JPH0749357A - 直流電流センサー - Google Patents

直流電流センサー

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JPH0749357A
JPH0749357A JP5215074A JP21507493A JPH0749357A JP H0749357 A JPH0749357 A JP H0749357A JP 5215074 A JP5215074 A JP 5215074A JP 21507493 A JP21507493 A JP 21507493A JP H0749357 A JPH0749357 A JP H0749357A
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JP5215074A
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Makoto Kawakami
川上  誠
Shigeru Yamaguchi
茂 山口
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
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    • G01R15/14Adaptations providing voltage or current isolation, e.g. for high-voltage or high-current networks
    • G01R15/18Adaptations providing voltage or current isolation, e.g. for high-voltage or high-current networks using inductive devices, e.g. transformers
    • G01R15/183Adaptations providing voltage or current isolation, e.g. for high-voltage or high-current networks using inductive devices, e.g. transformers using transformers with a magnetic core

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が比較的簡単であり、直流の漏電ブレー
カー等、優れた検出能力を有し、すでに配線が完了して
いる導線(被検出導線)への取付配置が非常に簡便であ
り、汎用性の高い直流電流センサーの提供。 【構成】 励磁コア4a,4bとなる一対の角筒体を軸
中心線を平行に並列し、並列する角筒の各開口端の隣接
辺部間を接続板で接続一体化して接続板及びこれと接続
したコア直交部6とで矩形枠状の上記の検出コア2とな
し、先端部2a,2bにL字型取付部材60a,60b
を固着してねじ61にて一体化した構成からなり、該接
続板の部分にそれぞれ検出コイル3a,3bがトロイダ
ル状に巻回され、検出コア2の外周に巻回されてた励磁
コイル5に交流電流を通電して一対の励磁コア4a,4
bに周期的に図中α方向に変化する磁束を発生し、コア
直交部6を周期的に磁気的に飽和させ、被検出導線1を
流れる直流電流に基づき検出コア2に発生する磁束を変
調させ、検出コイル3に励磁電流の2倍の周波数の起電
力を出力させて被検出導線を流れる直流電流を非接触検
出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、直流の漏電ブレーカ
ー等に使用する直流電流センサーに係り、構造が比較的
簡単であり、特に微小な電流の変化に対しても、優れた
検出能力を有する高感度の直流電流センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】最近は、インバーターを内蔵した電気機
器や電気自動車等、直流を使用した機器が増加している
が、これらの各種機器に組込まれている直流モータの負
荷を検知し、所要の制御を行うためのセンサーや、直流
漏電ブレーカー等に使用される直流電流センサーの必要
性が高まってきた。
【0003】交流の漏電ブレーカー等に用いられる電流
センサーとしては、カレントトランスを応用したものが
広く知られている。しかし、先に説明した直流を使用し
た機器に用いる漏電ブレーカー等にはこの構成を採用す
ることができず、従来から直流電流センサーとして知ら
れるシャント抵抗方式、マグアンプ方式、磁気マルチバ
イブレータ方式(特開昭47−1644号、特開昭53
−31176号、特開昭59−46859号)、ホール
素子方式等の採用が検討されている。
【0004】シャント抵抗方式は、被検出導線に直列に
シャント抵抗を配置し、該シャント抵抗の両端部に発生
する電位差を検出する方式である。また、マグアンプ方
式、磁気マルチバイブレータ方式は、いずれもトロイダ
ル状に検出コイルを巻回してなる軟質磁性材料のコアを
用い、そのコアの内側に被検出導線を貫通させ、該被検
出導線に流れる直流電流にて軟質磁性材料のコアを飽和
磁束密度(Bs)以内で直流偏磁させることにより、予
めコアに巻回されたコイルに交流電流を通電することに
より発生した交番磁束が正、負の方向で飽和に達する時
間にアンバランスを発生させ、その変化を前記検出コイ
ルにて検出する方式である。
【0005】マグアンプ方式では予めコア内に磁束変化
を与えるため、コアに励磁コイルを巻回して所定値の交
流電流を通電する構成を採用するが、磁気マルチバイブ
レータ方式では検出コイルと接続する回路中の半導体等
の作用により自励発振させ、被検出電流に応じて発振波
形のデューティー比を変えて発振する構成からなってい
る。さらに、ホール素子方式は、一部にホール素子を配
置する空隙部を形成してなる軟質磁性材料のコアに直接
被検出導線をトロイダル状に巻回し、該被検出導線に流
れる直流電流の変化に基づくコア内の磁束変化を直接ホ
ール素子にて検知する構成からなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の各方式
からなる直流電流センサーは、以下の理由により直流漏
電ブレーカー等の微小な電流の変化に対応できる構成と
は言い難く、高感度の直流電流センサーとして実用に至
っていないのが現状である。すなわち、シャント抵抗方
式では、シャント抵抗自体が被検出導線を含む回路中に
電気的な抵抗として配置されるため、該回路における電
気的な損失が増大し、電気的な効率が悪いという欠点を
有している。また、上記電気抵抗の両端に発生した電位
差を検出するための検出回路が被検出導線に直接接続さ
れるため、これら検出回路と被検出導線との電気的な絶
縁が困難であり、例えば、該検出回路とマイコン制御回
路等の応用回路と直接接続することができず、汎用性に
乏しいという欠点をも有している。
【0007】このような欠点を有するとともに、このシ
ャント抵抗方式を漏電ブレーカーに採用するためには、
被検出導線の回路中に2つのシャント抵抗を配置するこ
とが必要となるが、各々のシャント抵抗を同一特性に揃
えることは実質的に困難であり、高精度の電位差測定を
実現することができない。しかも、各々のシャント抵抗
に接続する検出回路にて測定される電位差を比較対照し
て、わずかな漏電を検出するためには互いの検出回路を
非常に複雑な電気回路にて接続することが必要となり、
実用性の高い直流電流センサーとして提供することは困
難である。
【0008】マグアンプ方式、磁気マルチバイブレータ
方式においては、検出回路と被検出導線との電気的な絶
縁が可能であるが、先に説明した通り、被検出導線に流
れる直流電流にて軟質磁性材料のコアをほぼ飽和磁束密
度(Bs)付近にまで飽和させるよう直流偏磁させるこ
とが必要である。パーマロイ等の公知の軟質磁性材料を
コアとして用いた場合、例えば、被検出導線に流れる電
流が数10mA程度の場合は、該被検出導線を軟質磁性
材料のコアに数10ターンから数100ターン以上巻回
する必要があり、本来、被検出導線の1ターン貫通を要
求される漏電ブレーカー等の直流電流センサーとして使
用することは困難であった。
【0009】ホール素子方式においても、これらの検出
能力は、ホール素子の特性によって必然的に決定される
ことから、現在公知のホール素子を用いた場合、例え
ば、被検出導線に流れる電流が数10mA程度の場合
は、該被検出導線を軟質磁性材料のコアに数100ター
ンから数1000ターン以上巻回する必要があり、上記
のマグアンプ方式、磁気マルチバイブレータ方式と同様
に、被検出導線の1ターン貫通を要求される漏電ブレー
カー等の直流電流センサーとして使用することは困難で
あった。
【0010】この発明は、上記の問題点を解消し、構造
が比較的簡単であり、直流の漏電ブレーカー等、特に微
小な電流の変化に対しても、優れた検出能力を有する高
感度の直流電流センサーの提供を目的とする。特に、こ
の発明は、すでに配線が完了している導線(被検出導
線)への取付配置が非常に簡便であり、汎用性の高い直
流電流センサーの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、検出コイル
をトロイダル状に巻回する環状の軟質磁性材料からなる
検出コアの内側に被検出導線を貫通配置し、これに直流
電流を流すと、その直流電流の方向に対して右回りの磁
場が発生し、検出コア内に磁束Φ0が発生するが、被検
出導線に流れる電流が直流であることから磁束Φ0は一
定であり、検出コイルには起電力が発生しないことに着
目し、上記検出コアの一部に磁気的なギャップを形成
し、この部分を磁性体にて開閉することで磁気スイッチ
を構成し、該磁気スイッチにて磁束Φ0を時間的に変化
(ON−OFF)させることによって検出コイルに起電
力を発生させることを検討した。
【0012】さらに、発明者らは、上記の構成をより実
現性の高いものとすべく種々検討した結果、機械的な磁
気スイッチにかえて、被検出導線に流れる直流電流によ
って検出コア内に発生する周方向の磁束に対して、略直
