JPH06301142A - フォトクロミック有機−無機ハイブリッド体及びフォトクロミック合わせガラス - Google Patents

フォトクロミック有機−無機ハイブリッド体及びフォトクロミック合わせガラス

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JPH06301142A
JPH06301142A JP5066690A JP6669093A JPH06301142A JP H06301142 A JPH06301142 A JP H06301142A JP 5066690 A JP5066690 A JP 5066690A JP 6669093 A JP6669093 A JP 6669093A JP H06301142 A JPH06301142 A JP H06301142A
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JP
Japan
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photochromic
group
glass
compound
organic
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Application number
JP5066690A
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English (en)
Inventor
Hirobumi Omura
博文 尾村
Tadashi Nakao
廉 中尾
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性及び耐久性に優れ、高温下にて繰り返
し長期間使用した後もフォトクロミック機能を保持する
フォトクロミック有機−無機ハイブリット体及びフォト
クロミック合わせガラスを得る。 【構成】 このフォトクロミック有機−無機ハイブリッ
ト体は、側鎖にフォトクロミック性スピロ構造を有する
基が付与されたポリシロキサンの両末端に、シリカガラ
ス体が結合されて構成されるか、或いはポリシロキサン
骨格両末端に、フォトクロミック性スピロ構造を有する
基が付与されたシリカガラス体が結合されて構成されて
いる。そして、透明ガラス板の間に上記のハイブリット
体或いはこのハイブリット体と公知の中間膜の両方を接
着させてフォトクロミック合わせガラスを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐熱性に優れたフォ
トクロミック有機−無機ハイブリッド体及びそれを用い
て得られるフォトクロミック合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミック化合物は、これに紫外
線が照射或いは除去されることによって、その色が可逆
的に変化する性質を持っている。この種のフォトクロミ
ック化合物を用いたフォトクロミックガラスは、紫外線
が照射されることによって着色し、その光線透過率が変
化する機能を有し、窓ガラスや眼鏡など様々な分野に用
いられている。
【0003】従来、フォトクロミック化合物としては、
主に、スピロベンゾピラン化合物やスピロナフトオキサ
ジン化合物などが用いられており、例えば、特開昭55
−149812号公報及び特開昭62−299802号
公報には、このような化合物を用いて作成されたフォト
クロミックガラスが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な有機のフォトクロミック化合物は耐熱性に劣り、これ
を用いて作成されたフォトクロミックガラスや合わせガ
ラスを高温下で繰り返して長期間使用した場合、フォト
クロミック機能が低下し耐久性が十分でない。
【0005】また、上記フォトクロミックガラスの間に
中間膜を積層し、これを熱圧着させて合わせガラスを作
成する場合、この熱圧着の工程でも耐熱性が劣り、上記
と同様にフォトクロミック機能が低下する。
【0006】この発明は、上記の問題を解決するもの
で、その目的とするところは、耐熱性に優れ、高温下に
おいてもフォトクロミック機能が低下せず、耐久性に優
れたフォトクロミック有機−無機ハイブリッド体及びフ
ォトクロミック合わせガラスを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明のフォトクロミック有機−無機ハイブリッ
