正特性
を示す図。

【図６】本発明の第２の実施例の概略構成及び本実施例
に使用されるＮＤフィルタを示す図。

【図７】本発明の第３の実施例の第１の方式を説明する
ための図。

【図８】本発明の第４の実施例の第２の方式を説明する
ための図。

【符号の説明】

１ 画像編集装置 ７ プリンタ 12 補正用データ記憶部 13 画像データ補正部 21Ａ ＲＯＭ 24 データ変換・マトリクス演算部 25 空間フィルタ・色変換部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】レンズを通して撮影された画像に対して、
   前記レンズの収差に応じて画像の補正を行うことを特徴
   とする画像補正装置。
2. 【請求項２】撮影カメラのレンズの収差特性に応じた補
   正用のデータを記憶する補正用データ記憶手段を含んで
   構成され、該補正用データ記憶手段から撮影カメラのレ
   ンズに対応して読み出された補正用データに基づいて画
   像の補正を行うようにしたことを特徴とする請求項１に
   記載の画像補正装置。
3. 【請求項３】撮影画像データに基づいて撮影カメラのレ
   ンズ収差特性を検出する収差特性検出手段を含んで構成
   され、該収差特性検出手段から検出された撮影カメラの
   レンズ収差特性に基づいて画像の補正を行うようにした
   ことを特徴とする請求項１に記載の画像補正装置。
4. 【請求項４】カメラで撮影された画像を焼付により又は
   デジタル画像変換後に画像処理によりプリントする装置
   に備えられていることを特徴とする請求項１〜３のいず
   れか１つに記載の画像補正装置。