JP3549413B2 - 画像処理方法および画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムに撮影された画像を光電的に読み取り、この画像が再現されたプリント(写真)を得るデジタルフォトプリンタ等において、レンズ付きフィルム、安価なコンパクトカメラやデジタルカメラ等で撮影された画像で発生する、倍率色収差や歪曲収差等の収差を補正する画像処理方法、およびこの画像処理方法を利用する画像処理装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ネガフィルム、リバーサルフィルム等の写真フィルム(以下、フィルムとする)に撮影された画像の感光材料(印画紙)への焼き付けは、フィルムの画像を感光材料に投影して感光材料を面露光する、いわゆる直接露光(アナログ露光)によって行われている。
【0003】
これに対し、近年では、デジタル露光を利用する焼付装置、すなわち、フィルムに記録された画像を光電的に読み取って、読み取った画像をデジタル信号とした後、種々の画像処理を施して記録用の画像データとし、この画像データに応じて変調した記録光によって感光材料を走査露光して画像(潜像)を記録し、(仕上り)プリントとするデジタルフォトプリンタが実用化された。
【0004】
デジタルフォトプリンタでは、画像をデジタルの画像データとして、画像データ処理によって焼付時の露光条件を決定することができるので、逆光やストロボ撮影等に起因する画像の飛びやツブレの補正、シャープネス(鮮鋭化)処理、カラーフェリアや濃度フェリアの補正、アンダー露光やオーバー露光の補正、周辺光量不足の補正等を好適に行って、従来の直接露光では得られなかった高品位なプリントを得ることができる。しかも、複数画像の合成や画像分割、さらには文字の合成等も画像データ処理によって行うことができ、用途に応じて自由に編集/処理したプリントも出力可能である。
しかも、デジタルフォトプリンタによれば、デジタルカメラ等で撮影された画像(画像データ)からプリントを作成することもでき、さらに、画像をプリント(写真)として出力するのみならず、画像データをコンピュータ等に供給したり、フロッピーディスク等の記録媒体に保存しておくこともできるので、画像データを、写真以外の様々な用途に利用することができる。
【0005】
このようなデジタルフォトプリンタは、基本的に、フィルムに記録された画像を光電的に読み取るスキャナ(画像読取装置)、読み取った画像を画像処理して記録用の画像データ(露光条件)とする画像処理装置、および、この画像データに応じて感光材料を走査露光して現像処理を施してプリントとするプリンタ(画像記録装置)より構成される。
【0006】
スキャナでは、光源から射出された読取光をフィルムに入射して、フィルムに撮影された画像を担持する投影光を得て、この投影光を結像レンズによってCCDセンサ等のイメージセンサに結像して光電変換することにより画像を読み取り、必要に応じて各種の画像処理を施した後に、フィルムの画像データ(画像データ信号)として画像処理装置に送る。
画像処理装置は、スキャナによって読み取られた画像データから画像処理条件を設定して、設定した条件に応じた画像処理を画像データに施し、画像記録のための出力画像データ(露光条件)としてプリンタに送る。
プリンタでは、例えば、光ビーム走査露光を利用する装置であれば、画像処理装置から送られた画像データに応じて光ビームを変調して、感光材料を二次元的に走査露光(焼付け)して潜像を形成し、次いで、所定の現像処理等を施して、フィルムに撮影された画像が再生されたプリント(写真)とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プリントに再生された画像の画質劣化の原因として、画像を撮影したカメラに装着されるレンズの性能に起因する倍率色収差、歪曲収差、周辺光量低下、画像ピントボケ等のレンズの収差が挙げられる。
カラー画像は、赤(R)、緑(G)および青(B)の3原色によって形成されるが、レンズの屈折率(結像倍率)は波長によって微妙に異なるため、R、GおよびBの光の結像倍率が異り、すなわち倍率色収差が生じる。その結果、フィルムに撮影された画像を再生すると、得られた画像に色ずれが生じてしまう。
また、適正な撮影画像を得るためには、シーン中の光軸に垂直な平面は、光軸に対して垂直な同一平面上に結像される必要がある。ところが、通常のレンズでは、結像面が光軸方向にずれる、いわゆる歪曲収差を生じて結像画像が歪み(ディストーションを生じ)、フィルムに撮影された画像を再生すると、得られた画像が歪みを有するものとなってしまう。
さらに、レンズの性能に応じて生じる、中心部よりも周辺部の方が画像が暗くなってしまう周辺光量の低下や、ピント位置がフィルムの面方向で異なることに起因する画像ボケすなわちピントボケ等も、画質劣化の原因となっている。
【0008】
一眼レフ等のように、ある程度のコストを掛けられるカメラであれば、精度の高いレンズを用い、さらに複数枚のレンズを組み合わせることにより、倍率色収差や歪曲収差を補正して、フィルムに適正画像を撮影することができる。
しかしながら、レンズ付きフィルムや安価なコンパクトカメラでは、レンズにコストを掛けることができないため、フィルムに撮影された画像に倍率色収差や歪曲収差が生じてしまう。その結果、プリントとして再生された画像が、色ずれや歪を有するものとなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、レンズ付きフィルム、安価なコンパクトカメラやデジタルカメラによって撮影された画像であっても、画像処理によって、倍率色収差、歪曲収差、周辺光量低下、ピントボケ等の収差を補正して、色ずれや歪等のない高画質な画像を出力することを可能にする画像処理方法、およびこの画像処理方法を利用する画像処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の画像処理方法は、光学的に撮影された画像から画像データを得、前記画像データを可視像として再現する際における、前記光学的に撮影された画像の倍率色収差、歪曲収差、周辺光量、および画像ボケの少なくとも一つを補正する画像処理方法であって、
