JPH06261929A - 輸液入りプラスチック容器及びその製造方法 - Google Patents

輸液入りプラスチック容器及びその製造方法

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JPH06261929A
JPH06261929A JP6014880A JP1488094A JPH06261929A JP H06261929 A JPH06261929 A JP H06261929A JP 6014880 A JP6014880 A JP 6014880A JP 1488094 A JP1488094 A JP 1488094A JP H06261929 A JPH06261929 A JP H06261929A
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JP
Japan
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infusion solution
plastic container
sterilization
heat
infusion
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JP6014880A
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English (en)
Inventor
Takeshi Obata
剛 小畑
Yukio Adachi
幸男 足立
Masato Furukawa
正人 古川
Shinzo Otani
真造 大谷
Toshio Abe
敏雄 阿部
Tetsuo Kawamura
哲夫 川村
Saiki Senoo
再起 妹尾
Kan Nakane
完 中根
Tadaaki Inoue
忠昭 井上
Hideto Kodaira
英人 小平
Ryoichiro Murashima
良一郎 村島
Shunichi Abe
俊一 阿部
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Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Green Cross Corp Japan
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加熱滅菌された輸液入りプラスチック容器及
びその製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の輸液入りプラスチック容器は、プラ
スチック容器及びそれに収容された輸液からなり、当該
輸液を収容した容器は、特定の空気圧で加圧された加熱
滅菌処理槽内で加熱滅菌されていることからなり、また
本発明の製造法は上記輸液入りプラスチック容器の製造
方法である。本発明においては、加熱滅菌における加圧
媒体として空気が用いられているにもかかわらず、輸液
の変質をもたらすことなく滅菌を行うことができるの
で、滅菌工程の簡略化及び経済性の著しい向上が図れる
という効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は輸液入りプラスチック容
器及びその製造方法に関する。より詳細には、加熱滅菌
された輸液入りプラスチック容器及びその経済的且つ簡
便な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】輸液の容器として従来からガラス容器が
使用されてきたが、クローズドシステム化を図るため
に、近年、ガラス容器に代えてプラスチック容器が汎用
されている。このような輸液を収容したプラスチック容
器は、通常、加熱滅菌されるが、従来の滅菌法、例え
ば、空気加重圧式高圧蒸気滅菌法などで滅菌すると、滅
菌中にプラスチック容器壁を介して酸素が容器内に透過
し、内容液を変質させる問題があり、この傾向は、脂肪
乳剤、アミノ酸輸液剤などの酸素により変質しやすい成
分を含む輸液においては特に顕著で、慣用の滅菌法で滅
菌を行なうことは困難であるとされていた。かかる問題
を解決するため、従来から種々の滅菌法や輸液入りプラ
スチック容器の製造法が提案されており、例えば、特開
昭57−206447号公報には、酸素によって変質し
やすい成分を含む薬液(輸液)を収容したプラスチック
容器を高圧蒸気滅菌する際に、該薬液に対して不活性な
ガスで加圧され且つ実質的に酸素の存在しない飽和水蒸
気を含む雰囲気中で滅菌する方法が開示されている。ま
た、特開昭62−221352号公報には、輸液を収容
したプラスチック容器を脱酸素剤と共にガスバリヤー性
の高い外袋内に密封した後、高圧蒸気滅菌する方法が開
示されている。更に、熱水浸漬滅菌法に関して、特開平
2−200266号公報には、密封した耐熱性の合成樹
脂のフィルム材からなる容器内に収容された輸液を、真
空式の脱気機を用いて脱気して溶存酸素量を減少させた
加圧過熱状態の滅菌水中で滅菌処理を施す方法が開示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術におい
て、該薬液に対して不活性なガスで加圧され、且つ実質
