しかしながら、特許文献1に記載されている表装材を建築物の外壁面に貼着した後には、外壁面の周縁部に位置する表装材の端部に裏側重ね代部によって空間部が形成されたり、端面が露出したりする場合がある。そのような表装材の端部においては、空間部が形成されることによって断熱性が損なわれたり、その部分の強度が不足したりするという問題があった。さらに、表装材の端部が露出されることによって端部において防水性が損なわれたり、外観が損なわれたりするという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、表装材の端部における断熱性及び防水性を向上させることができると共に、強度を保持することができ、かつ外観を良好にすることができる表装材の端部処理方法及びその方法に用いられる端部処理材を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の表装材の端部処理方法は、基板と、該基板の表面に設けられる介装シートと、該介装シートの表面に設けられ前記基板と同形の化粧材とにより構成され、前記介装シートの隣接する2辺側の表面には化粧材の隣接する2辺から張り出す表側重ね代部が形成されると共に、介装シートの他の2辺側の裏面には基板の隣接する2辺から張り出す裏側重ね代部が形成された矩形状の表装材を、表側重ね代部の上に裏側重ね代部を載せて貼着し、それを順に繰り返して建築物の壁面、床面又は天井面の表面を被覆する方法である。そして、表装材の裏側重ね代部に基づく基板非支持部を、断熱性及び防水性を有する端部処理材で埋めることを特徴とする。
請求項2の表装材の端部処理方法は、請求項1に係る発明において、前記端部処理材は、断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が防水紙及び前記化粧材と同質の化粧処理材で覆われて構成されていることを特徴とする。
請求項3の表装材の端部処理方法は、請求項2に係る発明において、前記端部処理材は、その芯材が表装材の基板の長さ及び厚さに対応する形状を有すると共に、化粧処理材が表装材の化粧材の長さ及び厚さに対応する形状を有し、かつ防水紙が介装シートの長さと対応する長さに形成されていることを特徴とする。
請求項4の表装材の端部処理方法は、請求項2に係る発明において、前記端部処理材は、その化粧処理材が表装材の化粧材の長さ及び厚さと対応する形状に形成されると共に、芯材が表装材の基板の長さよりも長く形成され、かつ防水紙が芯材の長さと対応する長さに形成されていることを特徴とする。
請求項5の表装材の端部処理方法は、請求項2に係る発明において、前記端部処理材は、その化粧処理材が表装材の化粧材の長さより長く形成されると共に、芯材が表装材の基板の長さよりも短く形成され、かつ防水紙が化粧処理材の長さと対応する長さに形成されていることを特徴とする。
請求項6の表装材の端部処理方法は、請求項2に係る発明において、前記端部処理材は、断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が基板の端部に対向する部分及び端面以外の外周面が端部処理時までに防水紙で覆われると共に、防水紙の端部が基板の裏面に達する長さに形成され、端部処理時に防水紙の端部が基板の裏面に接着されるように構成されていることを特徴とする。
請求項7の表装材の端部処理方法は、請求項2から請求項5のいずれか1項に係る発明において、前記端部処理材における化粧処理材の外面は表装材の端部における化粧材の外面と連続性を有するように形成されていることを特徴とする。
請求項8の表装材の端部処理方法は、請求項1に係る発明において、前記端部処理材は、断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が基板の端部に対向する部分及び端面以外の外周面が端部処理時までに防水紙で覆われると共に、防水紙の端部が基板の裏面に達する長さに形成され、端部処理時に防水紙の端部が基板の裏面に接着されるように構成されていることを特徴とする。
請求項9の表装材の端部処理方法は、請求項1に係る発明において、前記端部処理材は、断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が防水紙で覆われて構成されていることを特徴とする。
