JPH06293848A - 組成物 - Google Patents

組成物

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JPH06293848A
JPH06293848A JP5227139A JP22713993A JPH06293848A JP H06293848 A JPH06293848 A JP H06293848A JP 5227139 A JP5227139 A JP 5227139A JP 22713993 A JP22713993 A JP 22713993A JP H06293848 A JPH06293848 A JP H06293848A
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evoh
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哲也 片山
Takeshi Moriya
健 守谷
Junnosuke Yamauchi
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Satoshi Hirofuji
俐 廣藤
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    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D1/00Containers having bodies formed in one piece, e.g. by casting metallic material, by moulding plastics, by blowing vitreous material, by throwing ceramic material, by moulding pulped fibrous material, by deep-drawing operations performed on sheet material
    • B65D1/02Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents
    • B65D1/0207Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents characterised by material, e.g. composition, physical features
    • B65D1/0215Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents characterised by material, e.g. composition, physical features multilayered

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルカリ金属の酢酸塩をアルカリ金属換算で
20〜200ppm、酢酸30〜250ppmおよびり
ん酸またはアルカリ金属のりん酸水素塩をりん酸根換算
で5〜500ppm含有し、酢酸含有率/アルカリ金属
の酢酸塩含有率の値が0.1〜1であり、かつ融点より
10〜80℃高い温度の少なくとも1点における高化式
フローテスターでの加熱時間と吐出速度の関係におい
て、少なくとも10時間までは吐出速度が実質的に増加
しない、エチレン含有率20〜80モル%、酢酸ビニル
成分のけん化度95モル%以上のエチレン−酢酸ビニル
共重合体けん化物組成物。 【効果】 本発明のEVOH組成物は、臭気成分の発生
が著しく少なく、しかも熱安定性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臭気成分の発生の少な
い、しかも熱安定性の優れた組成物、とくに主として液
性の食品や飲料、たとえばオレンジジュース、レモンジ
ュース等の柑橘系のストレートジュース等の有する良質
のフレーバー、あるいは化粧品、香料等の良質の香りを
悪化させることなく、包装、収容しうる多層構成の容器
の最内層用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液性食品等の容器として、従来か
ら使用されているガラス瓶、金属缶ばかりでなく、熱可
塑性樹脂の多層体からなる容器や、紙と熱可塑性樹脂の
層からなる複合容器が用いられるようになってきた。
【0003】これに伴って、内容物が食品である場合、
その風味の悪化が問題になっている。特に、柑橘系果汁
またはそれを多く含む食品の場合、そのフレーバー成分
を構成しているd−リモネンなどのテルペン系炭化水素
は、容器の最内層に広く使用されているポリエチレンな
どのポリオレフィン樹脂に吸収されやすい。保存中に食
品のフレーバー成分が減少したり、バランスがくずれた
りすれば食品の風味が悪化し、商品価値を失うことが避
けられない。
【0004】ポリオレフィン樹脂の代わりにエチレン−
酢酸ビニル共重合体けん化物(以下EVOHと記す)を
最内層に使用した場合は、特開昭63−3950におい
て提案されているように、フレーバー成分の吸収が著し
く少ないため風味の悪化は比較的少ないが、通常のEV
OHではなお問題がある。すなわち、通常のEVOHを
用いて容器を形成した場合は、残存する酢酸が遊離し刺
激臭をもたらしたり、アセトアルデヒド、クロトンアル
デヒド、アルドール等の臭気成分が熱分解物として生成
したりするため、食品の風味の保存性は十分とはいえな
い。また、内容物が非食品である化粧品や香料等の優れ
た香りを有するものの場合でも、上述した理由で香りが
損なわれるので好ましくない。
【0005】また、特開昭52−955、特開昭51−
49294、特開昭62−143954には、EVOH
に熱安定性を付与するために、金属塩や酢酸などを含有
せしめることが記載されているが、前二者は酢酸の配合
割合が多いために臭気成分の発生を抑制することができ
ないし、また後者は特殊なりん酸塩を使用しているた
め、熱安定性が十分でなく、また臭気成分の発生を抑制
するための考慮がいっさい払われていない。さらにま
た、これらにはEVOH組成物を多層容器の最内層に設
けることの記載もない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点のない、すなわち柑橘系果汁等の液性食品のフレー
バー成分、あるいは化粧品、香料等の良質の香り成分等
が容器に吸収されず、かつ、容器壁の内面から臭気成分
等が発生して食品の風味、あるいは化粧品等の良質の香
りを悪化せしめることのない特定のEVOH組成物、と
くに多層構成の容器の最内層用に適する組成物を提供す
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルカリ
金属の酢酸塩をアルカリ金属換算で20〜200pp
m、周期律表第II族に属する金属10ppm以下、酢酸
