JPH06257263A - 表装用化粧シートとその施工方法及び建築物の表装構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工性が良く、工期の短縮化を可能にし、デ
ザイン的に優れた表装用化粧シートを提供すること。 【構成】 方形の可撓性シート２の表面に化粧主材層３
を設け、化粧主材層３の表面の隣接する２辺に沿って薄
肉の段部５を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物の内外壁及び天
井等に装着される表装用化粧シートとその施工方法及び
表装構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、建築用仕上げ材に対する要求は高
級化、多様化の一途を辿り、磁器タイルや石材貼りが多
く用いられるようになってきており、仕上げ塗り材に対
しても同様に高級感が求められ、石材調の仕上げ塗り材
が多数商品化されている。一方、最近では、タイル張
り、石張り等の技能工の不足、高齢化が進んでおり、ま
た、施主からの工期短縮への要望も年々高まっており、
その上、タイル、大理石などの剥落防止に対する要請は
さらに強いものがある。

【０００３】このような事情から、建築現場では従来の
湿式タイプの仕上げ材から、施工性、品質及び安全管
理、工期の短縮化、近隣への環境問題などの多くの面で
優れた乾式タイプの仕上げ材への移行が進んでいる。

【０００４】この乾式化の一環として、例えば特開昭１
−１３９２５２号のもののように、表面にブリック調模
様、スタッコ調模様、目地付け模様などを施した化粧シ
ートが提案され、また、建築物の外壁面、内壁面、床面
等へ適用可能な可撓性を有する矩形の表装材として、表
側に天然石、着色骨材と合成樹脂による成形物、基材部
状への塗料による塗膜あるいは金属面板又はその加工物
からなる化粧材部を有し、その裏面に前記化粧材と比べ
たとき、隣接する２辺のみ目地兼用の重ね代部分のため
の余分の広さを持ち、不織布、ガラスクロス、合成紙な
どからなる基材部を備え、さらに重ね代とならない基材
部の他の２辺裏面に、重ね代よりも狭い幅でアクリルゴ
ム又は非加硫ブチルゴムにより粘着される粘着剤部が設
けられ、粘着剤部の下面に離型紙部を設け、重ね代に目
地幅を開けながら、または目地をとらず、離型紙で保護
された粘着剤部を重ねながら接着させた後に離型紙を剥
がして重ね合わせ部分を接着させる表装材とその仕上げ
方法が特開昭４−８５４４７号として提案されている。

【０００５】しかし、これらのものは美観性、防水性、
軽量性、耐候性、柔軟性及び加工性に優れている半面、
目地部分を形成しようとすると位置合わせなどが面倒
で、繁雑な施工工程があるため、工期の短縮化に限界が
あった。

【０００６】

【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、上記従来の
化粧シートの長所を損なうこと無く、更に施工性を向上
させ、工期の短縮化を可能にし、デザイン的にも優れた
表装用化粧シートを提供することにある。また、本発明
の第２の目的は、位置合わせが容易で、作業効率の良い
表装用化粧シートの施工方法を提供することにあり、第
３の目的は、防水性能に優れ、施工が簡単で、体裁の良
い建築物の表装構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の表装用化粧シー
トは、上記第１の課題を達成するために、方形の可撓性
シートの表面に化粧主材層を設け、該化粧主材層の表面
の隣接する２辺に沿って薄肉の段部を形成する。

【０００８】また、第２の目的を達成するために、本発
明の表装用化粧シートの施工方法は、建築物の下地面に
墨打ちを施した後、墨線に合わせて請求項１記載の第１
の表装用化粧シートを貼着し、次に、該第１の表装用化
粧シートの段部を有する１辺と請求項１記載の第２の表
装用化粧シートの段部を有しない１辺の端面を突き合わ
せて前記第２の表装用化粧シートを前記下地面に貼着
し、次いで、第１の表装用化粧シートの前記１辺に交差
すると共に段部を有する他辺と請求項１記載の第３の表
装用化粧シートの段部を有しない１辺の端面を突き合わ
せて前記第３の表装用化粧シートを前記下地面に貼着す
る。

