JP2022054786A - 磁気発振センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】フラックスゲート方式の磁気センサにおける共通的な技術的課題、すなわち、励磁コイルからの漏れ磁束抑制、電磁的干渉の抑制、磁気センサ近傍における測定磁場の環境保全、励磁コイルの小型化と密集化などを可能とする磁気発振センサを提供する。【解決手段】可飽和磁性体10と、可飽和磁性体10の正負の各磁気飽和点に到達するまでの励磁磁界を発生する励磁コイル201~200+nと、励磁コイル201~200+nから放出される励磁磁界の漏れ磁束を抑制する環状電流回路300~300+nとをもって磁気を検出する磁気感応部1000を構成し、可飽和磁性体10が磁気飽和するタイミング毎に極性反転する励磁電流を出力するセンサ回路部A1~Anを励磁コイル201~200+nに接続して磁気発振センサ2を構成して、励磁コイル201~200+nからの漏れ磁束抑制、励磁コイルの小型化と密集化における諸課題を解決した。【選択図】図6

Description

本発明は、強磁性体磁心を含むプローブ又はセンサ部の非線形磁気特性を利用して磁界を測定するフラックスゲート方式の磁気センサに関し、特に、磁気発振センサから漏れる磁束の抑制対策と、励磁コイルの小型化および密集化等に関するものである。
従来のフラックスゲート方式の磁気センサは、磁気センサの形状に比べて非常に大きく広がった自然空間、施設、設備、構造物、各種装置などの内外に付帯する空間の磁場測定に使用されることが多かった。しかしながら、フラックスゲート方式の磁気センサでは、励磁コイルから漏れる磁束を外部へ放出しているので、磁気センサ近傍の磁場測定においては、励磁コイルの漏れ磁束から磁場環境を守るための磁場環境保全対策および磁気センサ同士の接近による電磁的干渉抑制策などに関しては、未解決のままであった。
測定磁場の環境保全のための従来技術として、特許文献1に記載の磁気検出装置が知られている。この特許文献1に記載の磁気検出装置は、磁気発振センサ近傍における測定磁場環境保全のための対策として、磁気感応部の励磁コイルから外部に漏れて出る磁束を打ち消すための空芯コイルを励磁コイルの隣に並行して配置する並列コイル方式で対応している。
特許第5521143号公報
特許文献1に記載の磁気検出装置における、この方式の課題は、2個のコイルを必要とした事で磁気感応部の形状が大きくなり、励磁磁界によって乱される磁場空間の最小化も、高々一辺が20mmの立方空間ぐらいまでが限界であった。それ以下にするためには、磁気発振センサ自身の形状を小さくして磁気センサ間同士の電磁的干渉を抑制する新規技術が必要であった。
本発明は、磁気発振センサを使用してフラックスゲート方式の磁気センサにおける共通的な技術的課題、すなわち、1)励磁コイルからの漏れ磁束抑制、2)電磁的干渉の抑制、3)磁気センサ近傍における測定磁場の環境保全、4)励磁コイルの小型化と密集化などの技術的諸課題を解決しようとするものである。
課題解決のための第1の解決手段は、
可飽和磁性体と、前記可飽和磁性体の周囲に巻装され、前記可飽和磁性体の正負の各磁気飽和点に到達するまでの励磁磁界を発生する励磁コイルと、前記励磁コイルの両端面から放出される励磁磁界の漏れ磁束を抑制する環状電流回路とをもって磁気を検出する磁気感応基本素子が構成され、
前記可飽和磁性体が磁気飽和するタイミング毎に極性が反転する励磁電流を出力するセンサ回路部を前記磁気感応基本素子の励磁コイルに接続して磁気発振回路が構成された磁気発振センサを課題解決手段として活用するものである。この解決手段は本発明の根幹をなす基本技術である。
課題解決のための第2の解決手段は、
