JP3217609B2 - 記録媒体の製造方法 - Google Patents

記録媒体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型トンネル顕微鏡
や原子間力顕微鏡に代表される走査型プローブ顕微鏡の
原理を応用した情報処理装置に用いられる高密度記録媒
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年情報化社会の発展につれ、大容量メ
モリの開発が極めて活発に行われている。メモリに要求
される性能は一般に、 1)高密度で記録容量が大きい、 2)記録再生の応答速度が速い、 3)消費電力が小さい、 4)生産性が高く、価格が安い、 等が挙げられ、現在もこうしたメモリ方式やメモリ媒体
の開発が極めて活発に行われている。
【0003】従来、メモリの中心は無機材料を用いた磁
気メモリや半導体メモリであったが、近年、レーザ技術
の発展に伴い有機材料を用いた安価で高密度な光メモリ
が登場している。これらのメモリよりも更に高密度で大
容量なメモリを実現するためには、単位メモリビットの
微細化が不可欠である。原理的には、記録媒体を構成す
る個々の分子、或いは分子集合体に論理機能やメモリ機
能を持たせることができるれば、上記単位メモリビット
の微細化を飛躍的に成し遂げることが可能となるが、分
子サイズのメモリビットに如何にアクセスするかが問題
とされてきた。
【0004】このような中で、最近走査型トンネル顕微
鏡(以下、STMと記す)が開発され(G.Binnigら、Ph
ysical Revue Letters誌、第49巻(1982年)57
頁)、結晶、非晶質を問わず、実空間の高分解の想定が
できるようになった。STMは、金属の探針(プローブ
電極)と導電性物質との間に電圧を加えて10オングス
トローム程度の距離まで両者を近づけると、両者の間に
トンネル電流が流れることを利用している。この電流は
両者の距離変化に極めて敏感であり、前記トンネル電流
を一定に保つようにプローブ電極の位置を制御しなが
ら、プローブ電極を試料表面上2次元的に走査させれ
ば、該プローブ電極の位置を変化させるアクチュエータ
に加えられる電気信号を記録することによって、実空間
の試料表面構造を描くことができる。この際の面内方向
の分解能は1オングストローム程度である。したがっ
て、STMの原理を用いれば、充分に原子オーダー(数
オングストローム)の高密度記録再生を行うことが可能
となる。実際、STMを利用した記録再生方法として、
粒子線(電子線、イオン線)或いはX線等の高エネルギ
ー電磁波及び可視・紫外光等のエネルギー線を用いて、
適当な記録層の表面状態を変化させて記録を行ったもの
をSTMを用いて再生する方法や、記録層として電気的
スイッチング・メモリ効果を有する材料、例えばπ電子
共役系有機化合物やカルコゲン化合物類の薄膜層を用い
て記録/再生を行う方法(特開昭63−161552号
公報)や、特定の分子を含む流体に電圧パルスを印加す
ることで前記特定の分子を基板上に選択的に固着させる
ことで記録/再生/消去を行う方法(特開平1−196
751号公報)等の提案がある。
【0005】一方STMで用いられている、プローブを
試料上の微細領域に高精度に近づける技術を利用して、
トンネル電流以外の物理量、例えばプローブと試料との
間に働く力を検出し、試料の表面形状を測定する分子間
力顕微鏡(以下、AFMと記す)や、磁場を測定する走
査型磁力顕微鏡等、様々な顕微鏡が次々に開発されるに
至り、これらが何れも2次元走査可能なプローブを有し
ていることから、これらの顕微鏡の総称として走査型プ
ローブ顕微鏡(以下、SPMと記す)という言葉が用い
られるようになった。係るSPMを用いた記録/再生方
式も数多く報告されている。AFMを用いた記録/再生
方式としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(以
下、PMMAと記す)を記録層として用い、レーザ光を
集光して加熱せしめたAFMプローブを上記PMMA表
面に接触させ、係る接触点に150nm径の凹みを形成
することによって記録を行い、非加熱のAFMプローブ
を用いてこれを再生する方式が報告されている(H.J.Ma
min 及びD.Rugar, AppliedPhysics Letters誌、第61
巻(1992年)、1003〜1005頁)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなSPMを
利用した記録/再生方式においては、用いられる記録媒
体の最表面(以下、記録層表面)は、基本的にできるだ
け平滑であることが要求される。例えば上述したMamin
らのAFMを利用した記録/再生方式の場合、記録ビッ
トの深さは約15nmであり、記録層表面に記録ビット
以外の同程度の凹凸があると記録ビットの認識が困難と
なり、記録/再生のS/N比が悪くなってしまう。した
がって記録層表面に何らかの手段により凹凸を形成し、
これを記録ビットとして用いる方式の場合には、基本的
には、記録層表面の凹凸は係る記録ビットの深さ又は高
さよりも小さい必要がある。一方、記録層に形態以外の
導電性変化や磁性変化等の物性変化を局所的に起こさせ
て記録を行う方式の場合であっても、記録層表面の凹凸
は記録/再生のS/N比の低下をもたらすことに変りは
ない。即ち、これらの記録/再生方式において、若し、
プローブを記録媒体上、略一定の高さで走査する場合
(constant height mode)には、記録層表面の凹凸はプ
ローブ先端と記録層表面との距離の変化をもたらすの
で、プローブから記録層に対して、例えば、電圧印加、
光照射、磁気印加等の摂動(perturbation)を加えて記
録を行う際に、常に同一の記録条件でこれを行うものと
すると、出来上がった記録ビットの状態(物性変化の程
度)が上記距離の変化に応じて変動してしまう。またプ
ローブと記録層表面との距離を一定にして走査する場合
(プローブの高さ方向位置を記録層表面の凹凸に追従さ
せて走査する場合;topographic mode)、記録時は比較
的問題が少ないとしても、再生時において記録ビットと
前記凹凸とを分離することが困難であり、やはり記録/
再生のS/N比の低下をもたらす。
【0007】以上の観点から、記録層表面は基本的にで
きるだけ平滑であることが望ましい。ここで“基本的”
とわざわざ断わったのは、現実的には記録媒体にはトラ
ッキングのための様々な構造物(凹凸)や、電極等の必
須部品が存在し、その表面が全面に亙って完全に平坦で
ない場合があり得るからである。その故、記録層自体も
これらの影響による凹凸を有している。しかし当然、こ
れらの人為的凹凸は、個々の記録/再生プロセスを妨害
することのないように設計・形成されている筈である。
したがって、ここで問題にしているのは記録層固有の表
面凹凸である。
【0008】更には、例えば、記録層に電圧印加を行っ
て記録を行う場合、安定な記録/再生を行うためには、
記録層の厚さの均一性も必要である。即ち、係る記録層
の厚さが記録媒体中で分散を有する系では、プローブ電
極と記録層の下にある下電極との距離に変化が生ずるこ
とになるから、同一の記録条件で一連の記録を行った場
合、記録ビットの状態(物性変化の程度)が、上記距離
の変化に応じて変動してしまう。
【0009】以上説明した、記録層の形態に対する要求
点、即ち、表面平滑性及び膜厚の均一性、を満たす、記
録層形成法としては、現状最も好ましい方法の一つとし
て、ラングミュア・プロジェット(以下、LBと記す)
法を挙げることができる。実際、前述した特開昭63−
