JPH0629439B2 - 石炭系重質油の精製方法 - Google Patents

石炭系重質油の精製方法

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JPH0629439B2
JPH0629439B2 JP58175757A JP17575783A JPH0629439B2 JP H0629439 B2 JPH0629439 B2 JP H0629439B2 JP 58175757 A JP58175757 A JP 58175757A JP 17575783 A JP17575783 A JP 17575783A JP H0629439 B2 JPH0629439 B2 JP H0629439B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は石炭系重質油を水素化分解し、炭素材原料とし
て精製する方法に関する。
〔従来の技術〕
石炭系重質油は、炭素材の原料として好ましい高い芳香
族性、六員環平面構造を有する反面、高温の熱履歴によ
り生成した極めて高分子量の成分を含み、高粘性でコー
キングしやすいなどの好ましくない性質を有している。
このような炭素材料として好ましくない特性の多くは、
石炭系重質油を固体触媒の存在下で水素添加することに
より改質される。すなわち、重質油中の高分子量成分は
水素添加することにより、分解され、低分子化し、ナフ
テン化して芳香族性が低下し、重質油の粘度は低下し、
熱的に安定でコーキングしにくい性質を付与できる。こ
の際、有用な中・軽質油分も多量に副生する。
ところが石炭系重質油を水素添加する際、通常、固体触
媒を使用するため、水素添加物中に触媒粒子の浸入は避
けがたい。また、もともと石炭系重質油中には灰分、フ
リーカーボン、分子量の極めて大きな不活性炭素質が含
まれている。これらの成分は不溶性であり、これらの不
活性成分を含んだまま炭素材料として使用すると製造時
あるいは製品品質上大きな問題となる。たとえば、特に
これらの不溶成分を含有したまま炭素繊維を製造した場
合、ノズルの目詰まり、糸切れの原因となり、紡糸が困
難になる。また不溶性成分中の灰分、触媒等は炭化、黒
鉛化して製品としても、高温度で処理するため、これら
が溶融揮発し、製品中に欠陥が生じ、強度の低下をきた
す。
以上のように、炭素材料を製造する際、不溶性の成分を
完全に除去することが望ましいが、石炭系重質油のよう
に高粘度物質からの完全除去は容易ではない。不溶成分
を除去する方法としては従来、キノリンのような重質油
を溶解する溶剤で溶解し、遠心分離、濾過等の方法でキ
ノリン不溶分として除去していた。この方法では、不溶
分の粒径の極めて小さいものは、固液分離性が悪く、工
業化することは困難であった。また他には、重質油中の
不溶成分の有効な除去方法がないのが現状である。
一方、石炭系重質油中のフリーカーボンのような微粒状
不溶分を除去する方法として、本出願人は、特開昭56-4
9791号において、沸点270℃以下の軽質油を除去した
石炭系重質油に沸点200℃以下のケトン類溶剤を配合
し、混合液中に生成する不溶性沈澱物を除去し、配合し
たケトン類溶剤を分離する石炭系重質油の精製方法を提
案した。
この方法はキノリン不溶分を容易に除去でき経済的であ
るが、沸点270℃をこえる重質油を水素添加等の処理
を行うことなく、そのままケトン類溶剤を加えてガム状
の不溶性沈澱物を析出させている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、その不溶性沈澱物中に炭素材料の成分(ピッ
チ)を多量に含むアセトン配合比の領域が存在するの
で、キノリン不溶分の除去を工業的に効率的に行うこと
が不可能であった。
さらに、こうして得られたアセトン可溶分をニトロ化し
て改質し、炭素材料としていたので収率も悪く、工程も
複雑なものであった。
したがって、本発明の主たる課題は、効率的に石炭系重
質油を精製することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、沸点360℃以下の中・軽質油分を除去した
重質油に1.0〜3.5%の水素添加を行うことにより重質油
を改質し副生する中・軽質油分も得、水素化重質油にア
セトンを配合し、不溶性沈澱物を除去することにより炭
素材料原料を効率的に得るものである。
さらに添加したアセトン溶剤の回収を可能にすることに
より、全体として、キノリン不溶分を効率的に除去して
炭素材の高品質かつ安定した製造を保証し、沸点が36
