JPH06281674A - 直流電流センサー - Google Patents

直流電流センサー

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JPH06281674A
JPH06281674A JP5234070A JP23407093A JPH06281674A JP H06281674 A JPH06281674 A JP H06281674A JP 5234070 A JP5234070 A JP 5234070A JP 23407093 A JP23407093 A JP 23407093A JP H06281674 A JPH06281674 A JP H06281674A
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Makoto Kawakami
川上  誠
Shigeru Yamaguchi
茂 山口
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Hitachi Metals Ltd
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F38/00Adaptations of transformers or inductances for specific applications or functions
    • H01F38/20Instruments transformers
    • H01F38/22Instruments transformers for single phase ac
    • H01F38/28Current transformers
    • H01F38/30Constructions
    • H01F2038/305Constructions with toroidal magnetic core

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単で直流の漏電ブレーカー等、特に
微小な電流の変化に対しても優れた検出能力を有し、出
力特性のヒステリシスを防止した高感度の直流電流セン
サーの提供。 【構成】 内側に前記被検出導線1を貫通配置する環状
の軟質磁性材料からなる検出コア2に検出コイル3をト
ロイダル状に巻回し、検出コア2の周方向に対して直角
方向に接続して環状を形成する軟質磁性材料からなる励
磁コア4に励磁コイル5をトロイダル状に巻回した構成
において、被検出導線1と同方向に貫通するようにして
変調コイル43を検出コア2に巻回配置する。 【効果】 励磁コイル5に交流電流を印加してコア直交
部6を周期的に磁気的飽和させ、直流電流Iに基づき検
出コア3に発生する磁束を変調し検出コイルに励磁電流
の2倍の周波数の起電力を出力させて直流電流Iを検出
する際に、変調コイルに発生させた交番磁界で検出コア
内の残留磁束を減少させたことから、微小な電流の変化
に対しても、優れた検出能力を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、直流の漏電ブレーカ
ー等の直流電流センサーに係り、構造が比較的簡単であ
り、特に微小な電流の変化に対しても、優れた検出能力
を有し、特に、出力特性のヒステリシスを防止した高感
度の直流電流センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】最近は、インバーターを内蔵した電気機
器や電気自動車等、直流を使用した機器が増加している
が、これらの各種機器に組込まれている直流モータの負
荷を検知し、所要の制御を行うためのセンサーや、直流
漏電ブレーカー等に使用される直流電流センサーの必要
性が高まってきた。
【0003】交流の漏電ブレーカー等に用いられる電流
センサーとしては、カレントトランスを応用したものが
広く知られている。しかし、先に説明した直流を使用し
た機器に用いる漏電ブレーカー等にはこの構成を採用す
ることができず、従来から直流電流センサーとして知ら
れるシャント抵抗方式、マグアンプ方式、磁気マルチバ
イブレータ方式(特開昭47−1644号、特開昭53
−31176号、特開昭59−46859号)、ホール
素子方式等の採用が検討されている。
【0004】シャント抵抗方式は、被検出導線に直列に
シャント抵抗を配置し、該シャント抵抗の両端部に発生
する電位差を検出する方式である。また、マグアンプ方
式、磁気マルチバイブレータ方式は、いずれもトロイダ
ル状に検出コイルを巻回してなる軟質磁性材料のコアを
用い、そのコアの内側に被検出導線を貫通させ、該被検
出導線に流れる直流電流にて軟質磁性材料のコアを飽和
磁束密度(Bs)以内で直流偏磁させることにより、予
めコアに巻回されたコイルに交流電流を通電することに
より発生した交番磁束が正、負の方向で飽和に達する時
間にアンバランスを発生させ、その変化を前記検出コイ
ルにて検出する方式であり、前者の方式では予めコア内
に磁束変化を与えるため、コアに励磁コイルを巻回して
所定値の交流電流を通電する構成を採用するものである
が、後者の方式では検出コイルと接続する回路中の半導
体等の作用により自励発振させ、被検出電流に応じて発
振波形のデューティー比を変えて発振する構成からなっ
ている。
【0005】さらに、ホール素子方式は、一部にホール
素子を配置する空隙部を形成してなる軟質磁性材料のコ
アに直接被検出導線をトロイダル状に巻回し、該被検出
導線に流れる直流電流の変化に基づくコア内の磁束変化
を直接ホール素子にて検知する構成からなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の各方式
からなる直流電流センサーは、以下の理由により直流漏
電ブレーカー等の微小な電流の変化に対応できる構成と
は言い難く、高感度の直流電流センサーとして実用に至
っていないのが現状である。すなわち、シャント抵抗方
式では、シャント抵抗自体が被検出導線を含む回路中に
電気的な抵抗として配置されるため、該回路における電
気的な損失が増大し、電気的な効率が悪いという欠点を
有している。また、上記電気抵抗の両端に発生した電位
差を検出するための検出回路が被検出導線に直接接続さ
れるため、これら検出回路と被検出導線との電気的な絶
縁が困難であり、例えば、該検出回路とマイコン制御回
路等の応用回路と直接接続することができず、汎用性に
乏しいという欠点をも有している。
【0007】このような欠点を有するとともに、このシ
ャント抵抗方式を漏電ブレーカーに採用するためには、
被検出導線の回路中に2つのシャント抵抗を配置するこ
とが必要となるが、各々のシャント抵抗を同一特性に揃
えることは実質的に困難であり、高精度の電位差測定を
実現することができない。しかも、各々のシャント抵抗
に接続する検出回路にて測定される電位差を比較対照し
て、わずかな漏電を検出するためには互いの検出回路を
非常に複雑な電気回路にて接続することが必要となり、
実用性の高い直流電流センサーとして提供することは困
難である。
【0008】マグアンプ方式、磁気マルチバイブレータ
方式においては、検出回路と被検出導線との電気的な絶
縁が可能であるが、先に説明した通り、被検出導線に流
れる直流電流にて軟質磁性材料のコアをほぼ飽和磁束密
度(Bs)付近にまで飽和させるよう直流偏磁させるこ
とが必要である。パーマロイ等の公知の軟質磁性材料を
コアとして用いた場合、例えば、被検出導線に流れる電
流が数10mA程度の場合は、該被検出導線を軟質磁性
材料のコアに数10ターンから数100ターン以上巻回
する必要があり、本来、被検出導線の1ターン貫通を要
求される漏電ブレーカー等の直流電流センサーとして使
用することは困難であった。
