JPH06322922A - 表装用化粧シート及びその施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 重ね合わせ部の経時的な接着性能の低下によ
るそりや剥離を防止し、強靭で防水性に富み、製造が容
易でコストの低廉な表装用化粧シート及びその施工方法
を提供すること。 【構成】 方形の可撓性シート２の表面に化粧主材層３
を設け、可撓性シート２の裏面の隣接する２辺に沿って
帯状体４を側方に突出するように装着して表装用化粧シ
ート１を構成し、帯状体４の表面とこれに隣接する表装
用化粧シート１の可撓性シート２の裏面側部とを現場で
塗布した接着剤を介して接着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物の内外壁及び天
井等に装着される表装用化粧シート及びその施工方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、建築用仕上げ材に対する要求は高
級化、多様化の一途を辿り、磁器タイルや石材貼りが多
く用いられるようになってきており、仕上げ塗り材に対
しても同様に高級感が求められ、石材調の仕上げ塗り材
が多数商品化されている。一方、最近では、タイル張
り、石張り等の技能工の不足、高齢化が進んでおり、ま
た、施主からの工期短縮への要望も年々高まっており、
その上、タイル、大理石などの剥落防止に対する要請は
さらに強いものがある。

【０００３】このような事情から、建築現場では従来の
湿式タイプの仕上げ材から、施工性、品質及び安全管
理、工期の短縮化、近隣への環境問題などの多くの面で
優れた乾式タイプの仕上げ材への移行が進んでいる。こ
の乾式化の一環として、建築物の外壁面、内壁面、床面
等へ適用可能な可撓性を有する矩形の表装材として、表
側に天然石、着色骨材と合成樹脂による成形物、基材部
状への塗料による塗膜あるいは金属面板又はその加工物
からなる化粧材部を有し、その裏面に前記化粧材と比べ
たとき、隣接する２辺のみ目地兼用の重ね代部分のため
の余分の広さを持ち、不織布、ガラスクロス、合成紙な
どからなる基材部を備え、さらに重ね代とならない基材
部の他の２辺裏面に、重ね代よりも狭い幅でアクリルゴ
ム又は非加硫ブチルゴムにより粘着される粘着剤部が設
けられ、粘着剤部の下面に離型紙部を設け、重ね代に目
地幅を開けながら、または目地をとらず、離型紙で保護
された粘着剤部を重ねながら接着させた後に離型紙を剥
がして重ね合わせ部分を接着させる表装材とその仕上げ
方法が特開昭４−８５４４７号として提案されている。

【０００４】しかし、このものは、重ね代部分が基材部
を延長して形成されているため、基材部と化粧材部とを
異なった位置で切断しなければならず、製造が面倒であ
り、予め設けられた粘着剤は離型紙部を剥離しなければ
ならないため粘着性の低いものを使用し、しかも、経時
的に粘着力が低下するので、シートのそりや収縮による
剥離を生じやすい。

【０００５】

【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、上記従来の
化粧シートの長所を損なうこと無く、重ね合わせ部の経
時的な接着性能の低下によるそりや剥離を防止し、強靭
で防水性に富み、製造が容易でコストの低廉な表装用化
粧シートとその施工方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の表装用化粧シー
トは、上記第１の目的を達成するために、方形の可撓性
シートの表面に化粧主材層を設け、可撓性シートの裏面
の隣接する２辺に沿って帯状体を側方に突出するように
装着し、本発明の表装用化粧シートの施工方法は、下地
面に第１の表装用化粧シートを取付けるための接着剤を
塗布した後、請求項１記載の第１の表装用化粧シートを
接着し、次いで、前記第１の表装用化粧シートの帯状体
を有する側に隣接する下地面と前記第１の表装用化粧シ
ートの帯状体の表面又は請求項１記載の第２の表装用化
粧シートの裏面の帯状体を有しない側部に接着剤を塗布
し、その後、前記第２の表装用化粧シートを前記第１の
表装用化粧シートに隣接して前記下地面に接着すると共
に、前記第２の表装用化粧シートの裏面の帯状体を有し
ない側部を前記第１の表装用化粧シートの前記帯状体の
表面に接着し、さらに上記の工程を順次繰り返す。

【０００７】

【作用】帯状体を可撓性シートと別体としたことによ
り、可撓性シートと化粧主材層の端面が一致し、長尺の
積層物から可撓性シートと化粧主材層を同一箇所で切断
することによって製造される。帯状体の表面に、予め塗
布された粘着剤に比較して経時的な接着性能の低下が少
ない接着剤を現場で塗布し、該接着剤を介して表装用化
粧シートの重ね合わせ部分を接着したことにより、表装
用化粧シート間が帯状体によって閉塞され、雨水の侵入
を防止すると共にシーリング施工を不要とし、帯状体を
介して隣接する表装用化粧シートが一体的にかつ継続的
に接続され、端部のそりや剥れを防止する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図１及び図２において、表装用化粧シート
１は、方形、例えば矩形の可撓性シート２と、可撓性シ
ート２の表面に設けられる化粧主材層３と、裏面の隣接
する２辺に沿って側方に張り出すよう装着される帯状体
４とを備える。

