JPH06307807A - 走査型トンネル顕微鏡及び情報処理装置 - Google Patents

走査型トンネル顕微鏡及び情報処理装置

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JPH06307807A
JPH06307807A JP12323293A JP12323293A JPH06307807A JP H06307807 A JPH06307807 A JP H06307807A JP 12323293 A JP12323293 A JP 12323293A JP 12323293 A JP12323293 A JP 12323293A JP H06307807 A JPH06307807 A JP H06307807A
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scanning
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JP12323293A
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English (en)
Inventor
Osamu Takamatsu
修 高松
Yoshimasa Okamura
好真 岡村
Yoshihiro Yanagisawa
芳浩 柳沢
Yasuhiro Shimada
康弘 島田
Toshimitsu Kawase
俊光 川瀬
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 探針先端部の再生を可能にした走査型トンネ
ル顕微鏡を提供する。 【構成】 探針2の先端部が劣化した時に、その再生を
行うための成型部14と前処理部15とを有する再生ユ
ニット3が、探針2の走査範囲内に試料1と共にXYス
テージ10上に搭載されている走査型トンネル顕微鏡。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型トンネル顕微鏡
及び、その原理を応用して情報の高密度記録、再生、消
去を行う情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、導体の表面原子の電子構
造を直接観測できる走査型トンネル顕微鏡(以下、ST
Mと略す)が開発され[G.Binning et a
l.,Phys.Rev.Lett.49(1982)
57]、単結晶、非結晶を問わず実空間像を著しく高い
分解能(ナノメートル以下)で観察できるようになっ
た。
【0003】かかるSTMは、金属の探針と導電性物質
の間に電圧を加えて、1nm程度の距離まで近づける
と、その間にトンネル電流が流れることを利用してい
る。この電流は両者の距離変化に非常に敏感で且つ指数
関数的に変化するので、トンネル電流を一定に保つよう
に探針を走査することにより、実空間の表面構造を原子
オーダーの分解能で観察することができる。
【0004】このSTMを用いた解析は導電性材料に限
られるが、導電性材料の表面に薄く形成された絶縁膜の
構造解析にも応用され始めている。更に、上述の装置、
手段は微小電流を検知する方法を用いているため、媒体
に損傷を与えず、且つ低電力で観測できる利点をも有す
る。また、大気中での動作も可能であるため、STMの
広範囲な応用が期待されている。
【0005】特に、特開昭63−161552号公報、
特開昭63−161553号公報等に提案されているよ
うに、高密度な記録再生装置としての実用化が積極的に
進められている。これは、STMと同様の探針を用い
て、探針と記録媒体間に印加する電圧を変化させて情報
の記録を行うものであり、記録媒体としては、電圧−電
流特性においてメモリ性のあるスイッチング特性を示す
材料、例えばカルコゲン化物類、π電子系有機化合物の
薄膜層を用いている。一方、再生については、記録を行
った領域とそうでない領域のトンネル抵抗の変化により
行っている。尚、この記録方式を用いる記録媒体として
は、探針に印加する電圧により記録媒体の表面形状が変
化するものの適用も可能である。
【0006】従来の一般的なSTMは、導電性試料表面
と導電性探針先端部との間に流れるトンネル電流を検出
し、トンネル電流が一定になるように、試料表面と探針
との間隔を電気的フィードバックにより制御し、原子・
分子の構造を画像として表示する方式が採用されてい
る。このようなSTMの分解能は探針先端部の曲率半径
で決定されるため、探針先端部をより尖鋭にすることが
必要となる。そのために、一般的な探針として、白金や