前記画像を撮影したレンズの特性と、前記画像の位置情報とから、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つを補正した画像位置を算出し、
前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つが補正された前記画像位置を用いて電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つの補正のための補間演算処理と前記電子変倍処理のための補間演算処理とを一回の補間演算処理で行うことを特徴とする画像処理方法を提供する。
ここで、前記画像の位置情報は、撮影時のレンズの光軸を基準とするものであるのが好ましく、
また、前記レンズの特性は、複数のレンズに対応する補正式および前記複数のレンズの各々に対応する、前記補正式の補正係数を含み、
前記補正は、前記補正式と、前記画像を撮影したレンズに応じた前記補正式の補正係数と、前記画像の位置情報とから行われるものであるのが好ましく、
また、前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量から、前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置を算出して前記画像の倍率色収差を補正し、
あるいは、前記歪曲収差に起因する画像のずれ量から、前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置を算出して前記画像の歪曲収差を補正し、
あるいは、前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量と、前記歪曲収差に起因する前記基準となる色の画像のずれ量とから、前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を算出して、前記画像の倍率色収差および歪曲収差を補正するものであるのが好ましく、
また、前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を用いて、前記電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記歪曲収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記倍率色収差および歪曲収差の補正と電子変倍処理のための各補間演算処理を一回の補間演算処理で行うのが好ましく、
また、前記画像を撮影したレンズの特性は、フィルムに光学的もしくは磁気的に記録されているレンズに関する情報、および/または、フィルムカートリッジに電気的に記録されているレンズに関する情報を、前記画像を撮影したレンズの判別情報として取得し、この判別情報に応じて、複数のレンズに応じたレンズ特性をそれぞれ前記判別情報に対応付けて記憶する記憶手段から受け取られるものであるのが好ましく、
さらに、可視像として再現したプリントとするために、前記補正が行われた画像データを出力するのが好ましい。
【0011】
また、本発明の画像処理装置は、光学的に撮影された画像から得られた画像データに所定の画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理装置であって、
前記画像を撮影した撮影レンズの判別情報を取得する取得手段、撮影レンズ種に応じたレンズ特性を記憶する記憶手段、および前記取得手段が取得した判別情報に応じて、前記記憶手段から対応する撮影レンズのレンズ特性を受け取り、画像の位置情報とレンズ特性とから、画像の倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つを補正した画像位置を算出し、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つを補正した画像位置を用いて電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つの補正のための補間演算処理と前記電子変倍処理のための補間演算処理とを一回の補間演算処理で行う補正手段を有することを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0012】
ここで、前記補正手段は、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つに加え、さらに、前記画像の周辺光量および画像ボケの少なくとも一つを補正するのが好ましく、
また、前記画像の位置情報は、撮影時のレンズの光軸を基準とするものであるのが好ましく、
また、複数の撮影レンズ種に対応する補正式を有し、前記記憶手段は、前記レンズ特性として、この補正式の補正係数を記憶するのが好ましく、
また、前記補正手段が、前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量から、前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置を算出して前記画像の倍率色収差を補正する、
あるいは、前記歪曲収差に起因する画像のずれ量から、前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置を算出して前記画像の歪曲収差を補正する、
あるいは、前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量と、前記歪曲収差に起因する前記基準となる色の画像のずれ量とから、前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を算出して、前記画像の倍率色収差および歪曲収差を補正するのが好ましく、
また、前記補正手段が、前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を用いて、前記電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記歪曲収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記倍率色収差および歪曲収差の補正と電子変倍処理のための各補間演算処理を一回の補間演算処理で行うのが好ましく、