ド体は、側鎖にフォトクロミック性スピロ構造を有する
基が付与されたポリシロキサン骨格の両末端に、シリカ
ガラス体が結合されている(請求項1の発明)。
【0008】もう一つの発明のフォトクロミック有機−
無機ハイブリッド体は、ポリシロキサン骨格の両末端
に、フォトクロミック性スピロ構造を有する基が付与さ
れたシリカガラス体が結合されている(請求項2の発
明)。
【0009】また、この発明のフォトクロミック合わせ
ガラスは、透明ガラス板の間に上記のフォトクロミック
有機−無機ハイブリッド体、或いはこのハイブリッド体
と中間膜の両方が接着されている(請求項3の発明)。
【0010】この発明において、フォトクロミック性ス
ピロ構造とは、二つの環に共通な一個の炭素原子を含む
構造でフォトクロミック性を有するものをいう。このよ
うな構造を持つ化合物(フォトクロミック性スピロ化合
物)としては、例えば、下記式(1)に示すスピロピラ
ン化合物、下記式(2)に示すスピロオキサジン化合
物、下記式(3)に示すスピロチイン化合物等が挙げら
れる。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】 (上記式中、R1 、R3 は水素原子、ハロゲン原子、ニ
トロ基、炭素数1〜6アルキル基、炭素数1〜6のアル
コキシ基を表し、R1 とR3 は同一でも異ってもよい。
2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1
〜6のアルコキシル基、−(CH2)m COOH、−(C
2)m COOR4 、mは1〜4の整数、R 4 は炭素数1
〜6のアルキル基を表す。)
【0014】上記式(1)に示すスピロピラン化合物の
具体例としては、1,3,3-トリメチル-6'-ニトロスピロ
〔 2Η-1- ベンゾピラン-2,2'-インドリン〕、1,3,3-ト
リメチ-6'-ニトロベンゾピリルスピラン、1,3,3-トリメ
チルインドリノ-6'-ニトロ-8'-メトキシベンゾピリルス
ピラン、1,3,3-トリメチル-5- クロルインドリノ-6'-ニ
トロベンゾピリルスピラン、1,3,3-トリメチル-5- ブロ
ムインドリノ-6'-ニトロ-8'-エトキシベンゾピリルスピ
ラン、1-ヘプチル-3,3- ジメチル-6'-ニトロ-8'-メトキ
シベンゾピリルスピラン、1-ブチル-3,3- ジメチル-6'-
ニトロ-8'-メトキシベンゾピリルスピラン等が挙げられ
る。
【0015】上記式(2)で示すスピロオキサジン化合
物の具体例としては、1,3,3-トリメチルスピロ〔インド
リン-2,3'-ナフト(2,1-b)(1,4)- オキサジン〕、1,3,
3,5-テトラメチルスピロ〔インドリン-2,3'-ナフト(2,
1-b)(1,4)- オキサジ〕、5-クロロ-1,3,3- トリメチル
スピロ〔インドリン-2,3'-ナフト(2,1-b)(1,)- オキ
サジン〕5-メトキシ-1,3,3- トリメチルスピロ〔インド
リン-2,3'-ナフト(2,1-b)(1,4)- オキサジン〕、1-イ
ソプロピル-3,3- ジメチルスピロ〔イリン-2,3'-ナフト
(2,1-b)(1,4))- オキサジン〕等が挙げられる。
【0016】また、上記式(3)に示すスピロチイン化
合物の具体例としては、1,3,3-トリメチル-6'-ニトロ
(インドリノン-2,2'-ベンゾチイン)等が挙げられる。
【0017】この発明において、ポリシロキサン骨格と
は、メチル基をはじめ水素やフェニル基などの有機基が
結合した珪素原子と、酸素原子とが交互に結合した直鎖
状の骨格或いはその一部が分岐状となった骨格をいう。
このようなポリシロキサン骨格は、例えば、下記式
(4)で示すように、オルガノアルコキシシランの加水
分解によりシラノールを経て重縮合により形成される。
【0018】
【化4】
【0019】このようなポリシロキサン骨格の側鎖に、
フォトクロミック性スピロ構造を有する基を付与するに
は、例えば、前述のフォトクロミック性スピロ化合物の
N−位にアルコキシシリル基が付与された化合物を作
り、これにアルコキシシラン化合物を反応させる。
【0020】アルコキシシリル基は、ケイ素原子に一個
以上のアルコキシ基が結合した基であり、例えば、−S
i(OR5)3 、−Si(OR5)2 6 、−Si(OR5)
67 (R5 はアルキル基を表し、R6 、R7 は水素
