JP3634392B2 - 記録方法および記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、記録方法および記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、ビット情報を記録する記録方法としては、磁気テープや磁気ディスクを用いた磁気的記録方法や、半導体素子を用いた電気的記録方法などがある。また、近年、記録すべき情報の量の増大に伴って、大容量化,高速化および誤り率の低減化の要求が強くなってきている。
【0003】
このような状況の中で、有機薄膜(たとえば、π電子系有機化合物やカルコゲン化合物類などの薄膜)が金属電極で挟まれた金属−有機絶縁膜−金属構造を有し、電圧電流のスイッチング特性に対してメモリ効果をもつ素子(以下、「MIM素子」と称する。)が開発された(特開昭63−096956号公報)。このようなMIM素子においては、金属電極間に適当なパルス電圧を印加することによって素子の導電率を可逆的に変化させることが可能である。したがって、このスイッチング現象を利用することにより、情報をMIM素子に記録することができる。しかも、このスイッチング現象では、スイッチング速度も非常に速い。
【0004】
図17は、MIM素子を利用した記録装置の一従来例を示す概略構成図である。
【0005】
記録装置510 は、記録媒体511 と、電流アンプ512 と、記録用電圧発生回路513 とを含む。ここで、記録媒体511 は、下部電極511と、上部電極511と、下部電極511と上部電極511との間に設けられた、非記録状態と記録状態とで導電率ρが異なるLB膜からなる記録層511とを含む。すなわち、記録媒体511 は、前述したMIM素子の素子構造を有するものである。記録用電圧発生回路513 は、記録用電圧(記録用パルス電圧)を発生し、発生した記録用電圧を下部電極511と上部電極511との間に印加することにより、記録用電圧を記録層511に印加するものである。電流アンプ512 は、記録用電圧の印加中に下部電極511と上部電極511との間に流れる電流を検出して増幅するものである。
【0006】
次に、記録装置510 の動作について、非記録状態のときに導電率ρが小さくなっている記録層511に対して記録用電圧を印加することにより、記録層511の導電率ρを大きくさせて情報の記録を行う場合を例として、説明する。
【0007】
電圧値V の記録用電圧(記録用パルス電圧)が、図18(A)に示すように、時刻t から時刻t にかけて、記録用電圧発生回路513 から記録層511に印加される。このとき、記録層511の導電率ρは、図18(B)に示すように、時刻t から所定の時間だけ経過した時刻t(t<t<t)で、小さい導電率ρ から大きい導電率ρ に変化するため、電流アンプ512 で検出される電流の波形も、時刻t で電流の値が増加するものとなる。これに対して、記録層511を構成する素子のばらつきなどのために、所定の時間内または所定の電圧値V では記録層511の導電率ρが変化しない場合があり、このときの電流アンプ512 で検出される電流の波形は、図18(C)に示すように、時刻t から時刻t までの間で電流の値が一定となるものである。
【0008】
一方、近年、物質の表面を原子オーダーの分解能で観察できる走査型トンネル顕微鏡(STM)が開発され、原子および分子レベルの実空間観察が可能になってきた(G. Binning et al., Phys. Rev. Lett, 49, 57, 1982)。走査型トンネル顕微鏡は、プローブ電極の先端(ティップ)と導電性の試料との間に流れるトンネル電流の値が一定となるようにティップと試料と間の距離を制御しながら、ティップを試料の表面に沿って二次元的に走査し、このときのティップと試料との間の距離を制御する制御信号より、試料の表面の電子雲の情報や試料の形状をサブナノメートルのオーダー(原子オーダー)で観測するものである。
【0009】
このような走査型トンネル顕微鏡の原理を応用すれば、十分に原子オーダーでの高密度な記録再生を行うことが可能である。たとえば、特開昭61−80536号公報に開示されている記録再生装置では、電子ビームなどによって記録媒体の表面に吸着した原子粒子を取り除くことによって情報の記録を行うとともに、記録した情報の再生を走査型トンネル顕微鏡により行っている。また、USP第4,575,822号明細書に開示されている記録再生装置では、ティップと記録媒体の表面との間に流れるトンネル電流を用いて、記録媒体の表面に形成された誘電体に電荷を注入することにより、情報の記録を行っている。さらに、レーザー光,電子ビームまたは粒子線などを用いて、記録媒体の物理的な崩壊または磁性的な崩壊を生じさせることにより、情報の記録を行う方法も提案されている。
【0010】
前述した電圧電流のスイッチング特性に対してメモリ効果をもつ材料からなる薄膜層を記録層として用いるとともに、記録および再生を走査型トンネル顕微鏡の原理を利用して行う記録再生方法も提案されている(特開昭63−161552号公報や特開昭63−161553号公報)。この記録再生方法によれば、記録ビットのサイズを10nmとしたとき、1012bit/cm もの大容量記録再生が可能となる。たとえば、この記録再生方法による記録再生装置600 は、図19に示すように、記録媒体601 と、記録媒体ステージ610 と、粗動機構611 と、XY方向粗動制御回路612 と、Z方向粗動制御回路613 と、プローブ電極614 と、XY方向微動機構615 と、Z方向微動機構616 と、XY方向微動制御回路617 と、Z方向微動制御回路618 と、電流アンプ619 と、マイクロコンピュータ620 と、第1のサーボ回路621 と、第2のサーボ回路622 と、電源623 とを含む。記録再生装置600 の各構成要素について、以下に詳細に説明する。
【0011】
(1)記録媒体601
記録媒体601 は、同図に示すように、基板602 と、基板602 上に形成された基板電極603 と、基板電極603 上に形成された記録層604 とからなる。ここで、記録層604 は、電圧電流のスイッチング特性に対してメモリ効果をもつ材料からなる薄膜層である。
【0012】
(2)記録媒体ステージ610 ,粗動機構611 ,XY方向粗動制御回路612 およびZ方向粗動制御回路613
記録媒体ステージ610 は、記録媒体601 が載置されるものである。粗動機構611 は、記録媒体ステージ610 を図示X軸方向,Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ粗動させることにより、記録媒体601 を図示X軸方向,Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ移動させるものである。XY方向粗動制御回路612 は、マイクロコンピュータ620 により制御されて、粗動機構611 を図示X軸方向およびY軸方向にそれぞれ駆動するものである。Z方向粗動制御回路613 は、第1のサーボ回路621 から送られてくる粗動制御信号に応じて粗動機構611 を図示Z軸方向に駆動するものである。
【0013】
(3)プローブ電極614 ,XY方向微動機構615 ,Z方向微動機構616 ,XY方向微動制御回路617 およびZ方向微動制御回路618
プローブ電極614 は、記録媒体601 に対向して設けられている。XY方向微動機構615 は、プローブ電極614 を図示X軸方向およびY軸方向にそれぞれ微動させることにより、プローブ電極614 を記録媒体601 に対して二次元走査させるものである。Z方向微動機構616 は、プローブ電極614 を図示Z軸方向に微動させることにより、プローブ電極614 と記録媒体601 との間の距離を微調させるものである。XY方向微動制御回路617 は、マイクロコンピュータ620 により制御されて、XY方向微動機構615 を図示X軸方向およびY軸方向にそれぞれ駆動するものである。Z方向微動制御回路618 は、第2のサーボ回路622 から送られてくる微動制御信号に応じてZ方向微動機構616 を図示Z軸方向に駆動するものである。
【0014】
(4)電流アンプ619 ,マイクロコンピュータ620 ,第1のサーボ回路621 ,第2のサーボ回路622 および電源623
電流アンプ619 は、プローブ電極614 と記録媒体601 との間に流れる電流を検出して増幅したのち、マイクロコンピュータ620 ,第1のサーボ回路621 および第2のサーボ回路622 にそれぞれ出力するものである。第1のサーボ回路621 は、電流アンプ619 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ620 から送られてくる、プローブ電極614 と記録層604 との間の距離を所定の距離に保つための第1の電流設定値とを比較して、プローブ電極614 と記録媒体601 との間の距離を粗動制御させる粗動制御信号をZ方向粗動制御回路613 に出力するものである。第2のサーボ回路622 は、電流アンプ619 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ620 から送られてくる、プローブ電極614 と記録層604 との間の距離を所定の距離に保つための第2の電流設定値とを比較して、プローブ電極614 と記録媒体601 との間の距離を微動制御させる微動制御信号をZ方向微動制御回路618 に出力するものである。電源623 は、記録媒体601 とプローブ電極614 との間に、記録時には記録用バイアス電圧および記録用パルス電圧を印加し、再生時には再生用バイアス電圧を印加し、消去時には消去用バイアス電圧および消去用パルス電圧を印加するものである。マイクロコンピュータ620 は、XY方向粗動制御回路612 ,XY方向微動制御回路617 および電源623 をそれぞれ制御するとともに、前述した第1の電流設定値および第2の電流設定値を第1のサーボ回路621 および第2のサーボ回路622 にそれぞれ出力するものである。
【0015】
次に、記録再生装置600 の記録時および再生時の動作について説明する。
【0016】
記録時には、電源623 がマイクロコンピュータ620 によって制御されて、電源623 から記録媒体601 の基板電極603 に所定のバイアス電圧が印加される。これにより、プローブ電極614 と記録媒体601 の記録層604 との間に、所定のバイアス電圧が印加される。このときプローブ電極614 と記録層604 との間に流れる電流は、電流アンプ619 で検出され増幅されたのち、マイクロコンピュータ620 ,第1のサーボ回路621 および第2のサーボ回路622 にそれぞれ送られる。
【0017】
第1のサーボ回路621 では、電流アンプ619 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ620 から送られてくる第1の電流設定値とが比較され、この両者の値が同じになるようにプローブ電極614 と記録層604 との間の距離を粗動制御させる粗動制御信号がZ方向粗動制御回路613 に出力される。Z方向粗動制御回路613 では、この粗動制御信号に基づいて粗動機構611 を図示Z軸方向に駆動する信号が作成されて、粗動機構611 に出力される。これにより、プローブ電極614 と記録層604 との間の距離が粗調整される。また、第2のサーボ回路622 では、電流アンプ619 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ620 から送られてくる第2の設定電流値とが比較され、この両者の値が同じになるようにプローブ電極614 と記録層604 との間の距離を微動制御させる微動制御信号がZ方向微動制御回路618 に出力される。Z方向微動制御回路618 では、この微動制御信号に基づいてZ方向微動機構615 を図示Z軸方向に駆動する信号が作成されて、Z方向微動機構615 に出力される。これにより、プローブ電極614 と記録層604 との間の距離が微調整されて、所定の距離に保たれる。
【0018】
XY方向粗動制御回路612 では、マイクロコンピュータ620 からの指令に基づいて粗動機構611 を図示X軸方向およびY軸方向に駆動する信号が作成されて、粗動機構611 に出力される。また、XY方向微動制御回路617 では、マイクロコンピュータ620 からの指令に基づいてXY方向微動機構615 を図示X軸方向およびY軸方向に駆動する信号が作成されて、XY方向微動機構615 に出力される。これにより、プローブ電極614 が記録媒体601 の記録位置まで走査される。
【0019】
電源623 では、マイクロコンピュータ620 からの指令に基づいて記録用バイアス電圧および記録用パルス電圧が発生される。記録用バイアス電圧および記録用パルス電圧は、記録媒体601 の基板電極602 を介して記録層604 に印加される。記録層604 の記録用パルス電圧が印加された部分の導電率が局所的に変化することにより、記録層604 に記録ビットが形成される。
