JPH0630101Y2 - 化粧用コンパクト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は化粧材が充填される中皿の交換を簡単に行な
える化粧用コンパクトに関するものである。

従来の技術とその課題 この種のコンパクトにおいて、中皿は、充填された化粧
材がなくなった場合や、各種の化粧材を携帯したい場合
に、中皿だけを交換することにより１個のコンパクトで
足りるようにするために用いられている。

従来、このような中皿は、下蓋に形成された中皿嵌合用
凹所に収容され、例えば接着剤や両面テープ等で取付け
られている。したがって、交換する際にはこれら接着剤
や両面テープで取付けられた中皿を下蓋の凹所から強引
に取り外すしか方法がなく、交換が面倒で、極端な場合
には取り外すときに中皿や下蓋を破損してしまう虞れが
あるという問題点があった。

この考案は、前記のような従来の問題点を解決し、コイ
ン等の操作部材を下蓋に形成したスリットに挿し込むこ
とにより、中皿を容易に下蓋の凹所から取り外せて、そ
の交換が極めて簡単であり、しかも部品数を極力少なく
して、構造が簡素で安価に製作することが可能な化粧用
コンパクトを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段 前記目的を達成するため、この出願の考案は、中央部に
上部開口の化粧材充填用凹部を有し、前端部および後端
部の外面に係合凹部が形成され、かつ少なくとも後端部
の係合凹部より下方の外面が内方に向かって下向き傾斜
のテーパ面に形成された中皿と、この中皿を収容する中
皿嵌合用凹所を有する下蓋とを具えている。下蓋の中皿
嵌合用凹所を形成する後端壁近傍の該凹所内の底壁に
は、後端壁に沿って上下に貫通し、コイン等の操作部材
が挿入可能な大きさのスリットが、後端壁が前後方向に
弾性変形可能なように形成されている。下蓋の中皿嵌合
用凹所を形成する前端壁および後端壁の内面には、中皿
が収容された状態でその前端部および後端部の係合凹部
と離脱可能に係合する係合突部が設けられている。下蓋
の後端壁は、中皿が収容された状態で下方からスリット
に挿入される前記操作部材が中皿のテーパ面に当接した
後も挿入されることにより後方へ撓み、その係合突部を
中皿の後端部の係合凹部から離脱させるようになってい
る。

作用 下蓋の凹所に収容された中皿を交換するには操作部材を
下方からスリットへ挿し込み、操作部材の先端が中皿の
テーパ面に当接した後も挿し込みをつづける。これによ
り、下蓋の凹所を形成する後端壁が後方へ撓み、該後端
壁の係合突部が中皿の後端部に設けられた係合凹部から
離脱するとともに、中皿の後端部側が操作部材によって
持ち上げられ、取り外し可能な状態となる。そして、取
外し後、新しい同構造の中皿を取付けるには、該中皿の
前端部の係合凹部を下蓋の凹所を形成する前端壁の係合
突部に係合させた後、中皿の後端部側を押下する。この
押下により中皿はテーパ面が下蓋の凹所を形成する後端
壁の係合突部に当り、当接した後も押下することにより
後端壁を後方へ撓ませてここを乗り越え、中皿の後端部
の係合凹部が該係合突部に係合する。

実施例 第1A図乃至第1E図において下蓋１には上蓋２がその後端
部を枢支されて開閉自在に取付けられており、上蓋２を
閉蓋した際、それぞれ前端部に設けた係止突起３，４が
互いに係止して、閉蓋状態となるようになっている。

下蓋１には，上方開口の方形の中皿嵌合用凹所５が形成
され、該凹所を形成する前端壁および後端壁の内面には
係合突部６，７が設けられている。係合突部６，７の上
面は凹所５のある内方に向かって下向き傾斜したテーパ
面６ａ，７ａに形成されている。

下蓋１の凹所５内には方形の中皿８が収容されている。
中皿８は中央部に上部開口の化粧材充填用凹部10が形成
され、また前端部および後端部の外面に、収容された状
態で係合突部６および係合突部７と離脱可能に係合する
係合凹部11，12が形成され、さらにこれら係合凹部11、
12の下方の外面には内方に向かって下向きに傾斜したテ
ーパ面13，14が形成されている。