【0009】ホール素子方式においても、これらの検出
能力は、ホール素子の特性によって必然的に決定される
ことから、現在公知のホール素子を用いた場合、例え
ば、被検出導線に流れる電流が数10mA程度の場合
は、該被検出導線を軟質磁性材料のコアに数100ター
ンから数1000ターン以上巻回する必要があり、上記
のマグアンプ方式、磁気マルチバイブレータ方式と同様
に、被検出導線の1ターン貫通を要求される漏電ブレー
カー等の直流電流センサーとして使用することは困難で
あった。
【0010】この発明は、上記の問題点を解消し、構造
が比較的簡単であり、直流の漏電ブレーカー等、特に微
小な電流の変化に対しても、優れた検出能力を有し、特
に、出力特性のヒステリシスを防止した高感度の直流電
流センサーの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、検出コイル
をトロイダル状に巻回する環状の軟質磁性材料からなる
検出コアの内側に被検出導線を貫通配置し、これに直流
電流を流すと、その直流電流の方向に対して右回りの磁
場が発生し、検出コア内に磁束Φ0が発生するが、被検
出導線に流れる電流が直流であることから磁束Φ0は一
定であり、検出コイルには起電力が発生しないことに着
目し、上記検出コアの一部に磁気的なギャップを形成
し、この部分を磁性体にて開閉することで磁気スイッチ
を構成し、該磁気スイッチにて磁束Φ0を時間的に変化
(ON−OFF)させることによって検出コイルに起電
力を発生させることを検討した。
【0012】さらに、発明者らは、上記の構成をより実
現性の高いものとすべく種々検討した結果、機械的な磁
気スイッチにかえて、被検出導線に流れる直流電流によ
って検出コア内に発生する周方向の磁束に対して、略直
交方向に発生する磁束によって前記検出コアの一部に周
期的に磁気的なギャップを形成する手段を配置し、実質
的に上記の磁気スイッチと同様な作用を実現することに
よって、目的が達成できることを確認した。具体的な構
成としては、検出コアの一部に、検出コアの周方向に対
して直角方向に接続して環状を形成する軟質磁性材料か
らなる励磁コアを一体的に配置するとともに、励磁コア
に励磁コイルをトロイダル状に巻回配置し、さらに該励
磁コイルに交流電流を印加することによって励磁コアを
検出コアの周方向に対して直角方向に励磁し、検出コア
と励磁コアとの直交部を周期的に磁気的に飽和させるこ
とによって、この磁気的に飽和した直交部分を実質上の
磁気的なギャップとする構成が採用できる。すなわち、
上記検出コアの磁気的に飽和した直交部分の比透磁率μ
は限りなく1に近づくことから、この磁気的に飽和した
部分が磁気的なギャップと同様な機能を果たし、検出コ
ア内の磁束Φ0が一定周期にて減少し、その磁束の変化
に伴い検出コイルに起電力を発生させることが可能とな
ったのである。
【0013】図1に基づいて説明すると、内側に前記被
検出導線1を貫通配置する環状の軟質磁性材料からなる
検出コア2に、検出コイル3をトロイダル状に巻回配置
するとともに、該検出コア2の一部に、検出コア2の周
方向に対して直角方向に接続して環状を形成する軟質磁
性材料からなる励磁コア4を一体的に配置してなり、か
つ該励磁コア4に励磁コイル5をトロイダル状に巻回配
置して直流電流センサーを構成し、前記励磁コイル5に
交流電流を印加することによって励磁コア4を検出コア
2の周方向に対して直角方向に励磁し、検出コア2と励
磁コア4とのコア直交部6(図中斜線部)を周期的に磁
気的に飽和させることによって、被検出導線1を流れる
直流電流Iに基づき検出コア3に発生する磁束を変調
し、検出コイルに励磁電流の2倍の周波数の起電力を出
力させることにより、被検出導線1を流れる直流電流I
を検出することが可能になったのである。
【0014】さらに具体的に説明するならば、図1の構
成において、被検出導線1に直流電流Iが流れると、検
出コア2内に直流電流Iの方向に対して右回りの磁場が
発生し、検出コア内に磁束Φ0が発生する。この時、励
磁コイル5に所定の交流電流を通電して励磁コア4に周
期的に図中α方向に変化する磁束を発生し、該励磁コア
4を周期的に磁気的に飽和すると、検出コア2の周方向
の一部であるコア直交部6(図中斜線部)は比透磁率μ
rが低下し極めて1に近い所謂実質的な磁気的なギャッ
プとなり、検出コア内の磁束Φ0をΦ1にまで減少させ
る。ここで、励磁コイル5に通電する交流電流を周波数
0とし、その電流のピーク値近傍で励磁コア4が飽和
させると、図2に被検出導線1に流れる直流電流Iがプ
ラス(+)の向き(図中上向き)の場合、図3に被検出
導線1に流れる直流電流Iがマイナス(−)の向き(図
中下向き)の場合を示すように、励磁電流1周期で2回
励磁コア4が飽和することとなる。
【0015】図2に示すように被検出導線1に流れる直
流電流Iがプラス(+)の方向(図中上方向)の場合、
この飽和により、検出コア2に発生した被検出導線1に
流れる直流電流Iによって発生する磁束Φ0は、図2の
Bに示すように2f0の周波数でΦ1にまで減少する。す
なわち、2f0で変調されることとなる。従って、上記
磁束の変化に伴い図2のCに示すように周波数2f0
電圧VDETが検出コイル3に発生することになる。ま
た、図3に示すように被検出導線1に流れる直流電流I
がマイナス(−)の向き(図中下向き)の場合も、直流
電流Iがプラス(+)の向き(図中上向き)の場合と実
質的に同様な作用となるが、直流電流Iの向きが反対向
きとなることから、検出コア2に発生する磁束の向きも
反対向きとなり、検出コイル3に発生する周波数2f0
の電圧VDETの位相がそれぞれ180度異なることにな
る。
【0016】しかし、被検出導線1に流れる直流電流I
の向きにかかわらず、いずれの場合も磁束Φ0 ∝ 直
流電流I、電圧VDET ∝ 磁束Φ0との関係から電圧V
DET∝ 直流電流Iとなり、被検出導線1に流れる直流
電流Iに比例した起電力を検出コイル3によって検出す
ることが可能となり、被検出導線1に流れる直流電流I
の絶対値を知ることができる。さらに、検出コア2と励
磁コア4とは互いに直角方向に接続されていることか
ら、基本的には励磁コア4内の励磁磁束は検出コア2側
に漏洩することはなく、検出コイル3を通過しないこと
から、検出コイル3には励磁コイル5に印加する励磁電
流による起電力は発生することなく、被検出導線1に流
れる直流電流I=0の時は、VDET=0となる。また、
検出コイル3に発生する起電力VDETの周波数は2f0
あり、励磁コイル5に印加する励磁電流の周波数f0
異なることから、たとえ、検出コア2と励磁コア4との
形状寸法等の精度によって励磁コア4内の励磁磁束が漏
洩されて検出コイル3にて検出されても、漏れ成分はそ
の周波数がf0であることから、周波数判別フィルター
等により容易に分離できるため、高感度の直流電流セン
サーとして使用することができることを確認した。
【0017】特に、上記構成において、検出コアの一部
に形成される検出コアと励磁コアとの直交部のみを磁気
的に飽和させ、かつ該直交部以外の励磁コア部を磁気的
に未飽和とさせることによって、該未飽和部分のコアロ
ス(鉄損)を低減し、励磁コイル5に印加する励磁電流
を小さくすることができる。従って、励磁回路の構成が
比較的簡単で、センサー全体としての消費電力も低減で
き、直流電流センサーの一層の小型化が可能となること
から、小型機器等への適用範囲が広くなり、さらに励磁
コア4における温度上昇が少ないため、該励磁コア4を
構成する軟質磁性材料の磁気特性の変化が少なく、検出
コイル3における出力の温度ドリフトも低減でき、セン
サーとしての検出精度の安定性向上を達成することがで
きる。
【0018】しかし、上記にて説明した直流電流センサ
ーにおいて、特に、微小電流領域(±50mA程度以
