JPH06306233A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH06306233A
JPH06306233A JP10108993A JP10108993A JPH06306233A JP H06306233 A JPH06306233 A JP H06306233A JP 10108993 A JP10108993 A JP 10108993A JP 10108993 A JP10108993 A JP 10108993A JP H06306233 A JPH06306233 A JP H06306233A
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polyvinyl chloride
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政之 山口
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、可塑剤
からなる樹脂組成物であって、ポリウレタンとして架橋
構造を有しており且つ線形領域、引っ張りモードにおけ
る動的粘弾性の温度依存性から得られる損失正接(ta
nδ)がtanδの最大値から見積もられるガラス転移
温度より30℃高い温度において0.3以上の値を有す
るポリウレタンを用いることを特徴とする熱可塑性エラ
ストマー樹脂組成物および該熱可塑性エラストマ−樹脂
組成物からなる振動吸収材料。 【効果】耐圧縮永久歪特性に優れた熱可塑性エラストマ
ーであり、また弾性率の温度変化が小さい振動吸収材と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリウレタンとポリ塩化
ビニルとからなる複合樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリ塩化ビニル系樹脂の耐荷重変
形性、すなわち圧縮永久歪の改良を行う方法として、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t
−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、1,4−テ
トラメチレンジアミン,1,6−ヘキサメチレンジアミ
ン等のジアミン系化合物,硫黄,テトラメチルチュウラ
ムジスルフィド,トリアジンジチオール等の硫黄系化合
物などによる塩化ビニル樹脂の架橋,ジアリルフタレー
ト,架橋性ポリウレタンまたはエポキシ樹脂などの成分
架橋による方法,さらには予め重合時に架橋した架橋塩
化ビニル樹脂または塩化ビニル樹脂と相溶性の良い架橋
NBRを塩化ビニル樹脂にブレンドする方法,水酸基の
ような反応性基を有する塩化ビニル樹脂を用いジイソシ
アネート等により架橋体とする方法などがある。
【0003】これらの方法において、塩化ビニル樹脂に
架橋を行う場合は、容易に圧縮永久歪の良好な組成物を
得ることが可能であるが、反面問題としては、溶融粘度
が著しく増加し、成形加工性に劣る材料となる。他にも
(1)熱安定性に劣り着色しやすい(2)架橋剤の残留
物により臭気が残る(3)架橋度を高くすると所定の硬
度にするのに多量の可塑剤を有する、等の問題がある。
【0004】反応性可塑剤を用いた場合は、ラジカル反
応系であることが多いため、前述と同じ問題が起こる。
【0005】架橋塩化ビニル樹脂又は架橋NBR等を塩
化ビニル樹脂にブレンドする場合は、(1)塩化ビニル
樹脂へのそれらの分散性に関係し、引っ張り強度、伸度
などの物性の低下が著しい(2)硬度の調整のため多量
の可塑剤を要する(3)多量に添加すると成形性が悪く
なる(4)架橋NBR中のブタジエン成分により耐候性
及び耐熱老化性が悪い、等の問題点がある。
【0006】さらに水酸基のような反応性基を有する塩
化ビニル樹脂を用いジイソシアネート等により架橋体と
する方法では、反応性に劣るため、改良効果が少ない。
【0007】近年、塩化ビニル樹脂とポリウレタンとの
複合が注目され、様々な方法が提起されている。例え
ば、ポリウレタンを塩化ビニルモノマー(VCM)に溶
解し、VCMの重合により塩化ビニル樹脂とポリウレタ
ンとの複合体を得る方法、ポリオールの存在下VCMの
重合により水酸基含有塩化ビニル樹脂を製造し、これら
のウレタン化反応により得る方法などがある。
【0008】しかしながら、これらの方法で得た塩化ビ
ニル樹脂とポリウレタンとの複合体は、ゴム弾性に劣
り、これらの特性を必要とする用途には適さない。
【0009】一方で大型射出成形、精密射出成形などに
必要な成形加工性の向上、さらには圧縮永久歪や耐クリ
ープ性などのゴム的性質に対する要望は近年高まる一方
であり、低圧縮永久歪でなおかつ成形加工性に優れた材
料が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は成形加工性を
維持し、圧縮永久歪に優れた熱可塑性エラストマーを提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のよ
うな現状に鑑み、架橋体を形成するポリウレタンの成分
について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】即ち本発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポ
リウレタン、可塑剤からなる樹脂組成物であって、ポリ
ウレタンとして架橋構造を有しており、且つ線形領域、
引っ張りモードにおける動的粘弾性の温度依存性から得
られる損失正接(tanδ)がtanδの最大値から見
積もられるガラス転移温度より30℃高温において0.