また、前記取得手段は、フィルムに光学的もしくは磁気的に記録されているレンズに関する情報、および/または、フィルムカートリッジに電気的に記録されているレンズに関する情報を、判別情報として取得するのが好ましく、
さらに、画像処理を施した出力用の画像データを可視像として再現したプリントを出力する装置に接続されるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像処理方法および画像処理装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0014】
図1に、本発明の画像処理方法を実施する本発明の画像処理装置を利用するデジタルフォトプリンタの一例のブロック図が示される。
図1に示されるデジタルフォトプリンタ(以下、フォトプリンタ10とする)は、基本的に、フィルムFに撮影された画像を光電的に読み取るスキャナ(画像読取装置)12と、読み取られた画像データ(画像情報)の画像処理やフォトプリンタ10全体の操作および制御等を行う画像処理装置14と、画像処理装置14から出力された画像データに応じて変調した光ビームで感光材料(印画紙)を画像露光し、現像処理して(仕上り)プリントとして出力するプリンタ16とを有して構成される。
また、画像処理装置14には、様々な条件の入力(設定)、処理の選択や指示、色/濃度補正などの指示等を入力するためのキーボード18aおよびマウス18bを有する操作系18と、スキャナ12で読み取られた画像、各種の操作指示、様々な条件の設定/登録画面等を表示するディスプレイ20が接続される。
【0015】
スキャナ12は、フィルムF等に撮影された画像を1コマずつ光電的に読み取る装置で、光源22と、可変絞り24と、画像をR(赤)、G(緑)およびB(青)の三原色に分解するためのR、GおよびBの3枚の色フィルタを有し、回転して任意の色フィルタを光路に作用する色フィルタ板26と、フィルムFに入射する読取光をフィルムFの面方向で均一にする拡散ボックス28と、結像レンズユニット32と、フィルムの1コマの画像を読み取るエリアセンサであるCCDセンサ34と、アンプ(増幅器)36とを有して構成される。
【0016】
なお、図示例のフォトプリンタ10においては、新写真システム(Advanced Photo System)や135サイズのネガ(あるいはリバーサル)フィルム等のフィルムの種類やサイズ、ストリップスやスライド等のフィルムの形態、トリミング等の処理の種類等に応じて、スキャナ12の本体に装着自在な専用のキャリアが用意されており、キャリアを交換することにより、各種のフィルムや処理に対応することができる。フィルムに撮影され、プリント作成に供される画像(コマ)は、このキャリアによって所定の読取位置に搬送、保持される。
また、周知のように、新写真システムのフィルムには、磁気記録媒体が形成され、カートリッジIDやフィルム種等が記録されており、また、撮影時や現像時等に、撮影日時、撮影に使用したカメラ、現像機の種類等の各種のデータが記録可能である。新写真システムのフィルム(カートリッジ)に対応するキャリアには、この磁気情報の読取手段が配置されており、フィルムを読取位置に搬送する際に磁気情報を読み取り、前記各種の情報が画像処理装置14に送られる。
【0017】
このようなスキャナ12においては、光源22から射出され、可変絞り24によって光量調整され、色フィルタ板26を通過して色調整され、拡散ボックス28で拡散された読取光が、キャリアによって所定の読取位置に保持されたフィルムFの1コマに入射して、透過することにより、フィルムFに撮影されたこのコマの画像を担持する投影光を得る。
フィルムFの投影光は、結像レンズユニット32によってCCDセンサ34の受光面に結像され、CCDセンサ34によって光電的に読み取られ、その出力信号がアンプ36で増幅されて、画像処理装置14に送られる。CCDセンサ34は、例えば、1380×920画素のエリアCCDセンサである。
【0018】
スキャナ12においては、このような画像読取を、色フィルタ板26の各色フィルタを順次挿入して3回行うことにより、1コマの画像をR,GおよびBの3原色に分解して読み取る。
ここで、フォトプリンタ10においては、プリントを出力するための画像読み取り(本スキャン)に先立ち、画像処理条件等を決定するために、画像を低解像度で読み取るプレスキャンを行う。従って、1コマで、合計6回の画像読み取りが行われる。
【0019】
スキャナ12は、エリアCCDセンサを用い、色フィルタ板26によって投影光を3原色に分解して画像を読み取っているが、本発明に利用されるスキャナとしては、3原色のそれぞれの読み取りに対応する3種のラインCCDセンサを用い、フィルムFをキャリアで走査搬送しつつ画像を読み取るスリット走査によって画像読み取りを行うものであってもよい。
【0020】
図示例のフォトプリンタ10は、ネガやリバーサル等のフィルムに撮影された画像を光電的に読み取るスキャナ12を画像処理装置14の画像データ供給源としているが、画像処理装置14に画像データを供給する画像データ供給源としては、スキャナ12以外にも、反射原稿の画像を読み取る画像読取装置、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像デバイス、LAN(Local Area Network)やコンピュータ通信ネットワーク等の通信手段、メモリカードやMO(光磁気記録媒体)等のメディア(記録媒体)等の、各種の画像読取手段や撮像手段、画像データの記憶手段等が各種使用可能である。すなわち、本発明は、デジタルカメラ等の撮像デバイスで光学的に撮影された画像(画像データ)にも好適に利用可能である。
【0021】
前述のように、スキャナ12からの出力信号(画像データ)は、画像処理装置14に出力される。
図2に画像処理装置(以下、処理装置14とする)のブロック図を示す。処理装置14は、データ処理部38、プレスキャン(フレーム)メモリ40、本スキャン(フレーム)メモリ42、プレスキャン画像処理部44、本スキャン画像処理部46、および条件設定部48を有して構成される。