30〜250ppmおよびりん酸またはアルカリ金属の
りん酸水素塩をりん酸根換算で5〜500ppm含有
し、酢酸含有率/アルカリ金属の酢酸塩含有率の値が
0.1〜1であり、かつ、融点より10〜80℃高い温
度の少なくとも1点における高化式フローテスターでの
加熱時間と吐出速度の関係において10時間以上吐出速
度が実質的に増加しない、エチレン含有率20〜80モ
ル%、酢酸ビニル成分のけん化度95モル%以上のEV
OH組成物が、臭気成分の発生が少なく、しかも熱安定
性が優れていること、さらに該組成物を使用して形成さ
れた層を最内層とする多層体からなる多層容器が上記問
題点を解決することを見いだした。
【0008】本発明の組成物、特に多層容器の最内層に
使用するEVOH組成物は、前述した特定のものでなけ
ればならない。アルカリ金属の酢酸塩とは、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、酢酸リチウムであり、好適には酢
酸ナトリウム、酢酸カリウムが用いられる。アルカリ金
属の酢酸塩の含有率は、アルカリ金属換算で20〜20
0ppmであることが必要である。20ppm未満で
は、EVOHが溶融成形時に酸化されやすいためか、着
色やフィッシュアイの多発等の問題が起こって、美麗な
多層体が得られない。一方、200ppmより多い場合
は、多層容器を形成する際にEVOHの熱分解が起こり
やすく、アセトアルデヒドやクロトンアルデヒド、アル
ドール等の臭気成分が発生し、それらが食品等の内容物
に移行して好ましくない。アルカリ金属の酢酸塩の含有
率のより好適な範囲は40〜150ppmである。
【0009】周期律表第II族に属する金属を含有させる
ことは必須ではないが、含有させる場合は、その含有率
は10ppm以下であることが好適である。該金属は、
アルカリ金属の酢酸塩と比較して著しくEVOHを熱分
解させる作用を有しているため、10ppmより多く含
むと前記臭気成分が多量発生して好ましくない。該金属
のより好適な含有率は0〜5ppmである。なお、ここ
で周期律表第II族に属する金属とは、カルシウム、マグ
ネシウム、ベリリウム、亜鉛、バリウムであり、これら
の金属は、これらの金属を含む化合物、たとえば炭酸
塩、酢酸塩としてEVOHに含まれる。酢酸の含有率
は、30〜250ppmであることが必要である。30
ppm未満では、アルカリ金属の酢酸塩あるいは周期律
表第II族に属する金属が有するEVOHを熱分解させる
作用を防止する効果が小さいため、前記臭気成分が発生
するので好ましくない。一方、250ppmより多い場
合は多量容器の最内層、すなわちEVOHの層から酢酸
が内容物に移行し、刺激臭をもたらすため好ましくな
い。酢酸の含有率のより好適な範囲は40〜240pp
mである。
【0010】りん酢酸またはアルカリ金属のりん酸水素
塩の含有率は、りん酸根換算で5〜500ppmである
ことが必要である。ここで、アルカリ金属のりん酸水素
塩としては、りん酸一水素ナトリウム、りん酸二水素ナ
トリウム、りん酸一水素カリウム、りん酸二水素カリウ
ム等が例示されるが、りん酸二水素ナトリウム、りん酸
二水素カリウムがより好適に用いられる。りん酸根の含
有率が5ppm未満では、酢酸を30〜250ppm含
んでいても、アルカリ金属の酢酸塩あるいは周期律表第
II族に属する金属が有するEVOHを熱分解させる作用
を防止する効果が十分発揮されず、そのために、前記臭
気成分が発生するので好ましくない。一方、500pp
mより多い場合は、りん酸根含有化合物自体の熱分解が
起こるためか、独特の臭気を発生させるので好ましくな
い。りん酸根の含有率のより好適な範囲は10〜350
ppmである。
【0011】酢酸含有率/アルカリ金属の酢酸塩含有率
の値は、0.1〜1であることが必要である。酢酸含有
率が30〜250ppm、アルカリ金属の酢酸塩含有率
がアルカリ金属換算で20〜200ppm、りん酸根含
有率が5〜500ppmの適正な範囲であっても、上記
の比が0.1未満ではEVOHの熱分解臭が強いため好
ましくない。一方、1より大きい場合は、EVOHかせ
溶融成形時に酸化されやすいためか、着色やフィッシュ
アイの多発が起こり、美麗な多層体が得られない。酢酸
含有率/アルカリ金属の酢酸塩含有率の値のより好適な
範囲は、0.2〜0.9である。
【0012】また、りん酸またはりん酸水素塩含有率/
アルカリ金属の酢酸塩含有率の値は、0.02〜10、
さらには0.03〜5であることが好適である。なお、
前記各成分の含有率は、EVOH組成物を成形する前の
含有率であって、最内層に成形後の含有率ではない。ま
た、前記した含有率はすべて重量基準の値である。ま
た、EVOH組成物中の各成分の含有率は、以下に示す
方法によって測定される。
【0013】アルカリ金属の酢酸塩:EVOH組成物
100部を0.1規定の硝酸水溶液250部中で撹拌下
95℃、3時間加熱し、その濾液中のアルカリ金属をイ
オンクロマトグラフィーで測定する。上記条件でEVO
H組成物中のアルカリ金属はすべて硝酸水溶液中に抽出
されるので、濾液のアルカリ金属濃度を測定すれば、E
VOH組成物のアルカリ金属含有率が計算で求められ
る。また、アルカリ金属の酢酸塩の酢酸根については、
アルカリ金属の酢酸根と酢酸の酢酸根の合計量(X)を
イオンクロマトグラフィーで求め、一方下記の方法に
より酢酸の量(Y)を求め、上記合計量(X)から
(Y)を差し引いて定量する。この方法でアルカリ金属
の酢酸塩の酢酸根と酢酸の酢酸根とが区別できる。
【0014】周期律表第II族に属する金属:アルカリ
金属の酢酸塩の場合と同じ方法で定量する。
【0015】酢酸:EVOH組成物100部をイオン
交換水250部中で撹拌下95℃、3時間加熱し、その
濾液中の酢酸を水酸化ナトリウムで中和滴定して測定す
る。上記条件でEVOH組成物中の酢酸は、すべてイオ
ン交換水中に抽出されるので、濾液の酢酸濃度を測定す
りば、EVOH組成物の酢酸含有率が計算で求められ
る。
【0016】りん酸およびアルカリ金属のりん酸水素
塩:アルカリ金属の酢酸塩の場合と同じ方法で、りん酸
根とアルカリ金属を定量する。さらに、本発明における
EVOH組成物は、その融点より10〜80℃高い温度
の少なくとも1点における高化式フローテスターでの加
熱時間{(EVOHの融点より10〜80℃高い温度に
達したときを加熱時間の最初(すなわち、加熱時間0時
間)として計算する。)}と吐出速度の関係において、
少なくとも10時間は吐出速度が実質的に増加しないこ
とが必要である。吐出速度が10時間以内に増加する場
合は、長時間溶融成形したとき次第にEVOHの熱分解
臭が強くなる傾向があって好ましくない。ここで高化式
フローテスターでの吐出速度とは、内径1mm、長さ1
0mmのノズルを用い、10kg/cm2の荷重をかけ
たときの単位時間あたりの吐出量をいう。また、吐出速
度が実質的に増加しないとは、最初(加熱時間0時間)
のときの吐出速度をV0、10時間後の吐出速度をV10
とするとき、V10/V0が1.1以下、好ましくは1.
