JPH06261765A - マクロライド抗生物質の生合成遺伝子を含有するdna - Google Patents

マクロライド抗生物質の生合成遺伝子を含有するdna

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JPH06261765A
JPH06261765A JP5051688A JP5168893A JPH06261765A JP H06261765 A JPH06261765 A JP H06261765A JP 5051688 A JP5051688 A JP 5051688A JP 5168893 A JP5168893 A JP 5168893A JP H06261765 A JPH06261765 A JP H06261765A
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JP
Japan
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dna
plasmid
gene
mycinamycin
iii
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JP5051688A
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English (en)
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Masaharu Inoue
雅晴 井上
Teruhiko Beppu
輝彦 別府
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくともマクロライド抗生物質生産性放線
菌由来のマクロライド生合成遺伝子、例えばマイシナマ
イシンIII−O−メチルトランスフェラーゼのアミノ
酸をコードする新規なDNA、該DNA配列を保持する
プラスミド。 【効果】 マイシナマイシンIII−O−メチルトラン
スフェラーゼ遺伝子はこの遺伝子をベクタープラスミド
上にクローニングすることにより、このクローニングベ
クター系を用いてマイシナマイシンII生産菌に遺伝子
導入することができ、本遺伝子を導入された菌株は本酵
素活性の上昇によりそのマイシナマイシン生産力価を上
昇することが期待される。また本遺伝子をストレプトマ
イセス属に属するマクロライド抗生物質生産菌に導入す
ることにより、従来生産菌が生産し得なかった新規のマ
クロライド抗生物質を生産する新種放線菌の育種を可能
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくともマクロライ
ド抗生物質生産性放線菌由来のマクロライド生合成遺伝
子、例えばマイシナマイシンIII−O−メチルトラン
スフェラーゼ遺伝子を含有する少なくとも図1に示すア
ミノ酸をコードする新規なDNA、該DNA配列を保持
するプラスミドに関する。
【0002】
【従来の技術】放線菌は多種多用の抗生物質や生理活性
物質等の二次代謝産物の生産菌として醗酵工業の分野で
は古くから重要な位置を占めており、種々の菌株改良技
術によりその生産性の改良が行なわれてきた。また近年
では有用二次代謝産物の生産性向上や新活性物質の創製
等、放線菌改良研究の1つとしてDNA組換え実験系の
確立が望まれており、現在までに放線菌の特定菌種では
宿主−ベクター系が確立されている。例えばマクロライ
ド抗生物質の生産に関与する遺伝子として、タイロシン
生合成遺伝子(特開昭62−275686号公報)、ス
ピラマイシン生合成遺伝子(特開平2−39889号公
報)、カルボマイシン生合成遺伝子(特開平2−728
80号公報)、エリスロマイシン生合成遺伝子〔Jou
rnalof Bacteriology、172 N
o. 5、2372−2383(1990)〕等の放線菌
遺伝子がクローニングされている。
【0003】マイシナマイシンはミクロモノスポラ属放
線菌ミクロモノスポラ・グリセオルビダA11725菌
株の生産する抗生物質であり、マイシナマイシンI、マ
イシナマイシンII、マイシナマイシンIII、マイシ
ナマイシンIVおよびマイシナマイシンVとして示され
る、16員環の環状ラクトンおよび2個の糖残基からな
るマクロライド抗生物質であり〔Journal of
Antibiotics、33 No.4、364−
376(1980)〕、作用機構として細菌のリボソー
ムに結合し蛋白質合成阻害を引き起こすことによりグラ
ム陽性の菌種を始め、マイコプラズマ等にすぐれた抗菌
活性を示す抗生物質であり、その内マイシナマイシンI
Iが動物薬として使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ミクロモノスポラ属放
線菌も抗生物質を始めとする生理活性物質を生産する工
業的に有用な微生物であるが、この微生物を遺伝子工学
的に育種改良する試みとしての抗生物質生合成遺伝子ク
ローニング例はミクロモノスポラ・オリボアステロスポ
ラにおけるアミノ配糖体抗生物質アストロマイシン生合
成遺伝子のクローニング例〔Molecular&Ge
neral Genetics、236No. 1、39
−48(1992)〕が報告されているが、マクロライ
ド抗生物質生産性のミクロモノスポラ属に属する微生物
の該抗生物質生合成遺伝子のクローニングについての報
告は無い。
【0005】マイシナマイシン生合成遺伝子はベクター
プラスミド上にクローニングすることにより、このクロ
ーニングベクター系を用いてマイシナマイシンIII−
O−メチルトランスフェラーゼ欠損株およびマイシナマ
イシンII生産株に本遺伝子を導入することができ、本
遺伝子を導入された菌株はマイシナマイシンII生産性
を回復し、さらに本酵素活性が上昇することによりマイ
シナマイシンIIの生産力価を上昇することを少なくと
も目的の1つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の点
に臨み、鋭意研究を行なった結果、先にマイシナマイシ
ン耐性遺伝子myrB(特願平5−14649号明細
書)を取得し、更にこれを用いることによってマイシナ
