JPH06259716A - 磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ギャップを形成する２つのコアを組合せて一
体化する接着部分を改良することで、最終的なギャップ
長さおよびギャップ深さを高精度に仕上げる。 【構成】 ２つのコア１，２をギャップスペーサとなる
薄膜層３を挟んで組合せるとともに、その２つのコア
１，２におけるギャップ部Ｇの奥方部分に２液性のエポ
キシ系接着剤４を添付し、この接着剤４によってコア１
と２を一体的に接合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はフロッピーディスク装
置などに用いられる磁気ヘッドに関し、特に、磁気ギャ
ップを形成する２つのコアの接合技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】フロッピーディスク装置用の磁気ヘッド
コアの従来の代表的な製造工程を図１〜図５に示してい
る。まず図１に示すように、長方形の平板部の片面側の
両側部にその長辺に沿った２本の凸条部１２と１３を一
体に形成した凸付きコア素材１０を設ける。一方の凸条
部１２はギャップ内側斜面１２ａを伴ったギャップ形成
用凸条部であり、他方の凸条部１３は以下に説明するよ
うに機能する支え用凸条部である。

【０００３】次に図２に示すように、凸付きコア素材１
０の２本の凸条部１２と１３のそれぞれの頂面に厚さが
精密に制御された薄膜層１４を形成する。薄膜層１４
は、ギャップ長さを決定するスペーサであり、例えば二
酸化ケイ素をスパッタリングして凸条部１２と１３の表
面に一定厚さの膜状に形成したものである。

【０００４】次に図３に示すように、凸付きコア素材１
０に別の平板型コア素材２０を組み合わせて、２つの凸
条部１２と１３の前記薄膜層１４の面に平板型コア素材
２０を密着させる。その組合せ状態において、ギャップ
形成用凸条部１２と平板型コア素材２０の接合部との隙
間と、支え用凸条部１３と平板型コア素材２０の接合部
の隙間にそれぞれ溶融したボンディングガラス３０を流
し込み、このボンディングガラス３０で２つのコア素材
１０と２０を接着する。

【０００５】図３のようにボンディングガラス３０によ
って一体化したコア素材１０と２０に対し、支え用凸条
部１３を研削盤で切除するとともに、図３の２点鎖線Ｘ
の位置から下方の部分を研削盤により切除する。この切
除工程を経た加工品を図４に示している。ここでギャッ
プ形成用凸条部１２の切除されずに残った部分と平板型
コア素材２０の接合面が磁気ギャップＧである。ギャッ
プＧの長さ（凸条部１２とコア素材２０とのボンディン
グガラス３０を挾んだ微小間隔）が前述の薄膜層１４の
厚みによって規定される。

【０００６】図４に示す加工部品を図５のように薄くス
ライスし、そのスライスしたもののコア素材１０の部分
にリード／ライト用のコイル５０を装着するとともに、
分離されていたコア素材１０と２０の後端間にヨークで
あるバックバー４０を接合する。これがフロッピーディ
スク装置用磁気ヘッドの裸の状態の原理的な構成であ
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来方法によ
り製作された図５に示す磁気ヘッドコアのギャップＧの
部分の拡大図を図６に示している。図６において、Ｌは
ギャップ長、Ｄはギャップ深さである。ギャップ長Ｌお
よびギャップ深さＤはヘッドの特性を決定する極めて重
要なパラメータであり、これを設計通りに精密に仕上げ
ることが大切である。

【０００８】図６に示すように、従来方法ではコア素材
１０と２０をボンディングガラス３０で接着する際に、
凸条部１２の内側斜面１２ａからギャップＧの部分に溶
融したボンディングガラス３０を流し込む。このボンデ
ィング工程において、コア素材１０のギャップ内側角部
１２ｂ（ギャップ内側斜面１２ａとギャップ形成面との
角部）がボンディングガラス３０との化学反応によって
変質したり削り取られたりする。このような化学反応は
フェライトとボンディングガラスの間で特に顕著であ
る。ボンディング工程の前までは凸条部１２のギャップ
形成面およびギャップ内側斜面１２ａともに平滑に研削
仕上されていて、ギャップ内側角部１２ｂは図６の破線
で示すように明確な稜線を形成している。この角部１２
ｂがボンディング工程で実線で示すように不定形に丸く
削り取られて変質してしまう。そのため実効的なギャッ
プ深さＤが規定値より小さくなり、実効的なギャップ長
さＬが規定値より大きくなる。しかも、これらの誤差の
バラツキは大きい。

