JPH06256902A - 高耐食性、高加工性超高張力冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高耐食性、高加工性超高張力冷延鋼板およびその製造方法

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JPH06256902A
JPH06256902A JP4263793A JP4263793A JPH06256902A JP H06256902 A JPH06256902 A JP H06256902A JP 4263793 A JP4263793 A JP 4263793A JP 4263793 A JP4263793 A JP 4263793A JP H06256902 A JPH06256902 A JP H06256902A
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坂 章 男 登
Nobuo Totsuka
塚 信 夫 戸
Koichi Hashiguchi
口 耕 一 橋
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】引張強度(TS)が約80kgf/mmを越
え、高耐食性の超高張力冷延鋼板。 【構成】C:0.02〜0.30、Mn:0.20〜
3.50、Al:0.100以下を基本組成とし、S
i:0.100〜1.500、Cr:0.100〜1.
000、Mo:0.100〜1.000、P:0.02
0〜0.100と、B:5〜100ppmよりなるA
群、Cu:0.05〜1.000、Ni:0.05〜
0.500、V:0.010〜0.200、Ti:0.
010〜0.200、Nb:0.010〜0.100よ
りなるB群を含み、Feおよび不可避的不純物よりな
り、組織的にフェライト相が面積率で3%以下で、残部
ベイナイトまたはマルテンサイトからなる鋼板の表面
に、クロメート処理層と、その上層に潤滑粒子を含有す
る固形潤滑被膜層を形成する冷延鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス、張出し、およ
び軽絞り成形等に適し、塗装後耐食性を要求される鋼板
のうち、主としてバンパー部品・ドアガードバー部品な
どの強度部材に適用される引張強度(TS)が概ね80
kgf/mm2 を越える、超高張力冷延鋼板およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の安全性の向上、軽量化の
観点からバンパー、ドアガードバーなどの強度部材にT
Sが60kgf/mm2 を越える高張力冷延鋼板が多用されて
いる。これらの鋼板に要求される特性としては高強度と
ともに、すぐれた延性と曲げ加工性(良局部延性)が要
求される。また軽量化の場合は薄肉化のため、信頼性の
観点から表面処理を行い耐食性を向上させる必要があ
る。
【0003】このような要求に応える鋼板として、例え
ば特公平3−21608号に示すような低温変態相で組
織強化した鋼板が知られている。しかしこれも曲げ成形
性は良好であるが延性は充分でない。また、延性に優れ
た鋼板として、残留オーステナイトを多量(概ね10%
以上)に存在させることで延性の向上をねらったいわゆ
るTRIP鋼があるが、これは、冶金的に高C鋼となら
ざるを得ず、スポット溶接をはじめとする溶接が困難で
あるという問題と、延性の改善のために残留オーステナ
イト量を多くした場合に発生するいわゆる「遅れ破壊」
の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記の従来技術で製造
された鋼板は、高強度・高延性で高局部延性さらに耐遅
れ破壊特性にも優れるというすべての条件を満足するこ
とができない。本発明の解決課題の第1は上記すべての
要件を満足する薄鋼板を開発することにある。また、薄
肉化に対応する耐食性の向上要求に対しては、適性な表
面処理を行うことで対処する必要がある。
【0005】したがって、本発明は、上述した従来技術
の欠点を解消し、高耐食性で、加工性のよい超高張力冷
延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、低C鋼に
比較的多量のMnを添加したアルミキルド鋼を基本組成
とし、必要に応じてSi,Cr,Mo,B,V,Ti,
Nbを選択して添加した鋼をもちいて主として低温変態
相による組織強化で強化した鋼板を用いることで高強度
で高局部延性を有する鋼板が製造できることを見出し
た。またさらに、高強度化に伴う加工性の低下を補うの
に粉末状潤滑剤を含む固形潤滑被膜を形成させることが
有効で、かつ加工後の塗装工程での塗装性を確保するた
め潤滑被膜を塗布する前に、アルカリ溶出性クロムが5
mg/m2 以下となるクロメート層を形成させることが
有効であることを見出した。さらに本発明の内容によれ
ば、鋼中の水素に関係するとされるいわゆる「遅れ破
壊」特性についても実際の使用環境において充分に対応
できることも同時に見出した。
【0007】本発明は上記の知見に基づきなされたもの
である。すなわち、本発明の第1の態様によれば、C:
0.02〜0.30wt%、Mn:0.20〜3.50
wt%、Al:0.100wt%以下 を基本組成と
し、さらに、Si:0.100〜1.500wt%、C
r:0.100〜1.000wt%、Mo:0.100
〜1.000wt%、P:0.020〜0.100wt
%、B:5〜100ppm よりなるA群、Cu:0.