マイシンIV水酸化酵素遺伝子(特願平5−47638
号明細書)を得るとともに、本発明のマイシナマイシン
IIIをマイシナマイシンIVへ変換するマイシナマイ
シンIII−O−メチルトランスフェラーゼ活性を有す
るミクロモノスポラ・グリセオルビダ由来のマクロライ
ド抗生物質生合成遺伝子を含有したDNAまたはそのD
NA断片を含有する組換え体DNAおよびその組換え体
で形質転換された形質転換体を取得することに成功し
た。マイシナマイシンIII−O−メチルトランスフェ
ラーゼ活性を有しない微生物、例えばエシェリヒア・コ
リに該DNAを組み込んだプラスミドを導入することに
より係る遺伝子が発現し、このマイシナマイシンIII
−O−メチルトランスフェラーゼはマイシナマイシンI
IIからマイシナマイシンIVへの変換を触媒する酵素
であって、該DNAを含有する組換えプラスミドを工業
生産に用いられる例えばミクロモノスポラ・グリセオル
ビダに導入することによりその遺伝子の増幅効果によっ
て、変換効率のよい株または単位基質(マイシナマイシ
ンIII)あたりの変換時間の短い株の造成が期待でき
ることを見いだした。
【0007】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たもので、少なくとも図1に示すアミノ酸配列をコード
するDNAおよびこのDNA配列を含有するプラスミド
である。まず図1にマイシナマイシンIII−O−メチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子のコードするアミノ酸配列
を、アミノ末端を先頭にして示す。図1にて表されるア
ミノ酸配列のアミノ末端側またはカルボキシル末端側
は、アミノ酸残基またはポリペプチド残基を含む場合で
あってもよく、アミノ末端であるSerの上流にはさら
に一個または複数のアミノ酸残基を有してもよく、その
アミノ酸残基またはポリペプチド残基としては、開始コ
ドンに相当するMetを始めとするアミノ酸残基や、シ
グナル様ペプチドが挙げられ、またカルボキシル末端側
Alaの下流にはさらに一個以上のアミノ酸残基を有し
てもよい。Alaはアラニン、Argはアルギニン、A
snはアスパラギン、Aspはアスパラギン酸、Cys
はシステイン、Glnはグルタミン、Gluはグルタミ
ン酸、Glyはグリシン、Hisはヒスチジン、Ile
はイソロイシン、Leuはロイシン、Lysはリジン、
Metはメチオニン、Pheはフェニルアラニン、Pr
oはプロリン、Serはセリン、Thrはスレオニン、
Trpはトリプトファン、Tyrはチロシン、Valは
バリンである。
【0008】図2にマイシナマイシンIII−O−メチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子の塩基配列を暗号配列の上
流の5’末端を先頭にして示す。マイシナマイシンII
I−O−メチルトランスフェラーゼ遺伝子はそのコード
するアミノ酸配列のアミノ末端側またはカルボキシル末
端側のアミノ酸残基またはポリペプチド残基を含めた各
アミノ酸に対応する一連の塩基コドンのうちいずれか一
個またはそれ以上のコドンを有するDNAであってもよ
く、例えば図10、11にて示されるDNAが図2のD
NAを含む断片として簡便に利用できる。マイシナマイ
シンIII−O−メチルトランスフェラーゼ遺伝子の解
読鎖の配列は周知の塩基対の法則(AとTが対になりC
とGが対になる)によって得ることができる。配列中、
Aはデオキシアデニル、Cはデオキシシチジル、Gはデ
オキシグアニル、Tはチミジル残基を示す。DNA配列
には、本発明の理解を容易にするため番号を付した。
【0009】本発明におけるマイシナマイシンIII−
O−メチルトランスフェラーゼ遺伝子はマクロライド抗
生物質生産能を有する微生物より得ることができる。例
えばミクロモノスポラ属放線菌であって、具体的にはミ
クロモノスポラ・グリセオルビダA11725(Mic
romonospora griseorubidaA
11725、FERM BP−3202)等が用いられ
る。
【0010】遺伝子の供与体である微生物に由来するD
NAは次のようにして採取される。例えば、液体培地で
約2−3日間通気培養し、得られる培養物を遠心分離し
て集菌し、次いでこれを溶菌させることによってマイシ
ナマイシンIII−O−メチルトランスフェラーゼ遺伝
子を含有する溶菌物を調製する。溶菌方法としては例え
ばリゾチームやアクロモペプチダーゼ等の細胞壁溶解酵
素による処理が施され、他の酵素やラウリル硫酸ナトリ
ウム等の界面活性剤が併用される。このようにして得ら
れた溶菌物からDNAを分離精製するには、常法に従っ
て、例えばフェノール抽出による除蛋白処理、プロテア
ーゼ処理、リボヌクレアーゼ処理、アルコール沈殿、遠
心分離等の方法を適宜組み合わせることにより行なうこ
とができる。
【0011】抗生物質生産に関与する遺伝子は遺伝子群
を形成していることが知られており、さらには自己耐性
遺伝子の近傍領域に存在することが知られている〔Ma
lpartida、F. et al. 、Natur
e、309、462−464(1984)〕。このため
生合成遺伝子をクローニングするためにはDNA断片を
耐性遺伝子と生合成遺伝子群を同時に含有するためにあ
る程度以上の分子量にする必要がある。そのため適当な
断片化が可能な制限酵素を選ぶことが必要であり、また
反応条件を変化させ部分消化させることによって好まし
いDNA断片を得ることができる。
【0012】得られたDNA断片は、公知の方法(例え
ばアガロース電気泳動およびショ糖密度勾配法)によっ
て分離される。組換えDNAの調製はこの分野における
通常の方法〔例えばManiatis、T. 、et a
l. 、Molecular Cloning、a La
boratory Manual、Cold Spri
ng Harbor Laboratory、New
York(1982)〕に準じて行なわれ、ベクター、
制限酵素等の種類に応じて適当な反応条件が選択され
る。
【0013】本発明においては、ミクロモノスポラ・グ
リセオルビダA11725から得られた染色体DNAを
制限酵素Sau3AIにより部分消化し、約35kbp