第1の解決手段の磁気感応基本素子において、前記励磁コイルおよび前記環状電流回路の構成部品の各々の中央部に前記可飽和磁性体を貫き通す貫通口が設けられた磁気発振センサを構成して課題解決のために活用するもので、ここでは、可飽和磁性体に対する励磁コイルと環状電流回路の空間的位置関係を明確にした。
課題解決のための第3の解決手段は、
前記環状電流回路は、円盤状導体を積層状態に重ね合わせて一体化して形成されたものとすることができる。
課題解決のための第4の解決手段は、
可飽和磁性体と、前記可飽和磁性体の周囲に巻装され、前記可飽和磁性体の正負の各磁気飽和点に到達するまでの励磁磁界を発生する励磁コイルと、前記励磁コイルの端面から放出される励磁磁界の漏れ磁束を抑制する環状電流回路とを備えた密集型磁気感応部であり、貫通口を設けた複数個の励磁コイルと、複数個の環状電流回路を、交互に磁芯となる可飽和磁性体に挿入されて密集させた前記密集型磁気感応部が構成され、
前記励磁コイル毎に、前記可飽和磁性体が磁気飽和するタイミング毎に極性が反転する励磁電流を出力するセンサ回路部が接続されることで、複数個の磁気発振回路が構成された磁気発振センサを解決手段として活用するものである。
このような励磁コイルの密集構成の実現によって、従来技術では未解決であった磁気発振センサの高密度化が可能になったのである。
課題解決のための第5の解決手段は、
前記複数個の前記磁気発振回路において、発振周波数の不揃いが原因で出現する雑音電圧を制御するために、信号発生器から出力される制御信号を、ダイオードとコンデンサの直列回路で構成した複数個の伝送回路を介して各々の前記センサ回路部へ伝送されるようにした磁気発振センサの構成により、複数個の磁気発振回路で構成される磁気発振センサの低雑音化を可能にした。この解決手段は、磁気検出情報を持つ複数個のセンサ回路部の出力電圧に混在する雑音を最小化して、磁気検出分解能を全体的に向上させる使命を持った総合的な性能向上手段でもある。
本発明により、励磁コイルからの漏れ磁束抑制、電磁的干渉の抑制、磁気センサ近傍における測定磁場の環境保全、および励磁コイルの小型化と密集化などの効果が得られる。
本発明の実施の形態に係る磁気発振センサを構成する磁気感応基本素子とセンサ回路部とを示す図である。 図1に示す磁気発振センサ(磁気発振回路)の動作原理を説明するための図であり、(a)は図1に示す磁気発振回路が動作している時の可飽和磁性体のB-H曲線のグラフ、(b)は、オペアンプの出力電圧波形の関係を示す説明図である。 図1に示す磁気発振センサの環状電流回路の部品構成の一例の図である。 (a)および(b)は隣接する励磁コイルの磁束分布を説明するための図である。 複数個の磁気感応基本素子で構成した磁気感応部を示す図である。 本発明の実施の形態に係る密集型磁気発振センサの構成図である。
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る磁気発振センサを図面に基づいて説明する。
フラックスゲート方式磁気センサの使用に当たっては、測定対象物の一辺が励磁コイル長さと同程度かそれ以下であれば、測定しようとする磁場を乱す恐れが十分にあるので、磁場測定環境や測定対象との距離と磁気センサの形状寸法、測定方法等を考慮して、使用の可否を判断する必要があった。
その主な原因を整理すると、磁芯を励磁する磁界の一部が電磁波となって周囲に放出されていること、フラックスゲート型磁気センサの近傍では測定磁場空間の磁場環境を乱すことがありうること、小物体の残留磁気測定では磁気センサによる消磁作用が機能するので測定値が小さくなること、複数個の磁気センサを密集させて磁場測定をすると、相互に電磁干渉を起こして不確実な測定データしか得られない等の問題点があって、従来技術のフラックスゲート型磁気センサでは、特に励磁コイルの小型化、密集化は実用上不可能に近い技術的課題として残っていた。
