JP2626482B2 - 包装米飯の製造法 - Google Patents

包装米飯の製造法

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JP2626482B2 JP5188017A JP18801793A JP2626482B2 JP 2626482 B2 JP2626482 B2 JP 2626482B2 JP 5188017 A JP5188017 A JP 5188017A JP 18801793 A JP18801793 A JP 18801793A JP 2626482 B2 JP2626482 B2 JP 2626482B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無菌化包装米飯の製造
法に関するもので、より詳細には、内容物である米飯の
保存性、食感、色、フレーバーに優れた包装米飯を生産
性よく、低コストで製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一食分乃至数食分の調理済み米飯
を充填し、密封した包装米飯が着目されている。これら
の包装米飯は、冷凍なしに室温で流通、保存でき、食事
に際しては、開封した後、電子レンジ等で加熱すればよ
いというものである。
【0003】保存中における米飯類の酸敗や微生物繁殖
を防止するために、上記包装体内に、小袋入りの脱酸素
剤を添付することも既に知られている(例えば、特開昭
63−248359号公報、特開平3−98542号公
報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、容器の
密封前に小袋入りの脱酸素剤を添付するという方法で
は、添付のための格別な操作が必要であり、工程数が多
くなり、充填シールするまでの間の菌の飛びこみを皆無
にするための極めて高度の管理が必要であると共に、需
要者が脱酸素剤を誤って口に入れるという事態を発生す
ることもあり、これらの点で万全な方法とは言えない。
【0005】また、上記の公知方法では、容器外で炊飯
したものを容器内に充填する必要があり、炊飯及び充填
の工程が必要となるだけではなく、充填を高度の無菌条
件下で行う設備も必要となり、設備に多大の費用を必要
とし、更に工程数も多くなるという欠点がある。
【0006】更に、個別一食炊きしたものを反転して容
器に充填したものでは、容器内米飯の表面がテカテカし
た光沢のものとなり、風合い、外観の点で商品価値の低
いものとなる。
【0007】従って、本発明の目的は、保存性、食感、
色、フレーバーに優れしかも商品価値の高い無菌化包装
米飯を、少ない工程数で生産性よく、しかも低いコスト
で製造し得る方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、熱可塑
性樹脂から成る内層及び外層、外層側に位置するガスバ
リアー性樹脂の第一の中間層及び内層側に位置する脱酸
素剤含有樹脂組成物の第二の中間層を備えた容器内に、
米及び炊飯に必要な水を充填し、容器内の酸素を置換後
密封し、この密封後の包装体を加圧加熱釜中で110℃
を越えない温度で加熱炊飯し、炊飯終了後の容器内酸素
濃度を0.3%以下に維持することを特徴とする無菌化
包装米飯の製造法が提供される。
【0009】
【作用】本発明では、熱可塑性樹脂から成る内層及び外
層、外層側に位置するガスバリアー性樹脂の第一の中間
層及び内層側に位置する脱酸素剤含有樹脂組成物の第二
の中間層を備えた容器を使用する。
【0010】上記熱可塑性樹脂の内層及び外層は、トレ
ー、カップ状の容器あるいは袋状容器への成形性及び耐
熱性を付与するものである。又内層は蓋内面材とのヒー
トシール性及びそれ自体のヒートシール性を与えるため
のものである。外層側に位置するガスバリアー性樹脂の
中間層(第一中間層)は、容器壁を通して容器内への酸
素の透過を抑制するためのものである。一方、内層側に
位置する脱酸素剤含有樹脂組成物の中間層(第二中間
層)は、容器内の酸素を吸収し、また容器壁あるいは蓋
材を通して侵入する酸素を吸収するためのものである。
【0011】この特定の容器内に、米及び炊飯に必要な
水を充填し、容器内の酸素を置換後蓋で密封し、密封後
の包装体を加圧加熱釜中で110℃を越えない温度で加
熱炊飯し、しかも炊飯終了後の容器内酸素濃度を0.3
%以下に維持することが、本発明の顕著な特徴である。
【0012】本発明によれば、包装容器内に米及び水を
充填し、密封後、加熱炊飯を行うことにより、加熱炊飯
時の熱及び水蒸気を利用して、第二中間層における脱酸