請求項10の端部処理材は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の表装材の端部処理方法に使用される端部処理材であって、表装材の端部に形成される裏側重ね代部に基づく基板非支持部を埋めるための断熱性及び防水性を有する材料で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1の表装材の端部処理方法においては、表装材の端部に形成される裏側重ね代部に基づく基板非支持部を、断熱性及び防水性を有する端部処理材で埋めるように構成されている。このため、表装材の端部において端部処理材のもつ特性を発現することができると同時に、基板非支持部が端部処理材で埋められるためその部分で強度を発現でき、さらに露出部分を覆うことができる。従って、表装材の端部における断熱性及び防水性を向上させることができると共に、強度を保持することができ、かつ外観を良好にすることができる。
請求項2の表装材の端部処理方法では、端部処理材は断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が防水紙及び前記化粧材と同質の化粧処理材で覆われて構成されている。このため、請求項1に係る発明の効果に加え、芯材によって断熱性を発揮することができると共に、防水紙によって防水性を発揮することができ、かつ化粧材によって外観を向上させることができる。
請求項3の表装材の端部処理方法では、端部処理材は、その芯材が表装材の基板の長さ及び厚さに対応する形状を有すると共に、化粧処理材が表装材の化粧材の長さ及び厚さに対応する形状を有し、かつ防水紙が介装シートの長さと対応する長さに形成されている。このため、請求項2に係る発明の効果に加えて、端部処理材を表装材端部の基板非支持部に嵌めこむだけで容易に表装材の端部処理を行うことができる。
請求項4の表装材の端部処理方法では、端部処理材は、その化粧処理材が表装材の化粧材の長さ及び厚さと対応する形状に形成されると共に、芯材が表装材の基板の長さよりも長く形成され、かつ防水紙が芯材の長さと対応する長さに形成されている。従って、請求項2に係る発明の効果に加え、芯材の端部を切除して所要の長さとした端部処理材を用いることにより、表装材の端部処理を行うことができる。
請求項5の表装材の端部処理方法では、端部処理材は、その化粧処理材が表装材の化粧材の長さより長く形成されると共に、芯材が表装材の基板の長さよりも短く形成され、かつ防水紙が化粧処理材の長さと対応する長さに形成されている。このため、請求項2に係る発明の効果に加えて、化粧処理材の端部を切除して所要の長さにすると共に、芯材を足して所要の長さとした端部処理材を用いることにより、表装材の端部処理を行うことができる。
請求項6の表装材の端部処理方法では、端部処理材は断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が基板の端部に対向する部分及び端面以外の外周面が端部処理時までに防水紙で覆われている。このため、請求項2に係る発明の効果に加えて、防水性を保持しつつ、基板の端部に対向する部分における防水紙を省略して構成を簡易にすることができる。さらに、防水紙の端部が基板の裏面に達する長さに形成され、端部処理時に防水紙の端部が基板の裏面に接着されるように構成されていることから、防水紙を基板の裏面に宛がい、防水紙の端部を基板の裏面に容易に接着することができると共に、防水性を向上させることができる。
請求項7の表装材の端部処理方法では、端部処理材における化粧処理材の外面は表装材の端部における化粧材の外面と連続性を有するように形成されている。従って、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、表装材の端部を綺麗に仕上げることができる。
請求項8の表装材の端部処理方法では、端部処理材は断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が基板の端部に対向する部分及び端面以外の外周面が防水紙で覆われて構成されている。このため、請求項1に係る発明の効果に加え、芯材によって断熱性を発揮することができると共に、防水紙によって防水性を発揮することができる上に、基板の端部に対向する部分における防水紙を省略して構成を簡易にすることができる。さらに、防水紙の端部が基板の裏面に達する長さに形成され、端部処理時に防水紙の端部が基板の裏面に接着されるように構成されているため、防水紙を基板の裏面に宛がい、防水紙の端部を基板の裏面に容易に接着することができると共に、防水性を向上させることができる。
請求項9の表装材の端部処理方法では、端部処理材は断熱性を有する樹脂発泡体で形成された芯材が防水紙で覆われて構成されている。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、端部処理材を簡単に構成することができる。