漏れ磁束を阻止あるいは抑制するためには、通常は磁性材料を使用して磁気シールドする事が多い。しかしながら、磁性材料が強い磁界に一旦暴露されると多かれ少なかれ残留磁気が磁性材料に残る。磁気センサ側から見れば、この残留磁気の影響が測定磁界の真値に常に加算されて不正確な磁場測定値になるので、磁気発振センサにおける磁気シールド用としの磁性材料は全く不適切な材料であると言える。
図1は、本発明の実施の形態に係る磁気感応基本素子100とセンサ回路部Aとの接続関係を説明するための磁気発振センサ1を示す図であり、電源部は省略している。センサ回路部Aは発振器では無いので単独で発振することはない。しかし、可飽和磁性体10を磁芯とする可変インダクタンスの励磁コイル20がセンサ回路部Aに接続されると磁気検出が出来る磁気発振回路(磁気発振センサ1)が構成され、磁気発振現象が出現する。
磁気感応基本素子100は、可飽和磁性体10を磁芯とし、これを中央部に貫通させる形態で巻装された励磁コイル20と、励磁コイル20の両端には、中央部に貫通口を有する環状電流回路30とを備えている。
可飽和磁性体10には高透磁率でかつ保磁力が小さい可飽和磁性材料を使用し、磁気発振の安定化と磁気検出感度の向上をはかる。
可飽和磁性体10は、励磁コイル20に流れ込む交流の励磁電流で作られる励磁磁界によって、正の磁気飽和点から磁気不飽和の領域を通って負の磁気飽和点まで磁化され、負の磁気飽和点到達の瞬間に励磁電流の極性が反転して、次は負の磁気飽和点から磁気不飽和の領域を通って正の磁気飽和点に向かって励磁される。
このように励磁電流の極性を周期的に反転させると、可飽和磁性体10の正あるいは負の磁気飽和点を境にして、励磁コイル20のインダクタンスの値も小(正の磁気飽和点)-大(磁気不飽和領域通過時)-小(負の磁気飽和点)-大(磁気不飽和領域通過時)と変化し、当然のことながら励磁コイル20の端子21,22間電圧の絶対値もインダクタンス変化と同じように小-大-小-大と変化する。
励磁コイル20の端子21,22間電圧の絶対値は、この正負の磁気飽和のタイミングで最も小さくなるので、小さくなった電圧の瞬間を励磁電流の反転スイッチング信号としてオペアンプ40で検出すれば、出力電圧および励磁電流の極性を磁気飽和のタイミングで反転させることができるのである。
図2は、図1の磁気発振回路(磁気発振センサ1)が動作している時の可飽和磁性体10のB-H曲線とオペアンプ40の出力電圧波形の関係を示す説明図である。
まずは、可飽和磁性体10に外部磁界Hexが加わっていない場合について説明する。
図1に示すオペアンプ40の出力端子42から出力される方形波電圧を励磁コイル20に印加すれば、可飽和磁性体10のB-H曲線上では図2(a)に示すようにP11-P12(正の磁気飽和点)-P13-P14(負の磁気飽和点)-P11の経路を辿って元の位置に戻る。
P11から正の磁気飽和点P12に到達するまでに要する時間とP13から負の磁気飽和点P14に到達するまでに要する時間は、B-H特性の対称性から同じになる。この時のオペアンプ40の出力電圧波形は図2(b)の上段に示すように正と負の各半サイクルが同じ期間長の電圧波形となり、その平均値は零となる。
ところが外部磁界Hexが可飽和磁性体10に加わるとB-H曲線において、元のP11、P13の動作基準位置がHex分だけバイアスされてP21及びP23の位置に移動する。この状態で方形波電圧を印加すると、B-H曲線ではバイアスされたP21点からP21-P22(正の磁気飽和点)-P23-P24(負の磁気飽和点)-P21の経路を辿って元の位置に戻る。
その結果、オペアンプ40の出力電圧波形は、図2(b)の下段の波形のように外部磁界Hexによって出力電圧波形のデューティ比が変化して、正と負の各半サイクルの期間長に差が生じる波形となる。この期間差は外部磁界Hexによって生じたものであるから、オペアンプ40の出力電圧をローパスフィルタ44(図1参照)において平均値化と平均値電圧の極性を反転させれば、外部磁界の強さと極性に対応する情報を得ることができる。