的に酸素の存在しない飽和水蒸気を含む雰囲気中で高圧
蒸気滅菌する方法では、滅菌器内を無酸素状態にする必
要があるので滅菌に先だって滅菌器内を減圧し高度に真
空化する操作を要するが、滅菌器内を完全な無酸素状態
とすることは困難であり、また減圧操作中に薬液を収容
した容器の変形を生ずるおそれがある。更に、滅菌中の
みならず滅菌終了後の冷却も不活性ガス雰囲気中で行な
う必要があるので高純度の不活性ガスが多量に用いら
れ、滅菌処理が高価なものとなる。また、輸液を収容し
たプラスチック容器を脱酸素と共に外袋内に封入して滅
菌する方法においては、脱酸素剤の効果を発現させるた
め、当該プラスチック容器と外袋との間に通気空間を設
ける必要があり、そのため滅菌効率が低下するという問
題があり、またプラスチック容器に輸液を充填したのち
密封し、当該容器を洗浄し、脱酸素剤と共に外袋に封入
し、次いで滅菌する工程からなり、操作が煩雑である。
更に、輸液を収容したプラスチック容器を、脱気して溶
存酸素量を減少させた加圧過熱状態の滅菌水中で滅菌処
理を施す方法においては、極めて多量の脱気水を用いる
ので、大型の脱気水製造装置を必要とするなど、脱気水
の調製に多大の手間と費用を要するという問題がある。
本発明は上記従来技術の問題点を解消すべく創案された
もので、本発明者等は加熱滅菌された輸液入りプラスチ
ック容器の製造法を鋭意検討した結果、意外にも、従来
は輸液の変質などの問題から実施不可能とされてきた空
気加圧加熱滅菌法においても、空気加圧を調整すること
により、輸液の変質などを生ずることなく滅菌できるこ
とを見出して本発明を完成した。本発明はかかる知見に
基づいてなされたもので、本発明は加熱滅菌された輸液
入りプラスチック容器及びその簡便且つ経済性に優れた
製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するべ
くなされた本発明の輸液入り容器は、プラスチック容器
及びそれに収容された輸液からなり、当該輸液を収容し
た容器は、加熱滅菌処理槽内において、空気で加圧して
圧力が飽和水蒸気圧より0.4〜0.9kg/cm2
い条件下で加熱滅菌されていることからなる。また、本
発明の製造方法は、上記の輸液入りプラスチック容器の
製造方法であり、輸液が収容されたプラスチック容器を
加熱滅菌処理槽内に配置し、当該加熱滅菌処理槽内を空
気で加圧し、圧力が飽和水蒸気圧より0.4〜0.9k
g/cm2高い条件下で加熱滅菌することからなる。
【0005】上記の構成からなる本発明において、輸液
を収容するプラスチック容器の形態としては、バッグ、
ボトルなど種々の形態をとることができ、特に柔軟性を
有するバッグの形態が好ましい。また、当該容器は、複
数の個室を有するものでもよく、この場合には各個室に
は異なった種類の輸液剤が収容される。これらの容器の
材料としては、従来から輸液用容器に用いられている各
種プラスチック材料(軟質材料及び硬質材料)を使用す
ることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその架橋体、ポ
リ塩化ビニルなどが挙げられ、また積層体などの複合材
料であってもよい。
【0006】上記の容器に収容される輸液としては、従
来から輸液として用いられている各種の輸液剤、例え
ば、アミノ酸輸液剤、脂肪乳剤、ブドウ糖、フルクトー
ス、キシリトール等の糖又は糖アルコールを含有する輸
液剤、電解質輸液、ビタミン剤及びこれらの混合輸液な
どが挙げられる。特にトリプトファン並びにシステイン
及びその誘導体(例えば、N−アセチルシステイン等)
を含む高濃度アミノ酸輸液剤、脂肪乳剤などのような酸
素により変質しやすい輸液においても、実質的に変質を
抑制できる顕著な効果を奏する。
【0007】本発明において、輸液を収容したプラスチ
ック容器の加熱滅菌法としては、例えば、高圧蒸気滅
菌、熱水スプレー滅菌、熱水浸漬滅菌、熱水シャワー滅
菌などが挙げられる。加熱滅菌に際して、本発明におい
ては、加熱滅菌処理槽内は空気により加圧され、滅菌温
度における飽和水蒸気圧より0.4〜0.9kg/cm
2、好ましくは0.5〜0.8kg/cm2高い圧力下に
加熱滅菌される。飽和水蒸気圧との圧力差が0.9kg
/cm2を超えると輸液の変質が生じやすいので好まし
くない。また、空気加圧が0.4kg/cm2未満の場
合には輸液の変質は生じないが、加熱滅菌中に輸液を収
容したプラスチック容器が膨張することがあり、容器の
変形や破損を生ずることがあるので好ましくない。加熱
滅菌温度は、使用する滅菌方法により適宜設定すること
ができるが、一般に100〜130℃、通常110〜1
25℃とされる。また、滅菌時間は、滅菌温度などに応
じて適宜調整される。
【0008】本発明の輸液入りプラスチック容器の製造
法をより具体的に説明すると、ポリエチレン製などのプ
ラスチック容器に所定量の輸液剤を加え、必要に応じて
窒素などの不活性ガスでバブリングした後、容器を密封
する。この際、容器内の空間容量はできるだけ少なくす
るか又は窒素などの不活性ガスで置換しておくのが好ま
しい。かくして調製された輸液入りプラスチック容器
は、加熱滅菌処理槽内にて、滅菌温度における飽和水蒸
気圧より0.4〜0.9kg/cm2、好ましくは0.
