JPH10228681A - 記録媒体の作製方法と記録媒体、および該記録媒体を用いた情報処理方法と情報処理装置 - Google Patents

記録媒体の作製方法と記録媒体、および該記録媒体を用いた情報処理方法と情報処理装置

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JPH10228681A
JPH10228681A JP4839797A JP4839797A JPH10228681A JP H10228681 A JPH10228681 A JP H10228681A JP 4839797 A JP4839797 A JP 4839797A JP 4839797 A JP4839797 A JP 4839797A JP H10228681 A JPH10228681 A JP H10228681A
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recording
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hydrophobic
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Junji Oyama
淳史 大山
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、探針を情報の記録された記録媒体に
容易に再アクセスすることが可能で、生産性が高く、コ
スト低減を図ることのできる記録媒体の作製方法と記録
媒体、および該記録媒体を用いた情報処理方法と情報処
理装置を提供することを目的としている。 【解決手段】本発明は、プローブにより記録再生を行な
う記録媒体の作製方法において、該記録媒体を作製すべ
き基板全面を予め疎水加工する工程と、該基板の疎水性
を一部分親水化させてパターン化した区分領域を形成す
る工程と、該区分領域内に記録媒体を形成する工程と
を、少なくとも有することを特徴とする記録媒体の作製
方法と記録媒体、および該記録媒体を用いた情報処理方
法と情報処理装置を特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体の作製方
法と記録媒体、および該記録媒体を用いた情報処理方法
と情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年メモリ材料の用途は、コンピュータ
及びその関連機器、ビデオディスク、デジタルオーディ
オディスク等のエレクトロニクス産業の中枢をなすもの
であり、その材料開発も極めて活発に進んでいる。メモ
リ材料に要求される性能は用途により異なるが、最近の
マルチメディア化への流れは特に (1)高密度で記録容量が大きい (2)記録再生の応答速度が速い (3)生産性が高く価格が安い (4)消費電力が少ない 等の仕様を要求している。その中で近年、導体の表面原
子の電子構造を直接観察できる走査型トンネル顕微鏡
(STM)が開発され[G.Binnig et a
l,Phys.Rev.Lett.,49,57(19
82)]、単結晶、非晶質を問わず実空間像の高分解能
測定ができるようになり、しかも観察対象に電流による
損傷を与えずに低電力で観察できる利点を有し、種々の
材料に対して用いることができるため広範囲な応用が期
待されている。
【0003】STMは金属の探針(プローブ電極)と導
電性物質との間に電圧を加えて10A程度の距離まで近
付けるとトンネル電流が流れることを利用している。こ
のトンネル電流は両者の距離を一定に保つように探針を
走査することにより実空間の表面構造を描くことができ
ると同時に表面原子の全電子雲に関する種々の情報をも
読み取ることができる。この際、面内方向の最大分解能
は1A以下程度である。従ってSTMの原理を応用すれ
ば分子オーダー以下(nm)、最大で原子オーダー(数
A)で情報の高密度記録再生を行なうことが可能であ
る。この際の情報処理法方法としては、電子線・イオン
線等の粒子線、或いはX線等の高エネルギー電磁波及び
可視・紫外光等のエネルギー線を用いて適当な記録層の
表面状態を変化させて記録してSTMで再生する方法
や、記録層として電圧電流のスイッチング特性に対して
メモリ効果を持つ材料、例えばπ電子系有機化合物やカ
ルコゲン化物類からなる薄膜層を用いて、情報の記録再
生をSTMを用いて行なう方法等が提案されている。ま
た、試料と探針(プローブ)間に働く力を検出して試料
表面の形状を観察する手段として原子間力顕微鏡(AF
M)が開発され[G.Binnig et al,Ph
ys.Rev.Lett.,56,930(198
6)]、観察試料が導体のみならず絶縁体の場合でも表
面形状の直接観察が可能となっている。
【0004】このAFMは先端径の小さな探針(プロー
ブ)を有するカンチレバー部と、該探針を試料表面に接
近させた際に該探針と該試料表面との間に発生する原子
間力によってもたらされるカンチレバーの変位を測定す
る部分から構成される。一般に物質表面には遠距離にお
いては微弱な引力が、近距離では斥力が働く。カンチレ
バーの変位はそれに作用する力に比例するので、この変
位の程度を測定することによって探針先端とこれに数n
m以内に近接する試料表面間に働く微弱で局所的な力を
検出することが可能となる。該カンチレバーの変位を検
出する手段としてはSTMを応用する方式、試料とカン
チレバーとの間の静電容量を検出する方式、光干渉を用
いる方式、光てこ方式などがある。更に探針を試料表面
で2次元走査させることで試料表面の力の2次元的情報
が得られる。また、カンチレバーの変位を一定にするよ
うにフィードバックをかけながら試料表面を走査するこ
とにより該表面の微小な凹凸形状を観察できる。AFM
による分解能は試料面内方向で1nm以下であるので、
例えば試料表面に10nm程度の間隔で微細な凹凸を形
成し、それをAFMを用いて読み出すことによって、1
0・e12ビット/cmに近い高密度メモリを作製する
ことも可能である。
【0005】更に前記STMによる試料の導電性情報と
前記AFMによる試料面内の凹凸情報を同時に計測する