素剤が著しく活性化され、容器内酸素そして容壁あるい
は蓋材を通して侵入する酸素の吸収が有効に行われ、炊
飯終了後長期間に亘っての容器内酸素濃度を0.3%以
下に抑制することができる。
【0013】即ち、脱酸素剤による酸素の吸収速度は、
水分の共存する条件では、室温に比して100℃程度の
高温では著しく大きくなる。また、ポリオレフィン等の
耐湿性熱可塑性樹脂は、もともと酸素に対して透過性を
有するが、100℃程度の高温では、室温に比して水蒸
気に対する透過性もかなり大きくなる。このため、本発
明による前記多層容器では、加熱炊飯時に、内外層熱可
塑性樹脂層を通して第二中間層に水分が供給されると共
に、第二中間層を通して脱酸素剤による酸素の吸収、除
去が有効に行われることになる。
【0014】また、本発明によれば、密封された状態で
炊飯が行われ、この密封状態が炊飯後も持続されるた
め、米飯が外気と接触したり、外気中の微生物が米飯中
に混入するという事態が回避され、しかも包装容器内で
炊飯が行われるため、格別の炊飯装置、無菌充填装置が
不要となり、工程数も少なくなるという製造上の利点が
ある。
【0015】本発明の方法において、加熱炊飯温度を1
10℃以下と規定しているのは、110℃以上のような
高温では、炊飯時に米の組織(texture )が破壊され、
食感(美味感)が損われるためであり、一方包装体ごと
の炊飯を加圧加熱釜中で行うのは、加熱雰囲気を加圧下
におくことで、蒸気圧による包装体の変形を防止すると
共に、加熱装置内への出入等の操作を容易に行い得るた
めである。
【0016】上記温度における炊飯では、滅菌乃至殺菌
の程度は、所謂レトルト殺菌のような完全なものにはな
らないが、本発明によれば、110℃以下の温度で短時
間で炊飯するため、米の組織が破壊されず、又、炊飯中
に活性化された酸素吸収剤により炊飯終了後の酸素濃度
を0.3%以下に抑制することにより、菌の増殖を完全
に防止することができる。
【0017】本発明による包装米飯では、所謂炊き上が
り御飯のように米粒が立った満足すべき状態であり、特
に途中で蒸らしのために飯盒炊飯のように反転炊飯を行
う場合には、この傾向が顕著である。
【0018】
【発明の好適態様】
[包装容器]本発明に使用する包装容器の一例を示す図
1において、この包装容器10の容器1は、熱可塑性樹
脂の外層2、接着剤樹脂層3a、ガスバリヤー性樹脂か
ら成る第一の中間層4、接着剤樹脂層3b、脱酸素剤配
合樹脂組成物から成る第二の中間層5及び熱可塑性樹脂
の内層6からなっている。第二の中間層5には、脱酸素
剤が配合され、第一の中間層4は容器外面側に、第二の
中間層5は内側に設けられていることが留意されるべき
である。
【0019】本発明において、容器の両側に設ける熱可
塑性樹脂2及び6としては、低−、中−或いは高−密度
のポリエチレン、アイソタクテイツクポリプロピレン、
エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチ
レン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共
重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン
共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物等
のオレフイン系樹脂を挙げることができ、更にポリスチ
レン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソ
プレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂や、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフ
タレート等の熱可塑性ポリエステルやポリカーボネート
であることもできる。これらの内でも、衛生性の点で
は、オレフィン系樹脂が好適であり、耐熱性の点では、
プロピレン系樹脂が好適である。
【0020】第一中間層4を構成するガスバリヤー性樹
脂としては、小さい酸素透過係数を有し且つ熱成形可能
な熱可塑性樹脂が使用される。ガスバリヤー性樹脂の最
も適当な例としては、エチレン−ビニルアルコール共重
合体を挙げることができ、例えば、エチレン含有量が2
0乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチ
レン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以
