JPH06294605A - 走査型トンネル顕微鏡及び情報処理装置 - Google Patents

走査型トンネル顕微鏡及び情報処理装置

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JPH06294605A
JPH06294605A JP12323093A JP12323093A JPH06294605A JP H06294605 A JPH06294605 A JP H06294605A JP 12323093 A JP12323093 A JP 12323093A JP 12323093 A JP12323093 A JP 12323093A JP H06294605 A JPH06294605 A JP H06294605A
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JP12323093A
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English (en)
Inventor
Osamu Takamatsu
修 高松
Yoshihiro Yanagisawa
芳浩 柳沢
Yoshimasa Okamura
好真 岡村
Yasuhiro Shimada
康弘 島田
Nobuo Watanabe
信男 渡邊
Toshimitsu Kawase
俊光 川瀬
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 探針交換の操作性を向上した走査型トンネル
顕微鏡を提供する。 【構成】 探針2の先端に接合可能な予備探針先端部1
4を複数有する探針ユニット3が、探針2の走査範囲内
に試料1と共にXYステージ上に搭載されている走査型
トンネル顕微鏡。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型トンネル顕微鏡
及びその原理を応用した情報の高密度記録、再生、消去
を行う情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、導体の表面原子の電子構
造を直接観測できる走査型トンネル顕微鏡(以下、ST
Mと略す)が開発され[G.Binning et a
l.,Phys.Rev.Lett.49(1982)
57]、単結晶、非結晶を問わず実空間像を著しく高い
分解能(ナノメートル以下)で観察できるようになっ
た。
【0003】かかるSTMは、金属の探針と導電性物質
の間に電圧を加えて、1nm程度の距離まで近づける
と、その間にトンネル電流が流れることを利用してい
る。この電流は両者の距離変化に非常に敏感で且つ指数
関数的に変化するので、トンネル電流を一定に保つよう
に探針を走査することにより、実空間の表面構造を原子
オーダーの分解能で観察することができる。
【0004】このSTMを用いた解析は導電性材料に限
られるが、導電性材料の表面に薄く形成された絶縁膜の
構造解析にも応用され始めている。更に、上述の装置、
手段は微小電流を検知する方法を用いているため、媒体
に損傷を与えず、且つ低電力で観測できる利点をも有す
る。また、大気中での動作も可能であるためSTMの広
範囲な応用が期待されている。特に、特開昭63−16
1552号公報、特開昭63−161553号公報等に
提案されているように、高密度な記録再生装置としての
実用化が積極的に進められている。これは、STMと同
様の探針を用いて、探針と記録媒体間に印加する電圧を
変化させて記録を行うものであり、記録媒体としては、
電圧−電流特性においてメモリ性のあるスイッチング特
性を示す材料、例えばカルコゲン化物類、π電子系有機
化合物の薄膜層を用いている。一方、再生については、
記録を行った領域とそうでない領域のトンネル抵抗の変
化により行っている。この記録方式を用いる記録媒体と
しては、探針に印加する電圧により記録媒体の表面形状
が変化するものでも記録再生が可能である。
【0005】従来の一般的なSTMは、導電性試料表面
と導電性探針先端部との間に流れるトンネル電流を検出
し、トンネル電流が一定になるように、試料表面と探針
との間隔を電気的フィードバックにより制御し、原子・
分子の構造を画像として表示する方式が採用されてい
る。このようなSTMの分解能は探針先端部の曲率半径
で決定されるため、探針先端部をより尖鋭にすることが
必要となる。そのために、一般的な探針として、白金や
タングステン棒の先端を機械的研磨により円錐状に尖ら
せたものや、電解研磨法により先端を尖鋭化したものが