161552号公報を始め、記録層をLB法を用いて形
成した例が、数多く開示又は報告されている。但しLB
法による場合、記録層として用いることのできる材料
は、有機材料に限定される。
【0010】LB法による有機膜(係る膜をLB膜と呼
ぶ)の作成は、一般的には以下の手順に沿って行われ
る。即ち、先ず、膜形成材料を適切な溶媒に溶解する。
次に、この溶液少量を水面上に展開した後、溶媒を蒸発
させるか或いは隣接する水相に拡散させて、水面上に膜
形成分子による低密度の膜を形成させる。続いて、通
常、機械的に仕切り板を水面上掃引し、膜形成分子が展
開している水面の表面積を減少させることによって膜を
圧縮し、緻密な水面上単分子膜を得る。次いで、適切な
条件下で、前記水面単分子膜内の分子密度を一定に保ち
ながら、固体基板を前記水面上単分子膜を横切る方向に
浸漬又は引き上げることによって、前記水面上単分子膜
を該固体基板上に移し取り単分子層を該固体基板上に堆
積する。係る浸漬/引き上げ操作を繰り返すことによっ
て、単分子層の厚さの整数倍の厚さを有する単分子層累
積膜、即ちLB膜を前記固体基板上に堆積させることが
できる。更に、異種の膜形成材料を用い、これらの水面
上単分子膜に対して、上記浸漬/引き上げ操作を繰り返
し行うことによって、異種材料から成る層を積層した複
雑な構造を有する異種接合LB膜(hetero LB film)を
作成することも可能である(G.Roberts 編、Langmuir-B
lodgett Films, Plenum Press N.Y. 1990 年、参照)。
以上により、LB法を用いれば、平滑かつ均質な記録層
を形成できるものと期待されるが、一般的には、適切な
形状及び平滑な表面を有する基板を用いた場合のみ、有
効であることは明らかである。一方、LB法に用いるの
に適当でない基板、すなわち、浸漬/引き上げ工程によ
って水面上単分子膜を直接堆積せしめるには、甚だ不適
当といえる基板としては、例えば、その形状若しくは表
面構造が適切でない(凹凸が存在する)もの、耐水性が
不充分であるもの、表面が多種類の成分で構成されてい
て各々への水面上単分子膜の付着性が異なり一様な堆積
が不可能であるもの(極端な場合、特定の成分上への堆
積が不可能であるもの)、接触する水相によって侵され
得るもの、親水性部位と疎水性部位が交互に存在する不
均質な表面を有するもの、等を挙げることができる。
【0011】前述したSPMを利用した記録/再生シス
テムで用いられる基板(記録媒体において記録層を堆積
すべき対象)には、トラッキングのための様々な構築物
や各種電極等が予め(記録層堆積以前に)付設されてい
る場合がある。このような形態を有する記録媒体用基板
上には、前述の観点から、LB膜を直接堆積するのに相
応しいとは言い難い。また記録媒体用基板が平滑で一様
な表面構造を有しており、それ自体へのLB膜の堆積操
作には何ら問題がない場合であっても、例えば、LB膜
堆積後に該LB膜に何らかの処理、例えば、加熱やドー
ピングを行う必要がある場合において、前記処理に対す
る記録媒体用基板の耐性が不充分であれば、事実上LB
法を利用した記録層形成は不可能となる。
【0012】上記の具体例としては、例えば、ポリイミ
ドLB膜を得る場合、通常は先ず前駆体であるポリアミ
ック酸長鎖アルキルアミン塩(ポリアミック酸と長鎖ア
ルキルアミンとのイオン・コンプレクッス)のLB膜を
作成した後、これを加熱処理若しくは化学処理して、長
鎖アルキルアミンを除去すると共に、脱水イミド環化し
て目的のポリイミドLB膜を得る。上記イミド化処理を
加熱処理によって行う場合には、250〜400℃に加
熱する必要があり、特により機械的強度に優れるポリイ
ミド膜を得るには300℃以上で加熱処理を行うことが
好ましい。したがって、上記の加熱処理を記録媒体用基
板堆積後に行うのであれば、記録媒体用基板に充分な耐
熱性が要求されることになる。係る要求に対して、例え
ば記録媒体用基板がシリコン基板上に電極としての金を
堆積したものであるとすると、金−シリコンの共晶点が
330℃であるので、少なくとも係る温度以上での加熱
処理は事実上不可能である。また化学処理によってイミ
ド化を行う場合には、例えば、当該ポリイミド前駆体L
B膜を、ピリジン及び無水酢酸を含むベンゼン溶液に浸
漬することによってなされるが、基板の条件として、係
る有機薬品によって侵されないことは勿論、当該ポリイ
ミド前駆体LB膜との間に適切な密着性が確保されてい
る必要がある。さもなければ、上記化学処理中に当該ポ
リイミド前駆体LB膜が基板から部分的或いは全面的に
剥離してしまう。
【0013】別の具体例としては、例えば、ポリアニリ
ンやポリピロール等のLB膜に対してドーピング操作を
行ってLB膜の導電性を制御する場合、アニオン又はカ
チオンであるドーパントを上記LB膜中にドーピングす
ることが必要となる。前記ドーパントとしては、沃素イ
オン、塩素イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン等がある
が、一般にこれらのドーパント種を含む、或いは遊離し
得るガス若しくは水溶液中に当該LB膜を暴露若しくは
浸漬することでドーピングが行われる。例えば、金属電
極上に形成させたポリアニリンLB膜に対して塩素イオ
ンドープを行う場合、当該LB膜を塩酸ガス中に暴露す
るのが最も簡単であるが、係る操作が前記金属電極(特
に金属がアルミニウム、錫等の非貴金属でできている場
合)に損傷をもたらすことは充分に予想される。
【0014】それ故、一旦作成したLB膜を、元の基板
から記録媒体用基板上へ移設する方法の利用が強く望ま
れる。係る方法では、LB膜作成の段階ではLB法を用
いて堆積させるのに最適な基板を選択して用いることが
でき、LB膜が組み込まれる記録媒体の設計に関して
は、LB法を用いる場合に必要となる基板条件(制約)
を考慮する必要がなくなる。
【0015】一般に、第1の基板上に堆積させたLB膜
を第2の基板上に移す方法として、以下に示す二つの方
法が文献において開示されている。
【0016】第1の方法は、LB膜を、厚く、柔軟で可
撓性のある(flexible)高分子膜で被覆し、続いて基板
上からこの膜をリフトオフした後、他の基板上に移すも
のである(O.Inacker, H.Kuhn, D.Mobius 及び G.Debuc
h, Z.Phys. Chem. N.F. 誌、第101巻(1976
年)、337頁、及び H.Kuhn, Thin Solid Films 誌、
第99巻(1983年)、1頁)。係る方法では、LB
膜が異なる材料から成る適切な異種接合LB膜であれ
ば、当該LB膜は所定の界面、即ち、異種接合面におい
て剥離し、可撓性高分子基材に接着していた部分を新し
い基板上に再堆積させることができる。
【0017】また、第2の方法はLB膜を攻撃すること
のない酸によってエッチングされ得る表面又は表面層を
有する基板上にLB膜を堆積させるものである(G.Lies
er,B.Tieke 及びG.Wegner, Thin Solid Films誌、第6
8巻(1980年)、77〜90頁等)。係る方法にお
いては、通常、エッチング可能な表面又は表面層として
SiO2 をエッチング液(エッチャント)として希弗化
水素酸水溶液が用いられる。基板としては、シリコン・
ウエハやガラスを用いることができる。係るSiO2
よる表面又は表面層を有する基板上にLB膜を堆積させ
た試料を希弗化水素酸水溶液で注意深く処理することに
よって、上記SiO2 層が弗化水素酸に溶解する一方、
LB膜の一部が該希弗化水素酸水溶液の水面上に浮遊す
る。続いて、このLB膜の浮遊片を他の基板上にすくい
取る。この方法は、電子顕微鏡観察用の試料作成時にお
