JPH06264549A

JPH06264549A - プレキャストコンクリート板

Info

Publication number: JPH06264549A
Application number: JP9037693A
Authority: JP
Inventors: Toshinori Fujiwara; 豪紀藤原; Takeshi Ono; 剛士小野
Original assignee: Onoda Cement Co Ltd
Current assignee: Onoda Cement Co Ltd
Priority date: 1993-03-12
Filing date: 1993-03-12
Publication date: 1994-09-20

Abstract

(57)【要約】【目的】この発明は、無支保工で施工できる適用スパ
ンを大きくしたプレキャスト板を提供する。【構成】この発明のプレキャスト板は、連続曲げ鉄筋
を固着した補強鋼板とコンクリートとの一体化により板
下面に合成リブを形成すると共に、前記連続曲げ鉄筋の
一部を板上面に突出させたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、現場打コンクリート
と構造的に一体化してＲＣ合成床版を構成するプレキャ
ストコンクリート板に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】立体トラス鉄筋を用いたオムニア板、カ
イザー板等のプレキャストコンクリート板は、現場にお
けるコンクリート打設時には型枠として用い、コンクリ
ート打設後は現場打コンクリートとプレキャスト板とが
構造的に一体化してＲＣ合成床版を構成する所謂ハーフ
スラブ工法に用いられている。ハーフスラブ工法は、従
来の現場打設床版工法と比較して現場工事の省力化、工
期短縮及び床版工事の品質向上等を図ることが可能であ
る。

【０００３】このカイザー板においては、板を型枠とし
て使用する場合には、カイザー板の補強材として立体ト
ラス鉄筋を用い、そして現場におけるコンクリート打設
後には、立体トラス鉄筋のジベル効果によって２次コン
クリートとの合成を図ることに特徴がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】カイザー板を型枠とし
て使用する場合、板の無支保工での適用スパンは、約
２．５ｍといわれている。すなわち、３〜６ｍの一般的
なＲＣ床版のスパンに、かかる板を型枠として使用する
場合には、中間支保工を１箇所又は２箇所設ける必要が
ある。

【０００５】一方、型枠の剛性を高めるため、立体トラ
ス鉄筋の代わりに鉄筋を内蔵するコンクリートリブを板
下面に配したプレキャスト板もあるが、無支保工での適
用スパンを大きくとるためには、鉄筋を内蔵するコンク
リートリブが非常に大きな断面になるという、プレキャ
スト板としては致命的な欠点がある。

【０００６】また、カイザー板における２次コンクリー
ト打設後の断面計算は、通常のＲＣ床版と同様の計算を
行っており、立体トラス鉄筋は床版の補強材として断面
計算に算入されておらず、床版厚さを薄肉化することに
は役だっていない。

【０００７】さらに、鉄筋を内蔵するコンクリートリブ
を持つプレキャスト板では、かかる鉄筋コンクリートリ
ブを型枠、床版の両者において構造材として算入できる
が、先に述べたように無支保工での適用スパンを大きく
するには、リブ断面が非常に大きくなり、プレキャスト
板としては不適切である。

【０００８】すなわち、ＲＣタイプのハーフスラブに用
いるいずれのプレキャスト板においても、その型枠とし
て無支保工で適用できるスパンを大きくとるためには、
板断面を非常に大きくする必要があり、プレキャスト板
の重量がアップするという欠点がある。

【０００９】この発明の目的は、補強鋼板とコンクリー
トとの一体化により合成リブを構成し、前記の従来にお
ける技術的課題を解決すると同時に廉価で製造の安易な
プレキャストコンクリート板を提供することにある。

【００１０】

【課顕を解決するための手段】上述の目的を解決するた
めに、この発明のプレキャストコンクリート板によれ
ば、連続曲げ鉄筋を固着した補強鋼板とコンクリートと
の一体化により板下面に合成リブを形成すると共に、前
記連続曲げ鉄筋の一部を板上面に突出させたことを特徴
としている。

【００１１】

【作用】この発明のプレキャスト板は、型枠や床版の両
者において曲げ剛性の向上に大いに寄与する合成リブを
構造材として断面計算に算入することができるので、各
々板及び床版の曲げ強度の向上を図ることができる。

【００１２】従って、この様な合成リブを有するプレキ
ャスト板は、従来のカイザー板より大きなスパンに適用
できると共に２次コンクリートを打設した後の床版を薄
肉化することが可能である。また、鉄筋コンクリートリ
ブを持つプレキャスト板に比較して、リブ断面をかなり
小さく抑えることが可能であるため、板断面が小さく軽
量で高強度のプレキャスト板を構築できる。また、本プ
レキャスト板は、従来の汎用技術によって容易に製造で
きるので、製造コストを抑えることが可能である。