【0020】
再生時には、プローブ電極614 が、記録時と同様にして、記録媒体601 の再生位置まで走査される。その後、電源623 で、再生用バイアス電圧が発生される。再生用バイアス電圧は、記録媒体601 の基板電極602 を介して記録層604 に印加される。このとき、プローブ電極614 と記録層604 との間に流れる電流が、電流アンプ619 により検出され増幅されたのち、マイクロコンピュータ620 へ送られる。マイクロコンピュータ620 では、送られてきた電流の値より記録層604 の導電率が求められる。求められた導電率の値により記録ビットの有無がわかるため、記録された情報の再生が可能となる。
【0021】
また、上述した従来の記録再生装置600 において記録媒体601 をシリコンなどの結晶に置き換えることにより、原子レベルの記録および加工を行うこともできる。すなわち、情報を記録したい記録位置にプローブ電極614 を移動し、その記録位置で電圧を印加することにより記録媒体601 の表面の原子を一つ移動して、記録ビットとすることもできる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図17に示した従来の記録装置510 では、以下に示す問題がある。
(1)所定の電圧値V および所定のパルス幅(t−t)の記録用パルス電圧を記録層511に印加したのでは、情報の記録が正確に行われる場合と情報の記録が正確に行われない場合とあり、記録誤りの発生率が大きい。
(2)安定に情報の記録を行うために、記録用パルス電圧のパルス幅(t−t)を大きくすると、動作速度が遅くなる。
(3)情報の記録が正確に行われたとしても、図18(B)に示すように、時刻t から時刻t までの間に過大な電流が流れるため、記録層511を構成する素子を損傷させてしまう場合もある。
【0023】
また、図19に示した従来の記録再生装置600 についても、図17に示した従来の記録装置510 と同様の問題がある。
【0024】
さらに、走査型トンネル顕微鏡を用いた記録装置においては、記録を行うときには記録媒体の不均一性により記録誤りが発生する可能性がある。図17に示した従来の記録装置510 では、たとえばLB膜の厚さの不均一性により記録ビットの形成に必要な電圧は異なってきてしまう可能性がある。また、電圧を必要以上に高くかけるとLB膜が破壊されるといった現象も発生してしまう可能性がある。
【0025】
表面原子の加工技術あるいはそれを用いた記録技術では、たとえば欠陥位置あるいはその近傍の原子を加工するのに必要な電圧と、通常のテラスに存在する原子を加工するのに必要な電圧は異なっている。電圧が低すぎると原子加工ができない場合が発生するし、電圧が高すぎると不必要な原子まで影響を及ぼしてしまうといった問題が生じる。
【0026】
このような記録位置による不均一性に起因する記録誤りの発生は、電圧を印加する場合のみならず、プローブを記録媒体あるいは試料の表面に接触させて機械的に加工する場合など、走査型トンネル顕微鏡を用いた表面加工技術あるいは記録技術全般に発生する問題である。
【0027】
また、走査型トンネル顕微鏡に限らず、原子間力顕微鏡(AFM)などの各種走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて記録ビットを形成したり微細加工を行ったりするときにも発生する問題である。
【0028】
本発明の目的は、記録層を構成する素子に損傷を与えることなく、確実に情報を記録することができる記録方法および記録装置を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、記録媒体への情報の記録を確実に行うことができるとともに、記録媒体の破壊を防止することができる記録装置および記録方法を提供することにある。また、走査型プローブ顕微鏡を用いた物質の表面の加工を確実に行うことができるとともに、不必要な加工が行われないようにすることができる記録装置および記録方法を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の記録装置は、
非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録装置において、
前記記録層へ電圧及び/又は電流を印加する印加手段と、
該印加手段が前記記録用電圧及び/又は電流を印加中に前記記録層に生じる電圧又は電流を検出する検出手段と、
該検出手段で検出された電圧又は電流の値と予め設定された値とを比較し、該検出された電圧又は電流の値が該予め設定された値よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止するよう前記印加手段に指令を送る制御手段とを具備する
【0031】
本発明の第2の記録装置は、
非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録装置において、
前記記録層へ電圧及び/又は電流を印加する印加手段と、
該印加手段が前記記録用電圧及び/又は電流を印加中に前記記録層に生じる電圧又は電流を検出する検出手段と、
該検出手段で検出された電圧又は電流の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、該検出された電圧又は電流の値の変化量が該予め設定された変化量よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止するよう前記印加手段に指令を送る制御手段とを具備する
【0032】
上記のいずれかの記録装置において、前記記録層が、基板上に設けられた第 及び第2の電極の間に配置されてもよい
【0033】
また、前記記録層が、少なくとも一つのプローブ電極と、基板上に設けられた第3の電極の間に配置されてもよい
【0034】
本発明の第3の記録装置は、記録媒体表面に電気的、磁気的、力学的、熱的および光学的のいずれかの作用を加えて該表面を加工することにより記録ビットを形成する情報記録装置であって、
前記作用を前記記録媒体表面に印加するプローブ手段と、
該プローブ手段が前記記録媒体表面に加える作用の大きさを制御する第1の制御手段と、
前記加工が前記記録媒体表面に加えられることによって変化する前記記録媒体の物理量を測定し出力する測定手段と、
該測定手段の出力に基づいて前記第1の制御手段を制御する第2の制御手段とを有し、
該第2の制御手段が、前記記録媒体表面に作用が加えられている期間内に前記測定手段の出力が所定値以上に変化したとき、前記第1の制御手段に対し前記作用の印加を中止する制御を行うことを特徴とする
【0035】
本発明の第4の記録装置は、記録媒体表面に力を加えて機械的に加工することにより記録ビットを形成する情報記録装置であって、
前記記録媒体表面に押し付けられて該表面に力を加えるプローブと、
該プローブを先端に固定したカンチレバーと、
該カンチレバーのたわみ量を検出し出力する検出手段と、
前記記録媒体表面の位置を移動させる移動手段と、
前記検出手段の出力に応じて前記移動手段を制御する制御信号を前記移動手段に送る制御手段とを有し、
該制御手段は、前記検出手段の出力の変化が所定値以上になったときに前記力の印加を中止する信号を前記移動手段に送ることを特徴とする
【0040】
本発明の第1の記録方法は、
非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録方法において、
前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加中に該記録層に生じる電圧又は電流の値を検出し、
該検出した電圧または電流の値と予め設定された電圧又は電流の値とを比較し、
前記検出した電圧又は電流の値が前記予め設定された値よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止する
【0041】
本発明の第2の記録方法は、
非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録方法において、
前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加中に該記録層に生じる電圧又は電流の値の変化量を検出し、
該検出した電圧又は電流の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、
前記検出した電圧又は電流の値の変化量が前記予め設定された変化量よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止する
【0059】
【作用】
上述のとおりの本発明においては、例えば、記録層への記録用電圧の印加中に記録層に流れる電流の値の変化量を検出し、検出した電流の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったときに記録層への記録用電圧の印加を中止することにより、記録層の電圧に対する電流応答特性が変化したことを確認した上で、記録層への記録用電圧の印加を中止して情報の記録動作を終了させることができる。
【0060】
また、記録層への記録用電流の注入中に記録層に発生する電圧の値の変化量を検出し、検出した電圧の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったときに、記録層への記録用電流の注入を中止することにより、記録層の電流に対する電圧応答特性が変化したことを確認した上で、記録層への記録用電流の注入を中止して情報の記録動作を終了させることができる。
【0063】
以下、本発明の具体的な作用について、上述の第3の記録装置を例に挙げて詳細に説明する。
【0064】
場,磁場,力,熱および光などの物理的作用で記録媒体を変化させる。プローブ手段とは、走査型プローブ顕微鏡で用いられるプローブをいい、記録媒体に物理的作用を加えるために用いられる。第1の制御手段は、記録媒体に作用させる物理的作用の大きさ制御するものであり、たとえば、電圧を発生する電源,光を発生する光源などである。また、プローブを用いて記録媒体に力を印加する場合は、プローブ駆動手段が第1の制御手段に相当する。この場合、記録を行おうとする位置(記録位置)で記録媒体とプローブとの間隔を狭くする方向にプローブを移動することにより、記録媒体に力を印加することが可能となる。測定手段は、記録位置での物理量を測定するものである。この場合の物理量とは、情報の記録が実際に行われたことにより変化する物理量で、たとえば、記録媒体とプローブとの間に流れる電流,プローブの先端の位置などをいう。
【0065】
第2の制御手段は、測定手段により測定された物理量に基づいて記録ビットが形成されたかどうかを判定するとともにその判定結果に基づいて、記録のための物理的作用を制御する。たとえば、電圧印加により導電率が上昇させられることによって情報の記録が行われる記録媒体を用い、プローブを用いて記録媒体に電圧を印加して情報の記録を実行し、記録媒体とプローブとの間を流れる電流を測定物理量とする記録装置では、情報の記録が行われたときに、測定された物理量である電流が上昇するので、この上昇に基づいて情報の記録の実現を判断すればよい。また、電圧印加により原子が移動させられることによって情報の記録が行われる記録媒体を用いた、記録媒体とプローブとの間を流れる電流を測定物理量とする記録装置では、情報の記録が実現されたときには記録媒体の原子配置が変わってトンネル電流が変化するので、この電流変化により記録ビットの形成の有無を判断すればよい。
【0066】
記録ビットを形成する場合には、第1の制御手段によって、プローブの先端が、記録媒体の記録ビットを形成しようとする記録位置に移動される。その後、第1の制御手段によって発生された物理的作用が、プローブによって記録媒体に作用される。測定手段が、情報の記録が実行されたときに変化する物理量を測定する。測定手段によって測定された物理量は、第2の制御手段に送られる。第2の制御手段は、前記物理量に基づいて記録ビットが実際に形成されているかどうかを判定する。なお、第2の制御手段が記録実現の判定をするために、記録位置にプローブを移動したのち、情報の記録のための物理的作用を印加する前に記録実現前の物理量を測定する場合もある。
【0067】
第2の制御手段の具体的作用としては、情報の記録が実現されていないと判断しているときに、情報の記録が行われやすいように物理的作用を補正または制御すること、すなわち、情報の記録が実現されていないと判断している間は、記録媒体に印加する物理的作用を情報の記録が実現されやすいように補正または制御することがあげられる。たとえば、記録媒体に電圧を印加して情報の記録を行う場合には、第2の制御手段は、情報の記録が実現されていないと判断している間は、この電圧を大きくさせるという制御を行う。また、記録媒体に力を作用させて情報の記録を行う場合には、第2の制御手段は、情報の記録がされていないと判断している間は、この力を大きくさせるという制御を行う。
【0069】