上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られ
る共重合体ケン化物が使用される。このエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体ケン化物は、フイルムを形成し得
るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノー
ル:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定
して 0.01dl/g以上、特に0.05 dl/g以上の粘度を有す
ることが望ましい。
【0021】また、前記特性を有するガスバリヤー性樹
脂の他の例としては、炭素数100個当りのアミド基の
数が5乃至50個、特に6乃至20個の範囲にあるポリ
アミド類;例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロ
ン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド、ナ
イロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン13等が使用される。これらのポリアミドもフイルム
を形成するに足る分子量を有するべきであり、濃硫酸中
1.0g/dlの濃度で且つ30℃の温度で測定した相対粘度
(ηrel)が1.1 以上、 特に1.5 以上であることが望ま
しい。
【0022】本発明の第二中間層5に含有させる脱酸素
剤としては、従来この種の用途に使用されている脱酸素
剤は全て使用できるが、一般には還元性でしかも実質上
水に不溶なものが好ましく、その適当な例としては、還
元性を有する金属粉、例えば還元性鉄、還元性亜鉛、還
元性錫粉;金属低位酸化物、例えば酸化第一鉄、四三酸
化鉄、更に還元性金属化合物、例えば炭化鉄、ケイ素
鉄、鉄カルボニル、水酸化鉄;などの一種又は組合せた
ものを主成分としたものが挙げられ、これらは必要に応
じてアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸
塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸
塩、有機酸塩、ハロゲン化物等と組合せて使用すること
ができる。
【0023】また多価フェノールを骨格内に有する高分
子化合物、例えば多価フェノール含有フェノール・アル
デヒド樹脂等が挙げられる。
【0024】これらの脱酸素剤は、一般に平均100μ
m 以下、特に50μm 以下の粒径を有することが好まし
い。
【0025】上記脱酸素剤は、吸水剤と組み合わせて使
用することもでき、かかる吸水剤としては、潮解性無機
塩、潮解性有機化合物或いは吸水性樹脂等が使用され、
潮解性物質の例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシ
ウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウ
ム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二
ナトリウム、二リン酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸
ナトリウム等の無機塩類;グルコース、果糖、ショト
ウ、ゼラチン、変性カゼイン、変性デンプン、トラガカ
ントゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、水溶性セ
ルロース誘導体等の低分子乃至高分子の有機化合物等が
挙げられる。
【0026】上記脱酸素材は、酸素吸水作用の活性化を
計るために、吸水性樹脂と組み合わせて使用してもよ
く、多くの水溶性樹脂や、本質的に水不溶性でしかも自
重の数十倍から数百倍に達する水を吸水し得る能力を有
する樹脂が使用される。高吸水性樹脂と呼ばれるもの
は、一般に吸水性に寄与する電離性基を有すると共に、
この樹脂を水不溶性にするための網状乃至架橋構造或い
はゲル状構造を有している。
【0027】この吸水性樹脂としては、アクリル酸
(塩)グラフト化澱粉、澱粉のアクリロニトリルグラフ
ト化加水分解物、アクリル酸(塩)グラフト化セルロー
ス等の澱粉乃至セルロース系のグラフト誘導体や、架橋
ポリアクリル酸(塩)、特にアクリル酸(塩)とジビニ
ルベンゼン等の多官能モノマー或いは更にスチレン、ア
クリル酸エステル類等の疎水性モノマーとの共重合体;
酢酸ビニルとアクリル酸エステルとの共重合体のケン化
