JPH062764B2 - 多糖体およびその製造法 - Google Patents

多糖体およびその製造法

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JPH062764B2
JPH062764B2 JP10277988A JP10277988A JPH062764B2 JP H062764 B2 JPH062764 B2 JP H062764B2 JP 10277988 A JP10277988 A JP 10277988A JP 10277988 A JP10277988 A JP 10277988A JP H062764 B2 JPH062764 B2 JP H062764B2
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誠 高井
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忠紘 竹田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規な抗腫瘍性多糖体およびその製造法に関
する。
さらに詳しくは、本発明はニーム樹皮の熱水抽出物を特
定の方法で精製して得られる抗腫瘍性多糖体およびその
製造法に関するものである。
[従来技術] 本発明者等は先にニーム樹皮の熱水抽出物が抗腫瘍活性
を有することを見出し、新規な抗腫瘍性多糖体を報告し
た(特開昭58-144320,同58-144321および同58-14432
2)。これら公知の抗腫瘍性多糖体はニーム樹皮を熱水
で抽出し、該抽出物をアルコール沈殿法または透析膜法
により精製し、得られた精製物を水に溶解し、該水溶液
を分画分子量約1×103〜1×105乃至1×103〜2×105
の分子篩剤を用いて分子篩処理し、3つに分れる多糖体
画分のうち、最初の画分を採取して得られる。
本発明者等は、上記最初の画分から得られる抽出物をα
−アミラーゼで加水分解し、得られる非消化多糖体をさ
らに精製した結果、強い抗腫瘍作用を有する多糖体が得
られることを知り本発明を完成した。
[発明の目的] 本発明の目的は、抗腫瘍剤として有用なニーム樹皮抽出
精製物を提供することにある。本発明の抽出精製物は新
規な物質であって後述するごとく、ザルコーマ180固形
型マウス移植腫瘍に対して強い抑制活性を示す。
本発明の目的はさらに上記ニーム樹皮抽出精製物の製造
法を提供することにある。
[発明の具体的説明] 本発明は以下の抗腫瘍性多糖体およびその製造法からな
る。
1)ニーム樹皮を熱水で抽出し、該抽出物をアルコール
沈殿法または透析膜法により精製し、得られた精製物を
水に溶解し、該水溶液を分画分子量約1×103〜1×105
乃至1×103〜2×105の分子篩剤を用いて分子篩処理し
3つに分ける多糖体画分のうち、最初の画分から得られ
る多糖体を水に溶解し、α−アミラーゼで加水分解し、
常法により消化物を除き、非消化多糖体を分画分子量約
1×103〜2×105の分子篩剤を用いて分子篩処理し、そ
の透過液に4級アミン糖沈殿剤を加えて酸性糖を除き、
得られる中性糖にホウ酸水溶液を加えてpH8〜9で沈殿
するものを集め、常法により沈殿物からホウ酸を除き、
その水溶液を分画分子量約2×103〜3×105の分子篩剤
を用いて分子篩処理し、多糖体画分を得ることを特徴と
する多糖体の製造方法。
2)前記分子篩処理により得られる多糖体画分のうち最
初の画分として多糖体CSP−Iを得ることを特徴とす
る1項記載の製造法。
3)前記分子篩処理により得られる多糖体画分のうち第
2番目の画分として多糖体CSP−IIを得ることを特徴
とする1項記載の製造法。
4)前記分子篩処理により得られる多糖体画分のうち第
3番目の画分として多糖体CSP−IIIを得ることを特
徴とする1項記載の製造法。
5)下記の物理化学的特性を有する多糖体。
CSP−1 構造 β−(1→3)−ガラクタンを主鎖とし、このガラクト
ース5個のうち平均3個のガラクトースの6位にβ−
(1→6)−ガラクタン、α−(1→5)−アラビナン