原子又はアルキル基を表し、R6 、R7 は同一でも異な
ってもよい)等が挙げられる。
【0021】このアルコキシシリル基は、特に限定され
ないが、メトキシシリル基又はエトキシシリル基が好ま
しい。具体的には、−Si(OEt)3 、−Si(OM
e) 2 Me、−Si(OEt)2 Me(Meはメチル基
を表し、Etはエチル基を表す。)などが挙げられる。
【0022】上記アルコキシシリル基は、上記フォトク
ロミック性スピロ化合物のN−位に直接結合していて
も、一般式−(CH2)n −(nは1〜5の整数を表す)
で表されるアルキレン基を介して結合していてもよい。
この場合、nはあまり差がなく、通常nが3のプロピレ
ン基が用いられ、例えば、−(CH2)3 Si(OEt)
3 、−(CH2)3 Si(OMe)2 Me、−(CH2)3
Si(OEt)2 Meなどが好ましい。
【0023】このようなフォトクロミック性スピロ化合
物にアルコキシシリル基が付与された化合物としては、
具体的には、例えば、下記式(5)、(6)及び(7)
で示される化合物等が用いられる。
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】上記のようなアルコキシシリル基を有する
フォトクロミック性スピロ化合物(アルコキシシリルス
ピロ化合物)を調製する方法としては、例えば、次の方
法が挙げられる。
【0028】先ず、無水アセトンに溶解したヨウ化ナト
リウムにアルコキシシランを加え還流し、アルコキシヨ
ードアルキルシランを得る。また、2,3,3-トリメチルイ
ンドレニンをアセトニトリルに溶かし、この溶液に上記
のアルコキシヨードアルキルシランを加えて還流し、下
記式(8)に示すように、2,3,3-トリメチルインドレニ
ンの4級化を行う。
【0029】
【化8】
【0030】さらに、上記4級化された2,3,3-トリメチ
ルインドレニンの反応液にトリエチルアミンを加え、下
記式(9)に示すように、2-メチレンインドリンを得
る。
【0031】
【化9】
【0032】さらに、上記2-メチレンインドリンの反応
液に、ニトロサリチルアルデヒド或いは1-ニトロソ-2-
ナフトールを加え、還流、精製して、例えば、上記ニト
ロサリチルアルデヒドを使用した場合、下記式(10)
に示すようなアルコキシシリルスピロ化合物を得る。
【0033】
【化10】
【0034】このようにして得られるアルコキシシリル
スピロ化合物とアルコキシシラン化合物とを反応させ
る。例えば、上記のアルコキシシリルスピロ化合物とジ
エトキシジメチルシランとを水とトリエチルアミンによ
りエタノール溶液中で反応させ、下記式(11)に示す
ように加水分解と縮合によりシラノール末端型ポリシロ
キサンを経て、側鎖にフォトクロミック性スピロ構造を
有する基が付与されたポリシロキサンオリゴマーを得
る。
【0035】
【化11】 (上記式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を
表し、Spはスピロ構造体を表す。)
【0036】そして、上記のポリシロキサンオリゴマー
とテトラエトキシシランとを水とエタノール溶液中で反
応させると、下記式(12)によりテトラエトキシシラ
ンが加水分解され、縮合してシリカガラス体が生成され
ると共に、ポリシロキサンオリゴマーがシラノール末端
ポリジメチルシロキサンを経て縮合し、その両端でシリ
カガラス体にシロキサン結合した状態で閉じ込められ
る。こうして、下記式(13)に示すようなフォトクロ
ミック有機−無機ハイブリッド体(請求項1の発明)が
得られる。
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】 (上記式中、Meはメチル基を表し、Spはフォトクロ
ミック性スピロ構造体をを表し、点線で囲まれた部分は
シリカガラス体を表す。)
【0039】一方、前述のアルコキシシリルスピロ化合
物と、シラノール末端ポリシロキサンオリゴマーと、テ
トラエトキシシランとを一括して加え、エタノール溶液
中で反応させると、上記式(12)と同様な反応機構に
より、フォトクロミック性スピロ構造を有する基が付与
されたシリカガラス体が生成するとともに、シラノール
末端ポリシロキサンオリゴマーが縮合し、その両端でシ
リカガラス体にシロキサン結合した状態で閉じ込められ
る。こうして、下記式(14)に示すようなフォトクロ
ミック有機−無機ハイブリッド体(請求項2の発明)が