交方向に発生する磁束によって前記検出コアの一部に周
期的に磁気的なギャップを形成する手段を配置し、実質
的に上記の磁気スイッチと同様な作用を実現することに
よって、目的が達成できることを確認した。例えば、検
出コアの一部に周期的に磁気的なギャップを形成する手
段としては、被検出導線に流れる直流電流によって前記
検出コア内に発生する周方向の磁束に対して、略直交方
向に発生する磁束によって検出コアの一部を磁気的に飽
和させ、周方向の磁束による磁路を周期的に遮断する構
成が採用できる。特に、上記構成における検出コアを周
方向の少なくとも一ヶ所で分割可能な構成にすることに
より、すでに配線が完了している被検出導線への取付配
置が非常に簡便になり、使用用途を大幅に拡大すること
が可能であることを確認した。
【0013】すなわち、この発明の直流電流センサー
は、環状の軟質磁性材料からなる検出コアと、該検出コ
アにトロイダル状に巻回した検出コイルを配置した構成
からなり、検出コア内側に非接触検出する直流電流が流
れる被検出導線を貫通配置する直流電流センサーにおい
て、被検出導線に流れる直流電流によって前記検出コア
内に発生する周方向の磁束に対して、略直交方向に発生
する磁束によって検出コアの一部に周期的に磁気的なギ
ャップを形成する手段を有するとともに、前記検出コア
が被検出導線を貫通配置する際に周方向の少なくとも一
ヶ所にて分割可能な構成であることを特徴とする直流電
流センサーである。
【0014】上記の検出コアが分割可能な構成からなる
この発明の直流電流センサーとして、検出コアの一部に
周期的に磁気的なギャップを形成する手段が、被検出導
線に流れる直流電流によって前記検出コア内に発生する
周方向の磁束に対して、略直交方向に発生する磁束によ
って検出コアの一部を磁気的に飽和させ、周方向の磁束
による磁路を周期的に遮断する構成からなる直流電流セ
ンサーを併せて提案する。
【0015】さらに、検出コアが分割可能な構成からな
るこの発明の直流電流センサーの具体的な構成として、
環状の軟質磁性材料からなる検出コアの一部に検出コア
の周方向に対して交差接続するコア交差部を設けて環状
の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体的に配置し、各
コアにそれぞれトロイダル状に巻回して検出コイルと励
磁コイルを配置した構成からなり、検出コア内側に非接
触検出する直流電流が流れる被検出導線を貫通配置した
構成からなる直流電流センサー、及び、環状の軟質磁性
材料からなる検出コアの一部に検出コアの周方向に対し
て交差接続するコア交差部を設けて環状の軟質磁性材料
からなる励磁コアを一体的に配置し、検出コアに検出コ
イルをトロイダル状に巻回配置し、かつ検出コアの外周
に該検出コアの周方向に巻回する励磁コイルを巻回配置
した構成からなり、検出コア内側に非接触検出する直流
電流が流れる被検出導線を貫通配置した構成からなる直
流電流センサーを提案する。
【0016】さらにまた、上記の検出コアが分割可能な
構成からなるこの発明の直流電流センサーの好ましい構
成として、励磁コアを検出コアの周方向に対して直角方
向に励磁可能にし、励磁コアが検出コアの周方向に対し
て直交接続するコア直交部を周期的に磁気的に飽和させ
る励磁コイルへの交流電流印加手段を有し、励磁時に被
検出導線を流れる直流電流に基づき検出コアに発生する
磁束を変調可能となし、検出コイルに励磁電流の2倍の
周波数の起電力を出力させて被検出導線を流れる直流電
流を検出する構成からなる直流電流センサーを提案す
る。
【0017】特に好ましい形態からなる励磁コアと検出
コアとを配置した構成からなるこの発明の直流電流セン
サーとして、一対の筒体を軸中心線を平行に並列してな
る励磁コアと、該並列する筒体の各開口端の隣接辺部間
を接続一体化する接続板及びこれと接続した筒体側面部
とからなる検出コアを有する構成からなる直流電流セン
サーを提案する。
【0018】
【作用】以下、この発明の直流電流センサーの作用を図
面に基づいて詳細に説明する。この発明の直流電流セン
サーは先に説明したように、被検出導線を貫通配置する
検出コアが、該検出コアの周方向の少なくとも一ヶ所に
て分割可能に構成されていることを主たる特徴とする
が、この直流電流センサーの基本的な作動原理について
は、前記検出コアの分割構成の有無を問わず実質的に同
様であり、また、この発明を完成するに至った経緯をよ
り明確にするため、以下の説明においては、まず、検出
コアが分割していない構成を基に基本的な作動原理を説
明する。
【0019】図8Aは、この発明の直流電流センサーの
基本的な作動原理を説明するための斜視説明図であり、
図8Bは、その一部断面説明図である。図9及び図10
は、この構成における励磁電流と検出コアを通過する磁
束、さらに検出コアに発生する起電力の関係を示してい
る。図8において、1は環状の軟質磁性材料からなる検
出コア2の内側に貫通配置する被検出導線である。3は
該検出コア2の所定位置にトロイダル状に巻回する検出
コイルであり、被検出導線1と電気的な絶縁を確保して
所定の検出回路(図示せず)に接続する。4は環状の軟
質磁性材料からなる励磁コアであり、所定位置にトロイ
ダル状に巻回する励磁コイル5を配置している。しか
も、励磁コア4は、前記検出コア2周方向の一部に、該
検出コア2の周方向に対して直角方向に接続する構成を
採り後述する作用により、図中斜線部、すなわち検出コ
ア2と励磁コア4のコア直交部6に磁気的な飽和部を形
成する。
【0020】図8の構成において、被検出導線1に直流
電流Iが流れると、検出コア2内に直流電流Iの方向に
対して右回りの磁場が発生し、検出コア内に磁束Φ0
発生する。この時、励磁コイル5に所定の交流電流を通
電して励磁コア4に周期的に図中α方向に変化する磁束
を発生し、該励磁コア4を周期的に磁気的に飽和する
と、検出コア2の周方向の一部であるコア直交部6(図
中斜線部)は比透磁率μが低下し極めて1に近い所謂実
質的な磁気的なギャップとなり、検出コア内の磁束Φ0
をΦ1にまで減少させる。ここで、励磁コイル5に通電
する交流電流を周波数f0とし、その電流のピーク値近
傍で励磁コア4が飽和するようにすると、図9に示すよ
うに被検出導線1に流れる直流電流Iがプラス(+)の
向き(図中上向き)の場合、図10に示すように被検出
導線1に流れる直流電流Iがマイナス(−)の向き(図
中下向き)の場合ともに、励磁電流1周期で2回励磁コ
ア4が飽和することとなる。図9に示すように被検出導
線1に流れる直流電流Iがプラス(+)の向き(図中上
向き)の場合、この飽和により、検出コア2に発生した
被検出導線1に流れる直流電流Iによって発生する磁束
Φ0は、図9のBに示すように2f0の周波数でΦ1にま
で減少する。すなわち、2f0で変調されることとな
る。従って、上記磁束の変化に伴い図9のCに示すよう
に周波数2f0の電圧VDETが検出コイル3に発生するこ
とになる。
【0021】また、図10に示すように被検出導線1に
流れる直流電流Iがマイナス(−)の向き(図中下向
き)の場合も、直流電流Iがプラス(+)の向き(図中
上向き)の場合と実質的に同様な作用となるが、直流電
流Iの向きが反対となることから、検出コア2に発生す
る磁束の向きも反対となり、検出コイル3に発生する周
波数2f0の電圧VDETの位相がそれぞれ180度異なる
ことになる。しかし、被検出導線1に流れる直流電流I
の向きにかかわらず、いずれの場合も磁束Φ0 ∝ 直
流電流I、電圧VDET ∝ 磁束Φ0との関係から電圧V
DET∝ 直流電流Iとなり、被検出導線1に流れる直流
電流Iに比例した起電力を検出コイル3によって検出す
ることが可能となり、被検出導線1に流れる直流電流I
の絶対値を知ることができる。
【0022】さらに、検出コア2と励磁コア4とは互い
に直角方向に接続されていることから、基本的には励磁
コア4内の励磁磁束は検出コア2側に漏洩することはな
く、検出コイル3を通過しないことから、検出コイル3
には励磁コイル5に印加する励磁電流による起電力は発
生することなく、被検出導線1に流れる直流電流I=0
の時は、VDET=0となる。また、検出コイル3に発生
する起電力VDETの周波数は2f0であり、励磁コイル5
に印加する励磁電流の周波数f0と異なることから、た
とえ、検出コア2と励磁コア4との形状寸法等の精度に
よって励磁コア4内の励磁磁束が漏洩されて検出コイル
3にて検出されても、漏れ成分はその周波数がf0であ
ることから、周波数判別フィルター等により容易に分離
できるため、高感度の直流電流センサーとして使用する
ことができることを確認した。
【0023】上記構成の直流電流センサーにおいて、さ
らに微小電流の検出を可能とすべく検討したところ、検
出コア2として高透磁率材料として知られるパーマロイ
C(78%Ni−5Mo−4Cu−balFe)を用い
ても被検出導線1に流れる直流電流が例えば±50mA
程度以下の微小電流領域では該直流電流の増加あるいは
減少時に同一電流値であっても、検出コイルでの出力電
圧(起電力)が異なる、所謂ヒステリシス現象が発生
し、特に前記直流電流が零付近(±20mA)では、直
流電流の増加に伴い出力電圧が減少する“逆転領域”が
発生することが確認できた。この逆転領域の発生により
測定時の基準レベルが変動し、微小電流領域における測
定では、その都度その測定値が異なり正確な値が求まら
ないという不都合が発生する。上記“逆転領域”の発生
は検出コア2を構成する軟質磁性材料の保磁力によるも
のと考えられ、この影響を低減するためには検出コア2
の半径r(図8のB参照)を小さくすることが必要であ
るが、被検出導体の外径寸法や貫通配置する本数に制限
を受け、好ましくない。
【0024】発明者は上記構成からなる直流電流センサ
ーに、さらなる改良を重ね、特に検出コア2に接続する
励磁コア4の接続部の幅d(図8のB参照)を長くする
ことによって、検出コア2の磁路長に対する励磁コア4
の接続部の幅の比率を大きくし、反磁場の効果により励
磁コア4の残留磁束密度を小さくするとともに、励磁コ
ア4に所定方向の磁束を発生させる励磁コイル5を検出
コア2の外周で、該検出コア2の周方向に巻回すること
によって、励磁コイル5による検出コア2の脱磁効果を