3以上の値を有するポリウレタンを用いることを特徴と
する熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。以下に
本発明の詳細を記述する。
【0013】本発明で用いるポリ塩化ビニル系樹脂と
は、塩化ビニル単独重合樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、
塩化ビニル単量体と共重合し得るすべての単量体のうち
1つ以上とランダム共重合あるいはブロック共重合して
得られる塩化ビニル共重合樹脂(例えば酢酸ビニル−塩
化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体
等)、また上記の樹脂に水酸基などの官能基をグラフト
させて得られる樹脂やこうした官能基と反応性化合物を
反応せしめグラフト結合させた樹脂で、上記樹脂の単品
あるいは2種類以上の混合物である。
【0014】ポリ塩化ビニル系樹脂の重合度は特に限定
はないが成形加工性の点から400以上8000以下、
より好ましくは500以上5000以下、さらに好まし
くは800以上4000以下が望ましい。また、上記の
範囲の重合度を有するポリ塩化ビニル系樹脂に任意の分
子量を有すポリ塩化ビニル系樹脂をブレンドしてもよ
い。
【0015】本発明で用いるポリウレタンは多官能イソ
シアネート化合物とポリマーポリオールからなる架橋型
のポリウレタンであり、線形領域、引っ張りモードにお
ける動的粘弾性の温度依存性から測定される損失正接
(tanδ)が、tanδの最大値から見積もられたガ
ラス転移温度よりも30℃高い温度で0.3以上の値を
有していなくてはならない。0.3未満の値であるとポ
リ塩化ビニル系樹脂への分散性が不良となり好ましくな
い。この現象を以下に記述する。
【0016】架橋構造を有した材料は加硫ゴムに代表さ
れるように一旦架橋してしまうと成形加工ができなくな
る。しかしながら非常に緩やかに架橋を施した材料は一
旦、冷凍粉砕などによって微細化しても、架橋体から成
長した長い側鎖の働きによって再び成形加工することが
可能となる。こうして再び成形加工して得られた材料
は、ガラス転移温度以上の温度においても架橋体から成
長した長い側鎖同志の絡み合い、もしくは長い側鎖と他
の架橋体との絡み合いが解けるのに有する時間(以後、
最長緩和時間と呼ぶ)が長時間領域に存在するため、比
較的強度などに代表される物理的性質を損なうことがな
い材料になる。尚、ここで表現している長い側鎖とは弾
性に寄与しない片末端自由な分子鎖のうち、分子鎖の絡
み合い点間分子量以上の分子量を有したものを指してい
る。この様な現象はFerry、J.D.らによって詳
しく研究されており(Ferry,J.D.”Visc
oerastic Properties of Po
lymers”3rd Ed.,John Wiley
& Sons,Inc.(1980)p.419)、
de Gennesによって末端鎖のReptatio
n運動として分子論からも説明されている。
【0017】(de Gennes ”Scaling
Concepts in Polymer Phys
ics”,Cornell Univ.Press,
(1979),p.232) さて、このような長時間緩和を有している長い側鎖の存
在は緩和時間分布を測定することで評価可能である。緩
和時間分布の測定は様々な方法で行うことができる。例
えば動的粘弾性測定に代表される力学緩和、さらには誘
電緩和、磁気緩和などが挙げられ、また、力学的に強制
振動させた分子鎖の配向の様子を光学系を用いて測定す
ることも可能である。我々はこの様子を動的粘弾性の引
っ張りモードにおける温度分散から評価した。この様な
測定においては長時間側の緩和モードは高温側に出現
し、損失正接(tanδ)の大きさとして評価すること
ができる。即ち、平均的な緩和時間を有した分子鎖の緩
和は(主に、架橋を形成している弾性に寄与する網目分
子の緩和であるが)材料が有するガラス転移温度とみな
すことができ、tanδの最大値として評価され、長い
側鎖の緩和はガラス転移温度より高温側のtanδの大
きさとして評価される。ここでtanδの値が大きいほ
ど長い側鎖の緩和が強く現れていると考えて良い。理想
的な完全架橋体(弾性に寄与しない長い側鎖を持たない
もの)はガラス転移温度を超えた温度域でのtanδは
通常0.1以下である。この様な材料は、一旦粉々に粉
砕されると再び成形加工することはできない。我々の検