なお、図2は、主に画像処理関連の部位を示すものであり、処理装置14には、これ以外にも、処理装置14を含むフォトプリンタ10全体の制御や管理を行うCPU、フォトプリンタ10の作動等に必要な情報を記憶するメモリ、本スキャンの際の可変絞り24の絞り値やCCDセンサ34の蓄積時間を決定する手段等が配置され、また、操作系18やディスプレイ20は、このCPU等(CPUバス)を介して各部位に接続される。
【0022】
スキャナ12から出力されたR,GおよびBの各出力信号は、A/D(アナログ/デジタル)変換、Log変換、DCオフセット補正、暗時補正、シェーディング補正等を行うデータ処理部38で処理されてデジタルの画像データとされ、プレスキャン(画像)データはプレスキャンメモリ40に、本スキャン(画像)データは本スキャンメモリ42に、それぞれ記憶(格納)される。
なお、プレスキャンデータと本スキャンデータは、解像度(画素密度)と信号レベルが異なる以外は、基本的に同じデータである。
【0023】
プレスキャンメモリ40に記憶されたプレスキャンデータはプレスキャン画像処理部44において、本スキャンメモリ42に記憶された本スキャンデータは本スキャン画像処理部46において、それぞれ処理される。
プレスキャン画像処理部44は、画像処理部50および画像データ変換部52を有して構成される。他方、本スキャン画像処理部46は、画像処理部54および画像データ変換部58を有して構成される。
【0024】
プレスキャン画像処理部44の画像処理部50(以下、処理部50とする)と、本スキャン画像処理部46の画像処理部54(以下、処理部54とする)は、共に、後述する条件設定部48が設定した画像処理条件に応じて、スキャナ12によって読み取られた画像(画像データ)に所定の画像処理を施す部位である。両者は、処理する画像データの画素密度が異なり、また、プレスキャン画像処理部44の処理部50が収差補正部を有さない以外は、基本的に、同様の処理を行う。
処理部50および処理部54における画像処理としては、色バランス調整、コントラスト補正(階調処理)、明るさ補正、覆い焼き処理(濃度ダイナミックレンジの圧縮/伸長)、彩度補正、シャープネス(鮮鋭化)処理等が例示される。これらは、演算、LUT(ルックアップテーブル)による処理、マトリクス(MTX)演算、フィルタによる処理等を適宜組み合わせた、公知の方法で行われるものであり、図示例においては、色バランス調整、明るさ補正およびコントラスト補正がLUTで行われ、彩度補正がMTXで行われる。また、これ以外のシャープネス処理や覆い焼き処理等は、オペレータによる指示や画像データ等に応じて、ブロック50Aおよびブロック54Aで行われる。
【0025】
ここで、本スキャンデータを処理する処理部54のMTXとブロック54Aとの間には、倍率色収差および歪曲収差の補正、ならびに電子変倍処理を行う、収差補正部56が配置される。また、収差補正部56には、レンズ特性データ供給部60が接続される。
本発明にかかる処理装置14においては、必要に応じて、この収差補正部56において、レンズ特性および画像の位置情報を用いて、画像処理によってフィルムFに撮影された画像の倍率色収差および歪曲収差を補正しており、これにより色ズレや歪のない、高画質な画像が再現されたプリントを安定して出力することを実現している。
【0026】
なお、本発明においては、プレスキャン処理部44の処理部50にも収差補正部を配置し、ディスプレイ20に表示する画像にも、倍率色収差や歪曲収差等の補正を行ってもよいのはもちろんである。
【0027】
レンズ特性データ供給部60(以下、特性データ供給部60とする)は、フィルムFを撮影したカメラを判別する判別情報を取得し、得られた判別情報に対応する撮影カメラに応じたレンズ特性を収差補正部56に供給する部位である。
【0028】
カメラ(すなわち撮影レンズ)を判別する判別情報、およびその取得手段には特に限定はなく、各種の方法が利用可能である。
例えば、フィルムFが前述の新写真システムのレンズ付きフィルムである場合には、フィルムFに記録された磁気情報をスキャナ12のキャリアで読み取り、磁気記録されたカートリッジIDやフィルム種等を利用してレンズ付きフィルムの機種すなわちカメラを判別してもよく、フィルムに光学的に記録されている拡張DXコードの「SSU INDICATOR」をキャリアで光学的に読み取り、これを利用してもよい。また、新写真システムに対応するカメラには、フィルムFにカメラの機種を磁気記録する機能を有する機種もあるので、これを利用してフィルムFを撮影したカメラを判別してもよい。
また、受け付け時に、レンズ付きフィルムの機種や、あるいは撮影カメラの機種を顧客から聞いて、メモ、パッケージ、パトローネ、カートリッジ等に記録しておき、プリント作成時にオペレータがこれを見てキーボード18aでカメラの機種を入力してもよく、カメラの機種に代えてファンクションキー等とカメラとの対応を決定しておき、これを用いて入力してもよい。
さらに、撮影時にフィルムにカメラの機種を光学的に焼き付け、これを読み取ってカメラの機種を判別してもよい。レンズ付きフィルムであれば、製造時等にレンズ付きフィルムの機種をDXコード等のように光学的に焼付けておき、あるいは磁気記録しておき、これらを用いて機種を判別してもよい。
また、ICメモリ付きのフィルムカートリッジであれば、このICメモリにカメラの機種等を電気的に記録しておき、これを用いて機種を判別してもよい。
【0029】
特性データ供給部60はメモリを有し、このメモリには、各種のカメラの機種に応じたレンズ特性の情報、具体的には、各種のレンズの倍率色収差および歪曲収差の特性の情報が記憶されている。
特性データ供給部60は、取得したカメラの判別情報から、それに応じたレンズ特性の情報をメモリから読み出し、これを収差補正部56に供給する。なお、レンズ特性は特性データ供給部60が有するメモリに記憶されるのに限定はされず、例えば、プリンタ10に接続されるデータベースに記憶しておき、此所にアクセスして読み出してもよく、あるいは、フィルムFの読み取り時にフィルムに対応するレンズの情報として外部から入力されてもよい。
【0030】
レンズ特性としては、特に限定はないが、倍率色収差や歪曲収差を行うための各レンズ種に対応する補正関数や補正係数であってもよい。あるいは、複数のレンズ種、好ましくは、プリンタ10で処理する主たるレンズ種に対応する、倍率色収差や歪曲収差補正を行うための基本的な補正関数(補正式)を記憶しておき、この補正式にかかる補正関数や補正係数を各レンズに対応するレンズ特性として記憶してもよい。