用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
STM及び情報処理装置は以下のような問題点を有して
いた。
【0007】トンネル電流を検知しながら探針で同一の
試料あるいは記録媒体表面を走査しているうちに、フィ
ードバックの制御範囲を超えるような凹凸があった場合
や、非導電性の吸着物等があった場合に、探針と試料の
衝突が起き、尖鋭な探針先端形状が損なわれ、分解能の
低下が生じ以後の検出が妨げられてしまうという問題が
あり、その度に探針を交換する必要があった。一方、試
料表面の形状によっては探針を交換して観察する必要が
あった。例えば、光ディスクの表面に形成された情報ビ
ットは深さ0.1μm、幅0.4μm程度であるため、
通常の探針では情報ビット内の観察は困難であった。こ
のため、更に先端をイオンスパッタエッチング等で加工
した細い探針を用いて観察を行っていたが、この様な探
針は製造コストが高く、先端の立体角が小さく形成され
ているため、剛性が低く損傷を受けやすいという問題が
あった。また、試料表面が平坦な面の原子或は分子の像
を観察する場合、探針の最先端部のクラスター(原子の
塊)が実質的にトンネル電流の流れる領域になるため、
先端の立体角が大きく、剛性が高く、損傷しにくいもの
でも原子を解像できるため、観察試料や観察目的により
探針を交換する必要があった。探針を交換するためには
走査ユニットを取りはずさなければならないため、操作
性が悪く、再度試料観察を行っても今までとは全く違う
領域を観察してしまうという問題があった。特に情報処
理装置に於ては記録データの連続性が悪くなり、信頼
性,安定性が著しく低下するという問題があった。
【0008】更に、従来例の探針では先端形状及び先端
部の位置のばらつきが大きかったため、交換しても十分
な分解能が得られない場合には再度交換しなおす必要が
あり、時間がかかるという問題があった。特に情報処理
装置に於ては、先端形状のばらつきは記録情報のばらつ
きを生じさせ、再生時には読み取りエラーが生じるため
信頼性が著しく低下するという問題があった。
【0009】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点に鑑み、探針交換の操作性を向上させ、再現性の
良い安定な特性が得られ、信頼性、安定性に優れた走査
型トンネル顕微鏡、情報処理装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するために成された本発明は、試料表面を探針で走査し
て試料表面の情報を検出する走査型トンネル顕微鏡にお
いて、上記探針の先端に接合可能な予備探針先端部を複
数個有する探針ユニットが、上記探針の走査範囲内に配
置されていることを特徴とする走査型トンネル顕微鏡で
あり、また、記録媒体と探針間に電圧を印加して記録及
び消去を行い、更に記録媒体と探針間に流れるトンネル
電流を検出し再生を行うことにより情報処理を行う装置
において、上記探針の先端に接合可能な予備探針先端部
を複数個有する探針ユニットが、上記探針の走査範囲内
に配置されていることを特徴とする情報処理装置であ
る。
【0011】本発明によれば、尖鋭な探針先端形状が試
料等との衝突により損なわれ、分解能の低下が生じた場
合に、探針の走査範囲内に配置されている探針ユニット
内の予備探針先端部を、先端形状が損なわれた既設の探
針先端部に結合させることにより、既設の探針を装置に
取りつけたままで劣化した探針の先端部を再生できるも
のである。
【0012】前記複数個の予備探針先端部は、ほぼ同様
の表面形状を有する試料あるいは記録媒体に対して用い
る場合には、同一材料で同一形状に形成されていること
が好ましく、先端形状のばらつきが大きい場合には、十
分な分解能が得られないと共に、情報の記録再生時にエ
ラーを生じる原因となり信頼性が低下する。
【0013】一方、異なる表面形状を有する試料あるい
は記録媒体に対して用いる場合には、前記複数個の予備
探針先端部は複数の異なる形状を有するのが好ましく、
これによって試料の表面形状や観察目的によって使い分
けることができる。
【0014】上記の予備探針先端部を複数個有する探針
ユニットは、例えば特願平03−133188に開示さ
れているような半導体作製技術を用いて作製することが
できるが、その作製方法は本発明を制限するものではな
い。
【0015】また、予備探針先端部の材料としては、貴
金属、貴金属合金及びそれらの積層膜を用いることがで
きる。
【0016】図2は本発明に係る探針ユニットの一例を