05以下であることを意味する。また、V10/V0
0.05以上、さらには0.1以上であることが好まし
い。
【0017】本発明において、EVOHのエチレン含有
率および酢酸ビニル成分のけん化度は、それぞれ20〜
80モル%、95モル%以上であることが必要である。
エチレン含有率が20モル%未満ではEVOHがゲル化
しやすいため、長時間の溶融成形が困難である。一方、
80モル%より高い場合は、d−リモネン等のフレーバ
ー成分の吸収が大きいため内容物の風味が悪化して好ま
しくない。フレーバー成分の吸収を最小限にとどめ、さ
らに優れた耐酸素透過性を付与するためには、エチレン
含有率は25〜70モル%、さらには25〜60モル%
であることが好ましい。
【0018】けん化度が95モル%未満ではエチレン含
有率が20モル%未満の場合と同様、EVOHがゲル化
しやすいため長時間の溶融成形が困難である。より好適
なけん化度は98モル%以上である。また、EVOHの
メルトインデックス(210℃、荷重2160g)の値
は、特に制限はないが0.2〜120g/10分が好ま
しく、より好適な範囲は1.0〜60g/10分であ
る。
【0019】また、本発明にいうEVOH組成物は、5
モル%以下の範囲の共重合モノマーで変性されていても
よく、変性用モノマーとしては、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、アクリ
ル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、高級脂肪酸ビニルエステル、アル
キルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、N−ノル
マルブトキシメチルアクリルアミド、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメ
チルメトキシシラン、N−(2−ジメチルアミノエチ
ル)メタクリルアミド類あるいはその4級化物、N−ビ
ニルイミダゾールあるいはその4級化物等を例示するこ
とができる。
【0020】本発明のEVOH組成物、特に多層容器の
最内層として好適に用いられるEVOH組成物は、たと
えば以下の方法で製造される。すなわち、メタノール等
のアルコールの存在下、あるいは無存在下にエチレンと
酢酸ビニルとをa,a′−アゾビスイソブチロニトリル
等の公知のラジカル重合開始剤を用いて共重合し、つい
で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体を、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いてア
ルコール中でけん化する。ついで該けん化物、すなわち
EVOHをイオン交換水等の金属イオン、塩素イオン等
をほとんど含まない水で洗浄して、けん化反応で生成す
る酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を除去する。この場
合、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を一部残存させる
こともあり得る。次に、酢酸、酢酸ナトリウム等のアル
カリ金属の酢酸塩、りん酸二水素ナトリウム等のりん酸
根含有化合物をそれぞれ所定量EVOHに添加し、乾燥
する。ここで、これらの物質のEVOHへの添加方法と
しては、これらの物質を直接EVOHに添加して混合し
てもよく、あるいはこれらの物質をイオン交換水等のイ
オンをほとんど含まない水に溶解して調製した水溶液中
にEVOHを浸せきする操作をとってもよい。
【0021】次に、本発明のEVOH組成物を使用して
形成された層を最内層とする多層体からなる多層容器に
ついて述べる。まず、多層容器の層構成としては、最内
層に設けられるEVOH組成物の外側に設けられる層
(外層)である低吸水性の熱可塑性樹脂層をA、接着性
樹脂層をBとし、さらにEVOH組成物層をCとして、
(1)C/Aの二層構成、(2)C/B/A、C/B/
(A+B)、C/B/(A+B+C)の三層構成、
(3)C/B/(A+B+C)/A、C/B/A/(A
+B+C)の四層構成、(4)C/B/A/B/C、C
/B/(A+B+C)/B/Cの五層構成、(5)C/
B/A/(A+B+C)/B/A、C/B/A/C/B
/Aの六層構成、(6)C/B/A/B/C/B/A、
C/B/(A+B+C)/B/C/B/Aの七層構成、
等が例示され、また、EVOH組成物層の外層に紙を設
ける場合の層構成としては、C/A/紙/A、C/A/
紙/(A+C)、C/B/A/紙/A等が例示される
が、特に限定されるものではない。さらには、アルミ箔
の層を設けても差し支えない。
【0022】ここで、C層(EVOH組成物層)は最内
層を構成することが必須であるが、同時にそれ以外の位
置にも配されてよく、その場合は一層保存性の高い容器
となる。なお、最内層とは液性品を充填したときに液性
品と直接接触する層を意味する。Aの低吸水性熱可塑性
樹脂としては、ポリオレフィン{ポリエチレン(低密
度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体等}、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、熱可塑性ポリエステル。ポリアミド、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリロニト
リル系樹脂等のアクリル樹脂、ポリアセタール樹脂また
はこれら2種以上の混合物が挙げられるが、特にポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体の単独またはこれらの混合物が好ましい。