−45kbpのDNA断片を分画し回収した。本発明の
宿主微生物としてはエシェリヒア・コリが用いられる。
ベクターとしてはエシェリヒア・コリで複製可能でかつ
選択マーカーを有するプラスミドベクター、コスミドベ
クター等が使用される。本発明ではコスミドベクターp
JB8を用い前述で得られたミクロモノスポラ・グリセ
オルビダA11725染色体DNAをpJB8に結合し
た。結合産物をイン・ビトロ・パッケージング法により
ラムダファージ粒子に挿入し、得られたファージ粒子を
エシェリヒア・コリに形質導入することでミクロモノス
ポラ・グリセオルビダA11725の遺伝子ライブラリ
ーを構築した。
【0014】得られた遺伝子ライブラリーからマイシナ
マイシン耐性遺伝子を含有するDNA断片を有するクロ
ーンを選別することができる。マイシナマイシン耐性遺
伝子としてはすでにmyrBをクローニングしその有用
性が示されているが(特願平5−14649号)、上記
で得られた遺伝子ライブラリーからマイシナマイシン耐
性遺伝子myrBの近傍領域をクローニングすることが
できる。すなわちこのライブラリーにmyrBを含有す
るDNA断片の放射性プローブをハイブリダイズするこ
とにより、myrBの一部または全部を含むDNA領域
を保持するクローンを得ることができる。
【0015】その結果、得られたmyrBを含有するD
NA断片を保持する組換えプラスミドは制限酵素等によ
り適当な欠失を導入されたり、あるいは他のベクターへ
組換えられること(サブクローン化)により小型化する
ことができる。さらにプラスミド上にクローニングされ
たミクロモノスポラ・グリセオルビダ由来の遺伝子はエ
シェリヒア・コリ細胞内においてエシェリヒア・コリの
ベクターに保持されるプロモーター領域を利用し、また
はミクロモノスポラ・グリセオルビダに由来するプロモ
ーターにより発現することが可能である。そこで上記の
ようにして得られた組換えプラスミドによる形質転換体
からマイシナマイシンIII−O−メチルトランスフェ
ラーゼ活性を有するクローンをスクリーニングすること
ができる。
【0016】マイシナマイシンIII−O−メチルトラ
ンスフェラーゼ活性の測定は公知の方法であるマクロシ
ン−O−メチルトランスフェラーゼ活性測定法〔Ant
imicrob. Agents Chemothe
r. ,20、370−377(1981)〕に従い行な
った。本発明において、形質転換体中に発現したマイシ
ナマイシンIII−O−メチルトランスフェラーゼ活性
は菌体を破砕し無細胞抽出液を調製した後、基質である
マイシナマイシンIIIにメチル基供与体であるS−ア
デノシルメチオニンからメチル基を転移する事で生成す
るマイシナマイシンIVを検出することで行なった。マ
イシナマイシンIVの確認は、薄層クロマトグラフィー
法を用いた生物検定や、さらに基質として放射性S−ア
デノシルメチオニンを用いた場合はラジオオートグラフ
ィーによって標品の移動度と比較することで行なった。
また高速液体クロマトグラフィー、融点、紫外吸収スペ
クトル、赤外吸収スペクトル、X線回析、マススペクト
ル等による解析により生成物質が同定される。
【0017】その結果、図5に示されるプラスミドpS
F9302を有する形質転換体にマイシナマイシンII
I−O−メチルトランスフェラーゼ活性が見いだされ
た。さらにプラスミドpSF9302に含有されるDN
A断片を制限酵素を用い小型化し、解析を行なったとこ
ろ、マイシナマイシンIII−O−メチルトランスフェ
ラーゼ活性発現に必要な領域はプラスミドpU8C1F
に含有される、BamHIおよびEcoRIで切り出さ
れる約1. 4kbpのDNA断片上に存在すると特定さ
れた。
【0018】このようにして得られる本発明DNAの塩
基配列はScience、214、1205−1210
(1981)に示されているジデオキシ法で解読し決定
することが出来る。マイシナマイシンIII−O−メチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子をコードするDNAを含有
する約1. 4kbpのDNA断片の塩基配列は、組換え
プラスミドpU8C1Sを移入して得られた形質転換体
エシェリヒア・コリJM109/pU8C1S株<工業
技術院生命工学工業技術研究所・受託番号:FERM
P−13452>を培養して調製した一本鎖DNAを鋳
型として図10、11の通り決定することができる。さ
らに決定されたDNA塩基配列中からオープンリーディ
ングフレームを検索することによりマイシナマイシンI
II−O−メチルトランスフェラーゼ遺伝子の翻訳領域
を図2のように求め、かつこの塩基配列にコードされて
いる酵素のアミノ酸配列を図1に示す。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらによって何ら限定されるもので
はない。
【0020】
【実施例1】 <ミクロモノスポラ・グリセオルビダA11725 由
来ゲノムDNAの調製>ミクロモノスポラ・グリセオル
ビダA11725(FERM BP−3202)を10
mlの172F培地 〔グルコース(和光純薬工業社
製)10g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、可溶性
でんぷん(和光純薬工業社製)10g、カシトン(ディ
フコ社製)5g、MgSO4 ・7H2 O(和光純薬工業
社製)2.5g、およびCa( NO3)2 ・4H2 O(和
光純薬工業社製)2gを蒸留水にて1lとし、pH7.
2に調製したもの、120℃で20分間高圧滅菌する〕
に接種して28℃で2日振騰培養した。次にこの培養液
5mlを50mlの0. 2%のグリシン(和光純薬工業
社製)を含む172F培地に接種して、さらに28℃で
2日間振騰培養した。
【0021】培養菌体を、4℃、3, 000rpmにて
10分間遠心分離し、沈査を0. 3Mシュークロース
(和光純薬工業社製)50mlにて洗浄した。その後、
再び4℃、3, 000rpmにて10分間遠心分離し、
STE緩衝液〔50mMトリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン(以下トリスと略す)塩酸緩衝液(pH8.