タングステン棒の先端を機械的研磨により円錐状に尖ら
せたものや、電解研磨法により先端を尖鋭化したものが
用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
のSTM及び情報処理装置は以下のような問題点を有し
ていた。
【0008】トンネル電流を検知しながら探針で試料あ
るいは記録媒体表面を走査しているうちに、フィードバ
ックの制御範囲を超えるような凹凸があった場合や、非
導電性の吸着物等があった場合に、探針と試料との衝突
が起き、尖鋭な探針先端形状が損なわれたり、探針先端
部に異物が付着したりし、分解能の低下が生じ以後の検
出が妨げられてしまうという問題があり、その度に探針
を交換する必要があった。探針を交換するためには走査
ユニットを取りはずさなければならないため、操作性が
悪く、再度試料観察を行っても探針の交換前とは全く違
う領域を観察してしまうという問題があった。特に情報
処理装置に於ては記録データの連続性が悪くなり、信頼
性,安定性が著しく低下するという問題があった。
【0009】更に、従来例の探針では先端形状及び先端
部の位置のばらつきが大きかったため、交換しても十分
な分解能が得られない場合には再度交換しなおす必要が
あり、時間がかかるという問題があった。特に情報処理
装置に於ては、先端形状のばらつきは記録情報のばらつ
きを生じさせ、再生時には読み取りエラーが生じるため
信頼性が著しく低下するという問題があった。
【0010】そこで、本発明の目的は、上記従来例の問
題点に鑑み、装置内で探針先端部の再生を行えるように
し、探針を交換しなくても再現性の良い安定な特性が得
られ、信頼性,安定性に優れた走査型トンネル顕微鏡、
並びに情報処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
すべく成された本発明は、試料表面を探針で走査して試
料表面の情報を検出する走査型トンネル顕微鏡におい
て、上記探針の走査範囲内に探針先端の成型部と前処理
部とを有する再生ユニットを設けたことを特徴とする走
査型トンネル顕微鏡であり、また、記録媒体と探針間に
電圧を印加して記録及び消去を行い、更に記録媒体と探
針間を流れるトンネル電流を検出し再生を行うことによ
り情報処理を行う装置において、上記探針の走査範囲内
に探針先端の成型部と前処理部とを有する再生ユニット
を設けたことを特徴とする情報処理装置である。
【0012】本発明によれば、尖鋭な探針先端形状が試
料等との衝突や異物の付着により損なわれ、分解能の低
下が生じた場合に、探針の走査範囲内に配置されている
再生ユニットにより、探針を装置に取りつけたままで劣
化した探針先端部を再生できるものである。
【0013】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0014】図2は本発明に係る再生ユニットの一例を
示したものであり、図中14は成型部、15は前処理
部、25は再生ユニット基板である。
【0015】成型部14は探針先端を成型する部分であ
り、好ましくは凹形状で底部が一点となるように形成さ
れる。その形成方法としては、再生ユニット基板25に
例えばシリコン単結晶基板を用い、結晶軸異方性エッチ
ングにより逆ピラミッド形状を得る方法、また集束イオ
ンビームにより加速イオンを集中衝突させ穴を形成する
方法等を用いることができる。また、前処理部15は探
針先端の表面または付着物を削り探針表面を露出する部
分であり、好ましくは凹凸形状の荒れた表面になるよう
に形成される。このような前処理部15としては、成膜
により形成した薄膜の結晶粒やエッチングによる表面荒
れなどを用いることができる。尚、成型部及び前処理部
の材料は導電性材料で探針材料より硬く、摩耗しにくい
ことが好ましい。例えばSi,TiN,TiC,WC等
を用いるのが好ましく、また成型部上にこれらの薄膜を
被覆してもよい。
【0016】本発明において、図2に示したような再生
ユニットは探針の走査範囲内、例えば試料あるいは記録
媒体が搭載されるステージ上に載置される。
【0017】このことにより、試料表面の観察あるいは
記録再生を中断し、劣化した探針先端部を再生ユニット
で再生させた後、観察あるいは記録再生動作を再開した
場合に、中断前と同一の位置か、少なくとも非常に近傍
の位置を再度観察できると共に、連続的な記録再生を行
うことが可能となる。
【0018】続いて、上記再生動作の一例を図3を用い
て簡単に説明する。
【0019】図3はこの再生動作を模式的に示したもの
であり、XYステージ10上に試料1と再生ユニット3