5〜0.8kg/cm2高い条件下に、前記の加熱滅菌
法に基づいた慣用の方法により滅菌される。加熱滅菌終
了後、急激に冷却すると加熱滅菌処理槽内の圧力が急激
に低下し、輸液を収容したプラスチック容器が膨張する
ことがあるので、冷却は加熱滅菌処理槽内の圧力の調整
を図りながら行うのが好ましい。かくして、加熱滅菌さ
れた輸液入りプラスチック容器が得られる。
【0009】上記の方法で加熱滅菌された輸液入りプラ
スチック容器は、酸素非透過性の包材からなる外袋に密
封するのが好ましく、より好ましくはプラスチック容器
は脱酸素剤とともに外袋に収容される。かかる形態とす
ることにより、プラスチック容器と外気との接触が防止
され、また外袋を通って侵入した酸素は脱酸素剤で吸収
されるので、容器内の輸液の変質を長期間抑制すること
ができる。酸素非透過性の包材としては、酸素非透過性
の高い包材であれば何れの材料も用いることができる
が、好適には高い酸素非透過性を有するプラスチック材
料が用いられる。かかるプラスチック材料としては、例
えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、
ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフ
ィルム等を中間層として含む三層ラミネートフィルム
(例えば、外層がポリエステルフィルム、延伸ナイロン
フィルム、延伸ポリプロピレンフィルム等からなり、内
層が未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネート
フィルム等)、アルミニウム層を含むラミネートフィル
ム(例えば、ポリエステルフィルム−アルミニウム層−
未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフィ
ルム等)、ケイ素蒸着フィルムを含むラミネートフィル
ム(例えば、ポリエステルフィルム−ケイ素蒸着フィル
ム−未延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィ
ルム−ケイ素蒸着フィルム−未延伸ポリプロピレンフィ
ルムからなるラミネートフィルム等)などが挙げられ
る。また、外袋内に輸液入りプラスチック容器と共に収
容される脱酸素剤としては、酸化第一鉄、炭化鉄、水酸
化第一鉄などの鉄化合物とハロゲン化金属とからなる脱
酸素剤、金属粉をハロゲン化金属で被覆した脱酸素剤等
が挙げられ、また好適には、既に市販されている脱酸素
剤、例えば、エージレス(商品名、三菱瓦斯化学社製)
が用いられる。外袋への輸液入りプラスチック容器と脱
酸素剤の封入は常法に準じて行なうことができる。この
際、外袋内を不活性ガスで置換するか、真空包装とする
のが好ましい。
【0010】以下、本発明を添付図面に基づいてより詳
細に説明する。図1は本発明の輸液入り容器の一実施例
を示す概略図である。同図において、プラスチックフィ
ルムなどの柔軟性材料からなる容器1は、容器1を構成
するフィルムを熱融着して形成された仕切り帯部2で隔
離することにより、第1室3及び第2室4の2つの個室
が形成されており、仕切り帯部2は外力を加えることに
より剥離可能に形成されている。第1室3には脂肪乳剤
及び糖を含有する輸液5が収容されており、また第2室
4にはアミノ酸及び電解質を含有する輸液6が収容され
ているが、仕切り帯部2で第1室3及び第2室4は隔離
されているので、第1室3に収容されている輸液5と第
2室4に収容されている輸液6が混合することはない。
また、容器1には、第1室3に輸液5を注入するための
ポート7、及び第2室4に輸液6を注入するためのポー
ト8が設けられている。更に、輸液を収容した容器1
は、脱酸素剤9とともに前記の酸素非透過性のプラスチ
ック材料からなる外袋10に収容されており、外袋10
は熱融着により両端がシールされ、容器1及び脱酸素剤
9は外袋10内に密封されている。
【0011】次に、図1に示される輸液入り容器1の製
造方法を説明すると、容器1に熱融着により仕切り帯部
2を設け、仕切り帯部2で隔離された第1室3及び第2
室4の何れかにポートを介して輸液を充填し、必要に応
じて不活性ガス(例えば、窒素ガス等)で置換した後、
ポートを封止する。その後、容器1を反転し、他室にポ
ートを介して輸液を充填し、必要に応じて不活性ガスで
置換した後、ポートを封止する。次いで、この容器1を
加熱滅菌処理槽内に配置し、当該加熱滅菌処理槽内を空
気で加圧し、滅菌温度における飽和水蒸気圧より0.4
〜0.9kg/cm2、好ましくは0.5〜0.8kg