下)の検出に際しては、図4のAに示す如く、検出コア
2を構成する軟質磁性材料が有する磁気特性(保磁力)
の影響に起因するものと推測されるが、検出コイル3に
よる出力電圧(出力特性)にヒステリシスが発生して良
好な電流検出ができず、特に微小電流領域での検出を対
象とする高感度直流電流センサーへの使用は困難であっ
た。この原因は、貫通導線(被検出導線)を流れる電流
Iが零の時、たとえ材料にパーマロイなどの軟質磁性材
料を用いても、材料には有限の保磁力があるため、コア
内に磁束が残留しており、この残留磁束を被検出電流I
が打ち消すまでは、微小電流領域における検出コイルで
の出力電圧(起電力)のヒステリシス現象に伴う“逆転
領域”(直流電流の増加に伴い出力電圧が減少する領
域)が発生し、測定時の基準レベルの変動を招くからで
あると考えられる。
【0019】この発明は、検出コイルの保磁力が無視で
きないレベルでの測定、例えば、上記のような微小電流
領域の検出の場合、あるいは太い貫通導線を貫通させる
ために磁路長が長くなる場合などに有効であり、出力電
圧のヒステリシス現象に伴う逆転領域の発生を防止した
構成からなる直流電流センサーを提案するもので、検出
コアに被検出導線と同方向に巻回させた変調コイルを配
置し、該変調コイルに発生させた交番磁界を検出コアに
重畳し、コアの残留磁束による出力特性のヒステリシス
を減少させることを特徴とする直流電流センサーであ
る。
【0020】すなわち、この発明は、環状の軟質磁性材
料からなる検出コアの一部に検出コアの周方向に対して
直交接続するコア直交部を設けて環状の軟質磁性材料か
らなる励磁コアを一体的に配置し、各コアにそれぞれト
ロイダル状に巻回して検出コイルと励磁コイルを配置し
た構成からなり、検出コア内側に非接触検出する直流電
流が流れる被検出導線を貫通配置し、さらに検出コアに
被検出導線と同方向に巻回させた変調コイルを配置し、
該変調コイルに発生させた交番磁界を検出コアに重畳可
能にしたことを特徴とする直流電流センサーである。
【0021】ここで、変調コイルを検出コアに被検出導
線と同方向に巻回させるとは、図1に示す実施例の如
く、検出コア内側に被検出導線と同方向に貫通するよう
にして1ターンの変調コイルを検出コアに巻回配置する
他、要求される交番磁界の強度等に応じて上記と同方向
に複数ターンの変調コイルを検出コアに巻回配置するも
のであり、特に複数ターンの場合は、実質的に検出コイ
ルと同様に検出コアにトロイダル状に巻回することとな
る。
【0022】詳述すると、図1の構成において、被検出
導線1と同方向に貫通するようにして変調コイル43を
検出コア2に巻回配置し、図4のBに示すようなBHカ
ーブ(ヒステリシスカーブ)を有する検出コア2に対し
て、この変調コイル43を介して±Hc(保磁力)以上
の磁場を発生させるのに必要な交流を流すと、図6に示
す如く、マイナーループを形成してループの中心x印は
BHカーブの原点Oと一致する。
【0023】以下にマイナーループ形成の概念を図に基
づいて詳述する。上記現象は、図5のAに示す如く、例
えば変調コイル43に変調交流電流を流さず、被検出導
線1に直流電流を流し、BH平面上でP点まで達した
後、直流電流を切ると、A’点に戻る(すなわち検出コ
ア2内の磁束密度は−Brとなる)。この状態で、変調
コイル43に先述の変調交流電流を流すと交流電流波形
のA→Bへの移行に伴ない、B−Hカーブ上でA’→
B’及びB’1の間のいずれかの位置(通常、交流電流
の場合はB’に近い位置)へ移行する。以降、C→D→
Eの変化に伴ないB−Hループ上でC’→D’→E’へ
移行し、以降同一のルート、すなわち図中の点線で示す
マイナーループQを描くこととなる。このマイナールー
プQの中心はBHカーブの原点Oと一致する。一方、図
5のBに示す如く、変調コイル43に変調交流電流を流
さず、被検出導線1に上記とは逆向きの直流電流を流
し、R点まで検出コア2が励磁された後、該直流電流を
切るとS点に戻る(すなわち検出コア2内の磁束密度は
Brとなる)。この時、上述と同様に変調コイルに交流
電流ABCDE……を流すとS点はB”へ移行後、S”
を経て、D’及びD’1の間のいずれかの位置(通常、
交流電流の場合はD’に近い位置)へ移行し、以降同一
のルート、すなわち図中の点線で示すマイナーループQ
を描くこととなる。このマイナーループQの中心はBH
カーブの原点Oと一致する。上記の図5のA,Bで示し
た現象は、変調交流電流を流す前の被検出導線1に流す
直流電流の電流値及び電流の向きにかかわらず同様な現
象を示し、マイナーループQの中心はBHカーブの原点
Oと一致する。
【0024】そこで、被検出導線1に直流電流が流れて
いる状態で、変調コイル43に変調交流電流を流して被
測定電流に変調用交流電流を重畳すると、被検出導線1
の電流の向きに応じて実質的にマイナーループQの形状
を維持しつつこのループの中心x印は図6に示す破線に
沿って動くことになり、この点を検出することにより実
質的にヒステリシスが消失したことになる。従って、図
1の構成に示す如く、検出コア2に被検出導線1と同方
向に巻回させた変調コイル43を配置して、保磁力以上
の磁場を発生させるのに必要な交流を流すと、コア材の
保磁力に起因した残留磁束により発生するヒステリシス
特性をなくし、検出回路で該重畳交流成分を除去するこ
とで微小電流での検出感度を高めることができることを
確認した。
【0025】さらにまた、図2、図3にて説明したよう
に被検出導線1に流れる直流電流Iの向きによって検出
コイル3に発生する周波数2f0の電圧VDETの位相がそ
れぞれ180度異なることに着目し、前記励磁コイル5
に、予め発振器から励磁電流の2倍の周波数で発振され
た励磁電流の周波数を1/2分周した状態の励磁電流を
印加し、発振器の出力と検出コイルの出力との位相差を
位相比較回路にて検出することによって、被検出導線を
流れる直流電流の絶対値とともにその向きをも容易に検
出することが可能であることを確認した。すなわち、励
磁コイル5に接続する発振器から発振される励磁電流の
周波数と検出コイル3からの出力VDETの周波数とが、
ともに最終的に励磁コイル5に印加される励磁電流の2
倍の周波数2f0となることから、これらの位相差を容
易に比較することができ、被検出導線を流れる直流電流
の絶対値とともにその向きを検出することが可能となる
のである。
【0026】以上の説明から明らかなように、この発明
は、前述のように環状の軟質磁性材料からなる検出コア
の一部に検出コアの周方向に対して直交接続するコア直
交部を設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一
体的に配置し、各コアにそれぞれトロイダル状に巻回し
て検出コイルと励磁コイルを配置した構成からなり、検
出コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導
線を貫通配置し、さらに検出コアに被検出導線と同方向
に巻回させた変調コイルを配置し、該変調コイルに発生
させた交番磁界を検出コアに重畳可能にした構成を主た
る特徴とし、さらに、前記励磁コイルに、あらかじめ発
振器から励磁電流の2倍の周波数で発振された励磁電流
の周波数を1/2分周し、該励磁電流にてコア直交部を
周期的に磁気的に飽和させる交流電流印加手段を接続
し、かつ励磁時に被検出導線を流れる直流電流と重畳さ
れた交流電流に基づき検出コアに発生する磁束を変調可
能となし、検出コイルに励磁電流の2倍の周波数の起電
力を出力させ、さらにまた、前記発振器の出力と検出コ
イルの出力との位相差を位相比較手段にて検出し、被検
出導線を流れる直流電流と重畳交流電流との合計値の絶
対値とともにその向きを検出し、検出信号から重畳交流
成分を除去することで、被検出導線を流れる直流に対応
