JPH06277Y2 - シ−トベルト用アンカ−装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《考案の分野》 この考案は、ウェビングの中間部を位置調整可能に支持
できるシートベルト用アンカー装置の改良に関する。

《従来技術とその問題点》 一般に、シートベルト装置は乗員拘束用ウェビングによ
り乗員を拘束して、車両緊急時に乗員が危険物と衝突し
ないようになっているが、乗員拘束用ウェビングには乗
員の慣性力により大きな張力が生ずる。

そのため、この張力はアンカー装置により確実に車体へ
支持させる必要がある。

ところで、乗員の体格が千差万別であり、乗員の体格に
よりウェビングの支持地点を変更させることが望ましい
ことから、ウェビングにおけるアンカー部（乗員の肩部
を挾圧するウェビングのアンカー部を指す）の上下位置
を調節可能に構成したものが多く採用されている。

第７図は、このような従来のシートベルト用アンカー装
置を示す分解斜視図、第８図は同アンカー装置において
アルミ芯材によるセンターピラーガーニッシュとスライ
ダーとの関係を示す分解斜視図である。

図においてウェビング１１の中間部１１ａは、アンカー
ボルト（図示略）によりアンカープレート１２に取付け
られている。

そして、このアンカープレート１２は車体に固定された
取付板１３に対し上下方向に移動できるよう取付けられ
るとともに、上記アンカーボルトの上部に設けられたロ
ック解除用ボタン１４の操作により、上記取付板１３に
対して移動可能および適正位置で固定可能に構成されて
いる。

また、上記アンカープレート１２の上下動に伴って、上
記ウェビング中間部１１ａおよびロック解除用ボタン１
４も上下動する関係から、車体のセンターピラーＰに装
着されるセンターピラーガーニッシュ１には調節長孔２
が開設されている。

そして、この調節長孔２を遮蔽する目的で、アンカープ
レート１２上面にこのアンカープレート１２と一体に移
動するスライダー６が設けられており、このスライダー
６は、センターピラーガーニッシュ１の裏面側に配設さ
れる平板状のスライドプレート６ａと、このスライドプ
レート６ａの中間部に突設形成され、かつ上記ウェビン
グ中間部１１ａおよびロック解除用ボタン１４を取付け
格納するとともに、上記調節長孔２内にスライド可能に
嵌込まれウェビング引き出し口６ｄを有するボックス６
ｂと、上記スライドプレート６ａの上下端中央部より首
部６ｅを介して突設されるスライド小片６ｃ，６ｃとよ
り形成されている。

また、上記調節長孔２の上下側芯材３裏面には、一対の
スライドガイド５，５が突設形成されており、このスラ
イドガイド５は、芯材３より一対のＬ字状ガイド片５
ａ，５ａが切起こされてガイド溝５ｂが形成されてい
る。

そして、上記スライダー６のスライド小片６ｃ，６ｃ
が、スライドガイド５，５のガイド溝５ｂ，５ｂ内にス
ライド自在に支持され、これによりスライダー６は、ア
ンカープレート１２の上下動に伴って移動しつつ調節長
孔２を遮蔽するようにセンターピラーガーニッシュ１裏
面に配置される。

ところで、上記センターピラーガーニッシュ１の芯材３
は、軽量で成形性の優れたアルミ材により形成され、ま
たこの芯材３表面には、外観上の見栄えから塩ビ等の表
皮材４を接着している。

しかしながら、このような構成によると、上記スライダ
ー６をセンターピラーガーニッシュ１内でスライド自在
に支持するために、上記した如く、芯材３より一対のＬ
字状ガイド片５ａ，５ａを切起こしてガイド溝５ｂを形
成し、このガイド溝５ｂ内にスライダー６のスライド小
片６ｃをスライド自在に挿嵌する支持構造としている。
そのため、上記調節長孔２の上下側芯材３には必然的に
開口部５ｃが形成されることとなり、また、スライド小
片６ｃおよびスライドプレート６ａは芯材３裏面に直接
接合して芯材３裏面上を摺動することとなる。

従って、芯材３表面に塩ビ等の表皮材４を装着した場
合、上記開口部５ｃを覆う部分の表皮材４は芯材３に接
着していないので、べこつきそのためセンターピラーガ
ーニッシュ１にだぶつき感およびたるみ感を生ずること
となるという問題点があった。

