JPH0824008B2 - フライバックトランス用絶縁フイルム - Google Patents

フライバックトランス用絶縁フイルム

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JPH0824008B2
JPH0824008B2 JP1291464A JP29146489A JPH0824008B2 JP H0824008 B2 JPH0824008 B2 JP H0824008B2 JP 1291464 A JP1291464 A JP 1291464A JP 29146489 A JP29146489 A JP 29146489A JP H0824008 B2 JPH0824008 B2 JP H0824008B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はフライバックトランス用絶縁フイルムに関
し、更に詳しくは優れた電気絶縁特性,硬化性液状絶縁
樹脂の含浸性を確保しながら、巻線の巻乱れを防止し
た、二軸配向ポリエステルフイルムからなる積層型フラ
イバックトランス用絶縁フイルムに関する。
<従来技術> フライバックトランスは例えばブラウン管の水平偏向
回路に使用されている。このフライバックトランスは、
構造上、セパレート型のものと積層型のものとに大別で
きる。セパレート型のものは、コイルボビンの表面を隔
壁により複数のブロックに分割し、各ブロック毎に巻線
をバラ巻きすることで製造する。一方、積層型のもの
は、コイルボビンに巻線を一層にならべて巻き、その上
に絶縁フイルムを数層に巻き、さらにその表層面上に巻
線を一層にならべて巻き、そしてこれら操作を数回繰返
し、その後硬化性液状絶縁樹脂、例えばエポキシ樹脂,
不飽和ポリエステル樹脂などを線間やフイルム層間に含
浸充填し、硬化させることで製造する。この積層型フラ
イバックトランスは、セパレート型のものに比して、
画像の安定性が良い、発煙事故が殆んどない、という
特長を有する。このため、近年大型テレビ受像機、特に
20インチ以上の大画面テレビ受像機を中心に多く使用さ
れるようになっている。
従来、積層型フライバックトランスの絶縁フイルムと
しては耐熱性,電気特性特に絶縁特性の点から、厚み10
0μmの二軸配向ポリエステルフイルムを主に用いてい
る。しかし、このフイルムを用いる場合、製品不良等が
数%発生するという問題がある。この主な要因は巻線の
巻乱れにある。巻線は本来整然と線同士が隣り合い、ほ
ぼ直線状に巻かれていなければならないが、時として
(イ)巻線の一部が曲る。(ロ)巻線間隔が空く、
(ハ)巻線が交差する等の現象が発生する。この現象を
巻線の巻乱れという。巻線の巻乱れは積層型の特徴をな
くすので、巻乱れ発生品は製品として使用できない。
<発明の目的> 本発明の目的は、優れた電気絶縁特性,硬化性液状絶
縁樹脂の含浸性を確保しながら、巻線の巻き不良の発生
を防止した、二軸配向ポリエステルフイルムからなる積
層型フライバックトランス用絶縁フイルムを提供するこ
とにある。
<発明の構成・効果> 本発明の目的は、本発明によれば、平均厚みが85〜95
μmであり、かつ150℃に30分間保持したときのフイル
ム長手方向の熱収縮率が1.2%以下である二軸配向ポリ
エステルフイルムからなるフライバックトランス用絶縁
フイルムによって達成される。
本発明におけるポリエステルはポリエチレンテレフタ
レート,エチレンテレフタレート単位を主たる繰返し単
位とするコポリエステル、及びこれらを主成分とするポ
リマーブレンド物の群から選ばれるものである。このコ
ポリエステルとしては酸成分の80モル%以上がテレフタ
ル酸、グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコ
ールよりなるものが好ましい。またポリマーブレンド物
としてはこの80重量%以上がポリエチレンテレフタレー
トやコポリエステルよりなるものが好ましい。
ポリエステルには、必要に応じ、安定剤,酸化防止
剤,難燃剤,滑剤,表面粗さ増加剤,その他の改質剤を
含有させることができる。安定剤としてはリン化合物を
挙げることができ、酸化防止剤としてはリン化合物やヒ
ンダードフェノール系化合物を挙げることができ、難燃
剤としてはハロゲン化合物やリン化合物を挙げることが
でき、また滑剤としては無機微粒子や架橋ポリマー微粒
子を挙げることができる。これら改質剤は従来から当業
者に良く知られている。
本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは、上述した