また、一般的に、レンズの倍率色収差の特性や歪曲収差の特性は、レンズの光軸すなわちフィルムFに撮影された画像の中心からの距離(例えば、x−yで示される)をパラメータとする3次関数である程度まで近似することができるので、倍率色収差や歪曲収差の補正が必要な各種のカメラに対応して、それに応じた倍率色収差の特性を示す関数および歪曲収差の特性を示す関数を、レンズ特性として記憶してもよい。なお、この関数を、4次、5次…とより高次にすることにより、それに従って、より高精度な補正を行うことができるが、ハードウェアにかかる負担が大きくなり、また、処理時間も増大するので、要求される補正精度やフォトプリンタに要求される処理能力等に応じて決定すればよい。
【0031】
収差補正部56は、特性データ供給部60から供給されたフィルムFの撮影レンズ特性と、画像データ(画素)の位置の情報、例えば、画像の中心(撮影レンズの光軸の中心)からの座標位置(中心の画素から何画素目か)とを用いて、倍率色収差および歪曲収差の補正、ならびに電子変倍処理を行う。なお、この際において、マスク等によって切り出された画像の中心が、ほぼ撮影時のレンズの光軸の中心と考えられる場合には、切り出された画像の中心の画素をレンズの光軸の中心として、各種の収差(歪曲収差、倍率色収差、周辺光量低下、画像ボケ)を補正してもよい。
【0032】
この場合の座標は、x−y座標でも極座標でもよい。また、画像データの位置の情報は画像の中心を基準とするのに限定はされず、各種のものが利用可能であり、例えば、画像の角部(左上角等)や、ある画素(例えば画素番号1番の画素)等を基準としてもよく、さらに画像の外部、例えばフィルムFのパーフォレーション等を基準としてもよい。すなわち、本発明では画像(画素)の位置が相対的に検出できれば、各種の位置情報が利用可能である。
【0033】
ここで、レンズ特性と画像の位置情報(以下、画素位置とする)とを用いた倍率色収差および歪曲収差の補正を別々に行うと、演算に時間がかかり、また、補間演算も複数回行う必要が生じるため、画質が劣化するという問題がある。
そのため、本発明においては、好ましくは、R、GおよびBの3原色の基準となる色、通常はGを基準として、RおよびBの像倍率を変換して、RおよびBの画像をG画像に合わせることで倍率色収差を補正し、その後、G画像に対応して歪曲収差を補正する。これにより、収差を補正した各画素の適正位置を算出し、これを用いて、各画素の画像データを補間演算することによって、フィルムに撮影された画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像データを得ることができる。
従って、歪曲収差についてはG画像に対する演算のみを行えばよいので、演算量や補間演算を減らして、より好適な倍率色収差および歪曲収差の補正を行うことができる。
【0034】
また、画像処理装置では、通常、画像データ処理による画像の拡大もしくは縮小、すなわち、画像の電子変倍を行って、画像(画像データ)を出力画像に応じたサイズにして出力する。この電子変倍処理は、通常、画像データを補間演算することにより行われる。
ところが、前記倍率色収差および歪曲収差の補正でも補間演算が行われているため、結果的に、2回の補間が行われる結果となり、画質が劣化してしまう場合もある。
【0035】
そのため、本発明においては、より好ましくは、前記レンズ特性と画像データの画素位置とを用いて、倍率色収差に起因する基準色(G)に対するRおよびBの画素位置のずれ量と、歪曲収差に起因する基準色の画素位置のずれ量とから、各画素毎の適正位置を算出し、算出された各画素の適正位置の情報を用いて、画像データを補間して画像の電子変倍処理を行う。言い換えれば、倍率色収差および歪曲収差による画素位置のずれ量を算出することにより、各画素が本来どの位置にあるべきであるかを知見し、この適正な位置に応じて画像データの補間演算を行って電子変倍処理を行う。
これにより、1回の補間演算で、倍率色収差および歪曲収差の補正と、電子変倍処理を行うことができる。
【0036】
図示例の収差補正部56は、上記方法を用いて、倍率色収差および歪曲収差の補正と、電子変倍処理とを行う部位であり、図3の概念図に示されるように、座標変換処理部56Aと、拡大縮小処理部56Bとを有して構成される。
なお、図3において、ir,igおよびibは、それぞれMTXから供給された画像データ(入力画像データ)の画素位置(アドレス)を;
Ir,IgおよびIbは、倍率色収差および歪曲収差を補正された画像データの画素位置を;
ΔrおよびΔbは、それぞれ倍率色収差によるGの画素位置に対するRおよびBの画素位置のずれ量(すなわち補正量)を;
Dは、歪曲収差によるGの画素位置のずれ量を; それぞれ示す。
【0037】
収差補正部56においては、MTXから画像データが供給されると、座標変換処理部56Aにおいて、特性データ供給部60から供給されたレンズ特性を用いて、RおよびBの画像データの各画素位置irおよびibにおける、Gの画像データigに対する倍率色収差によるずれ量ΔrおよびΔbを算出し、さらに、Gの入力画像データigの歪曲収差によるずれ量Dを算出する。
【0038】
次いで、図3に示されるように、Rの入力画像データの各画素位置irに前記ΔrとDを加えて、倍率色収差および歪曲収差を補正されたRの画像データの画素位置Irを算出し、Bの入力画像データの各画素位置ibに前記ΔbとDを加えて、倍率色収差および歪曲収差を補正されたBの画像データの画素位置Ibを算出し、Gの入力画像データの各画素位置igに前記Dを加えて、歪曲収差を補正されたGの画像データの画素位置Igを算出する。すなわち、この計算では、G画像を基準として、R画像およびB画像の倍率色収差を補正して、全画像をG画像に位置合わせして、G画像の歪曲収差によるずれ量Dを用いて、全体の歪曲収差を補正して、R,GおよびBの各画像の倍率色収差および歪曲収差を補正された画素位置を算出している。
【0039】
次いで、拡大縮小処理部56Bにおいて、この倍率色収差および歪曲収差を補正された画素位置Ir,IgおよびIbを用いて、拡大/縮小倍率に応じた画像データの補間処理(N倍補間)を行うことにより画像の変倍を行い、倍率色収差および歪曲収差を補正され、かつ電子変倍処理を行われた画像データとして、ブロック54Aに出力する。