も併せ持つ構成とし、上記“逆転領域”の発生を大幅に
低減した直流電流センサーの提供を可能としたのであ
る。すなわち、環状の軟質磁性材料からなる検出コアの
一部に検出コアの周方向に対して交差接続するコア交差
部を設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体
的に配置し、検出コアに検出コイルをトロイダル状に巻
回配置し、かつ検出コアの外周に該検出コアの周方向に
巻回する励磁コイルを巻回配置した構成からなり、さら
に検出コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被検
出導線を貫通配置した構成からなる直流電流センサーに
よって上記“逆転領域”の発生を大幅に低減することが
可能となったのである。
【0025】また、上記の構成においても、図8に示す
構成からなる直流電流センサーと同様に、励磁コアを検
出コアの周方向に対して直角方向に励磁可能にし、励磁
コアが検出コアの周方向に対して直交接続するコア直交
部を周期的に磁気的に飽和させる励磁コイルへの交流電
流印加手段を有し、励磁時に被検出導線を流れる直流電
流に基づき検出コアに発生する磁束を変調可能となし、
検出コイルに励磁電流の2倍の周波数の起電力を出力さ
せて被検出導線を流れる直流電流を検出することができ
る。
【0026】以上の構成からなる直流電流センサーの基
本的な作動原理を図11に示す斜視説明図によって詳細
に説明する。図11において、1は被検出導線であり、
ほぼ楕円環状の軟質磁性材料からなる検出コア2の内側
に貫通配置している。3は検出コイルであり、検出コア
2にトロイダル状に巻回配置している。また、4は該検
出コア2の一部に、検出コア2の周方向に対して直角方
向に接続してほぼ楕円環状を形成し一体的に配置する軟
質磁性材料からなる励磁コアである。この構成では検出
コア2に接続する励磁コア4の接続部の幅dを長くする
ことによって、図8に示す構成よりも検出コア2の磁路
長に対する励磁コア4のコア直交部6の幅dの比率を大
きくしている。また、図8に示す構成では、励磁コイル
5は励磁コア4にトロイダル状に巻回配置した構成であ
ったが、この構成では図示の如く、検出コアの外周に該
検出コアの周方向に巻回配置している。
【0027】このような構成において、被検出導線1に
直流電流Iが流れると、検出コア2内に直流電流Iの方
向に対して右回りの磁場が発生し、検出コア2内に磁束
Φ0が発生する。この時、励磁コイル5に所定の交流電
流を通電して励磁コア4に周期的に図中α方向に変化す
る磁束を発生し、該励磁コア4を周期的に磁気的に飽和
すると、検出コア2の周方向の一部である図中斜線部の
コア直交部6は比透磁率μが極めて1に近い所謂実質的
な磁気的なギャップとなり、検出コア内の磁束Φ0をΦ1
にまで減少させる。ここで、励磁コイル5に通電する交
流電流を周波数f0とし、その電流のピーク値近傍で励
磁コア4が飽和するようにすると、先に説明した図8の
構成からなる直流電流センサーの検出コイル3への起電
力発生のメカニズムと同様なメカニズムにて、周波数2
0の電圧VDETが検出コイル3に発生することとなるの
である。さらに、前記の如く、検出コア2に接続する励
磁コア4のコア直交部6の幅dを長くすることによって
検出コア2の磁路長に対する励磁コア4のコア直交部6
の幅dの比率を大きくしていることから、磁気的なギャ
ップの比率が大きくなり反磁場の効果により検出コア2
内の残留磁束密度を小さくでき、しかも検出コア2の外
周に巻回する励磁コイルの脱磁効果によって、上記“逆
転領域”の発生を大幅に低減することができるのであ
る。
【0028】図8及び図11に示す基本的の構成をさら
に改良することによって電磁気的のアンバランス等を低
減し、ノイズ発生の低減や、S/N比の向上等を可能と
することができる。特に図12から図20に示す他の構
成からなる直流電流センサーは、上記効果を備え、安定
した測定を実現することができる効果的な構成である。
すなわち、図8及び図11に示す基本的の構成において
は、検出コア2に接続する励磁コア4が1つであること
から、また検出コイル3の位置も1箇所であることから
直流電流センサーとしての電磁気的のバランスが取り難
いものであるが、これら励磁コア4、検出コイル3の電
磁気的のバランス配置を考慮した構成が図12から図2
0にて説明する構成である。
【0029】図12において、1は被検出導線であり、
矩形枠状の検出コア2の内側中央部に貫通配置してい
る。この矩形枠状の検出コア2のそれぞれ対向位置にあ
る短辺部には一対の検出コイル3a,3bがトロイダル
状に巻回され互いに電気的に接続されている。また、そ
れぞれ対向位置にある長辺部には一対の励磁コア4a,
4bが4角筒状を形成するごとく一体的に配置してい
る。さらに一対の励磁コア4a,4bの各々最外周の側
面部に励磁コイル5a,5bがトロイダル状に巻回され
ている。換言すると、励磁コア4a,4bとなる一対の
角筒体を軸中心線を平行に並列し、並列する角筒体の各
開口端の隣接辺部間を軟質磁性材料からなる接続板で接
続一体化して接続板及びこれと接続した筒体側面部、す
なわちコア直交部6とで矩形枠状の上記の検出コア2と
なした構成からなり、該接続板の部分にそれぞれ検出コ
イル3a,3bがトロイダル状に巻回され、一対の励磁
コア4a,4bの各々最外周の側面部に励磁コイル5
a,5bがトロイダル状に巻回されている。このような
構成において、被検出導線1に直流電流Iが流れると、
検出コア2内に直流電流Iの方向に対して右回りの磁場
が発生し、検出コア2内に磁束Φ0が発生する。この
時、励磁コイル5a,5bに所定の交流電流を通電して
一対の励磁コア4a,4bに周期的に図中α方向に変化
する磁束を発生し、該励磁コア4a,4bを周期的に磁
気的に飽和すると、矩形枠状の検出コア2の周方向の一
部である長辺部のコア直交部6は比透磁率μが極めて1
に近い所謂実質的な磁気的なギャップとなり、検出コア
内の磁束Φ0をΦ1にまで減少させる。
【0030】従って以上に示す直流電流センサーも、一
対の検出コイル3a,3bへの起電力発生のメカニズム
は図8に示す構成と同様であり、このメカニズムに基づ
く効果も同様に得られる。さらに、この構成では検出コ
ア2に接続する励磁コア4a,4bの接続部の幅dは実
質的に図中のセンサーの長さ方向の寸法Lの2倍(2
L)となることから、検出コア2の磁路長に対する励磁
コア4の接続部の幅dの比率は極めて大きくなり、図8
の構成に比べ反磁場の効果による検出コア2内の残留磁
束密度を小さくすることができ、コア材料の保磁力に起
因するヒステリシス現象を低減することができる。しか
も、直流電流センサーの全体的な構成が被検出導線1に
対して対称であることから電磁気的のバランス良く、安
定した測定を実現することが可能となる。上記の直流電
流センサーを構成する検出コア2と励磁コア4a,4b
は、所定の軟質磁性材料からなる板材を、図13に示す
形状に打ち抜き、図中の破線部で折り曲げて組立、斜線
部でスポット溶接することによって容易に一体品として
得ることができる。
【0031】図14は他の構成を示すもので、一対の検
出コイル3a,3bが励磁コイル5a,5bとともに一
対の励磁コア4a,4bの外周にトロイダル状に巻回さ
れている他は、図12と同様な構成からなり、基本的に
図8と同様なメカニズムにより、被検出導線1に流れる
直流電流を検出することが可能となる。図15も他の構
成を示すもので、一対の励磁コイル5a,5bを、4角
筒状を形成する如く配置される一対の励磁コア4a,4
bの内側中央部に形成される励磁コイル巻回用桟8a,
8bにトロイダル状に巻回されている他は、図14と同
様な構成からなり、基本的に図8と同様なメカニズムに
より、被検出導線1に流れる直流電流を検出することが
可能となる。特に、図15の構成においては、励磁コア
4a,4b部を予め図16に示すように断面E型に形成
しておくことによって、所定形状、寸法からなるボビン
9に予め巻回されている励磁コイル5a,5bを、励磁
コイル巻回用桟8a,8bに挿入した後、矩形枠状の検
出コアと所定の手段によって一体化することにより、容
易に製造することができる。また、図14の構成では、
一対の励磁コイル5a,5bにて発生する磁束が励磁コ
ア4a,4bの外部に漏洩し、この漏洩磁束により検出
コイル3a,3bに励磁信号が混入し、特に微小電流を
検出する場合には、検出信号より混入信号のレベルのほ
うが大きくなり、感度の低下を招く恐れがある。しか
し、図15の構成においては、各々励磁コイル5a,5
bにて発生する磁束が励磁コア4a,4bの外部に漏洩
することなく、効率的に作用し、検出コイル3a,3b
への悪影響が低減される。
【0032】さらに、各構成において、検出コア2と励
磁コア4a,4bとの各々直交部6における磁路につい
て着目すると、図14の構成では図17のA及びBに示
すように、基本的に1回路の磁路が、その磁束の向きが
交互に変化するように作用するが、図15の構成では、
図18のA及びBに示すように、基本的に励磁コイル巻
回用桟8a,8bを介して2回路の磁路が、それぞれそ
の磁束の向きが交互に変化するように作用することか
ら、電磁気的なバランスが一層向上することとなる。図
15の構成を採用するに際しては、励磁コイル巻回用桟
8a,8bに磁束が集中することから、励磁コイル巻回
用桟8a,8bの厚さを予め他の部分より2倍程度に厚
く設定することが望ましい。
【0033】また、図14の構成においては、励磁コイ
ル5a,5bと検出コイル3a,3bとの静電容量結合
による検出コイル3a,3bへの励磁信号の混入を防止
するために、例えば、図19に示すように、励磁コイル
5a,5bと検出コイル3a,3bとの間に、電気的に
接地されているCuまたはAl等の電気伝導度の高い金
属箔70を介在することが好ましい。すなわち、励磁コ
イル5a,5bの外周を電気的な絶縁を確保して上記の
金属箔70にて巻回被覆し、さらに該金属箔70外周に
電気的な絶縁を確保して検出コイル3a,3bを巻回す
る。ただし、金属箔70は、巻回方向において少なくと
も一ヶ所で電気的に切断、図においては、軸方向に伸長