いて、しばしば行われている。
【0018】しかしながら、上述したような技術によっ
てLB膜を別の基板上に転写し、再度堆積させた場合、
再堆積後の膜の品質は決して高いものではなく、更に
は、転写片の大きさに関して、特に第2の方法(酸を用
いる方法)ではかなり小さくなる。
【0019】これらの問題点について更に詳しく説明す
ると、第1の方法では、可撓性高分子から成る支持膜を
剥離させる際に必ず大きな応力が生じてしまうという問
題点がある。この応力は、基板、LB膜そして可撓性高
分子から成る支持膜中に存在する欠陥及びその周辺部に
集中することになるので、係る欠陥が存在する場合、上
記剥離工程をしばしば中断する必要が生ずる。更には、
係る応力集中の結果、再堆積後のLB膜において膜中の
欠陥の数や大きさが、増大してしまうという問題点があ
る。
【0020】また第2の方法は、LB膜が通常親水性で
あるエッチング可能である適切な表面又は表面層上を堆
積し得る場合(一般的には容易ではない)、LB膜の材
料がエッチング液によって侵されない場合、エッチング
液の残渣が問題を引き起こさない場合に限定される。し
かし実際には、転写されたLB膜が工業的に意味のある
大きさであり、また、品質を有するという報告は、未だ
なされていない。
【0021】以上の方法の他、第3の方法として、LB
膜作成後に基板全体を溶解又はエッチングにより除去す
ることが考えられる。しかしながら、実際にこのような
方法を試みた報告はなされていない。これは、基板を溶
解する試薬がLB膜を攻撃せず、かつ溶解中に生ずる機
械的応力がLB膜の強度を超えないような系を見い出す
ことが困難であることによると考えられる。またこの方
法では、LB膜も液相内部に消失し、容易に見つけ出す
こと、及び再堆積することが不可能である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、S
PM用の記録媒体の製造方法に関し、詳しくは、記録媒
体用基板上に有機物から成る記録層を有する構造の記録
媒体の製造方法に関し、記録層の形態に対する要求点、
即ち、表面平滑性及び膜厚の均一性を満たすために上記
問題点のないSPM用の記録媒体の製造方法を提供する
ことにある。さらに、特に、従来のLB法による記録層
形成(堆積)プロセスに適さない形態を有する記録媒体
用基板上に、均質で一様な記録層を形成する方法を提供
することにある。よって、SPMを用いた記録/再生方
式に使用可能な、記録媒体を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
課題を解決するために鋭意検討した結果本発明に到達し
た。即ち本発明は、走査型プローブを介して情報の記
録、再生を行う情報処理装置に用いる、第1の有機材料
から成る層とこれを支持する記録媒体用基板で構成され
る記録媒体の製造方法に関し、前記第1の有機材料から
成る層を一旦第1の基板上に堆積する工程と、係る第1
の有機材料から成る層を第1の基板から剥離する工程
と、剥離した第1の有機材料から成る層を前記記録媒体
用基板上に移設する工程を含むことを特徴とする記録媒
体の製造方法である。
【0024】また、本発明は走査型プローブを介して情
報の記録、再生を行う情報処理装置に用いる、第1の有
機材料から成る層とこれを支持する記録媒体用基板で構
成される記録媒体の製造方法に関し、前記第1の有機材
料の出発物質から成る層を第1の基板上に堆積する工程
と、係る第1の有機材料の出発物質から成る層を第1に
基板から剥離する工程と、剥離した第1の有機材料の出
発物質から成る層を前記記録媒体用基板上に移設する工
程と、前記第1の有機材料の出発物質から成る層に加熱
処理及び/又は化学処理及び/又は光照射処理を施し
て、目的の第1の有機材料から成る層を前記記録媒体用
基板上に得る工程を含むことを特徴とする記録媒体の製
造方法である。
【0025】更に本発明は、走査型プローブを介して情
報の記録、再生を行う情報処理装置に用いる、第1の有
機材料から成る層とこれを支持する記録媒体の製造方法
に関し、前記第1の有機材料の出発物質からなる層を第
1の基板上に堆積する工程と、係る第1の有機材料の出
発物質から成る層に加熱処理及び/又は化学処理及び/
又は光照射処理を施して、目的の第1の有機材料から成
る層を第1の基板上に得る工程と、係る第1の有機材料
から成る層を第1の基板から剥離する工程と、剥離した
第1の有機材料から成る層を前記記録媒体用基板上に移
設する工程を含むことを特徴とする記録媒体の製造方法
である。
【0026】本発明の上記の方法であれば目的を達する
ことができるが、特に好ましい実施態様としては以下の
方法が挙げられる。以下に主として有機材料としてLB
膜を用いた例で本発明を説明するが、本発明の構成は前
記第1の有機材料の出発物質から成る層を第1の基板上
に堆積する工程と、係る第1の有機材料の出発物質から
成る層を第1に基板から剥離する工程と、剥離した第1
の有機材料の出発物質から成る層を前記記録媒体用基板
上に移設する工程を含むことによって本発明の目的は達
成可能であり、LB法に限定されるものではない。
【0027】(1) 第1の基板上に、SPMの原理を
応用した記録/再生方式で用いられる記録層として使用
可能な材料及び膜厚を有するLB膜を堆積する工程と、
前記LB膜を堆積せしめた第1の基板を第1の液体中に
浸漬させることによって、第1の基板とその上に堆積せ
しめた当該LB膜間の接合力を低下させる工程と、前記
LB膜を堆積せしめた基板を第2の液体に浸漬し、該第
2の液体の液面上に前記LB膜を浮遊させる工程と、前
記浮遊したLB膜を記録媒体用基板上に移し取り、該記
録媒体用基板上に再堆積させる工程と、を具備した記録
媒体形成方法。
【0028】(2) 第1の基板上に、SPMの原理を
応用した記録/再生方式で用いられる記録層として使用
可能な材料及び膜厚を有するLB膜の出発物質となるL
B膜を堆積する工程と、前記出発物質となるLB膜を堆
積せしめた第1の基板を第1の液体中に浸漬させること
によって、第1の基板とその上の当該LB膜間の接合力
を低下させる工程と、前記出発物質となるLB膜を堆積
せしめた基板を第2の液体に浸漬し、該第2の液体の液
面上に前記出発物質となるLB膜を浮遊させる工程と、
前記浮遊した出発物質となるLB膜を記録媒体用基板上
に移し取り、該記録媒体用基板上に再堆積させる工程
と、前記出発物質となる層を加熱処理及び/又は化学処
理及び/又は光照射処理して、目的のLB膜から成る層
を得る工程と、を具備した記録媒体形成方法。
【0029】(3) 第1の基板上に、SPMの原理を
応用した記録/再生方式で用いられる記録層として使用
可能な材料及び膜厚を有するLB膜の出発物質となるL
B膜を堆積する工程と、前記出発物質となるLB膜を加
熱処理及び/又は化学処理及び/又は光照射して、目的
のLB膜を得る工程と、前記LB膜を堆積せしめた第1
の基板を第1の液体中に浸漬させることによって、第1
の基板及びその上に堆積せしめたLB膜間の接合力を低
下させる工程と、前記LB膜を堆積せしめた基板を第2
の液体に浸漬し、該第2の液体の液面上に前記LB膜を
浮遊させる工程と、前記浮遊したLB膜を記録媒体用基
板上に移し取り、該記録媒体用基板上に再堆積させる工
程と、を具備した記録媒体形成方法。
【0030】以下、図面を参照して本発明の方法をその
工程に沿って詳細に説明する。
【0031】先ず、図1(A)い示す如く、前述したよ
うな通常のLB法にしたがい、第1の基板1上に記録層
として適切な材料、若しくは加熱処理及び/又は化学処
理及び/又は光照射によって目的の記録層を得ることの