ことで、より厳密に試料の表面状態を観察する装置が開
示されている(特開平3−277903、以下AFM/
STM)。この装置は、導電性探針(プローブ電極)を
用い、該探針を試料表面に接近させた際に該探針と該試
料表面との間に発生する原子間力によってもたらされる
カンチレバーの変位を検出し(AFM像)、同時に該探
針と試料との間に電圧を加えて両者間を流れる電流を検
出(STM像)する装置である。従って、例えばAFM
像で試料の微小部分の凹凸を観察しながら該微小部分の
導電性情報をSTM像によって同時に得ることができ
る。その他、電圧パルスを印加することで記録層上に分
子を捕捉し、選択的にデータビットを記録し、またそれ
を再生し、消去を行なう方法、装置の提案がある(特開
平1−196751号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のSTM・AFM
・AFM/STMを利用した記録・再生システムにおい
ては、記録媒体や導電性探針の交換等の理由で一旦動作
を終了して該探針を該記録媒体から大きく離脱させ再び
両者を接近もしくは接触させる操作を伴うことがある。
その際、該探針と該記録媒体との位置関係をデータビッ
ト列(例えば10nm幅)の精度で機械的に再現・制御
することは極めて困難である。従って、既に記録ビット
列が形成されている領域に該探針が再接近した場合に、
記録データの再生時にデータ列の途中から再生動作が開
始されに際して、前記探針の走査方向とデータビット列
の整列方向とが一致しない等から、記録情報の出力が正
しく実行されない可能性があった。
【0007】一般に前記プローブ顕微鏡を用いた記録再
生を行う際の該記録媒体は連続薄膜として形成させる
が、その形成方法は、蒸着法・スパッタ法等の真空プロ
セス、回転塗布法、ディップ法もしくはラングミュア・
ブロジェット(LB)法など、公知の方法を利用するこ
とができる。これらの内、真空プロセスは簡便さに難点
があり装置が大規模になる欠点がある。また、回転塗布
法やディップ法は工程が最も簡単ではあるが、LB法に
よるとより均一かつ密度の高い薄膜を比較的容易に再現
性良く得ることができるために好ましく用いられる。こ
のLB法によれば、1分子中に疎水性部位と親水性部位
を有する化合物の単分子膜またはその累積膜を基板上に
容易に形成することができる。LB法によって記録媒体
薄膜を所望の基板上に累積形成する場合、該記録媒体薄
膜の材料をLB膜作製装置の水面上に滴下展開し、水面
の両端もしくは一端に設けたバリアを水面上に浮かんだ
薄膜材料分子を横から圧縮する方向に動かして水面上に
いったん単分子膜を形成させ、特定の表面圧で保持す
る。その後、前記基板を水面を垂直に横切る方向に水中
へ浸漬して単分子膜を前記基板上に転写する、もしくは
前記基板を水面に対向する形で平行に保ちながら水面に
接触させ、水面上の単分子膜を前記基板上に転写する。
【0008】即ち上記LB法を始めとする記録媒体の形
成方法は記録媒体を形成すべき基板の全面に均質に記録
媒体を形成することを目的にしており、特にLB法は作
製後の記録媒体上の凹凸を記録ビット径(10nm程
度)以下に抑制して記録ビットの誤認を避ける目的に最
も適している。実際、該記録媒体を作製してプローブ顕
微鏡で該記録媒体表面を観察すると、形成した記録媒体
上の位置によらず高さ方向の変位量は平均的に前記記録
ビット径の1/10以下である。従って前記探針を該記
録媒体上に接触・接近させた時に該記録媒体の表面像か
ら該探針と該記録媒体との位置関係を該記録媒体上の凹
凸等を目標に特定することは極めて困難である。このよ
うなことから、記録媒体上にトラッキング部を設けるた
めに、例えば電子ビームを用いてトラック層を形成した
りリソグラフィ技術により記録媒体の一部を除去・トラ
ッキング部を真空蒸着等で形成する等の方法が既に提案
されているが、これらにおいても大型装置を必要とした
り、記録媒体の損傷が懸念されるなどの課題が残されて
いる。
【0009】そこで、本発明は、上記従来のものにおけ
る課題を解決し、探針を情報の記録された記録媒体に容
易に再アクセスすることが可能で、生産性が高く、コス
ト低減を図ることのできる記録媒体の作製方法と記録媒
体、および該記録媒体を用いた情報処理方法と情報処理
装置を提供することを特徴としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、記録媒体の作製方法と記録媒体、および該
記録媒体を用いた情報処理方法と情報処理装置を、つぎ
のように構成したことを特徴としている。
【0011】本発明の記録媒体の作製方法は、該記録媒
体を作製すべき基板全面を予め疎水加工する工程と、該
基板の疎水性を一部分親水化させてパターン化した区分
領域を形成する工程と、該区分領域内に記録媒体を形成
する工程とを、少なくとも有することを特徴としてい
る。また、本発明の記録媒体の作製方法は、前記区分領
域を形成する工程において、基板の疎水性を一部分親水
化させる部分の純水に対する接触角を5度以下としたこ
とを特徴としている。また、本発明の記録媒体の作製方
法は、前記記録媒体を形成する工程が、ラングミュア・
ブロジェット法であることを特徴としている。また、本
発明の記録媒体の作製方法は、前記ラングミュア・ブロ
ジェット法における記録媒体材料が、電圧印加で導電性
が変化し且つ疎水性基板上ではX型として累積される材
料であることを特徴としている。また、本発明の記録媒
体の作製方法は、前記ラングミュア・ブロジェット法に
おける記録媒体材料が、基板の疎水性を一部分親水化さ
せる部分の純水に対する接触角を5度以下とした際に
は、電圧印加で導電性が変化し且つ疎水性基板上ではY
型として累積される材料であることを特徴としている。
また、本発明の記録媒体は、プローブにより記録再生を
行なう記録媒体において、全面が疎水加工された基板表
面と、該基板表面の疎水性を一部分親水化させてパター
ン化して形成された区分領域と、該区分領域内に形成さ
れた記録媒体とからなることを特徴としている。また、
本発明の情報処理方法は、上記いずれかの記録媒体の作
製方法により作成された記録媒体、または上記記録媒体
