JP3391068B2 - 耐寒性材料 - Google Patents
耐寒性材料Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリウレタン、ポリ塩化
ビニル及び可塑剤を含む複合樹脂組成物からなる耐寒性
材料に関するものであり、本材料はゴム的な性質を損な
うことなく耐寒性の要求されるチューブ、ホース、パッ
キン、シール材、自動車外装部材、土木、建築材料、ス
ポーツ用品等に利用される得る材料である。 【0002】 【従来の技術】従来、ポリ塩化ビニル系樹脂の耐寒性を
改良するためには可塑剤を添加することでこれを改良し
てきた。しかしながら可塑剤を多量に添加すると共にガ
ラス転移温度、脆化温度に代表される耐寒性は向上する
が、あまり多量に添加すると可塑剤のブリードが生じ問
題があった。また、圧縮永久歪に代表される耐荷重変形
性は余り好ましいものでなく改良が望まれていた。圧縮
永久歪の改良には部分架橋NBR(アクリロニトリル−
ブタジエンゴム)のブレンドが古くから知られている方
法であるが本材料はガラス転移温度が高く耐寒性を要求
される用途への使用は限定されたものになっている。 【0003】さらに架橋PVCの使用も圧縮永久歪の向
上には若干ながら効果があるものの耐寒性を要求される
部材へ使用するには可塑剤を多量に添加する必要があ
り、そのため可塑剤のブリードの点から改良が望まれて
いた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は圧縮永久歪に
優れた耐寒性材料を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のよう
な現状に鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。 【0006】即ち本発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂
(1)、水酸基を2個以上有するポリマーポリオールと
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変
性体とをウレタン化反応せしめて得られるポリウレタン
(2)及び可塑剤(3)からなる樹脂組成物であって、
透過型電子顕微鏡観察で海−島型の相分離構造が観察さ
れ、且つ該分離構造の島の部分であるポリウレタン分散
相のサイズが0.01ミクロン以上500ミクロン以下
であり、ポリウレタン(2)の線形粘弾性測定における
引張弾性率が20℃から70℃の範囲において7×10
6dyne/cm2以上8×107dyne/cm2以下で
あり、ポリ塩化ビニル系樹脂(1)100重量部に対し
て可塑剤(3)としてアジピン酸系可塑剤を10重量部
以上80重量部以下含む樹脂組成物からなる耐寒性材料
である。以下に本発明の詳細を記述する。 【0007】本発明で用いるポリ塩化ビニル系樹脂
(1)とは、塩化ビニル単独重合樹脂、塩素化塩化ビニ
ル樹脂、塩化ビニル単量体と共重合し得るすべての単量
体のうち1つ以上の単量体とランダム共重合あるいはブ
ロック共重合して得られる塩化ビニル共重合樹脂(例え
ば酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビ
ニル共重合体等)、また上記の樹脂に水酸基などの官能
基をグラフトさせて得られる樹脂やこれら官能基と反応
性化合物を反応せしめグラフト結合させた樹脂等であ
り、上記樹脂の単品あるいは2種類以上の混合物であ
る。 【0008】ポリ塩化ビニル系樹脂(1)の重合度は特
に限定はなく成形加工性の点から400以上8000以
下、より好ましくは500以上5000以下、さらに好
ましくは800以上4000以下である。また、上記の
範囲の重合度を有するポリ塩化ビニル系樹脂に任意の分
子量を有すポリ塩化ビニル系樹脂をブレンドしてもよ
い。 【0009】本発明で用いるポリウレタン(2)は線形
粘弾性測定における引張弾性率が20℃から70℃の範
囲において7×106dyne/cm2以上8×107d
yne/cm2以下、より好ましくは1×107dyne
/cm2以上7×107dyne/cm2以下のものが用
いられ、このようなポリウレタンを用いることにより本
発明の材料の圧縮永久歪が向上する。 【0010】また、本発明の材料の圧縮永久歪特性をさ
らに向上させるためには用いるポリウレタン(2)単独
での圧縮永久歪が40以下、より好ましくは35以下で
あることが好ましい。なおここでいう圧縮永久歪とは、
JISK6301圧縮永久歪の方法に従い測定した値で
あり、測定温度は70℃、歪を与える時間は22時間と
する。 【0011】また、ポリウレタン(2)は水酸基を2個
以上有するポリマーポリオールとヘキサメチレンジイソ
シアネートのイソシアヌレート変性体とをウレタン化反
応せしめて得られるポリウレタンであり、ポリウレタン
(2)は網目構造を有したポリウレタンを用いることが
本発明の材料の圧縮永久歪を改良する点から有効であ
る。即ち、ポリウレタン(2)のテトラヒドロフラン
(THF)のような良溶媒中でのTHF溶解分が10%
以下のものを用いることが望ましい。 【0012】さらに本発明の材料の圧縮永久歪を向上さ
せるためには70℃における分散相の圧縮弾性率に対す
るマトリクス相の圧縮弾性率の比を0.4以上1.8以
下とすることが望ましい。 【0013】また、本発明の材料の引張強度を向上させ
るためには用いるポリ塩化ビニル系樹脂(1)との相溶
性に優れているポリウレタン(2)を用いることが好ま
しい。この様なポリウレタン(2)としてはポリエステ
ル系ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポリウレタ
ン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ジエチレングリ
コールに代表されるエーテル系ジオールとジカルボン酸
をエステル結合して得られる化合物を主成分としたエー
テルエステル系ポリウレタンさらにはセルロースに代表
される水酸基を有した天然有機化合物やケン化EVA
(エチレン−酢ビ共重合体)に代表される水酸基を有し
た合成有機化合物とイソシアネート化合物がウレタン反