ポリエステルを用いて製造する。二軸配向ポリエステル
フイルムの製造は当業者に知られている方法で行うとよ
い。例えばポリエチレンテレフタレートを溶融押出し、
急冷して未延伸フイルムとし、続いて該未延伸フイルム
を二軸方向に延伸し、熱固定することで製造する。その
際、延伸倍率は、絶縁フイルムとしての物性にもよる
が、一つの方向で2.5倍以上、更には3.0倍以上とするの
がよい。また延伸倍率の二つの方向の積は7倍以上、更
には9倍以上とするのがよい。熱固定温度は、フイルム
の熱収縮率を考慮して決めるとよいが、通常200℃以
上、好ましくは220℃以上、さらに好ましくは235℃近辺
である。この熱固定温度が高すぎるとフイルムの平面性
が悪化するようになる。この点から、240℃より高くな
らないようにするのがよい。また、熱固定工程を経た後
のフイルムは、150℃以上の温度で弛緩処理すると、熱
収縮率をより小さくすることができる。例えば熱固定工
程を経たフイルムの走行方向の張力を0.数kg/mm2以下、
さらには0.1kg/mm2以下として弛緩させると、効率よく
熱収縮率を小さくすることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは、その平均
厚みが85〜95μmである必要がある。好ましくは87〜94
μmである。フイルムの平均厚みが95μmより厚くなる
と、従来の絶縁フイルムと同じように巻線の巻乱れが発
生するので好ましくない。一方フイルムの平均厚みが85
μmより薄くなると、電気絶縁特性特に沿層破壊電圧が
低下し、さらに硬化性液状絶縁樹脂の含浸性が低下する
ので好ましくない。硬化性液状絶縁樹脂の含浸性が低下
すると、絶縁層中に空隙(ボイド)が形成される。この
空隙はコロナ放電の発生要因となり、このためにフライ
バックトランスの寿命が低下し、長期にわたって初期の
特性を維持するのが難しくなる。
二軸配向ポリエステルフイルムは上述の平均厚みを有
していても、厚み変動が大きすぎると巻線の巻乱れを発
生させることがある。ここで、厚み変動とは、常温での
フイルム厚みの最大値と最小値の差である。このため厚
み変動はできるだけ小さくするのが好ましく、±3μm
以内、さらには±2μm以内とするのが好ましい。二軸
配向ポリエステルフイルムの厚みは局部的にも97μmよ
り厚くないことが好ましい。この点から、平均厚みが95
μmの場合、厚み変動は±2μm以内とするのが好まし
い。
本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは、さらに15
0℃で30分間保持して測定したフイルム長手方向の熱収
縮率が1.2%以下である必要がある。好ましくは0.6%以
下である。この熱収縮率が1.2%より大きいと、硬化性
液状絶縁樹脂の含浸性不足のときと同じ状況となり、す
なわち絶縁層中に空隙が形成され、フライバックトラン
スの寿命が短くなるので好ましくない。例えば、この熱
収縮率が1.2%より大きいと、フイルムの平均厚みが90
μmであっても絶縁層中に空隙の形成されていることが
多い。
これは、硬化性液状絶縁樹脂の硬化処理時にフイルム
の温度が上り、熱収縮によってフイルム層の巻き締りが
生じ、この結果として絶縁層中、特にフイルム層巻に空
隙が形成される、ことによると考えられる。
ここで、フイルムの長手方向とは、トランスコイルに
巻くフイルムスリット品の長手方向をいう。フイルムス
リット品は、通常、フイルム原反を縦方向にスリットし
て製造する。この場合、フイルムスリット品の長手方向
とフイルム原反の縦方向(長手方向)とが一致する。も
っとも、フイルムスリット品はフイルム原反を幅方向
(横方向)にスリットして製造することもできるが、こ
の場合にはフイルムスリット品の長手方向とフイルム原
反の幅方向(横方向)とが一致する。
本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは、必要に応
じて、表面処理をすることができる。例えば、難燃剤を
塗布して難燃特性を付与したり、表面粗さ増加剤を塗布
して凹凸皮膜,不連続皮膜を形成し、フイルム表面を粗
くすることができる。この表面粗さ増加剤としては、例
えば水溶性高分子,不活性微粒子等を挙げることができ
る。この表面処理はフイルム製造工程内で行ってもよ
く、またこの工程外で行ってもよい。
本発明の絶縁フイルムは上述した二軸配向ポリエステ
ルフイルムからなる。このフイルムを用いてのフライバ
ックトランスの製造は、従来から行われている或いは知
られている方法で行うことができる。
本発明の絶縁フイルムは、フライバックトランスの絶
縁フイルムとして必要な優れた電気特性,硬化性液状絶