およびβ−(1→4)−グルカンが結合した中性多糖
体。
色と形状 凍結乾燥品は白色粉末または微黄褐色粉末である。
溶解性 水に可溶でメタノール、エタノール、アセトン、エーテ
ル、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼンおよびヘキサ
ンなどの有機溶媒に不溶である。
呈色反応 フェノール硫酸反応およびアンスロン硫酸反応に陽性で
ある。
分子量 パークジョンソン法およびゲル過法により、約53,00
0。
紫外線吸収スペクトル 水溶液中の測定で吸収極大を示さず、末端吸収のみを示
す。
赤外線吸収スペクトル 第1図に示す通りである。
IR▲νKBr max▼cm-1:3410,2920,1620 6)下記の物理化学的特性を有する多糖体CSP−II。
色と形状 凍結乾燥品は白色粉末または微黄褐色粉末である。
溶解性 水に可溶でメタノール、エタノール、アセトン、エーテ
ル、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼンおよびヘキサ
ンなどの有機溶媒に不溶である。
呈色反応 フェノール硫酸反応およびアンスロン硫酸反応に陽性で
ある。
分子量 ゲル過法により、約50,000。
紫外線吸収スペクトル 水溶液中の測定で吸収極大を示さず、末端吸収のみを示
す。
赤外線吸収スペクトル 第2図に示す通りである。
IR▲νKBr max▼cm-1:3390,2920,1620 7)下記の物理化学的特性を有する多糖体CSP−II
I。
色と形状 凍結乾燥品は白色粉末または微黄褐色粉末である。
溶解性 水に可溶でメタノール、エタノール、アセトン、エーテ
ル、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼンおよびヘキサ
ンなどの有機溶媒に不溶である。
呈色反応 フェノール硫酸反応およびアンスロン硫酸反応に陽性で
ある。
分子量 ゲル過法により、約46,000。
紫外線吸収スペクトル 水溶液中の測定で吸収極大を示さず、末端吸収のみを示
す。
赤外線吸収スペクトル 第3図に示す通りである。
IR▲νKBr max▼cm-1:3400,2920,1620 8)抗腫瘍性多糖体である5ないし7項のいずれかに記
載の多糖体。
本発明方法の原料植物であるニームは学名をメリア・ア
ザジラクタ・リンネ(Melia azadirachta Linn.)または
アザジラクタ インディカ ジャス(Azadirachta indic
a Juss)といい、熱帯地域に自生する高さ10m以上に達す
る木本植物である。本発明の方法においては、ニームの
樹皮の熱水抽出液を原料として使用する。ニーム樹脂を
熱水で抽出する工程から分画分子量約1×103〜1×105
乃至1×103〜2×105の分子篩剤で分子篩処理する工程
までは前述した特開昭58-144322号公報に記載の方法と
同様にして実施される。即ち、細断したニーム樹皮に熱
水を加えるか、あるいは、ニーム樹皮に水を加え、その
混合物を加熱沸騰させることによって実施される。加熱
は沸騰水浴中または直火で行なうことができる。抽出時
間は原料の品質等に従って適宜決定されるが通常1乃至
48時間である。抽出終了後、抽出混合物を過すること
により抽出液が得られる。かしくて得られたニーム樹皮
熱水抽出液には多量の不純物が含まれているので分子篩
処理工程に供する前に、アルコール沈殿法または透析膜
法により、該抽出液を精製するのが望ましい。例えば、
アルコール沈殿法で精製する場合には、上記抽出液にメ
タノール、エタノールのようなアルコールを加え、生成
した沈殿を常法により、例えば遠心分離により採取す
る。透析膜法により精製する場合は、該抽出液を透析膜
に入れ、水につけて透析し、透析内液を所望により濃縮
乾固するかまたは凍結乾燥して抽出物を得る。透析膜と
しては分画分子量50,000以下のもの、例えばスペクトラ
・ポア1〜6(スペクトラム・メディカル・インダスト
リーズ社製品)、ビスキング・チューブ(ユニオンカー
バイド社製品)が使用される。アルコール沈殿法または