応してなる化合物などが挙げられる。これらのうち特に
ポリエステル系ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポ
リウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、エステ
ルエ−テル系ポリウレタンを使用することにより本発明
の材料の耐寒性は顕著に向上するので好ましい。 【0014】また、本発明の材料中のポリウレタン
(2)のイソシアネートインデックス(イソシアネート
基の数/水酸基の数)を制御することも可能である。一
般にポリウレタンは水酸基を有する化合物とイソシアネ
ート基を有する化合物との重付加反応によって得られる
が各々の化合物が有する官能基の数は決まっておらず様
々なものがある。例えばケン化EVA(エチレン−酢酸
ビニル強重合体)などは1つの分子中にたくさんの水酸
基を含んいるため、イソシアネート化合物との反応によ
って生じるゲル化点はかなり低いイソシアネートインデ
ックスになる。このように用いる化合物の官能基の数に
よって最適なイソシアネートインデックスの一義的な決
定は困難であるが0.6以上1.2以下であることが望
ましく、この範囲とすることによりベタつく感触あるい
は材料の黄色化が防止される。 【0015】また、用いるポリウレタン(2)をポリマ
ーポリオールとイソシアネート基を3個以上有した化合
物とをウレタン反応せしめて得る場合、該ポリウレタン
の成分の1つであるポリオールの分子量は特に限定を受
けないが、平均分子量300以上5000以下のポリマ
ーポリオールを用いることにより得られる材料は成形加
工性に優れたものとなり好ましい。 【0016】本発明において用いるポリ塩化ビニル系樹
脂(1)とポリウレタン(2)の比率は特に限定はない
が、得られる材料の圧縮永久歪特性を向上させるために
はポリ塩化ビニル系樹脂(1)100重量部に対してポ
リウレタン(2)を20重量部以上、好ましくは30重
量部以上、さらには45重量部以上とすることが望まし
い。またコストパフォーマンスの点からポリウレタン
(2)の添加量はポリ塩化ビニル系樹脂(1)100重
量部に対して好ましくは900重量部以下、より好まし
くは300重量部以下、さらには150重量部以下とす
ることが望ましい。 【0017】また、本発明の材料には可塑剤(3)とし
てアジピン酸系可塑剤を添加せねばならない。アジピン
酸系可塑剤はコストパフォーマンス、耐寒性の向上の点
から最も有効な可塑剤であり本可塑剤を用いないで耐寒
性を向上しようとするとコストパフォーマンス及びブリ
ードアウトの点から望ましくない。特にアジピン酸ジ−
2−エチルヘキシルはコストパフォーマンスの点から最
も好ましく使用される。この可塑剤(3)の添加量はポ
リ塩化ビニル系樹脂(1)100重量部に対して10重
量部以上80重量部以下、より好ましくは20重量部以
上50重量部以下である。添加量が10重量部未満であ
ると可塑剤(3)による耐寒性向上の効果が乏しく、8
0重量部を超えると可塑剤(3)がブリードアウトする
ことがある。 【0018】また、本発明の材料において他の可塑剤を
併用してもよく、耐寒性向上の観点からは、更に他の可
塑剤と併用することが望ましい。この場合他の可塑剤と
しては、例えばフタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−
2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ−n−オク
チル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソオクチ
ル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、
イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可
塑剤、ポリエステル系高分子量可塑剤、エポキシ化大豆
油、塩素化パラフィン等が挙げられ、これらの1種また
は2種以上が使用できる。 【0019】本発明の材料には、その性能を極端に低下
させない程度にポリ塩化ビニル樹脂に通常添加される炭
酸カルシウム、タルク等に代表される無機充填材、三酸
化アンチモンやホウ酸亜鉛に代表される難燃剤、部分架
橋ポリ塩化ビニル、部分架橋アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR)などの改質剤、アクリル系樹脂に代
表される加工助剤を必要に応じて添加することができ
る。また、ポリウレタンに通常添加されるカルボジイミ
ドに代表される耐加水分解抑制剤、塩素系、窒素系、銀
−ゼオライト系に代表される防黴剤、UV安定剤などを
必要に応じて添加することも可能である。さらに本材料
を他の樹脂へブレンドして他の樹脂の耐寒性を向上せし
めることも可能である。この場合、第3成分として本発
明材料と他の樹脂との相溶化剤を併用することも可能で
ある。 【0020】本発明の材料の製造方法は特に限定され
ず、任意の方法を採用することができる。具体的には以
下の方法が例示される。(A)ポリウレタン(2)を冷
凍粉砕などによって細かく砕いた後、ポリ塩化ビニル系
樹脂(1)とブレンドする方法。この場合、ブレンドせ
しめる為に使用する装置は任意でありロール、バンバリ
ーミキサー、押出し機などが挙げられる。(B)テトラ
ヒドロフラン(THF)などの溶媒中にポリ塩化ビニル
系樹脂(1)とポリオール、イソシアネート化合物を添
加し溶媒中でウレタン反応を生じせしめた後、溶媒を蒸
発させる方法。(C)ポリ塩化ビニル系樹脂(1)、可
塑剤(3)、ポリマーポリオール、イソシアネート化合
物を剪断力下、加熱溶融して複合材料を得る方法。特に
上記(C)の方法を用いることにより本発明の材料は引
張り強さに代表される強度が向上するので好ましい。 【0021】さらに本発明の材料は、OsO4のような
染色剤にて染色後、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観
察した際、海−島型の相分離構造を有しており、且つ、
島の部分であるポリウレタン分散相の大きさが0.01