【0023】また、Bの接着層に用いる接着性樹脂とし
ては種々のものを使用することができ、また、EVOH
組成物層に隣接して積層される樹脂の種類によって異な
るが、特に本発明のEVOH組成物との強固な接着性を
付与する接着性樹脂としては、不飽和カルボン酸、また
はその無水物をオレフィン系重合体{たとえば、低密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフ
ィン、オレフィンとこれと共重合し得るコモノマー(ビ
ニルエステル、不飽和カルボン酸エステル等)との共重
合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エチルエステル共重合体}に化学的に
(たとえば、付加反応、グラフト反応により)結合させ
て得られる、カルボキシル基を含有する変性オレフィン
系重合体が挙げられる。具体的には、無水マレイン酸グ
ラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性
ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン
−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸
ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混
合物が好適なものとして挙げられる。またこれらの接着
性樹脂にはEVOH、たとえば前記したEVOH組成物
をブレンドすることも可能である。
【0024】本発明によれば、上記多層構成のパリソ
ン、シートあるいはフィルムを同時溶融押出あるいはラ
ミネート等により形成し、次いでこのパリソン、シー
ト、フィルムからそれ自体公知の手段によりボトル、カ
ップ、パウチ、チューブ等の容器に成形する。
【0025】次に、代表的な多層容器の成形法につい
て、より具体的に説明する。本発明においては、多層容
器がボトルの場合に特に著しい効果が認められるので、
まずこの点について述べる。ボトルの製法としては、共
押出により得られた多層構成のホットパリソンをダイレ
クトブローしてボトルを製造する方法、あるいは共押出
あるいは共射出により得られた多層構成のコールドパリ
ソン(有底パリソン、パイプ)を二軸延伸ブローしてボ
トルを得る方法が挙げられる。ダイレクトブロー成形の
場合、ホットパリソンがブロー成形用金型のピンチオフ
によって食いちぎられ、ボトルのピンチオフ部は、最内
層のEVOH同士が接合する形となり、かつ、EVOH
の層と接する接着性樹脂層の厚みは薄くなる。したがっ
て、通常のEVOHでは接着性樹脂との接着性が低い場
合があり、ピンチオフ部の強度が著しく低くなることも
あるが、本発明のEVOH組成物を用いた場合は、臭気
成分が発生しないのみならず、ピンチオフ部の強度も実
用上十分高く、ボトルの強度が大きい。
【0026】次に、カップの成形法について述べる。ま
ず、前述した各樹脂層をTダイ法、インフレーション法
等によりシートを成形し、ついでこれをプラグアシスト
成形、ダイスとパンチによる絞り成形、圧空成形、絞り
しごき成形することにより、たとえば前述したC/B/
A/C/B/A構成のC層(EVOH層)を最内層とす
る無継ぎ目カップ状の多層絞り容器が得られる。
【0027】次に、紙、特に板紙の層を含む多層容器の
例として、前記C/A/紙/Aの構成のものを挙げ、そ
の成形法について述べる。まず、板紙の両面を火炎処理
し、ついでその両面にA層を形成するため、たとえば低
密度ポリエチレンを押出ラミネートする。次に、C層側
のA層(低密度ポリエチレン層)の表面をコロナ放電
し、その上にEVOHを押出ラミネート、またはドライ
ラミネートすることにより、C層を形成する。ついでこ
の多層体をC層が最内層となるように成形して直方体状
等の形態の容器が得られる。
【0028】本発明の組成物を用いて得た多層容器は、
液性品すなわち液体あるいはペースト状の飲料や食品、
たとえばオレンジジュース、レモンジュース、プラムジ
ュース、葡萄ジュース、イチゴジュース等のストレート
ジュース、あるいはネクター等の加工果汁飲料を含む果
汁飲料;トマトジュース、各種野菜ジュースを含む蔬菜
汁飲料;砂糖あるいは果糖等の糖類、クエン酸、着色
剤、香料等を用い、あるいは必要に応じてビタミン類を
添加した合成果汁を含む合成飲料;乳酸菌飲料;調理済
みカレー、ビーフシチュー等のシチュー類;コンソメス
ープ、ポタージュスープ、味噌汁等のスープ;ゼンザ
イ、ゆで小豆、汁粉、アンミツ、ミツマメ、ゼリー等の
嗜好食品;ベーコン、カマボコ、ハンバーグ、ソーセー
ジ、ハム等の加工水産あるいは畜産製品;ミカン、パイ
ナップル、チェリー等の果実製品;醤油、ソース、食
酢、ドレッシング、ケチャップ、マヨネーズ、食用油、
味噌等の調味料;マーガリン、バター、ジャム等の嗜好
品;ビール、酒、ウイスキー、葡萄酒等の果実酒、ある
いはジンフィズ等の各種カクテルを含む酒精飲料等の各
種内容物を保存するための容器として有用である。さら
には、上記飲料や食品以外のものとしてリンゲル液等の
液状の医薬、農薬あるいは化粧品、香料、洗剤類等の各
種内容物を保存するための容器としても好適に用いられ
る。これらの中でも、特に柑橘系果汁またはそれを多く
含む清涼水の容器として好適に用いられる。また、該容
器と液性食品、化粧品、香料等上記の内容物とからなる
包装体は、高品質で保存性が高いので極めて有用であ
る。
【0029】
【実施例】以下実施例によりさらに詳しく説明するが、
これにより本発明は何ら限定されるものではない。実施
例中の「部」あるいは「%」は、特に断りがない限り重
量基準である。
