JPH0629953Y2 - コンバインにおける籾タンクの籾回収装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、コンバインにおける籾タンクの籾回収装置に
関するものである。

従来の技術 コンバインの籾タンクは、一般にクローラ走行装置を有
する走行フレームの一側に搭載されているが、作業の能
率化等の要請により籾タンク内の籾を袋詰めすることな
くトラック等の運搬車に直接移載するようにした方式
（グレーンタンク方式）のものが多くなってきている。
このようなものにおいては籾タンク内底部に搬送螺旋等
の籾搬送体を横架し、該籾搬送体でタンク内の籾をタン
ク外に移送した後螺旋排出筒等で運搬車に揚穀投入する
ようになっている。

考案が解決しようとする問題点 そしてかかる籾タンクにおいては、搬送詰まり時や機体
格納時等にタンク内の籾を回収したりタンク内を掃除す
るための掃除口が設けられているが、掃除口は一般に籾
搬送体下方のタンク底板に開設されているものが多いた
め、走行フレームやクローラ等に邪魔されて掃除や籾の
回収作業の際無理な姿勢を強いられるばかりでなく掃除
口の蓋を不用意に開ければタンク内の籾がすぐ圃場に落
下してしまうため慎重な作業を必要とするうえ、時間も
多くかかる等の欠点があった。

問題点を解決するための手段 そこで本考案は、籾タンクの内底部にスクリュウコンベ
アからなる籾搬送体を横架したコンバインにおいて、上
記籾搬送体の外側方に位置して籾タンク下部に掃除口を
設け、籾タンクの底板を外側方に一体に延出し、該籾タ
ンク底板の延出部に連続するように籾受フロアを機体固
定側に起倒自在に装着すると共に、前記籾タンクには掃
除口を開閉する蓋体を籾搬送体に接近させた状態で着脱
自在に設け、掃除口を閉じた状態では前記蓋体が籾搬送
体の搬送案内板となるように構成したことにより、上記
の問題点を解消しようとするものである。

作用 籾受フロアを倒伏させて、掃除口の蓋体を開けても籾搬
送体の下方部は開口されていないのでタンク内の残留籾
は圃場に落下することはない。そして籾タンク内の籾
を、延出されたタンク底板を通して手で籾受フロアまで
掻出した後袋等へ回収する。

実施例 第４図はコンバインの全体構造を示すものであって、ク
ローラ走行装置１を有する走行機体２の前部に運転席３
が設けられ、その後方一側に脱穀部４が、他側には籾タ
ンク５が、また籾タンク５の後方にはエンジン６が夫々
配設されている。７は走行機体２の前方に昇降自在に装
着された前処理部で、該前処理部７で刈取られた穀稈は
図示外の搬送装置で脱穀部４に搬送されて脱穀され、脱
穀物は選別部（図示せず）で選別された後、穀粒（精
粒）は籾タンク５に移送投入されるようになっている。
そして籾タンク５内の籾が満量になるとタンク５内底部
に横架された搬送螺旋（籾搬送体）８で機体後方に搬送
され、揚穀筒９を介し運搬車（図示せず）に連続的に揚
穀投入されるようになっている。尚上記籾タンク５の前
面部に第５図図示の如くクッション部材３ａを接着した
アール部３ｂを設け、該アール部３ｂに運転席３の背当
て部３′が位置するように構成してもよい。

上記アール部３ｂは背当て部３′のアール面と略同一の
アール面になっているので運転者の後部保持性が良くな
り、長時間作業における疲労度が軽減される。

図中１０は籾タンク５の外側部に設けた籾取出し口、１
１は籾袋吊下用のハンガー、１２は把手である。

ところで本考案においては、第２図及び第３図等に示す
ように籾搬送体８の外側方に位置して籾タンク５下部に
掃除口１３が籾搬送体８の搬送長の略全長にわたって設
けられ、また籾搬送体８下方の底板１４は外側方即ち掃
除口側に向け一体に延出されている。図示例には底板１
４を走行フレーム１５の外側端縁上方まで延出した構造
のものが示されている。１６は籾受フロアで、該籾受フ
ロア１６は上記底板１４の延出部１４ａに連続するよう
な状態で機体固定側に例えば走行フレーム１５又は籾タ
ンク５自体に起倒自在に装着されていて、籾受フロア１
６を倒伏させた時にはその回動始端部側が底板延出部１
４ａに連接状となり（第２図参照）、起立させた時には
籾タンク５の外側面下方部を覆うカバー体となるように
なっている（第１図参照）。尚、籾受フロア１６を起立
状態に保持するためにストッパ等の保持具を機体側の適
宜部位に設けてもよい。１７は掃除口１３を開閉する蓋
体で、この蓋体１７は籾搬送体８の一側に接近させた状
態で着脱自在に設けられており、掃除口１３を閉じた状
態では蓋体１７が籾搬送体８の搬送案内板となるように
構成されている。実施例では、蓋体１７は、下端部を籾
搬送体８の下方に臨ませた状態で籾タンク５に傾斜状に
取り付けられており、その下端縁は底板１４に密接に接
合させてある。そして、蓋体１７と該蓋体１７に対向す
るタンク側板とにより籾搬送体８の左右両側を近接状態
で囲う漏斗状部が形成され、底板１４とこの漏斗状部と
により籾搬送体８の搬送作用を協働分担する倒山形状の
螺旋樋が形成されるようになっていて、この螺旋樋構造
により、籾搬送体８による搬送作用が良好に行われるよ
うに配慮されている。そのため、従来のもののようにタ
ンク底板１４の一部を殊更下方に凹陥させて特に籾が詰
まり易くかつ掃除がしにくい円弧状の螺旋樋を形成しな
くともよいようになっている。１８は上記延出部１４ａ
に設けた止め部で、この止め部１８に蓋体１７を係止さ
せると共に止着具１９で蓋体１７を籾タンク５に固定す
るようになっている。尚、底板１４の延出部１４ａに止
め部１８を設けているので止め部１８の取付けスペース
が広く取れるようになっている。