得られる。
【0040】
【化14】 (上記式中、Meはメチル基を表し、Spはフォトクロ
ミック性スピロ構造体をを表し、点線で囲まれた部分は
シリカガラス体を表す。)
【0041】なお、上記式(13)及び(14)におい
て、中央部分のポリシロキサン骨格のシロキサン結合
(Si−O結合)は便宜的に三個を示しているが、一般
的には5〜70個のシロキサン結合を有するものが好ま
しい。また、フォトクロミック性スピロ構造を有する基
は、通常、シロキサン結合にランダムに付与されている
が、これに限定されない。
【0042】こうして得られるこの発明のフォトクロミ
ック有機−無機ハイブリッド体は透明で、アルコキシシ
ラン化合物やシラノール末端ポリシロキサンの使用量に
より、柔軟なゴム状から硬いガラス状に至るまで任意に
硬度を変えることが可能である。
【0043】このようなハイブリッド体を用いてフォト
クロミック合わせガラスを製造するには、フォトクロミ
ック有機−無機ハイブリッド体を膜状に形成し、このハ
イブリッド膜を用いて、例えば、ガラス板/ハイブリッ
ド膜/ガラス板、或いはガラス板/中間膜/ハイブリッ
ド膜/ガラス板、或いはガラス板/中間膜/ハイブリッ
ド膜/中間膜/ガラス板、或いはガラス板/ハイブリッ
ド膜/中間膜/ハイブリッド膜/ガラス板の順に積層
し、これを熱圧着し一体化する。
【0044】上記の中間膜としては、合わせガラスに用
いられている各種の中間膜を使用することができる。例
えば、可塑化ポリビニルブチラール樹脂、可塑化塩化ビ
ニル系中間膜、ウレタン系中間膜、EVA系中間膜等が
挙げられる。
【0045】熱圧着の方法としては、通常の合わせガラ
スの製造に用いられている方法を適用することができ
る。例えば、ポリビニルブチラール可塑化物からなる中
間膜を用いた場合は、上記フォトクロミックガラスと普
通のガラス板或いはシートの間に上記中間膜をはさみ、
真空法によって予備脱気した後、オートクレーブ装置を
用いて13 kg/cm2 、140℃にて20分間加熱圧着
することによって、フォトクロミック合わせガラスを作
製することができる。
【0046】
【作用】上述のように、テトラエトキシシランを加水分
解し、縮合させてシリカガラス体を合成する方法は、ゾ
ル−ゲル法と呼ばれ広く知られている。また、この系に
シラノール末端ポリシロキサンを加えると、その添加量
により柔軟なゴム状から硬いガラス状にいたる透明な有
機−無機ハイブリッド体を得ることも知られている(例
えば、化学と工業 第45巻 第5号(1992) 5
5〜56頁参照)。
【0047】請求項1の発明のフォトクロミック有機−
無機ハイブリッド体は、上述のように、ゾル−ゲル法に
より、例えばテトラエトキシシランからシリカガラスを
合成する際に、側鎖にフォトクロミック性スピロ構造を
有する基が付与されたポリシロキサンを加えることによ
り得られるもので、ポリシロキサンがその両末端でシリ
カガラスに結合した状態で閉じ込められた構造となって
おり、しかもポリシロキサンの側鎖にフォトクロミック
性スピロ構造を有する基が導入されている。そのため、
このフォトクロミック性スピロ構造により本来の良好な
フォトクロミック機能が発現し、しかもこれがポリシロ
キサン骨格の中に固定されていることにより、耐熱性が
向上する。
【0048】請求項2の発明のフォトクロミック有機−
無機ハイブリッド体は、上述のように、ゾル−ゲル法に
より、例えばテトラエトキシシランからシリカガラスを
合成する際に、シラノール末端ポリシロキサンと、フォ
トクロミック性スピロ構造体のN−位にアルコキシシリ
ル基を有するアルコキシシリルスピロ化合物とを加える
ことにより得られるもので、ポリシロキサンがその両端
でシリカガラスに結合した状態で閉じ込められた構造と
なっており、しかもシリカガラス内部にフォトクロミッ
ク性スピロ構造を有する基が導入されている。そのた
め、このフォトクロミック性スピロ構造により本来の良
好なフォトクロミック機能が発現し、しかもこれがシリ
カガラス体のネットワークの中に固定されていることに
より、耐熱性が向上する。
【0049】また、請求項3の発明のフォトクロミック
合わせガラスは、透明ガラス板の間に、上記請求項1又
は2の発明のハイブリッド体或いはこのハイブリッド体
と中間膜が接着されているので、良好なフォトクロミッ
ク機能が得られるとともに、耐熱性が向上し、また、ガ
ラスとの接着性もよい。特に、中間膜を接着した場合