【０００９】この発明は前述した従来の問題点に鑑みな
されたもので、その目的は、ギャップを形成する２つの
コアを組合せて一体化する接着部分を改良することで、
最終的なギャップ長さおよびギャップ深さを高精度に仕
上げることができるようにした磁気ヘッドを提供するこ
とにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】そこでこの発明では、２
つのコアをギャップスペーサとなる薄膜層を挟んで組合
せるとともに、その２つのコアにおけるギャップ部の奥
方部分に２液性のエポキシ系接着剤を添付し、この接着
剤によって前記２つのコアを一体的に接合するようにし
た。

【００１１】

【作用】高温の熱処理を伴うボンディングガラスによる
接合方法と異なり、２液性のエポキシ系接着剤では接着
工程を大幅に低温化することができ、接着剤とコアとの
間の有害な化学反応も起きない。

【００１２】

【実施例】図７はこの発明の一実施例による磁気ヘッド
のコア構造の主要部を示すものであり、これはＩ字型の
フェライトコア１とＪ字型のフェライトコア２とを組合
せたものである。コア１とコア２の接合部分が磁気ギャ
ップ部Ｇであり、両コアの間には両コアの少なくとも一
方に予め形成された薄膜層（ギャップスペーサ）３が挟
み込まれている。コア１とコア２とは、ギャップ部Ｇの
奥方に添付された接着剤４によって一体的に接合されて
いる。この接着剤４は２液性のエポキシ系接着剤であ
る。この磁気ヘッドのコア部分の製造方法の基本的な手
順は図１〜図５で説明した従来方法と同様であるが、従
来方法におけるボンディングガラス３０によるコア接合
工程が、本発明では２液性エポキシ系接着剤４による接
着工程に置換される。

【００１３】コア１と２を接合するための接着剤４を選
定する上で考慮すべきことは、硬化条件、硬化前の粘
度、硬化後の硬度、熱膨張係数、耐溶剤性などである。
硬化条件としては１００℃程度の温度で硬化するものが
望ましい。粘度は接着作業性に影響する。硬度は必要な
接着強度が得られるか否かで決まる。熱膨張係数はフェ
ライトコア１及びフェライトコア２に使用されるフェラ
イト材料の熱膨張係数に近い方が良い。接着工程の後で
何回か溶剤を用いた洗浄工程があるが、その溶剤に対し
て接着剤４が変質しないものを選ぶ。このような観点で
選定した接着剤は、エポキシ樹脂を主剤とし、硬化剤に
変性芳香族アミンを使用する２液性エポキシ系接着剤で
ある。この接着剤を６５〜１００℃程度の温度で加熱硬
化させるのが好適である。

【００１４】例えば、三京化成株式会社製のスタイキャ
スト（ＳＴＹＣＡＳＴ）２０５７や２６５１−４０ある
いは２６５１−ＭＭなどの製品が好適であった。

【００１５】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明で
は、従来のガラスボンディングに代えて、２液性エポキ
シ系接着剤を２つのコアのギャップ奥方部分に添付して
両コアを一体的に接着したので、ガラスボンディング工
程における高温下での化学反応によってギャップ部のコ
アが局部的に削り取られたり変質するという問題を完全
に避けることができ、ギャップ部の寸法精度の高い高性
能な磁気ヘッドを能率よく安価に量産することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の磁気ヘッドコアの製造工程図その１であ
る。

【図２】従来の磁気ヘッドコアの製造工程図その２であ
る。

【図３】従来の磁気ヘッドコアの製造工程図その３であ
る。

【図４】従来の磁気ヘッドコアの製造工程図その４であ
る。

【図５】従来の磁気ヘッドコアの製造工程図その５であ
る。

【図６】従来の問題点を示すギャップ部分の拡大図であ
る。

【図７】この発明の一実施例による磁気ヘッドのコア構
造の要部を示す概略図である。

【符号の説明】

１ コア ２ コア ３ 薄膜層（ギャップスペーサ） ４ 接着剤 Ｇ ギャップ部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ギャップスペーサとなる薄膜層を挟んで
   ２つのコアが組合されるとともに、その２つのコアにお
   けるギャップ部の奥方部分に２液性のエポキシ系接着剤
   が添付され、この接着剤によって前記２つのコアが一体
   的に接合されていることを特徴とする磁気ヘッド。