を用いる情報処理方法であって、記録媒体上でプローブ
を予備走査して前記区分領域を確認し、該領域の範囲内
で記録・再生を行なうことを特徴としている。また、本
発明の情報処理装置は、上記いずれかの記録媒体の作製
方法により作成された記録媒体、または上記記録媒体を
有する情報処理装置であって、記録媒体上でプローブを
予備走査して前記区分領域を確認し、該領域の範囲内で
記録・再生を行なうことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、上記した構成により、
情報の記録が記録媒体の規則的な領域でなされるため
に、情報記録の動作途中において、記録媒体と導電性探
針の距離を大きく引き離した後でも、該探針が記録領域
に比較的容易に再アクセスが可能となり、再現性の良い
高密度記録・再生を行うことができ、また、記録媒体作
製工程が、簡便で再現性に優れているため、生産性が高
く、トリミングにより記録媒体自身が劣化する等の問題
がなく、コストの低減化が図れる。
【0013】以下、本発明の内容を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の記録媒体作製方法によって記録媒
体を作製する基板の模式図である。11は記録媒体を形
成するための基板であり、該基板はその表面が導電性で
あり平滑なものであればどのような材料を用いてもよ
く、例えば金、白金、銀、パラジウム、アルミニウム、
インジウム、タングステン、スズ、鉛などの金属もしく
はこれらの合金、更にはグラファイトやシリサイド、ま
たさらにはITO等の導電性酸化物、nまたはp−ドー
プシリコン等数多くの材料が挙げられる。好ましくは前
記LB膜により該材料の上に形成する際に絶縁性の層を
形成しない導電材料であり、例えば貴金属やITO等が
望まれるが、その種類は表面が導電性であり平滑なもの
であれば限定しない。
【0014】次に図2は上記の基板11の表面全面に疎
水加工21を行なった模式図である。該基板を疎水加工
する方法は特に限定しないが、上記に掲げた導電性基板
の種類によって最適な方法を選択することが好ましい。
例えば貴金属や金属酸化物材料の場合、該基板表面を適
当な方法で洗浄した後に前記LB法により脂肪酸もしく
はその誘導体などの両親媒性物質を積層することで達成
される。また金の場合、チオール基やアミノ基を有する
炭化水素化合物と反応させることも可能である。またド
ープシリコンを用いる場合、該基板表面を適当な方法で
洗浄した後に前記の方法またはフッ化水素酸もしくは同
塩を含む溶液で処理する、もしくは前記洗浄後にシラン
カップリング剤で処理する方法がある。
【0015】次に図3は、図2までに用意した表面疎水
性基板の疎水性を一部分変質させることで該基板を区分
した模式図である。具体的には次の方法で行なうことが
できる。上記区分を比較的広い範囲で行なう場合、該基
板にレーザー・紫外線等を該基板を一辺10から100
μmの矩形に線幅5μm程度以下で照射してトリミング
し、トリミング部31の疎水性を除去する。また、上記
区分を比較的狭い範囲で行なう場合、前述のSTMを用
いて例えば[M.J.Lercel et al;Ap
plied Physics Letter,66
(8),974(1994)]に記載の方法を用いるこ
ともできる。即ち、STMの導電性プローブに適当な電
圧を印加しながら該基板を一辺1から10μmの矩形に
線幅10nmないし100nm程度で走査(トリミン
グ)し、トリミング部の疎水性を除去する。さらに、前
述のAFM/STMを用いて同様の加工を行なうことも
できる。
【0016】次に上記基板に記録媒体を形成する。図4
は本発明における記録媒体の作製工程を模式的に示した
図である。本発明におけるLB膜累積は公知の装置によ
って行なえばよく、特別に大きな設計変更を必要としな
い。LB膜作製装置の水相41の表面に前記記録媒体材
料42を滴下し、適当な表面圧まで圧縮し該表面圧に達
したら10分以下程度の決まった時間、該表面圧を維持
する。次に該基板11を水面に対し水平に降ろし、再び
引き上げる。再び適当な表面圧まで圧縮し、該基板11
を水面に対し水平に降ろして再び引き上げる。この操作
を繰り返し、所望の層数を累積して前記記録媒体の作製
工程を終了する。上記記録媒体のLB膜累積層数は特に
限定するものではないが、2層−20層の累積が好まし
い。上記の工程を終了すると基板上の区分された領域に
記録媒体が形成されており、該領域が前記記録媒体形成
用基板の全面に形成される。記録媒体の材料としては、
電圧印加で導電性が変化しかつ上述のLB法によりX型
として累積される材料を用いる。または、上記の工程に
て前記基板の疎水性を一部分親水化させた部分の純水に
対する接触角が5度以下の場合は、該基板に累積すべき
記録媒体が電圧印加で導電性が変化し且つ疎水性基板上
ではY型として累積される材料を用いることもできる。
この場合、前記接触角が1度以下であることが更に好ま
しい。
【0017】前者の材料として例えば飽和もしくは不飽
和の遊離脂肪酸、飽和もしくは不飽和の脂肪酸エステ
ル、飽和もしくは不飽和のリン脂質及びこれらの誘導
体、高分子化合物、さらに該材料分子(群)を構成要素
として分子内に含む化合物を用いることができ、中ても
分子内に炭素二重結合もしくは三重結合を有する化合物
が好適である。例としてオクタデセン/オクタデカジエ
ン/オクタデカトリエン/オクタデカテトラエン酸、エ
イコセン/エイコサジエン/エイコサトリエン/エイコ
サテトラエン酸、ドコセン/ドコサジエン/ドコサトリ
エン/ドコサテトラエン酸、オクタデシルアクリル酸、
ジオレオイル/ジリノレオイル/ジリノレノイルフォス
ファチジルコリン、ポリブタジエン等を挙げることがで
きる。これらの材料は前記LB法によりX型として累積
される性質があるため上述の工程により親水化された基
板部分には累積されない。
【0018】また、後者の材料として例えば特開昭63
−161552号公報に記載されているような材料を用
いることができる。これらの材料は前記LB法により疎
水性基板上ではY型として累積される性質があるが、係
る材料を用いる場合には上記の如く工程にて前記基板の