できる適切な出発物質を用いて、単分子層累積膜(LB
膜)2を形成する。具体的には、膜形成材料の分子5が
親水基6を水面側に、疎水基7を気相側に向け、2次元
的に配列してなる水面上単分子膜4の水面に有する水相
3に、第1の基板1を浸漬し続けて引き上げ、更に一連
の操作を繰り返す。こうして、第1の基板1上に水面上
単分子4を順次積層させ、所望の層数(膜厚)を有する
単分子層累積膜(LB膜)2を形成する。
【0032】ここで第1の基板1としては、できるだけ
表面が平滑なものが好ましく、主たる面の凹凸高さの平
均値が10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ま
しくは0.1μm以下である。第1の基板1は、例え
ば、シリコン・ウエハ、ガラス、マイカ、ポリカーボネ
ート等のプラスチック板を用いることができる。これら
の表面はできるだけ清浄であることが好ましいのは言う
までもなく、例えば、シリコン・ウエハやガラスで半半
導体プロセスで用いられている従来公知の洗浄法、例え
ばRCA法によって清浄面を得ることができる。また、
マイカの場合には劈開面を用いればよい。
【0033】一方、LB膜2の材料は、当然、記録方式
/原理に依存するが、例えば、記録層の電気的スイッチ
ング・メモリ効果を利用したもの(K.Sakai ら、Applie
d Physics Letters 誌、第53巻(1988年)、12
74〜1276頁、K.Takimotoら、同誌、第61巻(1
992年)、3032〜3034頁、特開昭63−16
552号公報等参照)の場合には、高分子化合物、π電
子共役系を有する有機分子、例えば、フタロシアニン、
テトラフェニルポルフィリン等のポルフィリン環を有す
る色素、シアニン系やアズレン系の色素、アントラセン
やピレン等の縮合多環芳香族等多岐にわたるが、特に好
ましいのは、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアニリ
ン、ポリチオフェン、ポリアミド、ポリジアセチレン、
生体高分子(蛋白質等)等の高分子化合物の利用であ
る。
【0034】また、記録原理として、例えば、局所的加
熱或いは局所的加圧によって記録層に形態的変化を生じ
せしめて記録を行う方式の場合には、上記の材料に加え
てπ電子共役系をもたない材料を用いることもでき、具
体的には、ベヘン酸や22−トリコセン酸等の脂肪酸
や、PMMA、ポリイソブチルメタクリレート(PIB
M)、ポリ酪酸(PLA)といった高分子材料を用いる
ことができる。この場合もできるだけ高分子材料の使用
が好ましい。
【0035】LB膜材料として高分子材料が好ましいの
は、LB膜自体の機械的強度が、一般に低分子材料を用
いたものと比較して強いので、後述する第1の基板から
の剥離工程が容易であることによる。
【0036】なお、LB膜は、異なる種類の材料から成
る単分子層又は単分子層累積膜が積層されたもの(異種
接合LB膜)であってもよい。
【0037】続いて図1(B)に示す如く、LB膜2が
形成された第1の基板1を、第1の液体8、例えば、純
水、或いは塩及び/又は洗浄剤を含有する水溶液に浸漬
し、適切な温度下で一定の時間放置して、第1の基板1
とLB膜2間の接合力を低下させる。
【0038】ここで第1の液体8としては、例えば、R
BS35(商品名、FLUKA(スイス)製)やクリー
ンエース(商品名、井内盛栄堂製)等の市販の実験用洗
剤の他、ママレモン(商品名、花王製)等の家庭用各種
洗剤等界面活性剤を含む洗剤の希釈液(数%水溶液)を
用いることができる。また、オクタデジルスルホン酸ナ
トリウム塩のような塩の水溶液を用いることもできる。
界面活性剤の濃度としては、0.数%〜数%が好適であ
る。また、第1の液体8の温度は、用いる第1の基板、
LB膜材料、第1の液体の添加成分の濃度に応じて適宜
選択され得るが、好ましくは、30〜80℃とする。第
1の基板1の浸漬時間についても、同様に用いる基板、
LB膜材料、第1の液体の添加成分の濃度及び温度によ
って決定され、好ましくは数分〜1時間となるように第
1の液体種類、濃度及び温度が選択される。
【0039】次に、必要に応じて、図1(C)に示す如
く、浸漬後における第1の基板1上のLB膜2に残る第
1の液体8の残留物を除去する目的で、LB膜2を純水
9によって洗浄する。ここで洗浄方法としては、図示の
LB膜2の中央部に直接流水を供給する方法に限定され
るものではなく、純水によるカスケードに浸漬してもよ
い。むしろカスケードを利用する方が、LB膜への損傷
を防げるのでより好ましい。
【0040】なお、図1(B)に示す工程において、特
に、第1の液体8として洗浄剤を含有する溶液を用いた
場合、洗浄剤の影響でLB膜2の表面が親水性になる。
この場合、後述する工程(図1(D))において、第1
の基板1から剥離したLB膜2が水中を浮遊して最終的
に後述する第2の基板11上に移し取ることが困難にな
り、またしばしば剥離したLB膜に皺が生じて後続の処
理における取り扱いが困難になるおそれがある。更にL
B膜に洗浄剤が残存すると表面張力が低下するので、L
B膜が基板から剥離し難くなったり、水面において滑ら
かに伸長し難くなったりすることがある。したがって、
本発明では、図1(C)に示す洗浄工程を行うことが好
ましい。
【0041】次に図1(D)に示す如く、第1の液体8
に浸漬後の第1の基板1、或いは純水洗浄後の第1の基
板1を再度純水相10に浸漬すると、LB膜2は水面に
沿って第1の基板1の表面から剥離する。ここでLB膜
2の剥離を効果的に行うためには、先ずLB膜のエッジ
(端面)を水面と平行にした上で、当該水面に係るエッ
ジを最初に接触させ、静かに第1の基板1を純水9中に
浸漬することが望ましい。又は予めLB膜2の適切な位
置を少し引っ掻いてエッジのような構造を作った上で、
上述の操作を行ってもよい。但し、この浸漬操作自体
は、剥離の成否を直接決定するものではない。剥離の成
否は図1(B)に示した第1の液体8への浸漬工程にお
ける設定条件、例えば第1の液体種類、濃度及び温度等
で決定される。こうして剥離したLB膜2は、図1
(E)に示す如く、純水相10を浮遊し、通常その水面
において目視にて確認できる。
【0042】続いて、図1(F)に示す如く、浮遊する
LB膜2を、記録媒体用基板11上に移し取る。係る工
程において、皺を生ずることなく浮遊しているLB膜2
の再堆積を行うためには、先ず浮遊しているLB膜2の
直線状エッジ部を、予め純水中に浸漬しておいた記録媒
体用基板11に接触させることによって、LB膜2の移
し取りを開始することが望ましい。続いて、浮遊してい
るLB膜2の下方から前記記録媒体用基板11をゆっく
り引き上げることによって、当該記録媒体用基板上にL
B膜2を再堆積させる。当該LB膜が目的の記録層の出
発物質である場合には、当該LB膜に対して、加熱処理
及び/又は化学処理及び/又は光照射処理によって目的
の記録層を得る。
【0043】以上の操作によって、図2にその構成を示
すような、記録媒体用基板11上にLB膜から成る記録
層21が形成された、記録媒体22を得ることができ
る。
【0044】ここで、記録媒体用基板としては、特に限
定されることはないが、通常LB膜を直接LB法によっ
て堆積させることが困難もしくは不可能な基板、例え
ば、集積回路を有する基板、フォトリソグラフィ技術等
によりパターニングされた基板、その表面が様々な材料
で構成されており一様でないもの、等を用いることも可
能である。
【0045】第1の基板に堆積するLB膜材料として最
終目的物ではなく、その出発物質を用いる必要がある場
合には、前述したように記録媒体用基板上にて、最終目