【０００９】さらに、第３の課題を達成するために、本
発明の表装構造は、表装用化粧シートが縦横に多数並べ
て下地面に貼着され、隣接する表装用化粧シートの段部
を有する端面と段部を有しない端面が突き合わされる。

【００１０】

【作用】段部が化粧主材層と同一材料よりなる凹条のご
とき外観を付与する。また、隣接する表装用化粧シート
の端面を突き合わせて貼着することにより、スペーサー
等を必要とせず、自動的に位置合わせされ、前記端面間
に隙間が形成されず、雨水の侵入を防止すると共にシー
リング施工を不要とする。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図１及び図２において、表装用化粧シート
１は、方形、例えば矩形の可撓性シート２と、可撓性シ
ート２の表面に設けられる化粧主材層３とを備える。

【００１２】可撓性シート２はポリエステル等を素材と
する０．３mm〜１．０mm程度の極薄い不織布よりなり、
化粧主材層３の付着力確保のための表面強度補強のため
に、その表面に低粘度含浸材等よりなる下塗材を塗布
し、強制または自然乾燥させる。化粧主材層３は、天然
石に近い外観を有するように、天然石、採石などの骨材
をアクリル等の合成樹脂エマルジョンに混入したものを
５〜８mmの厚みに吹き付け硬化させたものであり、表面
の隣接する２辺に沿って幅５mm〜２０mmに亘って切削
し、薄肉の段部５を形成する。

【００１３】また、化粧主材層３の外面は平滑に仕上げ
るか、或いは吹き付けによる凹凸をそのまま残して、艶
消しの透明塗料６を塗布する。なお、表装用化粧シート
１を葺いた時に石張り仕上げの目地状の模様を構成する
ように、化粧主材層３の表面中央部にデザインに応じて
図３乃至図７に示すような様々な幅及び形状の凹溝７を
形成することもできる。

【００１４】次に、この表装用化粧シート１の製造方法
について説明すると、長尺ロール状の不織布からなる可
撓性シート２の表面に下塗材を塗布し、下塗材が乾燥し
た後その表面に石材を混入した合成樹脂エマルジョンを
吹き付けて化粧主材層３を形成する。次いで、その表面
に化粧主材層３が形成された可撓性シート２を所定の寸
法の方形に切断する。切断後、化粧主材層３の表面を平
滑に仕上げる場合はサンディングを施す。

【００１５】続いて、切削機により化粧主材層３の表面
を隣接する２辺に沿って切削して薄肉の段部５を形成
し、切り口をならして埃を除去した後、透明塗料６を塗
布し乾燥して表装用化粧シート１を得る。また、表装用
化粧シート１の隣接する２辺に沿って段部５を形成する
際に切削によらず、図８に示すように、可撓性シート２
の裏面の隣接する２辺に沿って可撓性シート２と同一材
質の帯状シート４を外方に突出するよう貼着し、化粧主
材層３より厚みが小さく、同質で別体の薄肉帯部材８を
化粧主材層３本体の側端面及び帯状シート４の突出部の
表面に接着して段部５を形成しても良い。

【００１６】次に、この表装用化粧シート１の施工方法
を図９乃至図１２に基づいて説明する。まず、建築物の
内外壁、床、天井などの下地面９の不陸等を調整した
後、表装用化粧シート１の取り付け位置に合わせて墨出
し、墨打ちを行い、下地面９の材質に応じた接着剤１０
を塗布する。

【００１７】次に、図９に示すように、墨線１１に合わ
せて１列目ほぼ中央部に位置する第１の表装用化粧シー
ト１ａを貼着した後、図１０及び図１１に示すように、
第１の表装用化粧シート１ａの側方の段部５を有する１
辺ａの端面に、第２の表装用化粧シート１ｂの段部５を
有しない１辺の端面を突き合わせて第１の表装用化粧シ
ート１ａの隣に貼着し、また、第１の表装用化粧シート
１ａの段部５を有しない１辺の端面に第３の表装用化粧
シート１ｃの段部５を有する１片ａの端面を突き合わせ
て第１の表装用化粧シート１ａの隣に貼着し、これを順
次繰り返して１列目の表装用化粧シート１を貼り上げ
る。

