JPH062863B2 - 電気絶縁用二軸配向ポリエステルフイルム - Google Patents

電気絶縁用二軸配向ポリエステルフイルム

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JPH062863B2
JPH062863B2 JP59213584A JP21358484A JPH062863B2 JP H062863 B2 JPH062863 B2 JP H062863B2 JP 59213584 A JP59213584 A JP 59213584A JP 21358484 A JP21358484 A JP 21358484A JP H062863 B2 JPH062863 B2 JP H062863B2
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康夫 斉藤
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は,微細粒子と特定化合物を含有し,かつ,表面
の高荷重摩擦係数が小さく特定高さの突起が多く,低分
子物抽出量が少ない電気絶縁用二軸配向ポリエステルフ
イルムに関するものである。
〔従来の技術〕
二軸配向ポリエステルフイルム,たとえば二軸配向ポリ
エチレンテレフタレートフイルムは,強靭性,耐熱性,
寸法安定性,電気絶縁性にすぐれているので電気絶縁製
品用として賞用されている。その電気絶縁製品の代表例
である冷凍機や冷蔵庫のロータリー型コンプレツサーで
は、モータ部の出力が高くかつ耐電圧不良が少ないこ
と,そしてロータリー部での冷媒循環が良いことが要望
されている。
出力を高めるためには,モータのスロツト内に組み込ま
れるコイルが高密度に充填されていること,すなわち,
〔コイル部体積/スロツト部容積〕×100(%)で示
す「占積率」が高いことが必要となる。
ところで,モータのスロツト部には,コイルと鉄芯とを
電気絶縁する目的でフイルムからなるスロツトライナー
とウエツジが設けられており,該スロツトライナーとコ
イルを設置後に自動成型挿入機を用いてコイルと鉄芯と
の空間に該ウエツヂが打ち込まれる。しかるに,高占積
率になればなるほど空間は狭くなるので,打ち込みに際
しウエツヂが挿入しにくかつたり,無理に挿入できて
も,打ち込み時の外力や摩耗で挫屈して不合格になつた
り,表層が損傷して耐電圧不良となつたりする。以上
は,すなわち,「モータ部での出力を高くしようとすれ
ば,挫屈による不良や耐電圧不良となる欠点がある。」
ということである。この解決のためには,自動成型挿入
機で高占積率にスムーズに挿入できるよう,スロツトラ
イナーやウエツヂの素材であるフイルムの滑り性が改善
されていること(以下「易滑性」と称す)が必要であ
る。
一方,ロータリー部での冷媒循環を良好に保つには,冷
媒中に溶解しきらない固形異物(通常は環状三量体)が
析出し,その異物がロータリー部の循環口部に堆積して
冷媒の循環不良現象(いわゆるロツク)をおこさないこ
と,および,析出異物がロータリーの回転の潤滑性を悪
化せしめて出力低下をきたすことのないことが必要であ
り,そのためには,モータ部に使用されるフイルムから
冷媒中に抽出される低分子物量が少ないことが必要であ
る(以下,低分子物のことを「オリゴマ」と称し,低分
子物量が少ないことを「低オリゴマ性」と称す)。
従来の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフイルムは,た
とえば,特開昭58−209530号公報で,特定の金
属化合物を有し,固有粘度と面配向指数の高いもの(固
有粘度が0.7以上,面配向指数が0.16以上)が提案され
ているが,この方法では前述した易滑性と低オリゴマ性
は満足できていないのが実状であり,かつ,固有粘度を
高くすることは生産性を著しく陥害するという欠点があ
つた。
〔発明の目的〕
本発明の目的は,上記スロツトライナーとウエツヂの要
求特性を満足せしめ,従来技術の欠点のないもの,すな
わち,易滑性と低オリゴマ性が共にすぐれた電気絶縁用
二軸配向ポリエステルフイルムを提供せんとするもので
ある。
〔発明の構成〕
本発明は,ポリエステル100重量部に対し,平均粒径
が0.05〜3μmの微細粒子を0.005〜2重量部と主成分
が炭素原子数10〜33の高級脂肪族モノカルボン酸ま
たはそのエステルからなる化合物の少なくとも一種を0.