第2の制御手段は、情報の記録のための物理的作用が記録媒体に印加されている間に測定手段によって測定された物理量に基づいて、情報の記録が実現されたかどうかを判断する。
【0070】
また、第2の制御手段は、情報の記録が実現されたと判断したときに、物理的作用の記録媒体への印加を中止するよう制御、これにより、情報の記録を確実に実行し、記録のための物理的作用を過剰に記録媒体へ印加することを防止することができる。たとえば、電圧印加によって導電率が上昇させられることにより情報の記録が行われる記録媒体を用いた、プローブによって記録媒体に電圧を印加して情報の記録を実行する、記録媒体とプローブとの間を流れる電流を測定物理量とした記録装置では、情報の記録が実現できるまで電圧印加を行うことになり、情報の記録が確実に実行されることになる。また、情報の記録が実現された時点で電圧印加が終了されるので、必要以上の電圧が記録媒体に印加されることもない。
【0071】
第1の制御手段に、情報の記録が実現されたと判断したときに、プローブを次の記録位置へ移動させるという特徴をあわせもたせることにより、記録時間をさらに短縮することが可能となる。
【0073】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0074】
図1は、本発明の記録装置の第1の実施例を示す概略構成図である。
【0075】
記録装置10は、記録媒体11と、電流アンプ12と、印加電圧制御回路13と、記録用電圧発生回路14とを含む。ここで、記録媒体11は、下部電極11と、上部電極11と、下部電極11と上部電極11との間に設けられた、非記録状態と記録状態とで導電率が異なるLB膜からなる記録層11とを含む。すなわち、記録媒体11は、前述したMIM素子の素子構造を有するものである。記録用電圧発生回路14は、印加電圧制御回路13から送られてくる指令に従って記録用電圧を発生し、発生した記録用電圧を下部電極11と上部電極11との間に印加することにより、記録用電圧を記録層11に印加するものである。電流アンプ12は、記録用電圧の印加中に下部電極11と上部電極11との間に流れる電流を検出して増幅するものである。印加電圧制御回路13は、電流アンプ12から送られてくる電流の値の変化量を検出し、予め設定された変化量以上の変化量を検出したときに、記録用電圧の印加を中止させる指令を記録用電圧発生回路14に送るものである。
【0076】
次に、記録装置10の動作について、非記録状態では導電率ρが小さくなっている記録層11 に対して記録用電圧を印加することにより、記録層11 の導電率ρを大きくさせて情報の記録を行う場合を例として、説明する。
【0077】
印加電圧制御装置13から記録用電圧発生回路14に、図2(A)に示すように、時刻t から電圧値V の記録用電圧を印加させる指令が出力される。この指令に基づいて、電圧値V の記録用電圧が、記録用電圧発生回路14から下部電極11 と上部電極11 との間に印加される。時刻t では、記録層11 の導電率ρは小さい導電率ρ となっているため、電流アンプ12により検出され増幅された電流の値は、図2(B)に示すように、小さい電流値I となる。その後、電圧値V の記録用電圧が下部電極11 と上部電極11 との間に印加され続けられ、時刻t において記録記録層11 の導電率ρが変化して大きい導電率ρ となったとすると、時刻t で電流アンプ12により検出され増幅された電流の値は、図2(B)に示すように、小さい電流値I から大きい電流値I に変化する。印加電圧制御回路13では、電流アンプ12から送られてくる電流の値が小さい電流値I から大きい電流値I に変化したことが検出されると、記録用電圧の印加を中止させる指令が作成されたのち記録用電圧発生回路14に出力される。その結果、図2(A)に示すように、時刻t において、記録電圧の電圧値は”0”とされ、1回分の情報の記録動作が終了される。
【0078】
なお、印加電圧制御回路13における電流アンプ12から送られてくる電流の値の変化量の検出は、小さい電流値I および大きい電流値I は既知であるため、図2(B)に示すように、小さい電流値I と大きい電流値I との間の電流値である基準電流値I を設定しておき、電流アンプ12から送られてくる電流の値と基準電流値I とを比較することにより、容易に行うことができる。また、図2(A)において、電流アンプ12から送られてくる電流の値が変化した時刻t と記録用電圧の値が”0”となる時刻t との間に生じる時間差(t−t)は、印加電圧制御回路13を構成する各構成回路の遅延時間によるものであり、この遅延時間ができるだけ短くなるように印加電圧制御回路13を構成することが好ましい。
【0079】
以上のように、記録装置10では、記録層11 の導電率ρが変化するまで記録用電圧が印加されるため、情報の記録を確実に行うことができる。また、図17に示した従来の記録装置510 のように、情報の記録を確実に行うために余裕をもった記録用電圧の印加時間を設定する必要はなく、記録記録層11 の導電率ρの変化が発生した時点で記録用電圧の印加を終了させることができるので、以下の利点が生じる。
(1)記録時間の減少を図ることができる。
(2)必要以上の電流が記録層11 を構成する素子に流れることがないため、素子への負担が少なくなり、素子の破壊が防止され、寿命も長くなる。
【0081】
図1に示した記録装置10は記録機能のみを有するものであるが、再生時に記録媒体11の下部電極11と上部電極11との間に再生用電圧(再生用バイアス電圧)を印加する手段と電流アンプ12から送られてくる電流より情報を再生する情報再生手段とを記録装置10に付加することにより、再生機能をも具備する記録再生装置を構成することができる。
【0082】
次に、本発明の記録装置の第2の実施例について、図3(A),(B)をそれぞれ参照して説明する。
【0083】
記録装置50は、記録媒体51と、記録用電圧発生回路52と、下部電極選択回路53と、上部電極選択回路54と、電流アンプ55と、印加電圧制御回路56と、マイクロコンピュータ57とを含む。記録装置50の各構成要素について、以下に説明する。
【0084】
(1)記録媒体51
記録媒体51は、互いに平行に設けられた下部電極群(下部電極5111〜5118)と、互いに平行にかつ下部電極群と互いに直交して設けられた上部電極群(上部電極5121〜5128)と、下部電極群と上部電極群との間に設けられた、非記録状態と記録状態とで導電率が異なるLB膜からなる記録層51 とを含むものである。
【0085】
(2)記録用電圧発生回路52,下部電極選択回路53および上部電極選択回路54
記録用電圧発生回路52は、マイクロコンピュータ57から送られてくる指令に従って記録用電圧を発生するとともに、印加電圧制御回路56から送られてくる指令に従って記録用電圧の印加を中止するものである。下部電極選択回路53は、下部電極群(下部電極5111〜5118)のうちの一つを選択して記録用電圧発生回路52と接続させるものである。上部電極選択回路54は、上部電極群(上部電極5121〜5128)のうちの一つを選択して電流アンプ55と接続させるものである。
【0086】
(3)電流アンプ55
電流アンプ55は、記録用電圧の印加中に、下部電極選択回路53で選択された下部電極と上部電極選択回路54で選択された上部電極との間に流れる電流を検出して増幅するものである。
【0087】
(4)印加電圧制御回路56
印加電圧制御回路56は、電流アンプ55から送られてくる電流の値の変化量を検出し、予め設定された変化量以上の変化量を検出したときに、記録用電圧の印加を中止させる指令を記録用電圧発生回路52に送るものである。
【0088】
(5)マイクロコンピュータ57
マイクロコンピュータ57は、記録用電圧発生回路52,下部電極選択回路53および上部電極選択回路54をそれぞれ制御するものである。
【0089】
次に、記録装置50の動作について、非記録状態では導電率ρが小さくなっている記録層51 に対して記録用電圧を印加することにより、記録層51 の導電率ρを大きくさせて情報の記録を行う場合を例として、説明する。
【0090】
記録用電圧を発生させる指令がマイクロコンピュータ57から記録用電圧発生回路52に出力されることにより、記録用電圧が記録用電圧発生回路52で発生される。記録用電圧を印加すべき下部電極(たとえば、同図(A)図示左端の下部電極5111)を選択させる指令が、マイクロコンピュータ57から下部電極選択回路53に出力されるとともに、情報の記録が行われる位置に対応する上部電極(たとえば、同図(A)図示上端の上部電極5121)を選択させる指令が、マイクロコンピュータ57から上部電極選択回路54に出力される。これにより、下部電極選択回路53により選択された下部電極5111と上部電極選択回路54により選択された上部電極5121との間に記録用電圧が印加されて、記録層51 への情報の記録が行われる。
【0091】
下部電極選択回路53により選択された下部電極5111と上部電極選択回路54により選択された上部電極5121との間に流れる電流は、電流アンプ55によって検出されて増幅されたのち、印加電圧制御回路56に送られる。印加電圧制御回路56では、上述した図1に示した印加電圧制御回路13と同様な方法により、電流アンプ55から送られてくる電流の値の変化量が検出され、予め設定された変化量以上の変化量が検出されたときには、記録用電圧の印加を中止させる指令が記録用電圧発生回路52に送られるとともに、情報の記録が正確に行われたという情報がマイクロコンピュータ57に送られる。記録用電圧発生回路52では、記録用電圧の印加を中止させる指令が印加電圧制御回路56から送られてくると、記録用電圧の発生を中止する。また、マイクロコンピュータ57では、印加電圧制御回路56から前記情報が送られてくると、次の記録位置を選択させるため、記録用電圧を印加すべき下部電極(たとえば、同図(A)図示左端から2番目の下部電極5112)を選択させる指令が、マイクロコンピュータ57から下部電極選択回路53に出力されるとともに、情報の記録が行われる位置に対応する上部電極(たとえば、同図(A)図示上端の上部電極5121)を選択させる指令が、マイクロコンピュータ57から上部電極選択回路54に出力される。
【0092】
以上の動作が繰り返されることにより、情報が記録媒体51に二次元的に記録される。したがって、記録装置50では、記録層51 の導電率ρが変化するまで記録用電圧が印加されるため、情報の記録を確実に行うことができるので、図1に示した記録装置10と同様の効果が得られる。なお、記録装置50における消去動作に関しても、上述した記録時の動作と同様の動作を行うことにより、記録層51 に記録された情報を安定に消去することができる。
【0094】
図3に示した記録装置50は記録機能のみを有するものであるが、記録用電圧発生回路52およびマイクロコンピュータ57に以下に示す機能を付加することにより、再生機能をも有する記録再生装置を構成することができる。
(1)記録用電圧発生回路52に、再生時に再生用電圧(再生用バイアス電圧)を発生する機能を付加する。
(2)マイクロコンピュータ57に、再生時に、再生用電圧を印加すべき下部電極を選択させる指令を下部電極選択回路53に出力するとともに、情報の再生が行われる位置に対応する上部電極を選択させる指令を上部電極選択回路54に出力する機能と、再生時に電流アンプ12から送られてくる電流より情報を再生する機能とを付加する。
【0095】
上記(1)に示した、記録用電圧発生回路52に、再生時に再生用電圧を発生する機能を付加する代わりに、再生時に再生用電圧を発生する手段を別途設けてもよい。
【0096】
次に、本発明の記録装置の第3の実施例について、図4を参照して説明する。
【0097】
記録再生装置100は、電流アンプ119から送られてくる電流の値の変化量を検出し、予め設定された変化量以上の変化量を検出したときに、記録用電圧の印加を中止させる指令を電源123に送る印加電圧制御回路130を具備する点で、図19に示した従来の記録再生装置600と異なる。
【0098】
次に、記録再生装置100 の記録時および再生時の動作について、非記録状態では導電率ρが小さくなっている記録層104 に対して記録用電圧を印加することにより、記録層104 の導電率ρを大きくさせて情報の記録を行う場合を例として、説明する。
【0099】
記録時には、電源123 がマイクロコンピュータ120 によって制御されて、電源123 から記録媒体101 の基板電極103 に所定のバイアス電圧が印加される。これにより、プローブ電極114 と記録媒体101 の記録層104 との間に、所定のバイアス電圧が印加される。このときプローブ電極114 と記録層104 との間に流れる電流は、電流アンプ119 で検出され増幅されたのち、マイクロコンピュータ120 ,第1のサーボ回路121 および第2のサーボ回路122 にそれぞれ送られる。
【0100】