透析膜法で精製して得られた抽出物を水に溶解して本発
明方法の原料であるニーム樹皮熱水抽出液とする。さら
に、ニーム樹皮の熱水抽出処理に先立って、ニーム樹皮
を有機溶媒および(または)常温の水で抽出前処理する
ことにより、不要成分を予め除去しておくことも望まし
い。抽出前処理に使用する溶媒としてはメタノール、エ
タノール、プロパノール、ピリジン、アセトンのような
極性有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘ
キサン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチルのよう
な非極性有機溶媒があげられる。分子篩処理は望ましく
はゲル過剤を用いたゲル過によって行なわれる。ゲ
ル過剤は分画分子量約1×103〜1×105乃至1×103
〜2×105のものが使用され、デキストランゲル、ポリ
アクリルアミドゲル、ポリビニル系のポリマーゲル、多
孔性ガラスビーズ等が好適に使用される。これらは例え
ばセファデックスG-100、G-200(ファルマシア社製
品,スェーデン)、バイオゲルP-100(バイオラッド社
製品,米国)、トヨパールHW-50(東洋曹達工業社製
品,日本)等の製品名で市販されている。これらのゲル
過剤を充填したカラムに前述したニーム樹皮熱水抽出
液を通し、蒸留水で溶離すると多糖体が3つの画分に分
画される。最初に溶出する画分を熱め、蒸留乾固または
凍結乾燥して抽出精製物を得る。
かくして得られた抽出精製物を常法に従ってα−アミラ
ーゼで加水分解し、消化物を除き非消化多糖体を分画分
子量約1×103〜2×105の分子篩剤を用いて分子篩処理
する。α−アミラーゼによる加水分解は、該抽出物の水
溶液を水酸化ナトリウム等のアルカリ物質で中性に調整
し、約40℃に1乃至48時間保持することにより実施され
る。
加水分解溶液から透析法、ゲル過法、限外過法によ
り消化物を除去する。かくして得られる非消化多糖体を
グルコアミラーゼで加水分解し、消化物を上記と同様に
して除去するのがより好ましい。非消化物多糖体の分子
篩処理は、トヨパールHW−55Fを用いるゲル過によ
って好適に実施される。溶離液としてはリン酸緩衝溶液
が使用される。透析法によって溶離液からリン酸塩が除
去される。次いで4級アミン糖沈殿剤で酸性糖を沈殿さ
せて除き中性糖を得る。該沈殿剤としてはセタブロン
(臭化セチルトリメチルアンモニウム)が好適に使用さ
れる。得られた中性多糖体にホウ酸水溶液を加え、pH8
〜9で沈殿するものを集める。沈殿物は常法に従って食
塩水で処理し、ホウ酸を除去し、アルコール例えばエタ
ノールを加えて得られる沈殿を水に溶かして、凍結乾燥
する。かくして得られる抽出物をさらに水に溶解し、分
画分子量約2×103〜3×105の分子篩剤を用いて分子篩
処理し、3つに分ける多糖体画分のうち、最初の画分か
ら多糖体CSP−Iを、2番目の画分から多糖体CSP
−IIを、そして第3番目の画分から多糖体CSP−III
を得る。上記分子篩処理に使用される分子篩剤としては
前述したデキストランゲル、ポリアクリルアミドゲル、
ポリビニル系のポリマーゲル、多孔性ガラスビーズ等が
使用される。これらは例えばトヨパールHW−60F(東
洋曹達工業社製品,日本)、セファデックスG-200(フ
ァルマシア社製品,スェーデン)、バイオゲルP-200
(バイオラッド社製品,米国)等の製品名で市販されて
いる。
本発明の多糖体CSP−I,IIおよびIIIは顕著な抗腫
瘍活性を示し、毒性は極めて低いので、抗腫瘍剤として
優れた性質を有する。
本発明の多糖体CSP−I,IIおよびIIIは、各種の癌
疾患に対して有効であり、投与量は、病状、年齢、体重
などによって異なるが、通常は成人に対して1日100〜2
500mgであり、1〜4回に分けて投与することができ
る。
本発明の多糖体CSP−I,IIおよびIIIは、任意所要
の製剤用担体または賦形剤を用いて経口または非経口投
与用に製剤化される。
経口投与用の錠剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤などは慣
用の賦形剤例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、
とうもろこしでんぷん、馬鈴薯でんぷん、砂糖、ラクト
ース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、アラビアゴ
ムなどを含有していてもよい。経口投与用液体製剤は水
性または油性懸濁液、溶液、シロップ、エリキシル剤そ
の他であってもよい。
注射用製剤は溶液または懸濁液の形態であり、懸濁化
剤、安定剤または分散剤のような処方剤を含んでいても
よく、滅菌蒸留水、精油例えばピーナッツ油、とうもろ
こし油あるいは非水溶媒、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールなどを含有していてもよい。
直腸内投与のためには坐剤用組成物の形で提供され、周
知の製剤担体たとえばポリエチレングリコール、ラノリ
ン、ココナッツ油を含んでいてもよい。
次に実施例および試験例を示して本発明をさらに具体的
に説明する。
実施例 ニーム樹皮乾燥品50gをベンゼン(500ml×3)および
メタノール(500ml×3)を用いて室温で24時間抽出前
処理し、得られた抽出残渣を熱水200mlで3回抽出し
た。得られた抽出液を合し、ロータリーエバポレータで
濃縮乾固し、1960.5mgの粉末を得た。
上記で得られた粉末1000mgを水200mlに溶解し、得
られた水溶液を純エタノールを撹拌しながら室温で徐々
に加え、水溶液中のエタノール濃度が80%になったとき
に添加をやめ、生成した沈殿を遠心分離により採取し、
594.5mgの褐色粉末を得た。
上記で得られた粉末500mgを水50mlに溶かし、この
水溶液をスペクトラ・ポア6(分画分子量50.000)に入
れ、水に対して透析した。透析内液をロータリーエバポ
レータを用いて濃縮乾固して褐色の粉末310mgを得た。
上記またはで得られたニーム樹皮熱水抽出物1020
mgを20mlの蒸留水に溶解し、セファデックスG-100を充
填したカラム(直径7cm,長さ35cm)に注ぎ、蒸留水を
用いてゲル過を行なった。フェノール硫酸法で溶出液
の糖含量を定量しつつゲル過を行なうと、多糖体は3
つに分画される。最初に溶出する画分から溶媒を留去
し、ニーム樹皮抽出精製物273mgが得られた。
上記で得られたニーム樹皮熱水抽出物50gを1200ml
に溶解し、水酸化ナトリウムによってpH7とした。これ
にα−アミラーゼ(生化学工業製,Bacillus由来)255,
000単位を加えて40℃で24時間処理した。次いで、100℃
で5分間処理した後スペクトラ・ポア3(分画分子量35
00,Spectrum Medical Industries Inc.)で透析し、そ
の内液をグルコアミラーゼ(生化学工業製,Rhizopus n
iveus由来)1600単位を加えて、40℃で24時間処理し
た。処理液を同じくスペクトラ・ポア3で透析し、透析
内液を凍結乾燥して、茶褐色粉末12.5gを得た。
上記に粉末12.5gを0.06M KHPOに溶解
し、トヨパールHW-55F(φ3.2×45cm)で溶出液とし
て0.06M KH2PO4を用いて、ゲル過を行なった。通
過液を集めて凍結乾燥することにより、白色粉末6.5gを
得た。
上記の粉末6.5gを25mlの蒸留水に溶解し、これに8%
セタプロン(cetyltrimethylammoniumbromide)溶液を同
量加え一晩放置した後、生じる沈殿を遠心して除く。こ
の上清に25mlの1%ホウ酸水溶液を加え、2N水酸化ナ
トリウムによって、pH8.5に調整する。一晩放置した
後、沈殿物を遠心して集める。沈殿物を15%食塩水に溶
解した後、希酢酸によってpH4とし、さらにこれに3倍
量のエタノールを添加する。沈殿物を遠心分離により集
めた後、蒸留水に溶解し凍結乾燥すると、白色粉末2.5g
が得られる。
上記で得られる白色粉末140mgを2mlの蒸留水に溶
解し、トヨパールHW-60Fを充填したカラム(φ32×4