【０００９】可撓性シート２はポリエステル等を素材と
する０．３mm〜１．０mm程度の極薄い不織布よりなり、
化粧主材層３の付着力確保のための表面強度補強のため
に、その表面に低粘度含浸材等よりなる下塗材を塗布
し、強制または自然乾燥させる。化粧主材層３は、天然
石に近い外観を有するように、天然石、採石などの骨材
をアクリル等の合成樹脂エマルジョンに混入したものを
５〜８mmの厚みに吹き付け硬化させたものであり、その
外面は平滑に仕上げるか、或いは吹き付けによる凹凸を
そのまま残して、艶消しの透明塗料６を塗布する。な
お、表装用化粧シート１を葺いた時に石張り仕上げの目
地状の模様を構成するように、化粧主材層３の表面中央
部にデザインに応じて図３乃至図７に示すような様々な
幅及び形状の凹溝７を形成することもできる。

【００１０】帯状体４は、可撓性シート２よりやや薄い
０．２〜０．４mm程度の厚みを有し、耐光性および耐水
性処理が施された不織布を素材とし、上面の内側部が接
着剤５を介して可撓性シート２の裏面に接着されてい
る。また、帯状体４の上面の可撓性シート２に臨接する
部分とその外側に形成された重ね合わせ領域１３とを異
なる色に着色し、一目で重ね合わせ領域１３を判別でき
るようにすることも可能で、さらに、帯状体４の表面の
重ね合わせ領域１３と可撓性シート２とに挟まれる部分
を化粧主材層３と異なる色に着色して、表装用化粧シー
ト１間に色の異なる底目地８（図９乃至図１１参照）を
形成することもできる。

【００１１】次に、この表装用化粧シート１の製造方法
について説明すると、長尺ロール状の不織布からなる可
撓性シート２の表面に下塗材を塗布し、下塗材が乾燥し
た後その表面に石材を混入した合成樹脂エマルジョンを
吹き付けて化粧主材層３を形成する。次いで、その表面
に化粧主材層３が形成された可撓性シート２を所定の寸
法の方形に切断する。切断後、化粧主材層３の表面を平
滑に仕上げる場合はサンディングを施す。

【００１２】続いて、切り口をならして埃を除去した
後、透明塗料６を塗布してこれを乾燥し、可撓性シート
２の裏面の隣接する２辺に沿って帯状体４を側方へ張り
出すように接着剤５によって接着し、表装用化粧シート
１を得る。

【００１３】次に、この表装用化粧シート１の施工方法
を図８乃至図１１に基づいて説明する。まず、建築物の
内外壁、床、天井などの下地面９の不陸等を調整した
後、表装用化粧シート１の割り付け位置に合わせて墨出
し、墨打ちを行う。次に、下地面９の材質に応じて、ア
クリル系，ゴムラテックス系，酢酸ビニル系，クロロプ
レン系等の感圧型、エポキシ系，ウレタン系等の反応硬
化型、又はシリコーン、シアノアクリレート系等の湿気
硬化型の耐光性及び耐水性に優れたものの中から最適の
接着剤１０を選択し、粘性度及び硬化時間を適宜調整し
て櫛状刷毛等を用いて下地面９に塗布し、図８に示すよ
うに、墨線１１に合わせて１列目の第１の表装用化粧シ
ート１ａを貼着する。

【００１４】その後、第１の表装用化粧シート１ａの側
方に隣接する第２の表装用化粧シート１ｂを取付けるた
めの接着剤１０を下地面９及び第１の表装用化粧シート
１ａの側方の１辺ａに装着された帯状体４の表面の重ね
合わせ領域１３に塗布し、図９及び図１０に示すよう
に、第２の表装用化粧シート１ｂの端部を第１の表装用
化粧シート１ａの帯状体４の上面に可撓性シート２の端
面からやや間隔をあけて重ね合わせ領域１３に接着する
と共に、第１の表装用化粧シート１ａと同様に下地面９
に貼着し、これを順次繰り返して１列目の表装用化粧シ
ート１を貼り上げる。

【００１５】次いで、図１１に示すように、２列目に第
３の表装用化粧シート１ｃを第１及び第２の表装用化粧
シート１ａ，１ｂに隣接して半幅ずらして並べ、第３の
表装用化粧シート１ｃの端部を表装用化粧シート１ａ，
１ｂの１辺ａに交差する他辺ｂに沿う帯状体４の上面に
載置して貼着し、これを繰り返して奇数列と偶数列の表
装用化粧シート１を半幅ずつずらす所謂２丁掛に並べて
下地面９の全面を仕上げる。すると、第１の表装用化粧
シート１ａと第２の表装用化粧シート１ｂとの間及び表
装用化粧シート１ａ，１ｂと第３の表装用化粧シート１
ｃとの間には、帯状体４によって閉塞された底目地８が
形成される。