請求項10の表装材の端部処理材では、表装材の端部に形成される裏側重ね代部に基づく基板非支持部を埋めるための断熱性及び防水性を有する材料で構成されている。従って、係る端部処理材は請求項1から請求項9のいずれかの表装材の端部処理方法に使用され、その効果を容易に発揮させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
以下、この発明の第1実施形態を図1及び2並びに図5〜10に基づいて詳細に説明する。
図5及び図7に示すように、基板11上には介装シート12が設けられ、該介装シート12上には化粧材13が設けられて積層構造を有する表装材14が構成されている。基板11は鉄、アルミニウム等の金属などにより形成されて剛性を有すると共に、その表裏両面には黒皮等の腐食防止膜が設けられている。また、基板11は樹脂発泡体により形成されていてもよい。この基板11としては、後述する端部処理材23の芯材24と同じ材質にすることが好ましい。この場合、基板11と芯材24との線膨張係数を合せることができると共に、断熱性能を得ることができる。介装シ−ト12は、不織布、ガラスクロス、セラミックペ−パ−、合成紙等の素材により形成され、柔軟性を有している。化粧材13は、天然石やその砕石、着色骨材、着色プラスチック砕粒を、合成樹脂エマルション、合成樹脂の溶剤溶液、ホットメルト樹脂等に配合して所定形状に成形し、その表面に模様が施されたもので、柔軟性及び防水性を有している。係る化粧材13は、合成樹脂エマルション等の塗装又はその成形物の貼着により形成される。この表装材14は、建築物の主に外壁面、内壁面等の壁面15に適用される。
図6(a)〜(c)に示すように、これらの化粧材13、介装シ−ト12及び基板11は、共に矩形平板状に形成され、化粧材13及び基板11は同形同大で、介装シ−ト12はそれらよりも大きく形成されている。ここで、化粧材13は基板11と同形に形成されるが、1枚の基板11の半分のサイズに形成されていてもよく、すなわち1枚の基板11に対して2枚の化粧材13で同じサイズになるように構成されていてもよい。一方、基板11が1枚の化粧材13の半分のサイズに形成されていてもよく、つまり1枚の化粧材13に対して2枚の基板11で同じサイズになるように構成されていてもよい。そして、基板11の隣接する2辺11a、11bが、介装シ−ト12の隣接する2辺12a、12bと合致し、介装シ−ト12の他の隣接する2辺12c、12dが基板11から張り出している。そして、介装シ−ト12の2辺12c、12d側の裏面には、裏側重ね代部16が形成されている。
また、化粧材13の隣接する2辺13c、13dが介装シ−ト12の隣接する2辺12c、12dと合致し、介装シ−ト12の他の隣接する2辺12a、12bが化粧材13から張り出している。そして、介装シ−ト12の2辺12a、12b側の表面には、表側重ね代部17が形成されている。表側重ね代部17と裏側重ね代部16とは、介装シート12の対角線を介して相互に対向(点対称位置)している。
図5及び図7に示すように、表側重ね代部17及び裏側重ね代部16にはそれぞれ粘着剤層18、19が形成され、それらの表面が剥離テ−プ20、21で被覆されて保護されている。この場合、表側重ね代部17及び裏側重ね代部16の少なくとも一方に粘着剤層18、19が設けられておればよい。粘着剤層18、19を形成する粘着剤としては、アクリルゴム系、非加硫ブチルゴム系、シリコ−ンゴム系、スチレン−ブタジエン共重合ゴム系、ポリイソプレン系、ポリビニルエ−テル系等の粘着剤が用いられる。これらの粘着剤は、粘着テ−プ、ラベル等に通常用いられる材料である。剥離テープ20、21は、テープ基材に特にフッ素樹脂、シリコ−ン樹脂等の離型剤を塗布したものである。この剥離テ−プ20、21の色は、介装シ−ト12の色に対する対照色が用いられ、明確な色分けがなされている。表側重ね代部17における化粧材13の周縁部と粘着剤層18との間には、非粘着部22が形成されている。
表装材14を複数並べて使用する際には、各化粧材13間に非粘着部22による隙間ができるように表装材14が配置される。このように各化粧材13間に隙間を設けるために、基板11の大きさは、化粧材13と非粘着部22とを合わせた面積と同形同大に形成される。この場合、表装材14を壁面等へ貼り付けていく際に、隣接する基板11を突き合せて貼り付けていくことにより、自ずと隣接する化粧材13間に一定間隔の隙間が形成される。従って、この隙間を目地として活用することができると共に、簡単かつ確実に一定幅の目地を形成することができる。さらに、目地の部分に粘着剤層18が露出することなく、目地の部分に埃が貼り付くことを防止することができる。