するスリット部71を形成している如く、電気的に切断
されていることが必要である。このような構成を採用す
ることによって、一層高精度の検出が可能となる。
【0034】上記の構成からなる直流電流センサーと同
様な効果を得ることを目的に、図11の基本的の構成を
改良した構成を、図20の斜視説明図によって説明す
る。図20において、1は被検出導線であり、矩形枠状
の検出コア2の内側中央部に貫通配置している。この矩
形枠状の検出コア2のそれぞれ対向位置にある短辺部に
は一対の検出コイル3a,3bがトロイダル状に巻回さ
れ互いに電気的に接続されている。また、それぞれ対向
位置にある長辺部には一対の励磁コア4a,4bが4角
筒状を形成するごとく一体的に配置している。さらに矩
形枠状の検出コア2の外周には、その周方向に励磁コイ
ル5が巻回されている。換言すると、励磁コア4a,4
bとなる一対の角筒体を軸中心線を平行に並列し、並列
する角筒体の各開口端の隣接辺部間を軟質磁性材料から
なる接続板で接続一体化して接続板及びこれと接続した
筒体側面部、すなわちコア直交部6とで矩形枠状の上記
の検出コア2となした構成からなり、該接続板の部分に
それぞれ検出コイル3a,3bがトロイダル状に巻回さ
れ、検出コア2の外周に励磁コイル5が巻回されてい
る。
【0035】このような構成において、被検出導線1に
直流電流Iが流れると、検出コア2内に直流電流Iの方
向に対して右回りの磁場が発生し、検出コア2内に磁束
Φ0が発生する。この時、励磁コイル5に所定の交流電
流を通電して一対の励磁コア4a,4bに周期的に図中
α方向に変化する磁束を発生し、該励磁コア4a,4b
を周期的に磁気的に飽和すると、矩形枠状の検出コア2
の周方向の一部である長辺部のコア直交部6は比透磁率
μが極めて1に近い所謂実質的な磁気的なギャップとな
り、検出コア内の磁束Φ0をΦ1にまで減少させる。従っ
て、図20に示す直流電流センサーも一対の検出コイル
3a,3bへの起電力発生のメカニズムは図11に示す
構成と同様であり、このメカニズムに基づく効果も同様
に得られる。さらに、この構成では検出コア2に接続す
る励磁コア4a、4bの接続部の幅dは図中のセンサー
の長さ方向の寸法Lの2倍(2L)となることから、検
出コア2の磁路長に対する励磁コア4の接続部の幅dの
比率は極めて大きくなり、反磁場の効果による検出コア
2内の残留磁束密度はより一層小さくなり、前記の“逆
転領域”の発生を大幅に低減することができる。しか
も、直流電流センサーの全体的な構成が被検出導線1に
対して対称であることから電磁気的のバランス良く、安
定した測定を実現することが可能となる。
【0036】以上の図8及び図11、さらにそれらを基
本的な構成とする多くの他の構成からなる図12から図
20の直流電流センサーにおいては、いずれも検出コア
2と励磁コア4との直交部6を周期的に磁気的に飽和さ
せることによって磁気的なギャップを形成する構成から
なり、微小な電流変化を高感度に検出することが可能に
なる。以上に示す直流電流センサーは、検出コア及び励
磁コアとして環状の軟質磁性材料を効果的に配置するこ
とによって構成されるが、被検出導線に流れる電流の大
きさ、すなわちセンサーに要求される検出感度に応じて
各々の軟質磁性材料の材質を選定することが好ましい。
通常、磁気特性とともに加工性等を考慮するとパーマロ
イが好ましいが、その他ケイ素鋼板、アモルファス、電
磁軟鉄、ソフトフェライト等の公知の軟質磁性材料の使
用が可能であり、これらを組み合せて用いても良い。ま
た、上記の直流電流センサーにおいて、環状の軟質磁性
材料とは、軟質磁性材料が所謂リング状になっているこ
とに限定されるものでなく、軟質磁性材料が電磁気的な
閉回路を構成できるように接続されていれば良く、図示
の如く円環状の他、楕円環状、矩形枠状等種々の構成が
採用できる。
【0037】また、検出コア内に形成される磁気的なギ
ャップは、検出コア内の一箇所に限定されるものでな
く、複数箇所でもよく、先に説明した種々の構成に示す
如く、電磁気的なバランスを考慮して、その形成箇所を
設定することが望ましい。図8又は図11及びそれらの
構成を基本とする図12から図20のこの発明の直流電
流センサーにおいては、検出コアと励磁コアのコア交差
部における磁気的な飽和に関しても、例えばコア交差部
が直交せずに完全なる飽和が達成されなくとも略飽和状
態にすることができれば、目的とする検出を達成するこ
とができる。従って、前記軟質磁性材料の材質ととも
に、軟質磁性材料の形状寸法、検出コイル、励磁コイル
の巻数等の最適条件を選定することによって、一層実用
性の高いセンサーの提供を可能とすることができる。
【0038】さらに、上記のいずれの構成においても、
検出コア内を貫通する被検出導体も1本に限定されるも
のでなく、要求されるセンサーの大きさに応じて複数本
貫通させても良いが、被検出導体を1本にすることによ
ってこれらの構成からなる直流電流センサーの効果を最
も効果的に発現することができる。
【0039】この発明者は、さらに、これらの直流電流
センサーの実用性を高めるために種々の改良を加えた。
例えば、以上に説明した構成からなる直流電流センサー
に電流の方向性を検知する手段を付加したり、コア自体
が有するヒステリシスに起因する出力特性のヒステリシ
スを一層低減させる手段を付加したりすることによっ
て、この直流電流センサーの用途を一層拡大することが
可能となった。以下に、それらの種々の手段を付加した
直流電流センサーの構成について説明する。
【0040】図8に示す直流電流センサーの作動原理と
して図9、図10にて説明したように被検出導線1に流
れる直流電流Iの向きによって検出コイル3に発生する
周波数2f0の電圧VDETの位相がそれぞれ180度異な
ることに着目し、前記励磁コイル5に、予め発振器から
励磁電流の2倍の周波数で発振された励磁電流の周波数
を1/2分周した状態の励磁電流を印加し、発振器の出
力と検出コイルの出力との位相差を位相比較回路にて検
出することによって、被検出導線を流れる直流電流の絶
対値とともにその向きをも容易に検出することが可能で
あることを確認した。すなわち、励磁コイル5に接続す
る発振器から発振される励磁電流の周波数と検出コイル
3からの出力VDETの周波数とが、ともに最終的に励磁
コイル5に印加される励磁電流の2倍の周波数2f0
なることから、これらの位相差を容易に比較することが
でき、被検出導線を流れる直流電流の向きを検出するこ
とが可能となるのである。
【0041】従って、環状の軟質磁性材料からなる検出
コアの一部に検出コアの周方向に対して直交接続するコ
ア直交部を設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コア
を一体的に配置し、各コアにそれぞれトロイダル状に巻
回して検出コイルと励磁コイルを配置した構成からな
り、検出コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被
検出導線を貫通配置するとともに、前記励磁コイルに、
あらかじめ発振器から励磁電流の2倍の周波数で発振さ
れた励磁電流の周波数を1/2分周し、該励磁電流にて
コア直交部を周期的に磁気的に飽和させる交流電流印加
手段を接続し、かつ励磁時に被検出導線を流れる直流電
流に基づき検出コアに発生する磁束を変調可能となし、
検出コイルに励磁電流の2倍の周波数の起電力を出力さ
せ、さらに、前記発振器の出力と検出コイルの出力との
位相差を位相比較手段にて検出し、被検出導線を流れる
直流電流の絶対値とともにその向きを検出することが可
能な直流電流センサーの提供が可能となるのである。
【0042】また、図11に示す直流電流センサーの作
動原理(起電力発生のメカニズム)も図8と同様である
ことから、環状の軟質磁性材料からなる検出コアの一部
に検出コアの周方向に対して直交接続するコア直交部を
設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体的に
配置し、検出コアに検出コイルをトロイダル状に巻回配
置し、かつ検出コアの外周に該検出コアの周方向に巻回
する励磁コイルを巻回配置した構成からなり、検出コア
内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導線を貫
通配置するとともに、前記励磁コイルに、あらかじめ発
振器から励磁電流の2倍の周波数で発振された励磁電流
の周波数を1/2分周し、該励磁電流にてコア直交部を
周期的に磁気的に飽和させる交流電流印加手段を接続
し、かつ励磁時に被検出導線を流れる直流電流に基づき
検出コアに発生する磁束を変調可能となし、検出コイル
に励磁電流の2倍の周波数の起電力を出力させ、さら
に、前記発振器の出力と検出コイルの出力との位相差を
位相比較手段にて検出し、被検出導線を流れる直流電流
の絶対値とともにその向きを検出することが可能な直流
電流センサーの提供が可能となるのである。
【0043】さらに、上記図8及び図11に示す構成か
らなる直流電流センサーに限定されることなく、図9及
び図10にて説明したような起電力発生のメカニズムに
て、励磁コイル5に励磁電流として周波数f0の交流電
流を印加することによって周波数2f0の電圧VDETが検
出コイル3に発生する構成の直流電流センサーであれ
ば、励磁コイル5に、あらかじめ発振器から励磁電流の
2倍の周波数で発振された励磁電流の周波数を1/2分
周した状態の励磁電流を印加し、発振器の出力と検出コ
イルの出力との位相差を位相比較回路にて検出すること
によって、被検出導線を流れる直流電流の絶対値ととも
にその向きをも容易に検出することが可能となる。
【0044】これらの直流電流センサーの作用を、図8
に示す最もシンプルな構成の場合において説明する。な
お、図21は電気回路の一実施例を示すものであるが、
この直流電流センサーに接続される電気回路構成は、図
示の構成に限定されるものではない。先に説明したよう
に、図8に示す直流電流センサーは、内側に前記被検出
導線1を貫通配置する環状の軟質磁性材料からなる検出
コア2に、検出コイル3をトロイダル状に巻回配置する
とともに、該検出コア2の一部に、検出コア2の周方向