縁樹脂の含浸特性を備えながら、巻線の巻乱れを防止
し、これによる不良品の発生を無くすという優れた作用
効果を奏する。さらに、フイルムの重量が軽くなってい
ることから、フライバックトランスの軽量化に寄与す
る。
<実施例> 以下、実施例をあげて本発明を更に説明する。なお、
例中の物性は下記の通り測定した。
(1) フイルムの平均厚み,厚み変動 JIS C2318の厚み試験方法に準じてサンプルフイルム
の厚みを測定する。その総平均値をもって平均厚みと
し、最大値と最小値の差から厚み変動を求める。
(2) 熱収縮率 JIS C2318の熱収縮率試験方法に準じて測定する。但
し、150℃での保持時間は30分とする。
(3) 巻線の巻乱れ 径30μmφのエナメル線を用い、自動巻線機で積層型
フライバックトランスの製造と同じようにして巻上げた
あと、巻き状態を目視で検査する。巻線の曲り,線間隔
の空き,線の重なり(交差)のあるものを不合格とし、
これらのないものを合格とする。この検査は少くとも10
0個のサンプルについて行い、これらの中に不合格が1
つでもあると×とし、すべて合格であると○として表示
する。
(4) 液状絶縁樹脂の含浸性 積層型フライバックトランスから全フイルム層(絶縁
フイルム層)を剥離し、目視により空隙(ボイド)の有
無を検査する。この場合、フイルム表面にエポキシ樹脂
皮膜(通常、上記剥離によってもフイルム表面にはエポ
キシ樹脂の皮膜が着いている)のない部分があると、こ
の部分に空隙(ボイド)があったことになる。この検査
は10サンプルについて行い、ボイドが1つでもあると不
合格とする。不合格を×とし、合格を○として表示す
る。
なお、上記積層型フライバックトランスの製造におい
て、硬化性液状絶縁樹脂としては液状エポキシ樹脂を用
い、含浸処理は下記の方法で行った。
(a) 巻線を巻上げたコイルを真空槽に入れ、真空吸
引後1時間保持する。
(b) これに液状エポキシ樹脂を常温で注入し、常圧
に戻してから3時間保持する。
(c) コイルを取出し、1時間風乾して液の滴下をな
くしたのち70℃で4時間乾燥する。
(d) 110℃で3時間加熱してエポキシ樹脂を硬化さ
せる。
(5) トランスの長期寿命 フライバックトランスに定格電圧の120%の電圧をか
け、65℃には1000時間保持し、この間の絶縁破壊の有無
を見る。このテストを10サンプルについて行い、破壊の
全くないものを○とし、破壊1個あるものを△とし、破
壊の2個以上あるものを×として表示する。
実施例1〜3及び比較例1〜5 固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレート(平均粒
径0.9μmの滑剤を0.08%含有)を280℃で溶融押出し、
急冷して未延伸フイルムとし、次いで該未延伸フイルム
を縦方向に3.6倍延伸し、さらにステンターにて横方向
に3.9倍延伸し、続いて235℃で熱固定した。熱固定フイ
ルムは、続いてフイルム温度を150℃以上に保持した状
態で、幅方向をフリーの状態とし走行方向の引取張力を
約0.1Kg/mm2に下げて弛緩した。
なお、フイルムの厚みは吐出量の微調整で行った。ま
た比較例5では上記弛緩処理を省略した。
得られた二軸配向ポリエステルフイルムの特性を後掲
の表に示す。
さらに、上記フイルムを用いて積層型フライバックト
ランスを、それぞれのフイルムについて576個づつ製作
した。そして巻線の巻乱れについては全数検査した。こ
の結果、及びエポキシ樹脂の含浸性,トランスの長期寿
命について後掲の表面に示す。
上表から、実施例1〜3のフイルムは巻線の巻乱れ,
エポキシ樹脂の含浸性,トランスの長期寿命に優れてい
ることがわかる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均厚みが85〜95μmであり、かつ150℃
    に30分間保持したときのフイルム長手方向の熱収縮率が
    1.2%以下である二軸配向ポリエステルフイルムからな
    るフライバックトランス用絶縁フイルム。
  2. 【請求項2】平均厚みが87〜94μmである請求項1記載
    のフライバックトランス用絶縁フイルム。
  3. 【請求項3】厚みの変動が±3μm以内である請求項1
    記載のフライバックトランス用絶縁フイルム。
JP1291464A 1989-11-09 1989-11-09 フライバックトランス用絶縁フイルム Expired - Lifetime JPH0824008B2 (ja)

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