的物に変化させるべく、加熱処理及び/又は化学処理及
び/又は光照射処理等、何らかの処理を施すのではな
く、第1の基板1上に出発物質から成るLB膜2を堆積
した後、直ちに図1(B)の工程に入る前に、当該処理
を施してもよい。
【0046】具体的には、例えば、記録層21としてポ
リイミドLB膜を利用しようとする場合には、通常第1
の基板1上にポリイミドの前駆体である、ポリアミック
酸アルキルアミン塩から成るLB膜2を形成した後、一
旦、加熱処理若しくは化学処理によって、アルキルアミ
ン塩の脱離反応及びイミド環化反応を行わしめポリイミ
ドLB膜を得ることになるが、係る処理を第1の基板1
上で行っておけば、記録媒体用基板11に対する耐熱性
若しくは耐化学薬品性に対する制約が緩和されるという
利点がある。
【0047】より詳しくは、加熱反応によってイミド環
化反応を行う場合、通常300℃以上の温度を必要と
し、特に架橋反応等を起こさせて強固な膜を得ようとす
れば、350℃以上の温度を必要とする。故に、記録媒
体用基板11がその表面に電極金属を有するような場合
(STMの原理を用いた記録/再生方式の場合、基本的
に記録媒体用基板の表面が導電性である必要があり、こ
の目的のために、しばしば金属電極が使用される)にお
いては、上記加熱処理に伴って、係る電極金属の表面状
態が変化してしまう可能性がある。より具体的には、例
えば、上記金属電極が金であり、係る金電極がシリコン
上或いは、クロム上に形成されている場合、金−シリコ
ン或いは、金−クロムの共晶点がいずれも300℃付近
にあるので、加熱処理によって、変形・変成してしまう
可能性が高い。また、化学処理としてドーピングを行う
ような場合、係るドーピング処理中における、ドーパン
トによる記録媒体用基板の損傷を全く考慮する必要がな
い。 また、出発物質として例えば、共役ジアセチレン
誘導体のようなモノマー材料のLB膜を作成し、これに
紫外光等の光照射を行うことによって目的のポリマーL
B膜を得る場合、第1の基板上において予め係る処理を
行っておいた方が、当該LB膜の機械的強度が増すの
で、その後の剥離、転写工程における取り扱いが容易に
なる。
【0048】なお、上述した加熱処理を行う際、これを
減圧下、真空下、或いは不活性ガス雰囲気下でこれを行
うことは何ら問題とならず、不純物の吸着や対象物の予
期せぬ変成を防止できるので、むしろその方が好まし
い。
【0049】以上述べてきたように、本発明の記録媒体
の製造方法は、SPMの原理を利用した記録/再生方式
の種類に応じて、その各々に最も適した記録層(LB膜
材料、膜厚)を提供し得るものであるので、情報処理装
置そのもの形態や記録/再生方式に対しては、何ら限定
を与えない。ただ、既に記したように記録層を構成する
材料は、有機材料に限定される。
【0050】更には、本発明ではLB膜を用いた層を記
録層と呼んでいるが、実際の記録はLB膜より下層部で
行い(有機層に限らず無機層であってもよい)、LB膜
が記録媒体の表面保護層、或いは表面潤滑層として用い
られる場合にも、本発明による記録媒体の製造が可能で
ある。
【0051】
【実施例】以下本発明を、実施例に沿って更に詳細に説
明する。なお、これら実施例は、本発明の理解を容易に
する目的で記載されるものであり、本発明を特に限定す
るものではない。
【0052】(実施例1)式(1)に示すポリアミック
酸アルキルアミン塩(以下、PAADと記す)のジメチ
ルアセトアミド溶液(濃度0.5mM)を20℃の純水
上に展開し、表面圧を30mM/mにまで高めて係るP
AADの水面上単分子膜を形成した。
【0053】
【化1】 次に、直径3インチのシリコン・ウエハを、一般的な半
導体製造プロセスにしたがって洗浄した後、弗化水素酸
水溶液(1%)中でエッチングすることによって、その
表面を疎水化した。上記表面圧を保持しながら、前記ウ
エハをPAAD水面上単分子膜を横切る方向に、速度5
mm/minの条件で上下させて、該ウエア上に前記P
AADの10層LB膜を形成した。なお、ウエハの上
部、幅約1cmの部分には、LB膜を形成せずにおい
た。
【0054】続いて、係るPAADLB膜付きシリコン
・ウエハを減圧下、350℃で60分間焼成して、アル
キルアミンを脱着させると共にイミド環化を行わせて、
式(2)に示すポリイミド(以下、PIと記す)の10
層LB膜を得た。
【0055】
【化2】 続いて、このウエハを界面活性剤を含む洗浄液RBS3
5(市販実験室用洗浄剤FLUKA(スイス)社製)の
2.5%水溶液に70℃にて1時間浸漬した。次いで、
ウエハを取り出し、純水により流水洗浄を行った後、純
水で満たされた容器中に浸漬し、PILB膜を剥離し
た。以下、係る工程について詳しく述べる。
【0056】先ず、LB膜のエッジ部を水面と平行に保
ちながら、ウエハを1mm程度数回上下させた。その
内、純水がエッジ部に接触すると同時にPILB膜がウ
エハから剥離し始めたので、そのまま緩やかにウエハを
純水中に浸漬して、ウエハ上のPILB膜を剥離させ
た。以上のようにして純水上で剥離したPILB膜は水
面上を浮遊し、その存在を目視にて確認できた。係る水
面上で浮遊しているPILB膜をピンセットを用いて、
新たな他の第2の基板に移し取るために適切な位置へと
水面上を移動させた。
【0057】次に、図3(A)にその構成を示す記録媒
体用基板31、即ち、シリコン・ウエハ32上に液相成
長させて堆積させた金下部電極33を有する基板を用
い、浮遊しているPILB膜の直線状エッジ部を前記記
録媒体用基板31に接触させることによって、PILB
膜の移し取りを開始した。
【0058】続いて、浮遊しているPILB膜の下方か
ら前記記録媒体用基板31をゆっくり引き上げることに
よって、当該記録媒体用基板31上にPILB膜を再堆
積させ、図3(B)にその構成を示す、10層PILB
膜を記録層34とする記録媒体35を得た。
【0059】以下、上記記録媒体用基板31の作成方法
について記す。先ず、沃化カリウム(KI)4gと沃素
(I2 )0.6gを純水50mlに溶解させた後、該沃
素水溶液に0.08gの金を完全に溶解させ、金沃素錯
体溶液を作成した。該金沃素錯体溶液をストック溶液と
し、係るストック溶液の内、10mlを分取して、これ
を純水50mlで希釈したものを反応母液とした。該母
液中に、一般的な半導体製造プロセスにしたがって洗浄
したシリコン・ウエハ32を浸漬し、ホットプレート上
で80℃に加熱した。前記母液中の沃素が昇華して母液
が透明な薄黄色になると、主に六角形又は三角形の平板
状金結晶(約1mm径)が前記シリコン・ウエハ32上
に多数析出し、金下部電極33を有する記録媒体用基板
31を形成することができた。
【0060】(実施例2)実施例1で作成した記録媒体
35を用いて記録/再生/消去の実験を行った。図4に
本実施例で使用した、STMの原理を用いた情報処理装
置のブロック構成図を示す。図中35は上述の実施例1
で作成した、シリコン・ウエハ32、金下部電極33、
PILB膜記録層34より成る記録媒体である。41は
記録媒体35に対向して設けられたプローブ電極、42
はプローブ電極41が取り付けられている片持ち梁、4
3は片持ち梁42の支持体である。この片持ち梁42に
よってプローブ電極41はZ軸方向に変位できるように
なっている。記録媒体35は円筒型圧電素子を用いたX
YZ微動装置44によって、X,Y及びZ軸方向に微小
量動かすことができる。更に、XYZステージを用いた
粗動装置45によって大きく動かすこともできる。片持
ち梁の支持体43とXYZ粗動装置45はベース46に
固定されている。ベース46は不図示の除振台上に設置
してある。
【0061】以下、プローブ電極41の作成方法につい