04〜2重量部とを含有してなり,かつ,少なくとも一方
の面の高荷重摩擦係数が0.25以下でかつ,0.05〜0.4μ
mの高さをもつ突起がフイルムの縦方向に20個/mm以
上存在する表面を有し,フレオンと冷凍機油の混合液1
30℃・24時間により抽出される低分子物抽出量が0.
6重量%以下であることを特徴とする電気絶縁用二軸配
向ポリエステルフイルムである。
本発明におけるポリエステルとは,芳香族ジカルボン酸
を主たる酸成分とし,アルキレングリコールを主たるグ
リコール成分とするポリエステルである。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては,テレフタル酸,
イソフタル酸,ナフタレンジカルボン酸,ジフエノキシ
エタンジカルボン酸,ジフエニルジカルボン酸,ジフエ
ニルエーテルジカルボン酸,ジフエニルスルホンジカル
ボン酸,ジフエニルケトンジカルボン酸,アンスラセン
ジカルボン酸,α,β−ビス(2−クロルフエノキシ)
エタン−4,4′−ジカルボン酸などが挙げられ,これら
のうち,特にテレフタル酸が好ましい。
アルキレングリコールの具体例としては,エチレングリ
コール,トリメチレングリコール,テトラメチレングリ
コール,ペンタメチレングリコール,ヘキサメチレング
リコール,ヘキシレングリコールなどが挙げられ,これ
らのうちで,特にエチレングリコールが望ましい。
もちろん,これらのポリエステルは,ホモポリエステル
であつてもコポリエステル(共重合ポリエステル)であ
つてもよく,共重合する成分としては,たとえば,ジエ
チレングリコール,プロピレングリコール,ネオペンチ
ルグリコール,ポリアルキレングリコール,p−キシリ
レングリコール,1,4−シクロヘキサンジメタノール,
5−ナトリウムスルホレゾルシンなどのジオール成分,
アジピン酸,セバシン酸,フタル酸,イソフタル酸,2,
6−ナフタリンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸などのジカルボン酸成分,トリメリツト酸,
ピロメリツト酸などの多官能ジカルボン酸成分,p−オ
キシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分など
が挙げられる。
なお、上記ポリエステル中には,もちろん,公知の添加
剤,たとえば,帯電防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤な
ど,本発明の効果を損なわない量で添加されていてもよ
い。
本発明における微細粒子とは,周知の内部粒子や不活性
粒子のほかポリエステルに不溶性の有機系粒子などから
選ばれる少なくとも一種である。
内部粒子とは,ポリエステルの合成時に添加した金属化
合物,たとえばカルシウム化合物,マグネシウム化合物
およびリチウム化合物などの少なくとも一種の化合物や
リン化合物がポリエステルを構成する成分と結合して生
成する粒子である。
不活性粒子とは、種類としては元素周期律表第II,II
I,IV族の元素の酸化物もしくは無機塩から選ばれる化
学的に不活性なもので,たとえば合成または天然品とし
て得られる炭酸カルシウム,湿式シリカ(二酸化ケイ
素),乾式シリカ(二酸化ケイ素),ケイ酸アルミニウ
ム(カオリナイト),硫酸バリウム,リン酸カルシウ
ム,タルク,二酸化チタン,酸化アルミニウム,水酸化
アルミニウム,テレフタル酸カルシウム,ケイ酸カルシ
ウムなどが挙げられる。
ポリエステルに不溶性の有機系粒子とは,種類は特に限
定されるものではなく,たとえば,含フツ素系微粒子ポ
リマや架橋ポリマの微細粒子などである。
上記の微細粒子の平均粒径は,0.05〜3μmである必要
があり,好ましくは0.1〜2μmである。0.1μm未満や
3μmを越す場合,フイルムの易滑性が不十分になる。
また,上記微細粒子の含有量は,ポリエステル100重