図1に示すオペアンプ40の出力電圧の極性反転時を識別するためには、比較するための反転基準電圧が必要になる。可飽和磁性体10の磁気飽和点では励磁コイル20の端子21,22間電圧の絶対値が最低電圧になる瞬間であるから、あらかじめ磁気不飽和の状態の時からこの電圧を反転基準電圧としてオペアンプの反転端子に入力しておく必要がある。
そのためには、オペアンプ40の出力電圧を抵抗R2と可変抵抗VRで分割した時の分圧端子43の分圧電圧を反転基準電圧と一致するように可変抵抗VRで調整しておく必要がある。そして、この反転基準電圧を抵抗R3を介してオペアンプ40の反転入力端子にあらかじめ入力しておいて、この反転基準電圧と非反転端子に入る励磁コイル20の変動電圧との大小関係を比較しながら逆転するタイミングを監視し続けるのである。
当然のことながら、オペアンプ40の出力電圧を分圧した反転基準電圧の極性はオペアンプ40の出力電圧と常に同極性であるので、オペアンプ40の出力電圧の極性が反転する毎に、反転基準電圧の極性も同じように反転する。
このようにして、外部磁界Hexによって生じたオペアンプ40の出力電圧波形のデューティ比の変化から、励磁コイル20直下部の可飽和磁性体に印加している外部磁界を検出し、その外部磁界の強さと方向は電圧とその極性に変換されて、センサ回路部Aの出力電圧から外部磁界情報を得ることができるのである。
ちなみに、通常の巻線型コイルにおいても直流磁界測定は出来ないものの、交流磁界であれば検出は可能である。巻線型コイルにおいては、小型でインダクタンスの値を大きくするために巻線コイルの磁芯に高透磁率の磁性材料を使用する。この磁性材料で利用する励磁過程の領域は、透磁率の値があまり大きく変化しない磁気不飽和領域で、磁気検出対象の交流磁界も5Hz前後から上の高い周波数帯である。
一般的に言って巻線コイルは、インダクタンスが大きくてその値もほとんど変化しない線形部品と見なして使用される事が多いインダクタ部品である。巻線コイルのこのような磁化特性からして磁気飽和領域での使用は通常あり得ない。言うまでもなく、巻線コイルに流れる電流を反転させるようなスイッチング信号を巻線コイル自身の磁化状態から発信する事は不可能であり、巻線コイル自体の使用目的から見てもその必要性は全く存在しない。
しかし、本実施の形態における励磁コイル20の磁化領域では、正の磁気飽和領域から磁気不飽和領域を通過して負の磁気飽和領域までの磁化領域全体の励磁周期を利用するものであって、この励磁周期を繰り返す事によって磁気検出するものである。このような事象を利用する一般の巻線コイルは存在せず、本発明と通常の巻線コイルによる磁界測定との間には全く対極的と言えるほどの技術的相違がある。
磁気発振センサ1における励磁コイル20では、通常の巻線型コイルの動作領域や磁化特性とは異なって、通常の巻線型コイルで問題点となる非線形特性を、本発明では最大の利点として活用するのである。
次に、磁気感応基本素子100の構成要素のひとつである環状電流回路30は、重要な役割を果たすことを説明する。
環状電流回路を採用した第1の目的は、励磁コイル20から外部に放出される励磁磁界の磁束を、励磁コイル20の両端に配置した導体の環状電流回路30で阻止あるいは抑制して、測定対象の発磁体が形成している磁場空間を極力乱さずに、高精度で発磁体が発する磁場をありのままの磁場環境を保全しながら測定出来るように整える事である。その成果として、磁場の環境保全とセンサの小型化と密集化が可能になったのである。
本実施の形態に係る環状電流回路30を正確に記述すれば、導体の中央付近には可飽和磁性体を貫通させる穴が有り、電気的には断線部分の無い短絡閉回路を形成している導体のことを言う。