疎水性を一部分親水化させた部分の純水に対する接触角
が5度以下、更に好ましくは1度以下にしておくことが
必要である。この場合には前記LB法による累積工程第
1層引き上げにおいて、前記親水化された基板部分上に
上記材料からなる水面上単分子膜が移し取られる。しか
しながら基板表面と前記移し取られた単分子膜との界面
に水の層が残存する。引き続く累積工程で基板が再び水
面に浸漬され始めると、基板との界面に水の層を持つ前
記単分子膜は基板から剥離し再び水面上へと拡散する。
一方、基板上の疎水性領域には水面上単分子膜が移し取
られる。次の引き上げ工程では基板上の全領域に単分子
膜が移し取られるが、引き続く浸漬時には基板の親水性
部上の単分子膜は先に述べたように剥離してしまうのに
対して、疎水性領域上にはY型にLB膜が形成される。
いずれの場合も上記の工程を終了すると基板の疎水性を
一部分親水化させてパターン化した疎水領域部のみに記
録媒体が堆積されることになる。
【0019】次に、本発明の作製方法で作製した記録媒
体を用いる記録・再生装置を図5のブロック図を用いて
説明する。カンチレバー52の先端にはプローブ52a
が固定してある。そのカンチレバー52に原子間力が加
わっていない状態におけるカンチレバー52の原点位置
を、探針変位検出手段56を用いて設定する。測定した
い原子間力の範囲を設定するために、カンチレバーの持
つ既知のばね定数から見積もったカンチレバー52の原
点からの変位量を設定する。この時の変位量がカンチレ
バー52と記録媒体51の間に作用する原子間力に相当
する。次に記録媒体51とカンチレバー52の間隔を近
付けて測定を開始すると、カンチレバー52の先端に固
定してあるプローブ52aの先端と記録媒体51表面と
の間で原子間力が生じ、この力によってカンチレバー全
体がたわみにより変位する。
【0020】サーボ制御手段57では設定したカンチレ
バー52の変位量を保つように3次元方向に駆動自在な
圧電アクチュエータ53にドライブ電圧Vpが印加され
フィードバック動作を行なう。また、導電性カンチレバ
ー52にはバイアス電圧印加手段54によってバイアス
電圧が印加され、このバイアス電圧によりプローブ52
aと記録媒体51の間に流れる電流Isが、記録媒体1
に接続された電流検出手段55により検出される。記録
媒体1をxy方向に走査したときに探針変位検出手段5
6からの出力信号Iaまたは圧電アクチュエータ53に
印加されるフィードバック信号Ifaを走査信号に合わ
せて記録し、この信号Ia、Ifaに基づいてAFM像
をマイクロコンピュータ8を通して表示装置59に表示
する。更に、前記フィードバック信号Ifaを記録する
とともに電流Isを検出した電流検出手段55からの出
力信号Isを走査信号に合わせて記録し、この信号Is
に基づいてSTM像がマイクロコンピュータ58を通し
て表示装置59に表示される。
【0021】まず導電性カンチレバー52を記録媒体5
1に接近させて適当な走査範囲を走査する。その際、前
記トリミング部は記録媒体が形成されておらず該部分が
AFM像における凹凸として現れる。もしくは前記導電
性カンチレバー52にバイアス電圧印加手段54によっ
てバイアス電圧を印加しながら前記範囲を走査すると、
前記トリミング部では記録媒体が累積されている部分と
導電性が異なるため、前記プローブ52aを通して電流
検出手段55により検出される電流Isが変化する。こ
の信号Isに基づいてSTM像がマイクロコンピュータ
58を通して表示装置59に表示される。
【0022】次に前記探針を圧電アクチュエータ53に
ドライブ電圧Vpを印加することで作動させ、トリミン
グ部の角(前記探針の走査方向によって右もしくは左の
角)に移動させる。そして該位置から該トリミング部の
辺に平行もしくは垂直に走査を開始し、走査中に得られ
るAFM信号と同期してマイクロコンピュータ58より
パルス電源50にパルス印加信号を出力し、記録媒体上
に情報を記録する。記録された情報を再生する場合は導
電性カンチレバー52にバイアス電圧印加手段54によ
ってバイアス電圧を印加しながら記録動作を行なった領
域を走査し、前記の記録操作によって情報が記録された
局所部分(記録ビット)の導電性の変化として前記プロ
ーブ52aを通して電流検出手段55により検出される
電流Isの変化を検出する。この信号Isに基づいてS
TM像がマイクロコンピュータ58を通して表示装置5
9に表示される。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、これら
は本発明の範囲を何ら制限するものではない。 [実施例1]本実施例では電圧印加で導電性が変化し且
つLB法によりX型として累積される材料を記録媒体と
して用いた。まず本実施例において記録媒体を形成する
ための電極基板を作製した。1インチ×1.5インチの
サイズのクリアマイカを劈開し、その上に金を基板温度
を480℃に保持した状態で2500Å真空蒸着し、エ
ピタキシャル成長させた金の基板を作製した。次に前記
金/マイカ基板上に記録媒体を以下の工程にて形成し
た。まず該金/マイカ基板をUV−O3照射(60℃、
30分)にて洗浄後、LB膜作製装置の基板駆動機構に
電極面が水面に垂直になるように装着し、直ちに純水水
相中に浸漬した。続いてオクタデシルアミン(0.3m
g/ml)をクロロフォルムに溶解し、それを該水面上
に展開して表面圧20mN/mまで圧縮し、この表面圧
を維持したまま5分間静置した。次に前記基板駆動機構
を作動させ、該機構に装着した金/マイカ基板を速度1
0mm/minで上昇させた。この結果、金/マイカ基
板にオクタデシルアミンが1層疎水基を外側にして転写
され、基板最表面を疎水化できた。もしくはオクタデカ
ンチオールを用いても同様の結果を得ることができた。
オクタデカンチオール(0.3mg/ml)をエタノー
ルに溶解した溶液に浸漬し、室温暗所にて1時間静置し
た。次に該基板をエタノールでリンスした。この結果、
金/マイカ基板にオクタデカンチオールが1層疎水性の
オクタデシル基を外側にして吸着され、基板最表面を疎
水化できた。
【0024】次にYAG−レーザー(線幅5μm)を該