て述べる。先ず、シリコン結晶の性質を高度に利用した
異方性エッチングの手法により、長さ100μm、幅2
0μm、厚さ1μmのSiO2 の片持ち梁42を形成し
た。この手法は公知である(K.E.Petersen, Proc. IEEE
誌、第70巻(1982年)、420頁)。片持ち梁4
2を前記異方性エッチングンで作成する工程の中で、該
片持ち梁42の一端にスピント法により高さ3μm、底
部の直径5μmの円錐形状のティップ421を形成し、
更に該ティップ421上に金を真空蒸着法により300
オングストローム堆積し、導電膜422を形成した。そ
の後、走査型電子顕微鏡で観察しながら、先端部を先端
曲率半径が5μmになるまで電解エッチング処理を行
い、プローブ電極41を作成した。
【0062】プローブ電極41と記録媒体35の下部電
極33は、記録/消去用の電圧を印加する電圧印加回路
と、プローブ電極41と記録媒体35との間に流れる電
流を検知する電流検知回路から成る電圧印加及び電流検
知回路49に接続されている。なお、下部電極33と電
圧印加及び電流検知回路49との電気的接続を確実にす
るために、下部電極33に対してワイヤボンディングを
行った。XYZ微動装置44及びXYZ粗動装置45は
制御回路47,48によってそれぞれ駆動される。これ
らの回路と電圧印加及び電流検知回路49は、マイクロ
コンピュータ50と接続されて制御される。
【0063】次に、記録/再生/消去の方式について述
べる。本実施例では本文中でも触れた、電流−電圧特性
におけるスイッチング−メモリ現象(電気メモリ効果)
を利用した記録/再生/消去を行った。このスイッチン
グ−メモリ現象は、例えば、π共役電子を持つ群とσ電
子のみを有する群とを併有する分子の単分子膜あるいは
単分子層累積膜(LB膜)を一対の電極間に挟持させた
素子(MIM素子)の電流−電圧特性に特異的に発現す
るものであり、式(2)で示したPIのLB膜を含むM
IM素子においても、係る現象が発現する。
【0064】具体的には、このスイッチング−メモリ現
象とは、その電流−電圧特性に関して、図8に示すスイ
ッチング特性及び図9に示すメモリ特性を有するものを
指す。より詳しくは、図8における2つの抵抗状態(O
N状態とOFF状態)は、互いに別の状態へと遷移させ
ることが可能な個別の閾値電圧(Vth OFF 及び
th ON)を各々もっており、係る閾値電圧を超えた電圧
を当該MIM素子に印加することにより、可逆的に低抵
抗状態(ON状態)及び、高抵抗状態(OFF状態)へ
自由に遷移(スイッチング)させることができる。ま
た、各々の状態は保持電圧を印加することなく、保存
(メモリ)しておくことができる。重要な点は、上述し
た一対の電極のうちの一方を、STMのプローブ電極に
置き換えても同様のスイッチング−メモリ現象が発現す
ることであり(勿論そのためにプローブ電極を充分記録
層に近づけてやる必要がある)、それ故、STMの原理
を利用した記録情報方式の一つとして、係る現象を利用
することができる。
【0065】次に、具体的な記録/再生/消去の方法に
ついて述べる。先ず、記録媒体35をXYZ微動装置4
4の上に固定した後、プローブ電極41と下部電極33
との間にバイアス電圧100mVを印加し、XYZ粗動
装置45、そしてXYZ微動装置44を駆動し、記録媒
体35をプローブ電極41に近づけた。プローブ電極4
1と記録媒体35との間に流れる電流をモニターしなが
ら両者間の距離を変えていくと、図5に示すような電流
特性(図中のIで示す曲線)が得られた。
【0066】一方、プローブ電極41と記録媒体35が
接近すると両者の間に力が働き、この力によって片持ち
梁42が変形する。この変化量を光挺子方式(レーザー
ビームを片持ち梁の先端部に照射しておき、片持ち梁の
変動に伴う該レーザービームの片持ち梁上での反射光の
位置的ずれ量から、片持ち梁の変動量を知る方式)を用
いて、前記電流特性と同時に測定した結果も図5に示し
てある(図中のFで示す曲線)。
【0067】プローブ電極41と記録媒体35との間の
斥力が働く図5のa領域では、両者間に流れる電流は両
者間の距離に対して略一定となっている。そこで以後の
走査は、先ず、電圧印加及び電流検知回路49によって
電流をモニターしながら、マイクロコンピュータ50に
る制御によって、プローブ電極41と記録媒体35とを
両者間に斥力(具体的には10-8N程度)が働く距離ま
で接近させることにした。
【0068】この状態で、XYZ微動装置44を用いて
X軸及びY軸方向に記録媒体35を移動させることによ
り(Z軸方向の位置は固定)、プローブ電極41を記録
媒体35上に走査させた。記録媒体35上の適当な位置
で、記録層34をON状態にする閾値電圧Vth ON 以上
の電圧を持つ、図6に示される波形を有する三角波パル
スをプローブ電極41と下部電極33との間に印加する
ことによって記録を行った。この位置で、再び、100
mVのバイアス電圧を印加して電流を測定したところ、
8μA程度の電流が流れ、記録層34の一地点がON状
態になったことを示した。
【0069】次に、ON状態からOFF状態へと変化す
る閾値電圧Vth OFF以上の電圧を持つ、図7に示される
波形を有する三角波パルス電圧を印加した後、再び10
0mVのバイアス電圧を印加したところ、電流値は1n
A程度であり、OFF状態へ戻ること、即ち、情報の消
去ができることを確認した。
【0070】次に、前述の操作と同様にして、プローブ
電極41と記録媒体35との距離を図5のa領域で示さ
れる状態まで接近させた状態で、XYZ微動装置44の
Y,Z軸を固定し、X軸方向のみ駆動して電流をモニタ
ーしたとろろ、電流値は略1nAの一定値を示した。次
に、やはりX軸方向のみ駆動しながら、10nm間隔に
図6の波形を有する閾値電圧Vth ON 以上の三角波パル
ス電圧をプローブ電極41と下部電極33との間に印加
した。この後、バイアス電圧100mV一定下で、再
び、X軸方向のみの駆動を繰り返し、プローブ電極41
と下部電極33との間を流れる電流を測定したところ、
10nm周期で4桁程度に変化する電流が観測され、O
N状態が周期的に書き込まれたことが確認された。更
に、ON状態とOFF状態とでの電流の比も、略一定値
を保持していた。
【0071】また、上記のON状態が周期的に書き込ま
れた領域を、再び、X軸駆動のみによって走査し、任意
のON状態領域上でXYZ微動装置44を停止させ、こ
の位置を保持した状態で、図7の波形を有する閾値電圧
th OFF以上の三角波パルス電圧をプローブ電極41と
下部電極33との間に印加した。X軸方向のみの走査を
繰り返し、電流を測定したところ、上記パルス電圧を印
加した領域のON状態が消去され、1nA程度の電流を
示すOFF状態に戻っていることが確認された。この任
意のビット消去と同様、プローブ電極41と下部電極3
3との間の電圧を閾値電圧Vth OFF以上に設定して、記
録領域上を走査し、その後、電流を測定したところ、電
流値は1nA程度で略一定値を示し、10nm周期で記
録されたON状態が全て消去されて、OFF状態となっ
たことが確認された。
【0072】続いて、XYZ微動装置44を制御し、1
nmから1μmの間の種々のピッチで長さ1μmのスト
ライプを上記の方法を用いて書き込み、分解能を測定し
たところ、4nm以上のピッチでは常に、4桁程度の電
流変化が書き込みピッチと同じピッチで確認された。更
に、上記実験において、プローブ電極41による記録媒
体表面の変形や、プローブ電極の急激な位置の変動はな
く、プローブ電極走査中のエラーはなかった。
【0073】(実施例3)記録層に関して、実施例1で