は、この中間膜により衝撃に対する耐貫通性と破損時の
ガラスの飛散防止性が向上する。
【0050】
【実施例】以下、この発明の実施例及び比較例を示す。実施例1 (a)アルコキシシリルスピロ化合物の調製 (I)ジメトキシメチル-3- ヨードプロピルシラン(I
(CH2)3 Si(OMe)2 Me)の合成 ヨウ化ナトリウム145gを無水アセトンに溶かし、こ
れに3-クロロプロピルジメトキシメチルシラン(Cl
(CH2)3 Si(OMe)2 Me、チッソ社製)25g
加えた。この混合液を8時間還流し、冷却後生じた沈澱
(塩化ナトリウム)を濾過して取り除いた。得られた濾
液を減圧濃縮した後、蒸留してジメトキシメチル-3- ヨ
ードプロピルシランを得た。
【0051】(II)2,3,3-トリメチルインドレニンの4級
化 2,3,3-トリメエチルインドレニン(東京化成社製)15
gをアセトニトリル50mlに溶かし、この溶液に上記
のジメトキシメチル-3- ヨードプロピルシラン25gを
加え、5時間還流し、2,3,3-トリメチルインドレニンの
4級化を行った。
【0052】(III) スピロベンゾピラン化合物の合成 上記の4級化された2,3,3-トリメチルインドレニンを含
有する溶液の1/4にトリエチルアミン3mlを添加し
反応させて、2-メチレンインドリンを生成させた。
【0053】この反応溶液に、さらに5-ニトロサリチル
アルデヒド(O2 N- C6 3(OH)CHO、東京化成
社製)3gを加えて、2時間還流した。還流後、アセト
ニトリルを留去し残留物を得た。この残留物からベンゼ
ン可溶物を取り出し、ベンゼンを濃縮した後、エタノー
ルに溶解し再結晶させ、粗生成物7.6gを得た。
【0054】この粗生成物をカラムクロマトグラフィー
(ワコーゲル、ベンゼン)によって精製して得られた生
成物を、さらにエタノールで再結晶させ、下記式(1
5)に示すアルコキシシリルスピロ化合物(スピロベン
ゾピラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OMe)2
eを導入したもの)の純品3.6gを得た。
【0055】
【化15】
【0056】このようにして得られるアルコキシシリル
スピロ化合物1.3mgとジメチルジエトキシシラン
1.5gとを水0.7gとトリエチルアミン0.4ml
によりエタノール4ml溶液中で、加水分解、共縮合さ
せて、側鎖にフォトクロミック性スピロ構造を有する基
が付与されたポリシロキサンオリゴマーを得る。
【0057】すなわち、上記のアルコキシシリルスピロ
化合物とジメチルジエトキシシランと水とトリエチルア
ミンのエタノール溶液を室温で6日間放置し、ガスクロ
分析によりジメチルジエトキシシランの全量が消費され
たことをガスクロ分析により確認し、反応を終結させ
た。
【0058】(b)フォトクロミック有機−無機ハイブ
リッド体の合成 こうして得られるポリシロキサンオリゴマーを分離する
ことなく、この反応系に、エタノール2mlにテトラエ
トキシシラン1.17gを溶解した溶液を加えた。そし
て、この反応混合溶液を直径30mmの底の平らなガラス
容器に移し、セロテープで封止して室温で2日間放置す
るとゲル化する。
【0059】セロテープを取り去りビーカーを被せた状
態で5日間室温で乾燥し、さらに65℃で24時間乾燥
して厚さ0.8mmのハイブリット体を得た。このハイブ
リット体は透明で、少しフレキシブルであり、前記式
(13)に示すような、側鎖にフォトクロミック性スピ
ロ構造を有する基が付与されたポリシロキサン骨格の両
末端に、シリカガラス体が結合されてなるフォトクロミ
ック有機−無機ハイブリッド体であった。
【0060】なお、前記式(13)において、中央部分
のポリシロキサン骨格は直鎖状で、約13個のシロキサ
ン結合(Si−O結合)を有し、フォトクロミック性ス
ピロ構造を有する基は、シロキサン結合にランダムに付
与されている。
【0061】このハイブリット体は、紫外線照射(キセ
ノンランプ、色ガラスフィルターにより不要の光をカッ
トして波長を330±80nmに調整した紫外線)により
赤紫色に着色し、可視光又は暗所に放置すると消色し、
着色と消色の様子は、従来の相当するスピロベンゾピラ
ン化合物と同様であった。
【0062】(c)フォトクロミック合わせガラスの製
上記(b)で得られたフォトクロミック有機−無機ハイ
ブリッド体の膜を用いて、フロートガラス板(厚さ3m