で製造されるビニルアルコール−アクリル酸(塩)ブロ
ック共重合体;ポリビニルアルコールや、或いはこれに
無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応さ
せ、側鎖にカルボキシル基と架橋構造を同時に導入した
変性ポリビニルアルコール等がある。
【0028】吸水剤や吸水性樹脂は、脱酸素剤当たり、
1乃至10重量%、特に3乃至8重量%の量で使用する
のがよい。
【0029】脱酸素剤を配合する熱可塑性樹脂として
は、前述した熱可塑性樹脂やガスバリアー性樹脂の何れ
をも使用できる。勿論、これらの樹脂の混合物も使用で
きるし、これら以外の樹脂も使用することもできる。熱
可塑性樹脂6との接着性の点では、該樹脂6と同様の樹
脂を使用することが好ましい。接着性の点では、同種の
ガスバリアー性樹脂を使用することが好ましい。
【0030】脱酸素剤は、樹脂当り1乃至30重量%、
特に5乃至28重量%の濃度で用いるのがよい。脱酸素
剤の含有量が上記範囲よりも低いと、容器内の酸素濃度
を微生物の生育に適した濃度以下に抑制することが困難
となり、一方上記範囲以上の濃度としても、酸素濃度の
低下の点では、格別の効果がなく、成形作業性や価格の
点ではかえって不利となる。
【0031】エチレン−ビニルアルコール共重合体の場
合のように、用いるガスバリヤー性樹脂4と熱可塑性樹
脂層2及び脱酸素剤配合樹脂層5との間には積層に際し
て十分な接着性が得られない場合があるが、この場合に
は両者の間に接着剤樹脂層3a,3bを介在させる。
【0032】このような接着剤樹脂としては、カルボン
酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミ
ド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル(−CO
−)基を主鎖又は側鎖に、1乃至700ミリイクイバレ
ント(meq )/100g樹脂、特に10乃至500meq
/100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げら
れる。接着剤樹脂の適当な例は、エチレン−アクリル酸
共重合体、イオン架橋オレフイン共重合体、無水マレイ
ン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポ
リプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフイン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共
重合ポリアミド等の1種又は2種以上の組合せである。
これらの樹脂は、同時押出或いはサンドイッチラミネー
ション等による積層に有用である。また、予じめ形成さ
れたガスバリヤー性樹脂フイルムと熱可塑性樹脂フイル
ムとの接着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ
系等の熱硬化型接着剤樹脂も使用される。
【0033】脱酸素剤配合樹脂層は、容器内に許容され
る酸素量によっても相違するが、一般に30乃至150
μm 、特に50乃至120μm の厚みを有することが望
ましい。
【0034】ガスバリアー性樹脂層の厚みは、一般に5
乃至50μm、特に8乃至40μmの厚みを有すること
が好ましい。
【0035】一方、内外層熱可塑性樹脂層は、一般に3
0乃至1000μm、特に50乃至400μmで設ける
のがよく、この内でも、内層は、脱酸素剤の活性化が有
効に行われると共に、酸素の透過も有効に行われるよう
に、40乃至110μmの比較的薄い厚みを有するのが
よく、一方外層は水蒸気の透過が可及的に抑制されるよ
うに、150乃至400μmの比較的厚い厚みを有する
のがよい。
【0036】本発明に用いる包装容器は、前述した層構
成とする点を除けば、それ自体公知の方法で、カップ或
いはトレイ等の形に成形される。
【0037】積層体の製造には、多層同時押出が有利で
あり、各樹脂層に対応する押出機で溶融混練した後、T
−ダイ、サーキュラーダイ等の多層多重ダイスを通して
所定のシート或いはフィルムの形状に押出す。また、ド
ライラミネーション、サンドイッチラミネーション、押
出コート等の積層方式も採用し得る。
【0038】このフイルム乃至シートを、真空成形、圧
空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付す
ることにより、カップ状、トレイ状等のセミリジッドな
包装容器が得られる。更に、多層フイルムにあっては、