用いたPILB膜に代えて、式(3)に示すポリアニリ
ンLB膜に変更した他は、実施例1と略同様にして、記
録媒体を形成した。以下、相違点について述べる。
【0074】式(3)に示すポリアニリン(以下、PA
nと記す)のジメチルアセトアミド溶液(濃度1mM)
と同溶媒、同濃度のドコサン酸溶液とを1:1(w/
w)に混合した溶液を、20℃の純水上に展開し、表面
圧を25mN/mにまで高めて係るPAnとドコサン酸
との1:1混合水面上単分子膜を形成した。
【0075】
【化3】 次に、直径3インチのシリコン・ウエハを、一般的な半
導体製造プロセスにしたがって洗浄した後、弗化化水素
酸水溶液(1%)中でエッチングすることによって、そ
の表面を疎水化した。上記表面圧を保持しながら、この
ウエハをPAnとドコサン酸との1:1混合水面上単分
子膜を横切る方向に、速度5mm/minの条件で上下
させて、当該ウエハ上に前記PAnとドコサン酸との
1:1混合物の10層LB膜を形成した。なお、ウエハ
の上部、幅約1cmの部分には、LB膜を形成せずにお
いた。
【0076】続いて、係るPAnとドコサン酸との1:
1混合LB膜付きシリコン・ウエハを減圧下、120℃
で30分間焼成して、ドコサン酸を脱着させ、PAnの
10層LB膜を得た。
【0077】次に、係るPAnLB膜付きシリコン・ウ
エハを塩化水素蒸気飽和下の容器中に30秒間放置し、
塩素ドープを行った。係るドーピングに伴い、PAnL
B膜の導電率が10-10 S・cm-1以下から、10-4
・cm-1へと上昇した。
【0078】以下実施例1と同様の操作により、係る塩
素ドープしたPAnLB膜を実施例1と同等の記録媒体
用基板31上に再堆積させ、図3(B)にその構成を示
す、10層PAnLB膜を記録層34とする記録媒体3
5を得た。更に当該記録媒体に対して、実施例2と同様
の方法により、記録/再生/消去の実験を行ったとこ
ろ、問題なくこれを行なうことができた。
【0079】(実施例4)記録層に関して、実施例1で
用いたPILB膜に代えて、ポリイソブチルメタクリレ
ート(以下、PIBMと記す)LB膜に変更し、記録媒
体用基板を、フォトリソグラフィ技術を用いて作成し
た、図10(A)にその構造を示す、1μmライン/ス
ペースの周期的なグループ(高さ500オングストロー
ム)を有するシリコン・ウエハ101に代えた他は、実
施例1と全く同様の操作により記録媒体を形成した。以
下、PIBMLB膜の形成方法について述べる。
【0080】PIBMのクロロホルム溶液(濃度1m
M)溶液を、20℃の純水上に展開し、表面圧を11m
N/mにまで高めて係るPIBMの水面上単分子膜を形
成した。次に、直径3インチのシリコン・ウエハを、一
般的な半導体製造プロセスにしたがって洗浄した後、弗
化水素酸水溶液(1%)中でエッチングすることによっ
て、その表面を疎水化した。上記表面圧を保持しなが
ら、このウエハをPIBMの水面上単分子膜を横切る方
向に、速度2mm/secの条件で上下させて、当該ウ
エハ上に前記PIBMの100層LB膜を形成した。な
お、ウエハの上部、幅約1cmの部分には、LB膜を形
成せずにおいた。
【0081】以下実施例1と同様の操作により、係るP
IBMLB膜を前述した周期的なグループを有するシリ
コン・ウエハから成る記録媒体用基板101上に再堆積
させ、図10(B)にその構成を示す。100層PIB
MLB膜を記録層102とする記録媒体103を得た。
【0082】(実施例5)情報処理装置としてAFMを
利用し、記録媒体として実施例4で述べた、100層の
PIBMLB膜を記録層として有するものを用いた。記
録は、記録媒体103上の所望の位置において、AFM
プローブの先端を記録媒体に押し込んで、記録層102
(PIBMLB膜)に50nm径の凹み(深さ50n
m)を作ることにより行った。
【0083】連続的な記録として、記録媒体103のグ
ループをプローブ走査時のトラッキングに利用し、凸部
104上にグループに沿って記録を行った。記録再生
は、やはりループをトラッキングに利用しながらプロー
ブを走査し、これを行ったところ、読み出しエラーはな
かった。
【0084】
【発明の効果】上述したような本発明に方法によれば、
以下の優れた効果を得ることができる。
【0085】(1)SPMの原理を用いた情報処理シス
テムにおいて、各々のシステムに適した記録媒体を作成
する際に、好ましい形態を有する様々な種類の記録媒体
用基板上に記録層としてのLB膜を再堆積させることが
できる。この際、LB膜を上記記録媒体用基板上に直接
堆積する場合に要求される、基板の形態や表面状態に対
する条件の多くを考慮する必要がなくなるので、使用す
る記録媒体用基板の選択自由度が大きくなる。逆に当該
LB膜を最初に堆積する(第1の)基板は、高品質のL
B膜を得るのに最も相応しい理想的な基板を用いること
ができるので、欠陥等の少ない均一な記録層を形成する
ことができる。
【0086】(2)記録媒体用基板上に再堆積されたL
B膜は、前記記録媒体用基板の表面凹凸や組成の違いに
影響されることなく、一様な層構造を有しているので、
記録/再生/消去時のエラーも少ない。
【0087】(3)大きなLB膜片を水面上に浮遊させ
ることができる。例えば3インチ径のシリコン・ウエハ
全面に堆積させたLB膜を剥離して浮遊することができ
る。したがって、記録媒体用基板上への再堆積に必要な
時間及び経費を節約でき、また、再堆積させたLB膜の
品質のバラツキを小さいものにできる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法をその工程に沿って示す説明図で
ある。
【図2】本発明の記録媒体の構成を示す図である。
【図3】本発明に用いられる記録媒体用基板の一形態の
構成を示す図(A)、及び、記録媒体の一形態の構成を
示す図(B)である。
【図4】本発明で利用可能なSTMの原理を用いた情報
処理装置の一例を示すブロック構成図である。
【図5】プローブ電極と記録媒体表面との距離を変えた
ときに得られた、両者間に流れる電流と両者間に働く力
の変化を示す特性図である。
【図6】記録用のパルス電圧の波形を示す図である。
【図7】消去用のパルス電圧の波形を示す図である。
【図8】本発明に用いたスイッチング−メモリ現象を示
す記録層を一対の金属電極で挟持した素子(MIM素
子)において得られる電流−電圧特性を示す図である。
【図9】本発明に用いたスイッチング−メモリ現象を示
す記録層を一対の金属電極で挟持した素子(MIM素
子)において得られるメモリ効果を表す電流−電圧特性
図である。
【図10】本発明に用いられるグループ付きの記録媒体
用基板の一形態の構成を示す図(A)、及び、記録媒体
の一形態の構成を示す図(B)である。
【符号の説明】
1 第1の基板 2 LB膜 3 水相 4 水面上単分子膜 5 分子 6 親水性基 7 疎水性基 8 第1の液体 9 純水 10 純水相 11 記録媒体用基板 21 記録層 22 記録媒体 31 記録媒体用基板 32 シリコン・ウエハ 33 下部電極 34 記録層 35 記録媒体 41 プローブ電極 42 片持ち梁 43 支持体 44 XYZ微動装置 45 XYZ粗動装置 46 ベース 47 制御回路 48 制御回路 49 電圧印加及び電流検知回路 50 マイクロコンピュータ 421 ティップ 422 導電膜 101 グループ付きシリコン・ウエハ(記録媒体用
基板) 102 記録層 103 記録媒体 104 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 9/14

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査型プローブを介して情報の記録、再