第1のサーボ回路121 では、電流アンプ119 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ120 から送られてくる第1の電流設定値とが比較され、この両者の値が同じになるようにプローブ電極114 と記録層104 との間の距離を粗動制御させる粗動制御信号がZ方向粗動制御回路113 に出力される。Z方向粗動制御回路113 では、この粗動制御信号に基づいて粗動機構111 を図示Z軸方向に駆動する信号が作成されて、粗動機構111 に出力される。これにより、プローブ電極114 と記録層104 との間の距離が粗調整される。また、第2のサーボ回路122 では、電流アンプ119 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ120 から送られてくる第2の設定電流値とが比較され、この両者の値が同じになるようにプローブ電極114 と記録層104 との間の距離を微動制御させる微動制御信号がZ方向微動制御回路118 に出力される。Z方向微動制御回路118 では、この微動制御信号に基づいてZ方向微動機構116 を図示Z軸方向に駆動する信号が作成されて、Z方向微動機構116 に出力される。これにより、プローブ電極114 と記録層104 との間の距離が微調整されて、所定の距離に保たれる。
【0101】
XY方向粗動制御回路112 では、マイクロコンピュータ120 からの指令に基づいて粗動機構111 を図示X軸方向およびY軸方向に駆動する信号が作成されて、粗動機構111 に出力される。また、XY方向微動制御回路117 では、マイクロコンピュータ120 からの指令に基づいてXY方向微動機構115 を図示X軸方向およびY軸方向に駆動する信号が作成されて、XY方向微動機構115 に出力される。これにより、プローブ電極114 が記録媒体101 の記録位置まで走査される。
【0102】
電源123 では、マイクロコンピュータ120 からの指令に基づいて記録用電圧が発生される。記録用電圧が、記録媒体101 の基板電極102 を介して記録層104 に印加される。記録層104 の記録用電圧が印加された部分の導電率が局所的に大きくなることにより、記録層104 に記録ビットが形成される。
【0103】
ここで、非記録状態において小さい導電率ρ を有する記録層104 に対して記録用電圧を印加して記録層104 の導電率を大きくさせることによって情報の記録を行う場合には、図1に示した記録装置10の動作で説明したように、記録用電圧の印加により記録層104 の導電率ρが小さい導電率ρ から大きい導電率ρ に変化したときには、記録用電圧の印加中に電流アンプ119 で検出される電流の値が小さい値から大きい値に変化する。したがって、印加電圧制御回路130 において、記録用電圧の印加中に、電流アンプ119 から送られてくる電流の値の変化量が検出され、予め設定された変化量以上の変化量が検出されたときに、記録用電圧の印加を中止させる指令が印加電圧制御回路130 から電源123 に送られるとともに、情報の記録が正確に行われたという情報が、印加電圧制御回路130 からマイクロコンピュータ120 に送られる。マイクロコンピュータ120 では、印加電圧制御回路130 からこの情報が送られてくると、次の記録位置へのプローブ電極114 の走査動作が開始される。
【0104】
以上のように、記録再生装置100 では、記録層104 の導電率ρが変化するまで記録用電圧が印加されるため、情報の記録を確実に行うことができるので、図1に示した記録装置10と同様の効果が得られる。なお、記録装置100 における消去動作に関しても、上述した記録時の動作と同様の動作を行うことにより、記録媒体101 に記録された情報を安定に消去することができる。
【0105】
再生時には、プローブ電極114 が、記録時と同様にして、記録媒体101 の再生位置まで走査される。その後、電源123 で、再生用電圧が発生される。再生用電圧は、記録媒体101 の基板電極102 を介して記録層104 に印加される。このとき、記録層104 とプローブ電極114 との間に流れる電流が、電流アンプ119 により検出されて増幅されたのち、マイクロコンピュータ120 へ送られる。マイクロコンピュータ120 では、送られてきた電流の値より記録層104 の導電率が求められる。求められた導電率の値により記録ビットの有無がわかるため、記録された情報の再生が可能となる。
【0106】
次に、本発明の記録装置の第の実施例について説明する。
【0107】
図4に示した記録再生装置100は、記録機能と再生機能とを具備するため、電源123は再生用電圧を発生する機能を有し、また、マイクロコンピュータ120は電流アンプ119から送られてくる電流より情報を再生する機能を有したが、電源123およびマイクロコンピュータ120のこれらの機能を省略することにより、記録機能のみを具備する記録装置を構成することができる。
【0108】
図5は、本発明の記録装置の第の実施例の動作を説明するための図である。
【0109】
本実施例の記録再生装置は、電源123 が、記録用電圧として、図5(A)に示すように、時間の経過とともに電圧値が単調増加するランプ波状の電圧を発生する点で、図4に示した記録再生装置100 と異なる。
【0110】
次に、本実施例の記録再生装置の記録時の動作について、非記録状態では導電率ρが小さくなっている記録層104 に対して記録用電圧を印加することにより、記録層104 の導電率ρを大きくさせて情報の記録を行う場合を例として、説明する。なお、本実施例の記録再生装置は、図4に示した記録再生装置100 と同様の構成を有するため、以下の説明においては、図4に示した各構成要素を引用して行う。
【0111】
記録時には、電源123 がマイクロコンピュータ120 によって制御されて、電源123 から記録媒体101 の基板電極103 に電圧値がV のバイアス電圧(図5(A)参照)が印加される。これにより、プローブ電極114 と記録媒体101 の記録層104 との間に、電圧値がV のバイアス電圧が印加される。このときプローブ電極114 と記録層104 との間に流れる電流は、電流アンプ119 で検出されて増幅されたのち、マイクロコンピュータ120 ,第1のサーボ回路121 および第2のサーボ回路122 にそれぞれ送られる。
【0112】
第1のサーボ回路121 では、電流アンプ119 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ120 から送られてくる第1の電流設定値とが比較され、この両者の値が同じになるようにプローブ電極114 と記録層104 との間の距離を粗動制御させる粗動制御信号がZ方向粗動制御回路113 に出力される。Z方向粗動制御回路113 では、この粗動制御信号に基づいて粗動機構111 を図示Z軸方向に駆動する信号が作成されて、粗動機構111 に出力される。これにより、プローブ電極114 と記録層104 との間の距離が粗調整される。また、第2のサーボ回路122 では、電流アンプ119 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ120 から送られてくる第2の設定電流値とが比較され、この両者の値が同じになるようにプローブ電極114 と記録層104 との間の距離を微動制御させる微動制御信号がZ方向微動制御回路118 に出力される。Z方向微動制御回路118 では、この微動制御信号に基づいてZ方向微動機構116 を図示Z軸方向に駆動する信号が作成されて、Z方向微動機構116 に出力される。これにより、プローブ電極114 と記録層104 との間の距離が微調整されて、所定の距離に保たれる。
【0113】
XY方向粗動制御回路112 では、マイクロコンピュータ120 からの指令に基づいて粗動機構111 を図示X軸方向およびY軸方向に駆動する信号が作成されて、粗動機構111 に出力される。また、XY方向微動制御回路117 では、マイクロコンピュータ120 からの指令に基づいてXY方向微動機構115 を図示X軸方向およびY軸方向に駆動する信号が作成されて、XY方向微動機構115 に出力される。これにより、プローブ電極114 が記録媒体101 の記録位置まで走査される。
【0114】
電源123 では、マイクロコンピュータ120 からの指令に基づいて、ランプ波状の記録用電圧が時刻t から発生される。記録用電圧は、記録媒体101 の基板電極102 を介して記録層104 に印加される。時間の経過に伴って記録用電圧の電圧値は増加し、時刻t で、記録層104 の記録用電圧が印加された部分の導電率が局所的に変化することにより、記録層104 に記録ビットが形成される。
【0115】
ここで、非記録状態において小さい導電率ρ を有する記録層104 に対して記録用電圧を印加して記録層104 の導電率を大きくさせることによって情報の記録を行う場合には、図1に示した記録装置10の動作で説明したように、記録用電圧の印加により記録層104 の導電率ρが小さい導電率ρ から大きい導電率ρ に変化したときには、記録用電圧の印加中に電流アンプ119 で検出される電流の値が、図5(B)に示すように、小さい値から大きい値に変化する。したがって、印加電圧制御回路130 において、記録用電圧の印加中に、電流アンプ119 から送られてくる電流の値の変化量が検出され、予め設定された変化量以上の変化量(図5(B)に示す基準電流値I を越える値の電流)が検出されたときに(時刻t )、記録用電圧の印加を中止させる指令が印加電圧制御回路130 から電源123 に送られるとともに、情報の記録が正確に行われたという情報が、印加電圧制御回路130 からマイクロコンピュータ120 に送られる。マイクロコンピュータ120 では、印加電圧制御回路130 からこの情報が送られてくると、次の記録位置へのプローブ電極114 の走査動作が開始される。
【0116】
以上のように、本実施例の記録再生装置では、記録媒体101 の導電率ρが変化するまで記録用電圧が印加されるため、情報の記録を確実に行うことができるので、図1に示した記録装置10と同様の効果が得られる。なお、本実施例の記録装置における消去動作に関しても、上述した記録時の動作と同様の動作を行うことにより、記録媒体101 に記録された情報を安定に消去することができる。
【0117】
次に、本実施例の記録再生装置の変形例について、説明する。
(1)上記実施例の記録再生装置では、電流アンプ119 から送られてくる電流の値が基準電流値I を越えたと印加電圧制御回路130 で検出されたときに、電源123 から出力される記録用電圧は、図5(A)に示したように、急激に遮断されたが、たとえば電圧値が単調減少するように時定数をもたせて中止させるようにしてもよい。なお、この場合には、記録用電圧の電圧値が所定の値よりも小さくなったのち、次の記録位置へのプローブ電極114 の走査動作が開始される。
(2)印加電圧制御回路130 において、電流アンプ119 から送られてくる電流の値の時間微分値を求め、求めた時間微分値が所定の値を越えたときに、記録層104 の導電率が変化したと判定する。
(3)外部装置から入力される記録すべき情報が一時的に記憶される補助記憶装置をさらに具備する。本実施例の記録再生装置では、記録層104 の導電率の変化を確認したのちに、次の記録位置へのプローブ電極114 の走査動作が開始されるため、情報1ビット当たりの記録時間は必ずしも一定になるとは限らない。したがって、多数ビットからなる情報を記録する場合には、外部から入力される情報を補助記憶装置に一旦取り込んだのち、補助記憶装置から情報を1ビットずつ取り出して記録させることにより、情報の記録を安定に行うことができ、また、記録層104 を構成する素子の損傷も防止でき、さらに、記録時間に無駄がなくなり記録速度を上げることができる。
【0119】
上述した記録再生装置100は、記録機能と再生機能とを有するものであるが、再生機能を削除することもできる
【0120】
以上述べてきた本発明の記録装置は、非記録状態と記録状態とで電圧に対する電流応答特性が異なる記録層に記録用電圧を印加して記録層を記録状態とすることにより、記録層に情報を記録する記録方法において、記録層への記録用電圧の印加中に記録層に流れる電流の値の変化量を検出し、検出した電流の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、検出した電流の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったときに、記録層への記録用電圧の印加を中止することを特徴とする。これに対して、これから述べる記録装置は、非記録状態と記録状態とで電流に対する電圧応答特性が異なる記録層に記録用電流を注入して記録層を記録状態とすることにより、記録層に情報を記録する記録方法において、記録層への記録用電流の注入中に記録層に発生する電圧の値の変化量を検出し、検出した電圧の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、検出した電圧の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったときに、記録層への記録用電流の注入を中止することを特徴とする