が設置されている。更に試料1上に探針2が配置されて
おり、試料1のSTM観察が行なわれている(図3
(a)参照)。
【0020】STM観察中に探針2の先端部が劣化する
と観察を中断し、XYステージ10を用いて、再生ユニ
ット3の前処理部15を探針2の下に移動し、次に探針
2の先端部と前処理部15間に電流が流れるまで接近さ
せた後、探針2をXY方向に走査させることにより、付
着物等を取り除き探針材料を露出させる(図3(b)参
照)。この時、探針先端部は若干削られ先が平らな形状
になる。
【0021】続いて、探針2を再生ユニット3より離し
てから、更にXYステージ10を移動させ探針2の下に
成型部14の中心が来るように移動させる。次に探針2
の先端部と成型部14間に電流が流れるまで接近させた
後、不図示の積層圧電素子等を用いて探針2を成型部4
に押込むことにより、探針2の先端部の形状を成型部1
4の底部の形状に成型する(図3(c)参照)。
【0022】その後、探針2を再生ユニット3より離し
てから、XYステージ10を用いて試料1の観察を一時
中断した場所を探針2の下に移動させSTM観察を再開
する(図3(d)参照)。
【0023】ところで、探針材料の引張強さは、例えば
金で13kg/mm2 、プラチナで16kg/mm2
Pt−Rh10%で32kg/mm2 、タングステンで
30kg/mm2 であり、その耐力(永久ひずみ0.2
%の応力)は引張強さの1/2〜1/3程度である。こ
こで、成型部14と探針2先端部の接触面積が100μ
2 、探針の耐力を15kg/mm2 としても、荷重と
しては5gあれば成型が可能である。なお、上記の積層
圧電素子を用いれば発生力として10kg以上が可能で
あり、円筒型圧電素子でも100g以上が得られるため
成型荷重としては充分である。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0025】実施例1 本実施例は本発明の走査型トンネル顕微鏡の実施例であ
る。
【0026】図1は本実施例の走査型トンネル顕微鏡の
概略構成図である。図中1は試料、2は探針、3は再生
ユニットであり、再生ユニット3は14の成型部及び1
5の前処理部で構成されている。4はZ方向微動制御機
構であり、8のZ方向駆動回路により駆動される。5は
XY方向微動制御機構であり、9のXY走査駆動回路に
より駆動される。6はトンネル電流検知回路、7はバイ
アス電源、10はXYステージ、13はZ方向粗動機構
であり、11のXYZ粗動駆動回路により駆動される。
23は積層圧電素子であり、24の押込駆動回路により
駆動される。12はマイクロコンピューターであり、Z
方向駆動回路8、XY走査駆動回路9、トンネル電流検
知回路6、バイアス電源7、XYZ粗動駆動回路11及
び押込駆動回路24を制御している。17は表示装置で
ある。
【0027】Z方向微動制御機構4及びXY方向微動制
御機構5を有する円筒型圧電素子に探針2が取り付けら
れている。尚、探針2には電解研磨法で作製した金を用
いた。また、XYステージ10上には試料1と再生ユニ
ット3が配置されており、探針2に対して試料1と再生
ユニット3をXY方向に移動できるようになっている。
【0028】以下に、本装置における試料表面の観察動
作を説明する。
【0029】先ず、探針2と試料1との間にバイアス電
源7によりバイアス電圧をかけ、探針2を試料1の表面
にトンネル電流が流れる距離までZ方向粗動機構13に
より接近させる。その際、Z方向粗動機構13はXYZ
粗動駆動回路11により制御される。トンネル電流が流
れる距離まで接近したとき、探針2と試料1間のトンネ
ル電流をトンネル電流検知回路6で検出し、トンネル電
流が一定となるようにZ方向駆動回路8を通してZ方向
微動制御機構4にフィードバック制御をかける。
【0030】次に、トンネル電流が一定となるように探
針2を制御しながら、XY走査駆動回路9により、XY
方向微動制御機構5に探針2が試料1の表面をXY方向
に2次元的に走査できるような電圧を印加する。このと
き、探針2は試料1の表面の凹凸形状に追従するように
Z方向に駆動されるので、その駆動信号をXY走査信号
に同期してマイクロコンピューター12に取り込み、画
像処理を行えば表面の形状を表示装置17に像として得
ることができる。
【0031】XYステージ10上には試料1と並んで再
生ユニット3が配置されており、試料1と同様にバイア
ス電源7によりバイアス電圧が印加されている。そのた
め、XYステージ10をXYZ粗動駆動回路11により
移動することにより、再生ユニット3の観察もできるよ