0℃以下の副生物の有効利用を図ることができ、しかも
添加アセトン溶剤の回収を行うことができる石炭系重質
油の精製方法を提供するものである。
より具体的には、沸点が360℃以下の軽質油分を除去
した石炭系重質油を、水素を1.0〜3.5%添加して触媒の
存在下で水素化分解を行い、生成した中・軽質油分を除
去し、残る重質油にアセトンを配合することにより、生
成する不溶性沈澱物の粒子を巨大化して除去するととも
に、その配合液からアセトンを分離回収して、前記残る
重質油への配合用アセトンとして循環使用することを特
徴とするものである。
以下本発明を第1図に示した工程図を参照しながら、さ
らに詳説する。
石炭系重質油としては、石炭乾留時に副生する高温ター
ルや低温タール等を用いることができ、タール類は以下
に示す沸点範囲で区分される。
タール軽油 170℃以下 カルボニル油 170〜200℃ ナフタリン油 200〜250℃ 吸収油 230〜270℃ アントラセン油 270〜360℃ 本発明は沸点360℃以下の中・軽質油を除去した重質
油を出発物質とする。
本発明においては、360℃以下の中・軽質油を除去し
た重質油には1.0〜3.5%の水素を添加した状態で、触媒
の存在の下に水素化分解反応させる。反応温度として
は、400〜500℃特に450〜500℃、また水素
圧は100〜200kg/cm2あるいはそれ以上に保つの
が望まれる。
また水素圧が100kg/cm2未満だと、芳香環の水添反
応が進行しにくくなるので水添反応に引き続く分解反応
が起こりにくくなり中・軽質油収率は増加しない。
他方水素圧があまり高くなると、高価な水素の消費料が
増加するとともに耐圧設備に要するコストが割高にな
る。
本発明に用いる触媒としては、鉄系触媒が望ましい。た
とえばCo-Mo,Ni-Mo等の触媒は高活性で中・軽質油収率
も高いが触媒寿命が短いため、触媒再生工程が必要とな
る。石炭系重質油の水素化分解反応における触媒は被毒
させやすく、また多量に必要とされるので容易に入手で
き、かつ安価な鉄系触媒が望ましいのである。この鉄系
触媒として、赤泥、鉄鉱石等の鉄系化合物を、石炭系重
質油に対して1〜10%使用し、助触媒として硫黄化合
物を、原料石炭系重質油に対して1〜10%使用が特に
好ましい。水素化分解された生成物は、常圧蒸留あるい
は減圧蒸留によりガスおよび沸点360℃以下の中・軽
質油と重質油に分離される。分離された中・軽質油と重
質油は製品として取り出される。
水素添加量は、沸点360℃以下の中・軽質油を除去し
た重質油に対して、1.0%以上の水素添加量があれば不
溶性沈澱物生成量が著しく減少する。また、第4図に示
すように水素添加量が3.5%を超える場合には、ガス発
生量が原料の10%以上もあり、精製工程で高品質の炭
素材原料が生成しても全体的には炭素材原料の収量が減
少するし、高価な水素の消費量も多くなるので水素添加
量を3.5%より多くすることは不経済である。
また沸点が360℃以下の中.軽質油中にはナフタリン
を始め、有効成分が多量に含まれているので水素化分解
するよりも、化学原料として利用したほうが経済的であ
るので、沸点360℃以下の留分を除去してから水素添
加する。
さらに、水素化分解、沸点360℃以下の留分を除去し
た水素化重質油中のキノリン不溶分を粗粒化するためア
セトンを添加する。。石炭系重質油とアセトンの配合条
件、すなわち温度圧力は、常温常圧で、充分であり、加
熱等は不要である。
撹拌はキノリン不溶分を含む不溶性沈澱物が安定な粒状
固体として析出するまで行う。通常は数分以内でキノリ
ン不溶分を含む不溶性沈澱物は分離の容易な粗粒状固体
に変わる。石炭系重質油に加えるアセトンの配合割合
は、石炭系重質油の種類により任意に変更できる。生成
した粗粒状の不溶性沈澱物は固体粒径が大きいので粒子
の沈降速度が速く静置分離、遠心分離によって容易に分
離できる。。濾過方式においても粒子径が大であるため
濾液の通過が良好で、フィルターの目詰まり等の問題は
なく、速やかに分離できる。また上記分離操作を組み合
せた分離方法でもよい。
以上のように本発明方法によると、精製工程の前に水素
化工程を設置することにより、第2図に示すように水素
化工程を経ない重質油では不溶性沈澱物がガム状とな
り、ピッチとなるべき有効成分が多量に含まれるアセト
ン配合比の領域でもガム状の不溶性沈澱物は生成せず、
ピッチとなるべき有効成分は含まれないことが認められ
た。したがってキノリン不溶分の除去を効率的に行うこ
とができ、安定な操作を約束する。
また、この効果をもたらすのは、精製に先立って水素化