した出力を得ることを特徴とする直流電流センサーの提
供を可能とするものである。
【0027】さらに、上記構成において、励磁コアとな
る一対の筒体を軸中心線を平行に並列し、並列する筒体
の各開口端の隣接辺部間を軟質磁性材料からなる接続板
で接続一体化して接続板及びこれと接続した筒体側面部
とで検出コアとなす構成を採用することによって直流電
流センサーとしての電磁気的のアンバランス等を低減
し、ノイズ発生の低減や、S/N比の向上等を可能とす
ることができる。また、一対の筒体を軸中心線を平行に
並列してなる励磁コアの構成を採用することによって、
図1の構成に比べ、実質的に検出コアに接続する励磁コ
アの接続部の幅d(図1参照)を長くすることができ、
結果として検出コアの磁路長に対する励磁コアの接続部
の幅dの比率(磁気的なギャップの比率)を大きくし、
反磁場の効果により検出コア内の残留磁束密度を小さく
し、前記変調コイルの配置効果との相乗効果によりコア
材料の有する保磁力の影響を一層低減することが可能と
なる。特に図7から図14に示す他の構成からなる直流
電流センサーは、上記効果を備え、安定した測定を実現
することができる効果的な構成である。すなわち、図1
に示す構成においては、検出コア2に接続する励磁コア
4が1つであることから、また検出コイル3、励磁コイ
ル5、変調コイル43の位置も1箇所であることから直
流電流センサーとしての電磁気的のバランスが取り難い
ものであるが、これら励磁コア4、検出コイル3、励磁
コイル5、変調コイル43の電磁気的のバランス配置を
考慮した構成が図7から図14にて説明する構成であ
る。
【0028】図7において、1は被検出導線であり、矩
形枠状の検出コア2の内側中央部に貫通配置している。
この矩形枠状の検出コア2のそれぞれ対向位置にある短
辺部には一対の検出コイル3a,3bがトロイダル状に
巻回され互いに電気的に接続されている。また、それぞ
れ対向位置にある長辺部には一対の励磁コア4a,4b
が4角筒状を形成するごとく一体的に配置している。さ
らに一対の励磁コア4a,4bの各々最外周の側面部に
励磁コイル5a,5bがトロイダル状に巻回されてい
る。また、被検出導線1と同方向に貫通するようにして
矩形枠状の検出コア2に巻回する一対の変調コイル43
a,43bを配置している。これらの変調コイル43
a,43bは、所定の手段によって直列に電気的に接続
される。換言すると、励磁コア4a,4bとなる一対の
角筒体を軸中心線を平行に並列し、並列する角筒体の各
開口端の隣接辺部間を軟質磁性材料からなる接続板で接
続一体化して接続板及びこれと接続した筒体側面部、す
なわちコア直交部6とで矩形枠状の上記の検出コア2と
なした構成からなり、該接続板の部分にそれぞれ検出コ
イル3a,3bがトロイダル状に巻回され、一対の励磁
コア4a,4bの各々最外周の側面部に励磁コイル5
a,5bがトロイダル状に巻回され、さらに一対の変調
コイル43a,43bを被検出導線1と同方向に貫通す
るようにして矩形枠状の検出コア2に巻回配置してい
る。このような構成において、被検出導線1に直流電流
Iが流れると、検出コア2内に直流電流Iの方向に対し
て右回りの磁場が発生し、検出コア2内に磁束Φ0が発
生する。この時、励磁コイル5a,5bに所定の交流電
流を通電して一対の励磁コア4a,4bに周期的に図中
α方向に変化する磁束を発生し、該励磁コア4a,4b
を周期的に磁気的に飽和すると、矩形枠状の検出コア2
の周方向の一部である長辺部のコア直交部6は比透磁率
μが極めて1に近い所謂実質的な磁気的なギャップとな
り、検出コア内の磁束Φ0をΦ1にまで減少させる。
【0029】従って以上に示す直流電流センサーも、一
対の検出コイル3a,3bへの起電力発生のメカニズム
は図1に示す構成と同様であり、このメカニズムに基づ
く効果も同様に得られる。さらに、この構成では一対の
変調コイル43a,43bの配置効果とともに、検出コ
ア2に接続する励磁コア4a,4bの接続部の幅dが実
質的に図中のセンサーの長さ方向の寸法Lの2倍(2
L)となることから、検出コア2の磁路長に対する励磁
コア4の接続部の幅dの比率は極めて大きくなり、図1
の構成に比べ反磁場の効果による検出コア2内の残留磁
束密度を小さくすることができ、これらの相乗効果によ
りコア材料の保磁力に起因するヒステリシス現象を低減
することができる。しかも、直流電流センサーの全体的
な構成が被検出導線1に対して対称であることから電磁
気的なバランスが良く、安定した測定を実現することが
可能となる。上記の直流電流センサーを構成する検出コ
ア2と励磁コア4a,4bは、所定の軟質磁性材料から
なる板材を、図8に示す形状に打ち抜き、図中の破線部
で折り曲げて組立、斜線部でスポット溶接することによ
って容易に一体品として得ることができる。
【0030】図9は他の構成を示すもので、一対の検出
コイル3a,3bが励磁コイル5a,5bとともに一対
の励磁コア4a,4bの外周にトロイダル状に巻回され
ている他は、実質的に図7と同様な構成からなり、基本
的に図1と同様なメカニズムにより、被検出導線1に流
れる直流電流を検出することが可能となる。図10も他
の構成を示すもので、一対の励磁コイル5a,5bを、
4角筒状を形成する如く配置される一対の励磁コア4
a,4bの内側中央部に形成される励磁コイル巻回用桟
8a,8bにトロイダル状に巻回されている他は、実質
的に図9と同様な構成からなり、基本的に図1と同様な
メカニズムにより、被検出導線1に流れる直流電流を検
出することが可能となる。なお、図9の構成において
は、一対の変調コイル43a,43bを矩形枠状の検出
コア2のそれぞれ対向位置にある短辺部に巻回配置して
いるが、図10の構成においては、一対の変調コイル4
3a,43bを矩形枠状の検出コア2の長辺部に巻回配
置している。これらの変調コイル43a,43bは、い
ずれも所定の手段によって直列に電気的に接続される。
特に、図10の構成においては、励磁コア4a,4b部
を予め図11に示すように断面E型に形成しておくこと
によって、所定形状、寸法からなるボビン9に予め巻回
されている励磁コイル5a,5bを、励磁コイル巻回用
桟8a,8bに挿入した後、矩形枠状の検出コアと所定
の手段によって一体化することにより、容易に製造する
ことができる。また、図9の構成では、一対の励磁コイ
ル5a,5bにて発生する磁束が励磁コア4a,4bの
外部に漏洩し、この漏洩磁束により検出コイル3a,3
bに励磁信号が混入し、特に微小電流を検出する場合に
は、検出信号より混入信号のレベルのほうが大きくな
り、感度の低下を招く恐れがある。しかし、図10の構
成においては、各々励磁コイル5a,5bにて発生する
磁束が励磁コア4a,4bの外部に漏洩することなく、
効率的に作用し、検出コイル3a,3bへの悪影響が低
減される。
【0031】さらに、各構成において、検出コア2と励
磁コア4a,4bとの各々直交部6における磁路につい
て着目すると、図9の構成では図12のA及びBに示す
ように、基本的に1回路の磁路が、その磁束の向きが交
互に変化するように作用するが、図10の構成では、図
13のA及びBに示すように、基本的に励磁コイル巻回
用桟8a,8bを介して2回路の磁路が、それぞれその
磁束の向きが交互に変化するように作用することから、
電磁気的なバランスが一層向上することとなる。図10
の構成を採用するに際しては、励磁コイル巻回用桟8
a,8bに磁束が集中することから、励磁コイル巻回用
桟8a,8bの厚さを予め他の部分より2倍程度に厚く
設定することが望ましい。
【0032】また、図9の構成においては、励磁コイル
5a,5bと検出コイル3a,3bとの静電容量結合に
よる検出コイル3a,3bへの励磁信号の混入を防止す
るために、例えば、図14に示すように、励磁コイル5