/cm2高い条件下に、前記の加熱滅菌法に基づいた慣
用の方法により、100〜130℃程度、通常110〜
125℃程度の条件下に加熱滅菌することにより、加熱
滅菌された輸液入り容器1を得ることができる。
【0012】かくして得られた加熱滅菌された輸液入り
容器1は、脱酸素剤9とともに酸素非透過性のプラスチ
ック材料からなる外袋10に収容し、常法に準じて外袋
10の両端を熱シールすることにより、図1に示される
輸液入り容器が得られる。なお、外袋による包装は、不
活性ガス(例えば、窒素ガス等)充填包装、真空包装と
してもよい。図1に示した輸液入り容器は、その使用に
際して、外袋10を開封して容器1を取り出し、外力を
加えて仕切り帯部2を剥離させ、開放することにより第
1室3及び第2室4に収容されている輸液を混合する。
次いで、混合輸液はポート7からチューブ(図示せず)
を介して無菌的に生体に投与される。この際、必要に応
じて、ポート7又は8から他の薬剤を混入してもよい。
【0013】なお、本発明の輸液入り容器は図1に示さ
れる例に限定されるものではなく、容器の形状、寸法
等、容器に収容される輸液の種類などは適宜変更でき
る。例えば、図1に示される容器1は2つの個室を有す
るものであるが、1室のものでもよく、また3つ以上の
個室を有する容器であってもよい。また、収容される輸
液に、他の薬剤、安定化剤などを加えてもよい。
【0014】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものでは
ない。 実施例1 (1)(アミノ酸+電解質)製剤の調製 表1に示される成分を注射用水に加え、全成分が溶解し
た後、液量を調整し、0.45μmのフィルターで濾過
し、(アミノ酸+電解質)製剤を得た。得られた製剤の
組成を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】(2)輸液入り容器の調製及び加熱滅菌 ポリエチレン製バッグに上記(1)で調製した(アミノ酸
+電解質)製剤を加え、窒素ガスで約1分間バブリング
した後、ヒートシールした。なお、この際バッグ内の空
間容量はできるだけ少なくした。上記で調製された輸液
入り容器を加熱滅菌した。加熱滅菌は熱水シャワー滅菌
法により行い、加熱条件は110℃(飽和水蒸気圧:
1.2kg/cm2)、30分間とした。滅菌時の加圧
は空気で行い、滅菌処理槽内圧を0.5〜2.2kg/
cm2(ゲージ圧、以下同様)の範囲で変化させた。ま
た、比較例として窒素加圧(2.2kg/cm2)によ
る滅菌も行った。なお、滅菌試験は、1回当り3検体で
3回行った。かくして滅菌した後、容器材質の変化、不
安定なアミノ酸であるアセチルシステイン及びトリプト
ファンの残存率、並びに着色の増加率の測定を行った。
その結果を以下に示す。
【0017】(3)容器材質の変化 容器の材質は、肉眼的には、いずれの条件においても変
化は観察されなかった。なお、滅菌処理槽内圧0.5k
g/cm2(即ち、飽和水蒸気圧との差が0.3kg/
cm2)の条件で加熱滅菌した場合には、滅菌時にバッ
グの膨張が認められた。
【0018】(4)アセチルシステインの安定性 輸液中のアセチルシステインを常法に準じて比色法によ
り定量し、滅菌前の含量に対するアセチルシステインの
残存率を求めた。その結果を表2に示す。表2に示され
るように、滅菌処理槽内圧2.2kg/cm2の条件下
ではアセチルシステインの残存率は94.1%となりや
や低下するが、滅菌処理槽内圧を低くすると残存率は向
上し、滅菌処理槽内圧0.8kg/cm2の条件下では
窒素加圧とほぼ同等な残存率であった。
【0019】
【0020】(5)トリプトファンの安定性 輸液中のトリプトファンを、常法に準じて高速液体クロ
マトグラフ法により定量し、滅菌前の含量に対するトリ
プトファンの残存率を求めた。その結果を表3に示す。
表3に示されるように、空気加圧条件下におけるトリプ
トファンの残存率は、窒素加圧条件下とほぼ同等であっ
た。
【0021】
【0022】(6)輸液の着色性 滅菌前の輸液に対する滅菌後の輸液の着色の増加を、吸
光度(測定波長:450nm,1cm)測定により行っ
た。その結果を表4に示す。表4に示されるように、着
色の増加率は、窒素加圧(2.2kg/cm2)条件下
では33%であった。一方、空気加圧条件下において
は、滅菌処理槽内圧2.2kg/cm2で78%の増加
率が認められたが、滅菌処理槽内圧の低下により着色の
増加率は低減し、滅菌処理槽内圧0.8kg/cm2
条件下では窒素加圧と同等な増加率であり、良好な結果
を示した。
【0023】