05〜1.000wt%、Ni:0.05〜0.500
wt%、V:0.010〜0.200wt%、Ti:
0.010〜0.200wt%、Nb:0.010〜
0.100wt%よりなるB群のうちより選ばれた1種
または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純
物よりなり、組織的にフェライト相が面積率で3%以下
であり、残部ベイナイトもしくはマルテンサイトからな
る鋼板の表面に、付着量が金属Cr換算で40〜200
mg/m2 でかつアルカリ溶出性Cr分が5mg/m2
以下であるクロメート処理層と、その上層に付着量が
0.1〜5.0g/m2 で、かつ無機潤滑粒子および/
または有機潤滑粒子をそれぞれ0.05〜30wt%、
0.05〜20wt%、合計で0.05〜40wt%含
有する固形潤滑被膜層を形成してなる、高耐食性、高加
工性超高張力冷延鋼板が提供される。
【0008】ここで、クロメート処理層が電解型クロメ
ート処理層または塗布型クロメート処理層であり、前記
固形潤滑被膜の基体がアルカリ可溶性のプレコートワッ
クスまたはアクリル共重合体樹脂であるのが好ましい。
また、前記無機潤滑粒子が平均粒径20μm以下の二硫
化モリブデンおよび/または窒化ホウ素粉末であり、前
記有機潤滑粒子が平均粒径20μm以下でかつ融点が7
0℃以上のワックスであるのが好ましい。
【0009】本発明の第2の態様によれば、上記化学組
成の鋼を連続鋳造法によりスラブとした後熱間圧延、冷
間圧延を行ったのち、連続焼鈍法により800℃以上で
900℃以下の温度範囲に10s以上で180s未満の
保持を行った後に30℃/s以上の冷却速度で400℃
以下で250℃以上の温度範囲まで急冷して冷延鋼板と
し、さらに脱脂、洗浄、乾燥処理した冷延鋼板に、付着
量が金属Cr換算で40〜200mg/m2 でかつアル
カリ溶出性Cr分が5mg/m2 以下であるクロメート
処理層を形成したのち、その上層に無機潤滑粒子および
/または有機潤滑粒子をそれぞれ0.05〜30wt
%、0.05〜20wt%、合計で0.05〜40wt
%含有する固形潤滑被膜層を付着量が0.1〜5.0g
/m2 となるように塗布することを特徴とする、高耐食
性、高加工性超高張力冷延鋼板の製造方法が提供され
る。
【0010】ここで、前記クロメート処理層の形成が、
電解型クロメート処理とそれに引き続く80〜250℃
の乾燥によるもの、あるいは前記クロメート処理層の形
成が、塗布型クロメート処理とそれに引き続く100〜
250℃の乾燥とさらにクロメート安定化処理によるも
のであるのが好ましい。
【0011】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。まず、
本発明における鋼中化学成分の範囲限定理由について説
明する。
【0012】〔C〕Cは強度を上昇させるために重要な
元素である。本発明のように、低温変態相による組織強
化を利用しようとする場合はC添加量は最低でも0.0
2wt%が必要である。また、0.30wt%を越えて
添加すると、溶接性がほとんど不可能となるのに加え
て、極度に残留オーステナイト量が増加し「遅れ破壊」
特性が顕著に劣化する。従って0.02wt%以上0.
30wt%以下とした。
【0013】〔Mn〕Mnは低温変態相を安定して得る
ために極めて重要な元素である。0.20wt%未満で
は通常の連続焼鈍条件では強度上昇に充分な量の低温変
態相を得ることができない。しかし3.50wt%を越
えて添加すると、最終的な冷延板での強度上昇が飽和す
るのに加え、熱延母板が顕著に硬化して製造にあたり不
都合を生じ、同時にコストアップを伴う。従って、Mn
添加量はMn:0.20wt%以上3.50wt%以下
とした。
【0014】〔Al〕Alは脱酸材として添加が必要で
あるが、他の方法で充分に鋼中酸素量が低減できればよ
くとくに下限は設定する理由はない。通常の方法では
0.005wt%程度が目安である。また上限はアルミ
ナクラスターによる表面欠陥の発生防止から決定され、
おおむね0.100wt%である。
【0015】〔Si〕Siは強化元素として補助的にも
ちいられる。0.100wt%以上の添加で強化効果が
発揮される。また1.500wt%を越えて添加すると
熱延母板が顕著に硬化して、冷間圧延に大きな障害とな
る。従って、0.100wt%以上1.500wt%以
下とする。
【0016】〔Cr〕Crは焼入性向上効果が大きく、
Mnの効果をさらに強め、強度上昇に有効である。この
効果は0.100wt%以上の添加で顕著となり、1.