ミクロン以上500ミクロン以下でなくてはならない。
分散相の大きさがこの範囲をこえると本発明の材料の成
形加工性は著しく低下する。 【0022】なお、成形加工性を向上させる場合には分
散相の大きさについては、好ましくは0.03ミクロン
以上400ミクロン以下、さらには0.05ミクロン以
上300ミクロン以下とすることが望ましい。 【0023】本発明の材料の成形方法としては押出し成
形、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、プレス成
形など通常の熱可塑性樹脂に用いることのできる成形法
によって成形できる。そしてこのようにして得られた成
形品は圧縮永久歪に優れ、且つ耐寒性に優れたものとな
る。 【0024】 【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0025】実施例1 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を
縮合重合して得られるポリエステルポリオール((株)
クラレ製、商品名クラポ−ルP2010、数平均分子量
2000)80重量部とヘキサメチレンジイシシアネー
トのイソシアヌレート変性体(3官能型イソシアネート
化合物)(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネー
トHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.8
5)、さらには触媒としてDBTDL(ジブチル錫ジラ
ウレート)26.7PPMを混ぜ合わせ120℃のオー
ブン中、2時間放置してポリウレタンを作製した。この
サンプルから厚さ0.5mm、幅5mm、長さ25mm
の短冊型の試験片を切り抜き動的粘弾性測定用のサンプ
ルとした。またこれとは別に得られたポリウレタンを冷
凍粉砕にて細かく砕き複合体の材料とした。 【0026】こうして得られたポリウレタン微粉末を内
容積1700cc、ケーシング温度150℃のバンバリ
ーミキサーに93.4重量部投入し、さらには懸濁重合
法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(リュ
−ロンE−2800,平均重合度:2750、東ソ−
(株)製)100重量部、安定剤としてステアリン酸バ
リウム2部、ステアリン酸亜鉛1部、アミン補足剤(日
産フェロ有機化学(株)製商品名BP−331)1.5
部、ジ−2エチルヘキシルフタレート(DOP)50重
量部、ジオクチルアジペート(DOA)50重量部を仕
込み一定回転速度で撹拌し、15分間混練して組成物を
得た。 【0027】混練終了後、得られた組成物をロール成形
機にかけシートにしたのち、JISK6301圧縮永久
歪用に厚みが12.70±0.13mmとなるように、
プレス成形した。また、脆化温度測定用に2mmのシー
トに押出し成形した。押出し温度は180℃とした。 【0028】実施例2 DOPを70重量部、DOAを30重量部用いた以外は
実施例1と同様の操作によって目的の組成物を得、これ
を成形した。 【0029】実施例3 DOPを70重量部,DOAを30重量部用い,さらに
高分子量可塑剤としてポリエステル系高分子量可塑剤
(旭電化工業(株)製、商品名アデカサイザーPN28
0)を30重量部用いた以外は実施例1と同様の操作に
よって目的の組成物を得、これを成形した。 【0030】実施例4 冷凍粉砕後のポリウレタンをバンバリーミキサーに75
重量部添加した以外は実施例1と同様の操作によって目
的の組成物を得、これを成形した。 【0031】実施例5 冷凍粉砕後のポリウレタンをバンバリーミキサーに12
5重量部添加した以外は実施例1と同様の操作によって
目的の組成物を得、これを成形した。 【0032】実施例6 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸と1,9−ノ
ナンジオールを縮合重合して得られるポリエステルポリ
オール((株)クラレ製、商品名クラポールPNA20
00、数平均分子量2000)を用いた以外は実施例1
と同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形し
た。 【0033】実施例7 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸と2−メチル
1,8−オクタンジオールを縮合重合して得られるポリ
エステルポリオール((株)クラレ製、商品名クラポー
ルPNOA2010、数平均分子量2000)を用いた
以外は実施例1と同様の操作によって目的の組成物を
得、これを成形した。 【0034】実施例8 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸、ブタンジオ
ール及びエチレングリコールを縮合重合して得られるポ
リエステルポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商
品名ニッポラン4042、数平均分子量2000)を用
いた以外は実施例1と同様の操作によって目的の組成物
を得、これを成形した。 【0035】実施例9 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸とブタンジオ
ールを縮合重合して得られるポリエステルポリオール
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン401
0、数平均分子量2000)を用いた以外は実施例1と
同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形し
た。 【0036】実施例10 ポリエステルポリオールとしてβ−メチル−δ−バレロ
ラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンポ
リオール((株)クラレ製、商品名クラポールL201
0、数平均分子量2000)を用いた以外は実施例1と
同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形し