さらに、調節長孔２の開口縁辺における表皮材は、調節
長孔２の開口縁辺に沿って切断した場合には、芯材３端
面と表皮材４の端面が積層状態で露呈することとなり、
外観上見栄えが悪くなるため、調節長孔２の開口縁辺
は、表皮材４を芯材３裏面側に巻込み貼着して被覆する
必要がある。しかしながら、このようにした場合には、
調節長孔２の左右縁辺においては特に問題は生じない
が、上下縁辺においては、芯材３裏面側に巻込まれた表
皮材４の巻込端とスライド小片６ｃの首部６ｅ側の縁辺
が対向することとなり、このためスライド小片６ｃが芯
材３裏面上を摺動した場合に、芯材３裏面に貼着されて
いる表皮材４の巻込端にスライド小片６ｃの首部６ｅ側
の縁辺が当接してスムーズなスライドを行なうことがで
きなかった。

従って、従来においては調節長孔２の開口縁辺は左右縁
辺のみ表皮材を巻込んでおり、上下縁辺は表皮材４を芯
材３裏面側へ巻込まず上下縁辺に沿って切断状態として
おり、結果的に、調節長孔２の上下縁辺は表皮材４と芯
材３の端面が積層状態で露呈しており外観上見栄えが悪
いという問題点があった。

《考案の目的》 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、
軽量化できるとともに、体裁が良く、しかも操作性に優
れ、低コストに製作できるシートベルト用アンカー装置
を提供することを目的としている。

《考案の構成と効果》 上記目的を達成するために、本考案は、車体に固定され
た取付板に対して、上下取付位置を可変できるアンカー
プレートが装着され、樹脂芯材表面に表皮材を貼着して
なるセンターピラーガーニッシュが上記取付板、アンカ
ープレートを被覆するように車体パネルに内装されてい
るとともに、センターピラーガーニッシュのほぼ中央に
設けた調節用長孔を通して、シートベルトのウエビング
がアンカープレートに固着され、アンカープレートの上
下動に伴い、ウエビングの支持地点を可変できるシート
ベルト用アンカー装置において、前記アンカープレート
とセンターピラーガーニッシュとの間に調節用長孔を塞
ぐスライダーが介装されているとともに、センターピラ
ーガーニッシュにおける調節用長孔の上下側の裏面に立
設されたボス部にスライドガイドのベース板が固定さ
れ、このスライドガイドのガイド溝内にスライダーの上
下端に形成されたスライド小片が摺動自在に装着されて
いることにより、センターピラーガーニッシュ裏面とス
ライダーのスライド小片との間にスライドガイドのベー
ス板を介在させたことを特徴とする。

すなわち、以上の構成によれば、センターピラーガーニ
ッシュは樹脂芯材を一体成形しているため、軽量で低コ
ストのセンターピラーガーニッシュを得ることができ
る。

更に、芯材の裏面にスライドガイド取付用のボス部を一
体に立設し、このボス部を介してスライドガイドのベー
ス板を芯材裏面に熱カシメあるいはプッシュオンフィッ
クス等の手段により固着すれば、芯材表面には、調節長
孔以外の不要な開口部が形成されず、表皮材は芯材表面
の全面にフラット状に接着することができる。

従って、表皮材のべこつき感、たるみ感を解消でき、外
観上見栄えの良いアンカー装置を提供できる。

更に、スライダーはその上下端部に設けたスライド小片
がセンターピラーガーニッシュ裏面にボス部を介して固
着したスライドガイドのガイド溝内に摺動可能に挿入さ
れるため、スライダーのスライド小片とセンターピラー
ガーニッシュ裏面との間にはスライドガイドのベース板
が介在するため、表皮材を調節用長孔の周縁裏面に巻込
んでも、スライドガイドのベース板の厚みにより表皮材
の端末とスライダーのスライド小片とが干渉することが
なく、良好なスライド操作性が期待できる。

また、このようにセンターピラーガーニッシュの調節用
長孔の外周裏面に沿って表皮材が巻込み処理できるた
め、従来のように芯材及び表皮材の端面が露出すること
がなく、外観上見栄の良いアンカー装置を提供すること
ができる。