0)(シグマ社製)、35mM エチレンジアミン4酢
酸2ナトリウム(EDTA)(和光純薬工業社製)、2
5%シュークロース〕20mlにて懸濁し、最終濃度が
各々リゾチーム(生化学工業社製)2mg/ml、アク
ロモペプチダーゼ(和光純薬社製)1mg/mlになる
ように添加して、37℃にて1時間反応させた。その
後、10%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(和光純
薬工業社製)を2ml添加後、37℃にて5分間放置
し、フェノール・クロロホルム混液〔500mlのクロ
ロホルム(和光純薬工業社製)と500gのフェノール
(和光純薬工業社製)および1.0gの8−ヒドロキシ
キノリン(ナカライテスク社製)をよく混合した後20
0mlの蒸留水を加えて振って得た下層を用いる〕22
mlを加えて攪拌した(以後この操作をフェノール抽出
と言う)。この溶液を、18℃、10, 000rpmに
て10分間遠心分離し、上層を100mlのビーカーに
とり、エタノール44mlを静かに流し入れた。更にこ
の液を、滅菌した細いガラス棒でかきまぜながらクロモ
ゾームDNAを巻き取り、標品であるミクロモノスポラ
・グリセオルビダA11725 のゲノムDNAを得
た。
【0022】得られた染色体DNAをTE緩衝液〔10
mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、1mMのED
TA〕に溶解した。そのDNAの20μgを制限酵素S
au3AI(宝酒造社製)10uで添付のマニュアルに
記載された条件により部分消化した後、シュークロース
密度勾配遠心により35−45kbp長のDNAを分画
し回収した。
【0023】
【実施例2】 <コスミドライブラリーの作成> (1)イン・ビトロ パッケージング 実施例1で得られたSau3AIで部分分解したミクロ
モノスポラ・グリセオルビダA11725のゲノムDN
A10μgをアルカリフォスファターゼ(BAP:宝酒
造社製)〔1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)〕1
0uで65℃、1時間処理して切断末端を脱リン酸化し
た後(以後この操作をBAP処理と言う)、フェノール
抽出を2回繰り返した。18℃、5分間、15, 000
rpmの遠心分離により得られた上層に1/10容の3
M酢酸ナトリウムを加え2倍容のエタノールを加えて混
合し、−110℃にて20分間放置した。4℃、10分
間、15, 000rpmの遠心分離で得られるペレット
を70%エタノールで洗浄し、真空下乾燥した(以後こ
の操作をエタノール沈殿と言う)。また2μgのコスミ
ドpJB8(アマシャムジャパン社製)をそれぞれ別々
のチューブで4uの制限酵素HindIIIまたは4u
の制限酵素SalI(共に宝酒造社製)で添付のマニュ
アルに示された方法で完全に切断し、それぞれを4uの
BAPで処理した。その後、フェノール抽出を2回繰り
返し、遠心分離で得られた水層をエタノール沈殿し切断
されたプラスミド断片を回収した。それぞれの制限酵素
で切断されたプラスミドを4uの制限酵素BamHI
(宝酒造社製)により添付のマニュアルに示された方法
で完全に消化した後、電気泳動によりアガロースゲルか
らそれぞれ約5. 4kbpのHindIII−BamH
I断片および約2. 3kbpのSalI−BamHI断
片を透析チューブ内に溶出した。回収されたDNA断片
を含んだ溶液をフェノール抽出した後にエタノール沈殿
しDNA断片を回収した(以後この操作をアガロースゲ
ルからの回収と言う)。
【0024】このようにして得られた各コスミド断片と
BAP処理したミクロモノスポラ・グリセオルビダゲノ
ムDNAの部分切断断片とを1つの容器に加え、T4D
NAリガーゼ(宝酒造社製)〔66mMトリス−塩酸緩
衝液(pH7.6)、6.6mMのMgCl2 、10m
Mジチオスレイトール、660μMのATP(ベーリン
ガー・マンハイム社製)〕350単位で、最終体積20
μlとして16℃、16時間ライゲーションした(以後
この操作をライゲーションと言う)。
【0025】上記で得られたライゲーション溶液をイン
・ビトロ パッケージングキット(アマシャムジャパン
社製)を用い、添付のマニュアルに従ってパッケージン
グした。 (2)エシェリヒア・コリ DH1への形質導入 エシェリヒア・コリ DH1をL培地〔バクトトリプト
ン(ディフコ社製)10g、酵母エキス5g、NaCl
10gを蒸留水1lに溶解し120℃で20分間高圧滅
菌する〕で37℃、16時間培養した。100μlの培
養液を0. 2%のマルトース(和光純薬工業社製)を含
むL培地10mlに植菌し37℃で4時間振騰培養した
後3, 000rpm、10分間の遠心分離により細胞を
回収し、氷冷した10mMのMgSO4 を5ml加えて
懸濁した。
【0026】この懸濁液600μlに上記で得られたパ
ッケージング溶液の希釈液300μlを混合し、37℃
で15分間静置した。その後10mlのL培地を加えて
37℃で1時間振騰培養した。この培養液の1部をアン
ピシリンナトリウム(和光純薬工業社製)50μg/m
lを含むL培地に塗布し37℃で16時間培養し形質導
入コロニーを多数得た。
【0027】
【実施例3】 <myrBをプローブとしたコロニーハイブリダイゼイ
ション> (1)放射性DNAプローブの作製 myrB遺伝子を含有する約2. 6kbpのDNA断片
を1μgのプラスミドpC24(特願平5−14649
号、FERM−13393として寄託した菌株から常法
により抽出することができる)より制限酵素EcoRI
(宝酒造社製)およびHindIIIで完全に消化する
ことにより切り出した。得られたDNA断片を〔α−32
P〕dCTP(110TBq/mmol、3,000C
i/mmol、0. 37MBq/μl)(アマシャムジ
ャパン社製)とランダムプライマーラベリングキット
(宝酒造社製)を用い、添付のマニュアルに従って放射
性プローブを得た。すなわち、2本鎖DNAを熱処理に
より変性させ、数種の非特異的オリゴヌクレオチドとア
ニーリングさせた後、〔α−32P〕dCTP存在下でK
lenow FragmentによりDNA合成反応を
行なわせることで放射活性を有するmyrBを含むDN
A断片を合成した。
【0028】 (2)myrB遺伝子含有クローンのスクリーニング 実施例2により得たコスミドライブラリーを、ナイロン
メンブレンフィルター( アマシャムジャパン社製、Hy
bond−N+)にレプリカし、このフィルターを別の
50μg/mlのアンピシリンを含有するL平板寒天培
地上に、コロニーの付着した面が上になるように重ね、
37℃で16時間培養した。培養後、このフィルターを
アルカリ変性溶液〔0. 5NのNaOH、1. 5MのN
aCl〕で湿らせた濾紙の上にコロニー面が上になるよ
うに重ね5分間静置した。次にこのフィルターを中和溶
液〔0. 5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7. 2)、0.