さて、このように構成された表装材14を複数並べ、建築物の外壁面等の壁面15に固定する場合には、介装シ−ト12の表側重ね代部17において、その介装シ−ト12及び基板11の所要位置に固定のための図示しない貫通孔をあける。その後、必要に応じて基板11の裏面に形成された粘着剤層19上の剥離テ−プ21を剥がして、表装材14を目的とする壁面等へ貼着させると共に、前記貫通孔を介して固定具を打ちつけて固定する。固定具としては、釘、ビス、木ねじ、アンカーピン等が用いられる。次いで、表装材14の隣接する表裏の表側重ね代部17及び裏側重ね代部16を重ねて相互に貼着させる。この操作を順次繰り返していけばよいので、施工を容易に行うことができる。しかも、表装材14の裏面には鉄製の基板11が貼着されているので、壁面等の下地が連続した平面でなくても、図10に示すように、表装材14を凹凸なく整然と貼り付けることができる。なお、この明細書においては、内容の理解を容易にするために、図1、図3、図5、図7等における各部材の厚さを誇張して厚く描いてある。また、図10においては、表装材14の枚数を少なくして描いてある。
さらに、表装材14は、使用される位置に応じて種々の全体形状のものが選択される。すなわち、図10のA位置には図8に示したものが使用される。すなわち、基板11上に介装シート12を貼着し、その上に化粧材13を貼着して、介装シート12の裏面に裏側重ね代部16及び介装シート12の表面に表側重ね代部17が形成されたものである。図9(a)に示す表装材14は、図10のB位置に使用されるもので、介装シ−ト12及び基板11の2点鎖線部が切除されたものである。図9(b)に示す表装材14は、図10のC位置に使用されるもので、裏側重ね代部16が下部のみに形成されたものである。図9(c)に示す表装材14は、図10のD位置に使用されるもので、裏側重ね代部16が形成されないものである。図9(d)に示す表装材14は、図10のE位置に使用されるもので、介装シ−ト12及び基板11の2点鎖線部が切除されたものである。
図9(e)に示す表装材14は、図10のF位置に使用されるもので、裏側重ね代部16が左部のみ形成されたものである。図9(f)に示す表装材14は、図10のG位置に使用されるもので、介装シ−ト12及び基板11の2点鎖線部が切除されたものである。図9(g)に示す表装材14は、図10のH位置に使用されるもので、介装シ−ト12及び基板11の2点鎖線部が切除されたものである。図9(h)に示す表装材14は、図10のI位置に使用されるもので、介装シ−ト12及び基板11の2点鎖線部が切除されたものである。
上記の場合には、壁面15の縦横長が表装材14の縦横長のほぼ倍数の関係にある場合である。このようなほぼ倍数の関係にない場合には、壁面15の外周縁に位置する表装材14を必要な大きさに合わせて切って使用される。表装材14を施工した後の端部は露出される場合があり、その場合には表装材14の端部を被覆する処理を行う必要がある。そのため、端部処理材を用いた表装材14の端部処理が行われる。
そこで、端部処理材を用いた表装材14の端部処理方法について説明する。
図2(a)に示すように、端部処理材23は、断熱性を有する樹脂発泡体で形成された四角棒状をなす芯材24の外周部に防水紙25が巻付けられて接着されると共に、芯材24の一側面に前記化粧材13と同じ材料で形成された化粧処理材13aが貼着されて構成されている。防水紙25は、芯材24の化粧処理材13aとは反対側に延出されると共に、図2(a)の右端側に延出されている。なお、防水紙25は芯材24に化粧処理材13aが貼着されている部分には省略することができる。化粧処理材13aは、図2(a)の左端側が芯材24よりも短く形成されると共に、図2(a)の右端側が芯材24よりも長く形成され、防水紙25は化粧処理材13aと同じ長さになっている。芯材24は、前記表装材14の基板11と対応するようにほぼ同じ長さ及び厚さに形成され、裏側重ね代部16に基づく基板非支持部27に対応する大きさになっている。化粧処理材13aにおける図2(a)の上端面は45度の斜面26となっている。