討によれば前述したような動的粘弾性の測定においてガ
ラス転移温度よりも30℃高い温度においてtanδが
0.3以上であると一旦、架橋体を粉砕しても再び成形
することが可能であることがわかった。
【0018】この様な成形加工可能な緩やかな架橋体を
単独で使用しても熱可塑性エラストマーとして使用する
ことが可能であるが強度的には十分といえず、また成形
加工性も可能であるものの著しく悪い材料である。そこ
で我々はこの様な緩やかな架橋を施したウレタンゲルに
ウレタンとの相溶性が良好であるポリ塩化ビニル系樹脂
をブレンドし強度の向上を図り、さらに可塑剤を添加す
ることで成形加工性の優れた材料が得られることを見出
した。また、この様なウレタンゲルを用いることによっ
て従来までポリ塩化ビニル系樹脂にブレンドすることが
可能なウレタンゲルの量を極端に向上することができ、
その結果、架橋ゴム的な性質を示す耐圧縮永久歪特性が
著しく向上した組成物が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。ちなみに、長い側鎖を有していな
い架橋体は架橋体がポリウレタンの場合、ポリウレタン
と相溶性に優れているとされているポリ塩化ビニル系樹
脂とのブレンドにおいてさえ、ポリウレタンを多量にブ
レンドすることが困難となる。これはポリ塩化ビニル系
樹脂とポリウレタンとの絡み合い、もしくはポリウレタ
ン同志の絡み合いが殆ど形成されにくいことに起因して
いる。
【0019】本発明の組成物を構成するポリ塩化ビニル
系樹脂とポリウレタンの比率には特に限定はないが、よ
り耐圧縮永久歪特性を向上させるためにはポリ塩化ビニ
ル系樹脂100重量部に対してポリウレタンを100重
量部以上、好ましくは120重量部以上用いることが望
ましい。また、コストパフォーマンス、成形加工性等の
点からポリウレタンの添加量はポリ塩化ビニル系樹脂1
00重量部に対して好ましくは900重量部以下、より
好ましくは600重量部以下とすることが望ましい。
【0020】本発明の組成物を構成するポリウレタンの
材料として用いられるポリマーポリオールは前述したよ
うにポリ塩化ビニル系樹脂と相溶性が優れているものが
望ましく、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクト
ンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ひまし油
系ポリオール、ケン化EVA(エチレンー酢ビ共重合
体)などが挙げられる。尚、ここで示したポリエステル
ポリオールには例えばジエチレングリコールとアジピン
酸の縮合重合から得られるようなエーテルエステル型の
ポリエステルポリオールも含まれるし、トリメチロール
プロパン等によって多官能化したポリエステルポリオー
ルも含まれる。また、ここで用いられるポリマーポリオ
ールの分子量は取扱い上の簡便さや、長い側鎖を有効に
与える目的から300以上10000以下、好ましくは
500以上8000以下であることが望ましい。
【0021】本発明の組成物を構成するtanδがガラ
ス転移温度より30℃高い温度で0.3を超えるポリウ
レタンを得るためにはイソシアネートインデックス(水
酸基の数/イソシアネート基の数)を制御するとよい。
具体的には1分子あたりの平均官能基数が3.6個のイ
ソシアネート化合物とポリマージオールを材料とする場
合、イソシアネートインデックスは0.3以上0.8未
満、好ましくは0.4以上0.75以下が良い。0.3
未満であるとゴム的な性質を発現することが困難にな
り、0.8以上であると測定温度域でtanδは0.3
未満となり、弾性に寄与しない長い側鎖の存在が少なく
なるためポリ塩化ビニル系樹脂とブレンドした場合、分
散不良を起こすことがある。ただし、ここで示したイソ
シアネートインデックスはイソシアネート化合物の平均
官能基数、さらにはポリマーポリオールの平均官能基数
などによって得られる材料の性質が大きく変化するし、
ポリオールの分子量によって絡み合い点間分子量以上の
分子量を有する長い側鎖の形成に差が生じるため、使用
する材料の官能基数、分子量に応じて適宜調整していく
必要がある。
【0022】本発明において用いられるポリウレタンを
得るための材料であるイソシアネート化合物は特に限定
を受けない。
【0023】例えば、2,4−及び2,6−トリレンジ
イソシアネート、m−及びp−フェニレンジイソシアネ