40mm)を用いてゲル過を行なった。蒸留水を溶出液と
して、フェノール硫酸法で溶出液中の糖含量を定量しな
がらゲル過を行なうと、多糖体は3つに分画される。
第1番目、第2番目および第3番目の画画分から溶媒を
留去し、目的とするニーム樹皮抽出精製物CSP−I,
CSP−IIおよびCSP−IIIが各々44mg,46mg,44mg得
られた。
次に本発明の多糖体の薬理試験例を示す。
試験例1 ザルコーマ180固形癌に対する効果 (試料調製) 生理食塩水に所定濃度となるように試料を溶解させた。
(ザルコーマ180癌細胞移植) ICRマウス腹腔中で継代培養したザルコーマ180癌細
胞を腹水とともに取り出し、整理食塩水で適当に希釈し
て細胞数が2×107個/mlとなるように調製した。この
細胞懸濁液の0.1mlを5週齢雄性マウス背部皮下に注射
器を用いて移植した。
(試料投与) 癌細胞移植後6日目から1日1回連日腹腔内に投与し
た。
(効果判定法) 癌細胞移植後21日目に成長した癌組織を摘出し、その重
量を測定した(腫瘍重量:1群7匹の平均値)。この重
量と対照群の腫瘍重量とから、抑制率を算出した。
試験例2 急性毒性 本発明の抽出精製物CSP−I,CSP−IIおよびCS
P−IIIの各々を、体重25±3gのICR雄性マウスに
投与して急性毒性試験を行なった結果、LD50はいずれ
も腹腔内投与で500mg/kg以上、経口投与では1000mg/kg
以上であった。
[発明の具体的効果] 本発明によれば、抗腫瘍性多糖体CSP−I,IIおよび
IIIが提供される。これらの多糖体は文献未載の新規化
合物であって試験例に示したように、ザルコーマ180固
形癌に対して強い抑制活性を示し、しかも毒性は極めて
低いので抗腫瘍剤として有用である。
本発明によれば、さらに上記多糖体CSP−I,IIおよ
びIIIの製造法が提供される。即ち、多糖体CSP−
I,IIおよびIIIは、ニーム樹皮を熱水で抽出し、該抽
出物をアルコール沈殿法または透析膜法により精製し、
得られた精製物を水に溶解し、該水溶液を分画分子量約
1×103〜1×105乃至1×103〜2×105の分子篩剤を用
いて分子篩処理し、3つに分れる多糖体のうち、最初の
画分をα−アミラーゼ次いでグルコアミラーゼ処理し、
その透析内液を分画分子量約1×103〜1×105の分子篩
剤を用いて分子篩処理し、該溶出液をセタブロン処理お
よびホウ酸処理し、該沈殿物を分画分子量約1×103
1×105の分子篩剤を用いて分子篩処理し、該溶出液を
セタブロン処理およびホウ酸処理し、該沈澱物を分画分
子量約2×103〜3×105の分子篩剤を用いて分子篩処理
し、得られる3つの画分を採取することにより得られ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図および第3図はそれぞれ本発明の抗腫瘍
性多糖体CSP−I,IIおよびIIIの赤外線吸収スペク
トルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荻原 幸夫 愛知県名古屋市瑞穂区東栄町5―12―2

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニーム樹皮を熱水で抽出し、該抽出物をア
    ルコール沈殿法または透析膜法により精製し、得られた
    精製物を水に溶解し、該水溶液を分画分子量約1×103
    〜1×105乃至1×103〜2×105の分子篩剤を用いて分
    子篩処理し3つに分れる多糖体画分のうち、最初の画分
    から得られる多糖体を水に溶解し、α−アミラーゼで加
    水分解し、常法により消化物を除き、非消化多糖体を分
    画分子量約1×103〜2×105の分子篩剤を用いて分子篩
    処理し、その通過液に4級アミン糖沈殿剤を加えて酸性
    糖を除き、得られる中性糖にホウ酸水溶液を加えてpH8
    〜9で沈殿するものを集め、常法により沈殿物からホウ
    酸を除き、その水溶液を分画分子量約2×103〜3×105