000wt%を越えて添加しても効果はほぼ飽和して、
合金元素コストの上昇を招くだけである。従って0.1
00wt%以上1.000wt%以下とした。
【0017】〔Mo〕Moも焼入性向上効果が大きく、
強度上昇に有効である。このような効果は、0.100
wt%以上の添加で顕著になる。しかし1.000wt
%を越えて添加しても、効果が飽和傾向を示しさらにコ
ストの上昇につながる。従って、Mo添加量は0.10
0wt%以上1.000wt%以下とした。
【0018】〔P〕Pは安価な強化元素であり、延性の
劣化なく鋼を強化できる。その効果は0.02wt%以
上の添加で顕著となり、0.100wt%を越えると低
温靭性が劣化する。従って0.02wt%以上0.10
0wt%以下とした。
【0019】〔B〕Bは微量添加で焼入性を向上させる
ため、特に連続焼鈍後の冷却時にフェライトの生成を防
止し、均一性の高い組織を得るのに有効である。この効
果は5ppm以上の添加で顕著になり、100ppm以
上添加してもその効果は飽和する。従ってB添加量は5
〜100ppmとした。
【0020】〔Cu〕Cuは強度の向上と耐食性向上に
有効であるが、0.05wt%未満ではその効果が十分
でなく、1.0wt%超では熱間割れを生じる危険性が
あるため、0.05〜1.0wt%の範囲に限定した。
【0021】〔Ni〕Niは組織を細粒化し、さらに低
温での靭性などを改善するのに有効である。0.05w
t%以上の添加で組織の改善効果が現れるが0.500
wt%を越えて添加しても効果が飽和し、コストの上昇
を招く。従ってNi添加量は:0.05wt%以上0.
500wt%以下とした。
【0022】〔V〕Vは炭窒化物による析出強化などを
とおして強度上昇に有効である。0.010wt%以上
の添加で強度上昇効果が現れ、0.200wt%を越え
て添加しても、効果の飽和とコストの上昇を招く。
【0023】〔Ti〕TiもVと同様であり、その適性
範囲は0.010wt%以上0.200wt%以下であ
る。
【0024】〔Nb〕NbもV,Tiと同様であるが、
その効果はより低い添加量の範囲で飽和する傾向を示
す。その最適範囲は0.010wt%以上0.100w
t%以下である。
【0025】これらの組成の冷延鋼板は常法によりスラ
ブとし、熱間圧延・冷間圧延・連続焼鈍工程を経て冷延
鋼板としクロメートおよび樹脂コーティングがほどこさ
れる。焼鈍までの工程は特に限定する必要はないが、焼
鈍は組織的にフェライト相が面積率で3%以下であり、
残部がベイナイトもしくはマルテンサイトからなる均一
な組織とするため、連続焼鈍法により、高温焼鈍、急速
冷却の熱処理を行う必要がある。すなわち、800℃以
上で900℃以下の温度範囲に10s以上で180s未
満の時間保持することで、充分な焼入性をそなえた元組
織が形成され、さらに30℃/s以上の冷却速度で40
0℃以下かつ250℃以上の温度範囲まで急冷すること
で、上記の望ましい組織を最終的に得ることができる。
【0026】次に、該鋼板上に形成されるクロメート層
および固形潤滑被膜層の作用について述べる。
【0027】クロメート層は、該鋼板と樹脂層の密着性
を確保しかつ耐食性を向上させる効果があるが、金属ク
ロム換算で40mg/m2 未満の付着量ではその効果が
十分でなく、200mg/m2 を超える付着量ではそれ
らの効果が飽和し経済的でないので40〜200mg/
2 の範囲に限定した。
【0028】また、該クロム層中のアルカリ溶出性クロ
ムが5mg/m2 を超えると、塗装前処理である化成処
理液へのクロム溶出によって化成処理液を劣化させる危
険性があるため、アルカリ溶出性クロムを5mg/m2
以下に限定した。
【0029】前記クロメート被膜は、電解クロメート被
膜または塗布型クロメート被膜を安定化処理したもので
あるのが好ましい。
【0030】本発明において、クロメート被膜上の第2
層は、プレコートワックスまたはアクリル樹脂共重合体
を主成分とした被膜に無機潤滑粒子および/または有機
潤滑粒子を含む固形潤滑被膜層である。
【0031】無機潤滑粒子としては、例えば二硫化モリ
ブデン、窒化ホウ素粉末の1種または2種の混合物が用
いられる。
【0032】これらの潤滑粒子はあまり過少では潤滑効