図2(a)における芯材24の上面及び側面、化粧処理材13aの斜面26及び防水紙25の延出部の上面には図示しない粘着剤層が設けられ、その上には図示しない剥離テープが貼り付けられている。そして、使用時には剥離テープを剥がして使用するようになっている。芯材24を形成する樹脂発泡体としては、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、フェノール樹脂発泡体、塩化ビニル樹脂発泡体等が用いられる。この樹脂発泡体は、断熱性を発現するために独立気泡構造に形成されている。防水紙25は、例えばフェルトにアスファルトを浸透させた防水材料で、黒色を呈している。図2(b)に示す端部処理材23では、芯材24及び防水紙25は図2(a)と同様に構成されているが、化粧処理材13aはその長さが芯材24と同じ長さになるように構成されている。
図1(a)は、表装材14を裏面側から見た斜視図であり、その右端部の露出部を端部処理材23で処理する状態を示す分解斜視図である。表装材14裏面の右端部及び上端部は、裏側重ね代部16によって基板非支持部27が形成されている。この基板非支持部27は、介装シート12の裏面に基板11が設けられていない空隙部である。前記図2(a)に示す端部処理材23は図1(a)に示す表装材14の右端部を処理するためのものであり、図2(b)に示す端部処理材23は図1(a)に示す表装材14の上端部を処理するためのものである。
図2(c)に示す端部処理材23は、図1(a)に示す表装材14の右端部及び上端部のいずれの端部処理にも使用可能なものである。すなわち、化粧処理材13aは表装材14を構成する化粧材13と同じ長さ及び厚さに設定されると共に、芯材24は化粧処理材13aよりも長く形成され、かつ防水紙25は芯材24と同じ長さに形成されている。そして、この端部処理材23を図1(a)の端部処理に使用する場合には、図2(c)の右端部において、芯材24及び防水紙25が化粧処理材13aの端部に揃えて切除される(図2(c)の右側の点線)。引き続いて、同じ端部の芯材24のみを図2(c)の左側の点線の位置で切除する。或いは、芯材24を防水紙25と共に図2(c)の左側の点線の位置で切除した後、新たな防水紙25を切除された部分が覆われるように貼り付ける。このようにして、図2(a)に示す端部処理材23に相当するものが得られる。また、図2(c)の端部処理材23を図2(b)の端部処理材23として使用する場合には、その右端部において芯材24のみを化粧処理材13aの端部の位置で切除すると共に、左端部において芯材24及び防水紙25を化粧処理材13aの端部の位置(図2(c)の一点鎖線の位置)で切除する。
図2(d)に示す端部処理材23も、図1(a)に示す表装材14の右端部及び上端部のいずれの端部処理にも使用可能なものである。すなわち、図2(d)に示す端部処理材23の化粧処理材13aは表装材14を構成する化粧材13と同じ長さ及び厚さに設定されると共に、防水紙25はその化粧処理材13aと同じ長さに形成され、芯材24はそれらよりも短く形成されている。そして、この端部処理材23を図2(a)の端部処理材23として使用する場合には、その左端部において芯材24を防水紙25と同じ長さになるように短い芯材24aを接着すると共に、化粧処理材13aを図2(d)の点線の位置で切除する。また、図2(b)の端部処理材23として使用する場合には、その左端部において芯材24を防水紙25の長さと同じになるように短い芯材24aを接着すると共に、右端部において化粧処理材13aを図2(d)の一点鎖線の位置で切除する。
さて、図1(a)に示すように、表装材14右端の露出部を図2(a)に示す端部処理材23で処理する場合には、芯材24の上面及び側面、化粧処理材13aの斜面26及び防水紙25の延出部に設けられている剥離テープを剥がして粘着剤層を露出させておく。一方、表装材14における化粧材13の右端部が45度の傾斜面28となるように削る。そして、端部処理材23の芯材24が表装材14端部の介装シート12裏面及び基板11端面に係合して基板非支持部27を埋めると共に、その化粧処理材13aの斜面26が表装材14の傾斜面28に当接するように配置する。このとき、芯材24、化粧処理材13a及び防水紙25が粘着剤層によって表装材14の基板11、化粧材13及び介装シート12に粘着される。
この場合、図2(b)に示すように、端部処理材23の芯材24が表装材14の基板11と同一の上下位置にあり、端部処理材23の化粧処理材13aが表装材14の化粧材13と同一の上下位置にあり、さらに防水紙25は表装材14の基板11裏面を覆うように配置される。
このようにして、表装材14端部の露出部が端部処理材23により覆われる。このとき、端部処理材23の化粧処理材13a端縁が表装材14の化粧材13端縁と稜線を形成するように連続的に仕上げられる。さらに、端部処理材23の芯材24が表装材14の基板11と一体的に形成され、表装材14の端部が補強される。加えて、端部処理材23の芯材24、基板11の裏面などが防水紙25で被覆され、表装材14の端部からの水の浸入が防止される。