に対して直角方向に接続して環状を形成する軟質磁性材
料からなる励磁コア4を一体的に配置してなり、かつ、
該励磁コア4に励磁コイル5をトロイダル状に巻回配置
して直流電流センサーを構成している。
【0045】ここで、励磁コイル5に、予め発振器から
励磁電流の2倍の周波数2f0で発振された励磁電流の
周波数を1/2分周した状態の励磁電流を印加する。す
なわち、図21に示すように、励磁コイル5は交流電流
印加手段10に接続される。交流電流印加手段10は、
最終的に励磁コイル5に印加する励磁電流の2倍の周波
数2f0の励磁電流を発振するOSC(オシレーション
・サーキット、発振回路)11と、該励磁電流の周波数
を1/2分周するT−FF(トリガー・フリップ・フロ
ップ)12を配置しており、さらに一旦周波数を2f0
からf0に分周した交流電流をLPF(ローパスフィル
ター)13、バッファーアンプ14を介して励磁コイル
5に接続される。被検出導線1(図8参照)に所定の向
きの直流電流Iが流れると、励磁コイル5に印加される
前記1/2分周された周波数f0なる励磁電流によっ
て、先に説明した起電力発生のメカニズムと同様に、検
出コア2に発生する磁束を変調し、検出コイル3に被検
出導線1に流れる直流電流Iに比例した励磁電流の2倍
の周波数2f0からなる起電力を出力させることが可能
となり、被検出導線1に流れる直流電流Iの絶対値を知
ることができるのである。被検出導線1に流れる直流電
流Iの向きにより、検出コイル3に発生する周波数2f
0の電圧VDETの位相がそれぞれ180度異なることは、
先に図9、図10によって説明したとおりである。この
ようにして検出コイル3に発生した周波数2f0からな
る出力(起電力)は、図21に示す位相比較回路20に
入力される。
【0046】一方、前記交流電流印加手段10を構成す
るOSC11から発振される周波数2f0からなる励磁
電流の一部は、T−FF12等を介して励磁コイル5に
接続されることなく、周波数2f0のままLPF(ロー
パスフィルター)31、フェーズシフター(移相器)3
2、シュミット・トリガー33等を介して図21に示す
位相比較回路20に入力される。なお、フェーズシフタ
ー32に用いる各構成部品の定数はfOSC=1/2πR
Cを満たす条件にて配置することが望ましい。位相比較
回路20は、該回路20に入力される発振器11からの
出力と検出コイル3からの出力との位相差を検出し、被
検出導線1を流れる直流電流Iの向きに対応して最終的
にほぼ直線的に変化するプラス(+)またはマイナス
(−)の出力電圧VOUTを出力することとなる。すなわ
ち、図9、図10より理解できるように、発振器11か
らの出力と検出コイル3からの出力との位相差がない場
合は、被検出導線1を流れる直流電流Iの向きがプラス
(+)の向き(図8中上向き)に流れていると判断し、
また該位相差が180度ある場合は、被検出導線1を流
れる直流電流Iの向きがマイナス(−)の向き(図8中
下向き)に流れていると判断し、それらの向きとともに
直流電流Iの絶対値を出力することが可能となるのであ
る。特に、この構成からなる直流電流センサーにおいて
は、励磁コイル5に接続するOSC11から発振される
励磁電流の周波数と検出コイル3からの出力VDETの周
波数とが、ともに最終的に励磁コイル5に印加される励
磁電流の2倍の周波数2f0となることから、これら同
周波数からなる出力の位相差は容易に比較することがで
き、図21に示す如き比較的構成が簡単な公知の位相比
較回路20にて被検出導線を流れる直流電流の向きを検
出することが可能となるのである。
【0047】以上に説明した直流電流センサーの作用
は、図8に示す構成の直流電流センサーだけでなく、図
11に示す構成の直流電流センサー及びこれらを基本構
成とする図12から図20の直流電流センサーにおいて
も同様である。また、各々の構成においては、先に説明
した特徴を活かした効果を実現することができる。
【0048】以上に説明した電気回路を付加する手段の
他に、図22に示すように検出コイル3に、時間に対し
て周期的に向きと大きさが直線的に変化する、例えば三
角波状に変化する電流を通電することによって、検出コ
ア内に偏向磁場を与えることでも、被検出導線を流れる
直流電流の絶対値とともにその向きをも容易に検出する
ことが可能であることを確認した。図22では、直流電
流センサーの本体部を図8に示す基本的な構成にて示す
が、以下に示す作用、効果はこの構成に限定されるもの
ではない。図中41はチョークコイル等からなる検出信
号侵入阻止用インダクターであり、42は検出信号バイ
パスコンデンサーである。
【0049】図23、図24及び図25によって作動原
理を説明する。図23は、被検出導線1に電流Iが流れ
ていない状態における検出コイル3に発生する出力に関
して説明するものである。検出コイル3に周期的に向き
と大きさが直線的に変化する三角波状の電流を通電する
と、検出コア2内に図23のAに示す如き磁束Φ3が発
生し、検出コイル3には図23のBに示す如き起電力が
発生する。図中矢印の向きは、起電力の位相を示すもの
で、図23のBにおいてa〜b、b〜cの間はそれぞれ
互いに180度位相が異なることを示している。すなわ
ち、この発明の動作原理を理解しやすいように、図24
のAに示すような位相が異なる起電力について、図24
のBの如く位相の向きを矢印にて示したものである。
(図25の説明においても同様である。)図23のBに
示す如き起電力をリミッターを通過させ、波高制限を加
えると図23Cの如き出力が得られ、さらに、この出力
を位相検波することによって図23のDの如き出力が得
られる。図23のDにおいて、プラス(+)側の出力時
間T1とマイナス(−)側の出力時間T2を測定し、これ
らの時間比率(デューティー比)を検出する。被検出導
線1に電流Iが流れていない状態では、図23のDに示
す如く、上記プラス(+)側の出力時間T1とマイナス
(−)側の出力時間T2は等しく、それらの差(T1−T
2)は0となる。図24は、被検出導線1に電流Iが流
れている状態における検出コイル3に発生する出力に関
して説明するものである。
【0050】検出コイル3に周期的に向きと大きさが直
線的に変化する三角波状の電流を通電すると、検出コア
2内に図25のAに示す如き磁束Φ4が発生し、検出コ
イル3には図25のBに示す如き起電力が発生する。す
なわち、三角波状の電流によって発生する磁束Φ3と、
被検出導線1に流れる電流Iによって発生する磁束Φ0
とが重畳されることとなる(Φ4=Φ3+Φ0)。図25
のBに示す如き起電力をリミッターを通過させ、波高制
限を加えると図25Cの如き出力が得られ、さらに、こ
の出力を位相検波することによって図25Dの如き出力
が得られる。図25のDにおいて、プラス(+)側の出
力時間T1とマイナス(−)側の出力時間T2を測定し、
これらの時間比率(デューティー比)を検出する。被検
出導線1に電流Iが流れている状態では、図25のDに
示す如く、上記プラス(+)側の出力時間T1がマイナ
ス(−)側の出力時間T2より長く、それらの差(T1
2)は正となる(T1−T2>0)。これらの差(T1-
2)は、被検出導線1に流れる電流Iと比例すること
から、予め上記の検出値と電流Iとの相関を測定してお
くことによって電流Iの絶対値を知ることができる。ま
た、これらの差(T1−T2)が正(T1−T2>0)又は
負(T1−T2<0)の場合と、被検出導線1に流れる電
流Iの向きとを予め確認、設定しておくことによって電
流Iの向きをその絶対値とともに同時に検出することが
可能となる。
【0051】さらに、検出コイル3に印加する電流の最
大値が、検出コア2の材料が有する保磁力(±Hc)以
上の磁場を発生するに足るように設定すれば、検出コア
2の材料が有するヒステリシスを要因とする出力特性の
ヒステリシスを低減することができる。すなわち、図2
3及び図25にて説明した作動原理に、さらに検出コア
2の材料が有する保磁力を考慮して検討すると、検出コ
ア2に発生する磁束は図26のC又は図26のDの如く
なり、最終的に検出コイル3に発生する出力も同様な特
性を示すこととなる。
【0052】被検出導線1に電流Iが流れていない場
合、検出コイル3に三角波状の電流を通電すると、検出
コア2に対して図26のBにおけるH3の如き磁場が印
加されることになる。この時、検出コア2に発生する磁
束は、図26のAに示すような検出コア2の有するヒス
テリシスによって図26のCに示すように、時間の変化
とともに磁束の向きが変化(反転)する。この場合、プ
ラス(+)側の磁束の発生時間T1と、マイナス(−)
側の磁束の発生時間T2とは等しく、それらの差(T1
2)は0となる。一方、被検出導線1に電流Iが流れ
ている場合、、検出コイル3に三角波状の電流を通電す
ると、検出コア2に対して図26のBにおけるH4の如
き磁場が印加されることになる。この時、検出コア2に
発生する磁束は、図26のAに示すような検出コア2の
有するヒステリシスによって図26Dに示すように、時
間の変化とともに磁束の向きが変化(反転)する。この
場合では、上記プラス(+)側の磁束の発生時間T1
マイナス(−)側の磁束の発生時間T2より長く、それ
らの差(T1−T2)は正となる(T1−T2>0)。図2
6のC及び図26のDに示す磁束によって検出コイル3
に発生する起電力、さらにその起電力をリミッターを通
過させ波高制限を加えた後、位相検波することによっ得
られる出力特性も図26のC及び図26のDに示すと同
様な出力時間特性となることは図23及び図25の説明
によって理解される。従って、検出コイル3に印加する
電流の最大値が、検出コア2の材料が有する保磁力以上
の磁場を発生するに足るよう設定することによって、検
出コア2の材料が有するヒステリシスの影響は一定(い
つも同一のヒステリシスループを描く)となり、また、
上記の差(T1−T2)が被検出導線1に流れる電流Iと
比例することから、最終的に得られる出力特性が直線的
になることが理解される。以上に説明した作用、効果は
図8に示す構成の直流電流センサーだけでなく、図11
に示す構成の直流電流センサー及びこれらを基本構成と
する図12から図20の直流電流センサーにおいても同
様である。