【００１８】次いで、２列目ほぼ中央部の第４の表装用
化粧シート１ｄを第１の表装用化粧シート１ａに隣接し
半幅ずらして並べ、第４の表装用化粧シート１ｄの段部
５を有しない端面を第１の表装用化粧シート１ａの段部
５を有すると共に１辺ａに交差する他辺ｂの端面に突き
合わせて貼着し、これを繰り返して奇数列と偶数列の表
装用化粧シート１を半幅ずつずらす所謂２丁掛に並べて
下地面９の全面を仕上げる。

【００１９】なお、表装用化粧シート１を所謂芋積み風
に順次並べても良く、表装用化粧シート１の異種サイズ
を併用してフランス積み風あるいはオランダ積み風に並
べても良い。また、段部５の底面を着色して、同一材質
の色の異なる目地のような外観とすることも可能であ
る。

【００２０】

【発明の効果】本発明の表装用化粧シートは、化粧主材
層の表面の隣接する２辺に沿って段部を形成したので、
多数並べて貼り上げた時、この段部が化粧主材層と同質
の溝のごとき体裁を付与し、デザイン的に優れた効果を
あげることができる。また、本発明の表装用化粧シート
の施工方法によれば、化粧主材層の端面を突き合わせる
だけで自動的に位置合わせができ、一般的に行われてい
るように目地幅に相当するセパレーターを介在してシー
ト間に所定の間隔を形成する必要が無く、作業効率が向
上し、隣接する表装用化粧シートの対向する端面を突き
合わせて並べ、下地面に接着するので、表装用化粧シー
ト間に隙間が無く、このため、従来の工法のようにシー
ト間の隙間にシーリング施工を行う必要が無く、工期を
大幅に短縮することが可能であり、しかも、表装用化粧
シート間からの雨水の侵入を防止できる。

【００２１】さらに、本発明の建築物の表装構造は、化
粧主材層の表面に形成された段部が化粧主材層と同材質
の溝のように現れるので体裁が良く、しかも溝部分と他
の部分とが同一の材質感を有するのでソフトな風合いを
醸し出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す表装用化粧シート
の断面図

【図２】本発明の第１の実施例を示す表装用化粧シート
の平面図

【図３】本発明の第２の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図４】本発明の第３の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図５】本発明の第４の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図６】本発明の第５の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図７】本発明の第６の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図８】本発明の第７の実施例を示す表装用化粧シート
の断面図

【図９】表装用化粧シートの施工工程の第１段階を示す
平面図

【図１０】表装用化粧シートの施工工程の第２段階を示
す平面図

【図１１】図１０の要部拡大断面図

【図１２】表装用化粧シートの施工工程の第３段階を示
す平面図

【符号の説明】

１ 表装用化粧シート ２ 可撓性シート ３ 化粧主材層 ４ 帯状防水シート ５ 段部 ６ 透明塗料 ７ 凹溝 ８ 薄肉帯部材 ９ 下地面 １０ 接着剤 １１ 墨線

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 方形の可撓性シートの表面に化粧主材層
   を設け、該化粧主材層の表面の隣接する２辺に沿って薄
   肉の段部を形成したことを特徴とする表装用化粧シー
   ト。
2. 【請求項２】 建築物の下地面に墨打ちを施した後、墨
   線に合わせて請求項１記載の第１の表装用化粧シートを
   貼着し、次に、該第１の表装用化粧シートの段部を有す
   る１辺と請求項１記載の第２の表装用化粧シートの段部
   を有しない１辺の端面を突き合わせて前記第２の表装用
   化粧シートを前記下地面に貼着し、次いで、第１の表装
   用化粧シートの前記１辺に交差すると共に段部を有する
   他辺と請求項１記載の第３の表装用化粧シートの段部を
   有しない１辺の端面を突き合わせて前記第３の表装用化
   粧シートを前記下地面に貼着する表装用化粧シートの施
   工方法。
3. 【請求項３】 請求項１記載の表装用化粧シートが縦横
   に多数並べられて下地面に貼着され、、隣接する前記表
   装用化粧シートの段部を有する端面と段部を有しない端
   面とが突き合わされたことを特徴とする建築物の表装構
   造。