以上の第1実施形態によって発揮される作用及び効果を、以下に記載する。
第1実施形態の表装材14の端部処理方法においては、表装材14の端部に形成される裏側重ね代部16に基づく基板非支持部27を、断熱性及び防水性を有する端部処理材23で埋めるように構成されている。このため、表装材14の端部において端部処理材23のもつ特性を発現することができると同時に、基板非支持部27が端部処理材23で埋められるためその部分で所要の強度を発現でき、さらに露出部分を覆うことができる。従って、表装材14の端部における断熱性及び防水性を向上させることができると共に、その部分の強度を保持することができ、かつ外観を良好にすることができる。
・ 端部処理材23は、樹脂発泡体で形成された芯材24が防水紙25及び化粧処理材13aで覆われた材料であることにより、芯材24によって断熱性を発揮することができると共に、防水紙25によって防水性を発揮することができ、かつ化粧処理材13aによって外観を向上させることができる。
・ 図2(a)及び図2(b)の端部処理材23はその芯材24が表装材14の基板11の長さ及び厚さに対応する形状に形成されると共に、化粧処理材13aが表装材14の化粧材13の長さ及び厚さに対応する形状に形成され、かつ防水紙25が介装シート12の長さと対応する長さに形成されている。このため、端部処理材23を表装材14端部の基板非支持部27に嵌めこむだけで容易に表装材14の端部処理を行うことができる。
・ 図2(c)の端部処理材23はその化粧処理材13aが表装材14の化粧材13の長さと対応する長さと対応する長さに形成されると共に、芯材24が表装材14の基板11の長さより長く形成され、かつ防水紙25が芯材24の長さと対応する長さに形成されている。従って、芯材24の端部を切除して所要の長さとした端部処理材23を用いることにより、表装材14の端部処理を行うことができる。
・ 図2(d)の端部処理材23はその化粧処理材13aが表装材14の化粧材13の長さより長く形成されると共に、芯材24が表装材14の基板11長さよりも短く形成され、かつ防水紙25が化粧処理材13aの長さと対応する長さに形成されている。このため、化粧処理材13aの端部を切除して所要の長さにすると共に、短い芯材24aを足して所要の長さとした端部処理材23を用いることにより、表装材14の端部処理を行うことができる。
・ 端部処理材23における化粧処理材13aの外面は表装材14の端部における化粧材13の外面と連続性を有するように形成されているため、表装材14の端部を綺麗に仕上げることができる。
・ 端部処理材23は表装材14端部の形状に対応するように構成されているため、係る端部処理材23を基板非支持部27に嵌め込むだけで容易に表装材14の端部処理を行うことができる。加えて、端部処理材23はその芯材24を覆う防水紙25上に粘着剤層が設けられているため、その上の剥離テープを剥がして貼り付けるだけで表装材14の端部処理を簡単に行うことができる。
・ 表側重ね代部17及び裏側重ね代部16には粘着剤層18、19が設けられているため、施工現場において粘着剤の塗布作業が不要となり、施工を容易に行うことができる。粘着剤層18、19上にはそれを覆う剥離テ−プ20、21が設けられていることから、表側重ね代部17に貫通孔をあける際に、粘着剤層18、19に切り屑等が付着することがなく、粘着剤層18、19の粘着作用が損なわるおそれがない。
・ 基板11は金属製で剛性を有しているため、表装材14はそれ自体で形状を保持することができ、壁面等が平滑面でなくても表装材14を凹凸なく整然と配置することができる。化粧材13及び介装シ−ト12は柔軟性を有しているため、表装材14の固定に使用される釘等の頭部の出っ張りを吸収することができ、表装材14を浮かせることなく、全体として同一平面を形成するように各表装材14を配置することができ、化粧材13間に段差を生じさせることなく表装材14を配置させることができる。
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態を図3及び図4に基づいて説明する。
図4(a)、(b)に示すように、端部処理材23は四角棒状をなす芯材24の外周部に防水紙25が巻付けられ接着されて構成されている。図4(a)に示す芯材24の左端部は防水紙25と同じ長さに形成され、右端部は防水紙25よりも短く形成されている。係る芯材24は、第1実施形態の芯材24と同様に断熱性を有する樹脂発泡体で形成されている。芯材24に巻き付けられる防水紙25上には図示しない粘着剤層が設けられ、その上には剥離テープが貼着されている。