うになっている。
【0032】次に、再生ユニット3の説明をする。再生
ユニット3は図2に示したようなものであり、基板25
の表面に底部が点となるような成型部14が少なくとも
ひとつ以上形成されている。更に基板25の表面には前
処理部15が形成されている。本実施例では基板25に
は高濃度に不純物をドープした低抵抗の(100)単結
晶シリコン基板を用い、成型部14の形成は結晶軸異方
性エッチングで加工した。また、前処理部15には基板
表面をフッ酸系のエッチング液を用いて少しエッチング
し、500Å程度の凹凸を形成したものを用いた。な
お、再生ユニットの形成方法としては、従来公知の技
術、例えば半導体産業で一般に用いられている真空蒸着
法やスパッタ法、化学気相成長法等の薄膜作製技術やフ
ォトリソグラフ技術及びエッチング技術を適用すること
ができ、その作製方法は本発明を制限するものではな
い。
【0033】次に、本実施例における探針先端部の再生
動作について、図1と図3を用いて試料観察動作と共に
説明する。
【0034】図3は、この再生動作を模式的に示したも
のであり、XYステージ10上に試料1と再生ユニット
3が設置されている。更に試料1上に探針2が配置され
ており、試料1のSTM観察が行われている(図3
(a)参照)。この動作を継続している途中で試料1の
局所的な突出部と探針2の先端部とが接触してしまった
場合、この時点で探針2の分解能は低下し、表示装置1
7には著しい像の変化が表れる。
【0035】次に、ここで観察動作を一時中断し、XY
座標位置をマイクロコンピューター12にメモリーして
おく。その後、探針2をZ方向粗動機構13により試料
1より離し、その後XYステージ10をマイクロコンピ
ューター12により制御し移動させ、探針2の下に再生
ユニット3の前処理部15を移動させた。更に探針2と
前処理部15間に電流が流れるまで接近させた後、フィ
ードバック制御を解除しこれらの距離を一定に保ってお
き、続いて押込み駆動回路24を通して積層圧電素子2
3に電圧を印加し探針2を前処理部15に50Å押込
み、XY走査を行い探針2の先端部の付着物及び探針先
端部を削り探針表面を露出させた(図3(b)参照)。
【0036】次に、上述の移動と同様にして探針2の下
に成型部14を移動させた後、STM観察を行い成型部
14の底部の真上に探針先端部が来るように位置合わせ
した。尚、成型部14及び前処理部15の位置座標を入
力しておくことにより、2回目以降、位置合わせのため
のSTM観察は省略可能である。
【0037】次に、探針2と成型部14の底部付近でト
ンネル電流が流れる状態でフィードバック制御を解除
し、すぐに押込み駆動回路24を通して積層圧電素子2
3により探針2を成型部14に押込み、探針2の先端部
を成型部14の底部の形状に成型した(図3(c)参
照)。
【0038】次に、探針2を積層圧電素子23により成
型部14から離し、XYステージ10を先にメモリーし
たXY座標位置(一時中断した場所)に移動させ、再生
された探針2の先端部と試料1との間をトンネル電流が
流れるまで接近させてSTM動作を行った(図3(d)
参照)。ここで、一時中断前に探針2で見たSTM像と
比べて分解能が同等か、もしくはそれ以上であることを
確認し表面観察を再開した。尚、分解能が悪い場合には
再度再生を行う。
【0039】本実施例では、XYステージ10として高
精度なエンコーダー及び高精度軸受け機構とステッピン
グモーターとの組み合わせを用いたため、XYステージ
10の位置再現精度は±0.5μmを得ることができ
る。また、本実施例に用いた円筒型圧電素子からなるX
Y方向微動制御機構5のXYスキャン領域が5μmであ
るので、観察を中断する前とほぼ同一の位置を再度観察
することが可能であった。
【0040】以上説明した動作により、探針先端部が劣
化した場合に探針先端部を再生し、STM観察を行った
ところ、常に安定したSTM像が得られた。また、この
動作は再現性よく安定に行えることが確認できた。
【0041】実施例2 本実施例では、実施例1のSTMを応用し、情報の記
録、再生及び消去の機能を併有する情報処理装置につい
て述べる。
【0042】図4は本実施例の情報処理装置の概略構成
図である。先ず、図1のSTMと異なるところを説明す
る。
【0043】図4において、22は記録媒体であり、1
8の基板上に19の電極,20の記録層が形成されてお
り、電極19はバイアス電源7に接続されている。21
はパルス電源であり、探針2に接続されており、情報の
記録のための書き込みパルス及び消去のための消去パル
スを発生させる。尚、パルス電圧を印加する時、トンネ