ート、1−クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メチレンビ
スフェニレン4,4’−ジイソアネート、m−及びp−
キシレンジイソアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビ
スシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
ト等のジイソシアネートの3量体、1,6,11−ウン
デカントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシ
アネート、4−イソシアネートメチル−1,8−オクタ
メチルジイソシアネート等のトリイソシアネート類もし
くはポリフェニルメタンポリイソシアネート等の多官能
イソシアネート類が挙げられ、これらの1種または2種
以上が使用される。また、上記のジイソシアネート類を
併用することも可能である。
【0024】また、本発明において可塑剤を添加するこ
とは成形加工性を向上する目的で重要である。本発明で
用いることができる可塑剤としては、例えば、フタル酸
ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(D
OP)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデ
シル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸オクチルデシ
ル、フタル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ−2−エ
チルヘキシル等のフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ−2
−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジ−n−デシ
ル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、セ
バシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族エステル
系可塑剤、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット
酸トリデシル、等のピロメリット酸系可塑剤、リン酸ト
リブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸2
−エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリクレジル等の
リン酸エステル系可塑剤、エポキシ系大豆油などのエポ
キシ系可塑剤、塩素化パラフィン、ポリエステル系高分
子可塑剤に代表される高分子可塑剤、ガラス転移温度が
ポリ塩化ビニル系樹脂より低く且つポリ塩化ビニル系樹
脂に対して可塑化能力を有した高分子量化合物等が挙げ
られ、これらの1種、または2種以上が使用できる。
【0025】上記の可塑剤は目的に応じて適宜選択され
る。例えば、耐熱性、非移行性の改良には高分子量可塑
剤を用いたらよく、耐油性の向上のためにはジブチルジ
グリコールアジペート等を用いたらよい。また、流動性
を向上させるためにはアジピン酸エステル系可塑剤、セ
バシン酸エステル系可塑剤を添加するとよい。
【0026】可塑剤の添加量はポリ塩化ビニル系樹脂1
00重量部に対して10重量部以上200重量部以下、
好ましくは25重量部以上150重量部以下であること
が望ましい。10重量部未満であると成形加工性を損な
うことがあり、200重量部を超えるとブリードアウト
を発生する可能性がある。
【0027】本発明によるポリ塩化ビニル系樹脂組成物
には、その性能を極端に低下させない程度にポリ塩化ビ
ニル樹脂に通常添加される炭酸カルシウム、タルク等に
代表される無機充填材、三酸化アンチモンやホウ酸亜鉛
に代表される難燃剤、部分架橋ポリ塩化ビニル、部分架
橋アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)などの
改質剤、アクリル系樹脂に代表される加工助剤、金属
塩、ハイドロタルサイト等に代表される熱安定剤を必要
に応じて添加することができる。また、振動吸収材にし
ばしば添加されるマイカ等を添加することも可能であ
る。また、本樹脂組成物を他の樹脂へブレンドする事も
可能である。この場合、第3成分として本樹脂組成物と