【0121】
図6は、本発明の記録装置の第の実施例を示す概略構成図である。
【0122】
記録装置210 は、以下に示す点で、図1に示した記録装置10と異なる。
(1)記録媒体211 は、電流の注入により非記録状態と記録状態とで導電率が変化する記録層211を有する。
(2)図1に示した記録用電圧発生回路14の代わりに、記録用電流を発生する記録用電流発生回路214 を有する。ここで、記録用電流発生回路214 で発生された記録用電流は、下部電極211および上部電極211を介して記録層211に注入される。
(3)図1に示した電流アンプ12の代わりに、記録用電流の注入中に記録層211に発生する電圧を検出して増幅する電圧アンプ212 を有する。
(4)図1に示した印加電圧制御回路13の代わりに、電圧アンプ212 から送られてくる電圧の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、この電圧の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったときに、記録層211への記録用電流の注入を中止するよう記録用電流発生回路214 に指令を送る注入電流制御回路213 を有する。
【0123】
次に、記録装置210 の動作について、非記録状態で導電率ρが小さくなっている記録層211に対して記録用電流を注入することにより、記録層211の導電率ρを大きくさせて情報の記録を行う場合を例として、説明する。
【0124】
注入電流制御回路213 から記録用電流発生回路214 に、図7(A)に示す時刻t から電流値Iの記録用電流を注入させる指令が出力される。この指令に基づいて、電流値Iの記録用電流が、記録用電流発生回路214 から下部電極211と上部電極211とを介して記録層211に注入される。時刻t では、記録媒体211 の導電率ρは小さい導電率ρ となっているため、電圧アンプ12により検出され増幅された電圧の値は、図7(B)に示すように、大きい電圧値V となる。その後、電流値Iの記録用電流が記録層211に注入され続けられ、時刻t において記録媒体211 の導電率ρが変化して大きい導電率ρ となったとすると、時刻t で電圧アンプ212 により検出され増幅された電圧の値は、図7(B)に示すように、大きい電圧値V から小さい電圧値V に変化する。注入電流制御回路213 では、電圧アンプ212 から送られてくる電圧の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったことが検出されると、記録用電流の注入を中止させる指令が作成されたのち記録用電流発生回路214 に出力される。その結果、図7(A)に示すように、時刻t において、記録電流の電流値は”0”とされ、1回分の情報の記録動作が終了される。
【0125】
なお、注入電流制御回路213 における電圧アンプ212 から送られてくる電圧の値の変化量の検出は、大きい電圧値V および小さい電圧値V は既知であるため、図7(B)に示すように、大きい電圧値V と小さい電圧値V との間の電圧値である基準電圧値V を設定しておき、電圧アンプ212 から送られてくる電圧の値と基準電圧値V とを比較することにより、容易に行うことができる。また、図7(A)において、電圧アンプ212 から送られてくる電圧の値が変化した時刻t と記録用電流の値が”0”となる時刻t との間に生じる時間差(t−t)は、注入電流制御回路213 を構成する各構成回路の遅延時間によるものであり、この遅延時間ができるだけ短くなるように注入電流制御回路213 を構成することが好ましい。
【0126】
以上のように、記録装置210 では、記録層211の導電率ρが変化するまで記録用電流が注入されるため、情報の記録を確実に行うことができる。また、従来のこの種の記録装置のように、情報の記録を確実に行うために余裕をもった記録用電流の注入時間を設定する必要はなく、記録層211の導電率ρの変化が発生した時点で記録用電流の注入を終了させることができるので、以下の利点がある。
(1)記録時間の減少を図ることができる。
(2)必要以上の電流が記録層211を構成する素子に流れることがないため、素子への負担が少なくなり、素子の破壊が防止され、寿命も長くなる。
【0128】
図6に示した記録装置210は記録機能のみを有するものであるが、再生時に記録媒体211の記録層211に下部電極211および上部電極211を介して再生用電流を注入する手段と、電圧アンプ212から送られてくる電圧より情報を再生する情報再生手段とを記録装置210に付加することにより、再生機能をも具備する記録再生装置を構成することができる。
【0129】
次に、本発明の記録装置の第の実施例について説明する。
【0130】
本実施例の記録装置は、以下に示す点で、図3に示した記録装置50と異なる。
(1)記録媒体は、電流の注入により非記録状態と記録状態とで導電率が変化する記録層を有する。
(2)図3に示した記録用電圧発生回路52の代わりに、記録用電流を発生する記録用電流発生回路を有する。ここで、記録用電流発生回路で発生された記録用電流は、下部電極選択回路で選択された下部電極および上部電極選択回路で選択された上部電極を介して記録層に注入される。
(3)図3に示した電流アンプ12の代わりに、記録用電流の注入中に記録層に発生する電圧を検出して増幅する電圧アンプを有する。
(4)図3に示した印加電圧制御回路13の代わりに、電圧アンプから送られてくる電圧の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、この電圧の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったときに、記録層への記録用電流の注入を中止するよう記録用電流発生回路に指令を送る注入電流制御回路を有する。
【0131】
本実施例の記録装置は、以上の構成を有することにより、図3に示した記録装置50と同様の効果を得ることができる。
【0133】
上述した記録装置は、記録機能のみを有するものであるが、再生時に記録媒体の記録層に下部電極および上部電極を介して再生用電流を注入する手段と電圧アンプから送られてくる電圧より情報を再生する情報再生手段とを記録装置に付加することにより、再生機能をも具備する記録再生装置を構成することができる。
【0134】
また、再生時に記録媒体の記録層に下部電極および上部電極を介して再生用電圧を印加する電圧印加手段と、記録媒体を流れる電流を検出する電流アンプとを付加することによっても、再生機能を具備することができる。
【0135】
次に、本発明の記録装置の第の実施例について説明する。
【0136】
本実施例の記録再生装置は、以下に示す点で、図4に示した記録再生装置100 と異なる。
(1)記録媒体は、電流の注入により非記録状態と記録状態とで導電率が変化する記録層を有する。
(2)図4に示した電源123 の代わりに、記録用電流および再生用電流をそれぞれ発生する電流源を有する。ここで、電流源で発生された記録用電流は、プローブ電極を介して記録層に注入される。
(3)図4に示した電流アンプ119 の代わりに、記録用電流の注入中にプローブ電極と記録層との間に発生する電圧を検出して増幅する電圧アンプを有する。
(4)図4に示した印加電圧制御回路130 の代わりに、電圧アンプから送られてくる電圧の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、この電圧の値の変化量が予め設定された変化量よりも大きくなったときに、記録層への記録用電流の注入を中止するよう電流源に指令を送る注入電流制御回路を有する。
【0137】
本実施例の記録装置は、以上の構成を有することにより、図4に示した記録再生装置100 と同様の効果を得ることができる。
【0139】
上述した記録装置は、記録機能と再生機能とを有するものであるが、再生機能を削除することもできる
【0140】
以上の説明においては、記録媒体として、記録用電圧の印加または記録用電流の注入により導電率が変化する記録層を有する記録媒体を用いたが、以下に示すような記録層を有する記録媒体を用いても同様の効果が得られる。
(1)非記録状態と記録状態とで電圧に対する電流応答特性が異なり、記録用電圧が印加されると界面に流れる電流の値が変化する記録層。
(2)非記録状態と記録状態とで電流に対する電圧応答特性が異なり、記録用電流が注入されると発生する電圧の値が変化する記録層。
【0141】
また、記録層の導電率が変化したことを検出したら、記録用電圧の印加または記録用電流の注入を中止したが、以下に示す方法を用いることもできる。
(1)所定の期間内に電流値または電圧値の変化が発生しない場合には、印加する記録用電圧または注入する記録用電流の値を大きくする。
(2)記録用電圧の印加中または記録用電流の注入中の電流値の変化量に応じて記録用電圧または記録用電流の値を変化させていく。
(3)記録用電圧の値を一時的に検出用電圧値に変化させ、このとき検出した電流値に基づいて記録用電圧の値を変化させる。たとえば、記録用電圧として直流電圧を印加し、所定の時間が経過したのちに交流電圧に切り替えて、このとき検出したインピーダンスの値に応じて記録用の直流電圧値を変化させる。
【0142】
図8は、本発明の記録装置の第の実施例を示す概略構成図である。
【0143】
記録再生装置800 は、走査型トンネル顕微鏡の原理を用いるとともに、電圧電流のスイッチング特性に対してメモリ効果をもつ材料(たとえば、π電子系有機化合物やカルコゲン化合物類)からなる薄膜層を記録層として用いて、原子または分子オーダーで情報の高密度記録を実現するものである。
【0144】
記録再生装置800 は、記録媒体801 と、記録媒体ステージ805 と、プローブ電極806 と、記録媒体駆動機構807 と、電源制御回路808 と、電源809 と、電流アンプ810 と、サーボ回路811 と、Z方向位置制御回路812 と、XY方向位置制御回路813 と、マイクロコンピュータ814 と、記録実現判定回路815 とを含む。記録再生装置800 の各構成要素について、以下に詳細に説明する。
【0145】
記録媒体801 は、同図に示すように、基板802 と、基板802 上に形成された基板電極803 と、基板電極803 上に形成された記録層804 とからなる。ここで、記録層804 は、電圧電流のスイッチング特性に対してメモリ効果をもつポリイミドLB膜を用いて構成されており、電圧を印加することによって導電率が上昇するものである。すなわち、記録層804 のプローブ電極806 から電圧が印加された部分が局所的に導電性を有するようになることを利用して、記録ビットが形成される。
【0146】
記録媒体ステージ805 は、記録媒体801 が載置されるものである。電流アンプ810 は、記録媒体801 とプローブ電極806 との間に流れる電流を検出して増幅したのち、マイクロコンピュータ814 ,サーボ回路811 および記録実現判定回路815 にそれぞれ出力するものである。Z方向位置制御回路812 は、サーボ回路811 の出力信号に応じて記録媒体駆動機構807 を図示Z軸方向に移動させるものである。XY方向位置制御回路813 は、マイクロコンピュータ814 の出力信号に基づいて制御信号を発生し、記録媒体駆動機構807 を図示X軸方向およびY軸方向に移動させるものである。記録媒体駆動機構807 の駆動動作によって、記録媒体ステージ805 が3次元的に移動する結果、記録媒体801 が3次元的に移動する。この動作により、プローブ電極806 の先端を記録媒体801 の表面の任意の位置に移動させることができる。
【0147】
プローブ電極806 の記録媒体801 に対する図示Z軸方向の位置は、記録媒体801 とプローブ電極806 との間に流れる電流の大きさで規定することができる。マイクロコンピュータ814 は、電流の指令値をサーボ回路811 に送る。サーボ回路811 は、マイクロコンピュータ814 から送られてくる指令値と電流アンプ810 から送られてくる電流の大きさとを比較して、比較結果に応じた出力信号をZ方向位置制御回路812 に送る。
【0148】
電源809 は、電源制御回路808 の指令に応じて、プローブ電極806 の図示Z軸方向の位置制御に必要なバイアス電圧および情報の記録に必要な電圧を発生するものである。記録実現判定回路815 は、電流アンプ810 から送られてくる電流の大きさに基づいて情報の記録が実現されたか否かを判定し、その判定結果を電源制御回路808 とマイクロコンピュータ814 とにそれぞれ出力する。
【0149】
次に、記録再生装置800 の動作について説明する。
【0150】