【0053】さらに、図11に示す微小電流領域におけ
る検出コイルでの出力電圧(起電力)のヒステリシス現
象に伴う“逆転領域”(直流電流の増加に伴い出力電圧
が減少する領域)の発生を低減する構成を一層改良する
ことにより、図11に示す構成のみでは対応できないよ
うな超微小電流領域(±10mA程度以下)の場合、あ
るいは太い貫通導線を貫通させるために磁路長が長くな
る場合など、検出コアの保磁力が無視できないレベルに
おける検出に際し、出力電圧のヒステリシス現象に伴う
逆転領域の発生を防止するための構成を提案する。すな
わち、被検出導線と同方向に貫通させた変調コイルを配
置することによって、該変調コイルに発生させた交番磁
界を検出コアに重畳し、コアの残留磁束による出力特性
のヒステリシスを減少させる構成からなる直流電流セン
サーを提案するものである。
【0054】詳述すると、図27の構成において、被検
出導線1と同方向に貫通させた変調コイル43を設け、
図28のBに示すようなBHカーブ(ヒステリシスカー
ブ)を有する検出コアに対して、この変調コイル43を
介して±Hc(保磁力)以上の磁場を発生させるのに必
要な交流を流すと、図29のAに示す如く、マイナール
ープを形成してループの中心x印はBHカーブの原点と
一致する。以下にマイナーループ形成の概念を図に基づ
いて詳述する。上記現象は、図29のAに示す如く、例
えば変調コイル43に変調交流電流を流さず、被検出導
線1に直流電流を流し、BH平面上でB点まで達した
後、直流電流を切ると、A’点に戻る(すなわちコア内
の磁束密度は−Brとなる)。この状態で、変調コイル
43に先述の変調交流電流を流すと交流電流波形のA→
Bへの移行に伴い、B−Hカーブ上でA’→B’及びB
1’の間のいずれかの位置(通常、交流電流の場合は
B’に近い位置)へ移行する。以降、交流電流波形C→
D→Eの変化に伴い、B−Hカーブ上でC’→D’→
E’へ移行し、以降同一のルート、すなわち図中の点線
で示すマイナーループQを描くこととなる。このマイナ
ーループQの中心はB−Hカーブの原点Oと一致する。
一方、図29のBに示す如く、変調コイル43に変調交
流電流を流さず、被検出導線1に上記とは逆向きの直流
電流を流し、R点までコアが励磁された後、該直流電流
を切ると、S点に戻る(すなわちコア内の磁束密度はB
rとなる)。この時、上述と同様に変調コイル43に変
調交流電流を交流電流波形のA→B→C→D→Eにした
がって流すと、S点はB’’へ移行後、S’’を経て、
D’及びD1’の間のいずれかの位置(通常、交流電流
の場合はD’に近い位置)へ移行し、以降同一のルー
ト、すなわち図中の点線で示すマイナーループQを描く
こととなる。このマイナーループQの中心はB−Hカー
ブの原点Oと一致する。上記の図29のA,Bで示した
現象は、変調交流電流を流す前の被検出導線1に流す直
流電流の電流値及び電流の向きにかかわらずマイナール
ープQの中心はB−Hカーブの原点Oと一致する。そこ
で、被検出導線1に直流電流が流れている状態で、変調
コイル43に変調交流電流を流して被測定電流に変調用
交流電流を重畳すると、被検出導線1を流れる直流電流
の向きに応じて実質的にマイナーループQの形状を維持
しつつこのループの中心x印は図30に示す破線に沿っ
て動くことになり、この点を検出することにより実質的
にヒステリシスが消失したことになる。従って、この発
明は図27の構成において、被検出導線1と同方向に貫
通させた変調コイル43を設けて、保磁力以上の磁場を
発生させるのに必要な交流を流すと、コア材の保磁力に
起因した残留磁束により発生するヒステリシス特性をな
くし、検出回路で該重畳交流成分を除去することで超微
小電流での検出感度を高めることができる。
【0055】すなわち、上記の構成からなる直流電流セ
ンサーは、環状の軟質磁性材料からなる検出コアの一部
に検出コアの周方向に対して交差接続するコア交差部を
設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体的に
配置し、検出コアに検出コイルをトロイダル状に巻回配
置し、かつ検出コアの外周に該検出コアの周方向に巻回
する励磁コイルを巻回配置した構成からなり、検出コア
内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導線を貫
通配置し、さらに被検出導線と同方向に貫通させた1タ
ーン以上の変調コイルを有し、該変調コイルに発生させ
た交番磁界を検出コアに重畳させた構成を特徴とし、検
出コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導
線を貫通配置するとともに、前記励磁コイルに、あらか
じめ発振器から励磁電流の2倍の周波数で発振された励
磁電流の周波数を1/2分周し、該励磁電流にてコア直
交部を周期的に磁気的に飽和させる交流電流印加手段を
接続し、かつ励磁時に被検出導線を流れる直流電流と重
畳させた交流電流に基づき検出コアに発生する磁束を変
調可能となし、検出コイルに励磁電流の2倍の周波数の
起電力を出力させ、さらに、前記発振器の出力と検出コ
イルの出力との位相差を位相比較手段にて検出し、被検
出導線を流れる直流電流と重畳交流電流の絶対値ととも
にその方向を検出し、検出信号から重畳交流成分を除去
することで、被検出導線を流れる直流に対応した出力を
高感度にて検出することが可能な直流電流センサーを提
案するものである。同様に、図8や図12から図20に
示すような先に説明した種々の構成からなる直流電流セ
ンサーに被検出導線と同方向に貫通させた変調コイルを
配置することによって、目的とする効果を得ることがで
きる。
【0056】以上に説明した種々の手段を組み合せて採
用することも可能である。例えば、変調コイル43を配
置してなる図27に示す直流電流センサーにおいて、さ
らに図21に示す構成からなる電気回路を接続した場合
の作用を以下に説明する。ここで、励磁コイル5に、予
め発振器から励磁電流の2倍の周波数2f0で発振され
た励磁電流の周波数を1/2分周した状態の励磁電流を
印加する。例えば、励磁コイル5は交流電流印加手段に
接続される。交流電流印加手段は、最終的に励磁コイル
5に印加する励磁電流の2倍の周波数2f0の励磁電流
を発振するOSC(オシレーション・サーキット、発振
回路)と、該励磁電流の周波数を1/2分周するT−F
F(トリガー・フリップ・フロップ)を配置しており、
さらに一旦周波数を2f0からf0に分周した交流電流を
LPF(ローパスフィルター)、バッファーアンプを介
して励磁コイル5に接続される。また、変調コイル43
には、別途接続する交流電流印加手段により、上記構成
の軟質磁性材料からなるコアの±Hc以上の磁場を発生
させるのに必要な交流を流して交番磁界を発生させ、コ
ア材の保磁力に起因した残留磁束により発生するヒステ
リシス特性をなくしてある。
【0057】被検出導線1に所定方向の直流電流Iが流
れると、励磁コイル5に印加される前記1/2分周され
た周波数f0なる励磁電流によって、先に説明した起電
力発生のメカニズムと同様に、検出コア2に発生する磁
束を変調し、検出コイル3に被検出導線1に流れる直流
電流Iとコイル43に流した交流電流の和に比例した励
磁電流の2倍の周波数2f0からなる起電力を出力させ
ることが可能となり、検出コイルに発生した出力から該
交流成分を除去することにより、被検出導線1に流れる
直流電流Iの絶対値を知ることができるのである。被検
出導線1に流れる直流電流Iの向きにより、検出コイル
3に発生する周波数2f0の電圧VDETの位相がそれぞれ
180度異なることは、先に図9、図10によって説明
したとおりである。このようにして検出コイル3に発生
した周波数2f0からなる出力(起電力)は、位相比較
回路に入力される。
【0058】一方、前記交流電流印加手段を構成するO
SCから発振される周波数2f0からなる励磁電流の一
部は、T−FF等を介して励磁コイル5に接続されるこ
となく、周波数2f0のままLPF(ローパスフィルタ
ー)、フェーズシフター(移相器)、シュミット・トリ
ガー等を介して位相比較回路に入力される。位相比較回
路は、該回路に入力される発振器からの出力と検出コイ
ル3からの出力との位相差を検出し、被検出導線1を流
れる直流電流Iの向きに対応して最終的にほぼ直線的に
変化するプラス(+)又はマイナス(−)の出力電圧V
OUTを出力することとなる。なお、検出コイルには測定
対象となる直流電流Iとコイル43に流した交流電流が
合成された出力が得られるため、この交流成分を除去す
る必要がある。この交流成分を除去する方法としては、
1)通過周波数2foのQの高いバンドパスフィルター
を用いる、2)そのまま位相検波し、得られた出力から
重畳交流成分をローパスフィルターなどで除去するなど
の方法が有効である。すなわち、図9、図10より理解
できるように、発振器11からの出力と検出コイル3か
らの出力との位相差がない場合は、被検出導線1を流れ
る直流電流Iの向きがプラス(+)の向き(図27中上
向き)に流れていると判断し、また該位相差が180度
ある場合は、被検出導線1を流れる直流電流Iの向きが
マイナス(−)の向き(図27中下向き)に流れている
と判断し、それらの向きとともに直流電流Iの絶対値を
出力することが可能となるのである。特に、この直流電
流センサーにおいては、励磁コイル5に接続する発振器
から発振される励磁電流の周波数と検出コイル3からの
出力VDETの周波数とが、ともに最終的に励磁コイル5
に印加される励磁電流の2倍の周波数2f0となること
から、これら同周波数からなる出力の位相差は容易に比
較することができ、比較的構成が簡単な公知の位相比較
回路にて被検出導線を流れる直流電流の方向を検出する
ことが可能となるのである。
【0059】以上に説明した直流電流センサーでは、い
ずれの構成においても非常に高精度の検出を可能とする
が、被検出導線1を貫通配置する検出コア2が一体品に
て形成されていることから、すでに配線が完了している
導線(被検出導線1)への取付配置は非常に煩雑な作業
となり、特に、使用中の導線への取付配置は全く不可能
であり、また、導線の切断・接続が国難な配線部への取