    の分子篩剤を用いて分子篩処理し、多糖体画分を得るこ
    とを特徴とする多糖体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記分子篩処理により得られる多糖体画分
    のうち最初の画分として多糖体CSP−Iを得ることを
    特徴とする請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】前記分子篩処理により得られる多糖体画分
    のうち第2番目の画分として多糖体CSP−IIを得るこ
    とを特徴とする請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】前記分子篩処理により得られる多糖体画分
    のうち第3番目の画分として多糖体CSP−IIIを得る
    ことを特徴とする請求項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】下記の物理化学的特性を有する多糖体。 CSP−1 構造 β−(1→3)−ガラクタンを主鎖とし、このガラクト
    ース5個のうち平均3個のガラクトースの6位にβ−
    (1→6)−ガラクタン、α−(1→5)−アラビナン
    およびβ−(1→4)−グルカンが結合した中性多糖
    体。 色と形状 凍結乾燥品は白色粉末または微黄褐色粉末である。 溶解性 水に可溶でメタノール、エタノール、アセトン、エーテ
    ル、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼン、およびヘキ
    サンなどの有機溶媒に不溶である。 呈色反応 フェノール硫酸反応およびアンスロン硫酸反応に陽性で
    ある。 分子量 パークジョンソン法およびゲル過法により、約53,00
    0。 紫外線吸収スペクトル 水溶液中の測定で吸収極大を示さず、末端吸収のみを示
    す。 赤外線吸収スペクトル 第1図に示す通りである。 IR▲νKBr max▼cm-1:3410,2920,1620
  6. 【請求項6】下記の物理化学的特性を有する多糖体CS
    P−II。 色と形状 凍結乾燥品は白色粉末または微黄褐色粉末である。 溶解性 水に可溶でメタノール、エタノール、アセトン、エーテ
    ル、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼンおよびヘキサ
    ンなどの有機溶媒に不溶である。 呈色反応 フェノール硫酸反応およびアンスロン硫酸反応に陽性で
    ある。 分子量 ゲル過法により、約50,000。 紫外線吸収スペクトル 水溶液中の測定で吸収極大を示さず、末端吸収のみを示
    す。 赤外線吸収スペクトル 第2図に示す通りである。 IR▲νKBr max▼cm-1:3390,2920,1620
  7. 【請求項7】下記の物理化学的特性を有する多糖体CS
    P−III。 色と形状 凍結乾燥品は白色粉末または微黄褐色粉末である。 溶解性 水に可溶でメタノール、エタノール、アセトン、エーテ
    ル、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼンおよびヘキサ
    ンなどの有機溶媒に不溶である。 呈色反応 フェノール硫酸反応およびアンスロン硫酸反応に陽性で
    ある。 分子量 ゲル過法により、約46,000。 紫外線吸収スペクトル 水溶液中の測定で吸収極大を示さず、末端吸収のみを示
    す。 赤外線吸収スペクトル 第3図に示す通りである。 IR▲νKBr max▼cm-1:3400,2920,1620
  8. 【請求項8】抗腫瘍性多糖体である請求項5ないし7の
    いずれかに記載の多糖体。
JP10277988A 1988-04-27 1988-04-27 多糖体およびその製造法 Expired - Lifetime JPH062764B2 (ja)

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