情報の記録を行うときは、マイクロコンピュータ814 からの指令に基づいて、プローブ電極806 の先端を記録媒体801 の記録位置に移動させる制御信号が、XY方向位置制御回路813 から記録媒体駆動機構807 に送られる。同時に、マイクロコンピュータ814 では、プローブ電極806 の図示Z軸方向の位置制御に必要なバイアス電圧が定められる。電源制御回路808 では、マイクロコンピュータ814 で定められたバイアス電圧を発生させる指令が作成されたのち、その指令が電源809 に送られる。これにより、記録媒体801 とプローブ電極806 との間に、マイクロコンピュータ814 で定められたバイアス電圧が印加される。このときにプローブ電極806 に流れる電流が、電流アンプ810 によって検出される。同時に、マイクロコンピュータ814 では、記録媒体801 とプローブ電極806 との間の所定の間隙に対応した規定電流値が定められたのち、その規定電流値がサーボ回路811 に送られる。
【0151】
サーボ回路811 では、電流アンプ810 から送られてくる電流の値とマイクロコンピュータ814 から送られてくる規定電流値とが比較され、電流アンプ810 から送られてくる電流の値の方が大きければ、記録媒体801 とプローブ電極806 との間の間隙を広くさせ、一方、電流アンプ810 から送られてくる電流の値の方が小さければ、記録媒体801 とプローブ電極806 との間の間隙を狭くさせる制御信号が作成されたのち、その制御信号がZ方向位置制御回路812 に送られる。その結果、プローブ電極806 の先端の位置が、情報の記録を行う際の所定の間隙に制御される。記録媒体801 とプローブ電極806 との位置が定まった時点で、プローブ電極806 の位置の制御が停止され、記録媒体801 とプローブ電極806 との間の間隙が固定される。
【0152】
図9(A)に示すように、時刻t において、マイクロコンピュータ814 の指令に基づいて、情報を記録するために必要な電圧値V の電圧を発生するように指示する制御信号が電源制御回路808 から電源809 に送られる。電源809 では、この制御信号に応じて、電圧値V の電圧が発生されたのち、記録媒体801 に印加される。このとき記録媒体801 とプローブ電極806 との間に流れる電流が、電流アンプ810 で検出されるとともに増幅される。電流アンプ810 で増幅された電流は、マイクロコンピュータ814 と記録実現判定回路815 とに送られる。
【0153】
電圧値V の電圧が記録媒体801 に印加され始めた直後(時刻t )では、記録ビットが形成されていないため、電流アンプ810 で増幅された電流の値は、同図(B)に示すように、電流値I と小さい。その後、電圧値V の電圧が記録媒体801 に印加され続けると、時刻t において、記録層804 を構成するLB膜の導電率が上昇して、電流アンプ810 で増幅された電流の値は、電流値I と大きくなる。記録実現判定回路815 では、基準電流値I がマイクロコンピュータ814 からあらかじめ指示されており、電流アンプ810 から送られてくる電流の値が基準電流値I を越えた時点(時刻t )で、情報の記録が実現されたと判断される。なお、基準電流値I をマイクロコンピュータ814 から与えることにより常に適正な基準電流値とすることができるが、基準電流値I を記録実現判定回路815 に初めから設定していてもよい。
【0154】
記録実現判定回路815 において情報の記録が実現されたと判断されると、その判断結果が、記録実現判定回路815 からマイクロコンピュータ814 と電源制御回路808 に送られる。情報の記録が実現したという判断結果が記録実現判定回路815 から電源制御回路808 に送られると、電圧値V の電圧の発生を中止させる制御信号が電源制御回路808 から電源809 に送られる。電源809 では、この制御信号に応じて、電圧値V の電圧の発生が中止させられる。その結果、時刻t において、記録媒体801 への電圧印加が終了される。このとき、マイクロコンピュータ814 では、次の記録ビットを形成させる制御が開始される。すなわち、現在の記録位置における情報の記録を終了させるとともに、次の記録位置へのプローブ電極806 の移動を開始させる。なお、ここでいう電圧印加の終了とは、記録層804 の導電率を変化させるための電圧の印加を終了するということであり、その後は、必要に応じて、バイアス電圧などが電源809 から記録媒体801 に印加される場合もある。
【0155】
以上の動作により、記録再生装置800 では、情報の記録に必要な電圧が情報の記録に必要かつ十分な時間だけ記録媒体801 に印加されることになるため、情報の記録を確実に行うことができるとともに、情報の記録時における記録媒体801 の損傷を防げることができる。また、情報の記録に要する時間も必要かつ十分なものとすることができるため、記録時間の低減化も図れる。
【0156】
次に、図8に示した記録再生装置800 の他の動作例について、図10(A),(B)をそれぞれ参照して説明する。
【0157】
本動作例は、情報を記録するために必要な電圧を記録媒体801 に印加するときの電源制御回路808 およびマイクロコンピュータ814 の動作が、上述した場合と異なる。
【0158】
すなわち、図10(A)に示すように、時刻t から時刻t にかけて、電圧値V でパルス幅一定のパルス電圧が電源809 から記録媒体801 に印加される。このとき電流アンプ810 で増幅された電流の値は、同図(B)に示すように、情報の記録の実現の判断基準となる基準電流値I よりも小さい電流値I であるため、記録実現判定回路815 では、情報の記録が実現したとは判断されず、情報の記録が実現したという判断結果が記録実現判定回路815 から電源制御回路808 に送られない。電源制御回路808 では、時刻t を過ぎても、情報の記録が実現したという判断結果が記録実現判定回路815 から送られてこないと、電圧値V でパルス幅一定のパルス電圧を記録媒体801 に再度印加させる制御信号が作成され、電源809 に送られる。その結果、時刻t から時刻t にかけて、電圧値V でパルス幅一定のパルス電圧が電源809 から記録媒体801 に再度印加される。
【0159】
今回のパルス電圧の印加時には、同図(B)に示すように、時刻t において、電流アンプ810 で増幅された電流の値が基準電流値I よりも大きい電流値I となるため、記録実現判定回路815 では、情報の記録が実現した判断される。そして、情報の記録が実現したという判断結果が、記録実現判定回路815 からマイクロコンピュータ814 と電源制御回路808 に送られる。情報の記録が実現したという判断結果が記録実現判定回路815 から電源制御回路808 に送られると、電源制御回路808 では、次のパルス電圧の印加を中止させる制御信号が作成され、電源809 に送られる。また、マイクロコンピュータ814 では、パルス電圧の印加が終了する時刻t をまって、次の記録ビットを形成させる制御が開始される。すなわち、現在の記録位置における情報の記録を終了させるとともに、次の記録位置へのプローブ電極806 の移動を開始させる。
【0160】
次に、図8に示した記録再生装置800 のさらに他の動作例について、図11(A),(B)をそれぞれ参照して説明する。
【0161】
本動作例においては、時刻t において、電圧値V でパルス幅一定のパルス電圧の記録媒体801 への印加が開始される。このパルス電圧の印加は時刻t で終了するが、このとき電流アンプ810 で増幅された電流の値は、図11(B)に示すように、情報の記録の実現の判断基準となる基準電流値I よりも小さい電流値I であるため、記録実現判定回路815 では、情報の記録が実現したとは判断されず、情報の記録が実現したという判断結果が記録実現判定回路815 から電源制御回路808 に送られない。電源制御回路808 では、時刻t を過ぎても、情報の記録が実現したという判断結果が記録実現判定回路815 から送られてこないと、今度は電圧値V (V>V)でパルス幅一定のパルス電圧を記録媒体801 に印加させる制御信号が作成され、電源809 に送られる。その結果、時刻t から時刻t にかけて、電圧値V でパルス幅一定のパルス電圧が電源809 から記録媒体801 に印加される。
【0162】
今回のパルス電圧の印加時には、同図(B)に示すように、時刻t において、電流アンプ810 で増幅された電流の値が基準電流値I よりも大きい電流値I となるため、記録実現判定回路815 では、情報の記録が実現した判断される。そして、情報の記録が実現したという判断結果が、記録実現判定回路815 からマイクロコンピュータ814 と電源制御回路808 に送られる。情報の記録が実現したという判断結果が記録実現判定回路815 から電源制御回路808 に送られると、電源制御回路808 では、次のパルス電圧の印加を中止させる制御信号が作成され、電源809 に送られる。また、マイクロコンピュータ814 では、パルス電圧の印加が終了する時刻t をまって、次の記録ビットを形成させる制御が開始される。すなわち、現在の記録位置における情報の記録を終了させるとともに、次の記録位置へのプローブ電極806 の移動を開始させる。
【0163】
なお、本動作例では、時刻t からの2度目のパルス電圧印加時には、パルス電圧の電圧値を大きくさせたが、パルス電圧のパルス幅を長くしてもよい。
【0164】
以上説明した各動作例では、電流アンプ810 で増幅された電流の値から、情報の記録の実現を判断したが、この電流の微分値などから、情報の記録の実現を判断してもよい。また、記録のための電圧の印加中に電流アンプ810 で増幅された電流の値から情報の記録の実現を判断したが、記録のための電圧の印加終了後に、これらの電圧とは別に、記録実現判定用の電圧を記録媒体801 に印加して、このとき電流アンプ810 で増幅された電流の値から情報の記録の実現を判断してもよい。また、記録のための電圧を印加する前に、非記録状態の電流値を採取しておき、記録の実現を判断するときの参照値としてもよい。
【0165】
次に、図8に示した記録再生装置800 のさらに他の動作例について、図12(A),(B)をそれぞれ参照して説明する。
【0166】
本動作例においては、図12(A)に示すように、情報の記録が開始される時刻t よりも前の時点で、プローブ電極806 を記録媒体801 に接近させるのに必要な電圧値V のバイアス電圧が電源809 から記録媒体801 に印加されている。なお、このときのプローブ電極806 を記録媒体801 に接近させる方法は、上述した各動作例の場合と同様である。このようにして、プローブ電極806 と記録媒体801 との間隙が決定されると、時刻t において、マイクロコンピュータ814 からの指令に応じて電源制御回路808 が動作して、電源809 から記録媒体801 に印加される電圧の値が単調増加的に上昇させられる。このとき記録媒体801 とプローブ電極806 との間に流れる電流が電流アンプ810 で検出されるとともに増幅されたのち、記録実現判定回路815 に送られる。電流アンプ810 で増幅された電流の値の時間変化の一例を同図(B)に示す。
【0167】
記録実現判定回路815 では、電流アンプ810 で増幅された電流の値が基準電流値I を越えた時点(時刻t )で、情報の記録が実現できたと判断される。その後、情報の記録が実現できたという判断結果が、記録実現判定回路815 から電源制御回路808 に送られる。電源制御回路808 では、この判断結果が送られてくると、記録のために必要な電圧の印加を中止させる制御信号が作成され、電源809 に送られる。この制御信号を受けて、電源809 では、時刻t において、記録媒体801 への電圧の印加が中止される。その後、上述した各動作例と同様にして、プローブ電極806 が、次の記録位置へ移動させられたのち、次の記録動作が開始される。
【0168】
図13(A)乃至(E)はそれぞれ、本発明の記録装置の第10の実施例の動作を説明するための図である。
【0169】
本実施例の記録装置は、以下に示す点で、図8に示した記録再生装置800と異なる。
(1)記録媒体が、シリコン(100)基板(以下、「シリコン基板」と称する。)とされる。
(2)所望の記録位置にプローブ電極を移動したのち、記録媒体とプローブ電極との間に電圧を印加して、シリコン原子をシリコン基板から引き抜いたり、シリコン基板からプローブ電極に移動したシリコン原子をシリコン基板に戻したりして、シリコン基板の表面を原子レベルで加工する。
(3)プローブ電極とシリコン基板とは超高真空中に封入されており、シリコン基板は前処理によって表面の酸化膜および有機物質などの汚染物質が除去されており、清浄なシリコン(100)面が露出している。
(4)電流アンプには微分回路が組み込まれており、電流の微分値を出力することができる。
【0170】
以下、本実施例の記録装置の動作について、図8に示した各構成要素を引用して説明する。
【0171】
プローブ電極806 と記録媒体801 との間の間隙が、図8に示した記録再生装置800 と同様にして決定されたのち、電源809 から記録媒体801 に電圧が印加されることにより、記録媒体801 を構成するシリコン基板の表面上の原子が加工される。記録媒体801 には、図13(A)に示すように、情報の記録が開始される時刻t までは電圧値V のバイアス電圧が印加されており、時刻t 以降は電圧値が単調増加的に大きくなる電圧が印加される。このとき、プローブ電極806 と記録媒体801 (シリコン基板)との間に流れる電流が、電流アンプ810 で検出されるとともに増幅される。また、電流アンプ810 では、増幅された電流が微分回路で微分されることにより、増幅された電流の微分値も同時に得られる。