【0030】実施例1 エチレン含有率28モル%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体45部、メタノール50部、水酸化ナトリウム1部
からなる溶液を110℃、3.5kg/cm2G下で、
メタノール蒸気を吹き込みつつ、40分間けん化反応さ
せ、反応中に生成する酢酸メチルは、メタノールの一部
とともに留出させ系外に除去した。得られたけん化反応
液(酢酸ビニル成分のけん化度99.3モル%)を2m
mの孔径の穴をもつダイスより、温度5℃の工業用水/
メタノール(重量比90/10)中に吐出させて、スト
ランド状に凝固させ、カッターで切断してペレット状物
を得た。なお、使用した工業用水のカルシウムイオン濃
度は9.4ppm、マグネシウムイオン濃度は1.2p
pmであった。次に、このペレット1部を100部のイ
オン交換水に0.01部の酢酸を溶解した水溶液で3回
洗浄した。ついで、該ペレット1部を100部のイオン
交換水に0.03部の酢酸、0.02部の酢酸カリウム
および0.005部のりん酸二水素ナトリウムを溶解し
た水溶液中に3時間浸せきし、脱液後乾燥した。乾燥後
のEVOHペレットの酢酸カリウム含有率はカリウム換
算で140ppm、酢酸含有率は150ppm、りん酸
二水素ナトリウムはりん酸根換算で45ppm、カルシ
ウム含有率は3ppm、カルシウム以外の周期律表第II
族に属する金属の含有率は1ppm以下、酢酸含有率/
酢酸カリウム含有率の値は0.4、また、水分は0.1
%であり、MI(温度210℃、荷重2160g)は、
3.5g/10分、融点は190℃であった。また22
0℃における高化式フローテスター(島津301型)で
の吐出速度は10時間以上にわたり実質的に増加するこ
とはなかった(V10/V0=0.10)。なお、ここで
高化式フローテスターでの吐出速度とは、内径1mm、
長さ10mmのノズルを用い、10kg/cm2の荷重
をかけたときの単位時間あたりの吐出量をいう。
【0031】次に、該EVOH組成物を最内層および別
の層に配した、EVOH/接着性樹脂/EVOH/接着
性樹脂/高密度ポリエチレンからなる構成のボトルを3
種5層ダイレクトブロー成形機(ダイ温度240℃)を
用いて成形した。ここで、接着性樹脂としては、MI
(190℃、2160g)1.8g/10分、無水マレ
イン酸含有率0.5重量%、酢酸ビニル含有率20重量
%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた。また、高
密度ポリエチレンとしてはMI(190℃、2160
g)1.0g/10分、密度0.945g/cm3のも
のを用いた。該ボトルは、容量2リットルのハンドル付
きボトルで、厚み構成(ボトルの胴部の厚み構成)は、
前記の順に45/21/30/21/280(単位はμ
m)であった。
【0032】次に、該ボトルに果汁100%の濃縮還元
オレンジジュースを1.8リットル無菌充填し、これを
5℃、8週間保存後、オレンジジュース中のd−リモネ
ン量を測定するとともに、5人のパネラーによるフレー
バーおよび味の官能テストを行った。これらの結果を表
1に示す。なお、d−リモネン量は、ヘッドスペースガ
スクロマトグラフィーで測定した。また、フレーバーお
よび味の評価は、新鮮なオレンジジュースを対照とし
て、 A:新鮮なオレンジジュースのフレーバー、または味と
同一である。 B:新鮮なオレンジジュースのフレーバー、または味と
は異なるが、不快感はない。 C:新鮮なオレンジジュースのフレーバー、または味と
は異なり、不快感が大きい。 の3段階の序列をつけて行った。また、該オレンジジュ
ース入りボトル20個を高さ2mから落下させ、ボトル
の強度テストを行ったところ、破壊したボトルは0個で
あった。
【0033】実施例2 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸を含有するエチレン含有率38モル%、けん化度
99.5モル%、MI(210℃、2160g)3.3
g/10分、融点176℃のEVOHの組成物を得た。
該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有率はナトリウ
ム換算で100ppm、酢酸含有率は230ppm、り
ん酸含有率はりん酸根換算で15ppm、カルシウム含
有率は5ppm、カルシウム以外の周期律表第II族に属
する金属の含有率は1ppm以下、酢酸含有率/酢酸ナ
トリウム含有率の値は0.65、水分は0.1%であっ
た。また、220℃における高化式フローテスターでの
吐出速度は10時間以上にわたり実質的に増加すること
はなかった(V10/V0=0.33)。次に、実施例1
に記載のEVOH組成物に代えて、上記のEVOH組成
物を用いたほかは、実施例1と同じボトルを成形し、オ
レンジジュースの保存テストを行った。結果を表1に合
わせ示す。また、実施例1と同様にしてボトルの落下テ
ストを行ったところ、破壊したボトルは0個であった。
【0034】実施例3 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸二水素カリウムを含有するエチレン含有率44モ
ル%、けん化度99.1モル%、MI(210℃、21
60g)8.2g/10分、融点163℃のEVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率は、ナトリウム換算で50ppm、酢酸含有率は50
ppm、りん酸二水素カリウム含有率はりん酸根換算で
300ppm、カルシウム含有率は5ppm、カルシウ
ム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1pp
m以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は0.