ル電流が急激に変化するため、フィードバック制御を解
除しZ方向微動制御機構4を一定に保つようになってい
る。本情報処理装置ではXYステージ10上に再生ユニ
ット3に近接して試料1の代わりに記録媒体22を設置
してあり、該記録媒体22としては特開昭63−161
552号公報及び特開昭63−161553号公報に開
示されているAu電極19上に記録層20としてポリイ
ミドLB膜(2層膜)を積層したものを用いた。また、
再生ユニット3には実施例1と同じものを用いた。
【0044】次に、本実施例の情報処理装置の動作につ
いて図4を用いて説明する。
【0045】先ず、探針2と記録媒体22との間にバイ
アス電源7によりバイアス電圧をかけ、探針2を記録媒
体22の表面にトンネル電流が流れる距離までZ方向粗
動機構13により接近させる。その際、Z方向粗動機構
13はXYZ粗動駆動回路11により制御される。トン
ネル電流が流れる距離まで接近したとき、探針2と記録
媒体22の表面間のトンネル電流をトンネル電流検知回
路6で検出し、トンネル電流が一定となるようにZ方向
駆動回路8を通してZ方向微動制御機構4にフィードバ
ック制御をかける。
【0046】次に、トンネル電流が一定となるように探
針2を制御しながら、XY走査駆動回路9により、XY
方向微動制御機構5に探針2が試料1の表面をXY方向
に2次元的に走査できるような電圧を印加する。本実施
例では、XY方向に探針2を走査しながら、バイアス電
圧(0.1V)に波高値−6V及び+1.5Vの連続し
たパルス波を重畳した電圧を試料・探針間に印加するこ
とで電気的な情報の書き込みを行った。更に、得られる
STM像から記録情報の読み出しを行った結果、記録情
報と再生情報が再現性良く一致することを確かめた。ま
た、記録媒体上の記録を行った領域に探針2が接近した
時点で、波高値3Vのパルス電圧を上記バイアス電圧に
重畳する操作を行ったところ、再生されるSTM像から
記録された情報が消去されたことを確認した。
【0047】以上の動作を継続している途中で記録媒体
22の局所的な突出部と探針2の先端部とが接触してし
まった場合、この時点で探針2の分解能は低下し、表示
装置17には著しい像の変化が表れる。例えば、通常の
記録ビットサイズが10nmであったものが数倍のサイ
ズに変化したり、トンネル電流が不安定になり、ノイズ
が発生したりするため、記録、再生、消去が困難にな
る。
【0048】次に、ここで動作を一時中断し、XY座標
位置をマイクロコンピューター12にメモリーしてお
く。尚、XYステージ10として高精度なエンコーダー
及び高精度軸受け機構とステッピングモーターとの組み
合わせを用いたため、XYステージ10の位置再現精度
は±0.5μmを得ることができる。また、本実施例に
用いた円筒型圧電素子からなるXY方向微動制御機構5
のXYスキャン領域が5μmであるので、観察を中断す
る前とほぼ同一の位置を再度観察することが可能であ
る。
【0049】その後、探針2をZ方向粗動機構13によ
り記録媒体22より離し、その後XYステージ10をマ
イクロコンピューター12により制御し移動させ、探針
2の下に再生ユニット3の前処理部15を移動させた。
更に探針2と前処理部15間に電流が流れるまで接近さ
せた後、フィードバック制御を解除しこれらの距離を一
定に保っておき、続いて押込み駆動回路24を通して積
層圧電素子23に電圧を印加し探針2を前処理部15に
50Å押込み、XY走査を行い探針2の先端部の付着物
及び探針先端部を削り探針表面を露出させた。
【0050】次に、上述の移動と同様にして探針2の下
に成型部14を移動させた後、STM観察を行い成型部
14の底部の真上に探針先端部が来るように位置合わせ
した。尚、成型部14及び前処理部15の位置座標を入
力しておくことにより、2回目以降、位置合わせのため
のSTM観察は省略可能である。
【0051】次に、探針2と成型部14の底部付近でト
ンネル電流が流れる状態でフィードバック制御を解除
し、すぐに押込み駆動回路24を通して積層圧電素子2
3により探針2を成型部14に押込み、探針2の先端部
を成型部14の底部の形状に成型した。
【0052】次に、探針2を積層圧電素子23により成
型部14から離し、XYステージ10を先にメモリーし
たXY座標位置(一時中断した場所)に移動させ、再生
された探針2の先端部と記録媒体22との間をトンネル
電流が流れるまで接近させて情報の再生を行った。更
に、情報の記録を行い、一時中断前に探針2で見たST
M像と比べて記録ビットサイズが適正であることを確認
し操作を再開した。尚、記録ビットサイズが大きい場合