【0172】
時刻t 以降に記録媒体801 に印加される電圧の値が大きくなるにつれて、記録媒体801 とプローブ電極806 との間に流れる電流の値も、同図(B),(C)にそれぞれ示すように、この電圧の値にほぼ比例して大きくなる。ここで、記録媒体801 を構成するシリコン基板から原子を抜き取ることやプローブ電極806 の先端についた原子が記録媒体801 側に移動したりすることが発生すると、その瞬間、プローブ電極806 の先端と記録媒体801 (シリコン基板)との間に電流(トンネル電流)が流れている領域の原子配置が変化するため、両者の間を流れる電流は急激に変化する。このとき、原子配置の変化の仕方に応じて、電流が増加したりまたは減少したりする。同図(B)は、時刻t で、原子配置の変化により電流が増加した場合の一例を示す図であり、同図(C)は、時刻t で、原子配置の変化により電流が減少した場合の一例を示す図である。
【0173】
記録実現判定回路815 では、電流アンプ810 で得られる電流の微分値に基づいて、原子の移動の判断(すなわち、情報の記録が実現したか否かの判断)が行われる。すなわち、時刻t で、同図(B)に示したように、電流が急激に増加したときには、同図(D)に示すように、電流の微分値が急激に大きくなる。また、時刻t で、同図(C)に示したように、電流が急激に減少したときには、同図(E)に示すように、電流の微分値が急激に小さくなる。したがって、記録実現判定回路815 では、電流アンプ810 から送られてくる電流の微分値が、マイクロコンピュータ814 から送られてくる2つの基準微分値ΔI01,ΔI02とそれぞれ比較され、電流の微分値が一方の基準微分値ΔI01よりも大きくなった場合または電流の微分値が他方の基準微分値ΔI02よりも小さくなった場合には、原子または原子団の移動が発生した(すなわち、情報の記録が実現した)と判断される。このようにして、記録実現判定回路815 において、情報の記録が実現したと判断されると、記録媒体801 への電圧の印加を直ちに中止させる制御が、図8に示した記録再生装置800 と同様にして行われる。
【0174】
従来のこの種の記録再生装置では、原子を移動するのに必要な電圧はシリコン基板(記録媒体801 )の記録位置により異なっていたが、本実施例の記録再生装置では、以上のようにしてシリコン基板(記録媒体801 )への電圧印加が行われるため、より安定にシリコン原子の移動を実現することができる。しかも、過大な電圧がシリコン基板(記録媒体801 )に印加されることがないので、不必要な原子にまで影響を与えるということもなくなる。
【0175】
図14は、本発明の記録装置の第11の実施例を示す概略構成図である。
【0176】
本実施例の記録再生装置1400は、原子間力顕微鏡の原理を用い、記録媒体1401の表面に力を加えて機械的加工をして記録ビットを形成することにより、情報の記録を行うものである。記録再生装置1400は、記録媒体1401と、プローブ1402と、カンチレバー1403と、記録媒体ステージ1404と、記録媒体駆動機構1405と、Z方向位置制御回路1406と、XY方向位置制御回路1407と、レーザ1408と、レーザ光用電源1409と、二分割センサ1410と、たわみ量検出器1411と、マイクロコンピュータ1412とを含む。
【0177】
ここで、カンチレバー1403は、通常の原子間力顕微鏡で用いられているカンチレバーと同様の構成のものであり、その先端には、プローブ1402が固定されている。プローブ1402の先端は、記録媒体1401の表面に接触させられている。
【0178】
記録媒体ステージ1404は、記録媒体1401を保持する機構であり、また、記録媒体駆動機構1405は、記録媒体ステージ1404を図示X軸方向,Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ移動させるためのものである。Z方向位置制御回路1406は、記録媒体駆動機構1405の図示Z軸方向の移動を制御するためのものであり、また、XY方向位置制御回路1407は、記録媒体駆動機構1405の図示X軸方向およびY軸方向の移動を制御するためのものである。したがって、Z方向位置制御回路1406およびXY方向位置制御回路1407により記録媒体駆動機構1405の図示X軸方向,Y軸方向およびZ軸方向の移動が制御されることにより、記録媒体ステージ1404の移動を介して、記録媒体1401が図示X軸方向,Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ移動される。
【0179】
レーザ1408は、カンチレバー1403の記録媒体1401と反対側の面にレーザ光を照射するためのものである。二分割センサ1410は、カンチレバー1403で反射されたレーザ光が入射する位置に設けられている。たわみ量検出器1411は、二分割センサ1410の出力信号に基づいてカンチレバー1403のたわみ量を検出し、検出したたわみ量をマイクロコンピュータ1412に送るものである。
【0180】
マイクロコンピュータ1412は、Z方向位置制御回路1406およびXY方向位置制御回路1407に制御信号をそれぞれ送るためのものである。ここで、マイクロコンピュータ1412は、たわみ量検出器1411から送られてくるたわみ量により、記録媒体1401の表面に加工が行われた(すなわち、情報の記録が実現できた)と判断したときは、Z方向位置制御回路1406を動作させて、プローブ1402による記録媒体1401への力の印加を中止させたり、この力の印加を弱めたりする。したがって、本実施例の記録再生装置1400では、マイクロコンピュータ1412が記録実現判定手段を兼ね備えている。
【0181】
次に、ポリイミドLB膜をAu上に堆積したものを記録媒体1401として用いたときの記録再生装置1400の動作について説明する。
【0182】
情報の記録を行おうとするときは、プローブ1402の図示X軸方向およびY軸方向の位置に関する信号が、マイクロコンピュータ1412からXY方向位置制御回路1407に送られる。この信号に基づいた制御信号が、XY方向位置制御回路1407から記録媒体駆動機構1405に送られることにより、記録媒体1401が図示X軸方向およびY軸方向に移動されて、プローブ1402の先端が記録媒体1401の所望の記録位置まで移動させられる。また、プローブ1402の図示Z軸方向の位置に関する信号が、マイクロコンピュータ1412からZ方向位置制御回路1406に送られる。この信号に基づいた制御信号が、Z方向位置制御回路1406から記録媒体駆動機構1405に送られることにより、プローブ1402の先端の図示Z軸方向の位置が決められる。
【0183】
このときのカンチレバー1403のたわみ量が、たわみ量検出器1411により算出される。マイクロコンピュータ1412では、たわみ量検出器1411で算出されたたわみ量が所定の設定たわみ値と比較され、この両者の値が同じになるようにプローブ1402を図示Z軸方向に移動させる制御信号が作成され、Z方向位置制御回路1406に送られる。Z方向位置制御回路1406では、マイクロコンピュータ1412からの制御信号に従って、記録媒体駆動機1405を図示Z軸方向に移動させる制御信号が作成される。この制御信号が記録媒体駆動機構1405からZ方向位置制御回路1406に送られることにより、記録媒体1401とプローブ1402との図示Z軸方向の位置(すなわち、プローブ1402により記録媒体1401へ印加される力)が調節される。なお、このとき、一般的には、プローブ1402の先端と記録媒体1401の表面とがちょうど接触する程度の位置になるように、記録媒体1401とプローブ1402との図示Z軸方向の位置が調節される。
【0184】
図15(A)に、記録媒体駆動機構1405の図14図示Z軸方向の位置とたわみ量検出器1411で検出されるたわみ量との関係を求めた一実験結果を示す。このグラフで示される結果は、一般に、フォースカーブと呼ばれるものである。なお、横軸は記録媒体駆動機構1405のZ軸方向の位置を示し、図示右側に行くほど、記録媒体1401とカンチレバー1403の支持部とは互いに離れていく。また、縦軸はたわみ量検出器1411で検出されるたわみ量を示し、図示上側に行くほどカンチレバー1403が図14図示上向きに曲がっていること、すなわち、プローブ1402が図14図示上向きの力をより強く受けていることを示す。このフォースカーブより、以下のことがわかる。なお、以下の解釈においては、記録媒体1401の表面に吸着層1501が設けられているとする。
【0185】
記録媒体駆動機構1405が図15(A)に▲1▼で示す位置にある場合には、プローブ1402と記録媒体1401とは、同図(B)に示すように、互いに十分に距離が離れている。この状態から、記録媒体1401とプローブ1402とが互いに接近する方向に記録媒体駆動機構1405が駆動されると、同図(A)に▲2▼で示す位置で、同図(C)に示すように、プローブ1402が記録媒体1401との相互作用により記録媒体1401の表面に接触する”とび”が発生する。さらに同じ方向に記録媒体駆動機構1405を駆動し、記録媒体駆動機構1405が同図(A)に▲3▼で示す位置にくると、カンチレバー1403が、同図(D)に示すように、たわんでくる。この状態で記録媒体駆動機構1405をZ軸方向に移動することにより、プローブ1402の先端が記録媒体1401の表面に印加する力の大きさを調節することができる。
【0186】
続いて、記録媒体1401とプローブ1402とが互いに離れるように記録媒体駆動機構1405を逆方向に駆動し、記録媒体駆動機構1405が同図(A)に▲4▼で示す位置にくると、プローブ1402の先端は、吸着層1501がプローブ1402の先端を記録媒体1401に引き戻す方向の力をプローブ1402に加えるため、同図(E)に示す状態となる。さらに記録媒体1401とプローブ1402とが互いに離れるように記録媒体駆動機構1405を逆方向に駆動すると、記録媒体駆動機構1405が同図(A)に▲5▼で示す位置にきた瞬間、プローブ1402の先端が、同図(F)に示すように、記録媒体1401から離脱する。
【0187】
本実施例の記録再生装置1400では、プローブ1402の先端は、同図(C)に示すように、記録媒体1401の表面上に接触する程度か、あるいは、少しプローブ1402の先端が記録媒体1401の表面に少し押しつける程度に設定される。なお、このときのプローブ1402の先端が記録媒体1401の表面に印加する力の大きさは、記録媒体1401の表面に物理的加工が施されない程度の大きさ、すなわち、LB膜の表面がプローブ1402によって分子の結合が切れたりしない程度の大きさとされる。
【0188】
プローブ1402を記録媒体1401に接触させたのち、マイクロコンピュータ1412の指示に従ってZ方向位置制御回路1406が動作することにより、記録媒体駆動機構1405が記録媒体1401とプローブ1402とを近づける方向に駆動される。この動作によってカンチレバー1403がたわみ、カンチレバー1403のたわみにより生じる力によって、プローブ1402の先端が記録媒体1401の表面を押しつける。プローブ1402の先端が記録媒体1401の表面を押しつける力によって、プローブ1402が記録媒体1401の表面を機械的に加工する。
【0189】
図16(A)は、たわみ量検出器1411で検出されるたわみ量の時間変化を示すグラフであり、同図(B)は、記録媒体駆動機構1405の図14図示Z軸方向の時間変化を示すグラフである。なお、同図(B)では、縦軸の図示上側にいくほど、記録媒体1401とプローブ1402とが互いに接近する。
【0190】
上述したようにしてプローブ1402の先端が、時刻t で、記録媒体1401の表面に接触させられる。その後、マイクロコンピュータ1412では、たわみ量検出器1411の出力信号から、記録媒体1401とプローブ1402との間に働く力が算出され、算出された力があらかじめ設定された規定値になるまで、記録媒体駆動機構1405の位置調節を行わせる指示信号が作成されて、Z方向位置制御回路1406に送られる。
【0191】
時刻t で、記録媒体1401とプローブ1402との間に働く力が規定値に達したとすると、マイクロコンピュータ1412では、プローブ1402の先端が記録媒体1401に力を加えるよう記録媒体駆動機構1405の位置調節を行わせる指示信号が作成されて、Z方向位置制御回路1406に送られる。時刻t で、記録媒体駆動機構1405の動作が始まり、記録媒体1401が、同図(B)に示すように、移動を始める。時間の経過とともに、プローブ1402の先端が記録媒体1401に及ぼす力が上昇し、時刻t で、LB膜に穴が開くことにより、同図(A)に示すように、たわみ量検出器1411の出力信号に急激な変化が生じる。すなわち、LB膜に穴が開いたことにより、プローブ1402の先端がAu表面まで移動したことによって、たわみ量検出器1411の出力信号に急激な変化が生じる。