m)/中間膜(厚さ0.5mm)/ハイブリッド体の膜
(厚さ0.8mm)/中間膜(厚さ0.5mm)/フロート
ガラス板(厚さ3mm)ガラス板の順で積層した。
【0063】なお、上記の中間膜は、ポリビニルブチラ
ール樹脂(重合度1700、ブチラール化度66モル
%)100重量部に可塑剤としてトリエチレングリコー
ルジ-2- エチルブチレート40重量部を混合し、110
℃のロールで練って厚さ0.5mmの膜に成形したものを
使用した。
【0064】この積層構成体をゴム製バッグに入れ、真
空度10torrに減圧した後、全系を120℃に加熱
し30分保持した。その後、冷却して減圧を解き、これ
をゴム製バッグから取り出した。取り出した積層構成体
をオートクレーブ容器に入れて140℃、13 kg/cm
2 の恒温恒圧下にて20分間保持した。冷却後、圧力解
放して積層構成体を取り出し、フォトクロミック合わせ
ガラスを得た。
【0065】(d)フォトクロミック合わせガラスの評
得られたフォトクロミック合わせガラスは、透明で発泡
のないきれいな状態であり、各層どうしの接着状態も良
好であった。このフォトクロミック合わせガラスについ
て、次の方法により、初期評価及び経時評価を行った。
また、接着性評価(パンメル試験)を行った。その結果
を表2に示す。さらに、JIS R3212(自動車安
全ガラス試験)に準拠し、耐熱性試験、耐光性試験、耐
湿性試験、耐貫通性試験および耐衝撃性試験を行った。
【0066】初期評価 製造直後の合わせガラスについて、JIS R3212
に準拠し、可視光線透過率を測定した。また、10Wの
殺菌灯を10cmの距離から1分間照射した後の可視光線
透過率を測定した。なお、可視光線透過率は、JIS
R3212に準拠して測定した。
【0067】経時評価 120℃で1カ月放置した後の製造直後の合わせガラス
について、上記と同様にして可視光線透過率を測定し
た。この経時評価によって、ホトクロミック性の耐熱性
と耐久性を判定することができる。
【0068】接着性評価(パンメル試験) 合わせガラスを、−18℃±0.6℃の温度に16±4
時間放置して調整し、これをハンマーで打って、粉砕さ
れたガラスが部分剥離した後の中間膜の露出度を、下記
表1に示したように、予めグレード付けしたパンメル値
で判定した。
【0069】
【表1】
【0070】上記自動車安全ガラス試験については、初
期の段階でも経時の段階でも良好な結果が得られ、自動
車安全ガラスとしての要求品質を満足するものであっ
た。なお、後述の実施例2〜8及び比較例1〜6におい
ても、同様に良好な結果が得られた。
【0071】実施例2 実施例1において、アルコキシシリルスピロ化合物とし
て、下記式(16)で表される化合物(スピロベンゾピ
ラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OEt)2Meを
導入したもの)1.3mgを用いた。それ以外は実施例
1と同様に行った。
【0072】
【化16】
【0073】上記式(16)に示した化合物の調製は、
次のように行った。すなわち、実施例1の(a)におい
て、3-クロロプロピルジメトキシメチルシラン(Cl
(CH 2)3 Si(OMe)2 Me)に替えて、3-クロロ
プロピルジエトキシメチルシラン(Cl(CH2)3 Si
(OEt)2 Me、東芝シリコーン社製)25gを用い
た。それ以外は実施例1の(a)と同様に行った。
【0074】実施例3 実施例1において、アルコキシシリルスピロ化合物とし
て、下記式(17)で表される化合物(スピロオキサジ
ン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OMe)2Meを導
入したもの)1.3mgを用いた。それ以外は実施例1
と同様に行った。
【0075】
【化17】
【0076】上記式(17)に示した化合物の調製は、
次のように行った。すなわち、実施例1の(III) におい
て、2-メチレンインドリンを生成した後、5-ニトロサリ
チルアルデヒドに替えて、1-ニトロソ-2- ナフトール
(和光社製)3.2gを加えて3時間還流した。それ以
外は実施例1の(III) と同様に行った。
【0077】実施例4 実施例1において、アルコキシシリルスピロ化合物とし
て、下記式(18)で表される化合物(スピロオキサジ
ン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OEt)2Meを導