量部に対して0.005〜2重量部である必要があり,好ま
しくは0.005〜1重量部,さらに好ましくは0.01〜0.5重
量部である。含有量が上記した範囲の下限未満や上限を
越えると,フイルムの易滑性が悪くなる。以上のよう
に,含有量の適正範囲をはずれたフイルムによつてスロ
ツトライナーやウエツヂとなした場合,自動成型挿入機
での高占積率挿入ができにくく,かつ耐電圧不良を起こ
しやすい。
本発明における主成分が炭素原子数10〜33の高級脂
肪族モノカルボン酸からなる化合物とは,具体例として
は,カプリン酸,ラウリン酸,ステアリン酸,ノナデカ
ン酸,アラキン酸,ベヘニン酸,メリシン酸,リグノセ
リン酸,セロチン酸,モンタン酸,ヘントリアコンタン
酸,ペトロセリン酸,オレイン酸,エルカ酸,リノール
酸およびこれらを含む酸混合物などが挙げられる。これ
らのうちで,好ましくは炭素原子数18〜33,さらに
好ましくは20〜32を有する高級脂肪族モノカルボン
酸は,易滑性と低オリゴマ性が大幅に向上する特徴があ
る。
本発明における高級脂肪族モノカルボン酸エステルと
は,上記の高級脂肪族モノカルボン酸を,炭素原子数2
〜33を有する1価または2価の直鎖状または分岐状の
アルコールで一部または全部をエステル化することによ
つて得られるものである。具体的には,モンタン酸エチ
レングリコールエステル,モンタン酸エチルエステル,
モンタン酸セリル,リグノセリン酸オクタコシル,リグ
ノセリン酸メリシル,リグノセリン酸セリル,セロチン
酸ミリシル,セロチン酸セリルなどが挙げられ,天然に
得られるモンタンワツクス,カルナウバワツクス,ビー
ズワツクス,カンデリラワツクス,ヌカロウ,イボタロ
ウなども好ましく用いられる。
なお、高級脂肪族カルボン酸の酸成分は分岐を有してい
てもよい。
本発明における主成分とは,その化合物が50重量%以
上含有されているものをいう。
本発明において,高級脂肪族モノカルボン酸の炭素原子
数が10未満または33を越えると、易滑性と低オリゴ
マ性が両立しない。
本発明においては,高級脂肪族カルボン酸とアルコール
からなるエステルとしては,その構成となる酸およびア
ルコールの炭素原子数が,好ましくは,ともに18〜3
3,さらに好ましくは20〜32の組み合せで得られる
エステルが、良好な易滑性と低オリゴマを付与できる点
で望ましい。
本発明において,高級脂肪族モノカルボン酸,そのエス
テルからなる少なくとも一種の化合物の含有量は,ポリ
エステル100重量部に対して,0.04〜2重量部である
必要があり,好ましくは0.06〜1重量部,さらに好まし
くは0.07〜0.5重量部,最も好ましくは0.1重量部を越え
0.5重量部である。上記含有量が0.04重量部未満または
2重量部を越える場合は,易滑性と低オリゴマ性が両立
しない。
本発明においては,後に述べる方法によつて測定される
高荷重摩擦係数が0.25以下,好ましくは0.20以下である
必要がある。0.25を越える場合は易滑性が悪い。
本発明においては,フイルム表面の突起に関して,0.05
〜0.4μmの高さの突起が後に述べる方法による測定
で,縦方向1mm長当り20個以上,好ましくは30個以
上存在することが必要である。20個/mm未満であると
易滑性が悪い。
本発明においては,フイルムを後に述べる測定法でフレ
オンと冷凍機油の混合液に浸漬し,130℃・24時間
経過後に抽出されるオリゴマの抽出量が,フイルム重量
に対して0.6重量%以下である必要がある。該オリゴマ
の抽出量が0.6重量%を越えると低オリゴマ性に欠け
る。
ここで云う低分子物とは,ポリエステルフイルムから抽
出される主として環状オリゴマ(サイクリツクトリマ
ー)と線状オリゴマ(モノヒドロキシルエチルフタル
酸)を指す。
またフレオンとは,フレオン22からなるもので市販品
としては三井フロロケミカル(株)製フレオン22を挙