果が少なく、過剰では潤滑被膜の粘度を上げ塗布作業に
不都合を生じるため0.05〜30wt%に限定した。
【0033】また平均粒径が20μmを超える粒子では
分散性が悪く塗布後の均一性が低下し、加工性を低下さ
せるため、平均粒径20μm以下に限定した。
【0034】有機潤滑粒子は合成ワックス、天然ワック
ス、いずれを用いてもよいが、融点70℃未満のワック
スではベースワックス中への分散が困難でかつ、極圧状
態での粘性が小さく潤滑効果が十分でないため融点70
℃以上に限定した。
【0035】また、添加量および平均粒径は前記無機潤
滑粒子と同様な理由により、それぞれ0.05〜20w
t%、平均粒径20μm以下に限定した。
【0036】なお、無機潤滑粒子と有機潤滑粒子を併用
する場合は、添加量の限界は40wt%までに上昇する
が、それ以上では塗布作業に不都合を生じるため0.0
5〜40wt%までに限定した。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。 (実施例)表1に示す化学組成の鋼を連続鋳造法にてス
ラブとし、スラブ再加熱温度1250℃仕上げ圧延温度
830℃さらに熱延巻取り温度540℃で2.6mm厚
みの熱延母板として酸洗・冷延で1.4mmの冷延板と
した。さらに、連続焼鈍炉にて、840℃−60sの均
熱条件、30℃/sの平均冷却速度で320℃まで急冷
して冷延焼鈍板を調整した。該鋼板コイルをカラーライ
ンにてアルカリ脱脂、水洗・乾燥→電解クロメート処
理、水洗乾燥またはロールコーターによる塗布型クロメ
ート塗布・乾燥→固形潤滑被膜塗布(浸漬法)の一連の
処理を行い試料を作製した。
【0038】表2には該鋼板試料の機械的性質、表3に
はクロメート処理条件およびクロメート安定化処理条
件、表4には固形潤滑被膜組成および塗布量をそれぞれ
示した。使用したクロメート、無機潤滑剤、有機潤滑剤
および固形潤滑被膜剤は以下の通りである。
【0039】(クロメート) 電解クロメート:電解クロメート処理はすべて電解処理
後水洗乾燥する 液組成:CrO3 30g/l、Na2 SiF6 1g
/l 電解条件:電流密度5A/dm2 、電解時間8秒(40
mg/m2 )電解1 10A/dm2 、電解時間8秒(80mg/m2 )電解2 10A/dm2 、電解時間12秒(120 mg/m2 )電解3 10A/dm2 、電解時間16秒(160 mg/m2 )電解4 ( )内目標目付量 塗布型クロメートA:シリカ無添加4513H(日本パ
ーカライジング社製) 塗布型クロメートB:シリカ添加 コスマー150
(関西ペイント社製)
【0040】(固形潤滑被膜剤) (ベースワックス剤)市販のプレコートワックスである
カオールーブW2(花王株式会社製)をベースとし、6
0℃に加温溶解させ、これに無機潤滑粉および/または
有機潤滑粉を添加混合し表4の割合に調合した溶融ワッ
クス中に60℃に加温した前記鋼板(150×220m
m)を浸漬・引上げ空冷、乾燥処理した。
【0041】塗布量は浸漬・引上げ速度および空冷・乾
燥速度を調整することにより任意に調整した。なお、塗
布量は塗布前の板の重量と塗布後の板の重量差から測定
した。また潤滑粉は事前にボールミルで粉砕し、任意に
粒度調整して用いた。粒度の測定はガラス板上に該潤滑
被膜を形成させ、直接光学顕微鏡観察することによって
測定した。
【0042】(アルカリ溶出性被膜剤)市販のアルカリ
可溶性高分子潤滑被膜剤ミルボンドMC−560J(日
本油脂株式会社製)をベースとし、これに無機潤滑粉お
よび/または有機潤滑粉を添加混合して、表4の組成に
調整したものを用いた。
【0043】該剤は水系塗料のためワックスの種類によ
っては長時間の均一分散は困難であるものもあったが、
強撹拌後直ちに鋼板を浸漬・塗布乾燥することによって
均一分散させた被膜が得られた。乾燥は80℃の熱風乾
燥とし、塗布量の調整は塗料溶液への水添加量を変える
ことによって調整した。塗布量の測定、潤滑粉の調整は
前記と同様である。
【0044】なお、表4に示すワックスは以下のものを
用いた。 ワックス1 サンノプコ社製 SNワックス22−SF ワックス2 サンノプコ社製 SL506 ワックス3 安原油脂工業社製 アローワックス ワックス4 同上ワックスの粉砕時間を短くしたもの ワックス5 日本石油社製 POワックスH−10