電子変倍処理の方法には特に限定はなく、公知の方法が各種利用可能であり、例えば、バイリニア補間を用いる方法、スプライン補間を用いる方法等が例示される。
【0040】
なお、特性データ供給部60がカメラの判別情報を取得しなかった場合、および特性データ供給部60が取得したカメラの判別情報に対応するレンズ特性が無かった場合、さらに、倍率色収差および歪曲収差補正のキャンセルが指示された場合には、収差補正部56は、拡大縮小処理部56Bにおける電子変倍処理のみを行って画像データをブロック54Aに供給する。
【0041】
図示例の装置においては、好ましい態様として、収差補正部56において歪曲収差および倍率色収差の両者を補正しているが、本発明はこれに限定はされず、レンズ特性として倍率色収差もしくは歪曲収差のいずれか一方の特性のみを記憶しておき、これと画素位置とを用いて、いずれか一方の収差のみを補正してもよい。
この場合は、例えば、倍率色収差もしくは歪曲収差に起因するズレ量を補正した適正位置を算出し、これを用いて対応する収差を補正した後に、公知の方法で電子変倍処理を行ってもよいが、好ましくは、前述の方法と同様に、倍率色収差もしくは歪曲収差に起因するズレ量を補正した適正位置を算出し、この適正位置の情報を用いて画像データの補間を行って電子変倍処理を行い、収差の補正と電子変倍とを行うのが好ましい。これにより、同様に、補間演算を減らし、補間に起因する画質の劣化を低減することができる。
【0042】
さらに、本発明においては、歪曲収差および/または倍率色収差のみならず、レンズに起因するピントボケ(PSF:Point Spread Function)や、周辺光量低下等の収差を補正するためのレンズ特性も記憶しておき、歪曲収差および/または倍率色収差に加え、あるいは、これに変えて、ピントボケおよび/または周辺光量低下を補正してもよい。
【0043】
処理部50および54で処理された画像データは、画像データ変換部52および58に送られる。
プレスキャン画像処理部44の画像データ変換部52は、処理部50によって処理された画像データを、3D(三次元)−LUT等を用いて変換して、ディスプレイ20による表示に対応する画像データにする。他方、本スキャン画像処理部46の画像データ変換部58は、同様に、処理部54によって処理された画像データを3D−LUTを用いて変換し、プリンタ16による画像記録に対応する画像データとしてプリンタ16に供給する部位である。
【0044】
なお、本発明においては、画像処理を施した画像データを、プリンタ16以外にも、フロッピーディスクやMO等の記録媒体、コンピュータ、通信ネットワーク等に出力することも可能である。
また、プレスキャン画像処理部44にも収差補正部を設け、収差補正を施した画像をディスプレイ20に表示してもよいのは前述のとおりであり、あるいは、本スキャン画像処理部46で処理した収差補正を施した画像データを、必要に応じて間引いてディスプレイ20あるいは他の表示手段に表示してもよい。
【0045】
プレスキャン画像処理部44および本スキャン画像処理部46による各種の処理条件は、条件設定部48によって設定される。
この条件設定部48は、画像処理条件設定部72、キー補正部74およびパラメータ統合部76を有して構成される。
【0046】
画像処理条件設定部72(以下、設定部72とする)は、施す画像処理を選択すると共に、プレスキャンデータを用いて、処理部50および60における画像処理条件を設定し、パラメータ統合部76に供給する。
具体的には、設定部72は、プレスキャンデータから、濃度ヒストグラムの作成や、平均濃度、LATD(大面積透過濃度)、ハイライト(最低濃度)、シャドー(最高濃度)等の画像特徴量の算出等を行い、加えて、必要に応じて行われる操作系18を用いたオペレータによる指示に応じて、前述のグレイバランス調整、明るさ補正、およびコントラスト補正のテーブル(LUT)の作成、彩度補正を行うマトリクス演算の作成等の画像処理条件を決定する。
【0047】
キー補正部74は、キーボード18aに設定された明るさ、色、コントラスト、シャープネス、彩度調等を調整するキーやマウス18bで入力された各種の指示等に応じて、画像処理条件の調整量(例えば、LUTの補正量等)を算出し、パラメータ統合部76に供給するものである。
パラメータ統合部76は、設定部72が設定した画像処理条件を受け取り、供給された画像処理条件をプレスキャン画像処理部44の処理部50および本スキャン画像処理部46の処理部54に設定し、さらに、キー補正部74で算出された調整量に応じて、各部位に設定した画像処理条件を補正(調整)し、あるいは画像処理条件を再設定する。
【0048】
以下、処理装置14の作用を説明する。
前述のように、プレスキャンメモリ40にプレスキャンデータが記憶されると、設定部72がこれを読み出し、濃度ヒストグラムの作成や画像特徴量の算出等を行い、これを用いて、画像処理条件を設定(LUTやMTXの作成)してパラメータ統合部76に送る。
これと平行して、可変絞り24の絞り値決定等の本スキャンの読取条件が設定されてスキャナ12が調整され、次いで、スキャナ12では本スキャンが行われ、本スキャンデータが、順次、本スキャンメモリ42に転送・記憶される。
【0049】
また、処理装置14には、キーボード18aやマウス18bによって入力された各種の指示や情報、スキャナ12(キャリア)で読み取られたフィルムFの磁気情報が送られており、前述のようにしてカメラの判別情報が入力された場合には、これが特性データ供給部60に送られる。
【0050】
画像処理条件を受け取ったパラメータ統合部76は、これを、プレスキャン画像処理部44の処理部50、および本スキャン画像処理部46の処理部54の所定部位(ハードウエア)に設定する。
次いで、プレスキャンメモリ40からプレスキャンデータが読み出され、処理部50において設定された画像処理条件で処理されて、画像データ変換部52で変換されて、所定の処理を施されたプレスキャン画像が、ディスプレイ20に表示される。この際、ディスプレイ20に表示する画像にも、先と同様にして倍率色収差や歪曲収差の補正を行ってもよい。
【0051】
オペレータは、ディスプレイ20の表示を見て、画像すなわち処理結果の確認(検定)を行い、必要に応じて、キーボード18aに設定された前記各キー等を用いて色/濃度、階調等を調整する。