げることができる。
冷凍機油とは一般にナフテン系の油で,市販品として日
本サンオイル(株)スニソ4GDID−Mを挙げること
ができる。
本発明においては,フイルムは二軸配向している必要が
ある。二軸配向フイルムでないと前記高荷重摩擦係数と
表面突起分布を前記範囲内にすることが難しいし,ま
た,厚みムラ,剛性,寸法安定性,折り曲げ加工性が致
命的に悪い。二軸配向の程度は,面内複屈折Δnが0〜
0.15,好ましくは0〜0.10,面内屈折率の和が3.2〜3.4
2,厚さ方向屈折率比が0.935〜0.980が望ましい。ここ
で云う面内複屈折Δnとは,ナトリウムD線を用いたア
タゴ(株)製のアツベ屈折計で25℃・65%RHで測定
したフイルムの縦方向と横方向と厚さ方向の各屈折率の
うち,縦方向と横方向の屈折率の差の絶対値であり,ま
た,面内屈折率の和とは,縦方向屈折率と横方向屈折率
の和であり,また,厚さ方向屈折率比とは,フイルムの
厚さ方向の屈折率(P)と,そのフイルムを溶融プレス
後10℃水中で急冷した非晶フイルムの厚さ方向の屈折
率(Q)の比,すなわち,(P)/(Q)である。な
お,本発明二軸配向フイルムの上記配向の程度は特に面
配向が高い必要はなく,いわゆる面配向指数〔1/2×
(縦方向屈折率+横方向屈折率)−厚さ方向屈折率〕は
0.145以上程度でよい。
以上述べてきたように本発明二軸配向ポリエステルフイ
ルムにおいては, A.微細粒子を含有 B.高級脂肪族モノカルボン酸,または,そのエステル
からなる化合物(以下「高級脂肪酸化合物」と称す)を
含有 C.高荷重摩擦係数が0.25以下,かつ,0.05〜0.4μm
高の表面突起が縦方向に20個/mm以上 D.フレオンと冷凍機油混合液130℃・24時間での
抽出オリゴマ量が0.6重量%以下なるA,B,C,D各
項を同時に満たしている必要があり,いずれか1つの項
が満たされない場合でも本発明の効果は発現しない。組
成としてのA,Bは相乗作用によつて効果発現に導かれ
るが,A,Bが共に満たされても,必ずしも,物性とし
てのC,Dは満たされるとは限らない関係にある。
本発明二軸配向ポリエステルフイルムの厚みは,20〜
300μm,好ましくは35〜250μm,さらに好ま
しくは100〜250μmが望ましい。
次に本発明フイルムの製造方法について説明する。
先ず,微細粒子および高級脂肪酸化合物をポリエステル
に分散添加する。分散添加する方法は,ポリエステルの
重合の,反応前・反応中・反応後,または溶融押出時の
いずれでもよい。また,微細粒子および高級脂肪酸化合
物を,別々あるいは併存してポリエステル中に高濃度に
含有するマスタをポリエステル希釈混合する方法も好ま
しく採用される。
こうして特定の微細粒子(A)および高級脂肪酸化合物(B)
を特定量含有するポリエステルを,押出機中で溶融押出
し,シート状にキヤストし,周知の方法で延伸して配向
せしめる。二軸配向を得るための二軸延伸方法として
は,たとえば,同時二軸,縦→横,縦→横→縦,横→
縦,2段縦→横,2段縦→横→縦,2段縦→横→同時二
軸などが挙げられる。
次いで、必要に応じ適当な弛緩を与えつつ,熱処理をす
る。
次いで,必要に応じて少なくとも片面に周知のコロナ放
電処理,プラズマ処理などを処して巻取る。
以上の製造方法においては,分散添加の温度,押出温
度,キヤスト温度,延伸の温度・倍率,熱処理の温度・
時間などの諸条件を適宜選び組み合わせることによつて
フイルムの高荷重摩擦係数と表面突起数,および,オリ
ゴマ抽出量を制御することが可能である。
〔発明の効果・用途〕
本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは,特定径を有
する微細粒子と,特定の高級脂肪酸化合物とを,それぞ
れ特定量含有し,高荷重摩擦係数と表面突起数が特定範
囲にあり,抽出オリゴマ量が特定範囲内にあることを特