【００１３】

【実施例】図面にはこの発明の実施例が示されており、
先ず図１において、この発明のプレキャスト板１は、連
続曲げ鉄筋４を固着した補強鋼板２とコンクリート３が
一体化された合成リブ６をプレキャスト板１の下面に１
つ若しくは複数形成して構築される。補強鋼板２は、図
２に示されるように箱型の四角形断面を有し、上面を開
口した樋状に形成され、開口部先端から外側に向けて水
平にリップ７が配されている。この補強鋼板２の断面は
長方形になっているが、開口部の幅を底面の幅に比較し
て若干変化させた断面としても良い。このような補強鋼
板２は、軽量鉄鋼板のような金属材料から造られ、１枚
の帯状鋼板を適宜なフォーミングマシンを用いて折り曲
げることによって極めて簡単に形成することができる。

【００１４】この様に構成した補強鋼板２の内側面１１
に、連続曲げ鉄筋４の上部５がプレキャスト板１の上面
１０に突出するように溶接する。図３〜図５は、各種の
連続曲げ鉄筋４を例示したもので、鉄筋の加工が容易な
ように三角形状に折り曲げたもの（図３）、サインカー
ブ、円弧状等の波形状に折り曲げたもの（図４）、矩形
状に折り曲げたもの（図５）をそれぞれ示す。このよう
な連続曲げ鉄筋４は、補強鋼板２内に打設するコンクリ
ート３との付着を良好にする。また補強鋼板２は自由端
を板端部にもつが、連続曲げ鉄筋４によって板端部まで
有効に補強効果をもたせることが可能となる。さらに、
プレキャスト板上面１０に突出した連続曲げ鉄筋４の上
部５は、現場で打設する２次コンクリートとの付着を良
好にするのみでなく、プレキャスト板上面１０に現場で
配置される鉄筋の定規の役目を果たし、これらの鉄筋の
かぶりが正しく取れるように高さ設定してある。なお、
鉄筋を工場において予め連続曲げ鉄筋４の上部に溶接し
ておけば、現場配筋作業がさらに簡略化される。

【００１５】次に連続曲げ鉄筋４を固着した補強鋼板２
を型枠上に並列配置し、コンクリート板に必要な長手方
向の主鉄筋８と横方向の配力筋９を格子状に配筋し、コ
ンクリート３を打設してパネル状に製作する。なお、プ
レキャスト板１の下面の位置は補強鋼板２のリップ７と
同レベルになるので、型枠の配置をコンクリート板の最
終形状に合わせて製作しておくのが好適である。

【００１６】プレキャスト板１の上面１０は粗面仕上げ
とし、連続曲げ鉄筋４の上部５と協同して２次コンクリ
ートとの付着を良好にする役割を果たす。型枠内にコン
クリート３を打設し、後に蒸気養生、脱型、後養生する
ことによってこの発明における合成リブ６を有するプレ
キャスト板１が製造される。以上のように本プレキャス
ト板１は、従来の汎用技術を用いて容易に製造すること
が可能であるので、高強度板を廉価に提供することが可
能となる。

【００１７】この発明のプレキャスト板１の一つの実施
例として、４ｍのスパンを無支保工で現場施工ができる
ようにスラプ筋にはＤ１０の主鉄筋８、配力筋９を用
い、図３に示す略三角形状の連続曲げ鉄筋４（径６ｍ
ｍ）を固着した板厚１．６ｍｍの補強綱板２で覆われた
高さ７５ｍｍ、幅１００ｍｍの合成リブ６をもつ６５ｍ
ｍ厚のプレキャスト１を用いて１５０ｍｍ厚の合成床版
を構成した。なお、本プレキャスト板は、板架設時にプ
レキャスト板のコンクリート下面が直接支持体の上に載
るように、合成リブ端部よりコンクリート板部を板端部
に向けて若干張り出す形状にすることで床版下面にリブ
が突出し、結果床版高及び階高を低く抑えることが可能
となっている。

【００１８】一方、比較例として図１０に示すように、
合成リブの代わりに鉄筋コンクリートリブ１２を有する
プレキャスト板１３を形成した。スパン、支持条件、荷
重条件及びリブ部分を除いた断面諸元は、すべて前述の
実施例に合わせている。同条件でのプレキャスト板のリ
ブ１２は、Ｄ１３の鉄筋１４を３本内蔵し、高さ１５０
ｍｍ、幅１６０ｍｍのサイズとなった。すなわち、この
発明のプレキャスト板１の合成リブ６は、図１０に示す
リブ１２と比較して、リブ断面を約１／３に抑えること
が可能となった。尚、板厚６５ｍｍのカイザー板を用い
てスパン４ｍ、厚さ１５０ｍｍの床版を無支保工で施工
することは不可能であることを付け加えておく。