示したものであり、図中14は予備探針先端部、15は
探針ユニット基板、16は探針ユニット基板15の表面
に底部が点状に尖鋭になるように形成された凹部であ
る。このように探針ユニット内に形成された予備探針先
端部は大気中に晒されないため、表面が汚染されず信頼
性に富んだものとなる。
【0017】本発明において、図2に示したような探針
ユニットは既設の探針の走査範囲内、例えば前記試料あ
るいは前記記録媒体が搭載されているステージ上に載置
される。このことにより、試料表面の観察あるいは記録
再生を中断し、予備探針先端部を既設の探針の先端に結
合させた後、観察あるいは記録再生動作を再開した場合
に、中断前と同一の位置か、少なくとも非常に近傍の位
置を再度観察できると共に、連続的な記録再生を行うこ
とが可能となる。
【0018】前記既設の探針と前記予備探針先端部との
接合は、例えば、図2に示したような探針ユニットを用
いて説明すると、既設の探針を予備探針先端部14上に
走査し、該既設探針を予備探針先端部に押しつけ圧着し
た後、予備探針先端部を探針ユニットから引き剥すこと
により行うことができる。この場合、予備探針先端部1
4と探針ユニット基板15は密着性が悪いほうが良く、
例えば、予備探針先端部14と探針ユニット基板15の
間に剥離層を設けるのが好ましい。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0020】実施例1 本実施例は本発明の走査型トンネル顕微鏡を作製し試料
観察を行ったものである。
【0021】図1は本実施例の走査型トンネル顕微鏡の
概略構成図である。図中1は試料、2は探針(既設)、
3は探針ユニットで14の予備探針先端部及び15の基
板で構成されている。4はZ方向微動制御機構であり、
8のZ方向駆動回路により駆動される。5はXY方向微
動制御機構であり、9のXY走査駆動回路により駆動さ
れる。6はトンネル電流検知回路、7はバイアス電源、
10はXYステージ、13はZ方向粗動機構であり、1
1のXYZ粗動駆動回路により駆動される。12はマイ
クロコンピューターであり、Z方向駆動回路8、XY走
査駆動回路9、トンネル電流検知回路6、バイアス電源
7、XYZ粗動駆動回路11を制御している。17は表
示装置である。
【0022】Z方向微動制御機構4及びXY方向微動制
御機構5を有する円筒型圧電素子に探針2が取り付けら
れている。またXYステージ10上には試料1と探針ユ
ニット3が配置されており、探針2に対して試料1と探
針ユニット3をXY方向に移動できるようになってい
る。
【0023】以下に、本装置における試料表面の観察動
作を説明する。
【0024】先ず、探針2と試料1との間にバイアス電
源7によりバイアス電圧をかけ、探針2を試料1の表面
にトンネル電流が流れる距離までZ方向粗動機構13に
より接近させる。その際Z方向粗動機構13はXYZ粗
動駆動回路11により制御される。
【0025】トンネル電流が流れる距離まで接近したと
き、探針2と試料1間のトンネル電流をトンネル電流検
知回路6で検出し、トンネル電流が一定となるようにZ
方向駆動回路8を通してZ方向微動制御機構4にフィー
ドバック制御をかける。
【0026】次にトンネル電流が一定となるように探針
2を制御しながら、XY走査駆動回路9により、XY方
向微動制御機構5に探針2が試料1の表面をXY方向に
2次元的に走査できるような電圧を印加する。この時、
探針2は試料1の表面の凹凸形状に追従するようにZ方
向に駆動されるので、その駆動信号をXY走査信号に同
期してマイクロコンピューター12に取り込み、画像処
理を行えば表面の形状を表示装置17に像として得るこ
とができる。
【0027】XYステージ10上には試料1と並んで探
針ユニット3が配置されており、試料1と同様にバイア
ス電源7によりバイアス電圧が印加されている。そのた
めXYステージ10をXYZ粗動駆動回路11により移
動することにより、探針ユニット3の観察もできるよう
になっている。
【0028】次に、探針ユニット3の説明をする。探針
ユニット3は図2に示したようなものであり、基板15
の表面に底部が点となるような同一形状の凹部16が複
数形成されており、該凹部16を覆うように同一材料で
同一形状に予備探針先端部14が形成されている。また
複数の予備探針先端部14は個別に分離されている。本
実施例では、基板15には(100)の単結晶シリコン
基板を用い、凹部16形成は結晶軸異方性エッチングで
加工した。また、予備探針先端部14にはリフトオフ法
でパターン化した3μm厚の金を用いた。
