JPS6222566Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はコンクリート合成板に関し、さらに
詳しく高層ビルや中高層住宅等の建築物における
コンクリート内、外壁面を構築する際に型枠兼構
造部材として用いる薄肉厚のプレキヤストコンク
リート板に関する。

近年、タイル、ガラス製品、石材等の外壁仕上
材を現場型枠に各種の方法で取付けてコンクリー
トを打込む仕上材の型枠先付打込法が実施されて
いるが、外部足場材の増大、施行の煩雑化、労務
管理等、多くの問題を残しているのが現状であ
る。

これらの問題を解決するために、最近、半プレ
キヤストコンクリート板の表面に仕上材を打込ん
で外壁を構築する方法が一部で行われている。こ
の半プレキヤスト板は、例えば第１図に示すよう
な立体トラス梁１を第２図に示すように横筋２上
に一方向に並列させ、トラス梁の下弦材３が埋没
する程度にコンクリートで固定したものである。
その一方の面は前述のようにタイル、石材等で仕
上げられ、また他面は将来、コンクリートが打設
され、他の構造物と一体化される。

しかし、上述のようなプレキヤスト板は、トラ
ス梁が一方向にのみ平行に配列されているため、
トラス梁の長さ方向に対する剛性は大きいが、そ
れと直角方向の剛性は小さく、コンクリートの養
生期間中に生じる乾燥収縮や温度変化等により変
形を起こし、これをそのまま仕上材打込型枠材と
して使用した場合には、仕上面に型枠材の歪みが
表われ、外観を著しく損なうという欠点がある。
そしてこのような歪みを矯正しようとすると、片
面に打込まれた仕上材に悪影響を及ぼすので、半
プレキヤスト板に仕上材を打込んだ型枠を用いる
工法は一般的に普及するまでには到つていない。

一方、上述のような歪みの発生を防止するため
に、トラス梁を格子状に組立てることが考えられ
るが、従来のトラス梁は同一サイズを有している
ために、平面上で格子状に組立てるには一方のト
ラス梁の鉄筋の一部を切断しなければならず、組
立てに非常に労力を要するので一般には適用でき
ない。

この考案の目的は、上記従来技術の欠点を解消
し、トラス梁を容易に格子状に組立てることがで
き、成形または施行後、仕上面の歪みを生じるよ
うな変形を防止したプレキヤストコンクリート合
成板を提供することにある。

上記目的を達成するため、本考案は、片面が仕
上げされ、かつ後工程でコンクリートが打設され
る他面に複数の立体トラス梁１を一方向に所定の
間隔を置いて配設しコンクリートで固定した薄肉
厚のプレキヤストコンクリート板１０において、
前記トラス梁１の枠内にその長手方向と直角方向
に、前記トラス梁よりやや小さいサイズの立体ト
ラス梁１Ａを複数挿入して格子状に組立てコンク
リートで固定したことを特徴とするものである。

この考案に用いるトラス梁は、第１図に示した
立体トラスである。このトラス梁を格子状に配置
するには、片面が仕上げされ、かつ後工程でコン
クリートが打設される他面に、複数のトラス梁１
を一方向に所定の間隔を置いて並設し、該トラス
梁１の枠内にその長手方向と直角方向に前記トラ
ス梁よりや、小さいサイズのトラス梁１Ａを複数
挿入して格子状に組立て、例えば下弦材３が埋設
する程度にコンクリートで固定すればよい。この
ようなトラス梁を構成する材料は、将来、トラス
梁の部分も構造配筋の一部として利用するために
鉄筋丸棒が最も好ましいが、コンクリートを打設
したときに空気を包含しない形状のものであれば
他のものでもよい。

この考案におけるプレキヤスト板の一般的なサ
イズは、例えば板厚（コンクリート部）４〜８
cm、トラス梁の高さまたは幅７〜50cm、板長１〜
10m、板幅0.9〜3.5mである。

以下、この考案を図面によりさらに詳細に説明
する。

第３図は、この考案の実施例を示す鉄筋コンク
リート合成板の平面図、第４図はその側面図であ
る。図において、第１図に示したような立体三角
トラス１が所定間隔で平行に三列配置され、一
方、上記三角トラス１よりやや小さいサイズの三
角トラス１Ａが前記トラス１と直交するようにそ
の枠内に２列それぞれ挿入配置され、これらのト
ラス梁構造物はトラス梁の下弦材が充分埋没する
ように所定の型によりコンクリート成形される。
さらにこのコンクリート板の下弦材側の表面には
仕上材（例えばタイル４）が打込まれ、表面仕上
げされる。該コンクリート板１０の上弦材５側の
表面６には上弦材５およびこれを支持するラチス
筋７が突出し、将来、この部分にコンクリートが
打設され、構造躯体の一部となる。

上記実施例によれば、大小異なるサイズのトラ
ス梁を使用したことにより、格子状に組立てる際
に、小さいサイズのトラス梁を大きいサイズのト
ラス梁の枠内に単に挿入すればよく、組立て作業
が極めて簡単になる。このため、同一サイズのト
ラス梁を交差させる場合のように、トラス梁の切
断、溶接等の作業も要しない。またトラス梁を固
定する場合にも溶接点が極めて少なくて済す。ま
たトラス梁を平面格子状に配置したことにより。
プレキヤストコンクリート板の変形量を最小限に
留めることができ、また仕上面の外観上の歪み等
の問題を解消することができる。また上記トラス
梁を鉄筋丸棒で構成したことにより、将来、その
部分にコンクリートを十分充填することができ、
さらに構造壁を建築した場合には、該コンクリー
ト板内の下弦材を含む鉄筋ならびにトラス梁の上
弦材およびラチス筋を壁配筋の一部として利用す
ることができる。

以上、この考案によれば、大小異なるサイズの
トラス梁を格子状に配置してコンクリート成形し
たことにより、格子状に組立て配置する作業が極
めて簡単になり、また格子状に組立てたことによ
り薄肉厚のプレキヤストコンクリート板の形状精
度を上げ、その仕上げ表面の外観を損なうような
歪みをなくすことができる。またトラス梁を鉄筋
で構成した場合は、従来、捨型枠として用いられ
ていた半プレキヤスト板を型枠兼構造体とするこ
とができ、プレキヤスト板内の鉄筋やトラス梁の
上、下弦材等を構造材の一部として有効に利用
し、合理的な複合部材とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、トラス梁の典型例を示す斜視図、第
２図は、第１図のトラス梁を用いた従来のプレキ
ヤストコンクリート板の断面図、第３図は、この
考案の実施例を示すプレキヤストコンクリート板
の平面図、第４図はその側面図である。 １，１Ａ……立体トラス梁、３……下弦材、４
……仕上材、１０……プレキヤストコンクリート
板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 片面が仕上げされ、かつ後工程でコンクリー
   トが打設される他面に複数の立体トラス梁１を
   一方向に所定の間隔を置いて配設しコンクリー
   トで固定した薄肉厚のプレキヤストコンクリー
   ト板１０において、前記トラス梁１の枠内にそ
   の長手方向と直角方向に、前記トラス梁よりや
   や小さいサイズの立体トラス梁１Ａを複数挿入
   して格子状に組立てコンクリートで固定したこ
   とを特徴とするコンクリート合成板。 (2) 実用新案登録請求の範囲(1)において、前記ト
   ラス梁が鉄筋材であることを特徴とするコンク
   リート合成板。