001MのEDTA、1. 5MのNaCl〕で湿らせた
濾紙上に移し5分間静置した。この操作を再度繰り返し
た後に2×SSPEで湿らせた濾紙上に移し、5分間静
置した後フィルターを自然乾燥した。このフィルターを
ハイブリダイゼーション溶液〔5×SSPE、5×De
nhart’s溶液、0. 5%SDS、100μg/m
lのサケ精子DNA〔ファルマシア社製、使用直前に1
0mg/mlのストック溶液を100℃、10分間加温
し、直ちに氷で急冷し変性させた〕に浸し、65℃で1
2時間保温した。ただし上記の溶液は以下の保存溶液を
希釈して用いた。 20×SSPE:3. 6MのNaCl、0. 2Mのリン
酸緩衝液(pH7. 7)、0. 02MのEDTA 100×Denhardt’s溶液:2% (W/V)
フィコール(分子量400,000、ファルマシア社
製)、2% (W/V)ポリビニルピロリドン(分子量
360,000)、2% (W/V)牛血清アルブミン
(ベーリンガー・マンハイム社製) 保温後、上記で調製された放射性DNAプローブを加
え、65℃で12時間ハイブリダイゼーションを行っ
た。
【0029】ハイブリダイゼーションの後、フィルター
を室温で洗浄液1〔2×SSPE、0. 1%SDS〕を
用いて10分間ずつ2回洗った。さらに洗浄液2〔1×
SSPE、0.1%SDS〕で10分間ずつ2回洗浄し
た後フィルターを自然乾燥した。乾燥したフィルターを
X線フィルム(富士写真フィルム社製、NewRXO−
H)に重ね、遮光下、−70℃で24時間オートラジオ
グラフィーを行った。オートラジオグラフィー終了後、
フィルムを現像し、ポジティブシグナルを示すコロニー
を複数取得した。そのうちの1クローンが保持するプラ
スミドpCMB20について制限酵素切断により解析
し、図3に示した。
【0030】
【実施例4】 <プラスミドpSF9301、pSF9302の構築>
抗生物質生合成遺伝子は自己耐性遺伝子の近傍に存在し
ている事が知られているため耐性遺伝子myrBを含有
し制限酵素SacIで切り出される約8.6kbpのD
NA断片上にマイシナマイシンIII−O−メチルトラ
ンスフェラーゼ遺伝子が存在するかを検討した。
【0031】2μgのプラスミドpCMB20を4uの
制限酵素SacIで完全に消化した後にアガロースゲル
より約8. 6kbpのDNA断片を回収した。一方1μ
gのプラスミドpUC119を2uの制限酵素SacI
で完全に消化した後にフェノール抽出し遠心分離により
得られた水層から切断されたpUC119を回収した。
得られたpUC119切断物と上記で得た約8. 6kb
pのDNA断片を混合しライゲーションした後に、重定
らの方法〔細胞工学2、616−626(1983)〕
によってコンピテントセルとしたエシェリヒア・コリ
JM109を形質転換し図4、5に示すそれぞれ断片の
挿入方向の違うプラスミドpSF9301,pSF93
02(それぞれ約11.8kbp)を構築した。
【0032】
【実施例5】 <pSF9301、pSF9302による形質転換株の
マイシナマイシンIII−O−メチルトランスフェラー
ゼ活性の測定> (1)無細胞抽出液の調製 実施例4で得られたプラスミドpSF9301、pSF
9302による形質転換体をアンピシリン50μg/m
lを含む10mlのL培地で37℃、14時間生育させ
た。この前培養液0. 2mlを50μg/mlのアンピ
シリン、50μg/mlのイソプロピル−β−D- チオ
- ガラクトピラノシド(和光純薬工業社製)を含む10
mlの同じ培地に接種し37℃で6時間培養した。培養
菌液から遠心分離により菌体を回収し、T15緩衝液
〔50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)、5mM
のEDTA、15%グリセロール、2mMの2−メルカ
プトエタノール、1μg/mlロイペプチン(シグマ社
製)、1μg/mlペプスタチンA(シグマ社製)〕で
洗浄した後に同じ緩衝液で懸濁した。この菌懸濁液を超
音波破砕機により氷冷下で処理し菌体を破砕した。得ら
れた破砕液を15, 000rpmの遠心分離により菌体
破砕物を除去し上清を無細胞抽出液(1mg/ml蛋白
質)とした。
【0033】(2)マイシナマイシンIII−O−メチ
ルトランスフェラーゼ活性の検出 上記で得られた無細胞抽出液100μlを100μlの
OMT溶液〔50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
2)、40mMのMgSO4 ・7H2 O、15%グリセ
ロール、20mMジチオスレイトール、50μMのS−
アデノシル−L−(メチル− 3H)−メチオニン(1
8. 5GBq/mmol、37MBq/ml、アマシャ
ムジャパン社製)、100μg/mlマイシナマイシン
III〕と混合した。30℃、15分間保温した後に3
5%ホルムアルデヒド溶液を50μl加えることで反応
を停止した。さらに40μlの6NのNaOHを添加し
た後400μlの酢酸エチルを加え、激しく混合した。
その後遠心分離により得られた酢酸エチル層を回収し、
その内の100μlを5mlの液体シンチレーター(ア
トムライト:NEN社製)に添加し、シンチレーション
カウンター(LSC−700:アロカ社製)でマイシナ
マイシンIIIに取り込まれた 3H放射活性を測定し
た。
【0034】(3)マイシナマイシンIVの同定 上記で 3Hの取り込みの認められたサンプルの酢酸エチ
ル層についてさらに解析し、マイシナマイシンIVの生
成を確認した。酢酸エチル層100μl分をシリカゲル
薄層プレート(60F254:メルク社製)に保持さ
せ、クロロフォルム:メタノール:アンモニア水=15
0:10:1の組成の移動相で展開した。約15cm展
開した後に風乾し各サンンプルのレーン毎に切り離し
た。さらにこのプレートを10mm×5mmの大きさに
切断し、それぞれをバイアル瓶に入れた。メタノール1
mlで薄層プレートからマイシナマイシンを溶出した後
アトムライト5mlを加え、シンチレーションカウンタ
ーで放射活性を測定し、放射活性を示す物質のRf値を
求めた。
【0035】また同じ薄層プレート上に標品のマイシナ
マイシンIVを保持させ、同様に展開、風乾した後に5
0%硫酸を噴霧し加熱することで呈色するマイシナマイ
シンIVのスポットを検出した。標品マイシナマイシン
IVのRf値と上記で得られた放射性マイシナマイシン
IVのRf値を比較することでマイシナマイシンIVを
同定した。
【0036】その結果、表1に示す通り、プラスミドp
SF9302による形質転換体がマイシナマイシンII
I−O−メチルトランスフェラーゼ活性を有しており、
pSF9301による形質転換体は活性を有していなか
った。この結果はマイシナマイシンIII−O−メチル
トランスフェラーゼをエシェリヒア・コリにおいて発現
するためにはベクターに由来するプロモーターを必要と
することを示しているため、以後の組換えプラスミド構
築はベクターに対する方向性を考慮して行なった。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例6】 <マイシナマイシンIII−O−メチルトランスフェラ
ーゼ領域の特定−1>実施例5で示したようにマイシナ
マイシンIII−O−メチルトランスフェラーゼ領域は
プラスミドpSF9302に含有されるDNA断片上に
存在することが明かと成ったため、この活性発現に必要
な領域をさらに限定した。 (1)pCMBC1Hの構築 実施例3で得られた1μgプラスミドpCMB20を2
uの制限酵素ClaI(宝酒造社製)で添付のマニュア
ルの方法に従い完全に消化した後約20kbpのDNA
断片をアガロースゲルから回収した。得られたDNA断
片溶液をフェノール抽出した後に遠心分離して得られた
水層からエタノール沈殿によりDNA断片を回収した。
この沈渣を10μlのポリメラーゼバッファー〔67m
Mトリス−塩酸緩衝液(pH8. 8)、6. 7mMのM
gCl2 、16. 6mMの(NH 4 2 SO4 、10m
Mジチオスレイトール 、6. 7μMのEDTA、0.