【0192】
マイクロコンピュータ1412では、たわみ量検出器1411の出力信号に生じた急激な変化によりLB膜表面で加工が行われたと判断して、時刻t で、力の印加を中止するため、記録媒体1401とプローブ1402とを互いに離させる指示信号が作成されて、Z方向位置制御回路1406に送られる。この指令信号に従って記録媒体駆動機構1405がZ方向位置制御回路1406によって駆動されることにより、たわみ量検出器1411の出力信号が規定値に達するまで、記録媒体1401とプローブ1402とが互いに離される。なお、規定値としては、たとえば、次の記録位置まで移動するときに記録媒体1401とプローブ1402とが互いに離れることもなく、かつ、プローブ1402によってLB膜が破壊されることもない大きさの力が加わるような値としておくとよい。また、時刻t から時刻t までの間は、記録再生装置1400の遅延時間であり、この遅延時間はなるべく短い方が望ましい。
【0193】
以上述べてきた実施例は、記録媒体に記録ビットを形成することにより情報の記録を行うと同時に記録された情報の再生を行うものであったが、同様にして情報の記録を行う機能のみ有し、記録された情報の再生機能を有しない記録装置であっても、同様の効果が得られる。また、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いてナノメートルオーダーの微細加工を施す装置に適用することによっても、同様な効果を得ることができる。
【0194】
【発明の効果】
本発明は、上述のとおり構成されているので、次の効果を奏する。
【0195】
本発明の請求項1乃至6に記載の発明においては、電気特性が変化したことを確認した上で、記録層への記録用電圧又は電流の印加を中止して情報の記録動作を終了させることができるため、確実に情報を記録することができる。また、必要以上の電流が記録層を構成する素子に流れることを防止することができるため、記録層を構成する素子に損傷を与えることを防ぐことができる。
【0199】
本発明の請求項7および8に記載の発明においては、情報の記録が実現されていないと判断しているときには物理的作用を補正し、一方、情報の記録が実現されたと判断したときには物理的作用の記録媒体への印加を中止するよう制御することにより、情報の記録を確実に実行することができる。また、記録のための物理的作用を過剰に記録媒体へ印加することを防止することができるため、記録媒体に損傷を与えることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録装置の第1の実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した記録装置の動作を説明するための図であり、(A)は記録用電圧の波形を示す図、(B)は図1に示した電流アンプで検出され増幅された電流の波形を示す図である。
【図3】本発明の記録装置の第2の実施例を示す概略構成図であり、(A)は記録装置の概略構成図、(B)は記録媒体の左側面図である。
【図4】本発明の記録装置の第3の実施例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の記録装置の第の実施例の動作を説明するための図であり、(A)は記録用電圧の波形を示す図、(B)は電流アンプで検出され増幅された電流の波形を示す図である。
【図6】本発明の記録装置の第の実施例を示す概略構成図である。
【図7】図6に示した記録装置の動作を説明するための図であり、(A)は記録用電流の波形を示す図、(B)は図6に示した電圧アンプで検出され増幅された電圧の波形を示す図である。
【図8】本発明の記録装置の第の実施例を示す概略構成図である。
【図9】図8に示した記録再生装置の一動作例を説明するための図であり、(A)は記録時に記録媒体に印加される電圧の値を示すグラフ、(B)は電流アンプで増幅された電流の値を示すグラフである。
【図10】図8に示した記録再生装置の他の動作例を説明するための図であり、(A)は記録時に記録媒体に印加される電圧の値を示すグラフ、(B)は電流アンプで増幅された電流の値を示すグラフである。
【図11】図8に示した記録再生装置のさらに他の動作例を説明するための図であり、(A)は記録時に記録媒体に印加される電圧の値を示すグラフ、(B)は電流アンプで増幅された電流の値を示すグラフである。
【図12】図8に示した記録再生装置のさらに他の動作例を説明するための図であり、(A)は記録時に記録媒体に印加される電圧の値を示すグラフ、(B)は電流アンプで増幅された電流の値を示すグラフである。
【図13】本発明の記録装置の第10の実施例の動作を説明するための図であり、(A)は記録時に記録媒体に印加される電圧の値を示すグラフ、(B)は電流アンプで増幅された電流の値の一例を示すグラフ、(C)は電流アンプで増幅された電流の値の他の例を示すグラフ、(D)は(B)に示した電流の微分値を示すグラフ、(E)は(C)に示した電流の微分値を示すグラフである。
【図14】本発明の記録装置の第11の実施例を示す概略構成図である。
【図15】図14に示した記録装置の動作を説明するための図であり、(A)は記録媒体駆動機構のZ軸方向の位置とたわみ量検出器で検出されるたわみ量との関係を求めた一実験結果を示すグラフ、(B)〜(F)はそれぞれ(A)に示したフォースカーブの解釈を示す図である。
【図16】図14に示した記録装置の動作を説明するための図であり、(A)はたわみ量検出器で検出されるたわみ量の時間変化を示すグラフ、(B)は記録媒体駆動機構のZ軸方向の時間変化を示すグラフである。
【図17】MIM素子を利用した記録装置の一従来例を示す概略構成図である。
【図18】図17に示した記録装置の動作を説明するための図であり、(A)は記録用電圧の波形を示す図、(B)は図17に示した記録媒体の導電率が変化したときの電流アンプで検出され増幅された電流の波形を示す図、(C)は図17に示した記録媒体の導電率が変化しなかったときの電流アンプで検出され増幅された電流の波形を示す図である。
【図19】本発明に係る記録再生装置の一従来例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10,50,210 記録装置
11,51,211 記録媒体
11,5111〜5118,211 下部電極
11,5121〜5128,211 上部電極
11,51,211 記録層
12,55 電流アンプ
13,56 印加電圧制御回路
14,52 記録用電圧発生回路
53 下部電極選択回路
54 上部電極選択回路
57 マイクロコンピュータ
100 記録再生装置
101 記録媒体
102 基板
103 基板電極
104 記録層
110 記録媒体ステージ
111 粗動機構
112 XY方向粗動制御回路
113 Z方向粗動制御回路
114 プローブ電極
115 XY方向微動機構
116 Z方向微動機構
117 XY方向微動制御回路
118 Z方向微動制御回路
119 電流アンプ
120 マイクロコンピュータ
121 第1のサーボ回路
122 第2のサーボ回路
123 電源
130 印加電圧制御回路
212 電圧アンプ
213 注入電流制御回路
214 記録用電流発生回路
V 電圧値
大きい電圧値
小さい電圧値
基準電圧値
小さい電流値
大きい電流値
基準電流値
I 電流値
,t,t 時刻
X,Y,Z 軸
800,1400 記録再生装置
801,1401 記録媒体
805,1404 記録媒体ステージ
806 プローブ電極
807,1405 記録媒体駆動機構
808 電源制御回路
809 電源
810 電流アンプ
811 サーボ回路
812,1406 Z方向位置制御回路
813,1407 XY方向位置制御回路
814,1412 マイクロコンピュータ
815 記録実現判定回路
1402 プローブ
1403 カンチレバー
1408 レーザ
1409 レーザ光用電源
1410 二分割センサ
1411 たわみ量検出器

Claims (8)

  1. 非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録装置において、
    前記記録層へ電圧及び/又は電流を印加する印加手段と、
    該印加手段が前記記録用電圧及び/又は電流を印加中に前記記録層に生じる電圧又は電流を検出する検出手段と、
    該検出手段で検出された電圧又は電流の値と予め設定された値とを比較し、該検出された電圧又は電流の値が該予め設定された値よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止するよう前記印加手段に指令を送る制御手段とを具備することを特徴とする記録装置。
  2. 非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録装置において、
    前記記録層へ電圧及び/又は電流を印加する印加手段と、
    該印加手段が前記記録用電圧及び/又は電流を印加中に前記記録層に生じる電圧又は電流を検出する検出手段と、
    該検出手段で検出された電圧又は電流の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、該検出された電圧又は電流の値の変化量が該予め設定された変化量よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止するよう前記印加手段に指令を送る制御手段とを具備することを特徴とする記録装置。
  3. 前記記録層が、基板上に設けられた第1及び第2の電極の間に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
  4. 前記記録層が、少なくとも一つのプローブ電極と、基板上に設けられた第3の電極の間に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
  5. 非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録方法において、
    前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加中に該記録層に生じる電圧又は電流の値を検出し、
    該検出した電圧または電流の値と予め設定された電圧又は電流の値とを比較し、
    前記検出した電圧又は電流の値が前記予め設定された値よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止することを特徴とする記録方法。
  6. 非記録状態と記録状態とで電気特性が異なる記録層に記録用電圧及び/又は電流を印加して情報を記録する記録方法において、
    前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加中に該記録層に生じる電圧又は電流の値の変化量を検出し、
    該検出した電圧又は電流の値の変化量と予め設定された変化量とを比較し、
    前記検出した電圧又は電流の値の変化量が前記予め設定された変化量よりも大きくなったときに、前記記録層への前記記録用電圧及び/又は電流の印加を中止することを特徴とする記録方法。
  7. 記録媒体表面に電気的、磁気的、力学的、熱的および光学的のいずれかの作用を加えて該表面を加工することにより記録ビットを形成する情報記録装置であって、
    前記作用を前記記録媒体表面に印加するプローブ手段と、
    該プローブ手段が前記記録媒体表面に加える作用の大きさを制御する第1の制御手段と、
    前記加工が前記記録媒体表面に加えられることによって変化する前記記録媒体の物理量を測定し出力する測定手段と、
    該測定手段の出力に基づいて前記第1の制御手段を制御する第2の制御手段とを有し、
    該第2の制御手段が、前記記録媒体表面に作用が加えられている期間内に前記測定手段の出力が所定値以上に変化したとき、前記第1の制御手段に対し前記作用の印加を中止する制御を行うことを特徴とする記録装置。
  8. 記録媒体表面に力を加えて機械的に加工することにより記録ビットを形成する情報記録装置であって、
    前記記録媒体表面に押し付けられて該表面に力を加えるプローブと、
    該プローブを先端に固定したカンチレバーと、
    該カンチレバーのたわみ量を検出し出力する検出手段と、
    前記記録媒体表面の位置を移動させる移動手段と、
    前記検出手段の出力に応じて前記移動手段を制御する制御信号を前記移動手段に送る制御手段とを有し、
    該制御手段は、前記検出手段の出力の変化が所定値以上になったときに前記力の印加を中止する信号を前記移動手段に送ることを特徴とする記録装置。
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