環状電流回路30は中空形状の非磁性導体で構成される。励磁コイル20から放出される励磁磁界の磁束を効率よく捕捉できるように環状電流回路30を励磁コイル20の端面に密着配置させると、励磁コイル20から放出される磁束との電磁結合が密となって環状電流回路に誘導電流が発生する。
そして、この誘導電流がリング状の閉回路である環状電流回路30を流れる事によって、新しく生まれた磁界が励磁コイル20から放出される磁束を阻止あるいは抑制するのである。
環状電流回路30の材質としては銅やアルミニュウムなどのような抵抗値が低い導体が望ましい。
図3は、環状電流回路30の部品構成の一例を示す。
図中の30aは、円盤状導体を用いて励磁コイル20から放出された磁束によって生成される誘導電流が流れる環状電流回路30を、複数個の独立させた円盤状導体の集合体として構成した事例である。実際に磁気感応部に組み込む場合は、各々の円盤状導体を積層状態に重ね合わせて一体化した環状電流回路として使用する。
環状電流回路30に流れる電流方向を極力平行かつ均一にするために、言い換えれば、励磁コイル20から放出された磁束によって生成される誘導電流が流れる回路を、分散独立させた複数個の回路の集合体として機能させる場合には、各円盤状導体間に絶縁層を設けるか、あるいは絶縁体でコーテングされた円盤状導体を使用するなどして、各円盤状導体を電気的に分離独立させることも可能である。
30bはテープ状の導体を巻き重ねたもので、これを、軸線方向に沿って複数個密集させて並べて構成する事も可能である。
30cは棒状導体の中央に可飽和磁性体が貫通する穴を設けた導体である。この形態では径が異なる肉厚の薄いパイプを組み合わせて多重管状態にして構成することも出来る。
環状電流回路の形状については事例に限定するものでは無く、目的に合った任意形状で良い。また、図3に示す環状電流回路30の導体部分(リード線)を破線で図示したように磁気感応基本素子100の励磁コイル20の端子210、220として回路構成することも可能である。
いずれも構造的には非常に単純であるが、本発明を通して空間的に隣接する磁気感応基本素子100同士への電磁誘導現象の抑制と、磁気感応基本素子100自体の小型化及び密集化の諸課題を同時に解決する糸口になった技術でもある。
環状電流回路30の使用目的の第2は、励磁コイル20端面から放出される磁束による消磁作用を抑制する事である。
特に、小物などに残っている残留磁気は数10mGかそれ以下の弱磁気であることが多く、測定対象物に従来型のフラックスゲート型センサを近づけるとセンサから放出される交流磁束によって測定対象物の残留磁気を消磁してしまい、測定前に持っていた元々の残留磁気の測定が再現不可能な状態まで消磁してしまうという磁気測定上の致命的問題があった。この現象は、従来からのフラックスゲート方式の各磁気センサにおいて共通する未解決の技術的課題でもあった。
しかし、本発明の実施の形態に係る磁気発振センサ1では、この課題も円盤状等からなる導体の環状電流回路30を励磁コイル20の端面に極力密接させる事により、励磁コイル20の端面から放出される交流磁束を環状電流回路30で抑制して、測定対象物の残留磁気を消磁すること無く、測定対象物が有していた残留磁気をありのままで測定する事を可能にしたのである。
次に、センサ回路部Aの機能について説明する。
図1に示す励磁コイル20に可飽和磁性体10を励磁するための交流の励磁電流を供給する機能と、その励磁電流の極性反転のタイミングを識別する機能と、可飽和磁性体10に印加した外部磁界Hexの情報を電圧として出力する機能を有する。
その構成要素は、オペアンプ40と、抵抗R1、R2、R3、R4および可変抵抗VRと、ローパスフィルタ44である。
オペアンプ40の出力電圧は、抵抗R1の端子間電圧と励磁コイル20によって分割され、分割端子41(端子22)における励磁コイル20の電圧は、励磁コイル20の磁化過程におけるインダクタンス変化によって大きく変動する電圧として、抵抗R4を介してオペアンプ40の非反転入力端子に入力される。そして、この電圧の絶対値は、変化しながら磁気飽和点に到達したタイミング毎に最小になる。非反転入力端子における磁気飽和時の励磁コイル20の電圧は、後述する反転入力端子側における反転タイミングの基準電圧値とも一致する。