0167%牛血清アルブミン、330μMのそれぞれd
ATP、dCTP、dGTP、TTP(シグマ社製)〕
に懸濁しT4DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)2uを
加え、37℃、30分間保温した。この反応液をフェノ
ール抽出した後にエタノール沈殿し、制限酵素処理で生
じた突出末端が埋められ平滑末端と成ったDNA断片を
回収した。
【0039】上記で得られた沈渣を1μgのHindI
IIリンカー〔d(pCAAGCTTG)〕(宝酒造社
製)を含むライゲーション溶液に溶解し、ライゲーショ
ンした。このライゲーション反応溶液をHindIII
で消化した後に末端がHindIII末端となった約2
0kbpのDNA断片をアガロースから回収した。一
方、1μgのプラスミドpTYS507(特願平5−4
3617号、プラスミドpTYS507を保持した菌株
はFERM P−13454として寄託されている)を
2uの制限酵素HindIIIで切断した後にBAP処
理した。この溶液をフェノール抽出した後に遠心分離し
て得られた上層からエタノール沈殿により切断されたp
TYS507を回収した。得られたプラスミド切断物と
アガロースから回収した末端をHindIII末端に改
変したClaI断片をライゲーションした後、実施例2
に示した方法でエシェリヒア・コリ JM109に形質
導入した。得られたアンピシリン耐性菌はプラスミドp
CMB20のClaI切断末端がHindIIIと成っ
たDNA断片を含有する図6に示すプラスミドpCMB
C1H(約44kbp)を有していた。さらに詳細な解
析の結果、得られたプラスミドが含有するDNA断片は
若干の欠失が起こっており、目的としたDNA断片より
も図3における挿入断片内のHindIII部位側が約
5kbp程短いものであった。
【0040】(2)プラスミドpCMBC1Sの構築 プラスミドpCMBC1Hを制限酵素EcoRIで完全
に消化し、コスミドベクターが内部に含まれる約32.
5kbpのDNA断片をアガロースゲルから回収した。
このDNA断片をライゲーション後エシェリヒア・コリ
JM109を形質転換しpCMBC1HからEcoR
I断片の欠失した、約3. 3kbpのDNA断片を有す
る図7に示すプラスミドpCMBC1S(約32. 5k
bp)を構築した。
【0041】(3)プラスミドpU8C1S、プラスミ
ドpU8C1GH、プラスミドpU8C1Fの構築 プラスミドpCMBC1Sを制限酵素EcoRIおよび
HindIIIで完全に消化し、アガロースゲルから約
3. 3kbpのDNA断片を回収した。一方プラスミド
pUC118を同様に制限酵素EcoRIおよびHin
dIIIで完全に切断した。その後、上記で得られた約
3. 3kbpのDNA断片と完全に切断したpUC11
8をライゲーションし、そのライゲーション溶液でエシ
ェリヒア・コリ JM109を形質転換して図8に示す
プラスミドpU8C1S(約6.5kbp、FERM
P−13452)を構築した。
【0042】またプラスミドpU8C1Sでエシェリヒ
ア・コリ JM110を形質転換し、得られた形質転換
体からプラスミドを調製した。得られたプラスミドpC
MBC1Sを制限酵素HindIIIおよびFbaIで
完全に消化し、アガロースゲルから約2. 7kbpのD
NA断片を回収した。一方プラスミドpUC118を制
限酵素BamHIおよびHindIIIで完全に消化し
た後反応液をフェノール抽出した。遠心分離により得ら
れた水層からエタノール沈殿により切断したpUC11
8を回収した。上記で回収された約2. 7kbpのDN
A断片と完全に消化したpUC118をライゲーション
した。そのライゲーション溶液によりエシェリヒア・コ
リ JM109を形質転換し図9に示すプラスミドpU
8C1GH(約5. 9kbp)を得た。
【0043】またプラスミドpU8C1Sを制限酵素E
coRIおよびBamHIで完全に消化し、アガロース
ゲルから約1. 4kbpのDNA断片を回収した。一方
プラスミドpUC118を制限酵素BamHIおよびE
coRIで完全に消化した後反応液をフェノール抽出し
た。遠心分離により得られた水層からエタノール沈殿に
より切断したpUC118を回収した。上記で回収され
た約1. 4kbpのDNA断片と完全に消化したpUC
118をライゲーションした。そのライゲーション溶液
によりエシェリヒア・コリ JM109を形質転換しプ
ラスミドpU8C1F(約4. 6kbp)を得た。
【0044】上記で得られたそれぞれプラスミドpU8
C1S、pU8C1GH、pU8C1Fを有する形質転
換体を実施例5に示した方法によりマイシナマイシンI
II−O−メチルトランスフェラーゼ活性を測定したと
ころプラスミドpU8C1SおよびプラスミドpU8C
1Fを有する形質転換体はマイシナマイシンIII−O
−メチルトランスフェラーゼ活性を有していたがプラス
ミドpU8C1GHによる形質転換体には活性はなかっ
た。
【0045】
【実施例7】 <マイシナマイシンIII−O−メチルトランスフェラ
ーゼ遺伝子の塩基配列の決定>実施例6に示した様にマ
イシナマイシンIII−O−メチルトランスフェラーゼ
遺伝子はプラスミドpU8C1Fに含有される約1. 4
kbpのDNA断片上にコードされることが明かとなっ
た為この領域の塩基配列を決定した。実施例6で得られ
たプラスミドpU8C1SおよびプラスミドpU8C1
Sと同様のフラグメントを有しマルチクローニングサイ
トに対する方向性のみ異なるプラスミドpU9C1S
(約6. 5kbp)を、ベクタ−としてpUC119を
用いるほかは、実質的にpU8C1Sの構築法と同様に
して構築した。これらのプラスミドによる形質転換体を
ビエイラらの方法〔Vieira、J.and Mes
sing、J.、 Methods in Enzym
ology、153、3−11(1987)〕に従って
培養し、1本鎖DNAを調製してシークエンス用鋳型と
して用いた。さらにこれら鋳型一本鎖DNAの塩基配列
情報をもとに新たな17塩基残基からなり鋳型一本鎖D
NAに相補的なオリゴヌクレオチドを合成し、シークエ
ンスのプライマーとして使用した。プライマー用オリゴ
ヌクレオチドはアール・エル・レッシンジャーらの方法
〔R.L.Letsinger、W.B.Lursfo
rd、Journal Am.Chem.Societ
y、98、3655(1976)〕に基づきDNAシン
セサイザー(ベックマン社製:Beckman Sys
tem1 plus)を用い作製した。
【0046】DNAシークエンスの方法は基本的にはサ
ンガーのdideoxy鎖末端法〔Sanger、F.