基板に照射し、100μm×100μmの領域に区分す
るよう走査してトリミングを行なった。該YAG−レー
ザー照射領域をX線光電子分光法(ESCA)で分析し
たところ、C・N・S等オクタデシルアミンもしくはオ
クタデカンチオール由来の元素は観測されなかった。本
実施例では、上記で用意した基板に作製すべき記録媒体
の材料としてcis−9−オクタデセン酸を用いた。1
mg/mlになるように試料をクロロフォルムに溶解
し、LB膜作製装置の水相(pH9)の水面上に展開し
て表面圧20mN/mまで圧縮し、この表面圧を維持し
たまま5分間静置した。その間に前記金/マイカ基板を
LB膜作製装置の基板駆動機構に電極面が水面に平行に
対向するように装着した。そして該機構を駆動して該基
板を水面と平行な方向を維持させながら移動させ、該基
板電極面が水面に接触した段階で30秒間停止させた。
続いて該基板を引き上げた。以上の動作を更に6回操り
返した。
【0025】以上のようにして作製された記録媒体を用
いて、記録再生の実験を行なった。本実施例の記録再生
実験は図5の装置を用いて行なった。プローブ52aは
記録媒体51のAFM信号とSTM信号を同時に検出す
るために、SiNカンチレバー2先端部より全体の1/
2長の部分・探針側の面に白金をコートしたものを使用
した。走査中プローブ52aと記録媒体51との間には
適当なバイアス電圧を加えて両者間を流れる電流を検出
することができる。カンチレバーのたわみは光てこ方式
で検出し、この検出信号を圧電アクチュエータ53にフ
ィードバックしてプローブ52aと記録媒体間に働く力
が一定になるように、記録媒体51をz方向へ微小に変
位させている。また、このプローブ52aを通して記録
媒体表面に電圧を印加して記録を行なう。
【0026】そこで本実施例で作製したcis−9−オ
クタデセン酸を記録媒体とした金/マイカ基板の、記録
媒体形成領域の部分を一部切り出して試料とし、本実施
例で構成した記録再生実験装置に装着した。そして該試
料の表面を前記プローブ52aによって10μm□を予
備走査した。その結果、トリミングを行なった溝を予備
走査領域に観察し、探針が特定の区分領域内にあること
を確認した。該トリミングを行なった溝の深さはcis
−9−オクタデセン酸の膜厚とほぼ一致した。従って該
トリミングを行なった溝には記録媒体のLB膜が累積さ
れていないことを示す。続いて探針を該領域の角付近に
移動させ、図6にあるような三角波電圧パルスを前記プ
ローブ52aを通して印加した(記録)。引き続き前記
パルス印加を行った場所を含む領域で前記プローブ52
aを通して記録媒体に3VDCを印加しながら再び走査
したところ、上記でパルス印加を行った位置において電
流像に直径約10nmの明るいスポットが現れ、該位置
における記録媒体の導電性が変化したことが確認された
(再生)。
【0027】また、上記のような記録再生動作を前記の
区分領域内の他の部分、更に異なる区分領域内で実行し
たところ、これも同様に全く同質の記録再生を行うこと
ができた。なお、記録媒体表面の平滑性は前記区分領域
内で1nm以下の凹凸であった。次に前記探針と記録媒
体の距離を10mm以上機械的に引き離し、再び両者を
接近させて走査したところ、前記トリミングを行なった
溝の像を得た。次に該溝で囲まれる領域の角に探針を移
動させ、前述の如く前記プローブ52aを通して記録媒
体に3VDCを印加しながら再び走査したところ導電性
の変化は観察されなかった。そこで前記探針をここで走
査した領域の右に隣接する領域の角に移動させて同様の
走査を行なったところ、上記で得られた直径約10nm
の明るいスポットが再び現れ、該位置における記録媒体
の導電性変化を再度確認した。
【0028】[実施例2]本実施例では電圧印加で導電
性が変化し且つLB法によりX型として累積される材料
を記録媒体として用いた。まず本実施例において記録媒
体を形成するための電極基板を実施例1に記載の処方で
作製した。次に前記金/マイカ基板上に実施例1に記載
の処方にて洗浄後、実施例1に記載の方法にてオクタデ
シルアミン1層を疎水基を外側にして金/マイカ基板に
転写し、基板最表面の疎水化を行なった。もしくは実施
例1に記載の処方にてオクタデカンチオールを疎水基を
外側にして金/マイカ基板に吸着させ、基板最表面の疎
水化を行なった。
【0029】次に該基板を顕微分光光度計(ZEISS
社、UMSP80)に設置した。Xeランプからの照射
光を350nm以下の紫外光を透過するフィルターを介
して前記基板に照射した。その際の照射スポット径は1
ないし10μmに設定した。次に前記顕微分光光度計の
微動ステージを100μm×100μmの領域に区分す
るよう走査してトリミングを行なった。該紫外線照射領
域をX線光電子分光法(ESCA)で分析したところ、
C・N・S等オクタデシルアミンもしくはオクタデカン
チオール由来の元素は観測されなかった。本実施例では
実施例1と同様、記録媒体材料としてオクタデセン酸を
用い、実施例1に記載の方法にて累積膜を作製し、実施
例1と同様の記録・再生動作及び効果を確認した。
【0030】[実施例3]本実施例では電圧印加で導電
性が変化し且つLB法によりX型として累積される材料
を記録媒体として用いた。まず本実施例において記録媒
体を形成するための電極基板を実施例1に記載の処方で
作製した。次に前記金/マイカ基板上に実施例1に記載
の処方にて洗浄後、実施例1に記載の方法にてオクタデ
シルアミン1層を疎水基を外側にして金/マイカ基板に
転写し、基板最表面の疎水化を行なった。もしくは実施
例1に記載の処方にてオクタデカンチオールを疎水基を
外側にして金/マイカ基板に吸着させ、基板最表面の疎
水化を行なった。
【0031】次に該基板を実施例1に記載の記録再生実
験装置(AFM/STM)の試料台に装着し、DC電圧
5Vを印加しながら幅50nm長さ10μmの範囲を走
査した。この走査を繰り返し、幅50nmの矩形のフレ
ームとなるようトリミングを施した。該紫外線照射領域
をX線光電子分光法(ESCA)で分析したところ、C
・N・S等オクタデシルアミンもしくはオクタデカンチ
オール由来の元素は観測されなかった。本実施例では実