下蓋１の凹所５を形成する後端壁は枢支のための凹部の
形成により肉薄となっており、該後端壁と接する凹所５
内の底壁には、後端壁に沿ってそのほぼ全長にわたり延
び、かつ中皿８のテーパ面14の内深さの幅Ｗをもったス
リット15が上下に貫通して設けられている。スリット15
の幅Ｗは、第1E図に示すようにコイン等の操作部材17が
挿入可能な大きさとなっている。18は上蓋２の裏面に装
着された鏡、19はパフ、20は両蓋１，２を閉蓋する際に
係止突起３と係止突起４の係止を外すためのフック部材
である。

中皿８を交換するには、第1E図からわかるように操作部
材17を下方からスリット15へ挿し込み、その先端が中皿
８のテーパ面14に当接した後も挿し込むと、下蓋１の後
端壁が鎖線位置から実線位置へ撓み、該後端壁の係合突
部７が中皿８の後端部の係合凹部12から離脱するととも
に、中皿８の後端部側が操作部材17によって持ち上げら
れる。しかる後、この持ち上げられた中皿８の後端部を
指でつまんで、中皿８の前端部の係合凹部11を下蓋１の
前端壁の係合突部６から離脱させることによって取り出
す。取外し後、新しい同構造の中皿８を取付けるには、
該中皿の前端部の係合凹部11を下蓋１の前端壁の係合突
部６に係合させた後、中皿８の後端部側を押下する。こ
の押下により中皿８のテーパ面14が下蓋１の後端壁の係
合突部７のテーパ面７ａに当り、当接した後も押下する
ことにより後端壁を後方へ撓ませて係合突部７を乗り越
え、係合突部７が係合凹部12に係合し、これで取付けが
終了する。なお、中皿８および下蓋１の前端側にもテー
パ面６ａ，13があるので、前記において中皿８を水平状
態を保って押下し、取付けるようにしてもよい。

考案の効果 操作部材をスリットに挿入することによって、下蓋の凹
所を形成する後端壁を後方へ撓ませ、中皿の後端部の係
合凹部を下蓋の後端部の係合突部から離脱させることに
より、容易に中皿を取り外して、新しい中皿と簡単かつ
迅速に交換することができる。また、操作部材として例
えばコイン等を利用できて、コンパクトを構成する下蓋
の外方から操作するようになっているため、下蓋に中皿
取外し用の格別な操作部材を設ける必要がなく、構造を
簡素化でき、製作コストの低減を図ることができるとい
う優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第1A図はこの考案の実施例を示す縦断正面図、第1B図は
下蓋の平面図、第1C図は中皿の平面図、第1D図は中皿の
側面図、第1E図は作用を説明する部分拡大断面図であ
る。 １…下蓋、２…上蓋、３，４…係止突起 ５…中皿嵌合用凹所、６，７…係合突起 ８…中皿、11，12…係合凹部 13，14…テーパ面、15…スリット 17…操作部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中央部に上部開口の化粧材充填用凹部を有
   し、前端部および後端部の外面に係合凹部が形成され、
   かつ少なくとも後端部の係合凹部より下方の外面が内方
   に向かって下向き傾斜のテーパ面に形成された中皿と、
   この中皿を収容する中皿嵌合用凹所を有する下蓋とを具
   え、この下蓋の中皿嵌合用凹所を形成する後端壁近傍の
   該凹所内の底壁に、後端壁に沿って上下に貫通し、コイ
   ン等の操作部材が挿入可能な大きさのスリットを、後端
   壁が前後方向に弾性変形可能なように形成し、前記下蓋
   の中皿嵌合用凹所を形成する前端壁および後端壁の内面
   に、中皿が収容された状態でその前端部および後端部の
   係合凹部と離脱可能に係合する係合突部を設け、前記下
   蓋の後端壁は、中皿が収容された状態で下方からスリッ
   トに挿入される前記操作部材が中皿のテーパ面に当接し
   た後も挿入されることにより後方へ撓み、その係合突部
   を中皿の後端部の係合凹部から離脱させるようになって
   いることを特徴とする化粧用コンパクト。