28、水分は0.22%であった。また、210℃にお
ける高化式フローテスターでの吐出速度は10時間以上
にわたり実質的に増加することはなかった(V10/V0
=0.42)。
【0035】次に、実施例1に記載のEVOH組成物に
代えて、上記のEVOH組成物を用いたほかは、実施例
1と同じボトルを成形し、オレンジジュースの保存テス
トを行った。結果を表1に合わせ示す。また、実施例1
と同様にしてボトルの落下テストを行ったところ、破壊
したボトルは0個であった。
【0036】実施例4 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸二水素ナトリウムを含有するエチレン含有率55
モル%、ビニルトリメトキシシラン0.015モル%、
けん化度98.4モル%、MI(210℃、2160
g)9.4g/10分、融点145℃の変性EVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率は、ナトリウム換算で80ppm、酢酸含有率は70
ppm、りん酸二水素ナトリウム含有率はりん酸根換算
で30ppm、カルシウム含有率は3ppm、カルシウ
ム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1pp
m以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は0.
25、水分率は0.11%であった。また、200℃に
おける高化式フローテスターでの吐出速度は10時間以
上にわたり実質的に増加することはなかった(V10/V
0=0.54)。次に、実施例1に記載のEVOH組成
物に代えて、上記のEVOH組成物を用いたほかは、実
施例1と同じボトルを成形し、オレンジジュースの保存
テストを行った。結果を表1に合わせ示す。また、実施
例1と同様にしてボトルの落下テストを行ったところ、
破壊したボトルは0個であった。
【0037】比較例1 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸水素カルシウムを含有するエチレン含有率38モ
ル%、けん化度99.5モル%、MI(210℃、21
60g)3.4g/10分、融点176℃のEVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率は、ナトリウム換算で110ppm、酢酸含有率は5
0ppm、りん酸水素カルシウム含有率は、りん酸根換
算で70ppm、カルシウム含有率は20ppm、カル
シウム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1
ppm以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は
0.13、水分率は0.1%であった。また、220℃
における高化式フローテスターでの吐出速度は5時間ま
では経時的に低下したが、それ以後は次第に増大し、8
時間経過した時点ではスタート時の4倍の吐出速度であ
った。
【0038】次に、実施例1に記載のEVOH組成物に
代えて、上記のEVOH組成物を用いたほかは、実施例
1と同じボトルを成形し、オレンジジュースの保存テス
トを行った。結果を表1に合わせ示す。なお、本ボトル
では成形直後に、EVOHの熱分解臭と考えられる強い
焦臭が認められた。また、ボトルの内部ガスをヘッドス
ペースガスクロで調べたところ実施例1〜4の場合とは
異なり、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アル
ドール等が認められた。
【0039】比較例2 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸二水素カリウムを含有するエチレン含有率38モ
ル%、けん化度99.5モル%、MI(210℃、21
60g)3.4g/10分、融点176℃のEVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率は、ナトリウム換算で150ppm、酢酸含有率は4
0ppm、りん酸二水素カリウム含有率は、りん酸根換
算で70ppm、カルシウム含有率は8ppm、カルシ
ウム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1p
pm以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は
0.07、水分率は0.1%であった。また、220℃
における高化式フローテスターでの吐出速度は、8時間
までは経時的に低下したが、10時間経過した時点では
スタート時の1.9倍の吐出速度であった(V10/V0
=1.9)。
【0040】次に、実施例1に記載のEVOH組成物に
代えて、上記のEVOH組成物を用いたほかは、実施例
1と同じボトルを成形し、オレンジジュースの保存テス
トを行った。結果を表1に合わせ示す。なお、本ボトル
では成形直後に、EVOHの熱分解臭と考えられる強い
焦臭が認められた。また、ボトルの内部ガスをヘッドス
ペースガスクロで調べたところ、比較例2と同様、アセ
トアルデヒド、クロトンアルデヒド、アルドール等が認
められた。
【0041】比較例3 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸二水素カリウムを含有するエチレン含有率38モ
ル%、けん化度99.5モル%、MI(210℃、21
60g)3.3g/10分、融点176℃のEVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率はナトリウム換算で50ppm、酢酸含有率は350
ppm、また、りん酸二水素カリウム含有率はりん酸根
換算で15ppm、カルシウム含有率は5ppm、カル
シウム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1
ppm以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は
2.0であった。また、220℃における高化式フロー
テスターでの吐出速度は10時間以上にわたり実質的に
増加することはなかった(V10/V0=0.27)。次
に、実施例1に記載のEVOH組成物に代えて上記のE
VOH組成物を用いたほかは、実施例1と同じボトルを
成形し、オレンジジュースの保存テストを行った。結果
を表1に合わせ示す。なお、本ボトルでは成形直後に強
い酢酸臭が認められた。