施例1と同様、記録媒体材料としてオクタデセン酸を用
い、実施例1に記載の方法にて累積膜を作製し、実施例
1と同様の記録・再生動作及び効果を確認した。
【0032】[実施例4]本実施例では電圧印加で導電
性が変化し且つLB法によりX型として累積される材料
を記録媒体として用いた。まず本実施例において記録媒
体を形成するための電極基板を実施例1に記載の処方で
作製した。次に前記金/マイカ基板上に実施例1に記載
の処方にて洗浄後、実施例1に記載の方法にてオクタデ
シルアミン1層を疎水基を外側にして金/マイカ基板に
転写し、基板最表面の疎水化を行なった。もしくは実施
例1に記載の処方にてオクタデカンチオールを疎水基を
外側にして金/マイカ基板に吸着させ、基板最表面の疎
水化を行なった。
【0033】次に実施例1に記載の方法でYAG−レー
ザー(線幅5μm)を該基板に照射してトリミングを行
なった。該YAG−レーザー照射領域をX線光電子分光
法(ESCA)で分析したところ、C・N・S等オクタ
デシルアミンもしくはオクタデカンチオール由来の元素
は観測されなかった。本実施例では記録媒体材料として
ポリブタジエン[P.Christie etal,T
hin Solid Films,134,75(19
85)]を用いて記録媒体を作製した。試料をクロロフ
ォルムに1mg/mlとなるよう溶解させ、水温20℃
の純水から成るLB膜作製装置の水面上に展開し、表面
圧を30mN/mまで高めた。以下、前記金/マイカ基
板のLB膜作製装置の基板駆動機構への装着と基板への
累積膜の形成は実施例1と同様の工程で行い、同時に前
記Christie et alに記載の処方を施し、
記録媒体形成領域にポリブタジエン6層の累積膜を得
た。上記のようにして作製した記録媒体を用いて実施例
1と同様の記録・再生動作及び効果を確認した。
【0034】[実施例5]本実施例では記録媒体を作製
すべき基板の疎水性を一部分親水化させてパターン化し
た疎水領域を形成する工程により該親水化部分の純水に
対する接触角が1度以下となり、該基板上に電圧印加で
導電性が変化し且つLB法により疎水性基板上に疎水性
基板上ではY型として累積される材料を記録媒体として
用いた。まず本実施例において記録媒体を形成するため
の電極基板を実施例1に記載の処方で作製した。次に前
記金/マイカ基板上に実施例1に記載の処方にて洗浄
後、実施例1に記載の方法にてオクタデシルアミン1層
を疎水基を外側にして金/マイカ基板に転写し、基板最
表面の疎水化を行なった。もしくは実施例1に記載の処
方にてオクタデカンチオールを疎水基を外側にして金/
マイカ基板に吸着させ、基板最表面の疎水化を行なっ
た。
【0035】次に実施例1に記載の方法でYAG−レー
ザー(線幅5μm)を該基板に照射してトリミングを行
なった。該YAG−レーザー照射領域をX線光電子分光
法(ESCA)で分析したところ、C・N・S等オクタ
デシルアミンもしくはオクタデカンチオール由来の元素
は観測されなかった。本実施例では前記記録媒体の材料
としてポリイミドを用い、以下の方法で記録媒体を作製
した。ピロメリット酸2無水物とオキシジアニリンから
なるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)をジメチルアセ
トアミド1mMに溶解させた後、別途調製したジメチル
ヘキサデシルアミンのジメチルアセトアミド溶液2mM
と等量混合した。この混合溶液を水温19℃の純水から
成るLB膜作製装置の水面上に展開し、表面圧を30m
N/mまで高めた。次に基板を速度4.3mm/分をも
って水面上の単分子膜を横切る方向に上昇下降させ、合
計6層の累積膜を作製した。次にこの基板をおよそ1m
mHg程度の減圧下、350℃で30分加熱して前記ポ
リアミド酸の酸部をイミド環に閉環させ、ポリイミド累
積膜を得た。上記のようにして作製した記録媒体を用い
て実施例1と同様の実験を行なったところ、実施例1と
同様の記録・再生動作及び効果を確認した。
【0036】[実施例6]本実施例では記録媒体を作製
すべき基板の疎水性を一部分親水化させてパターン化し
た疎水領域を形成する工程により該親水化部分の純水に
対する接触角が1度以下となり、該基板上に電圧印加で
導電性が変化し且つLB法により疎水性基板上に疎水性
基板上ではY型として累積される材料を記録媒体として
用いた。まず本実施例において記録媒体を形成するため
の電極基板を実施例1に記載の処方で作製した。次に前
記金/マイカ基板上に実施例1に記載の処方にて洗浄
後、実施例1に記載の方法にてオクタデシルアミン1層
を疎水基を外側にして金/マイカ基板に転写し、基板最
表面の疎水化を行なった。もしくは実施例1に記載の処
方にてオクタデカンチオールを疎水基を外側にして金/
マイカ基板に吸着させ、基板最表面の疎水化を行なっ
た。
【0037】次に該基板に実施例2に記載の方法により
紫外光を照射してトリミングを行なった。該紫外線照射
領域をX線光電子分光法(ESCA)で分析したとこ
ろ、C・N・S等オクタデシルアミンもしくはオクタデ
カンチオール由来の元素は観測されなかった。本実施例
では実施例5と同様、記録媒体材料としてポリイミドを
用いた。即ち、実施例5に記載の方法にてポリイミド前
駆体の累積膜を作製した後にイミド化を行ない、実施例
1と同様の記録・再生動作及び効果を確認した。
【0038】[実施例7]本実施例では記録媒体を作製
すべき基板の疎水性を一部分親水化させてパターン化し
た疎水領域を形成する工程により該親水化部分の純水に
対する接触角が1度以下となり、該基板上に電庄印加で
導電性が変化し且つLB法により疎水性基板上に疎水性
基板上ではY型として累積される材料を記録媒体として
用いた。まず本実施例において記録媒体を形成するため
の電極基板を実施例1に記載の処方で作製した。次に前
記金/マイカ基板上に実施例1に記載の処方にて洗浄
後、実施例1に記載の方法にてオクタデシルアミン1層
を疎水基を外側にして金/マイカ基板に転写し、基板最
表面の疎水化を行なった。もしくは実施例1に記載の処
方にてオクタデカンチオールを疎水基を外側にして金/
マイカ基板に吸着させ、基板最表面の疎水化を行なっ
た。