この端部処理材23を用いて表装材14の端部処理を行う場合には、防水紙25上の剥離テープが剥された後、図3に示すように端部処理材23の芯材24が表装材14端部の基板非支持部27を形成する基板11の端面と介装シート12の裏面に係合され、基板非支持部27が埋められる。この場合、端部処理材23の芯材24は表装材14の基板11と同じ上下位置に配置され、端部における強度の維持が図られる。
この第2実施形態によれば、端部処理材23は芯材24の外周に防水紙25を貼り付けるだけの簡単な構成であり、表装材14の端部処理に際しても端部処理材23を表装材14の基板非支持部27に嵌め込むだけで端部処理を短時間のうちに行うことができる。
(第3実施形態)
以下、この発明の第3実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。
図11(a)、(b)及び図12に示すように、端部処理材23を構成する芯材24は断面矩形状に形成され、表装材14の端部処理時に表装材14の基板11の端面11cに対向する部分(非貼着部分29)及び端面37以外の外周面が端部処理時までに防水紙25で覆われるようになっている。基板11の端面11cに対向する部分及び端面37以外の外周面とは、芯材24の短辺側外面30、長辺側外面31及び裏面側外面36を意味する。端部処理前には、芯材24の短辺側外面30及びそれに連なる長辺側外面31に防水紙25が貼着されている。芯材24の非貼着部分29は基板11の端面11cに密着される面であって、防水紙25が不要な部分であり、前記密着により防水性を保持することができる。
また、防水紙25は芯材24の長辺側外面31から真直ぐに延出され、その延出部32端部の内側面には両面粘着テープ33が貼着されている。この両面粘着テープ33は、表装材14の端部処理を行う場合に防水紙25の延出部32を90度内側へ折曲げたとき基板11の裏面11dに達する長さに形成されている。図11(b)に示すように、芯材24の長辺側外面31の防水紙25上には、防水紙25よりも短い長さの化粧処理材13aが貼着されている。なお、防水紙25の両端部外面には、一定幅で粘着テープ35が貼着されている。
そして、図12に示すように、表装材14の端部処理を行う場合には、端部処理材23の芯材24の非貼着部分29を基板11の端面11cに密着させる。このとき、化粧材13端部の傾斜面28と化粧処理材13a端部の斜面26とが密接し、化粧材13と化粧処理材13aとが連なって化粧処理される。その後、防水紙25端部の両面粘着テープ33の離型紙を剥がし、防水紙25を内側へ90度曲げて基板11の裏面11dに宛がい、両面粘着テープ33の粘着部を基板11の裏面11dに接着することにより、防水紙25の延出部32を芯材24の裏面側外面36及び基板11端部の裏面11dを覆うことができる(図12の二点鎖線を参照)。
従って、第3実施形態によれば、端部処理材23は樹脂発泡体により形成された芯材24によって良好な断熱性を発揮することができる。さらに、端部処理材23の芯材24は基板11の端面11cに対向する非貼着部分29及び端面37以外の外周面が防水紙25で覆われて構成され、該防水紙25が基板11の裏面11d及び芯材24の裏面側外面36並びにそれらの境界部を覆うことができる。従って、表装材14の防水性を保持することができると同時に、基板11の端面11cに対向する非貼着部分29には防水紙25を省略することができ、その分構成を簡易にしてコスト低減を図ることができる。
なお、前記各実施形態は、次のように変更して具体化することができる。
・ 前記端部処理材23を、表装材14の端部に形成される露出状態の基板非支持部27に予め埋めておくことができる。このように構成した場合、施工現場における表装材14の端部処理作業を省略することができる。
・ 前記基板非支持部27は基板11の端部を切除することにより形成することもできる。すなわち、基板11の端部を除去することによって裏側重ね代部16に相当する凹部を形成することができる。言い換えれば、表装材14の端部に裏側重ね代部16がない場合でも、基板11の端部を切除して基板非支持部27を形成することができ、形成された基板非支持部27の端部処理を前記実施形態の方法で行うことができる。例えば、表装材14に貫通孔を開けて窓などの開口部を設ける場合には、その開口部を形成する内周面は露出されるが、その内周部には表装材14の基板11が存在している。そのため、該基板11を切除し、形成された基板非支持部27を端部処理材23で処理することができる。