一方、オペアンプ40の反転入力端子側では、励磁電流を反転させるタイミングを識別するための反転基準電圧が必要であり、この電圧は励磁コイル20の電圧の変化に左右されない別回路として抵抗R2と可変抵抗VRでオペアンプ40の出力電圧を分圧して設定することになる。
具体的には、この反転基準電圧値は励磁コイル20の端子21,22間の電圧の絶対値が最も小さくなるタイミングの最小電圧値との大小関係を識別するものであるから、反転基準電圧値の設定は、オペアンプ40の出力電圧を抵抗R2と可変抵抗VRで分割した分割電圧を最小電圧値に一致するように可変抵抗VRで調整することになる。調整された分割電圧は分圧端子43から抵抗R3を介して反転基準電圧としてオペアンプ40の反転端子に入力される。この反転基準電圧と非反転端子に入力された励磁コイル電圧が等しくなった時を励磁電流の反転タイミングとして自動的に励磁電流の極性を反転させることになる。
図4は、可飽和磁性体10に励磁コイル20同士を隣接させた場合における励磁磁界の分布状況を示す。
図4(a)において励磁コイル20aと励磁コイル20bに各々のオペアンプ40(図1参照)から励磁電流が流れ込むと、隣接する励磁コイル20a,20bの端面付近では、励磁コイル20a,20bから外部に放出される漏れ磁束同士がかなり重なり合って、両者の励磁コイル20a,20b間同士で、電磁的に複雑な結合状態が発生する。なお、図4(a)では、励磁コイル20a,20bの巻線状態の表記は省略している。
その結果として、各励磁コイル20a,20bの電圧が乱れ、磁気発振センサ飽和点に到達する時間に影響が出て、磁気発振回路の発振周波数が乱れて不安定になる。そして、最終的には磁気検出電圧に雑音や誤差が生じることになる。
この現象を抑止する対策として、図4(b)に示すように、本実施の形態では励磁コイル20間に環状電流回路30を配置する。そうすれば、環状電流回路30に生じる誘導電流によって形成される磁界が励磁磁界の漏れ磁束を打ち消すので、不要な電磁結合を抑止する事が出来る。
図4(b)は環状電流回路30を励磁コイル間に挿入した場合、励磁磁界の磁場分布領域が小さくなる事を示す。各励磁コイル20に環状電流回路30を密着させる事により隣接する励磁コイル20間の電磁誘導は抑制され、密集型磁気感応部の構成が可能になったのである。 換言すれば、各励磁コイル自身が占有する磁場空間を小さくして、各々の励磁コイル20自身が各々の占有する空間内の磁場を高精度、高感度に測定出来るようになったのである。
図5は、複数個の磁気感応基本素子100で構成した磁気感応部1000を示している。磁気感応部1000は、磁気感応基本素子100の可飽和磁性体10の部分を細長くして、複数個の励磁コイル20と複数個の円盤状導体を積層した環状電流回路30を交互に並べて密集させた磁気感応基本素子の集合体の事例である。図示の事例では、密集化時に磁気感応基本素子100の環状電流回路30同士が密接するので、磁気感応基本素子100の片側の環状電流回路30を省略して密集化させることも可能であるという事例でもある。
そして、図6に示すように、この磁気感応部1000にセンサ回路部A1~Anと制御回路部70を接続すれば、いわゆる密集型磁気発振センサ2が構成されるのである。
可飽和磁性体10を内蔵する、筒状の支持体60の機能には、可飽和磁性体10の磁化特性が外部からの応力によって磁気特性が変化しないように可飽和磁性体10を保護する目的と、環状電流回路300~300+nと励磁コイル201~200+nの重量を保持する目的がある。支持体60には、非磁性、非金属性の不導体を使用する。