た。 【0037】実施例11 ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体を16.1重
量部(NCO/OH比=1.02)用いた以外は実施例
9と同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形
した。 【0038】実施例12 ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体を20.1重
量部(NCO/OH比=1.27)用いた以外は実施例
9と同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形
した。 【0039】実施例13 バンバリーミキサーの代わりに表面温度を150℃に設
定したロール成形機を用いて15分間混練することによ
ってブレンドした以外は実施例1と同様の方法で目的の
組成物を得、これを成形した。 【0040】実施例14 エチレンー塩化ビニル共重合体の代わりにポリ塩化ビニ
ル樹脂(信越高重合度PVC TK−2500W、平均
重合度:4500、信越化学工業(株)製)を用いた以
外は実施例1と同様の操作によって目的の組成物を得、
これを成形した。 【0041】比較例1 ポリウレタンを用いなかった以外は実施例1と同様の操
作により組成物を得、これを成形した。 【0042】比較例2 バンバリーミキサーに実施例1で用いたポリ塩化ビニル
系樹脂を438g、安定剤としてステアリン酸バリウム
12g、及びステアリン酸亜鉛5.4g、アミン補足剤
(日産フェロ有機化学(株)製商品名BP−331)
7.5gを仕込み一定回転速度で撹拌した。又これとは
別に、予め70℃に保温しておいたポリマーポリオール
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン406
7、数平均分子量2000)350gとDOP219
g、DOA219gを混合し、これにヘキサメチレンジ
イソシアネートの3量体58.6g(NCO/OH比=
0.85)、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.0
3gを仕込み、1分間混合した後バンバリーミキサー投
入口より流し入れた。反応及び混合時間はこれより15
分間行い、組成物を得た。 【0043】反応終了後、得られた組成物をロール成形
機にかけシートにしたのち、JISK6301圧縮永久
歪用に厚みが12.70±0.13mmとなるように、
プレス成形した。また、脆化温度測定用に2mmのシー
トに押出し成形した。押出しの温度は180℃とした。 【0044】比較例3 DOAを用いずにDOPを100重量部用いた以外は実
施例1と同様の操作で組成物を得、これを成形した。 【0045】比較例4 機械粉砕して2mmのメッシュをパスしなかったポリウ
レタンの粉砕物をブレンドした以外は実施例1と同様の
操作によって組成物を得、これを成形した。 【0046】比較例5 冷凍粉砕されたポリウレタンを1000重量部ブレンド
した以外は実施例1と同様の操作によって組成物を得、
これを成形した。 【0047】比較例6 DOAを90重量部用いた以外は実施例1と同様の操作
によって組成物を得、これを成形した。 【0048】比較例7 ポリウレタンとしてポリエーテル系熱可塑性ポリウレタ
ン(日本ミラクトラン(株)製、ミラクトランP−39
0RSOP)を用いた以外は実施例1と同様の操作によ
って組成物を得、これを成形した。 【0049】比較例8 ポリエステルポリオールとして3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオールとアジピン酸を重縮合して得られるポリ
マーポリオール((株)クラレ製、商品名クラポールP
−510、数平均分子量500)64.9重量部、イソ
シアネート化合物を28.5重量部(NCO/OH比:
0.58)用いた以外は実施例1と同様の操作によって
組成物を得、これを成形した。 【0050】以上得られた組成物を以下の方法により評
価した。その結果を表1に示す。 【0051】(圧縮永久歪の評価)JISK6301に
従い測定した。初期歪は25%、温度は70℃、22時
間経過後、歪を開放し、残留歪を測定した。 【0052】(脆化温度の測定)JISK6723に従
い測定した。 【0053】(動的粘弾性の測定)非共振型強制振動法
に基づく測定装置である粘弾性測定アナライザーRSA
II(レオメトリックス・ファーイースト社)を用いて測
定周波数10Hz、測定モード:引っ張り、により23
℃における引っ張り貯蔵弾性率(E’)を測定した。 【0054】(可塑剤のブリードの評価)圧縮永久歪用
の試験片を室温下にて1週間放置した後の表面観察を行
い、可塑剤のブリードを評価した。 【0055】(相構造の確認)試料をOsO4の蒸気に
暴露し、染色し、これをウルトラミクロトームで−10
0℃の雰囲気下0.1ミクロンの超薄切片に仕上げる。
これを電子顕微鏡JEOL JEM−2000FXを用
いて加速電圧200kVにて観察した。この観察に際し
てOsO4に染色されるポリウレタンの成分が0.1ミ
クロンから100ミクロンの大きさを有する分散相とな
っていることを確認した。 【0056】 【表1】【0057】 【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の材料は圧縮
永久歪に優れ、成形加工が可能であり、ブリードが抑制
され、耐寒性に優れた耐寒性材料である。
ビニル及び可塑剤を含む複合樹脂組成物からなる耐寒性
材料に関するものであり、本材料はゴム的な性質を損な
うことなく耐寒性の要求されるチューブ、ホース、パッ
キン、シール材、自動車外装部材、土木、建築材料、ス
ポーツ用品等に利用される得る材料である。 【0002】 【従来の技術】従来、ポリ塩化ビニル系樹脂の耐寒性を
改良するためには可塑剤を添加することでこれを改良し
てきた。しかしながら可塑剤を多量に添加すると共にガ
ラス転移温度、脆化温度に代表される耐寒性は向上する
が、あまり多量に添加すると可塑剤のブリードが生じ問
題があった。また、圧縮永久歪に代表される耐荷重変形
性は余り好ましいものでなく改良が望まれていた。圧縮