et al. 、Proceeding of Nati
onal Academy of Science
U.S.A.、74、5463−5467(197
7)〕に従い、Bca−BESTシークエンスキット
(宝酒造社製) 及び〔α−32P〕dCTPを用い、添付
のマニュアルの方法により決定した。決定したDNA配
列を図10、11に示す。その塩基配列についてビブら
の報告〔M.J.Bibb et al. 、Gene、
30、157−166(1984)〕に従って検討した
結果、オープンリーディングフレームが存在することが
明かとなった。決定したオープンリーディングフレーム
を含むDNA断片の塩基配列を図12、13に示した。
さらにこの結果により、マイシナマイシンIII−O−
メチルトランスフェラーゼ遺伝子として決定された塩基
配列を図2に示し、その塩基配列がコードするアミノ酸
配列を図1に示した。
【0047】
【発明の効果】本発明のマイシナマイシンIII−O−
メチルトランスフェラーゼ遺伝子はこの遺伝子をベクタ
ープラスミド上にクローニングすることにより、このク
ローニングベクター系を用いてマイシナマイシンII生
産菌に遺伝子導入することができる。本遺伝子を導入さ
れた菌株は本酵素活性の上昇によりそのマイシナマイシ
ン生産力価を上昇することが期待される。また本遺伝子
をストレプトマイセス属に属するマクロライド抗生物質
生産菌に導入することにより、従来生産菌が生産し得な
かった新規のマクロライド抗生物質を生産する新種放線
菌の育種を可能とする。さらに本遺伝子をDNAプロー
ブとして使用することにより、各種微生物から同様の酵
素活性を有する酵素に対する遺伝子をクローニングする
ことができる。また遺伝子クラスターをなしている抗生
物質生合成遺伝子中の類似遺伝子をクローニングするこ
とにより、そのクラスター中に含まれる新規遺伝子をク
ローニングすることができる等既知物質の収量の増大、
並びに新規抗生物質および抗生物質誘導体の開発を目的
とする多くの有用な用途を提供する。
【0048】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1372 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 起源 生物名:ミクロモノスポラ グリセオルビダ(Micr
omonosporagriseorubida) 株名A11725 配列の特徴 467−1225 配列 GAATTCTGAC GGGAAGTATT GCATCGACAG GAATCACATA GCAACAGTGT GGTTTGGATC 60 ACACCCGGGT GTGTGATCTC AACCGGAGAA CGCCCTGTAC GCAGACAGGA CTAAGACGTC 120 CATCGCCACC CGCATCCGCA TACAACACTG CATTGGGATA TGTCAATATG TTGAAACATG 180 TTTGAAGAAA CGCCCCCACC GTTGGACGAC CACCTCGGCC CCGGGGTAGG CTCGCGTGAT 240 GCCCGACACG GCGACGAATA GACGGACACA TCCTGCGATG TTCCCGAAAC TCGTCGAGTG 300 TCGCCGCTGA GCTGTGCAGA CAACGTGGCT GCGAAACCGA TGCGGTGATG TTTCTCGGGG 360 TTCAGCGCAT CCAGGACCGG AGTCGTGTCC CCGGTCAACC CGGACGCAAC AGGGCAACGG 420 CCGCAGCCTG AGTCGCCCAC CAGGCAAGGA GGTATTTCTG CCC ATG AGC CCG TCG 475 Ser Pro Ser 1 ACC GGA GTG GAA CTC TAC CTG GAC CTG CTG AAG AGA ACG GTC TCG AAC 523 Thr Gly Val Glu Leu Tyr Leu Asp Leu Leu Lys Arg Thr Val Ser Asn 5 10 15 TTC ATC TAC CAG GAC GCC ACT CAC GTG GCC GGC CTG ATC ACC GAG GCC 571 Phe Ile Tyr Gln Asp Ala Thr His Val Ala Gly Leu Ile Thr Glu Ala 20 25 30 35 GCG TTC GTC GAA GAG GCC AGG GAG TCG GGC GAG GAT TAT CCG ACC GTG 619 Ala Phe Val Glu Glu Ala Arg Glu Ser Gly Glu Asp Tyr Pro Thr Val 40 45 50 GCG CAC ACC ATG ATC GGA ATG AAA CGG CTG AAC AAC CTC CAA CAC TGC 667 Ala His Thr Met Ile Gly Met Lys Arg Leu Asn Asn Leu Gln His Cys 55 60 65 GTC GAA AGC GCC CTG CGG GAC GGC GTT CCC GGC GAC GTG CTG GAG ACC 715 Val Glu Ser Ala Leu Arg Asp Gly Val Pro Gly Asp Val Leu Glu Thr 70 75 80 85 GGC GTC TGG CGG GGC GGG GCC TGC ATC TTC GCC CGC GGC ATC CTC AAG 763 Gly Val Trp Arg Gly Gly Ala Cys Ile Phe Ala Arg Gly Ile Leu Lys 90 95 100 GCG TAC GAC GTC CGT GAC CGG ACG GTG TGG GTC GCC GAC TCG TTC CAG 811 Ala Tyr Asp Val Arg Asp Arg Thr Val Trp Val Ala Asp Ser Phe Gln 105 110 120 GGC TTC CCG AAG ATC ACC GAC GAC GAC CAC CCG ATG GAC GCG GAG ATG 859 Gly Phe Pro Lys Ile Thr Asp Asp Asp His Pro Met Asp Ala Glu Met 125 130 135 AAC CTC CAC CAG TAC AAC GAG GCG GTC GAT CTG CCG ACC AGC CTG GCT 907 Asn Leu His Gln Tyr Asn Glu Ala Val Asp Leu Pro Thr