【0045】(加工性の評価)該鋼板の加工性は、ポン
チ径33mmφの円筒絞り試験による限界絞り比で評価
した。
【0046】(裸耐食性の評価)裸耐食性は製造された
鋼板を70×150mmに切断した各3枚を脱脂・洗浄
・乾燥した後、塩水噴霧試験(5%NaCl、35℃、
500時間)を行ない、試験片表面の最大侵食深さを測
定して評価した。 ◎:最大侵食深さで0.05mm以下 ○:0.05〜0.1mm △:0.1〜0.5mm ×:0.5mm以上
【0047】(塗装性および塗装後耐食性)塗装性は該
鋼板70×150mm各10枚を脱脂、表面調整、化成
処理の標準条件での前処理を行なった後、日本ペイント
社製パワートップU−600を塗装電圧200Vで20
μm電着塗装して外観を目視判定した。 脱脂液(日本パーカライジング社製 FC4460) 表面調整液(日本パーカライジング社製 PL404
0) 化成処理液(日本パーカライジング社製 PBL302
0) また、上記塗装鋼板5枚にカッターナイフを用いてクロ
スカットを入れた後複合サイクル腐食試験を行なった
後、クロスカット部の塗膜ふくれ幅および最大侵食深さ
を測定して評価した。 腐食試験サイクル:塩水噴霧(5%NaCl、35℃、
6hr)→50℃、2hr乾燥→RH95%、50℃、
15hr(湿潤雰囲気)→自然乾燥1hr、本サイクル
を15サイクル行なった。なお、アルカリ溶出性クロム
の測定はアルカリ脱脂液(FC4460)60℃中にク
ロメート処理後の試験片を5分間浸漬し、その前後のC
r付着量を蛍光X線分析で測定して求めた。 ○:最大ふくれ幅1mm未満 △:1〜3mm ×:3mm以上 ◎:最大侵食深さ0.05mm未満 ○:0.05〜0.1mm △:0.1〜0.3mm ×:3mm以上
【0048】(遅れ破壊特性の評価)遅れ破壊特性は製
造された鋼板を40mmφの円盤に加工した後、ポンチ
径22mmの球頭ポンチによりコニカルカップに成形
し、5%NaCl水溶液に浸漬し、サンプルに割れを生
ずるまでの時間により評価した。浸漬時間にして7日相
当で割れ発生がない場合は実用上問題のないレベルであ
ると判断できる。本発明鋼はTSが120kgf/mm2 を越
える場合でも、遅れ破壊を生ずることなく、実用上極め
て有用な鋼板であると言える。 評価 ×:1日以内に割れを生じたもの △:1〜7日の間に割れを生じたもの ○:7日間以上割れを生じなかったもの これらの評価試験結果を表5に示す。
【0049】表1〜5の結果から明らかなように、本発
明鋼はいずれも優れた機械的性質、加工性、耐食性、塗
装性を示す。これに対して比較例1−aはクロメート付
着量不足のため十分な耐食性、塗装性が得られていな
い。比較例2−aはクロメート層中のアルカリ可溶性ク
ロムが多いため、塗装性が劣化している。
【0050】比較例3−a、4−a、5−a、6−aは
潤滑被膜中の潤滑粉、ワックスあるいは塗布量が不足の
ため十分な加工性が得られていない。比較例7−a、8
−a、9−a、10−a、11−a、12−aは潤滑剤
が過剰または過大であるため均一塗布ができず、また加
工中の被膜の脱落等のため十分な加工性が得られず、か
つ塗装前処理でも均一にならないため塗装性も劣化して
いる。比較例13−aはワックスの融点が低いため十分
な加工性が得られない。
【0051】比較例1〜17はクロメート、潤滑被膜処
理を施しても十分な加工性、耐食性、塗装性は得られて
いない。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
加工性、耐食性に優れ、TSが80kgf/mm2 以上の超高
張力鋼板を簡便な樹脂処理によって製造できるため、よ
り低コストでより優れた材料を供給できる。この処理に
よればTSが120kgf/mm2 を越える場合にも遅れ破壊
を生ずることなく、高い信頼性をもって実用に供するこ
とができる。また、従来、耐食性向上のために施すめっ
きは鋼板のリサイクルを難しくする問題を有していた
が、本発明のような極薄い樹脂処理ではリサイクル性に
は全く問題を生じないと言える。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C :0.02〜0.30wt%、 Mn:0.20〜3.50wt%、 Al:0.100wt%以下 を基本組成とし、さら