【0039】次に該基板に実施例3に記載の方法により
記録再生実験装置(AFM/STM)を用いてトリミン
グを行なった。該領域をX線光電子分光法(ESCA)
で分析したところ、C・N・S等オクタデシルアミンも
しくはオクタデカンチオール由来の元素は観測されなか
った。本実施例では実施例5と同様、記録媒体材料とし
てポリイミドを用いた。即ち、実施例5に記載の方法に
てポリイミド前駆体の累積膜を作製した後にイミド化を
行ない、実施例1と同様の記録・再生動作及び効果を確
認した。
【0040】[実施例8]本実施例では記録媒体を作製
すべき基板の疎水性を一部分親水化させてパターン化し
た疎水領域を形成する工程により該親水化部分の純水に
対する接触角が1度以下となり、該基板上に電圧印加で
導電性が変化し且つLB法により疎水性基板上に疎水性
基板上ではY型として累積される材料を記録媒体として
用いた。まず本実施例において記録媒体を形成するため
の電極基板を実施例1に記載の処方で作製した。次に前
記金/マイカ基板上に実施例1に記載の処方にて洗浄
後、実施例1に記載の方法にてオクタデシルアミン1層
を疎水基を外側にして金/マイカ基板に転写し、基板最
表面の疎水化を行なった。もしくは実施例1に記載の処
方にてオクタデカンチオールを疎水基を外側にして金/
マイカ基板に吸着させ、基板最表面の疎水化を行なっ
た。
【0041】次に実施例1に記載の方法でYAG−レー
ザー(線幅5μm)を該基板に照射してトリミングを行
なった。該YAG−レーザー照射領域をX線光電子分光
法(ESCA)で分析したところ、C・N・S等オクタ
デシルアミンもしくはオクタデカンチオール由来の元素
は観測されなかった。本実施例における記録媒体の材料
としてスクアリリウム−ビス−6−オクチルアズレン
(以下、SOAZと略記)を用いた。SOAZをベンゼ
ンに2mg/mlになるように溶解し、この混合溶液を
水温19℃の純水から成るLB膜作製装置の水面上に展
開し、表面圧を20mN/mまで高めた。次に基板を速
度3mm/分をもって水面上の単分子膜を横切る方向に
上昇下降させ、合計6層の累積膜を作製した。上記のよ
うにして作製した記録媒体を用いて実施例1と同様の記
録・再生動作及び効果を確認した。
【0042】[実施例9]本実施例では電圧印加で導電
性が変化し且つLB法によりX型として累積される材料
を記録媒体として用いた。また、記録媒体を作製すべき
基板としてp−ドープシリコンウエハ(直径1インチ)
を用いた。該ウエハを1%の中性洗剤(RBS35、F
luka社)で洗浄・流水リンスを充分に行ない、引き
続きUV−O3法で洗浄した。引き続き実施例1に記載
の方法にてオクタデシルアミン1層を疎水基を外側にし
て前記基板に転写し、基板最表面の疎水化を行なった。
もしくは実施例1に記載の処方にてオクタデカンチオー
ルを疎水基を外側にして前記基板に吸着させ、基板最表
面の疎水化を行なった。もしくはUV−O3法で洗浄し
た直後に5%ふっ化水素酸に1分間浸漬して基板最表面
の疎水化を行なった。
【0043】次に該基板を実施例1に記載の方法に従っ
てYAGレーザーを用い、矩形にトリミシグを施した。
該トリミング領域をX線光電子分光法(ESCA)で分
析したところ、C・N・S等オクタデシルアミンもしく
はオクタデカンチオール由来の元素は観測されなかっ
た。本実施例では記録媒体の材料として実施例1と同様
のcis−9−オクタデセン酸を用い、実施例1に記載
の方法にて記録媒体を作製し、cis−9−オクタデセ
ン酸6層の累積膜を得た。上記のようにして作製した記
録媒体を用いて実施例1と同様の実験を行なったとこ
ろ、実施例1と同様の記録・再生動作及び効果を確認し
た。
【0044】[実施例10]本実施例では電圧印加で導
電性が変化し且つLB法によりX型として累積される材
料を記録媒体として用いた。また、記録媒体を作製すべ
き基板としてp−ドープシリコンウエハ(直径1イン
チ)を用いた。該ウエハを実施例9に記載の処方で洗浄
し、引き続き実施例1に記載の方法にてオクタデシルア
ミン1層を疎水基を外側にして前記基板に転写し、基板
最表面の疎水化を行なった。もしくは実施例1に記載の
処方にてオクタデカンチオールを疎水基を外側にして前
記基板に吸着させ、基板最表面の疎水化を行なった。も
しくはUV−O3法で洗浄した直後に5%ふっ化水素酸
に1分間浸漬して基板最表面の疎水化を行なった。
【0045】次に該基板に実施例3に記載の方法により
記録再生実験装置(AFM/STM)を用いてトリミシ
グを行なった。該領域をX線光電子分光法(ESCA)
で分析したところ、C・N・S等オクタデシルアミンも
しくはオクタデカンチオール由来の元素は観測されなか
った。本実施例では記録媒体の材料として実施例4と同
様のポリブタジエンを用い、実施例4に記載の方法にて
記録媒体を作製し、ポリブタジエン6層の累積膜を得
た。上記のようにして作製した記録媒体を用いて実施例
1と同様の実験を行なったところ、実施例1と同様の記
録・再生動作及び効果を確認した。
【0046】[実施例11]本実施例では記録媒体を作
製すべき基板の疎水性を一部分親水化させてパターン化
した疎水領域を形成する工程により該親水化部分の純水
に対する接触角が1度以下となり、該基板上に電圧印加
で導電性が変化し且つLB法により疎水性基板上に疎水
性基板上ではY型として累積される材料を記録媒体とし
て用いた。また、記録媒体を作製すべき基板としてp−
ドープシリコンウエハ(直径1インチ)を用いた。該ウ
エハを実施例9に記載の処方で洗浄し、引き続き実施例
1に記載の方法にてオクタデシルアミン1層を疎水基を
外側にして前記基板に転写し、基板最表面の疎水化を行
なった。もしくは実施例1に記載の処方にてオクタデカ
ンチオールを疎水基を外側にして前記基板に吸着させ、
基板最表面の疎水化を行なった。もしくはUV−O3
で洗浄した直後に5%ふっ化水素酸に1分間浸漬して基
板最表面の疎水化を行なった。
【0047】次に該基板を実施例1に記載の方法に従っ
てYAGレーザーを用い、矩形にトリミングを施した。
該トリミング領域をX線光電子分光法(ESCA)で分
析したところ、C・N・S等オクタデシルアミンもしく
はオクタデカンチオール由来の元素は観測されなかっ