他の樹脂との相溶化剤を併用することも可能である。
【0028】本発明の樹脂組成物の製造方法としては例
えば、予め作成したポリウレタンを冷凍粉砕などによっ
て細かく砕いた後、ポリ塩化ビニル系樹脂、可塑剤とブ
レンドする方法などが挙げられ、この場合、ブレンドせ
しめる為としてはロール、バンバリーミキサー、押出し
機などの装置が用いられる。更に、予め作成したポリウ
レタンをロール混練機等によってシート状にしたのち、
ポリ塩化ビニル系樹脂、可塑剤とブレンドする方法によ
っても本発明の樹脂組成物を得ることができる。
【0029】この様にして得られた樹脂組成物は圧縮永
久歪に優れた熱可塑性エラストマーとなる。また、ここ
で用いるポリウレタン、可塑剤を操作することによって
弾性率変化の少ない振動吸収材を提供することも可能で
ある。これは弾性率が著しく変化するガラス転移温度よ
りも高温側で大きなtanδを有していることに起因す
る。tanδの大きな材料は振動などによって与えられ
た力学的エネルギーを熱エネルギーに変換し散逸するた
め振動吸収性能を有している。また、一般的にtanδ
が大きな値をとるのはガラス転移温度付近であり、ここ
では弾性率変化が激しいため、材料としては不適である
が、ここで得られた熱可塑性エラストマ−はガラス転移
温度より高い温度域(ゴム状領域:弾性率変化の少ない
領域)でも大きなtanδを有しているため好適な振動
吸収材となる。なお、振動吸収材として用いる場合、使
用する温度、周波数領域において性能を発揮させるため
可塑材やポリマーポリオールの構造を選択し、ガラス転
移温度を調整することが可能である。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】実施例1 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を
縮合重合して得られるポリエステルポリオール((株)
クラレ製、商品名クラポ−ルP2010、数平均分子量
2000)100重量部とイソシアネート化合物として
ヘキサメチレンジイシシアネートのイソシアヌレート変
性体(多官能型イソシアネート化合物、平均官能基数
3.6個/1分子)(日本ポリウレタン(株)製、商品
名コロネートHX)12.9重量部(NCO/OH(イ
ソシアネートインデックス)=0.65)、さらには触
媒としてDBTDL(ジブチル錫ジラウレート)26.
7PPMを混ぜ合わせ120℃のオーブン中、2時間放
置してポリウレタンを作成した。このサンプルから厚さ
0.5mm、幅5mm、長さ25mmの短冊型の試験片
を切り抜き動的粘弾性測定用のサンプルとした。またこ
れとは別に得られたポリウレタンを表面温度を50℃に
設定したロール混練機にてシートとして複合体の材料と
した。
【0032】こうして得られたポリウレタンシート50
0gを表面温度150℃に設定したエチレン−塩化ビニ
ル共重合体(リュ−ロンE−2800,平均重合度:2
750、東ソ−(株)製)100g、安定剤としてステ
アリン酸バリウム2g、ステアリン酸亜鉛1g、アミン
補足剤として日産フェロ有機化学(株)製商品名BP−
331、1.5g、ジ−2エチルヘキシルフタレート
(DOP)67gを仕込み混練した。混練時間は15分
とした。
【0033】混練終了後、得られた複合体をロール成形
機にかけシートにしたのち、JISK6301圧縮永久
歪用に厚みが12.70±0.13mmとなるように、
プレス成形した。
【0034】実施例2 実施例1において用いたポリエステルポリオールの代わ
りに同一組成を有した数平均分子量が500であるポリ
エステルポリオール((株)クラレ製、商品名クラポー
ルP510)100重量部、イソシアネート化合物を5
2.0重量部(NCO/OH=0.65)にする以外は
同様の操作によって目的の組成物を得た。
【0035】実施例3 実施例1において用いたポリエステルポリオールの代わ
りに同一組成を有した数平均分子量が4000であるポ
リエステルポリオール((株)クラレ製、商品名クラポ
ールP4010)100重量部、イソシアネート化合物
を6.6重量部(NCO/OH比=0.65)にする以
外は同様の操作によって目的の組成物を得た。
【0036】実施例4 実施例1において用いたポリエステルポリオールの代わ
りに1,4−ブタンジオールとアジピン酸の縮合重合に
よって得られたポリエステルポリオール(日本ポリウレ
タン(株)製、ニッポラン4010、数平均分子量20
00)を100重量部、イソシアネート化合物を12.