徴とする故に次の効果がある。
(1) 易滑性である。
(2) 固有粘度が高くなくても低オリゴマ性である。
(3) 製膜・スリツトの巻取・巻出工程や製品後の加工
工程での走行性がよい。
(4) スリ傷が少ない。
そして、スロツトライナーやウエツヂとなした時は, (5) 自動成型挿入機での折り曲げ加工性がよくなり、
挿入打ち込み時に摩耗や挫屈がなくなり,その結果,高
占積率,すなわち高出力で耐電圧の高いモータが得られ
る効果がある。
(6) 低オリゴマ性の故,冷媒の循環不良現象(ロツ
ク)や出力低下がなくなる効果がある。
以上の効果ゆえに,本発明二軸配向フイルムは,電気絶
縁用途に好適であり,特にロータリー型コンプレツサー
のスロツトライナー,ウエツヂ,層間紙代替部の各用途
や,各種インシユレータの用途に好適である。最も好ま
しい用途は,長寿命を要するハーメチツク型モータ用絶
縁材,特に冷媒としてフレオレを使用するハーメチツク
型モータ用絶縁材である。
〔特性の測定方法,評価基準〕
本発明における特性の測定方法および評価基準は次のと
おりである。
(1) 微細粒子の平均粒径φ(μm): フイルムサンプル切片を光学顕微鏡または電子顕微鏡で
観察し,日本レギユレータ(株)製の画像処理機“ルー
ゼツクス”−5000を用いて得た粒度分布から平均粒
径を求めた。
(2) 微細粒子の含有量W1(重量部): 粒子分離法として知られる方法によつた。すなわち,フ
イルムサンプルをオルソークロルフエノールに溶解させ
た後,遠心分離を行ない,分離後,上澄液を傾斜法で除
去し,分離粒子を得た。そうして得た分離粒子を120
℃・16時間真空乾燥して秤量した。なお,微細粒子の
構造同定,すなわち,微細粒子が何であるかを知るため
には,原子吸光法,螢光X線分析法,SEM−XMA法
(イオンマイクロプローブ法),ESCA法(エレクト
ロンスペクトロスコピー)を用いて判定した。
(3) 高級脂肪酸化合物の含有量W2(重量部): フイルムサンプルを溶媒CDCl3にとかし,核磁気共鳴法
にて,400MHz,H−NMR(JOEL製GX−4
00型パルスFTスペクトロメータ)と22.5MHz,13
C−NMR(JOEL製FT−900型パルスFTスペ
クトロメータ)を解析し,W2を求めた。なお、高級脂肪
酸化合物の炭素原子数,および化学構造式の同定には,
NMR法に加え,他に,FT−IR法,ESCA法,S
IMS法,MOLE法,GC−MS法などを用いた。
(4) 高荷重摩擦係数μ: 東洋テスター工業(株)製スリツプテスターを用いて次
の測定条件で測定した。
摩擦摺動速度:16.2cm/分 試験片サイズ:試験片A…3×10cm 試験片B…6×10cm 荷重の重量:5Kg 荷重のサイズ:3×4cm 摩擦摺動面:試験片Aと試験片Bの夫々非キマストドラ
ム面どうしの摩擦 高荷重摩擦係数μ=F/W ただし,μは動摩擦係数を指す。
(5) 表面突起数の数N(個/mm): 小坂研究所製三次元粗さ測定器(SE−3AK型)を用
いて次の条件で測定した。
L:測定長さ 1mm V:高さ倍率 20000倍 H:横倍率 200倍 S:触斜スピード 0.1mm/S C:カツトオフ 0.25mm ただし,触針子は先端直径2ミクロンのダイヤモンド円
錐針で,荷重は0.07gである。
(6) オリゴマ抽出量W3(重量%): フレオンと冷凍機油との混合液によるオリゴマ抽出量W3
は次式により求める。
W3=W2−W1 W2: 沸騰キシレン72時間抽出によるオリゴマ抽出量
(%) W1: 冷媒三井フロロケミカル(株)製フレオン22を
228ccと冷凍機油日本サンオイル(株)製スニソ4G
DID−Mを335ccとフイルム約20gを2の釜に
仕込み130℃で24時間抽出処理後のフイルム中の残
存オリゴマ量,すなわち沸騰キシレン72時間抽出によ
るオリゴマ抽出量(%) ただし,W3,W1,W2は試料フイルムに対する重量%であ