【0042】比較例4 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸二水素カリウムを含有するエチレン含有率44モ
ル%、けん化度99.1モル%、MI(210℃、21
60g)8.1g/10分、融点163℃のEVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率は、ナトリウム換算で60ppm、酢酸含有率は10
0ppm、りん酸二水素カリウム含有率はりん酸根換算
で550ppm、カルシウム含有率は8ppm、カルシ
ウム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1p
pm以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は
0.47であった。また、200℃における高化式フロ
ーテスターでの吐出速度は10時間以上にわたり実質的
に増加することはなかった(V10/V0=0.41)。
次に、実施例1に記載のEVOH組成物に代えて上記の
EVOH組成物を用いたほかは、実施例1と同じボトル
を成形し、オレンジジュースの保存テストを行った。結
果を表1に合わせ示す。なお、本ボトルでは成形直後に
強い独特の臭気が認められた。
【0043】比較例5 実施例1において、エチレン含有率28モル%のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体をけん化するにあたり、水酸化
ナトリウムを0.7部にしたほかは、実施例1と同じ条
件でEVOH組成物を得た。このEVOH組成物のけん
化度は94.3モル%、酢酸カリウム含有率はカリウム
換算で140ppm、酢酸含有率は150ppm、りん
酸二水素ナトリウムはりん酸根換算で45ppm、カル
シウム含有率は8ppm、カルシウム以外の周期律表第
II族に属する金属の含有率は1ppm以下、酢酸含有率
/酢酸カリウム含有率の値は0.57、水分率は0.1
5%であった。また、MI(210℃、2160g)は
3.7g/10分、融点は190℃であった。また、2
20℃における高化式フローテスターでの吐出速度は、
10時間以上にわたり実質的に増加することはなかった
(V10/V0=0.02)。次に、実施例1に記載のE
VOH組成物に代えて、上記のEVOH組成物を用いた
ほかは、実施例1と同様にしてボトル成形を試みたもの
の、該EVOHはゲル化しやすく、美麗な商品価値の高
いボトルは得られなかった。
【0044】比較例6 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸二水素カリウムを含有するエチレン含有率18モ
ル%、けん化度99.8モル%、MI(230℃、21
60g)6.2g/10分、融点205℃のEVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率はナトリウム換算で120ppm、酢酸含有率は11
0ppm、りん酸二水素カリウム含有率は、りん酸根換
算で80ppm、カルシウム含有率は4ppm、カルシ
ウム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1p
pm以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は
0.26、水分率は0.13%であった。また230℃
における高化式フローテスターでの吐出速度は、10時
間以上にわたり実質的に増加することはなかった(V10
/V0=0.01)。次に、実施例1に記載のEVOH
組成物に代えて、上記のEVOH組成物を用いたほか
は、実施例1と同様にしてボトル成形を試みたが、該E
VOHはゲル化しやすく、比較例6の場合と同様、美麗
な商品価値の高いボトルは得られなかった。
【0045】比較例7 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸ナトリウム、
りん酸二水素カリウムを含有するエチレン含有率38モ
ル%、けん化度99.5モル%、MI(210℃、21
60g)3.3g/10分、融点176℃のEVOH組
成物を得た。該EVOH組成物の酢酸ナトリウムの含有
率はナトリウム換算で10ppm、酢酸含有率は35p
pm、また、りん酸二水素カリウム含有率はりん酸根換
算で20ppm、カルシウム含有率は5ppm、カルシ
ウム以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1p
pm以下、酢酸含有率/酢酸ナトリウム含有率の値は
0.9であった。また、220℃における高化式フロー
テスターでの吐出速度は、10時間以上にわたり実質的
に増加することはなかった(V10/V0=0.30)。
次に、実施例1に記載のEVOH組成物に代えて、上記
のEVOH組成物を用いたほかは、実施例1と同様にし
てボトル成形を行い、オレンジジュースを充填し、ボト
ルの落下テストを実施したところ、破壊したボトルは1
5個で、破壊率75%であった。破壊したところは、ボ
トルのピンチオフ部、特にハンドル部であり、これはE
VOH組成物層と接着性樹脂層との間の接着性が不良で
あるためであった。
【0046】実施例5 実施例3に記載のEVOH組成物を最内層として、板紙
の層を有する多層容器、すなわちEVOH/底密度ポリ
エチレン/板紙/底密度ポリエチレンの構成の容器を製
造した。まず、厚み500μmの板紙の両面を火炎処理
し、次に、MI(190℃、2160g)0.7g/1
0分。密度0.92g/cm3の底密度ポリエチレン
(以下LDPEと記す)を板紙の片面に押出ラミネート
し、38μmのLDPE層を形成させた。次に、板紙の
別の面にLDPEを押出ラミネートし、16μmのLD
PE層を形成させた。ついで、16μmのLDPE層の
表面をコロナ放電処理してから、その層の上に実施例3
に記載のEVOH組成物を押出ラミネートし、20μm
のEVOH組成物層を形成させた。次に、該多層体を切
断し、折り込んでから閉じ目でヒートシールして、容量
1リットルの直方体状の容器を形成した。
【0047】かくして得られた容器にレモンの100%
果汁を0.9リットル充填し、5℃で6週間保存後、レ
モン果汁中のd−リモネン量を測定するとともに、フレ
ーバーおよび味の官能テストを行った。これらの結果を
表1に示す。なお、d−リモネン量は、実施例1と同様
にヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した。
また、フレーバーおよび味の評価は、5人のパネラーに
より、新鮮なレモン果汁を対照として、 A:新鮮なレモン果汁のフレーバー、または味と同一で