永久歪の改良には部分架橋NBR(アクリロニトリル−
ブタジエンゴム)のブレンドが古くから知られている方
法であるが本材料はガラス転移温度が高く耐寒性を要求
される用途への使用は限定されたものになっている。 【0003】さらに架橋PVCの使用も圧縮永久歪の向
上には若干ながら効果があるものの耐寒性を要求される
部材へ使用するには可塑剤を多量に添加する必要があ
り、そのため可塑剤のブリードの点から改良が望まれて
いた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は圧縮永久歪に
優れた耐寒性材料を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のよう
な現状に鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。 【0006】即ち本発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂
(1)、水酸基を2個以上有するポリマーポリオールと
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変
性体とをウレタン化反応せしめて得られるポリウレタン
(2)及び可塑剤(3)からなる樹脂組成物であって、
透過型電子顕微鏡観察で海−島型の相分離構造が観察さ
れ、且つ該分離構造の島の部分であるポリウレタン分散
相のサイズが0.01ミクロン以上500ミクロン以下
であり、ポリウレタン(2)の線形粘弾性測定における
引張弾性率が20℃から70℃の範囲において7×10
6dyne/cm2以上8×107dyne/cm2以下で
あり、ポリ塩化ビニル系樹脂(1)100重量部に対し
て可塑剤(3)としてアジピン酸系可塑剤を10重量部
以上80重量部以下含む樹脂組成物からなる耐寒性材料
である。以下に本発明の詳細を記述する。 【0007】本発明で用いるポリ塩化ビニル系樹脂
(1)とは、塩化ビニル単独重合樹脂、塩素化塩化ビニ
ル樹脂、塩化ビニル単量体と共重合し得るすべての単量
体のうち1つ以上の単量体とランダム共重合あるいはブ
ロック共重合して得られる塩化ビニル共重合樹脂(例え
ば酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビ
ニル共重合体等)、また上記の樹脂に水酸基などの官能
基をグラフトさせて得られる樹脂やこれら官能基と反応
性化合物を反応せしめグラフト結合させた樹脂等であ
り、上記樹脂の単品あるいは2種類以上の混合物であ
る。 【0008】ポリ塩化ビニル系樹脂(1)の重合度は特
に限定はなく成形加工性の点から400以上8000以
下、より好ましくは500以上5000以下、さらに好
ましくは800以上4000以下である。また、上記の
範囲の重合度を有するポリ塩化ビニル系樹脂に任意の分
子量を有すポリ塩化ビニル系樹脂をブレンドしてもよ
い。 【0009】本発明で用いるポリウレタン(2)は線形
粘弾性測定における引張弾性率が20℃から70℃の範
囲において7×106dyne/cm2以上8×107d
yne/cm2以下、より好ましくは1×107dyne
/cm2以上7×107dyne/cm2以下のものが用
いられ、このようなポリウレタンを用いることにより本
発明の材料の圧縮永久歪が向上する。 【0010】また、本発明の材料の圧縮永久歪特性をさ
らに向上させるためには用いるポリウレタン(2)単独
での圧縮永久歪が40以下、より好ましくは35以下で
あることが好ましい。なおここでいう圧縮永久歪とは、
JISK6301圧縮永久歪の方法に従い測定した値で
あり、測定温度は70℃、歪を与える時間は22時間と
する。 【0011】また、ポリウレタン(2)は水酸基を2個
以上有するポリマーポリオールとヘキサメチレンジイソ
シアネートのイソシアヌレート変性体とをウレタン化反
応せしめて得られるポリウレタンであり、ポリウレタン
(2)は網目構造を有したポリウレタンを用いることが
本発明の材料の圧縮永久歪を改良する点から有効であ
る。即ち、ポリウレタン(2)のテトラヒドロフラン
(THF)のような良溶媒中でのTHF溶解分が10%
以下のものを用いることが望ましい。 【0012】さらに本発明の材料の圧縮永久歪を向上さ
せるためには70℃における分散相の圧縮弾性率に対す
るマトリクス相の圧縮弾性率の比を0.4以上1.8以
下とすることが望ましい。 【0013】また、本発明の材料の引張強度を向上させ
るためには用いるポリ塩化ビニル系樹脂(1)との相溶
性に優れているポリウレタン(2)を用いることが好ま
しい。この様なポリウレタン(2)としてはポリエステ
ル系ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポリウレタ
ン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ジエチレングリ
コールに代表されるエーテル系ジオールとジカルボン酸
をエステル結合して得られる化合物を主成分としたエー
テルエステル系ポリウレタンさらにはセルロースに代表
される水酸基を有した天然有機化合物やケン化EVA
(エチレン−酢ビ共重合体)に代表される水酸基を有し
た合成有機化合物とイソシアネート化合物がウレタン反
応してなる化合物などが挙げられる。これらのうち特に
ポリエステル系ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポ
リウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、エステ
ルエ−テル系ポリウレタンを使用することにより本発明
の材料の耐寒性は顕著に向上するので好ましい。 【0014】また、本発明の材料中のポリウレタン
(2)のイソシアネートインデックス(イソシアネート
基の数/水酸基の数)を制御することも可能である。一
般にポリウレタンは水酸基を有する化合物とイソシアネ
ート基を有する化合物との重付加反応によって得られる
が各々の化合物が有する官能基の数は決まっておらず様
々なものがある。例えばケン化EVA(エチレン−酢酸
ビニル強重合体)などは1つの分子中にたくさんの水酸