付配置も実質的に不可能である。この発明は、これらの
問題点を解決するもので、予め、検出コアを周方向の少
なくとも一ヶ所で分割可能な構成としておくことによっ
て、被検出導線の周囲をこれらの分割された個々の検出
コアにて囲い、実質的にこれらの検出コアの内側に被検
出導線を切断することなく貫通配置した後、個々の検出
コアを一体化することによって、先に説明した種々の構
成からなる直流電流センサーの本来有する長所を阻害す
ることなく、有効に発現することが可能となるのであ
る。
【0060】この検出コアを分割可能にした構成は、被
検出導線に流れる直流電流によって検出コアの周方向に
発生する磁束に対して、略直交方向に発生する磁束によ
って検出コアの一部に周期的に磁気的なギャップを形成
する手段を有する構成であれば、以上に説明した種々の
構成からなる直流電流センサーに限定されることなく、
目的とする作用、効果を得ることができる。また、この
発明の直流電流センサーを構成する検出コアにおいて
は、周方向の少なくとも一ヶ所で分割可能な構成であれ
ば、分割数、分割構成等は後述する実施例に限定される
ものではないが、通常、構成に基づく電気的な安定性
や、被検出導線を貫通配置した後の一体化作業等を考慮
すると、実施例に示す如く、分割後の検出コアが実質的
に同形状になるよう一対に分割するのが好ましい。
【0061】以下図面に基づいて一層詳細に説明する。
図1の斜視説明図に示すこの発明の一実施例は、基本的
な構成は先に説明した図14の構成からなる直流電流セ
ンサーと同様である。すなわち、1は被検出導線であ
り、矩形枠状の検出コア2の内側中央部に貫通配置して
いる。ただし、この構成においては、検出コア2は一対
に分割されており、該検出コア2の先端部2a,2b
に、検出コア2と同材質からなるL字型取付部材60
a,60bを固着しておき、被検出導線1を所定位置に
配置した後、ねじ61にて一体化したものである。この
矩形枠状の検出コア2のそれぞれ対向位置長辺部には一
対の励磁コア4a,4bが4角筒状を形成するごとく一
体的に配置している。さらに一対の励磁コア4a,4b
の各々最外周の側面部に励磁コイル5a,5bがトロイ
ダル状に巻回されている。さらに、検出コイル3a,3
bも、前記励磁コア4a,4bの外周にトロイダル状に
巻回されている。換言すると、励磁コア4a,4bとな
る一対の角筒体を軸中心線を平行に並列し、並列する角
筒体の各開口端の隣接辺部間を分割可能な構成からなる
軟質磁性材料の接続板で接続一体化して接続板及びこれ
と接続した筒体側面部、すなわちコア直交部6とで矩形
枠状の上記の検出コア2となした構成からなり、一対の
励磁コア4a,4bの各々最外周の側面部に励磁コイル
5a,5bがトロイダル状に巻回されているとともに、
一対の励磁コア4a,4bの各々外周に検出コイル3
a,3bがトロイダル状に巻回されている。このような
構成においては、励磁コイル5a,5bと検出コイル3
a,3bとの静電容量結合による検出コイル3a,3b
への励磁信号の混入を防止するために、励磁コイル5
a,5bと検出コイル3a,3bとの間に、電気的に接
地されているCu等の電気伝導度の高い金属箔を介在さ
せることが好ましいことは先に説明した通りである。
【0062】このような構成において、被検出導線1に
直流電流Iが流れると、検出コア2内に直流電流Iの方
向に対して右回りの磁場が発生し、検出コア2内に磁束
Φ0が発生する。この時、励磁コイル5a,5bに所定
の交流電流を通電して一対の励磁コア4a,4bに周期
的に図中α方向に変化する磁束を発生し、該励磁コア4
a,4bを周期的に磁気的に飽和すると、矩形枠状の検
出コア2の周方向の一部である長辺部のコア直交部6は
比透磁率μが極めて1に近い所謂実質的な磁気的なギャ
ップとなり、検出コア内の磁束Φ0をΦ1にまで減少させ
る。従って以上に示すこの発明の直流電流センサーも、
一対の検出コイル3a,3bへの起電力発生のメカニズ
ムは図8に示す構成と同様であり、このメカニズムに基
づく効果も同様に得られる。さらに、この構成では検出
コア2に接続する励磁コア4a,4bの接続部の幅dは
実質的に図中のセンサーの長さ方向の寸法Lの2倍(2
L)となることから、検出コア2の磁路長に対する励磁
コア4の接続部の幅dの比率は極めて大きくなり、図8
の構成に比べ反磁場の効果による検出コア2内の残留磁
束密度を小さくすることができ、コア材料の保磁力に起
因するヒステリシス現象を低減することができる。しか
も、直流電流センサーの全体的な構成が被検出導線1に
対して対象であることから電磁気的のバランス良く、安
定した測定を実現することが可能となる。
【0063】図2の斜視説明図に示すこの発明の他の実
施例も、基本的な構成は先に説明した図15の構成から
なる直流電流センサーと同様である。この直流電流セン
サーの構成は、一対の励磁コイル5a,5bが、4角筒
状を形成する如く配置される一対の励磁コア4a,4b
の内側中央部に形成される励磁コイル巻回用桟8a,8
bにトロイダル状に巻回されている他は、図1と同様な
構成からなり、基本的に図1と同様なメカニズムによ
り、被検出導線1に流れる直流電流を検出することが可
能となる。特に、この構成においては、励磁コア4a,
4bの内側中央部に励磁コイル巻回用桟8a,8bを形
成することによって、各々励磁コイル5a,5bにて発
生する磁束が励磁コア4a,4bの外部に漏洩すること
なく、効率的に作用し、検出コイル3a,3bへの悪影
響が低減され、また、励磁コイル5a,5bにて発生す
る磁束によって形成される磁路も、励磁コイル巻回用桟
8a,8bを介して2回路の磁路が、それぞれその磁束
の向きが交互に変化するように作用することから、電磁
気的なバランスが一層向上することとなる。
【0064】図3の斜視説明図に示すこの発明の他の実
施例は、図2の構成におけるL字型取付部材60a,6
0bに代えて、それぞれ分割した検出コア2の先端部2
a,2bに、該検出コア2と同材質からなるブロック状
取付部材62a,62bを固着しておき、被検出導線1
を所定位置に配置した後、ねじ63にて一体化したもの
である。この構成によれば、先に説明した図2の構成が
有する長所とともに、ねじ63の締め付け力によって互
いのブロック状取付部材62a,62bの接続状態が変
化することが少なく、より一層安定した出力を得ること
ができる。
【0065】図4の斜視説明図に示すこの発明の他の実
施例は、それぞれ分割した検出コア2の先端部2a,2
bをソケット64内にて電磁気的に接続するものであ
る。図中5は励磁コイルであるが、予め樹脂性の帯状フ
レキシブルテープ65上に配置されており、被検出導線
1を所定位置に配置し、検出コア2の先端部2a,2b
をソケット64にて一体化した後、検出コア2の外周を
巻回するように配置し、最終的にその両端部をソケット
64内にて電気的に接続する。検出コア2の先端部2
a,2b及び励磁コイル5の先端部を接続するソケット
64内の構成については具体的に図示しないが、通常、
電気機器に採用される公知の接続手段を採用することが
できる。この構成では、励磁コイル5を検出コア2の外
周に該検出コア2の周方向に巻回することから、実質的
に先に説明した図20の構成からなる直流電流センサー
と同様な効果を有する。すなわち、この構成では検出コ
ア2に接続する励磁コア4a,4bの接続部の幅dは実
質的に図中のセンサーの長さ方向の寸法Lの2倍(2
L)となることから、検出コア2の磁路長に対する励磁
コア4の接続部の幅dの比率は極めて大きくなり、反磁
場の効果による検出コア2内の残留磁束密度を小さくす
るとともに、励磁コイル5による検出コア2の脱磁効果
をも併せ持つことによって、前記の“逆転領域”の発生
を大幅に低減することができる。
【0066】以上に説明した、この発明の直流電流セン
サーにおいても、先に説明した検出コア2を分割してい
ない構成と同様に、図21及び図22に示す電気回路と
の接続や、図27に示す如く被検出導線1と同方向に貫
通させた変調コイルを配置し、該変調コイルに発生させ
た交番磁界を検出コイル2に重畳する構成を採用するこ
とによって、電流の絶対値とともに方向性を検知した
り、コア自体が有するヒステリシスに起因する出力特性
のヒステリシスを一層低減することも可能である。
【0067】また、これらの直流電流センサーをインバ
ーター機器に組込んで使用する場合には、特に、スイッ
チングノイズの混入を防止するために、検出回路の電源
ラインにノイズフィルターを挿入することが有効である
が、種々の構成からなるこの発明の直流電流センサー
を、例えば、図5に示すようなパーマロイや無方向性ケ
イ素鋼板等からなるシールドケース50にて覆い、誘導
ノイズの混入を防止することが望ましい。すなわち、検
出コア2の内側に被検出導線1を貫通配置した後、励磁
コア収納溝52a,52bを有する一対の略コ字型のシ
ールドケース部材51a,51bをそれぞれ各コア部に
下方向から外嵌し、さらに、一対のシールドケース部材
51a,51bと同様な構成からなる一対のシールドケ
ース部材(図示せず)を、それぞれ各コア部の上方向か
ら外嵌することによって、直流電流センサー全体を覆う
ことが望ましい。
【0068】
【実施例】
実施例1 図1に示す直流電流センサーを得るために、一対の筒体
励磁コアの各開口端に接続して検出コアを構成するする
接続板を中心部にて分割してなる一対のコア組立体を、
それぞれパーマロイC(78%Ni−5%Mo−4%C
u−balFe)からなる厚さ0.2mmの薄板を用い
て組み立てた。なお、各々のコア組立体の接続部を構成
するL字型取付部材60a,60bは、本体(コア組立
体)と同材質で厚さ0.5mmの薄板をスポット溶接に
て接続した。これらの一対のコア組立体をL字型取付部
材にて一体化した後の寸法はL=25mm、H=10m
m、W1=30mm、W2=10mmとなる。上記組立体
を、水素ガス雰囲気にて1100°C×3hrの熱処理
を施した後、600°C〜400°Cの間を100°C
/hrで多段の冷却処理を施す熱処理を完了させ、この
発明の直流電流センサーを構成するコア部を完成させ
た。一方のコア組立体に絶縁性の保護ビニールテープを
巻回した後、励磁コア4aの最外周の側面部に外径0.