図6では、磁気感応部1000の直線状の事例を示しているが、屈曲、屈折、曲線状など限定するものでは無い。測定対象の磁場成分に応じて形を変形させる事も可能で、磁場測定の環境条件に即応するようにして磁場測定をすれば良い。
図6は、図5で示した磁気感応部1000とセンサ回路部A1~Anを合体接続した複合体としての密集型磁気発振センサ2の構成事例である。
ここで、密集型磁気発振センサ2について図6に基づいて詳細に説明する。
密集型磁気感応部2000(磁気感応部1000)は、1本の細長い可飽和磁性体10にn個の励磁コイル201~200+nと、n+1個の環状電流回路300~300+nを交互に貫通させて構成したものである。nは整数(n≧2)である。
密集型磁気発振センサ2の両先端部にある環状電流回路300,300+nについては、磁場計測の目的次第では一方側あるいは両側とも省略することが出来る。
密集型磁気感応部2000では、各磁気感応基本素子101~100+nにオペアンプ40に付帯する抵抗R1、R2、R3、R4、可変抵抗VRとローパスフィルタ44からなるセンサ回路部A1~Anが接続され、各々が個別に磁気発振回路(磁気発振センサ1(図1参照))を構成している。ローパスフィルタ44は、オペアンプ40の出力端子42から出力される発振電圧を平均化するもので、磁界の強さと極性に関する情報を電圧に変換して、各磁気発振回路で検出された磁気情報が出力端子E1~Enからそれぞれ個別に同時出力する。
図中の70は制御回路部で、各磁気発振回路の発振周波数の不揃いを制御して、センサ回路部A1~Anの出力に不要な雑音が混入しないようにするためのものである。
制御回路部70の構成は、信号発生器、ダイオード、コンデンサからなる。
方形波あるいはパルス状などの電圧波形を出力する信号発生器OSCから出力される制御信号はダイオードD1~DnとコンデンサC1~Cnの直列回路で構成した複数個(ここではn個)の伝送回路L1~Lnを介して各々のセンサ回路部A1~Anへ伝送される。
具体的には、ダイオードD1~Dnの他端の端子にはコンデンサC1~Cnが各々直列接続され、各コンデンサの他端子(伝送回路L1~Lnの出力端子S1~Sn)からは発振周波数を制御する制御信号がセンサ回路部A1~Anの各オペアンプ40の反転入力端子へ出力されるという構成になっている。
前記制御回路部70から出力される制御信号の電圧には最適範囲が有り、制御信号の電圧が高すぎると磁気発振回路の発振波形は、信号発生器から出る周波数と位相がほとんど一致して外部磁界によるオペアンプの出力波形のデューティ比の変化が非常に小さくなり、磁気検出の性能が著しく低下してしまう。
反対に制御信号の電圧が低すぎると、磁気発振回路の発振周波数の統一が出来ずに不揃いのままでバラバラになってしまい、結果的にはセンサ回路部A1~Anの出力端子E1~Enの端子電圧に雑音を多く含んだ出力電圧になってしまう。コンデンサ容量の増減においても然りである。
それ故、前記制御回路部70とセンサ回路部A1~Anとの結合は,緩やかな結合状態になるように、制御信号の電圧値の調整とコンデンサ容量の選定によって最適値を探す必要がある。
図示以外の伝送回路として、ダイオードを抵抗に代えて伝送回路を構成することも可能である。
密集型磁気発振センサ2の特徴は、
細長い1本の可飽和磁性体10に複数個の励磁コイル201~200+nと環状電流回路300~300+nとを取り付けた磁気感応部1000を構成することにより、磁気感応基本素子1000を密集させて磁界測定点の高密度化した点である。
単位長あたりの磁気発振センサ密度の増大により、複数個の磁気発振センサ1(図1参照)で、高い空間的分解能を維持しながら局小空間における磁場測定も出来るようになったのである。
数値的には、従来の磁芯磁体の長さが最短でも20mm前後で、励磁コイル20の長さもほぼ同じ寸法であったために、約20mm立方の磁場空間が最小化の限界であった。