る。
(7) スロツトライナーおよびウエツヂの挿入性S: フイルムを横幅30mmに縦方向にスリツトし,長さ50
mmに裁断して,スロツトライナー用にした。一方,横幅
16mmに縦方向にスリツトし,長さ43mmに裁断して,
ウエツヂ用にした。次いで,小田原鉄工製自動成型挿入
機を用いて,スロツト部にスロツトライナー,コイル,
ウエツヂを占積率65%で充填した。その装填打ち込み
したものを検査し,打ち込み時に発生する挫屈の有無を
測定し,挿入製Sを良悪で判定し,易滑性パラメータと
した。
(8) 冷媒の循環性J: 1.5HPの横型ロータリーコンプレツサーを作つた。フ
レオンとしてダイキン製ダイフロン−12を220cc封
入し,冷凍機油として日本サン石油製Suniso Oil-4GD-1
DMを330ccを封入した。使用したスロツトライナーお
よびウエツヂは各35gおよび16gである。占積率は
65%とした。そして,巻線温度を130℃とし,24
時間毎に運転休止をくり返して,作動開始時に循環不良
による出力低下をきたすに至るまでの期間(日数)をも
つて判定した。その期間が175日以上であれば循環性
Jは良好,150日未満であれば循環性Jは劣悪と判定
し,低オリゴマ性のパラメータとした。
〔実施例〕
以下,実施例に基づいて本発明の実施態様例を説明す
る。
実施例1〜4 比較例1〜6 テレフタル酸ジメチル100重量部,エチレングリコー
ル62重量部に酢酸カルシウム0.06重量部を触媒として
常法によりエステル交換反応を行ない,その生成物に三
酸化アンチモン0.04重量部,酢酸リチウム0.07重量部お
よび酢酸カルシウム0.04重量部を添加し,続いて亜リン
酸0.02重量部,リン酸トリメチル0.10重量部と添加した
後,重縮合を行ない,固有粘度0.618,内部粒子量0.35
重量部(対ポリエステル100重量部)を含むポリマを
得た。内部粒子中にはカルシウム元素1.2重量%,リチ
ウム元素1.9重量%,リン元素4.9重量%含有されていた
(ポリエステル:A)。
テレフタル酸100重量部とエチレングリコール43重
量部を混練しスラリーを調整した。反応器に245℃で
貯留したテレフタル酸50重量部とエチレングリコール
21.5重量部の反応物中に該スラリーを一定速度で連続的
に添加し常圧下245℃でエステル化反応を行ない生成
する水を精留塔から連続的に系外に留出させた。該スラ
リーの供給時間は3時間30分で終了しエステル化反応
は4時間で終了した。得られた反応物からテレフタル酸
100重量部に相当するエステル化反応物を重合装置に
移しリン酸0.045重量部,三酸化アンチモン0.023重量
部,および平均粒径1.5μmを有する炭酸カルシウム3.0
重量部をエチレングリコールスラリーとして添加し,常
法に従つて重縮合反応した。得られたポリマは固有粘度
0.615を有し,本発明で規定する内部粒子は存在せず炭
酸カルシウム2.7重量部を含有していた(ポリエステ
ル:B)。
ポリエステル:Bと同様の方法で不活性粒子を添加しな
い固有粘度0.62のポリマを得た(ポリエステル:C)。
ポリエステル:Bと同様な方法で不活性粒子を添加せず
に重縮合を行ない,反応終了後セロチン酸ミリシルエス
テル(カルボン酸の炭素原子数が26)2.3重量部を添
加し,約10分間の混練を行ない固有粘度0.615のポリ
マを得た(ポリエステル:D)。
ポリエステル:Dと同様な方法でセロチン酸ミリシルエ
ステルの代わりにパルミチン酸(炭素原子数16)ナト
リウムを3.0重量部添加して固有粘度0.615のポリマを得
た(ポリエステル:E)。
ポリエステル:Dと同様にして,セロチン酸ミリシルエ
ステルの代わりにメリシン酸(炭素原子数30)を2.3
重量部添加し,固有粘度0.615のポリマを得た(ポリエ
ステル:F)。
ポリエステル:Bと同様に,炭酸カルシウムの粒径が3.