【００１６】なお、表装用化粧シート１を所謂芋積み風
に順次並べても良く、表装用化粧シート１の異種サイズ
を併用してフランス積み風あるいはオランダ積み風に並
べても良い。また、帯状体４の表面全面に接着剤を塗布
して、隣接する表装用化粧シート１の可撓性シート２を
突き合わせて貼着することも可能である。

【００１７】図１２は、表装用化粧シート１の他の施工
方法を示し、第１の表装用化粧シート１ａ´の帯状体４
´の表面の外側部にマスキングテープ１２を長手方向に
沿って載置し、その側方の下地面９に第２の表装用化粧
シート１ｂ´を取付けるための接着剤１０を塗布した
後、マスキングテープ１２を取り除き、第２の表装用化
粧シート１ｂ´の裏面の帯状体４を有しない側部に接着
剤１０´を塗布し、第２の表装用化粧シート１ｂ´を下
地面９に接着すると共に、第１の表装用化粧シート１ａ
´の帯状体４´の表面と第２の表装用化粧シート１ｂ´
の裏面の帯状体４を有しない側部とを重ねて接着する。

【００１８】この施工方法によれば、帯状体４の底目地
８の部分及び化粧主材層３の表面に接着剤１０がはみ出
して仕上げ面が汚れる心配がない。なお、マスキングテ
ープ１２は必ずしも必要ではないので、省略することも
可能である。

【００１９】

【発明の効果】本発明の表装用化粧シートは、可撓性シ
ートの裏面の隣接する２辺に沿って帯状体を側方に突出
するように装着したので、隣接する表装用化粧シートの
接続部背面に帯状体が介在され、表装用化粧シート間か
らの雨水の侵入を防止でき、従来の工法のようにシート
間の隙間にシーリング施工を行う必要が無く、工期を大
幅に短縮することが可能で、帯状体を介して接着するこ
とによって隣接する表装用化粧シートの端部が一体的に
接続され、端部の反り或いは剥離が生じにくく、突き合
わせ部において不陸が発生せず体裁が良い。

【００２０】また、帯状体を可撓性シートと別体とした
ので、可撓性シートと化粧主材層の切断箇所が一致し、
表装用化粧シートの外形を形成する際に長尺の積層物を
単純に切断するだけで済み、製造が容易で、コストが低
廉となる。

【００２１】さらに、本発明の表装用化粧シートの施工
方法によれば、帯状体の表面と可撓性シートの裏面とが
予め設けられた粘着剤ではなく、現場で塗布される接着
剤によって接着されるので、接着性の高い接着剤によっ
て接着固定することができ、しかも、このような接着剤
は経時的な接着性能の低下が少ないので長期間経過して
も重ね合わせ端部の反り或いは収縮による剥離が生じ難
く、雨水の漏洩等が発生する心配がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す表装用化粧シート
の断面図

【図２】本発明の第１の実施例を示す表装用化粧シート
の平面図

【図３】本発明の第２の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図４】本発明の第３の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図５】本発明の第４の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図６】本発明の第５の実施例を示す表装用化粧シート
の施工時の平面図

【図７】本発明の第７の実施例を示す表装用化粧シート
の断面図

【図８】表装用化粧シートの施工方法の第１段階を示す
平面図

【図９】表装用化粧シートの施工方法の第２段階を示す
平面図

【図１０】図９の要部拡大断面図

【図１１】表装用化粧シートの施工方法の第３段階を示
す平面図

【図１２】表装用化粧シートの他の施工方法を示す断面
図

【符号の説明】

１ 表装用化粧シート ２ 可撓性シート ３ 化粧主材層 ４ 帯状体 ６ 透明塗料 ７ 凹溝 ８ 底目地 ９ 下地面 ５，１０，１０´ 接着剤 １１ 墨線 １２ マスキングテープ １３ 重ね合わせ領域

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 方形の可撓性シートの表面に化粧主材層
   を設け、前記可撓性シートの裏面の隣接する２辺に沿っ
   て帯状体を側方に突出するように装着したことを特徴と
   する表装用化粧シート。
2. 【請求項２】 下地面に第１の表装用化粧シートを取付
   けるための接着剤を塗布した後、請求項１記載の第１の
   表装用化粧シートを接着し、次いで、前記第１の表装用
   化粧シートの帯状体を有する側に隣接する下地面と前記
   第１の表装用化粧シートの帯状体の表面又は請求項１記
   載の第２の表装用化粧シートの裏面の帯状体を有しない
   側部に接着剤を塗布し、その後、前記第２の表装用化粧
   シートを前記第１の表装用化粧シートに隣接して前記下
   地面に接着すると共に、前記第２の表装用化粧シートの
   裏面の帯状体を有しない側部を前記第１の表装用化粧シ
   ートの前記帯状体の表面に接着し、さらに上記の工程を
   順次繰り返すことを特徴とする表装用化粧シートの施工
   方法。