入したもの)1.3mgを用いた。それ以外は実施例1
と同様に行った。
【0078】
【化18】
【0079】上記式(18)に示した化合物の調製は、
次のように行った。すなわち、実施例1の(a)におい
て、3-クロロプロピルジメトキシメチルシラン(Cl
(CH 2)3 Si(OMe)2 Me)に替えて、3-クロロ
プロピルジエトキシメチルシラン(Cl(CH2)3 Si
(OEt)2 Me、東芝シリコーン社製)25gを用い
た。それ以外は実施例1の(a)と同様に行った。
【0080】また、実施例1の(III) において、2-メチ
レンインドリンを生成した後、5-ニトロサリチルアルデ
ヒドに替えて、1-ニトロソ-2- ナフトール(和光社製)
3.2gを加えて3時間還流した。それ以外は実施例1
の(III) と同様に行った。
【0081】実施例5 シラノール末端ポリシロキサン(平均分子量400〜7
00、チッソ社製のポリジメチルシロキサンズシラノー
ルターミネーティッド Sp340)1.5gとテトラ
エトキシシラン1.17gとを、エタノールmlに溶解
した溶液に、下記式(19)で表されるアルコキシシリ
ルスピロ化合物(スピロベンゾピラン化合物のN−位に
(CH2)3 Si(OEt)3を導入したもの)0.3mg
を加えて反応させた。
【0082】
【化19】
【0083】この反応混合溶液を、直径30mmの底の平
らなガラス容器に移し、セロテープで封止して室温で2
日間放置するとゲル化する。セロテープを取り去りビー
カーを被せた状態で5日間室温で乾燥し、さらに50℃
で12時間、65℃で22時間乾燥して厚さ0.8mmの
ハイブリット体を得た。このハイブリット体は透明で、
少しフレキシブルであり、前記式(14)に示すよう
な、ポリシロキサン骨格の両末端に、フォトクロミック
性スピロ構造を有する基が付与されたシリカガラス体が
結合されてなるフォトクロミック有機−無機ハイブリッ
ド体であった。
【0084】なお、前記式(14)において、中央部分
のポリシロキサン骨格は直鎖状で、約13個のシロキサ
ン結合(Si−O結合)を有するもので、フォトクロミ
ック性スピロ構造を有する基は、シリカガラス体にラン
ダムに付与されている。
【0085】このハイブリット体は、紫外線照射(キセ
ノンランプ、色ガラスフィルターにより不要の光をカッ
トして波長330±80nmに調整した紫外線)により赤
紫色に着色し、可視光又は暗所に放置すると消色し、着
色と消色の様子は、従来の相当するスピロベンゾピラン
化合物と同様であった。
【0086】得られたフォトクロミック有機−無機ハイ
ブリッド体の膜(厚さ0.8mmを用いて、フロートガラ
ス板(厚さ3mm)/中間膜(厚さ0.5mm)/ハイブリ
ッド体の膜/中間膜(厚さ0.5mm)/フロートガラス
板(厚さ3mm)ガラス板の順で積層した。それ以外は実
施例1と同様に行った。
【0087】実施例6 実施例5において、アルコキシシリルスピロ化合物とし
て、下記式(20)で表される化合物(スピロベンゾピ
ラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OMe)3を導入
したもの)0.3mgを用いた。それ以外は、実施例5
と同様に行った。
【0088】
【化20】
【0089】実施例7 実施例5において、アルコキシシリルスピロ化合物とし
て、下記式(21)で表される化合物(スピロオキサジ
ン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OEt)3を導入し
たもの)0.3mgを用いた。それ以外は実施例5と同
様に行った。
【0090】
【化21】
【0091】実施例8 実施例6において、アルコキシシリルスピロ化合物とし
て、下記式(22)で表される化合物(スピロオキサジ
ン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OMe)3を導入し
たもの)0.3mgを用いた。それ以外は実施例5と同
様に行った。
【0092】
【化22】
【0093】比較例1 実施例1において、アルコキシシリルスピロ化合物(ス
ピロベンゾピラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(O
Me)2Meを導入したもの)1.3mgを全く使用しな
かった。それ以外は実施例1と同様に行った。