これを袋状に重ね合せ或いは折畳み、周囲をヒートシー
ルして袋状容器(パウチ)とすることもできる。
【0039】カップ状、トレイ状等のセミリジッドな包
装容器では、容器の密封に、可撓性のヒートシール蓋を
用いる。このヒートシール蓋は、ヒートシール性樹脂か
ら成る内面層、ガスバリヤー性樹脂或いは金属箔から成
る酸素遮断層、及び保護樹脂層の積層体からなるもので
あり、容器内面層と蓋ヒートシール性樹脂層との間で、
ヒートシールによる密封が行われる。
【0040】[包装体の製造]本発明による無菌化包装
米飯の製造工程を説明するための図2において、先ず、
工程Aで包装容器10を、例えば紫外線(UV)照射に
より殺菌する。工程Bで、この容器10に精米、研米後
脱酸素/フィルター濾過無菌流水で浸漬した洗米11及
び炊飯に必要な無菌水12を充填する。充填後、工程C
で液面上の空気を、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス或い
は水蒸気13で置換し、容器上の空気を可及的に排除し
た後、工程Dで予じめ、例えば紫外線(UV)照射によ
り殺菌した蓋14を施し、ヒートシールにより密封す
る。
【0041】工程Eで、得られた密封包装体15を加圧
加熱釜16内に詰め、熱水及び加圧用ガスを加圧加熱釜
内に供給して、所定温度及び圧力での炊飯を行う。炊飯
工程の途中、即ち工程Fで、加圧加熱釜16を反転さ
せ、飯盒炊飯と同様な反転蒸らしを行うことができる。
炊飯工程終了後、調理済み包装米飯17を冷却して取り
出し、製品とする。
【0042】包装容器或いは蓋の殺菌は、例えば殺菌用
紫外線(UV)ランプを用いて行える他に、過酸化水
素、過酢酸、オゾン水等を用いて行うことができる。ま
た、炊飯や洗米に使用する水も、フィルター濾過あるい
は上記殺菌手段で予め殺菌しなければならない。充填す
る米と水との比率は、米に対する水の重量比が0.5乃
至1.5倍となる範囲がよい。
【0043】炊飯後の容器内酸素を低い水準に止めるた
めに、ヘッドスペースの酸素濃度を0.5%以下に抑制
しておくことが有利であり、これは不活性ガス置換や水
蒸気置換より行われる。窒素置換と同時に、水蒸気を封
入し、蓋に若干の張りを持たせておくことが好ましい。
【0044】炊飯は、白飯の場合、98乃至110℃、
特に102乃至107℃の温度で、15乃至30分間、
特に20乃至25分間程度行うのがよい。混ぜ御飯等の
場合には、米飯の組織が壊れないという範囲で若干高め
の温度としてもよい。レトルト内の加圧の程度は、容器
の変形を防止できる程度のものであり、容器内部の圧力
と容器外部の圧力とが実質上等しくなるのがよい。
【0045】加圧加熱釜中での加熱炊飯により、容器壁
の第二中間層中に存在する脱酸素剤が、活性化され、容
器内の酸素濃度が、菌類の増殖を許さない0.3%以内
のレベルに達する。釜を昇温中そして/あるいは冷却中
に釜を反転させる事が米粒が立った満足すべき状態が得
られる。
【0046】
【実施例】本発明を次の例で説明する。
【0047】実施例1 ポリプロピレン樹脂(MI0.5g/10min、23
0℃)に平均粒径が30μmの鉄系酸素吸収剤をそれぞ
れ75:25の重量比となる割合で、バッチ式高速攪拌
翼型混合機を用いて混合した。次いで、この混合物を5
0mm径スクリューを内蔵する押出機/ストランドダイ
/ブロワー冷却機/カッターで構成されるペレタイザー
にてペレット化した。上記ペレット化したポリプロピレ
ンと酸素吸収剤よりなる混合物(POA)を第二の中間
層とし、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン
含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、EVO
H)を第一の中間層とし、メルトインデックスが0.5
g/10min(230℃)のポリプロピレン(PP)
を内外層とし、メルトインデックス1.0g/10mi
n(230℃)の無水マレイン酸変性PP(ADH)を
接着剤層とした4種6層シート(全厚み0.5mm、構
成比 PP/POA/ADH/EVOH/ADH/PP
=7:10:1:2:1:29)を成形した。
【0048】得られたシートを約190℃に加熱後、真
空成形機にてPOA層がEVOH層より内側になった深
さ25mm、長軸135mm、短軸105mmの長方形
トレイ状容器を成形した。
【0049】また、可撓性ヒートシール蓋としては、ナ
イロン6,66共重合体外層15μm/エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体(上記と同じもの)中間層12μ