基を含んいるため、イソシアネート化合物との反応によ
って生じるゲル化点はかなり低いイソシアネートインデ
ックスになる。このように用いる化合物の官能基の数に
よって最適なイソシアネートインデックスの一義的な決
定は困難であるが0.6以上1.2以下であることが望
ましく、この範囲とすることによりベタつく感触あるい
は材料の黄色化が防止される。 【0015】また、用いるポリウレタン(2)をポリマ
ーポリオールとイソシアネート基を3個以上有した化合
物とをウレタン反応せしめて得る場合、該ポリウレタン
の成分の1つであるポリオールの分子量は特に限定を受
けないが、平均分子量300以上5000以下のポリマ
ーポリオールを用いることにより得られる材料は成形加
工性に優れたものとなり好ましい。 【0016】本発明において用いるポリ塩化ビニル系樹
脂(1)とポリウレタン(2)の比率は特に限定はない
が、得られる材料の圧縮永久歪特性を向上させるために
はポリ塩化ビニル系樹脂(1)100重量部に対してポ
リウレタン(2)を20重量部以上、好ましくは30重
量部以上、さらには45重量部以上とすることが望まし
い。またコストパフォーマンスの点からポリウレタン
(2)の添加量はポリ塩化ビニル系樹脂(1)100重
量部に対して好ましくは900重量部以下、より好まし
くは300重量部以下、さらには150重量部以下とす
ることが望ましい。 【0017】また、本発明の材料には可塑剤(3)とし
てアジピン酸系可塑剤を添加せねばならない。アジピン
酸系可塑剤はコストパフォーマンス、耐寒性の向上の点
から最も有効な可塑剤であり本可塑剤を用いないで耐寒
性を向上しようとするとコストパフォーマンス及びブリ
ードアウトの点から望ましくない。特にアジピン酸ジ−
2−エチルヘキシルはコストパフォーマンスの点から最
も好ましく使用される。この可塑剤(3)の添加量はポ
リ塩化ビニル系樹脂(1)100重量部に対して10重
量部以上80重量部以下、より好ましくは20重量部以
上50重量部以下である。添加量が10重量部未満であ
ると可塑剤(3)による耐寒性向上の効果が乏しく、8
0重量部を超えると可塑剤(3)がブリードアウトする
ことがある。 【0018】また、本発明の材料において他の可塑剤を
併用してもよく、耐寒性向上の観点からは、更に他の可
塑剤と併用することが望ましい。この場合他の可塑剤と
しては、例えばフタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−
2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ−n−オク
チル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソオクチ
ル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、
イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可
塑剤、ポリエステル系高分子量可塑剤、エポキシ化大豆
油、塩素化パラフィン等が挙げられ、これらの1種また
は2種以上が使用できる。 【0019】本発明の材料には、その性能を極端に低下
させない程度にポリ塩化ビニル樹脂に通常添加される炭
酸カルシウム、タルク等に代表される無機充填材、三酸
化アンチモンやホウ酸亜鉛に代表される難燃剤、部分架
橋ポリ塩化ビニル、部分架橋アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR)などの改質剤、アクリル系樹脂に代
表される加工助剤を必要に応じて添加することができ
る。また、ポリウレタンに通常添加されるカルボジイミ
ドに代表される耐加水分解抑制剤、塩素系、窒素系、銀
−ゼオライト系に代表される防黴剤、UV安定剤などを
必要に応じて添加することも可能である。さらに本材料
を他の樹脂へブレンドして他の樹脂の耐寒性を向上せし
めることも可能である。この場合、第3成分として本発
明材料と他の樹脂との相溶化剤を併用することも可能で
ある。 【0020】本発明の材料の製造方法は特に限定され
ず、任意の方法を採用することができる。具体的には以
下の方法が例示される。(A)ポリウレタン(2)を冷
凍粉砕などによって細かく砕いた後、ポリ塩化ビニル系
樹脂(1)とブレンドする方法。この場合、ブレンドせ
しめる為に使用する装置は任意でありロール、バンバリ
ーミキサー、押出し機などが挙げられる。(B)テトラ
ヒドロフラン(THF)などの溶媒中にポリ塩化ビニル
系樹脂(1)とポリオール、イソシアネート化合物を添
加し溶媒中でウレタン反応を生じせしめた後、溶媒を蒸
発させる方法。(C)ポリ塩化ビニル系樹脂(1)、可
塑剤(3)、ポリマーポリオール、イソシアネート化合
物を剪断力下、加熱溶融して複合材料を得る方法。特に
上記(C)の方法を用いることにより本発明の材料は引
張り強さに代表される強度が向上するので好ましい。 【0021】さらに本発明の材料は、OsO4のような
染色剤にて染色後、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観
察した際、海−島型の相分離構造を有しており、且つ、
島の部分であるポリウレタン分散相の大きさが0.01
ミクロン以上500ミクロン以下でなくてはならない。
分散相の大きさがこの範囲をこえると本発明の材料の成
形加工性は著しく低下する。 【0022】なお、成形加工性を向上させる場合には分
散相の大きさについては、好ましくは0.03ミクロン
以上400ミクロン以下、さらには0.05ミクロン以
上300ミクロン以下とすることが望ましい。 【0023】本発明の材料の成形方法としては押出し成
形、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、プレス成
形など通常の熱可塑性樹脂に用いることのできる成形法
によって成形できる。そしてこのようにして得られた成
形品は圧縮永久歪に優れ、且つ耐寒性に優れたものとな
る。 【0024】 【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0025】実施例1 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を