    生を行う情報処理装置に用いる、第1の有機材料から成
    る層とこれを支持する記録媒体用基板で構成される記録
    媒体の製造方法に関し、前記第1の有機材料から成る層
    を一旦第1の基板上に堆積する工程と、係る第1の有機
    材料から成る層を第1の基板から剥離する工程と、剥離
    した第1の有機材料から成る層を前記記録媒体用基板上
    に移設する工程を含むことを特徴とする記録媒体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 走査型プローブを介して情報の記録、再
    生を行う情報処理装置に用いる、第1の有機材料から成
    る層とこれを支持する記録媒体用基板で構成される記録
    媒体の製造方法に関し、前記第1の有機材料の出発物質
    から成る層を第1の基板上に堆積する工程と、係る第1
    の有機材料の出発物質から成る層を第1に基板から剥離
    する工程と、剥離した第1の有機材料の出発物質から成
    る層を前記記録媒体用基板上に移設する工程と、前記第
    1の有機材料の出発物質から成る層に加熱処理及び/又
    は化学処理及び/又は光照射処理を施して、目的の第1
    の有機材料から成る層を前記記録媒体用基板上に得る工
    程を含むことを特徴とする記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 走査型プローブを介して情報の記録、再
    生を行う情報処理装置に用いる、第1の有機材料から成
    る層とこれを支持する記録媒体の製造方法に関し、前記
    第1の有機材料の出発物質からなる層を第1の基板上に
    堆積する工程と、係る第1の有機材料の出発物質から成
    る層に加熱処理及び/又は化学処理及び/又は光照射処
    理を施して、目的の第1の有機材料から成る層を第1の
    基板上に得る工程と、係る第1の有機材料から成る層を
    第1の基板から剥離する工程と、剥離した第1の有機材
    料から成る層を前記記録媒体用基板上に移設する工程を
    含むことを特徴とする記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記記録媒体用基板が記録/再生に必要
    となる電極やトラッキングに必要な構造物等の凹凸を有
    するものであることを特徴とする請求項1〜3記載の記
    録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の基板が、平滑な表面を有する
    ものであることを特徴とする請求項1〜3記載の記録媒
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の基板が、シリコン・ウエハ、
    ガラス、石英、マイカの何れかであることを特徴とする
    請求項1〜3及び5記載の記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1の基板に前記第1の有機材料か
    ら成る層を堆積する手法が、ラングミュア・ブロジェッ
    ト法であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の基板に前記第1の有機材料の
    出発物質から成る層を堆積する手法が、ラングミュア・
    ブロジェット法であることを特徴とする請求項2,3記
    載の記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の有機材料が高分子材料である
    ことを特徴とする請求項1〜3記載の記録媒体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記第1の有機材料の出発物質が第1
    の有機材料の前駆体であることを特徴とする請求項2,
    3記載の記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記第1の有機材料の出発物質が第1
    の有機材料と1又は1以上の種類の第2の有機材料から
    成る混合物であることを特徴とする請求項2,3記載の
    記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第1の有機材料の出発物質が第1
    の有機材料の前駆体と1又は1以上の種類の第2の有機
    材料から成る混合物であることを特徴とする請求項2,
    3記載の記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1の有機材料がポリイミドであ
    り、前記前駆体がポリアミック酸誘導体であることを特
    徴とする請求項10,12記載の記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記加熱処理が、前記混合物から成る
    層に対して、その構成材料の一部を脱着させるものであ
    ることを特徴とする請求項2,3記載の記録媒体の製造
    方法。
  15. 【請求項15】 前記加熱処理が、減圧下若しくは真空
    下で行われることを特徴とする請求項2,3記載の記録
    媒体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記化学処理が、前記混合物から成る
    層に対して、その構成材料の一部を溶解除去するもので
    あることを特徴とする請求項2,3記載の記録媒体の製
    造方法。
  17. 【請求項17】 前記化学処理が、前記第1の有機材料
    の出発物質から成る層に対して、ドーピング操作を行う
    ものであることを特徴とする請求項2,3記載の記録媒
    体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記ドーピング操作が、塩酸ガスの暴
    露、又は塩酸若しくは硫酸への浸漬によって行われるこ
    とを特徴とする請求項17記載の記録媒体の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記剥離した第1の有機材料から成る
    層を前記記録媒体用基板上に移設する工程の後、焼成工
    程を行うことを特徴とする請求項1〜3記載の記録媒体
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 第1の基板を第1の液体中に浸漬させ
    ることによって、第1の基板とその上に堆積せしめた当
    該有機材料からなる層間の接合力を低下させる工程と、
    前記当該有機材料を堆積せしめた基板を第2の液体に浸
    漬し、該第2の液体の液面上に前記を有機材料からなる
    層浮遊させる工程と、前記浮遊した有機材料からなる層
    を記録媒体用基板上に移し取り、該記録媒体用基板上に
    再堆積させる工程と、を具備した請求項1〜3記載の記
    録媒体形成方法。
  21. 【請求項21】 前記第1の液体が界面活性剤を含む水
    溶液であることを特徴とする請求項20記載の記録媒体
    の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記第2の液体が純水であることを特
    徴とする請求項20記載の記録媒体の製造方法。
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