この調整の入力は、キー補正部74に送られ、キー補正部74は調整入力に応じた画像処理条件の補正量を算出し、これをパラメータ統合部76に送る。パラメータ統合部76は、送られた補正量に応じて、前述のように、処理部50および処理部54のLUTやMTXを補正し、この補正すなわちオペレータによる調整入力に応じて、ディスプレイ20に表示される画像も変化する。
【0052】
オペレータは、ディスプレイ20に表示される画像が適正である判定(検定OK)すると、キーボード18a等を用いてプリント開始を指示する。これにより、画像処理条件が確定し、本スキャンメモリ42から本スキャンデータが読み出され、本スキャン画像処理部46の処理部54に送られる。
【0053】
処理部54において、画像データは、LUTおよびMTXで処理された後、収差補正部56に送られる。一方、特性データ供給部60は、取得したカメラの判別情報から、対応するレンズ特性を読み出し、これを収差補正部56に送る。
収差補正部56は、レンズ特性と画像データの画素位置とから、前述のようにして、座標変換処理部56Aにおいて、倍率色収差および歪曲収差を補正した画素位置Ir,IgおよびIbを算出して、これを拡大縮小処理部56Bに送り、拡大縮小処理部56Bでは、この画素位置Ir,IgおよびIbを用いて、拡大/縮小率に応じた画像データのN倍補間を行って画像の電子変倍を行い、倍率色収差および歪曲収差の補正、ならびに電子変倍処理を施された画像データとしてブロック54Aに出力する。
なお、座標変換処理部56Aでの画素位置Ir,IgおよびIbの算出は、画像データの供給に先立ち、特性データ供給部60からレンズ特性の情報を受けた時点で行ってもよい。
【0054】
画像データは、さらに、ブロック54Aにおいてシャープネス処理や覆い焼き処理等の必要な画像処理を施され、画像データ変換部58に送られ、画像データ変換部58においてプリンタ16による画像記録に応じた画像データに変換され、プリンタ16に送られる。
なお、検定を行わない場合には、パラメータ統合部76による本スキャン画像処理部46の処理部54への画像処理条件の設定を終了した時点で画像処理条件が確定し、自動的に本スキャンデータの処理を行って、プリンタ16に送る。
これらは、作業モード等で選択できるようにするのが好ましい。
【0055】
前述のように、処理装置14で処理された画像データは、プリンタ16に送られる。
プリンタ16は、感光材料(印画紙)を画像データに応じて露光して潜像を記録し、感光材料に応じた現像処理を施して(仕上り)プリントとして出力するものである。例えば、感光材料をプリントに応じた所定長に切断した後に、バックプリントの記録、感光材料(印画紙)の分光感度特性に応じた、赤(R)露光、緑(G)露光および青(B)露光Gの3種の光ビームを画像データ(記録画像)に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、主走査方向と直交する副走査方向に感光材料を搬送することによる潜像の記録等を行い、潜像を記録した感光材料に、発色現像、漂白定着、水洗等の所定の湿式現像処理を行い、乾燥してプリントとした後に、仕分けして集積する。
【0056】
以上、本発明の画像処理方法および画像処理装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0057】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、レンズ付きフィルム、安価なコンパクトカメラやデジタルカメラ等で撮影された画像であっても、画像処理によって撮影画像の倍率色収差や歪曲収差等を補正することができるので、色ずれや歪等のない高画質な画像を安定して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理装置を利用するデジタルフォトプリンタの一例のブロック図である。
【図2】図1に示されるデジタルフォトプリンタの画像処理装置の一例のブロック図である。
【図3】図2に示される画像処理装置の収差補正部の概念図である。
【符号の説明】
10 (デジタル)フォトプリンタ
12 スキャナ
14 (画像)処理装置
16 プリンタ
18 操作系
18a キーボード
18b マウス
20 ディスプレイ
22 光源
24 可変絞り
26 色フィルタ板
28 拡散ボックス
32 結像レンズユニット
34 CCDセンサ
36 アンプ
38 データ処理部
40 プレスキャン(フレーム)メモリ
42 本スキャン(フレーム)メモリ
44 プレスキャン画像処理部
46 本スキャン画像処理部
48 条件設定部
50,54 (画像)処理部
52,58 画像データ変換部
56 収差補正部
56A 座標変換処理部
56B 拡大縮小処理部
60 (レンズ)特性データ供給部
72 (画像処理条件)設定部
74 キー補正部
76 パラメータ統合部
Claims (15)
- 光学的に撮影された画像から画像データを得、前記画像データを可視像として再現する際における、前記光学的に撮影された画像の倍率色収差、歪曲収差、周辺光量、および画像ボケの少なくとも一つを補正する画像処理方法であって、
前記画像を撮影したレンズの特性と、前記画像の位置情報とから、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つを補正した画像位置を算出し、
前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つが補正された前記画像位置を用いて電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つの補正のための補間演算処理と前記電子変倍処理のための補間演算処理とを一回の補間演算処理で行うことを特徴とする画像処理方法。 - 前記画像の位置情報は、撮影時のレンズの光軸を基準とするものである請求項1に記載の画像処理方法。
- 前記レンズの特性は、複数のレンズに対応する補正式および前記複数のレンズの各々に対応する、前記補正式の補正係数を含み、