【0024】実施例2 ポリエチレン製バッグに、実施例1−(1)で調製した
(アミノ酸+電解質)製剤を加え、窒素ガスで約1分間
バブリングした後、ヒートシールした(バッグ1とい
う)。なお、この際バッグ内の空間容量はできるだけ少
なくした。また、ポリエチレン製バッグに1%(W/
V)トリプトファン溶液を加え、同様にしてヒートシー
ルした(バッグ2という)。上記で調製されたバッグを
加熱滅菌した。加熱滅菌は熱水シャワー滅菌法により行
い、加熱条件は115℃(飽和水蒸気圧:1.7kg/
cm2)、30分間とした。滅菌時の加圧は空気で行
い、滅菌処理槽内圧を1.0〜2.2kg/cm2の範
囲で変化させた。なお、滅菌試験は、1回当り3検体で
3回行った。また、滅菌処理槽内圧1.0kg/cm2
(即ち、飽和水蒸気圧との差が0.3kg/cm2)に
おいては、滅菌時にバッグが破壊し、滅菌を行うことが
できなかった。かくして滅菌した後、バッグ1及びバッ
グ2の溶液の吸光度(測定波長:450nm,5cm)
の測定を行った。その結果を表5に示す。表5に示され
るように、滅菌処理槽内圧2.2kg/cm2では吸光
度の増加が認められたが、滅菌処理槽内圧の低下により
吸光度の増加は低減し、滅菌処理槽内圧1.6kg/c
2の条件下では、着色を抑制できることが判明した。
【0025】
【0026】実施例3 (1)(脂肪+ブドウ糖)製剤の調製 精製大豆油、精製卵黄レシチン、ブドウ糖及びL−ヒス
チジンに注射用水を加え、ホモミキサーで粗乳化した
後、マントンゴーリンホジナイザーにより乳化して乳剤
を調製した。得られた乳剤を、1N塩酸にてpHを6.
0に調整し、これを1.0μmのカプセルフィルターで
濾過した。得られた製剤の組成を表6に示す。
【0027】
【0028】(2)輸液入り容器の調製及び加熱滅菌 熱融着された仕切り帯部で隔離された2つの個室を有す
るポリエチレン製バッグの第1室に上記の(脂肪+ブド
ウ糖)製剤を加え、窒素ガスで約1分間バブリングした
後、ヒートシールした。次いで、第2室に実施例1−
(1)で得られた(アミノ酸+電解質)製剤を加え、窒素
ガスで約1分間バブリングした後、ヒートシールした。
この輸液入り容器を、実施例1−(2)に示される方法と
同様にして、熱水シャワー滅菌法にて、滅菌処理槽内圧
0.8kg/cm2の条件下で滅菌した。滅菌後の輸液
について、アセチルシステイン及びトリプトファン残存
率、(脂肪+ブドウ糖)製剤のpH変化、並びに(アミ
ノ酸+電解質)製剤の着色増加率を測定したが、いずれ
も良好な値を示した。更に、滅菌後の輸液入り容器を、
脱酸素剤(エージレスZH-100P、三菱瓦斯化学社製)と共
に酸素非透過性材料[外層が延伸ナイロンフィルム、中
間層がポリ塩化ビニリデンフィルム(又はエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体)、内層がポリエチレンフィル
ムからなる三層フィルム]からなる外袋に収容し、密封
し保存した。この状態では、(脂肪+ブドウ糖)製剤及
び(アミノ酸+電解質)製剤とも長期にわたり安定的に
保存できることが判明した。
【0029】
【発明の効果】上述のように、本発明においては、輸液
の加熱滅菌における加圧媒体として空気が用いられてい
るにもかかわらず、輸液の変質や容器の変形をもたらす
ことなく滅菌を行うことができる。従って、本発明によ
れば、輸液の変質や容器の変形のない輸液入りプラスチ
ック容器が得られ、また本発明の製造法によれば、高価
な不活性ガスや大量の脱気水を用いることなく輸液の滅
菌を行うことができるので、滅菌工程の簡略化及び経済
性の著しい向上が図れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輸液入り容器の一実施例を示す概略図
である。
【符号の説明】
1 容器 2 仕切り帯部 3 第1室 4 第2室 5,6 輸液 7,8 ポート 9 脱酸素剤 10 外袋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大谷 真造 大阪府高槻市大塚町4丁目12番1号 株式 会社ミドリ十字淀川工場内 (72)発明者 阿部 敏雄 大阪府高槻市大塚町4丁目12番1号 株式 会社ミドリ十字淀川工場内 (72)発明者 川村 哲夫 大阪府高槻市大塚町4丁目12番1号 株式 会社ミドリ十字淀川工場内 (72)発明者 妹尾 再起 大阪府高槻市大塚町4丁目12番1号 株式 会社ミドリ十字淀川工場内 (72)発明者 中根 完 京都府福知山市長田野町2−11 株式会社 ミドリ十字オサダノ工場内 (72)発明者 