2mmのホルマル線を15ターン巻回して励磁コイル5
aとした。さらに、励磁コイル5aと後述する検出コイ
ル3aとの静電容量結合を防止するため、励磁コイル5
aの外周を厚さ0.035mmの絶縁樹脂フィルムにて
被服した後、電気的に接地可能とした厚さ0.1mmの
Cu箔を巻回被服し、再度厚さ0.035mmの絶縁樹
脂フィルムにて被覆した(図19参照)。絶縁樹脂フィ
ルムの上から外径0.1mmのエナメル線を300ター
ン巻回して検出コイル3aとした。また、最終的に検出
コア2内に貫通配置される被検出導線1と同方向に貫通
するように励磁コア4aの外周に外径0.2mmのホル
マル線を10ターン巻回して変調コイル43a(図27
参照)を配置した。同様な方法にて他方の励磁コア4b
にもそれぞれ励磁コイル5b、検出コイル3b変調コイ
ル43bを配置した後、これら一対のコア組立体を、外
径8mmのビニル被覆からなる被検出導線1を検出コア
2内に貫通配置するように前記L字型取付部材60a,
60bを当接し、ねじ61にて一体化する。各々のコア
組立体に配置される励磁コイル5a,5b、検出コイル
3a,3b、変調コイル43a,43bを所定の方法に
て電気的に接続するとともに、最終的に励磁コイルに印
加する励磁電流の2倍の周波数からなる励磁電流を発振
する発振器等を配置する交流電流印加手段や位相比較回
路等を配置して、発振器から励磁電流としてf=3.5
kHz、300mAの交流電流を発振し、変調コイル4
3に100Hz、30mA(ピーク時)の正弦波交流電
流を流し、さらに、被検出導線1に±100mAの範囲
で直流電流Iを増減させて流した時の、位相比較回路を
経由して出力される検出コイル3(図中3a,3bの各
々の合計値)の起電力(出力)VOUTのうち、100H
zの交流成分をローパスフィルターで除去した後の出力
変化を図6に示す。なお、該出力電圧VOUTは、所定の
増幅効果を有する増幅回路を介して出力した値である。
図7は図6に示す出力変化を示すグラフのうち、特に±
20mAの範囲における出力変化を拡大して示すもので
あり、この発明の効果をより一層明確に示すものであ
る。図6から、この発明の直流電流センサーによれば被
検出導線を流れる直流電流に基づく検出コイル3の起電
力(出力)の向きを検出することが可能であり、つま
り、被検出導線を流れる直流電流の絶対値とともに、そ
の向きを感度良く、安定して検出することが可能とな
る。また、図7に示す如く、±20mAさらに±10m
A程度の微小電流でも極めて高感度の測定ができ、往復
電流の大きさによる差分検出感度の低下がなく、往復電
流による誤差出力が小さいことが明らかである。したが
って、この発明からなる直流電流センサーにおいては、
単に予め配線が完了している被検出導線への取付配置が
容易となるだけでなく、被検出導線を流れる直流電流の
絶対値だけでなく、その向きをも検知することができる
ことから、該直流電流の向きによって正転←→逆転、往
←→復等の制御が必要な技術分野、例えば、直流モータ
ーを使用したアクチュエーターの制御等において、より
有効に活用でき、さらに、一層の高感度の検出が達成で
き小型化をも可能とする。
【0069】
【発明の効果】この発明の直流電流センサーは、微小な
電流の変化に対しても、優れた検出能力を有することか
ら、直流の漏電ブレーカー等に使用した際には、検出コ
ア内に貫通配置する被検出導体をコアに巻回せず、1本
貫通させるだけでも要求される高感度の検出が達成で
き、構造が比較的簡単で直流電流センサーの小型化を可
能とする。特に、直流電流センサーを構成する検出コア
が、周方向の少なくとも一ヶ所にて分割可能に構成され
ていることから、予め配線が完了している被検出導線へ
の取付配置が非常に簡便となり、直流電流センサーの用
途を一層拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の直流電流センサーの一実施例を示す
斜視説明図である。
【図2】この発明の直流電流センサーの他の実施例を示
す斜視説明図である。
【図3】この発明の直流電流センサーの他の実施例を示
す斜視説明図である。
【図4】この発明の直流電流センサーの他の実施例を示
す斜視説明図である。
【図5】この発明の直流電流センサーに採用するシール
ドケースの一実施例を示す斜視説明図である。
【図6】図1示すこの発明の直流電流センサーにおける
被検出導線1に流れる直流電流と出力との関係を示す線
グラフである。
【図7】図1示すこの発明の直流電流センサーにおける
被検出導線1に流れる直流電流と出力との関係を示す線
グラフである。
【図8】Aは、この発明の直流電流センサーの基本構造
の概要を示す斜視説明図であり、Bはその一部断面説明
図である。
【図9】図8に示す直流電流センサー構成における励磁
コアに印加された励磁電力の周波数と検出コアを通過す
る磁束、検出コイルの起電力との関係を示すグラフであ
り、Aは励磁電流の時間的変位、Bは検出コアを通過す
る磁束の時間的変位、Cは検出コイルの起電力と時間的
変位の関係を示す。
【図10】図8に示す直流電流センサー構成における励
磁コアに印加された励磁電力の周波数と検出コアを通過
する磁束、検出コイルの起電力との関係を示すグラフで
あり、Aは励磁電流の時間的変位、Bは検出コアを通過
する磁束の時間的変位、Cは検出コイルの起電力と時間
的変位の関係を示す。
【図11】この発明の直流電流センサーの他の基本構造
の概要を示す斜視説明図である。
【図12】この発明の直流電流センサーの他の基本的な
構造を示す斜視説明図である。
【図13】図12に示す直流電流センサー構成における
コア組立体を得るための展開説明図である。
【図14】この発明の直流電流センサーの他の基本的な
構造を示す斜視説明図である。
【図15】この発明の直流電流センサーの他の基本的な
構造を示す斜視説明図である。
【図16】図15に示す直流電流センサーの部分説明図
である。
【図17】A及びBは、図14に示す直流電流センサー
の励磁コイルによって発生する磁路の詳細説明図であ
る。
【図18】A及びBは、図15に示す直流電流センサー
の励磁コイルによって発生する磁路の詳細説明図であ
る。
【図19】図14の直流電流センサーにおける励磁コイ
ルと検出コイルとの静電容量結合を防止する高電気伝導
度金属箔の配置構成を説明する一部断面説明図である。
【図20】この発明の直流電流センサーの他の基本構成
を示す斜視説明図である。
【図21】この発明の直流電流センサーの基本構成に接
続する電気回路の一実施例の概要を示す説明図である。
【図22】この発明の直流電流センサーの基本構成に接
続する電気回路の一実施例の概要を示す説明図である。
【図23】検出コイルの出力のデューティー比(プラス
(+)の向きとマイナス(−)の向きの時間比率)の変
化を示すグラフであリ、Aは検出コアを通過する磁束の
時間的変位、Bは検出コイルの起電力の時間的変位、C
はBの起電力に波高制限を加えた後の出力の時間的変
位、DはCの位相波検出の時間的変位との関係を示す。
【図24】図24における検出コイルの起電力の表示方
法を定義する説明図であり、A,Bは検出コイルの起電
力の時間的変位との関係を示す。
【図25】検出コイルの出力のデューティー比の変化を
示すグラフであり、Aは検出コアを通過する磁束の時間
的変位、Bは検出コイルの起電力の時間的変位、CはB
の起電力に波高制限を加えた後の出力の時間的変位、D
はCの位相波検出の時間的変位との関係を示す。
【図26】検出コアにおける磁束のデューティー比の変
化を示すグラフであり、Aは検出コアのヒステリシス、
Bは検出コアに印加される磁場、C,Dは検出コアに発
生する磁束を示す。
【図27】この発明の直流電流センサーの他の基本構成
を示す斜視説明図である。
【図28】この発明の直流電流センサーの基本構成にお
ける超微小領域での被検出電流と出力との関係を示す線
グラフであり、A,Bは検出コアのBHカーブ(ヒステ
リシスカーブ)を示す線グラフである。
【図29】この発明の直流電流センサーの基本構成にお
ける超微小領域での被検出電流と出力との関係を示す線
グラフであり、A,Bは変調コイルに変調交流電流を流
さず被検出導線に直流電流を流してコアが励磁された
後、該直流電流を切りその後変調コイルに交流電流を流
してマイナーループを形成した状態を示す線グラフであ
る。
【図30】この発明の直流電流センサーの基本構成にお
ける超微小領域での被検出電流と出力との関係を示す線
グラフであり、被検出導線に直流電流が流れている状態
で、変調コイルに変調交流電流を流して被測定電流に変
調用交流電流を重畳した場合のマイナーループの中心点
の移動状態を示す線グラフである。
【符号の説明】
1 被検出導線 2 検出コア 2a,2b 先端部 3,3a,3b,3c,3d 検出コイル 4,4a,4b 励磁コア 5,5a,5b 励磁コイル 6 コア直交部 8a,8b 励磁コイル巻回用桟 9 ボビン 10 交流電流印加手段 11 OSC 12 T−FF 13,31 LPF 14 バッファーアンプ 20 位相比較回路 32 フェーズシフター 33 シュミット・トリガー 41 検出信号侵入阻止用インダクター 42 検出信号バイパスコンデンサー 43,43a,43b 変調コイル 51a,51b シールドケース部材 52a,52b 励磁コア収納溝 60a,60b L字型取付部材 61,63 ねじ 62a,62b ブロック状取付部材 64 ソケット 65 帯状フレキシブルテープ 70 金属箔 71 スリット部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状の軟質磁性材料からなる検出コア
    と、該検出コアにトロイダル状に巻回した検出コイルを
    配置した構成からなり、検出コア内側に非接触検出する
    直流電流が流れる被検出導線を貫通配置する直流電流セ
    ンサーにおいて、被検出導線に流れる直流電流によって
    前記検出コア内に発生する周方向の磁束に対して、略直
    交方向に発生する磁束によって検出コアの一部に周期的
    に磁気的なギャップを形成する手段を有するとともに、
    前記検出コアが被検出導線を貫通配置する際に周方向の
    少なくとも一ヶ所にて分割可能な構成であることを特徴
    とする直流電流センサー。
  2. 【請求項2】 検出コアの一部に周期的に磁気的なギャ
    ップを形成する手段が、被検出導線に流れる直流電流に
    よって前記検出コア内に発生する周方向の磁束に対し
    て、略直交方向に発生する磁束によって検出コアの一部
    を磁気的に飽和させ、周方向の磁束による磁路を周期的
    に遮断する構成からなる請求項1に記載の直流電流セン
    サー。
  3. 【請求項3】 環状の軟質磁性材料からなる検出コアの
    一部に検出コアの周方向に対して交差接続するコア交差
    部を設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体
    的に配置し、各コアにそれぞれトロイダル状に巻回して
    検出コイルと励磁コイルを配置した構成からなり、検出
    コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導線
    を貫通配置した構成からなる請求項2に記載の直流電流
    センサー。
  4. 【請求項4】 環状の軟質磁性材料からなる検出コアの
    一部に検出コアの周方向に対して交差接続するコア交差
    部を設けて環状の軟質磁性材料からなる励磁コアを一体
    的に配置し、検出コアに検出コイルをトロイダル状に巻
    回配置し、かつ検出コアの外周に該検出コアの周方向に
    巻回する励磁コイルを巻回配置した構成からなり、検出
    コア内側に非接触検出する直流電流が流れる被検出導線
    を貫通配置した構成からなる請求項2に記載の直流電流
    センサー。
  5. 【請求項5】 励磁コアを検出コアの周方向に対して直
    角方向に励磁可能にし、励磁コアが検出コアの周方向に
    対して直交接続するコア直交部を周期的に磁気的に飽和
    させる励磁コイルへの交流電流印加手段を有し、励磁時
    に被検出導線を流れる直流電流に基づき検出コアに発生
    する磁束を変調可能となし、検出コイルに励磁電流の2
    倍の周波数の起電力を出力させて被検出導線を流れる直
    流電流を検出する構成からなる請求項3又は請求項4に
    記載の直流電流センサー。
  6. 【請求項6】 一対の筒体を軸中心線を平行に並列して
    なる励磁コアと、該並列する筒体の各開口端の隣接辺部
    間を接続一体化する接続板及びこれと接続した筒体側面
    部とからなる検出コアを有する構成からなる請求項5に
    記載の直流電流センサー。
JP5215074A 1993-08-05 1993-08-05 直流電流センサー Pending JPH0749357A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007005578A1 (en) * 2005-06-30 2007-01-11 Honeywell International Inc. Current sensor with magnetic toroid single frequency detection scheme
JP2011247765A (ja) * 2010-05-27 2011-12-08 Fuji Electric Co Ltd 電流検知装置
JP2012225921A (ja) * 2011-04-21 2012-11-15 Abb Ag 磁気コアを備えている電流センサ
KR20160078385A (ko) * 2013-10-25 2016-07-04 코아가부시끼가이샤 전류 검출 장치

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