【００１９】本発明の別の実施例を図６〜９に示す。図
６及び図７は、略楕円状の断面形状をもつスパイラル鉄
筋からなる連続曲げ鉄筋４とこの曲げ鉄筋４を補強鋼板
２内に溶接して合成リブ６を形成したプレキャスト板１
を示し、図８は、連続曲げ鉄筋４を上面に溶接した帯鋼
板からなる補強鋼板２を用いて合成リブ６を構成した例
である。又、図９は、合成リブ６に直角方向に従来のカ
イザー筋やオムニヤ筋と同様な立体トラス鉄筋１５を配
し、板理論に基づいて設計される２方向プレキャスト板
１を構成した例である。立体トラス鉄筋１５は、コンク
リート３中に埋設すると共に、立体トラス鉄筋１５の上
端鉄筋１６及び斜鉄筋１７の一部が、プレキャストコン
クリート板１の上面１０に突出するように配置する。こ
の場合、連続曲げ鉄筋４の上部５は、プレキャスト板１
の上面１０から必ずしも突出して設ける必要はなく、コ
ンクリート３中に埋設しても良い。本プレキャスト板１
は、１方向に比較して非常に大きな板を構成することが
できるので、プレキャスト板の製造工程及び現場架設作
業を低減し、工期を短縮することが可能となる。

【００２０】以上説明したように、この発明のプレキャ
スト板１、及びこれに用いられる連続曲げ鉄筋４、補強
鋼板２は、各種のものが適用でき、前記例に限らずこの
発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であ
る。

【００２１】

【発明の効果】このように構成された合成リブを有する
この発明のプレキャスト板によれば、従来のカイザー板
に比較して型枠として使用する場合には、無支保工で適
用できるスパンを飛躍的に伸ばすことが可能となり、現
場仮設に必要な人件費、仮設材費用及び施工日数を低減
できる。特に、床版スパンを本プレキャスト板の無支保
工適用スパンと合致させることによって、仮設材をまっ
たく使用しないで同時に複数階の床版を施工することが
可能となり、工期を大幅に低減できる。また、２次コン
クリート打設後の床版においては、合成リブの効果によ
って薄肉で高い曲げ強度を有する床版を構築することが
可能となり、構造躯体の軽量化が特に要求される高層ビ
ルなどにおいては、本プレキャスト板の特徴が大いに活
かせる。また、本プレキャスト板における合成リブのサ
イズは、同じ曲げ強度をもつ同様の形状の板における鉄
筋コンクリートリブよりはるかに小さい断面にすること
が可能であり、さらに製造も容易であることから軽量で
高強度のプレキャス板を廉価に提供することが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のプレキャスト板を示す断面図であ
る。

【図２】補強鋼板の断面図である。

【図３】補強鋼板に取り付ける連続曲げ鉄筋の側面図で
ある。

【図４】補強鋼板に取り付ける連続曲げ鉄筋の側面図で
ある。

【図５】補強鋼板に取り付ける連続曲げ鉄筋の側面図で
ある。

【図６】補強鋼板に取り付ける連続曲げ鉄筋の側面図で
ある。

【図７】この発明の別の実施例を示すプレキャスト板の
断面図である。

【図８】この発明の別の実施例を示すプレキャスト板の
断面図である。

【図９】この発明の別の実施例を示すプレキャスト板の
断面図である。

【図１０】鉄筋コンクリートリブをもつプレキャスト板
の断面図である。

【符号の説明】

１プレキャスト板２補強鋼板３コンクリート４連続曲げ鉄筋５連続曲げ鉄筋の上部６合成リブ７リップ８主鉄筋９配力筋１０プレキャスト板上面１１補強鋼板の内側面１２鉄筋コンクリートリブ１３プレキャスト板１４鉄筋１５立体トラス鉄筋１６上端鉄筋１７斜鉄筋

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】連続曲げ鉄筋を固着した補強鋼板とコン
クリートとの一体化により板下面に合成リブを形成する
と共に、前記連続曲げ鉄筋の一部を板上面に突出させた
ことを特徴とするプレキャストコンクリート板。
【請求項２】上面を開口した断面箱型の開口部先端か
ら外側に向けてリップを設けた樋状の補強鋼板に連続曲
げ鉄筋を固着したことを特徴とする請求項１記載のプレ
キャストコンクリート板。
【請求項３】連続曲げ鉄筋を帯板状鋼板の上面に固着
したことを特微とする請求項１記載のプレキャストコン
クリート板。
【請求項４】連続曲げ鉄筋を連続した矩形状、三角形
状、波形状、若しくはスパイラル状に折り曲げて形成し
たことを特徴とする請求項１〜３いずれか記載のプレキ
ャストコンクリート板。
【請求項５】合成リブと直角方向に立体トラス鉄筋を
コンクリート中に埋設すると共に、立体トラス鉄筋の上
端鉄筋及び斜鉄筋の一部がプレキャストコンクリート板
の上面に突出するように配置したことを特徴とする請求
項１〜４いずれか記載のプレキャストコンクリート板。