a,5bと検出コイル3a,3bとの間に、電気的に接
地されているCuまたはAl等の電気伝導度の高い金属
箔70を介在することが好ましい。すなわち、励磁コイ
ル5a,5bの外周を電気的な絶縁を確保して上記の金
属箔70にて巻回被覆し、さらに該金属箔70外周に電
気的な絶縁を確保して検出コイル3a,3bを巻回す
る。ただし、金属箔70は、巻回方向において少なくと
も一ヶ所で電気的に切断(図においては、軸方向に伸長
するスリット部71を形成している)されていることが
必要である。このような構成を採用することによって、
一層高精度の検出が可能となる。
【0033】図9及び図10に示す直流電流センサー
も、一対の検出コイル3a,3bへの起電力発生のメカ
ニズムは図7に示す構成と同様であり、さらに、一対の
変調コイル43a,43bの配置効果、検出コア2の磁
路長に対する励磁コア4の接続部の幅dの比率を大きく
することによる反磁場の効果に基づく検出コア2内の残
留磁束密度の低減効果、全体的な構成が被検出導線1に
対して対称であることによる電磁気的なバランス効果等
も図7に示す構成と同様に得られる。
【0034】さらに、本発明者は、上記に示す構成を一
層改良した直流電流センサーを併せて提案する。すなわ
ち、上記の変調コイルの配置効果と励磁コアの接続部の
幅を大きくすることによる反磁場の効果だけでなく、さ
らに励磁コイルの配置箇所を工夫することによって検出
コアの脱磁効果をも兼ね備え、先に説明した微小電流領
域における逆転領域の発生を低減し、安定した出力特性
を得ることが可能な直流電流センサーを提案するもので
あり、その具体的な構成を図15に示す一実施例に基づ
いて説明する。
【0035】図15に示すように、検出コア2に被検出
導線1と同方向に貫通するようにして巻回する変調コイ
ル43を配置するとともに、検出コア2に接続する励磁
コア4の接続部の幅dを長くすることによって、検出コ
ア2の磁路長に対する励磁コア4の接続部の幅dの比率
(磁気的なギャップの比率)を大きくし、反磁場の効果
により励磁コア4の残留磁束密度を小さくし、さらに、
励磁コア4に所定方向の磁束を発生させる励磁コイル5
を検出コア2の外周で、該検出コア2の周方向に巻回す
ることによって、励磁コイル5による検出コア2の脱磁
効果をも併せ持つ構成であり、上記“逆転領域”の発生
を実質的に零とした直流電流センサーである。なお、斜
線部6はコア直交部である。この構成の直流電流センサ
ーにおいても、図1に示す構成の直流電流センサーと同
様な起電力発生のメカニズムにて励磁コイル5に励磁電
流として周波数f0の交流電流を印加することによっ
て、周波数2f0の電圧VDETが検出コイル3に発生する
こととなるのである。
【0036】すなわち、この発明は、環状の軟質磁性材
料からなる検出コアの一部に検出コアの周方向に対して
直交接続するコア直交部を設けて環状の軟質磁性材料か
らなる励磁コアを一体的に配置し、検出コアに検出コイ
ルをトロイダル状に巻回配置し、かつ検出コアの外周に
該検出コアの周方向に巻回する励磁コイルを巻回配置し
た構成からなり、検出コア内側に非接触検出する直流電
流が流れる被検出導線を貫通配置し、さらに検出コアに
被検出導線と同方向に巻回させた変調コイルを配置し、
該変調コイルに発生させた交番磁界を検出コアに重畳可
能にしたことを特徴とする直流電流センサーである。
【0037】また、図15に示す構成の直流電流センサ
ーにおいても、図1に示す構成の直流電流センサーと同
様に、前記励磁コイル5に、予め発振器から励磁電流の
2倍の周波数で発振された励磁電流の周波数を1/2分
周した状態の励磁電流を印加し、発振器の出力と検出コ
イルの出力との位相差を位相比較手段にて検出すること
によって、被検出導線を流れる直流電流の絶対値ととも
にその向きをも容易に検出することが可能となる。すな
わち、前述と同様に励磁コイル5に接続する発振器から
発振される励磁電流の周波数と検出コイル3からの出力
DETの周波数とが、ともに最終的に励磁コイル5に印
加される励磁電流の2倍の周波数2f0となることか
ら、発振器の周波数と検出コイル3の出力VDETの周波
数が同一となるため、これらの位相差を容易に比較する
ことができ、被検出導線を流れる直流電流の絶対値とと
もにその向きを検出することが可能となるのである。
【0038】従って、この発明は、前述のように環状の
軟質磁性材料からなる検出コアの一部に検出コアの周方
向に対して直交接続するコア直交部を設けて環状の軟質
磁性材料からなる励磁コアを一体的に配置し、検出コア
に検出コイルをトロイダル状に巻回配置し、かつ検出コ
アの外周に該検出コアの周方向に巻回する励磁コイルを
巻回配置した構成からなり、検出コア内側に非接触検出
する直流電流が流れる被検出導線を貫通配置し、さらに
検出コアに被検出導線と同方向に巻回させた変調コイル
を配置し、該変調コイルに発生させた交番磁界を検出コ
アに重畳可能にした構成を主たる特徴とし、さらに、前
記励磁コイルに、あらかじめ発振器から励磁電流の2倍
の周波数で発振された励磁電流の周波数を1/2分周
し、該励磁電流にてコア直交部を周期的に磁気的に飽和
させる交流電流印加手段を接続し、かつ励磁時に被検出
導線を流れる直流電流と重畳された交流電流に基づき検
出コアに発生する磁束を変調可能となし、検出コイルに
励磁電流の2倍の周波数の起電力を出力させ、さらにま
た、前記発振器の出力と検出コイルの出力との位相差を
位相比較手段にて検出し、被検出導線を流れる直流電流
と重畳交流電流との合計値の絶対値とともにその向きを
検出し、検出信号から重畳交流成分を除去することで、
被検出導線を流れる直流に対応した出力を得ることを特
徴とする直流電流センサーの提供を可能とするものであ
る。
【0039】さらに、上記構成において、励磁コアとな
る一対の筒体を軸中心線を平行に並列し、並列する筒体
の各開口端の隣接辺部間を軟質磁性材料からなる接続板
で接続一体化して接続板及びこれと接続した筒体側面部
とで検出コアとなす構成を採用することによって、先に
説明した図7から図14に示す直流電流センサーと同様
に、一層安定した測定を実現することができる。
【0040】図16は、図15に示す直流電流センサー
を改良した構成のものである。すなわち、1は被検出導
線であり、矩形枠状の検出コア2の内側中央部に貫通配
置している。この矩形枠状の検出コア2のそれぞれ対向
位置にある短辺部には一対の検出コイル3a,3bがト
ロイダル状に巻回され互いに電気的に接続されている。
また、同位置に一対の変調コイル43a,43bが被検
出導線1と同方向に貫通するようにして巻回されてお
り、互いに所定の手段によって電気的に直列接続されて
いる。なお、それぞれ対向位置にある長辺部には一対の
励磁コア4a,4bが4角筒状を形成するごとく一体的
に配置している。さらに矩形枠状の検出コア2の外周に
は、その周方向に励磁コイル5が巻回されている。換言
すると、励磁コア4a,4bとなる一対の角筒体を軸中
心線を平行に並列し、並列する角筒体の各開口端の隣接
辺部間を軟質磁性材料からなる接続板で接続一体化して
接続板及びこれと接続した筒体側面部、すなわちコア直
交部6とで矩形枠状の上記の検出コア2となした構成か
らなり、該接続板の部分にそれぞれ検出コイル3a,3
bがトロイダル状に巻回され、検出コア2の外周に励磁
コイル5が巻回され、さらに検出コア2の接続板の部分
にそれぞれ変調コイル43a,43bが巻回配置されて
いる。
【0041】この構成の直流電流センサーにおいても、
図15に示す構成の直流電流センサーと同様な起電力発
生のメカニズムにて、励磁コイル5に励磁電流として周
波数f0の交流電流を印加することによって周波数2f0
の電圧VDETが検出コイル3に発生することとなるので
ある。さらに、この構成では検出コア2に接続する励磁