【0029】なお、探針ユニットの形成方法としては、
従来公知の技術、例えば半導体産業で一般に用いられて
いる真空蒸着法やスパッタ法、化学気相成長法等の薄膜
作製技術やフォトリソグラフ技術及びエッチング技術を
適用することができる。
【0030】次に、探針2と予備探針先端部14との接
合方法について、図1と図3を用いて試料観察動作と共
に説明する。
【0031】図3はこの接合方法を模式的に示したもの
であり、XYステージ10上に試料1と探針ユニット3
が設置されている。更に試料1上に探針2が配置されて
おり、試料1のSTM観察が行われている(図3(a)
参照)。この動作を継続している途中で試料1の局所的
な突出部と探針2の先端部とが接触してしまった場合、
この時点で探針2の分解能は低下し、表示装置17には
著しい像の変化が表れる。
【0032】次に、ここで観察動作を一時中断し、XY
座標位置をマイクロコンピューター12にメモリーして
おく。その後、探針2をZ方向粗動機構13により試料
1より離し、その後XYステージ10をマイクロコンピ
ューター12により制御し移動させ、探針ユニット3に
接近させた後、STM観察を行い予備探針先端部14の
凹部に位置合わせした(図3(b)参照)。尚、予備探
針先端部14の配置ピッチを入力しておくことにより、
2回目以降、位置合わせのためのSTM観察は省略可能
である。
【0033】次に、探針2と予備探針先端部14の凹部
にトンネル電流が流れる状態でフィードバック制御を解
除し、すぐにZ方向微動制御機構4をZ方向駆動回路8
を通して1μm程度押し込むことにより探針2と予備探
針先端部14を圧着した(図3(c)参照)。
【0034】次に、探針2をZ方向粗動機構13により
探針ユニット3から離すことにより、探針2の先端部に
予備探針先端部14を接合した。続いて、XYステージ
10をメモリーしたXY座標位置(一時中断した場所)
に移動させ、探針2に接合された予備探針先端部14と
試料1との間をトンネル電流が流れるまで接近させてS
TM動作を行う(図3(d)参照)。ここで、一時中断
前に探針2で見たSTM像と比べて分解能が同等か、も
しくはそれ以上ならば表面観察を再開する。また、分解
能が悪い場合には再度新しい予備探針先端部14を接合
する。
【0035】本実施例ではXYステージ10として高精
度なエンコーダー及び高精度軸受け機構とステッピング
モーターとの組み合わせを用いたため、XYステージ1
0の位置再現精度は±1μmを得ることができる。この
ため本実施例に用いた円筒型圧電素子からなるXY方向
微動制御機構5のXYスキャン領域が5μmであるの
で、観察を中断する前と同一の位置か、少なくとも非常
に近傍の位置を再度観察することが可能であった。
【0036】以上説明した動作により、予備探針先端部
を接合しながらSTM観察を行ったところ常に安定した
STM像が得られることがわかった。また、この動作は
再現性よく安定に行えることが確認できた。
【0037】実施例2 本実施例では、実施例1のSTMを応用し、情報の記
録、再生及び消去の機能を併有する情報処理装置につい
て述べる。
【0038】図4は本実施例の情報処理装置の概略構成
図である。先ず、図1のSTMと異なるところを説明す
る。
【0039】図4において、22は記録媒体であり、1
8の基板上に19の電極,20の記録層が形成されてお
り、電極19はバイアス電源7に接続されている。21
はパルス電源であり、探針2に接続されており、情報の
記録のための書き込みパルス及び消去のための消去パル
スを発生させる。尚、パルス電圧を印加する時、トンネ
ル電流が急激に変化するため、フィードバック制御を解
除しZ方向微動制御機構4を一定に保つようになってい
る。該情報処理装置ではXYステージ10上に探針ユニ
ット3に近接して試料1の代わりに記録媒体22を設置
してあり、該記録媒体22としては特開昭63−161
552号公報及び特開昭63−161553号公報に開
示されているAu電極19上に記録層20としてポリイ
ミドLB膜(2層膜)を積層したものを用いた。また探
針ユニット3には実施例1と同じものを用いた。
【0040】次に、本情報処理装置の動作について図4
を用いて説明する。
【0041】先ず、探針2と記録媒体22との間にバイ
アス電源7によりバイアス電圧をかけ、探針2を記録媒
体22の表面にトンネル電流が流れる距離までZ方向粗
動機構13により接近させる。その際Z方向粗動機構1
3はXYZ粗動駆動回路11により制御される。
【0042】トンネル電流が流れる距離まで接近したと
き、探針2と記録媒体22の表面間のトンネル電流をト