には再度再生を行う。また、記録途中で中断した場合に
は、記録データの最後の箇所を見つけ出し連続的に情報
を入力し直すことが可能である。
【0053】以上説明した動作により、探針先端部が劣
化した場合に探針先端部を再生し、記録、再生、消去実
験を行ったところ、常に安定した特性が得られた。ま
た、この動作は再現性よく安定に行えることが確認でき
た。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の走査型ト
ンネル顕微鏡及び情報処理装置は以下のような効果を奏
する。 (1)探針を装置に取りつけたままで劣化した探針の先
端部の再生が可能なため、装置の分解が不要となり操作
性が向上した。 (2)探針先端のクリーニング及び成型により再生が行
なわれるため、探針先端部の形状再現性が向上し、常に
尖鋭な探針が得られ、再現性良くSTM像の観察や記録
再生を行うことができる。 (3)試料あるいは記録媒体が搭載されているステージ
上に再生ユニットを載置することにより、探針先端部の
再生前後において、同一あるいは極近傍の位置の観察が
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走査型トンネル顕微鏡の一実施例を示
す概略構成図である。
【図2】本発明に係る再生ユニットの断面斜視図の一例
である。
【図3】本発明の走査型トンネル顕微鏡の動作を説明す
るための図である。
【図4】本発明の情報処理装置の一実施例を示す概略構
成図である。
【符号の説明】
1 試料 2 探針 3 再生ユニット 4 Z方向微動制御機構 5 XY方向微動制御機構 6 トンネル電流検知回路 7 バイアス電源 8 Z方向駆動回路 9 XY走査駆動回路 10 XYステージ 11 XYZ粗動駆動回路 12 マイクロコンピューター 13 Z方向粗動駆動機構 14 成型部 15 前処理部 17 表示装置 18 基板 19 電極 20 記録層 21 パルス電源 22 記録媒体 23 積層圧電素子 24 押込み駆動回路 25 再生ユニット基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 康弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 川瀬 俊光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面を探針で走査して試料表面の情
    報を検出する走査型トンネル顕微鏡において、上記探針
    の走査範囲内に探針先端の成型部と前処理部とを有する
    再生ユニットを設けたことを特徴とする走査型トンネル
    顕微鏡。
  2. 【請求項2】 記録媒体と探針間に電圧を印加して記録
    及び消去を行い、更に記録媒体と探針間を流れるトンネ
    ル電流を検出し再生を行うことにより情報処理を行う装
    置において、上記探針の走査範囲内に探針先端の成型部
    と前処理部とを有する再生ユニットを設けたことを特徴
    とする情報処理装置。
  3. 【請求項3】 前記再生ユニットは、前記試料を搭載す
    るステージ上に配置されることを特徴とする請求項1記
    載の走査型トンネル顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記再生ユニットは、前記記録媒体を搭
    載するステージ上に配置されることを特徴とする請求項
    2記載の情報処理装置。
  5. 【請求項5】 前記成型部は、凹形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の走査型トンネル顕微
    鏡。
  6. 【請求項6】 前記成型部は、凹形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
  7. 【請求項7】 前記前処理部は、凹凸形状に形成されて
    いることを特徴とする請求項1記載の走査型トンネル顕
    微鏡。
  8. 【請求項8】 前記前処理部は、凹凸形状に形成されて
    いることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100956165B1 (ko) * 2008-11-27 2010-05-19 한국과학기술원 유체의 유동저항을 기반으로 하는 표면 분석 측정 방법을 이용한 원자현미경

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