縮合重合して得られるポリエステルポリオール((株)
クラレ製、商品名クラポ−ルP2010、数平均分子量
2000)80重量部とヘキサメチレンジイシシアネー
トのイソシアヌレート変性体(3官能型イソシアネート
化合物)(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネー
トHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.8
5)、さらには触媒としてDBTDL(ジブチル錫ジラ
ウレート)26.7PPMを混ぜ合わせ120℃のオー
ブン中、2時間放置してポリウレタンを作製した。この
サンプルから厚さ0.5mm、幅5mm、長さ25mm
の短冊型の試験片を切り抜き動的粘弾性測定用のサンプ
ルとした。またこれとは別に得られたポリウレタンを冷
凍粉砕にて細かく砕き複合体の材料とした。 【0026】こうして得られたポリウレタン微粉末を内
容積1700cc、ケーシング温度150℃のバンバリ
ーミキサーに93.4重量部投入し、さらには懸濁重合
法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(リュ
−ロンE−2800,平均重合度:2750、東ソ−
(株)製)100重量部、安定剤としてステアリン酸バ
リウム2部、ステアリン酸亜鉛1部、アミン補足剤(日
産フェロ有機化学(株)製商品名BP−331)1.5
部、ジ−2エチルヘキシルフタレート(DOP)50重
量部、ジオクチルアジペート(DOA)50重量部を仕
込み一定回転速度で撹拌し、15分間混練して組成物を
得た。 【0027】混練終了後、得られた組成物をロール成形
機にかけシートにしたのち、JISK6301圧縮永久
歪用に厚みが12.70±0.13mmとなるように、
プレス成形した。また、脆化温度測定用に2mmのシー
トに押出し成形した。押出し温度は180℃とした。 【0028】実施例2 DOPを70重量部、DOAを30重量部用いた以外は
実施例1と同様の操作によって目的の組成物を得、これ
を成形した。 【0029】実施例3 DOPを70重量部,DOAを30重量部用い,さらに
高分子量可塑剤としてポリエステル系高分子量可塑剤
(旭電化工業(株)製、商品名アデカサイザーPN28
0)を30重量部用いた以外は実施例1と同様の操作に
よって目的の組成物を得、これを成形した。 【0030】実施例4 冷凍粉砕後のポリウレタンをバンバリーミキサーに75
重量部添加した以外は実施例1と同様の操作によって目
的の組成物を得、これを成形した。 【0031】実施例5 冷凍粉砕後のポリウレタンをバンバリーミキサーに12
5重量部添加した以外は実施例1と同様の操作によって
目的の組成物を得、これを成形した。 【0032】実施例6 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸と1,9−ノ
ナンジオールを縮合重合して得られるポリエステルポリ
オール((株)クラレ製、商品名クラポールPNA20
00、数平均分子量2000)を用いた以外は実施例1
と同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形し
た。 【0033】実施例7 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸と2−メチル
1,8−オクタンジオールを縮合重合して得られるポリ
エステルポリオール((株)クラレ製、商品名クラポー
ルPNOA2010、数平均分子量2000)を用いた
以外は実施例1と同様の操作によって目的の組成物を
得、これを成形した。 【0034】実施例8 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸、ブタンジオ
ール及びエチレングリコールを縮合重合して得られるポ
リエステルポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商
品名ニッポラン4042、数平均分子量2000)を用
いた以外は実施例1と同様の操作によって目的の組成物
を得、これを成形した。 【0035】実施例9 ポリエステルポリオールとしてアジピン酸とブタンジオ
ールを縮合重合して得られるポリエステルポリオール
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン401
0、数平均分子量2000)を用いた以外は実施例1と
同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形し
た。 【0036】実施例10 ポリエステルポリオールとしてβ−メチル−δ−バレロ
ラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンポ
リオール((株)クラレ製、商品名クラポールL201
0、数平均分子量2000)を用いた以外は実施例1と
同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形し
た。 【0037】実施例11 ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体を16.1重
量部(NCO/OH比=1.02)用いた以外は実施例
9と同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形
した。 【0038】実施例12 ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体を20.1重
量部(NCO/OH比=1.27)用いた以外は実施例
9と同様の操作によって目的の組成物を得、これを成形
した。 【0039】実施例13 バンバリーミキサーの代わりに表面温度を150℃に設
定したロール成形機を用いて15分間混練することによ
ってブレンドした以外は実施例1と同様の方法で目的の
組成物を得、これを成形した。 【0040】実施例14 エチレンー塩化ビニル共重合体の代わりにポリ塩化ビニ
ル樹脂(信越高重合度PVC TK−2500W、平均