た。本実施例では実施例5と同様、記録媒体材料として
ポリイミドを用いた。即ち、実施例5に記載の方法にて
ポリイミド前駆体の累積膜を作製した後にイミド化を行
ない、実施例1と同様の記録・再生動作及び効果を確認
した。
【0048】[実施例12]本実施例では記録媒体を作
製すべき基板の疎水性を一部分親水化させてパターン化
した疎水領域を形成する工程により該親水化部分の純水
に対する接触角が1度以下となり、該基板上に電圧印加
で導電性が変化し且つLB法により疎水性基板上に疎水
性基板上ではY型として累積される材料を記録媒体とし
て用いた。ま牛、記録媒体を作製すべき基板としてp−
ドープシリコシウエハ(直径1インチ)を用いた。該ウ
エハを実施例9に記載の処方で洗浄し、引き続き実施例
1に記載の方法にてオクタデシルアミン1層を疎水基を
外側にして前記基板に転写し、基板最表面の疎水化を行
なった。もしくは実施例1に記載の処方にてオクタデカ
ンチオールを疎水基を外側にして前記基板に吸着させ、
基板最表面の疎水化を行なった。もしくはUV−O3
で洗浄した直後に5%ふっ化水素酸に1分間浸漬して基
板最表面の疎水化を行なった。
【0049】次に該基板に実施例3に記載の方法により
記録再生実験装置(AFM/STM)を用いてトリミン
グを行なった。該領域をX線光電子分光法(ESCA)
で分析したところ、C・N・S等オクタデシルアミンも
しくはオクタデカンチオール由来の元素は観測されなか
った。本実施例では実施例8と同様、記録媒体材料とし
てSOAZを用いた。即ち、実施例8に記載の方法にて
SOAZ累積膜を作製し、実施例1と同様の記録・再生
動作及び効果を確認した。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上のとおりパターン化した
区分領域内に記録媒体を形成した構成により、情報の記
録が記録媒体の規則的な領域で行われ、情報記録の動作
途中において、記録媒体と導電性探針の距離を大きく引
き離した後でも、該探針が記録領域に比較的容易に再ア
クセスすることが可能となり、再現性の良い高密度記録
・再生を達成することができる。また、記録媒体作製工
程が、簡便で再現性に優れているため、生産性が高く、
トリミングにより記録媒体自身が劣化する等の問題が生
じることがなく、コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる基板を示す模式図である。
【図2】本発明に用いられる基板を示す模式図である。
【図3】本発明に用いられる基板を示す模式図である。
【図4】本発明による記録媒体の作製方法によって記録
媒体を形成する工程の模式図である。
【図5】本発明で用いる記録再生の装置を示す模式図で
ある。
【図6】本発明の記録を行う際のパルス電圧印加波形で
ある。
【符号の説明】
11:基板 21:基板表面に加工された疎水性表面 31:トリミング部 41:LB膜作製装置の水相 42:記録媒体材料 50:パルス電源 51:記録媒体 52:カンチレバー 52a:プローブ 53:圧電アクチュエータ 54:バイアス電圧印加手段 55:電流検出手段 56:探針変位量検出手段 57:サーボ制御手段 58:マイクロコンピュータ 59:表示装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プローブにより記録再生を行なう記録媒体
    の作製方法において、該記録媒体を作製すべき基板全面
    を予め疎水加工する工程と、該基板の疎水性を一部分親
    水化させてパターン化した区分領域を形成する工程と、
    該区分領域内に記録媒体を形成する工程とを、少なくと
    も有することを特徴とする記録媒体の作製方法。
  2. 【請求項2】前記区分領域を形成する工程において、基
    板の疎水性を一部分親水化させる部分の純水に対する接
    触角を5度以下としたことを特徴とする請求項1に記載
    の記録媒体の作製方法。
  3. 【請求項3】前記記録媒体を形成する工程が、ラングミ
    ュア・ブロジェット法であることを特徴とする請求項1
    に記載の記録媒体の作製方法。
  4. 【請求項4】前記ラングミュア・ブロジェット法におけ
    る記録媒体材料が、電圧印加で導電性が変化し且つ疎水
    性基板上ではX型として累積される材料であることを特
    徴とする請求項2に記載の記録媒体の作製方法。
  5. 【請求項5】前記ラングミュア・ブロジェット法におけ
    る記録媒体材料が、基板の疎水性を一部分親水化させる
    部分の純水に対する接触角を5度以下とした際には、電
    圧印加で導電性が変化し且つ疎水性基板上ではY型とし
    て累積される材料であることを特徴とする請求項2に記
    載の記録媒体の作製方法。
  6. 【請求項6】プローブにより記録再生を行なう記録媒体
    において、全面が疎水加工された基板表面と、該基板表
    面の疎水性を一部分親水化させてパターン化して形成さ
    れた区分領域と、該区分領域内に形成された記録媒体と
    からなることを特徴とする記録媒体。
  7. 【請求項7】請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載
    の記録媒体の作製方法により作成された記録媒体、また
    は請求項6に記載の記録媒体を用いる情報処理方法であ
    って、記録媒体上でプローブを予備走査して前記区分領
    域を確認し、該領域の範囲内で記録・再生を行なうこと
    を特徴とする情報処理方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載
    の記録媒体の作製方法により作成された記録媒体、また
    は請求項6に記載の記録媒体を有する情報処理装置であ
    って、記録媒体上でプローブを予備走査して前記区分領
    域を確認し、該領域の範囲内で記録・再生を行なうこと
    を特徴とする情報処理装置。
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