コア4a,4bの接続部の幅dは図中センサーの長さ方
向の寸法Lの2倍(2L)となることから、検出コア2
の磁路長に対する励磁コア4の接続部の幅dの比率は極
めて大きくなり、反磁場の効果により検出コア2内の残
留磁束密度はより一層小さくなる。しかも、直流電流セ
ンサーの全体的な構成が被検出導線1に対して対象であ
ることから電磁気的なバランスが良く、安定した測定を
実現することが可能となる。図16に示す構成の直流電
流センサーにおいても、図15に示す構成の直流電流セ
ンサーと同様に、前記励磁コイル5に、あらかじめ発振
器から励磁電流の2倍の周波数で発振された励磁電流の
周波数を1/2分周した状態の励磁電流を印加し、発振
器の出力と検出コイルの出力との位相差を位相比較回路
にて検出することによって、被検出導線を流れる直流電
流の絶対値とともにその方向をも容易に検出することが
可能となる。さらに、検出コア2に変調コイル43a,
43bを巻回配置して、交流電源に接続し、±Hc以上
の磁場を発生させるのに必要な交流を流し、コア材の保
磁力に起因した残留磁束により発生する出力のヒステリ
シス特性をなくしてあり、上述の被検出導線1を流れる
直流電流の絶対値とともにその向きを検出するに際し、
逆転領域を発生させることなく、微小電流でも安定して
高感度の検出が可能となる。
【0042】図17も図15に示す構成からなる直流電
流センサーを改良したこの発明の一実施例を示す斜視説
明図であり、特に他の実施例と比べて小型化が可能な構
成である。図17に示す直流電流センサーは、基本的に
図15や図16の構成と異なることはないが、一方向に
対向2面を開口した直方体状コアの開口方向に直交する
ように円筒状コアを直方体状コアに貫通配置して、上記
円筒状コアを検出コア2としかつ直方体状コアを励磁コ
ア4となした構成からなり、円筒状軟質磁性材料からな
る検出コア2の対称位置に(図においては4箇所)、検
出コイル3a,3b,3c,3dをそれぞれトロイダル
状に巻回配置するとともに、該検出コア2の外周に励磁
コイル5を巻回配置し、さらに円筒状の検出コア2内に
貫通する被検出導線1を配置して直流電流センサーを構
成している。また、円筒状の検出コア2に、被検出導線
1と同方向に貫通するようにして巻回する一対の変調コ
イル43a,43bを配置している。この構成において
も、図16と同様な作用効果を得ることができる。
【0043】以上に説明した種々の構成からなるこの発
明の直流電流センサーをインバーター機器に組込んで使
用する場合には、特に、スイッチングノイズの混入を防
止するために、検出回路の電源ラインにノイズフィルタ
ーを挿入することが有効であるが、図18に示すよう
に、この発明の直流電流センサーを、パーマロイや無方
向性ケイ素鋼板等からなるシールドケース(図中51a
はケース本体部、51b,51cはケース蓋部である)
にて覆い、誘導ノイズの混入を防止することが望まし
い。
【0044】以上に示すこの発明の直流電流センサー
は、検出コア及び励磁コアとして環状の軟質磁性材料を
効果的に配置することによって構成されるが、被検出導
線に流れる電流の大きさ、すなわちセンサーに要求され
る検出感度に応じて各々の軟質磁性材料の材質を選定す
ることが好ましい。通常、磁気特性とともに加工性等を
考慮するとパーマロイが好ましいが、その他ケイ素鋼
板、アモルファス、電磁軟鉄、ソフトフェライト等の公
知の軟質磁性材料の使用が可能であり、これらを組み合
せて用いても良い。また、上記の直流電流センサーにお
いて、環状の軟質磁性材料とは、軟質磁性材料が所謂リ
ング状になっていることに限定されるものでなく、軟質
磁性材料が電磁気的な閉回路を構成できるように接続さ
れていれば良く、図示の如く円環状の他、楕円環状、矩
形枠状等種々の構成が採用できる。
【0045】また、検出コア内に形成される磁気的なギ
ャップは、検出コア内の一箇所に限定されるものでな
く、複数箇所でもよく、先に説明した種々の構成に示す
如く、電磁気的なバランスを考慮して、その形成箇所を
設定することが望ましい。図1の構成を基本とするこの
発明の直流電流センサーにおいては、検出コアと励磁コ
アのコア直交部における磁気的な飽和に関しても、例え
ばコア直交部が幾何学的な完全な直交を実現せずに完全
なる飽和が達成されなくとも略飽和状態にすることがで
きれば、目的とする検出を達成することができる。従っ
て、前記軟質磁性材料の材質とともに、軟質磁性材料の
形状寸法、検出コイル、励磁コイルの巻数等の最適条件
を選定することによって、一層実用性の高いセンサーの
提供を可能とすることができる。
【0046】さらに、上記のいずれの構成においても、
検出コア内を貫通する被検出導体も1本に限定されるも
のでなく、要求されるセンサーの大きさに応じて複数本
貫通させても良いが、被検出導体を1本にすることによ
ってこれらの構成からなる直流電流センサーの効果を最
も効果的に発現することができる。
【0047】この発明の主たる特徴の一つである変調コ
イルについては、検出コアにトロイダル状に巻回されて
いる検出コイルと実質的に同一場所で同一方向に巻回配
置されることから、検出コイルにて共用化することがで
きる。すなわち、本来、検出コイルに流れる電流と変調
コイルに流れる電流とは周波数が大きく異なることか
ら、これらを共用化した場合でも、それぞれの機能を実
現する周波数からなる電流を通過させるフィルターを適
宜配置することで、容易に電気信号を分離することが可
能であり、変調コイルと検出コイルを一体化した構成を
採用しても、この発明の目的を達成することができる。
【0048】
【作用】この発明の直流電流センサーの作用を、図17
に示す最も小型化が可能な構成に基づいて説明する。図
17に示す直流電流センサーは、先に説明したように、
一方向に対向2面を開口した直方体状コアの開口方向に
直交するように円筒状コアを直方体状コアに貫通配置し
て、上記円筒状コアを検出コア2としかつ直方体状コア
を励磁コア4となした構成からなり、円筒状軟質磁性材
料からなる検出コア2の対称位置に(図においては4箇
所)、検出コイル3a,3b,3c,3dをそれぞれト
ロイダル状に巻回配置するとともに、該検出コア2の外
周に励磁コイル5を巻回配置し、さらに円筒状の検出コ
ア2内に貫通する被検出導線1を配置して直流電流セン
サーを構成している。また、円筒状の検出コア2に、被
検出導線1と同方向に貫通するようにして巻回する一対
の変調コイル43a,43bを配置し、所定の交流電源
に接続している。
【0049】ここで、励磁コイル5に、予め発振器から
励磁電流の2倍の周波数2f0で発振された励磁電流の
周波数を1/2分周した状態の励磁電流を印加する。例
えば、励磁コイル5は図19に示す如き交流電流印加手
段10に接続される。交流電流印加手段10は、最終的
に励磁コイル5に印加する励磁電流の2倍の周波数2f
0の励磁電流を発振するOSC(オシレーション・サー
キット、発振回路)と、該励磁電流の周波数を1/2分
周するT−FF(トリガー・フリップ・フロップ)を配
置しており、さらに一旦周波数を2f0からf0に分周し
た交流電流をLPF(ローパスフィルター)、バッファ
ーアンプを介して励磁コイル5に接続される。また、変
調コイル43a,43bには、別途接続する交流電流印
加手段(図示せず)により、上記構成の軟質磁性材料か
らなる検出コア2の±Hc以上の磁場を発生させるのに
必要な交流を流して交番磁界を発生させ、コア材の保磁
力に起因した残留磁束により発生するヒステリシス特性
をなくしてある。
【0050】被検出導線1に所定方向の直流電流Iが流
れると、励磁コイル5に印加される前記1/2分周され
た周波数f0なる励磁電流によって、先に説明した起電
力発生のメカニズムと同様に、検出コア2に発生する磁
束を変調し、検出コイル3に被検出導線1に流れる直流