重合度:4500、信越化学工業(株)製)を用いた以
外は実施例1と同様の操作によって目的の組成物を得、
これを成形した。 【0041】比較例1 ポリウレタンを用いなかった以外は実施例1と同様の操
作により組成物を得、これを成形した。 【0042】比較例2 バンバリーミキサーに実施例1で用いたポリ塩化ビニル
系樹脂を438g、安定剤としてステアリン酸バリウム
12g、及びステアリン酸亜鉛5.4g、アミン補足剤
(日産フェロ有機化学(株)製商品名BP−331)
7.5gを仕込み一定回転速度で撹拌した。又これとは
別に、予め70℃に保温しておいたポリマーポリオール
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン406
7、数平均分子量2000)350gとDOP219
g、DOA219gを混合し、これにヘキサメチレンジ
イソシアネートの3量体58.6g(NCO/OH比=
0.85)、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.0
3gを仕込み、1分間混合した後バンバリーミキサー投
入口より流し入れた。反応及び混合時間はこれより15
分間行い、組成物を得た。 【0043】反応終了後、得られた組成物をロール成形
機にかけシートにしたのち、JISK6301圧縮永久
歪用に厚みが12.70±0.13mmとなるように、
プレス成形した。また、脆化温度測定用に2mmのシー
トに押出し成形した。押出しの温度は180℃とした。 【0044】比較例3 DOAを用いずにDOPを100重量部用いた以外は実
施例1と同様の操作で組成物を得、これを成形した。 【0045】比較例4 機械粉砕して2mmのメッシュをパスしなかったポリウ
レタンの粉砕物をブレンドした以外は実施例1と同様の
操作によって組成物を得、これを成形した。 【0046】比較例5 冷凍粉砕されたポリウレタンを1000重量部ブレンド
した以外は実施例1と同様の操作によって組成物を得、
これを成形した。 【0047】比較例6 DOAを90重量部用いた以外は実施例1と同様の操作
によって組成物を得、これを成形した。 【0048】比較例7 ポリウレタンとしてポリエーテル系熱可塑性ポリウレタ
ン(日本ミラクトラン(株)製、ミラクトランP−39
0RSOP)を用いた以外は実施例1と同様の操作によ
って組成物を得、これを成形した。 【0049】比較例8 ポリエステルポリオールとして3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオールとアジピン酸を重縮合して得られるポリ
マーポリオール((株)クラレ製、商品名クラポールP
−510、数平均分子量500)64.9重量部、イソ
シアネート化合物を28.5重量部(NCO/OH比:
0.58)用いた以外は実施例1と同様の操作によって
組成物を得、これを成形した。 【0050】以上得られた組成物を以下の方法により評
価した。その結果を表1に示す。 【0051】(圧縮永久歪の評価)JISK6301に
従い測定した。初期歪は25%、温度は70℃、22時
間経過後、歪を開放し、残留歪を測定した。 【0052】(脆化温度の測定)JISK6723に従
い測定した。 【0053】(動的粘弾性の測定)非共振型強制振動法
に基づく測定装置である粘弾性測定アナライザーRSA
II(レオメトリックス・ファーイースト社)を用いて測
定周波数10Hz、測定モード:引っ張り、により23
℃における引っ張り貯蔵弾性率(E’)を測定した。 【0054】(可塑剤のブリードの評価)圧縮永久歪用
の試験片を室温下にて1週間放置した後の表面観察を行
い、可塑剤のブリードを評価した。 【0055】(相構造の確認)試料をOsO4の蒸気に
暴露し、染色し、これをウルトラミクロトームで−10
0℃の雰囲気下0.1ミクロンの超薄切片に仕上げる。
これを電子顕微鏡JEOL JEM−2000FXを用
いて加速電圧200kVにて観察した。この観察に際し
てOsO4に染色されるポリウレタンの成分が0.1ミ
クロンから100ミクロンの大きさを有する分散相とな
っていることを確認した。 【0056】 【表1】【0057】 【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の材料は圧縮
永久歪に優れ、成形加工が可能であり、ブリードが抑制
され、耐寒性に優れた耐寒性材料である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】ポリ塩化ビニル系樹脂(1)、水酸基を2
個以上有するポリマーポリオールとヘキサメチレンジイ
ソシアネートのイソシアヌレート変性体とをウレタン化
反応せしめて得られるポリウレタン(2)及び可塑剤
(3)からなる樹脂組成物であって、透過型電子顕微鏡
観察で海−島型の相分離構造が観察され、且つ該分離構
造の島の部分であるポリウレタン分散相のサイズが0.
01ミクロン以上500ミクロン以下であり、ポリウレ
タン(2)の線形粘弾性測定における引張弾性率が20
℃から70℃の範囲において7×106dyne/cm2
以上8×107dyne/cm2以下であり、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂(1)100重量部に対して可塑剤(3)と
してアジピン酸系可塑剤を10重量部以上80重量部以
下含む樹脂組成物からなる耐寒性材料。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP30895493A JP3391068B2 (ja) | 1993-12-09 | 1993-12-09 | 耐寒性材料 |
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-
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- 1993-12-09 JP JP30895493A patent/JP3391068B2/ja not_active Expired - Fee Related
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