ンネル電流検知回路6で検出し、トンネル電流が一定と
なるようにZ方向駆動回路8を通してZ方向微動制御機
構4にフィードバック制御をかける。
【0043】次にトンネル電流が一定となるように探針
2を制御しながら、XY走査駆動回路9により、XY方
向微動制御機構5に探針2が試料1の表面をXY方向に
2次元的に走査できるような電圧を印加する。ここでX
Y方向に探針を走査しながら、バイアス電圧(0.1
V)に波高値−6V及び+1.5Vの連続したパルス波
を重畳した電圧を試料・探針間に印加することで電気的
な情報の書き込みを行った。
【0044】更に、得られるSTM像から記録情報の読
み出しを行った結果、記録情報と再生情報が再現性良く
一致することを確かめた。また、記録媒体上の記録を行
った領域に探針2が接近した時点で、波高値3Vのパル
ス電圧をバイアス電圧に重畳する操作を行ったところ、
再生されるSTM像から記録された情報が消去されたこ
とを確認した。
【0045】この動作を継続している途中で記録媒体2
2の局所的な突出部と探針2の先端部とが接触してしま
った場合、この時点で探針2の分解能は低下し、表示装
置17には著しい像の変化が表れる。例えば、通常の記
録ビットサイズが10nmであったものが数倍のサイズ
に変化したり、トンネル電流が不安定になりノイズが発
生したりするため、記録、再生、消去が困難になる。
【0046】次に、ここで動作を一時中断し、XY座標
位置をマイクロコンピューター12にメモリーしてお
く。尚、XYステージ10として高精度なエンコーダー
及び高精度軸受け機構とステッピングモーターとの組み
合わせを用いたため、XYステージ10の位置再現精度
は±1μmを得ることができる。このため本実施例に用
いた円筒型圧電素子からなるXY方向微動制御機構5の
XYスキャン領域が5μmであるので、観察を中断する
前と同一の位置か、少なくとも非常に近傍の位置を再度
観察することが可能である。
【0047】その後、探針2をZ方向粗動機構13によ
り試料1より離し、その後XYステージ10をマイクロ
コンピューター12により制御し移動させ、探針ユニッ
ト3に接近させた後、STM観察を行い予備探針先端部
14の凹部に位置合わせした。尚、予備探針先端部14
の配置ピッチを入力しておくことにより、2回目以降、
位置合わせのためのSTM観察は省略可能である。
【0048】次に、探針2と予備探針先端部14の凹部
にトンネル電流が流れる状態でフィードバック制御を解
除し、すぐにZ方向微動制御機構4をZ方向駆動回路8
を通して1μm程度押し込むことにより探針2と予備探
針先端部14を圧着した。
【0049】次に、探針2をZ方向粗動機構13により
探針ユニット3から離すことにより、探針2の先端部に
予備探針先端部14を接合した。続いて、XYステージ
10をメモリーしたXY座標位置(一時中断した場所)
に移動させ、探針2に接合された予備探針先端部14と
記録媒体22との間をトンネル電流が流れるまで接近さ
せて情報の再生を行う。更に、情報の記録を行い、一時
中断前に探針2で見たSTM像と比べて記録ビットサイ
ズが適正ならば操作を再開する。また、記録ビットサイ
ズが大きい場合には再度新しい予備探針先端部14を接
合する。なお、記録途中であったなら記録データの最後
の箇所を見つけ出し連続的に情報を入力し直すことが可
能である。
【0050】以上説明した動作により、探針2の先端部
が劣化した場合に予備探針先端部を接合しながら記録、
再生、消去実験を行ったところ常に安定した特性が得ら
れることがわかった。またこの動作は再現性よく安定に
行えることが確認できた。
【0051】実施例3 本実施例は図5に示されるように、各々複数個の異なる
2種類の形状に形成されている予備探針先端部を有する
探針ユニットを用いて、図1に示したような本発明の走
査型トンネル顕微鏡を作製し試料観察を行ったもので
る。
【0052】本実施例の探針ユニット3は基板15の表
面に底部が点となるような凹部16a及び16bが各々
複数形成されており、該凹部16a及び16bを覆うよ
うに予備探針先端部14a及び14bが形成されてい
る。尚、予備探針先端部14a,凹部16aと予備探針
先端部14b,凹部16bは断面形状が異なるように形
成されている。また複数の予備探針先端部14a及び1
4bは個別に分離されている。本実施例では、基板15
には(100)の単結晶シリコン基板を用い、凹部16
aの形成方法としては集束イオンビームによりGaイオ
ンを基板に衝突させエッチングした。この時、得られた
凹形状の断面を電子顕微鏡で観察したところ深さ約3.