・ 第1実施形態の端部処理材23を構成する芯材24の上面及び側面、化粧処理材13aの斜面26及び防水紙25の延出部上に設けられる粘着剤層又は第2実施形態の防水紙25上に設けられる粘着剤層を省略することもできる。そして、表装材14の端部処理時に粘着剤を必要部分に塗布して端部処理を行うことができる。
・ 表装材14が適用される対象物は、建築物の床面又は天井面であってもよい。この場合にも、第1実施形態又は第2実施形態と同様にして裏側重ね代部16に基づく基板非支持部27を端部処理材23で埋めることができる。
・ 表側重ね代部17、裏側重ね代部16を表装材14の上端部及び下端部のみに設けた表装材14を用いることにより、いわゆる鎧貼りが可能である。また、この鎧貼りを横方向に行うこともできる。
・ 図10に示すG、H及びIの位置に標準形(同図A位置)の表装材14を用い、各裏側重ね代部16と同形同大の基板11を各裏側重ね代部16と壁面等の下地との間に使用することができる。この場合でも、先に各裏側重ね代部16と同形同大の基板11を壁面等の下地に固定し、その位置に合わせて各表装材14を貼り付けていけば、前記各実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
・ 基板11として、前述した金属や樹脂発泡体のほかに、サイディング材、ガラス材、シラスボード、軽量気泡コンクリート(ALC)、合板、木質繊維板、石膏ボード等を用いることができる。また、基板11及び芯材24として、樹脂発泡体以外の合成樹脂(プラスチック)を用いることができる。
・ 介装シ−ト12の色を各種用意し、目地を好みの色にし、デザイン効果を発揮させるように構成することができる。
・ 化粧材13を、御影石調、大理石調、砂岩調、ブロンズ調等、目的とする石材等の調度に変更し、用途に応じて、好みの化粧材を選択することができ、用途の幅を広げるように構成することができる。
・ 表装材14を直角に屈曲させ、表装材14を壁面の角に対応させて使用可能にすることもできる。
・ 介装シ−ト12を化粧材13及び基板11と同形同大に形成し、表側重ね代部17及び裏側重ね代部16に相当する部分を別体のシートとして用意し、介装シ−ト12と別体シートとを接着して表側重ね代部17及び裏側重ね代部16を形成することもできる。
・ 前記第3実施形態において、端部処理材23として化粧処理材13aを省略したものを使用することもできる。この構成は、表装材14の端部が別の部材で隠されており、端部処理材23に化粧処理材13aを必要としないときなどに採用される。
・ 第3実施形態において、両面粘着テープ33を省略し、端部処理時に防水紙25の延出部32端部の内側面に接着剤を塗布し、防水紙25の延出部32を基板11の裏面11dに接着するように構成することも可能である。
・ 第3実施形態において、端部処理材23の防水紙25を裏面側外面36にも予め貼着しておくことができる。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
〇 前記表装材における化粧材の端部に傾斜面を設けると共に、化粧処理材に前記化粧材の傾斜面に対応する斜面を設け、端部処理材が基板非支持部に埋め込まれたときに化粧処理材の斜面が化粧材の傾斜面に突き合されて化粧処理材と化粧材の外面が連続性を有するように形成されることを特徴とする請求項7に記載の表装材の端部処理方法。この方法によれば、簡単な構成で請求項7に係る発明の効果を容易に発揮させることができる。
〇 前記接着は防水紙の端部に貼着された粘着テープにより行われることを特徴とする請求項6に記載の表装材の端部処理方法。この方法によれば、請求項6に係る発明の効果に加え、防水紙を基板の裏面に容易に貼着させることができる。
〇 前記接着は防水紙の端部に貼着された粘着テープにより行われることを特徴とする請求項8に記載の表装材の端部処理方法。この方法によれば、請求項8に係る発明の効果に加え、防水紙を基板の裏面に容易に貼着させることができる。
11…基板、11a、11b…基板の隣接する2辺、11c…基板の端部としての端面、11d…基板の裏面、12a、12b…介装シートの隣接する2辺、12c、12d…介装シートの他の隣接する2辺、13c、13d…化粧材の隣接する2辺、12…介装シート、13…化粧材、13a…化粧処理材、14…表装材、15…壁面、16…裏側重ね代部、17…表側重ね代部、23…端部処理材、24…芯材、24a…短い芯材、25…防水紙、27…基板非支持部、37…芯材の端面。