【0094】比較例2 実施例1において、側鎖にフォトクロミック性スピロ構
造を有する基が付与されたポリシロキサンオリゴマーを
得た後、これをテトラエトキシシランと反応させてハイ
ブリット体とすることなく、上記のポリシロキサンオリ
ゴマー(流動状態)の混合溶液をガラス板表面に滴下し
た後、直ちにこのガラス板を垂直にして余分な混合溶液
を流れ落とした。
【0095】その後、ガラス板上に残った混合溶液を室
温で24時間、さらに75℃で48時間乾燥させること
により反応が進み、ガラス板上にスピロベンゾピラン化
合物がシロキサンネットワークに組み込まれたフォトク
ロミック層が形成されたフォトクロミックガラスを得
た。
【0096】このフォトクロミックガラスのコーテイン
グ面/中間膜/フォトクロミックガラスのコーテイング
面の順に積層し、以後は実施例1と同様に行った。
【0097】比較例3 実施例5において、アルコキシシリルスピロ化合物(ス
ピロベンゾピラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(O
Et)3を導入したもの)0.3mgを全く使用しなかっ
た。それ以外は実施例5と同様に行った。
【0098】比較例4 実施例5において、アルコキシシリルスピロ化合物(ス
ピロベンゾピラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(O
Et)3を導入したもの)1.3mgに替えて、下記式
(23)で示すアルコキシシリル基を持たないスピロベ
ンゾピラン化合物0.2mgを用いた。それ以外は実施
例5と同様に行った。この場合、ハイブリッド体は白濁
していた。
【0099】
【化23】
【0100】比較例5 実施例5において、シラノール末端ポリシロキサン1.
5gを全く使用しなかった。それ以外は実施例5と同様
に行った。この場合、ハイブリッド体は硬くてフレキシ
ブル性がなく、白濁していた。
【0101】比較例6 実施例1において、アルコキシシリルスピロ化合物(ス
ピロベンゾピラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(O
Me)2Meを導入したもの)1.3mgに替えて、前記
式(23)で示すアルコキシシリル基を持たないスピロ
ピラン化合物0.2mgを用いた。それ以外は実施例1
と同様に行った。
【0102】
【表2】
【0103】
【発明の効果】上述の通り、この発明のフォトクロミッ
ク有機−無機ハイブリッド体は、側鎖にフォトクロミッ
ク性スピロ構造を有する基が付与されたポリシロキサン
骨格の両末端にシリカガラス体が結合されているか、或
いはポリシロキサン骨格の両末端にフォトクロミック性
スピロ構造を有する基が付与されたシリカガラス体が結
合されているので、耐熱性及び耐久性に優れ、高温下に
て繰り返し長期間使用した後もフォトクロミック機能を
保持することができる。
【0104】また、このハイブリッド体を用いて得られ
る合わせガラスも、耐熱性及び耐久性に優れ、高温下に
て繰り返し長期間使用した後もフォトクロミック機能を
保持することができる。特に、中間膜を接着した場合
は、この中間膜により衝撃に対する耐貫通性と破損時の
ガラスの飛散防止性が向上する。
【0105】したがって、この発明のフォトクロミック
有機−無機ハイブリッド体は、光記録材料や調光材料に
好適で、また、この発明のフォトクロミック合わせガラ
スは、窓ガラス、間仕切り、眼鏡などに好適に用いられ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖にフォトクロミック性スピロ構造を
    有する基が付与されたポリシロキサン骨格の両末端に、
    シリカガラス体が結合されていることを特徴とするフォ
    トクロミック有機−無機ハイブリッド体。
  2. 【請求項2】 ポリシロキサン骨格の両末端に、フォト
    クロミック性スピロ構造を有する基が付与されたシリカ
    ガラス体が結合されていることを特徴とするフォトクロ
    ミック有機−無機ハイブリッド体。
  3. 【請求項3】 透明ガラス板の間に、請求項1又は2記
    載のフォトクロミック有機−無機ハイブリッド体或いは
    このハイブリッド体と中間膜の両方が接着されているこ
    とを特徴とするフォトクロミック合わせガラス。
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