0μm、開口径約1.5μm、底部の曲率半径約0.0
5μmで図5に示す様に深くなるほど細く尖っていくよ
うな斜面に曲率を持つ形状に形成されていた。また、凹
部16bの形成方法としてはシリコン酸化膜をマスクと
し、水酸化カリウム水溶液による結晶軸異方性エッチン
グで加工した。この時、得られた凹形状は深さ約3.0
μm、V溝の角度約70°、底部の曲率半径約0.05
μmであった。また、予備探針先端部14a及び14b
にはリフトオフ法でパターン化した3μm厚の金を用い
た。
【0053】次に、探針2と予備探針先端部14a,1
4bとの接合方法について、図1と図6を用いて試料観
察動作と共に説明する。
【0054】図6はこの接合方法を模式的に示したもの
であり、XYステージ10上に試料1と探針ユニット3
が設置されている。更に試料1上に、あらかじめ予備探
針先端部14bを接合した探針2が設置されており、試
料1のSTM観察が行われている(図6(a)参照)。
今、表示装置17に光ディスクの情報ビットが表示され
ても、先端部の立体角が大きい予備探針先端部14bを
用いているため十分な凹部形状が表示されない。すなわ
ち実際よりも凹部が小さく表示されてしまう。
【0055】次に、ここで観察動作を一時中断し、XY
座標位置をマイクロコンピュータ12にメモリーしてお
く。その後、探針2をZ方向粗動機構13により試料1
より離し、その後XYステージ10をマイクロコンピュ
ータ12により制御し移動させ、探針ユニット3に接近
させた後、STM観察を行い先端部の立体角が小さい予
備探針先端部14aの凹部に位置合わせした(図6
(b)参照)。尚、予備探針先端部14a,14bの座
標位置、配置ピッチを入力しておくことにより、2回目
以降、位置合わせのためのSTM観察は省略可能であ
る。
【0056】次に、探針2と予備探針先端部14aの凹
部にトンネル電流が流れる状態でフィードバック制御を
解除し、すぐにZ方向微動制御機構4をZ方向駆動回路
8を通して1μm程度押し込むことにより探針2と予備
探針先端部14aが圧着した(図6(c)参照)。
【0057】次に、探針2をZ方向粗動機構13により
探針ユニット3から離すことにより、探針2の先端部で
ある予備探針先端部14bに予備探針先端部14aを接
合した。続いて、XYステージ10をメモリーしたXY
座標位置(一時中断した場所)に移動させ、探針2の先
端に接合した予備探針先端部14aと試料1との間をト
ンネル電流が流れるまで接近させてSTM動作を行う
(図6(d)参照)。ここで、一時中断前に探針2の先
端に接合した予備探針先端部14bで見たSTM像と比
べて分解能が同等か、もしくはそれ以上ならば表面観察
を再開する。
【0058】今回取り付けた予備探針先端部14aは先
端の立体角が小さい(20°)ため、情報ビットの中を
詳しく観察できた。
【0059】尚、本実施例においても、XYステージ1
0として高精度なエンコーダー及び高精度軸受け機構と
ステッピングモーターとの組み合わせを用いたため、X
Yステージ10の位置再現精度は±1μmを得ることが
できる。このため本実施例に用いた円筒型圧電素子から
なるXY方向微動制御機構5のXYスキャン領域が5μ
mあるので、観察を中断する前と同一の位置か、少なく
とも非常に近傍の位置を再度観察することが可能であっ
た。
【0060】なお、立体角の小さい予備探針先端部はサ
ンプルとの接触により損傷を受けやすいため、凹凸の少
ない試料には立体角の大きな予備探針先端部を用いるほ
うが良い。
【0061】以上説明した動作により、予備探針先端部
を接合しながらSTM観察を行ったところ、常に安定し
たSTM像が得られることがわかった。またこの動作は
再現性よく安定に行えることが確認できた。
【0062】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなくSTMを応用した微細加工装置等でも同様の効
果が得られる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の走査型ト
ンネル顕微鏡及び情報処理装置は以下の効果を奏する。 (1)先端部が劣化した探針を装置から取りはずすこと
なく探針先端部を再生でき、装置の分解が不要となり操
作性が向上する。特に高真空中でSTM観察を行う場合
には、真空を保持した状態で観察を続けることができ、
探針交換の度に大気に戻す必要がない。 (2)形状の揃った予備探針先端部を有することによ
り、安定した特性が得られ、再現性良くSTM像の観察
や記録再生を行うことができる。 (3)形状の異なる予備探針先端部を有することによ
り、試料あるいは記録媒体の表面形状に適した形状のも
のに使い分けたり、観察目的によって使い分けることが
できる。 (4)探針ユニットの予備探針先端部は半導体作製技術
により作製されるため、低コストで大量に作製でき、且