井上 忠昭 大阪府枚方市招提大谷二丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 小平 英人 大阪府枚方市招提大谷二丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 村島 良一郎 大阪府枚方市招提大谷二丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 阿部 俊一 大阪府枚方市招提大谷二丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック容器及びそれに収容さ
    れた輸液からなり、当該輸液を収容した容器は、加熱滅
    菌処理槽内において、空気で加圧して圧力が飽和水蒸気
    圧より0.4〜0.9kg/cm2高い条件下で加熱滅
    菌されていることを特徴とする加熱滅菌された輸液入り
    プラスチック容器。
  2. 【請求項2】 プラスチック容器が、ポリエチレ
    ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル又は架橋されたエ
    チレン−酢酸ビニル共重合体からなる柔軟性材料で形成
    されている請求項1記載の輸液入りプラスチック容器。
  3. 【請求項3】 プラスチック容器が、異なる輸液を
    収容した複数の個室を有する請求項1又は2記載の輸液
    入りプラスチック容器。
  4. 【請求項4】 プラスチック容器に収容されている
    輸液が、少なくとも、脂肪乳剤を含む輸液剤又はアミノ
    酸を含む輸液剤である請求項1から3のいずれかに記載
    の輸液入りプラスチック容器。
  5. 【請求項5】 プラスチック容器が、酸素非透過性
    の包材で包装されている請求項1から4のいずれかに記
    載の輸液入りプラスチック容器。
  6. 【請求項6】 酸素非透過性の包材とプラスチック
    容器の間に、脱酸素剤が収容されている請求項5記載の
    輸液入りプラスチック容器。
  7. 【請求項7】 輸液を収容し且つ加熱滅菌されたプ
    ラスチック容器を製造する方法であって、輸液が収容さ
    れたプラスチック容器を加熱滅菌処理槽内に配置し、当
    該加熱滅菌処理槽内を空気で加圧し、圧力が飽和水蒸気
    圧より0.4〜0.9kg/cm2高い条件下で加熱滅
    菌することを特徴とする輸液入りプラスチック容器の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 空気加圧が、0.5〜0.8kg/
    cm2である請求項7記載の輸液入りプラスチック容器
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 加熱滅菌法が、高圧蒸気滅菌、熱水
    スプレー滅菌、熱水浸漬滅菌又は熱水シャワー滅菌であ
    る請求項7又は8記載の輸液入りプラスチック容器の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 プラスチック容器が、ポリエチレ
    ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル又は架橋されたエ
    チレン−酢酸ビニル共重合体からなる柔軟性材料で形成
    されている請求項7から9のいずれかに記載の輸液入り
    プラスチック容器の製造方法。
  11. 【請求項11】 プラスチック容器に収容されている
    輸液が、少なくとも、脂肪乳剤を含む輸液剤又はアミノ
    酸を含む輸液剤である請求項7から10のいずれかに記
    載の輸液入りプラスチック容器の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1988006041A1 (en) * 1987-02-23 1988-08-25 Shiseido Company Ltd. Percutaneous absorption promoter and dermatologic preparation for external use
JP2006141827A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Yoshinobu Katada 輸液チューブ、薬液投与セット及び連結用アダプタ

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