分解を行っているので、水素化工程において、キノリン
不溶分の一部が触媒上に炭素質として析出し除去され、
また他の一部が芳香環の水添によりナフテン環となり、
そのままあるいは分解してキノリン不溶分からキノリン
可溶分に変化するため、キノリン不溶分が減少し、精製
工程では触媒がキノリン不溶分の生成する不溶性沈澱物
の粒径が巨大化するために分離が容易となるためである
と、本発明者らは考える。
さらに不溶性沈澱物除去後のアセトン可溶分は、アセト
ンと炭素材原料とに減圧蒸留、あるいは常圧蒸留分離し
てアセトンを精製工程へ戻す。アセトンは、重質油に対
して水素化分解後、360℃以下の留分を除去してある
ので、不純物を含まず、精製工程に戻され循環使用され
る。
〔実施例〕
さらに本発明方法を実施例にて説明する。
コールタールから沸点360℃以下の留分を除去した重
質油(分析値を第1表に示す、表中数値は重量%であ
る)を原料とした。
第1表の組成の重質油を、反応器、高圧分離塔、減圧蒸
留塔、精留塔からなる処理量0.5kg/Hrの能力を有する装
置を用いて下記条件で水素化分解および分留を行った。
水素化温度 470℃ 水素化時間 1時間 水素圧 100kg/cm2 触媒添加量 6.6%(赤泥+硫黄) その結果、360℃を越える留分は70%であり、36
0℃以下の留分は27%であり、他はガスであった。そ
の際水素ガスは原料重質油に対して約2wt%添加され
た。次に360℃以下の留分を除去した重質油に1.5倍
量のアセトンを配合し生成する不溶性沈澱物を除去し、
アセトンを蒸留により分離回収し、炭素材原料を得た。
このときの炭素材原料の収率と性状を、比較例として水
素添加しない原料重質油を同様に処理した場合の収率、
性状とともに第2表に示す。
以上のように水素化分解した重質油からは27%もの軽
質油の副生を可能となり、炭素材原料となるアセトン可
溶分収率が高くキノリン不溶分等を含まず性状の良いも
のを得ることができる。
なお不溶性沈澱物生成量とアセトン配合量(アセトン/
350℃をこえる留分)との関係を第2図に示す。水素
化分解により原料重質油に比べて効率的な分離の行える
アセトン配合比の領域が広がることがわかる。
さらに水素化工程における水素吸収量と不溶性沈澱物の
生成量との関係を第3図に、水素化工程におけるガス発
生量と水素吸収量の関係を第4図に示す。
水素吸収量が1.0以上で不溶性沈澱物生成量が急減し、
水素吸収量が3.5%をこえるとガス発生量が約10%以
上となることが認められた。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明は、石炭系重質油を水素化分解し、
その後水素化重質油にケトン類溶剤を配合して不溶性沈
澱物を除去するものであるから、キノリン不溶分を効率
的かつ容易に除去でき、高品質の炭素材原料を高い収率
で得ることができるとともに、沸点が360℃以下の副
生物の有効利用を図ることができる利点をもたらす。ま
た添加アセトン溶剤を回収して、精製工程に戻して循環
使用するので経済的である。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明方法における工程図、第2図は不溶性沈
澱物生成量とアセトン配合量との関係図、第3図は水素
吸収量と不溶性沈澱物生成量との関係図、第4図は水素
吸収量とガス発生量との関係図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−49791(JP,A) 特公 昭57−14789(JP,B1) 特公 平4−10518(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沸点が360℃以下の軽質油分を除去した
    石炭系重質油を、水素を1.0〜3.5%添加して触媒の存在
    下で水素化分解を行い、生成した中・軽質油分を除去
    し、残る重質油にアセトンを配合することにより、生成
    する不溶性沈澱物の粒子を巨大化して除去するととも
    に、その配合液からアセトンを分離回収して、前記残る
    重質油への配合用アセトンとして循環使用することを特
    徴とする石炭系重質油の精製方法。
JP58175757A 1983-09-21 1983-09-21 石炭系重質油の精製方法 Expired - Lifetime JPH0629439B2 (ja)

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