    に、 Si:0.100〜1.500wt%、 Cr:0.100〜1.000wt%、 Mo:0.100〜1.000wt%、 P :0.020〜0.100wt%、 B :5〜100ppm よりなるA群、 Cu:0.05〜1.000wt%、 Ni:0.05〜0.500wt%、 V :0.010〜0.200wt%、 Ti:0.010〜0.200wt%、 Nb:0.010〜0.100wt% よりなるB群のうちより選ばれた1種または2種以上を
    含み、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、組織
    的にフェライト相が面積率で3%以下であり、残部ベイ
    ナイトもしくはマルテンサイトからなる鋼板の表面に、
    付着量が金属Cr換算で40〜200mg/m2 でかつ
    アルカリ溶出性Cr分が5mg/m2 以下であるクロメ
    ート処理層と、その上層に付着量が0.1〜5.0g/
    2 で、かつ無機潤滑粒子および/または有機潤滑粒子
    をそれぞれ0.05〜30wt%、0.05〜20wt
    %、合計で0.05〜40wt%含有する固形潤滑被膜
    層を形成してなる、高耐食性、高加工性超高張力冷延鋼
    板。
  2. 【請求項2】クロメート処理層が電解型クロメート処理
    層または塗布型クロメート処理層である請求項1に記載
    の高耐食性、高加工性超高張力冷延鋼板。
  3. 【請求項3】前記固形潤滑被膜の基体がアルカリ可溶性
    のプレコートワックスまたはアクリル共重合体樹脂であ
    る請求項1または2に記載の高耐食性、高加工性超高張
    力冷延鋼板。
  4. 【請求項4】前記無機潤滑粒子が平均粒径20μm以下
    の二硫化モリブデンおよび/または窒化ホウ素粉末であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の高耐食性、高加工性
    超高張力冷延鋼板。
  5. 【請求項5】前記有機潤滑粒子が平均粒径20μm以下
    でかつ融点が70℃以上のワックスである請求項1〜4
    のいずれかに記載の高耐食性、高加工性超高張力冷延鋼
    板。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の化学組成の鋼を連続鋳造
    法によりスラブとした後熱間圧延、冷間圧延を行ったの
    ち、連続焼鈍法により800℃以上で900℃以下の温
    度範囲に10s以上で180s未満の保持を行った後に
    30℃/s以上の冷却速度で400℃以下で250℃以
    上の温度範囲まで急冷して冷延鋼板とし、さらに脱脂、
    洗浄、乾燥処理した冷延鋼板に、付着量が金属Cr換算
    で40〜200mg/m2 でかつアルカリ溶出性Cr分
    が5mg/m2 以下であるクロメート処理層を形成した
    のち、その上層に無機潤滑粒子および/または有機潤滑
    粒子をそれぞれ0.05〜30wt%、0.05〜20
    wt%、合計で0.05〜40wt%含有する固形潤滑
    被膜層を付着量が0.1〜5.0g/m2 となるように
    塗布することを特徴とする、高耐食性、高加工性超高張
    力冷延鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】前記クロメート処理層の形成が、電解型ク
    ロメート処理とそれに引き続く80〜250℃の乾燥に
    よるものである請求項6に記載の高耐食性、高加工性超
    高張力冷延鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】前記クロメート処理層の形成が、塗布型ク
    ロメート処理とそれに引き続く100〜250℃の乾燥
    とさらにクロメート安定化処理によるものである請求項
    6に記載の高耐食性、高加工性超高張力冷延鋼板の製造
    方法。
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