《実施例の説明》 以下、この考案の一実施例を図面に基づき説明する。な
お、上記従来例と同一部分には同一符号を付し、その詳
細説明は省略する。

第１図はセンターピラーＰ上に装着される本考案に係る
シートベルト用アンカー装置を示す正面図、第２図は本
考案のセンターピラーガーニッシュとスライダーおよび
スダイドガイドとの関係を示す分解斜視図、第３図はセ
ンタピラーガーニッシュにスライダーおよびスライドガ
イドを取り付けた状態を示す斜視図、第４図は第３図の
Ａ−Ａ線断面図、第５図は第３図のＢ−Ｂ線断面図、第
６図はセンタピラーガーニッシュをクリップを介してイ
ンナーパネルに取り付けた状態を示す断面図である。

図面において２７はウェビングであり、このウェビング
２７は図示しない車両減速感知およびウェビング引出し
加速度感知などの機能を有する巻取装置により車両緊急
時乗客が危険物と衝突しないよう構成されている。

ウェビング２７はウェビングの中間部２７ａに設けられ
たスルータング２８に対して進退自在に挿通されてお
り、また上記中間部２７ａはアンカーボルト（図示略）
に取付けられている。

そして上記アンカーボルトは、その上部にロック解除用
ボタン２９が設けられ、かつ下部はアンカープレート１
２に固着されている。

上記アンカープレート１２は、両側部を断面略Ｃ字状に
折曲げて挾持部が形成されており、この挾持部がボルト
を介してセンターピラーＰに固定された取付板１３の両
側部を挾持し、これにより取付板１３に対してスライド
可能とされている。

つまり、ロック解除用ボタン２９の操作によりアンカー
プレート１２は取付板１３に対してスライド可能および
固定可能に支持され、かつこのアンカープレート１２の
スライドに伴ってアンカーボルトおよび上記ロック解除
用ボタン２９，ウェビング中間部２７ａ，スライダー２
５は一体に上下動する構成となっているが、本願考案の
要部はセンターピラーガーニッシュ２０とスライダー２
５の支持構造に関するものであるため、以下その支持構
造について主に説明し、その他の構造は従来例と同様で
あるため詳細説明は省略する。

２０はセンターピラーＰに装着されるセンターピラーガ
ーニッシュであり、このセンターピラーガーニッシュ２
０は合成樹脂により芯材２２が一体成形されるととも
に、この芯材２２には第２図に示すように調節長孔２１
が開設されている。

また、上記調節長孔２１の開口縁辺は、開口縁辺の表皮
材２３を芯材２０裏面側に巻込み貼着して表皮材２３に
より被覆されている。

さらに、この芯材２０の裏面で調節長孔２１の上下側の
所定位置には、それぞれ４個のボス部２４…が芯材２２
裏面より芯材成形時に一体に突出形成されている。

２５はスライダーであり、このスライダー２５は芯材２
２の裏面側に配置される平板状のスライドプレート２５
ａと、このスライドプレート２５ａの中央部に突設形成
され、かつウェビング中間部２７ａおよびロック解除用
ボタン２９を取付け格納するとともに、調節長孔２１内
にスライド可能に嵌込まれウェビング引出口２５ｄを有
するボックス２５ｂと、上記スライドプレート２５ａの
上下端中央部より起立する首部２５ｅを介してスライド
プレート２５ａと平行に突設されるスライド小片２５
ｃ，２５ｃとより形成されている。

２６は上記ボス部２４…に貫通して取り付けられるとと
もに、鉄板からなるスライドガイドであって、このスラ
イドガイド２６はベース板２６ａより一対のＬ字状ガイ
ド片２６ｂ，２６ｂが切起こされてガイド溝２６ｃが形
成され、また、ベース板２６ａのコーナ部分には上記ボ
ス部２４…と貫通する貫通孔２６ｄ…が設けられてい
る。

しかして、このスライドガイド２６をセンターピラーガ
ーニッシュ２０に取付けるにあたっては、上記スライド
ガイド２６の貫通孔２６ｄ…をボス部２４…に挿入し、
このボス部２４…の突出端を熱カシメあるいはプッシュ
オンフィックス等の手段によりスライドガイド２６をセ
ンターピラーガーニッシュ２０に対して固着する。