叙上の如き構成において、刈取作業中籾タンク５が満杯
となると、刈取作業を一旦中断し、タンク５内の籾の排
出作業を開始するが、この籾排出の際、掃除口１３を閉
じている蓋体１７が籾搬送体８の一側に接近させた状態
にあり、しかも、蓋体１７と該蓋体１７に対向するタン
ク側板及びタンク底板１４とにより倒山形状の螺旋樋が
形成されるで、タンク底板１４自体に籾搬送体８が嵌入
する円弧状の螺旋樋を殊更設けなくとも籾の搬送作用は
常に良好に行われる。さて、籾タンク５内の掃除を行う
時には、第２図に示すように、先ず籾受フロア１６を倒
伏させた後、掃除口１３の蓋体１７を矢印方向に引き抜
き、タンク５内の残留籾を底板１４の延出部１４ａを通
して手で籾受フロア１６まで掻出し、一旦籾受フロア１
６上に寄せ集めた後、袋等に回収する。これにより従来
のもののように走行フレーム１５やクローラ走行装置１
に邪魔されることなくタンク５側方の掃除口１３から楽
な作業姿勢で籾の回収及び掃除を容易に行うことができ
る。この際、蓋体１７を取り外すことにより、籾の詰ま
りや残留が一番発生し易くかつ掃除がしにくい籾搬送体
８とタンク底板１４との間が一側方から搬送長の略全長
にわたって開放されるので、籾搬送体８の外側方に位置
して籾タンク５の下部に設けた掃除口１３でありなが
ら、掃除口１３から手を差入れてタンク５内の残留籾を
籾搬送体８とタンク底板１４間に残留する籾等まで籾搬
送体の略全長にわたって隅々まで確実に回収できる。と
ころで蓋体１７を開ける時には必ず籾受フロア１６が第
２図に示す倒伏状態にあるから、例え残留籾が掃除口１
３方向に流出しても圃場に落下することなく籾受フロア
１６に確実に受止められる。また籾受フロア１６の起立
時は機体走行の邪魔になることがないばかりか籾タンク
５の外側面下方部を覆うカバー体となるから極めて好都
合である。

考案の効果 本考案は上記したように、籾タンクの内底部にスクリュ
ウコンベアからなる籾搬送体を横架したコンバインにお
いて、上記籾搬送体の外側方に位置して籾タンク下部に
掃除口を設け、籾タンクの底板を外側方に一体に延出
し、該籾タンク底板の延出部に連続するように籾受フロ
アを機体固定側に起倒自在に装着すると共に、前記籾タ
ンクには掃除口を開閉する蓋体を籾搬送体に接近させた
状態で着脱自在に設け、掃除口を閉じた状態では前記蓋
体が籾搬送体の搬送案内板となるように構成したから、
籾タンク内の掃除の際、残留籾の取り出しが走行フレー
ムやクローラ走行装置等に邪魔されることなく楽な姿勢
で極めて容易に行うことができ、しかも、蓋体を取り外
すことにより籾の詰まりや残留が一番発生し易くかつ掃
除がしにくい籾搬送体とタンク底板（螺旋樋）との間が
一側方から開放されるので、籾搬送体の外側方に位置し
て籾タンクの下部に設けた掃除口でありながら、籾搬送
体とタンク底板間に残留する籾等まで確実に回収でき、
そのうえ蓋体が籾搬送体の搬送案内板の作用を果たすの
で、タンク底板の一部を下方に凹陥して特に籾が詰まり
易くかつ掃除がしにくい円弧状の螺旋樋を殊更設けるの
を不要とすることができ、また、タンク内掃除の際、タ
ンク内の籾が不用意に圃場に落下するのを防止し得て残
留籾を無駄なく回収することができるうえ、籾受フロア
を介して残留籾の袋詰めが簡単にでき、しかも籾受フロ
アの不使用時は籾受フロアが籾タンク等を保護するカバ
ー体となるので極めて好都合である。

【図面の簡単な説明】

第１図は籾受フロアを起立させた状態を示す要部の断面
図、第２図は籾受フロアを倒伏させた状態を示す要部の
断面図、第３図は要部の作用を示す斜視図、第４図は本
考案を装備したコンバインの全体側面図、第５図は籾タ
ンクと運転席の関係を示す平面図である。 図中、５は籾タンク、８は籾搬送体、１３は掃除口、１
４は底板、１４ａは延出部、１６は籾受フロア。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】籾タンクの内底部にスクリュウコンベアか
   らなる籾搬送体を横架したコンバインにおいて、上記籾
   搬送体の外側方に位置して籾タンク下部に掃除口を設
   け、籾タンクの底板を外側方に一体に延出し、該籾タン
   ク底板の延出部を連続するように籾受フロアを機体固定
   側に起倒自在に装着すると共に、前記籾タンクには掃除
   口を開閉する蓋体を籾搬送体に接近させた状態で着脱自
   在に設け、掃除口を閉じた状態では前記蓋体が籾搬送体
   の搬送案内板となるように構成したことを特徴とするコ
   ンバインにおける籾タンクの籾回収装置。