しかし、本発明の密集型磁気発振センサにおいて、可飽和磁性体に巻装される励磁コイルの長さを2mmまで縮小しても、正常に磁気検出ができることを確認したのである。
すなわち、従来より約10倍前後の空間分解能の性能向上が確認出来たことになる。また、可飽和磁性体10の長さ60mmの部分に環状電流回路300~310も含めて10個の磁気感応基本素子101~110を並べて密集させたライン状磁気感応部の製作も可能にしたのである。
別の表現をすれば、各励磁コイル201~200+nの間隔を狭く出来るので、測定点の高密度化とデータの同時刻性の保証が可能になったということである。たとえば、測定対象空間の磁場が激しく変動する場合には、測定データ間での同時刻性が問題になる。この場合でも、本発明の密集型磁気発振センサを使用すれば、測定磁場空間の空間分解能の高密度化と、複数個に分割された計測磁場空間を同時に測定することにより測定データ間の同時刻性も確保出来るという特徴が生かされるのである。
本発明は、磁気測定点の高密度化により小規模な磁場空間の磁界測定に好適に利用することができる。
1 磁気発振センサ
2 密集型磁気発振センサ
10 可飽和磁性体
20,201~200+n 励磁コイル
21,22,210,220 端子
30,300~300+n 環状電流回路
40 オペアンプ
41 分割端子
42 出力端子
43 分圧端子
44 ローパスフィルタ
60 支持体
70 制御回路部
100,101~100+n 磁気感応基本素子
1000 磁気感応部
2000 密集型磁気感応部
A、A1~An センサ回路部
C1~Cn コンデンサ
D1~Dn ダイオード
E,E1~En センサ回路部の出力端子
L1~Ln 伝送回路
OSC 信号発生器
R1,R2,R3,R4 抵抗
S1~Sn 伝送回路の出力端子
VR 可変抵抗

Claims (5)

  1. 可飽和磁性体と、前記可飽和磁性体の周囲に巻装され、前記可飽和磁性体の正負の各磁気飽和点に到達するまでの励磁磁界を発生する励磁コイルと、前記励磁コイルの両端面から放出される励磁磁界の漏れ磁束を抑制する環状電流回路とをもって磁気を検出する磁気感応基本素子が構成され、
    前記可飽和磁性体が磁気飽和するタイミング毎に極性が反転する励磁電流を出力するセンサ回路部を前記磁気感応基本素子の励磁コイルに接続して磁気発振回路が構成された磁気発振センサ。
  2. 前記磁気感応基本素子において、前記可飽和磁性体を貫き通す貫通口が、前記励磁コイルおよび前記環状電流回路の構成部品の各々の中央部に設けられた請求項1記載の磁気発振センサ。
  3. 前記環状電流回路は、円盤状導体を積層状態に重ね合わせて一体化して形成された請求項1または2記載の磁気発振センサ。
  4. 可飽和磁性体と、前記可飽和磁性体の周囲に巻装され、前記可飽和磁性体の正負の各磁気飽和点に到達するまでの励磁磁界を発生する励磁コイルと、前記励磁コイルの端面から放出される励磁磁界の漏れ磁束を抑制する環状電流回路とを備えた密集型磁気感応部であり、貫通口を設けた複数個の前記励磁コイルと、複数個の前記環状電流回路とが、交互に磁芯となる前記可飽和磁性体に挿入されて密集させた前記密集型磁気感応部が構成され、
    前記励磁コイル毎に、前記可飽和磁性体が磁気飽和するタイミング毎に極性が反転する励磁電流を出力するセンサ回路部が各々接続されることで、複数個の磁気発振回路が構成された磁気発振センサ。
  5. 前記複数個の磁気発振回路の各発振周波数の不揃いが原因で出現する雑音電圧を制御するために、信号発生器から出力される制御信号を、ダイオードとコンデンサの直列回路で構成した複数個の伝送回路を介して各々の前記センサ回路部へ伝送されるようにした請求項4記載の磁気発振センサ。
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