そして、このスライダー２５のボックス２５ｂを調節長
孔２１に対向させた挿入すれば、平板状のスライドプレ
ート２５ａは芯材２２裏面に摺動自在に配置され、かつ
スライド小片２５ｃ，２５ｃを上記スライドガイド２６
のガイド溝２６ｃ内に挿入することにより、スライド小
片２５ｃはベース板２６ａに接合してこのベース板２６
ａ上を摺動することによりスライダー２５はスライドガ
イド２６に上下動可能に支持される。

また、センターピラーガーニッシュ２０の上下端部に
は、第６図に示すように、クリップ座３０がセンターピ
ラーガーニッシュ２０成形時一体に突出成形されてい
る。そして、このクリップ座３０にクリップ３１を取付
け、センターピラーＰの係合孔Ｐ_１に差込むことにより
センターピラーガーニッシュをインナーパネル３２に取
り付けることができるとともに、アンカー装置全体をセ
ンターピラーＰ上に装着できる。

なお、スライドガイドの切起し構造あるいは形状は目的
に応じ適宜設計変更可能である。

また、センターピラーガーニッシュのセンターピラーに
対する取付構造は従来公知の技術を適宜選択できること
は勿論である。

以上の実施例の説明から明らかなように、本願考案によ
れば、芯材を合成樹脂により一体成形したものであるか
ら、従来のアルミ芯材に比して低コストに製作できると
ともに、表皮材と同一あるいはこれより大なる厚みのベ
ース板を有するスライドガイドが、芯材裏面に一体的に
突出形成されているボス部を介して、熱カシメあるいは
プッシュオンフィックス等の手段により容易に固着する
ことができるので、スライドガイドの形成にあたって
は、従来のアルミ芯材の如き開口部が形成されず、芯材
表面全面をフラットに表皮材を装着することができる。

また、表皮材を調節長孔の上下縁辺を被覆し芯材裏面に
巻込んでも、表皮材の巻込端とスライドプレートとは当
接せず、スライド小片がベースプレート上および表皮材
の巻込端上面をスライドすることができるので、調節長
孔の縁辺に露呈する芯材の端面を表皮材により被覆で
き、外観上見栄えが良く、かつ軽量で低コストなこの種
アンカー装置を製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はセンターピラー上に装着される本考案に係るシ
ートベルト用アンカー装置を示す正面図、第２図は本考
案のセンターピラーガーニッシュ，スライダーおよびス
ライドガイドとの関係を示す分解斜視図、第３図はセン
ターピラーガーニッシュにスライダーおよびスライドガ
イドを取り付けた状態を示す斜視図、第４図は第３図の
Ａ−Ａ線断面図、第５図は第３図のＢ−Ｂ線断面図、第
６図は第３図Ｃ−Ｃ線断面図、第７図はセンターピラー
ガーニッシュをクリップを介してインナーパネルに取り
付けた状態を示す断面図、第８図は従来のシートベルト
用アンカー装置を示す分解斜視図である。 ２０…センターピラーガーニッシュ ２１…調節長孔 ２２…合成樹脂製芯材 ２３…表皮材 ２４…ボス部 ２５…スライダー ２６…スライドガイド ２６ｂ…貫通孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体に固定された取付板に対して、上下取
   付位置を可変できるアンカープレートが装着され、樹脂
   芯材表面に表皮材を貼着してなるセンターピラーガーニ
   ッシュが上記取付板、アンカープレートを被覆するよう
   に車体パネルに内装されているとともに、センターピラ
   ーガーニッシュのほぼ中央に設けた調節用長孔を通し
   て、シートベルトのウエビングがアンカープレートに固
   着され、アンカープレートの上下動に伴い、ウエビング
   の支持地点を可変できるシートベルト用アンカー装置に
   おいて、 前記アンカープレートとセンターピラーガーニッシュと
   の間に調節用長孔を塞ぐスライダーが介装されていると
   ともに、センターピラーガーニッシュにおける調節用長
   孔の上下側の裏面に立設されたボス部にスライドガイド
   のベース板が固定され、このスライドガイドのガイド溝
   内にスライダーの上下端に形成されたスライド小片が摺
   動自在に装着されていることにより、センターピラーガ
   ーニッシュ裏面とスライダーのスライド小片との間にス
   ライドガイドのベース板を介在させたことを特徴とする
   シートベルト用アンカー装置。