Ser Leu Ala 140 145 150 ACC GTC CAG CGG AAC TTC AGC CGC TAC GGT CTC CTC GAC GAC CAG GTG 955 Thr Val Gln Arg Asn Phe Ser Arg Tyr Gly Leu Leu Asp Asp Gln Val 155 160 165 170 CGG TTC CTG CCC GGC TGG TTC AAG GAC ACC ATG CCC ACC GCG CCG TTC 1003 Arg Phe Leu Pro Gly Trp Phe Lys Asp Thr Met Pro Thr Ala Pro Phe 175 180 185 GAA CGG CTC GCG GTA CTC CGG ATG GAC GGC GAC TCC TAC GGC GCC ACC 1051 Glu Arg Leu Ala Val Leu Arg Met Asp Gly Asp Ser Tyr Gly Ala Thr 190 195 200 ATG GAC GTG CTC ACC CAC GCC TAC CCG AGA CTG TCC CCC GGC GGT TTC 1099 Met Asp Val Leu Thr His Ala Tyr Pro Arg Leu Ser Pro Gly Gly Phe 205 210 215 GCG ATC ATC GAC GAC TAC TGC ATC CCC GCC TGC CGG GAG GCC GTC CAC 1147 Ala Ile Ile Asp Asp Tyr Cys Ile Pro Ala Cys Arg Glu Ala Val His 220 225 230 GAG TAC CGT GAC CGG CAC GGC ATC TCC GAC GAG ATC GTC GAG ATC GAC 1195 Glu Tyr Arg Asp Arg His Gly Ile Ser Asp Glu Ile Val Glu Ile Asp 235 240 245 250 CGG CAG GGT GTC TAC TGG CGT CGC TCG GCC TGACGTTCCC GGTCCACTGC 1245 Arg Gln Gly Val Tyr Trp Arg Arg Ser Ala 255 260 CGGCGGTCGG GTCGATCCGG CCCGACCACC GGCGCCTGTC ACCACACGAC CGGCAGCTCG 1305 AGTGGGCCAC GCAGCAACAT CCCTTCGCTC CACCGCAGCT GCGTCTCGGG AATCCCCAGC 1365 CGGATCC 1372
【図面の簡単な説明】
【図1】マイシナマイシンIII−O−メチルトランス
フェラーゼ遺伝子のコードするアミノ酸配列を示す図で
ある。
【図2】マイシナマイシンIII−O−メチルトランス
フェラーゼ遺伝子の塩基配列を示す図である。
【図3】プラスミドpCMB20の制限酵素切断点およ
び機能地図を示す図である。
【図4】プラスミドpSF9301の制限酵素切断点お
よび機能地図を示す図である。
【図5】プラスミドpSF9302の制限酵素切断点お
よび機能地図を示す図である。
【図6】プラスミドpCMBC1Hの制限酵素切断点お
よび機能地図を示す図である。
【図7】プラスミドpCMBC1Sの制限酵素切断点お
よび機能地図を示す図である。
【図8】プラスミドpU8C1Sの制限酵素切断点およ
び機能地図を示す図である。
【図9】プラスミドpU8C1GHの制限酵素切断点お
よび機能地図を示す図である。
【図10】プラスミドpU8C1Fの制限酵素切断点お
よび機能地図を示す図である。
【図11】プラスミドpU9C1Sの制限酵素切断点お
よび機能地図を示す図である。
【図12】マイシナマイシンIII−O−メチルトラン
スフェラーゼ遺伝子を含有するDNA断片の塩基配列を
示す図である。
【図13】マイシナマイシンIII−O−メチルトラン
スフェラーゼ遺伝子を含有するDNA断片の図12に続
く塩基配列を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 15/54 C12R 1:29) (C12P 19/62 C12R 1:465) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/10 C12R 1:19)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも図1に示すアミノ酸配列をコ
    ードするDNA。
  2. 【請求項2】 請求項1のアミノ酸配列をコードするD
    NAが図2で示される請求項第1項のDNA。
  3. 【請求項3】 請求項第1項記載のDNA配列を含有す
    る組換えプラスミド。
  4. 【請求項4】 組換えプラスミドがプラスミドpU8C
    1Sである請求項3記載の組換えプラスミド。
JP5051688A 1993-03-12 1993-03-12 マクロライド抗生物質の生合成遺伝子を含有するdna Withdrawn JPH06261765A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6495348B1 (en) 1993-10-07 2002-12-17 Regents Of The University Of Minnesota Mitomycin biosynthetic gene cluster
US6600029B1 (en) 1995-12-19 2003-07-29 Regents Of The University Of Minnesota Metabolic engineering of polyhydroxyalkanoate monomer synthases

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US6495348B1 (en) 1993-10-07 2002-12-17 Regents Of The University Of Minnesota Mitomycin biosynthetic gene cluster
US6600029B1 (en) 1995-12-19 2003-07-29 Regents Of The University Of Minnesota Metabolic engineering of polyhydroxyalkanoate monomer synthases

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