前記補正は、前記補正式と、前記画像を撮影したレンズに応じた前記補正式の補正係数と、前記画像の位置情報とから行われるものである請求項1または2に記載の画像処理方法。 - 前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量から、前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置を算出して前記画像の倍率色収差を補正し、
あるいは、前記歪曲収差に起因する画像のずれ量から、前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置を算出して前記画像の歪曲収差を補正し、
あるいは、前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量と、前記歪曲収差に起因する前記基準となる色の画像のずれ量とから、前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を算出して、前記画像の倍率色収差および歪曲収差を補正するものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理方法。 - 前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を用いて、前記電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記歪曲収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記倍率色収差および歪曲収差の補正と電子変倍処理のための各補間演算処理を一回の補間演算処理で行う請求項4に記載の画像処理方法。
- 前記画像を撮影したレンズの特性は、フィルムに光学的もしくは磁気的に記録されているレンズに関する情報、および/または、フィルムカートリッジに電気的に記録されているレンズに関する情報を、前記画像を撮影したレンズの判別情報として取得し、この判別情報に応じて、複数のレンズに応じたレンズ特性をそれぞれ前記判別情報に対応付けて記憶する記憶手段から受け取られるものである請求項1〜5のいずれかに記載の画像処理方法。
- 可視像として再現したプリントとするために、前記補正が行われた画像データを出力する請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理方法。
- 光学的に撮影された画像から得られた画像データに所定の画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理装置であって、
前記画像を撮影した撮影レンズの判別情報を取得する取得手段、撮影レンズ種に応じたレンズ特性を記憶する記憶手段、および前記取得手段が取得した判別情報に応じて、前記記憶手段から対応する撮影レンズのレンズ特性を受け取り、画像の位置情報とレンズ特性とから、画像の倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つを補正した画像位置を算出し、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つを補正した画像位置を用いて電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つの補正のための補間演算処理と前記電子変倍処理のための補間演算処理とを一回の補間演算処理で行う補正手段を有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記補正手段は、前記倍率色収差および歪曲収差の少なくとも一つに加え、さらに、前記画像の周辺光量および画像ボケの少なくとも一つを補正する請求項8に記載の画像処理装置。
- 前記画像の位置情報は、撮影時のレンズの光軸を基準とするものである請求項8または9に記載の画像処理装置。
- 複数の撮影レンズ種に対応する補正式を有し、前記記憶手段は、前記レンズ特性として、この補正式の補正係数を記憶する請求項8〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
- 前記補正手段が、前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量から、前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置を算出して前記画像の倍率色収差を補正する、
あるいは、前記歪曲収差に起因する画像のずれ量から、前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置を算出して前記画像の歪曲収差を補正する、
あるいは、前記倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対する他の色の画像のずれ量と、前記歪曲収差に起因する前記基準となる色の画像のずれ量とから、前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を算出して、前記画像の倍率色収差および歪曲収差を補正する、請求項8〜11のいずれかに記載の画像処理装置。 - 前記補正手段が、前記3原色の各色の画像の倍率色収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の歪曲収差を補正した画像位置、もしくは前記各色の画像の倍率色収差および歪曲収差を補正した画像位置を用いて、前記電子変倍処理を行うことにより、前記倍率色収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記歪曲収差の補正と電子変倍処理、あるいは前記倍率色収差および歪曲収差の補正と電子変倍処理のための各補間演算処理を一回の補間演算処理で行う請求項12に記載の画像処理装置。
- 前記取得手段は、フィルムに光学的もしくは磁気的に記録されているレンズに関する情報、および/または、フィルムカートリッジに電気的に記録されているレンズに関する情報を、判別情報として取得する請求項8〜13のいずれかに記載の画像処理装置。
- 画像処理を施した出力用の画像データを可視像として再現したプリントを出力する装置に接続される請求項8〜14のいずれかに記載の画像処理装置。
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