つ大気中に晒されないことから、表面が汚染されないた
め信頼性が向上した。 (5)試料あるいは記録媒体が搭載されているステージ
上に探針ユニットを載置することにより、探針先端部の
再生前後において、同一あるいは極近傍の位置の観察が
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走査型トンネル顕微鏡の一実施例を示
す概略構成図である。
【図2】本発明に係る探針ユニットの断面斜視図の一例
である。
【図3】本発明の走査型トンネル顕微鏡の動作を説明す
るための図である。
【図4】本発明の情報処理装置の一実施例を示す概略構
成図である。
【図5】本発明に係る探針ユニットの断面斜視図の一例
である。
【図6】本発明の走査型トンネル顕微鏡の動作を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 試料 2 探針 3 探針ユニット 4 Z方向微動制御機構 5 XY方向微動制御機構 6 トンネル電流検知回路 7 バイアス電源 8 Z方向駆動回路 9 XY走査駆動回路 10 XYステージ 11 XYZ粗動駆動回路 12 マイクロコンピューター 13 Z方向粗動機構 14,14a,14b 予備探針先端部 15 探針ユニット基板 16,16a,16b 凹部 17 表示装置 18 基板 19 電極 20 記録層 21 パルス電源 22 記録媒体
フロントページの続き (72)発明者 島田 康弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 渡邊 信男 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 川瀬 俊光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面を探針で走査して試料表面の情
    報を検出する走査型トンネル顕微鏡において、上記探針
    の先端に接合可能な予備探針先端部を複数個有する探針
    ユニットが、上記探針の走査範囲内に配置されているこ
    とを特徴とする走査型トンネル顕微鏡。
  2. 【請求項2】 記録媒体と探針間に電圧を印加して記録
    及び消去を行い、更に記録媒体と探針間に流れるトンネ
    ル電流を検出し再生を行うことにより情報処理を行う装
    置において、上記探針の先端に接合可能な予備探針先端
    部を複数個有する探針ユニットが、上記探針の走査範囲
    内に配置されていることを特徴とする情報処理装置。
  3. 【請求項3】 前記複数個の予備探針先端部は、同一材
    料で同一形状に形成されていることを特徴とする請求項
    1記載の走査型トンネル顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記複数個の予備探針先端部は、同一材
    料で同一形状に形成されていることを特徴とする請求項
    2記載の情報処理装置。
  5. 【請求項5】 前記複数個の予備探針先端部は、2種類
    以上の異なる形状に形成されていることを特徴とする請
    求項1記載の走査型トンネル顕微鏡。
  6. 【請求項6】 前記複数個の予備探針先端部は、2種類
    以上の異なる形状に形成されていることを特徴とする請
    求項2記載の情報処理装置。
  7. 【請求項7】 前記探針ユニットが、前記試料を搭載し
    ているステージ上に配置されていることを特徴とする請
    求項1記載の走査型トンネル顕微鏡。
  8. 【請求項8】 前記探針ユニットが、前記記録媒体を搭
    載しているステージ上に配置されていることを特徴とす
    る請求項2記載の情報処理装置。
  9. 【請求項9】 前記探針と前記予備探針先端部との接合
    は、探針を予備探針先端部に押しつけ圧着させた後、該
    予備探針先端部を前記探針ユニットから引き剥すことに
    より行なわれることを特徴とする請求項1記載の走査型
    トンネル顕微鏡。
  10. 【請求項10】 前記探針と前記予備探針先端部との接
    合は、探針を予備探針先端部に押しつけ圧着させた後、
    該予備探針先端部を前記探針ユニットから引き剥すこと
    により行なわれることを特徴とする請求項2記載の情報
    処理装置。
JP12323093A 1993-02-12 1993-04-28 走査型トンネル顕微鏡及び情報処理装置 Withdrawn JPH06294605A (ja)

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JP5-46111 1993-02-12
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