ある。 B:新鮮なレモン果汁のフレーバー、または味と異なる
が、不快感はない。 C:新鮮なレモン果汁のフレーバー、または味とは異な
り、不快感が大きい。 の3段階の序列をつけて行った。
【0048】実施例6 実施例1記載の方法に準じて、酢酸、酢酸カリウム、り
ん酸二水素ナトリウムを含有するエチレン含有率70モ
ル%、けん化度98.1モル%、MI(210℃、21
60g)80g/10分、融点125℃のEVOH組成
物を得た。該EVOH組成物の酢酸カリウムの含有率は
カリウム換算で80ppm、酢酸含有率は130pp
m、りん酸二水素ナトリウム含有率はりん酸根換算で1
20ppm、カルシウム含有率は6ppm、カルシウム
以外の周期律表第II族に属する金属の含有率は1ppm
以下、酢酸含有率/酢酸カリウム含有率の値は0.6
5、水分率は0.05%であった。また、150℃にお
ける高化式フローテスターでの吐出速度は、10時間以
上にわたり実質的に増加することはなかった(V10/V
0=0.71)。次に、実施例5に記載のEVOH組成
物に代えて、上記のEVOH組成物を用いたほかは、実
施例5と同じ多層容器を成形し、レモン果汁の保存テス
トを行った。結果を表2に合わせ示す。
【0049】比較例8 実施例5のEVOH組成物に代えて、酢酸ナトリウム含
有率がナトリウム換算で450ppm、酢酸含有率10
ppm、りん酸根含有化合物の含有率0ppm、カルシ
ウム含有率6ppm、カルシウム以外の周期律表第II族
に属する金属の含有率1ppm以下、酢酸含有率/酢酸
ナトリウム含有率の値0.065、水分率0.15%の
エチレン含有率40モル%、けん化度99.3モル%、
MI(210℃、2160g)10g/10分の市販E
VOH組成物を用いたほかは、実施例5と同じ多層容器
を成形して、レモン果汁の保存テストを行った。結果を
表2に合わせ示す。なお、該多層容器には強い焦臭が認
められた。
【0050】比較例9 実施例5のEVOHに代えて、エチレン含有率88.8
モル%、けん化度97.3モル%、MI(210℃、2
160g)18g/10分の市販EVOHを用いたほか
は、実施例5と同じ多層容器を成形してレモン果汁の保
存テストを行った。結果を表2に合わせ示す。
【0051】
【表1】
【0052】注1.オレンジジュース充填時のd−リモ
ネン量は、0.61体積%であった。 注2.官能テストの評価基準 A:新鮮なオレンジジュースのフレーバー、または味と
同一である。 B:新鮮なオレンジジュースのフレーバー、または味と
は異なるが、不快感はない。 C:新鮮なオレンジジュースのフレーバー、または味と
は異なり、不快感が大きい。
【0053】
【表2】
【0054】注1.レモン果汁充填時のd−リモネン量
は、0.85体積%であった。 注2.官能テストの評価基準 A:新鮮なレモン果汁のフレーバー、または味と同一で
ある。 B:新鮮なレモン果汁のフレーバー、または味と異なる
が、不快感はない。 C:新鮮なレモン果汁のフレーバー、または味とは異な
り、不快感が大きい。
【0055】
【発明の効果】本発明のEVOH組成物は、臭気成分の
発生が著しく少なく、しかも熱安定性に優れており、ま
た、該EVOH組成物を使用して形成された層を最内層
とする多層体からなる多層容器は、液性食品等のフレー
バー成分あるいは化粧品等の良質の香り成分等が容器に
吸収されず、かつ、容器壁の内面から臭気成分等が発生
して食品の風味、あるいは化粧品等の良質の香りを悪化
せしめることがないので、柑橘果汁またはそれを多く含
む清涼水、ジャム等の液性食品の容器、あるいは化粧品
等の容器として最適である。また、該容器と液性食品、
化粧品等の内容物、特に柑橘果汁またはそれを多く含む
清涼水とからなる包装体は、高品質で保存性が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B65D 85/72 Z 7191−3E C08K 3/32 5/09 C08L 29/04 (72)発明者 山内 淳之介 大阪市北区梅田1丁目12番39号 株式会社 クラレ内 (72)発明者 廣藤 俐 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属の酢酸塩をアルカリ金属換
    算で20〜200ppm、酢酸30〜250ppmおよ
    びりん酸またはアルカリ金属のりん酸水素塩をりん酸根
    換算で5〜500ppm含有し、酢酸含有率/アルカリ
    金属の酢酸塩含有率の値が0.1〜1であり、かつ融点
    より10〜80℃高い温度の少なくとも1点における高
    化式フローテスターでの加熱時間と吐出速度の関係にお
    いて、少なくとも10時間までは吐出速度が実質的に増
    加しない、エチレン含有率20〜80モル%、酢酸ビニ
    ル成分のけん化度95モル%以上のエチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体けん化物組成物。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属の酢酸塩をアルカリ金属換
    算で20〜200ppm、周期律表第II族に属する金属
    10ppm以下、酢酸30〜250ppmおよびりん酸
    またはアルカリ金属のりん酸水素塩をりん酸根換算で5
    〜500ppm含有し、酢酸含有率/アルカリ金属の酢
    酸塩含有率の値が0.1〜1であり、かつ融点より10
    〜80℃高い温度の少なくとも1点における高化式フロ
    ーテスターでの加熱時間と吐出速度の関係において、少
    なくとも10時間までは吐出速度が実質的に増加しな
    い、エチレン含有率20〜80モル%、酢酸ビニル成分
    のけん化度95モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重
    合体けん化物組成物。
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JP2001288323A (ja) * 2000-04-04 2001-10-16 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 樹脂組成物ペレットおよびその用途
WO2013187455A1 (ja) * 2012-06-13 2013-12-19 株式会社クラレ エチレン-ビニルアルコール樹脂組成物、多層シート、包装材及び容器

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