m/線状低密度ポリエチレン(LLDPE)内層50μ
mのラミネートを用いた。
【0050】このトレイ状容器及び蓋の内面側を、紫外
線(UV)照射により殺菌した。この容器に研米後流水
浸漬した洗米110g及び殺菌水90gを充填した。洗
米としては1割の外皮を除去したものを使用し、水とし
ては、脱塩素、フィルター濾過無菌水を使用した。
【0051】充填後、液面上の空気を、窒素置換すると
共に、若干の炭酸ガスを充填し、蓋と容器フランジとを
約175℃の温度でヒートシールバーにより密封した。
【0052】密封後の包装体を、等圧熱水回転釜に入
れ、40゜から100℃迄20分で昇温し、100℃で
25分間保持後40℃迄15分間で冷却し、その後5分
間で水温まで冷却後取り出した。釜の反転は、昇温中
(100℃に達する5分前)と冷却中(40℃に達する
5分前)に1回づつ行った。
【0053】取り出した包装体内の酸素濃度を測定した
ところ、0.3%以下であることが確認された。また、
米飯中の鉄溶出を原子吸光法で測定したところ、検出限
界の0.1ppm以下であった。
【0054】米飯包装体のヒートシール蓋を剥離により
開封し、容器ごと電子レンジに投入し、加温した。加熱
後の容器には、変形や発泡は認められなかった。容器内
の米粒は立っており、ふっくらとした炊きあがりである
ことが確認された。一般パネルによる1:2点識別法に
よるフレーバー性テストでは、通常のトレイ米飯と有意
差はなかった。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂から成る
最内層及び最外層、外層側に位置するガスバリアー性樹
脂の第一の中間層及び内層側に位置する脱酸素剤含有樹
脂組成物の第二の中間層を備えた容器を使用し、この特
定の容器内に、米及び炊飯に必要な水を充填し、容器内
の酸素を置換後蓋で密封し、密封後の包装体を加圧釜中
で110℃を越えない温度で短時間で加熱炊飯すること
により所謂レトルト殺菌米飯の様に、滅菌乃至殺菌の程
度は完全なものにならないが、米の組織が破壊されず食
感に優れると共に、第二中間層における脱酸素剤が炊飯
中に活性化され、容器内酸素の吸収が有効に行われ、炊
飯終了後の容器内酸素濃度を0.3%以下に抑制し、微
生物の増殖を有効に抑制することができる。
【0056】また、本発明によれば、密封された状態で
炊飯が行われ、この密封状態が炊飯後も持続されるた
め、米飯が外気と接触したり、外気中の微生物が米飯中
に混入するという事態が回避され、しかも包装容器内で
炊飯が行われるため、格別の炊飯装置、無菌充填装置が
不要となり、工程数も少なくなるという製造上の利点が
ある。
【0057】本発明による包装米飯では、所謂炊き上が
り御飯のように米粒が立った満足すべき状態であり、特
に途中で蒸らしのために飯盒炊飯のように反転炊飯を行
う場合には、この傾向が顕著である。また、本発明の方
法では、米飯中への鉄溶出もなく、米飯のフレーバーも
極めて良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器の多層構造の例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明による包装米飯の製造工程を説明するた
めの工程図である。
【符号の説明】 1 容器壁 2 熱可塑性樹脂の外層 3a及び3b 接着剤樹脂層 4 ガスバリヤー性樹脂から成る第一の中間層 5 脱酸素剤配合樹脂組成物から成る第二の中間層 6 熱可塑性樹脂の内層 10 包装容器 11 洗米 12 炊飯に必要な水 13 不活性ガス或いは水蒸気 14 蓋 15 密封包装体 16 加圧加熱釜 17 調理済み包装米飯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 正泰 神奈川県逗子市小坪1−2−7

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂から成る内層及び外層、外
    層側に位置するガスバリアー性樹脂の第一の中間層及び
    内層側に位置する脱酸素剤含有樹脂組成物の第二の中間
    層を備えた容器内に、米及び炊飯に必要な水を充填し、
    容器内の酸素を置換後密封し、この密封後の包装体を加
    圧加熱釜中で110℃を越えない温度で加熱炊飯し、炊
    飯終了後の容器内酸素濃度を0.3%以下に維持するこ
    とを特徴とする包装米飯の製造法。
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