電流Iと変調コイル43a,43bに流した交流電流の
和に比例した励磁電流の2倍の周波数2f0からなる起
電力を出力させることが可能となり、検出コイルに発生
した出力から該交流成分を除去することにより、被検出
導線1に流れる直流電流Iの絶対値を知ることができる
のである。被検出導線1に流れる直流電流Iの向きによ
り、検出コイル3に発生する周波数2f0の電圧VDET
位相がそれぞれ180度異なることは、先に図2、図3
によって説明したとおりである。このようにして検出コ
イル3に発生した周波数2f0からなる出力(起電力)
は、位相比較回路20(図19参照)に入力される。
【0051】一方、前記交流電流印加手段を構成するO
SCから発振される周波数2f0からなる励磁電流の一
部は、T−FF等を介して励磁コイル5に接続されるこ
となく、周波数2f0のままLPF(ローパスフィルタ
ー)、フェーズシフター(移相器)、シュミット・トリ
ガー等を介して位相比較回路20(図19参照)に入力
される。位相比較回路20は、該回路20に入力される
発振器からの出力と検出コイル3からの出力との位相差
を検出し、被検出導線1を流れる直流電流Iの方向に対
応して最終的に図22に示す如き出力電圧VOUTを出力
することとなる。なお、検出コイルには測定対象となる
直流電流Iと変調コイル43a,43bに流した交流電
流が合成された出力が得られるため、この交流成分を除
去する必要がある。この交流成分を除去する方法として
は、1)通過周波数2foのQの高いバンドパスフィル
ターを用いる、2)そのまま位相検波し、得られた出力
から重畳交流成分をローパスフィルターなどで除去する
などの方法が有効である。すなわち、図2、図3より理
解できるように、発振器11からの出力と検出コイル3
からの出力との位相差がない場合は、被検出導線1を流
れる直流電流Iの向きがプラス(+)の向き(図1中上
向き)に流れていると判断し、また該位相差が180度
ある場合は、被検出導線1を流れる直流電流Iの向きが
マイナス(−)の向き(図1中下向き)に流れていると
判断し、それらの向きとともに直流電流Iの絶対値を出
力することが可能となるのである。
【0052】特に、この発明の直流電流センサーにおい
ては、励磁コイル5に接続する発振器から発振される励
磁電流の周波数と検出コイル3からの出力VDETの周波
数とが、ともに最終的に励磁コイル5に印加される励磁
電流の2倍の周波数2f0となることから、これら同周
波数からなる出力の位相差は容易に比較することがで
き、例えば、図19にて示すような比較的構成が簡単な
公知の位相比較回路にて被検出導線を流れる直流電流の
向きを検出することが可能となるのである。以上に説明
したこの発明の作用は、図17に示す構成の直流電流セ
ンサーだけでなく、他の構成からなるこの発明の直流電
流センサーにおいても同様であり、さらに各々の構成に
おいては、先に説明した特徴を活かした効果を実現する
ことができる。
【0053】
【実施例】
実施例1 パーマロイC(78%Ni−5%Mo−4%Cu−ba
lFe)からなる厚さ0.35mmの薄板から所定形状
に打ち抜きし、所定箇所を折り曲げて組立てた後、スポ
ット溶接して図16に示すコア組立体を得た。但し、L
=20mm、H=10mm、W1=21mm、W2=3m
mである。上記組立体を、水素ガス雰囲気にて1100
℃×3時間の熱処理を施した後、600℃〜400℃の
間を100℃/時間で多段の冷却処理を施す熱処理を完
了させ、直流電流センサーを得た。矩形枠状からなる検
出コア2の所要位置に絶縁性の保護ビニールテープを巻
回した後、該検出コア2の各々短辺部にそれぞれ外径
0.1mmのホルマル線を40ターンずつ巻回して検出
コイル3a,3bとし、さらに、検出コア2の外周に外
径0.3mmのホルマル線を20ターン巻回して励磁コ
イル5とした。上記検出コア2の内側に外径8mmのビ
ニル被覆からなる被検出導線1を貫通配置した。さら
に、矩形枠状の検出コア2の各々短辺部にそれぞれ外径
0.1mmのホルマル線を10ターンずつ巻回して変調
コイル43a,43bとした。
【0054】この発明の直流電流センサーとして、各々
励磁コイル5、検出コイル3に、最終的に励磁コイル5
に印加する励磁電流の2倍の周波数からなる励磁電流を
発生させる発振器等を配置する交流電流印加手段や位相
比較回路等を配置して、発振器から励磁電流としてf=
14.2kHz、300mAの交流電流を流し、変調コ
イル43a,43bに100Hz、5mA(ピーク時)
の正弦波交流電流を流し、さらに、被検出導線1に±5
0mAの範囲で直流電流Iを増減させて流した時の、位
相比較回路を経由して出力される検出コイル3(図中3
a,3bの合計値)の起電力(出力)VOUTのうち、1
00Hzの交流成分をローパスフィルターで除去した後
の出力変化を図20に示す。なお、この該出力電圧V
OUTは、増幅効果を有する増幅回路を介して出力した値
である。
【0055】図21は、比較例であり、上記のこの発明
の直流電流センサーから、この発明の特徴である変調コ
イル43a,43bを配置せず、他は全て同一条件にて
測定した結果である。この発明の直流電流センサーによ
る測定結果である図20と、比較例の直流電流センサー
による測定結果である図21とを比較すると、ともに被
検出導線を流れる直流電流に基づく検出コイル3の起電
力(出力)の向きを検出することが可能であり、つま
り、被検出導線を流れる直流電流の絶対値とともに、そ
の向きを検出することが可能となるが、30mA程度以
下、特に10mA程度の微小電流領域での測定値に大き
な差異が生ずることが明らかである。すなわち、比較例
の直流電流センサーにおいては、出力特性に大きなヒス
テリシス現象が現れ、往復電流による誤差出力が非常に
大きいのに対し、この発明の直流電流センサーにおいて
は、10mAの微小電流でもS/N比10倍以上で測定
でき、往復電流の大きさによる差分検出感度の低下がな
く、往復電流による誤差出力が小さいことが明らかであ
る。
【0056】実施例2 パーマロイC(78%Ni−5%Mo−4%Cu−ba
lFe)からなる厚さ0.1mmの薄板から所定形状に
打ち抜きし、所定箇所を折り曲げて組立てた後、スポッ
ト溶接して図17に示すコア組立体を得た。但し、L=
35mm、H=15mm、W1=35mm、W2=10m
mである。上記組立体を、水素ガス雰囲気にて1100
℃×3時間の熱処理を施した後、600℃〜400℃の
間を100℃/時間で多段の冷却処理を施す熱処理を完
了させ、直流電流センサーを得た。円筒状からなる検出
コア2の所要位置に絶縁性の保護ビニールテープを巻回
した後、該検出コア2の対称位置にそれぞれ外径0.2
mmのホルマル線を20ターンずつ巻回して検出コイル
3a,3b,3c,3dとし、さらに、検出コア2の外
周に外径0.5mmのホルマル線を20ターン巻回して
励磁コイル5とした。上記検出コア2の内側に外径8m
mのビニル被覆からなる被検出導線1を貫通配置した。
さらに、円筒状の検出コア2の各々対向位置にそれぞれ
外径0.1mmのホルマル線を10ターンずつ巻回して
変調コイル43a,43bとした。
【0057】この発明の直流電流センサーとして、各々
励磁コイル5、検出コイル3に、最終的に励磁コイルに
印加する励磁電流の2倍の周波数からなる励磁電流を発
生させる発振器等を配置する交流電流印加手段や位相比
較回路等を配置して、発振器から励磁電流としてf=1
8kHz、300mAの交流電流を流し、変調コイル4
3a,43bに100Hz、30mA(ピーク時)の正
弦波交流電流を流し、さらに、被検出導線1に±50m
Aの範囲で直流電流Iを増減させて流した時の、位相比
較回路を経由して出力される検出コイル3(図中3a,
3b,3c,3dの各々の合計値)の起電力(出力)V