4μmのものを用い,炭酸カルシウムを2重量部含有し
ている固有粘度0.62のポリマを得た(ポリエステル:
G)。
かくして得たポリエステル:A,B,C,D,E,F,
Gから各適当量選んでブレンドし,実施例1〜4および
比較例1〜6のポリマ組成物とした。各実施例と各比較
例のポリマ組成物の組み合わせは,実施例1と比較例
5,6は,ポリエステル:A,C.Dからなり,実施例
2と比較例2は,ポリエステル:B,C,Dからなり,
実施例3は,ポリエステル:A,B,C,Dからなり,
実施例4は,ポリエステル:A,C,Fからなり,比較
例1は,ポリエステル:C,D,Gからなり,比較例3
は,ポリエステル:A,C,Eからなり,比較例4は,
ポリエステル:C,Dからなるようにした。
各々のポリマ組成物を,減圧乾燥し(170℃・2時
間),285℃で溶融押出し,60℃の冷却ドラム上に
キヤストして無延伸シート状となした後,まず,周速差
をもたせた一対のロール間で90℃で縦(長手)方向に
3.3倍延伸した。次いでテンターに送り込み,両端をク
リップで把持しつつ,95℃で横(幅)方向に3.5倍延
伸し,同じくテンター内で横方向に5%弛緩させつつ2
15℃で5秒間熱処理し,テンターから送り出し,巻取
つた。これら二軸配向フイルムの厚みをマイクロメータ
で測定した結果,全て,250μmであつた。実施例の
各フイルムの巻取作業性は良好であつた。これら全実施
例および全比較例のフイルムの屈折率を測定した結果,
全フイルムとも,縦方向,横方向,厚さ方向の屈折率
は,各々,1.63,1.66,1.50(P)であり,また屈折率
(Q)は,1.57であつた。故に,面内複屈折Δnは0.0
3,面内屈折率の和は3.29,厚さ方向屈折率は0.95,面
配向指数は0.145であつた。また,全フイルムとも、固
有粘度を測定(オルソクロロフエノールにフイルムを8.
0重量%に溶解し,25℃で測定)した結果,いずれも
固有粘度は0.600であつた。
これらのフイルムの特性を測定・評価した結果を第1表
に示した。
次いで,これらのフイルムを,30mm幅および16mm幅
にスリットした実施例の各フイルムのスリット性,およ
び,巻出・巻取の作業性は良好であつた。各スリットし
たフイルムについて,挿入性と冷媒循環性(低オリゴマ
性)を評価した結果を第1表に併せて示した。
第1表の測定・評価結果から,次のことが云える。実施
例1〜4のフイルムは,微細粒子の径(φ)・含有量
(W1),高級脂肪酸の炭素原子数(M)・含有量
(W2),高荷重摩擦係数(μ),表面突起数(N),
オリゴマ抽出量(W3)の全てが,本発明の特許請求の範
囲にあるため,挿入性(S)および冷媒循環性(J)が
ともにすぐれていることが判る。一方,比較例1は,φ
とμとNが本発明の特許請求の範囲を満たしていない
ため,Sが悪い結果になつた。同様に,比較例2ではW1
とμとNが,比較例3ではW2とμが,比較例4は微
細粒子を含有せず,かつ,W2とμとNとW3が,比較例
5ではμが,比較例6ではW2とW3が各々本発明の特許
請求の範囲外であつたため,SとJの少なくとも一つが
悪い結果になつた。
以上のことから明らかなように,本発明は,易滑性と低
オリゴマ性にすぐれた電気絶縁用フイルムであることが
わかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/10 // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル100重量部に対し,平均粒
    径が0.05〜3μmの微細粒子を0.005〜2重量部,主成
    分が炭素原子数10〜33の高級脂肪族モノカルボン酸
    またはそのエステルからなる化合物の少なくとも一種を
    0.04〜2重量部含有してなり,かつ,少なくとも一方の
    面の高荷重摩擦係数が0.25以下で0.05〜0.4μmの高さ
    をもつ突起がフイルムの縦方向に20個/mm以上存在す
    る表面を有し,フレオンと冷凍機油の混合液130℃・
    24時間により抽出される低分子物抽出量が0.6重量%
    以下であることを特徴とする電気絶縁用二軸配向ポリエ
    ステルフイルム。
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JPS58209530A (ja) * 1982-05-31 1983-12-06 Diafoil Co Ltd モーター内電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム

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