6重量部(NCO/OH比=0.65)にする以外は同
様の操作によって目的の組成物を得た。
【0037】実施例5 実施例1において表面温度が150℃のロール成形機に
投入するポリウレタンを200g、ポリ塩化ビニル系樹
脂を100g、可塑剤を100gにする以外は同様の操
作によって目的の組成物を得た。
【0038】実施例6 実施例3においてポリエステルポリオールを100重量
部、イソシアネート化合物を5.5重量部(NCO/O
H比=0.55)にする以外は同様の操作によって目的
の組成物を得た。
【0039】実施例7 実施例3においてポリエステルポリオールを100重量
部、イソシアネート化合物を7.2重量部(NCO/O
H比=0.70)にする以外は同様の操作によって目的
の組成物を得た。
【0040】実施例8 実施例3において用いたポリエステルポリオールを50
重量部、さらに同一組成を有し,トリメチロールプロパ
ンで3官能化した3官能性ポリエステルポリオール
((株)クラレ製、商品名クラポールF3010、数平
均分子量3000)50重量部、イソシアネート化合物
を15.1重量部(NCO/OH比=0.5)にする以
外は同様の操作によって目的の組成物を得た。
【0041】比較例1 実施例1においてポリウレタンを用いない以外は同様の
操作により生成物を得た。
【0042】比較例2 実施例1において用いたポリエステルポリオールを10
0重量部、イソシアネート化合物を13.4重量部(N
CO/OH=0.85)にし、ポリウレタンを作成し、
動的粘弾性測定用のサンプルを切り出した。またこれと
は別に得られたポリウレタンを表面温度50℃のロール
成形機にてシート状にしようとしたが不可能であったの
で、ロール成形機によってポリウレタンを細かく砕き、
複合体の材料とした。こうして得られたポリウレタンを
500g、その他の組成物と配合量は実施例1と同様に
して表面温度150℃に設定したロール成形機でブレン
ドを試みた。
【0043】比較例3 実施例3において用いたポリエステルポリオール100
重量部とイソシアネート化合物を10重量部(NCO/
OH=1.0)にする以外は比較例2と同様の方法によ
って組成物を得た。
【0044】比較例4 比較例1においてDOPを100gとした以外は同様の
操作により、組成物を作成した。
【0045】(圧縮永久歪の評価)JISK6301に
従い測定した。初期歪は25%、温度は70℃,22時
間経過後、歪を開放し、残留歪を測定した。
【0046】(動的粘弾性の測定)非共振型強制振動法
に基づく測定装置である粘弾性測定アナライザーRSA
II(レオメトリックス・ファーイースト社)を用いて測
定周波数10Hz、測定モード:引っ張り、昇温速度:
2℃/minで動的粘弾性の温度依存性を測定した。
尚、与えた歪は0.1%以下の線形領域で行った。この
測定において損失正接(tanδ)、貯蔵弾性率
(E’)を測定した。その結果を表1に示すが、表1で
はガラス転移温度はポリウレタンのtanδが最大値と
なる温度を示し、これより30℃高温側でのtanδも
併せて記載した。
【0047】
【表1】
【0048】振動吸収材としての効果を評価する目的と
して動的粘弾性の測定を行った。測定は実施例1,比較
例4の組成物を厚さ0.5mm、幅5mm、長さ25m
mの短冊型のシートにプレス成形し、動的粘弾性測定用
の試料として行い測定条件は上記のとおりとした。その
結果を図1及び図2に示す。
【0049】表1に示す実測値から明らかなように、本
発明により得られた複合体は、圧縮永久歪に優れた熱可
塑性エラストマーとなる。また、図2に示す振動吸収材
としての評価結果より、本発明で得られた複合体はガラ
ス転移温度を超えた温度域でも振動吸収性能の目安であ
るtanδの値が比較的大きく、弾性率の温度依存性が
少ない振動吸収材としても優れていることがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように本発明の樹脂組成物は
耐圧縮永久歪特性に優れた熱可塑性エラストマーとな
り、また弾性率の温度変化が小さい振動吸収材であるこ
とがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により製造した本発明の樹脂組成物の
動的粘弾性の測定結果を示す図である。
【図2】比較例4により製造した樹脂組成物の動的粘弾
性の測定結果を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、可
    塑剤からなる樹脂組成物であって、ポリウレタンとして
    架橋構造を有しており且つ線形領域、引っ張りモードに
    おける動的粘弾性の温度依存性から得られる損失正接
    (tanδ)がtanδの最大値から見積もられるガラ
    ス転移温度より30℃高い温度において0.3以上の値
    を有するポリウレタンを用いることを特徴とする熱可塑
    性エラストマー樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の熱可塑性エラストマ−樹
    脂組成物からなる振動吸収材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5929153A (en) * 1994-12-15 1999-07-27 Tosoh Corporation Vinyl chloride-based polymer-polyurethane composite and method of producing the same
JP2013040310A (ja) * 2011-08-19 2013-02-28 Polymatech Co Ltd ウレタン系熱可塑性エラストマー組成物および外装部品

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