OUTのうち、100Hzの交流成分をローパスフィルタ
ーで除去した後の出力変化を図22に示す。なお、該出
力電圧VOUT増幅効果を有する増幅回路を介して出力
した値である。図22から、この発明の直流電流センサ
ーによれば被検出導線を流れる直流電流に基づく検出コ
イル3の起電力(出力)の方向を検出することが可能で
あり、つまり、被検出導線を流れる直流電流の絶対値と
ともに、その方向を感度良く、安定して検出することが
可能となるばかりでなく、10mA程度の微小電流をS
/N比10倍以上で測定でき、往復電流の大きさによる
差分検出感度の低下がなく、往復電流による誤差出力が
小さいことが明らかである。
【0058】
【発明の効果】この発明の直流電流センサーは、被検出
導線と同方向に貫通するようにして検出コアに巻回配置
させた変調コイルを有し、該変調コイルに発生させた交
番磁界で検出コア内の残留磁束を減少させたことから、
微小な電流の変化に対しても、優れた検出能力を有する
ことから、直流の漏電ブレーカー等に使用した際には、
検出コア内に貫通配置する被検出導体をコアに巻回せ
ず、1本貫通させるだけでも要求される高感度の検出が
達成でき、構造が比較的簡単で直流電流センサーの小型
化を可能とする。また、被検出導線を流れる直流電流の
絶対値だけでなく、その向きをも検知することができる
ことから、該直流電流の方向によって正転←→逆転、往
←→復等の制御が必要な技術分野、例えば、直流モータ
ーを使用したアクチュエーターの制御等において、より
有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の直流電流センサーの一実施例の概要
を示す斜視説明図である。
【図2】図1の直流電流センサー構成における印加され
た周波数との関係を示すグラフであり、Aは周波数と励
磁電流、Bは周波数と検出コアを通過する磁束、Cは周
波数と検出コイルの起電力との関係を示す。
【図3】図1の直流電流センサー構成における印加され
た周波数との関係を示すグラフであり、Aは周波数と励
磁電流、Bは周波数と検出コアを通過する磁束、Cは周
波数と検出コイルの起電力との関係を示す。
【図4】Aは、直流電流センサーにおける超微小領域で
の被検出電流と出力との関係を示す線グラフであり、B
は検出コアのBHカーブ(ヒステリシスカーブ)を示す
線グラフである。
【図5】AとBは、変調コイルに変調交流電流を流さず
被検出導線に直流電流を流してコアが励磁された後、該
直流電流を切りその後変調コイルに交流電流を流してマ
イナーループを形成した状態を示す線グラフである。
【図6】被検出導線に直流電流が流れている状態で、変
調コイルに変調交流電流を流して被測定電流に変調用交
流電流を重畳した場合のマイナーループの中心点の移動
状態を示す線グラフである。
【図7】この発明の直流電流センサーの他の実施例の概
要を示す斜視説明図である。
【図8】図7に示すこの発明の直流電流センサーを作成
するためのコア材の一実施例の概要を示す平面説明図で
ある。
【図9】この発明の直流電流センサーの他の実施例の概
要を示す斜視説明図である。
【図10】この発明の直流電流センサーの他の実施例の
概要を示す斜視説明図である。
【図11】図10に示すこの発明の直流電流センサーの
部分説明図である。
【図12】A及びBは、図9に示すこの発明の直流電流
センサーの励磁コイルによって発生する磁路の詳細説明
図である。
【図13】A及びBは、図10に示すこの発明の直流電
流センサーの励磁コイルによって発生する磁路の詳細説
明図である。
【図14】図9の直流電流センサーにおける励磁コイル
と検出コイルとの静電容量結合を防止する高電気伝導度
金属箔の配置構成を説明する一部断面説明図である。
【図15】この発明の直流電流センサーの他の実施例の
概要を示す斜視説明図である。
【図16】この発明の直流電流センサーの他の実施例の
概要を示す斜視説明図である。
【図17】この発明の直流電流センサーの他の実施例の
概要を示す斜視説明図である。
【図18】この発明の直流電流センサーに採用するシー
ルドケースの一実施例を示す斜視説明図である。
【図19】この発明の直流電流センサーに接続する電気
回路の一実施例の概要を示す説明図である。
【図20】この発明の直流電流センサーにおける被検出
導線1に流れる直流電流(微小領域)と出力との関係を
示す線グラフである。
【図21】比較例の直流電流センサーにおける被検出導
線1に流れる直流電流(超微小領域)と出力との関係を
示す線グラフである。
【図22】この発明の直流電流センサーにおける被検出
導線1に流れる直流電流(微小領域)と出力との関係を
示す線グラフである。
【符号の説明】
1 被検出導線 2 検出コア 3,3a,3b,3c,3d 検出コイル 4,4a,4b 励磁コア 5 励磁コイル 6 コア直交部 10 交流電流印加手段 11 OSC 12 T−FF 13,31 LPF 14 バッファーアンプ 20 位相比較回路 32 フェーズシフター 33 シュミット・トリガー 51a,51b シールドケース部材 70 金属箔 71 スリット部 43,43a,43b 変調コイル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状の軟質磁性材料からなる検出コアの
    一部に検出コアの周方向に対して直交接続するコア直交
    部を設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体
    的に配置し、各コアにそれぞれトロイダル状に巻回して
    検出コイルと励磁コイルを配置した構成からなり、検出
    コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導線
    を貫通配置し、さらに検出コアに被検出導線と同方向に
    巻回させた変調コイルを配置し、該変調コイルに発生さ
    せた交番磁界を検出コアに重畳可能にしたことを特徴と
    する直流電流センサー。
  2. 【請求項2】 環状の軟質磁性材料からなる検出コアの
    一部に検出コアの周方向に対して直交接続するコア直交
    部を設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体
    的に配置し、検出コアに検出コイルをトロイダル状に巻
    回配置し、かつ検出コアの外周に該検出コアの周方向に
    巻回する励磁コイルを巻回配置した構成からなり、検出
    コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導線
    を貫通配置し、さらに検出コアに被検出導線と同方向に
    巻回させた変調コイルを配置し、該変調コイルに発生さ
    せた交番磁界を検出コアに重畳可能にしたことを特徴と
    する直流電流センサー。
  3. 【請求項3】 励磁コアとなる一対の筒体を軸中心線を
    平行に並列し、並列する筒体の各開口端の隣接辺部間を
    軟質磁性材料からなる接続板で接続一体化して接続板及
    びこれと接続した筒体側面部とで検出コアとなしたこと
    を特徴とする請求項1及び請求項2記載の直流電流セン
    サー。
  4. 【請求項4】 1つのコイルで検出コイルと変調コイル
    の機能を共用したことを特徴とする請求項1及び請求項
    2記載の直流電流センサー。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN103995208A (zh) * 2014-03-31 2014-08-20 国网上海市电力公司 直流漏电监测报警装置

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